JPH034741B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、カムシヤフトがシリンダヘツドに設
けられたOHC方式のＶ型エンジンに関するもの
である。

（従来技術） 従来、Ｖ型エンジンにおいて、例えば特開昭59
−134328号に見られるように、左右のバンクのシ
リンダヘツドにカムシヤフトをそれぞれ設け、該
カムシヤフトをクランクシヤフトにそれらの端部
において伝動機構によつて連係駆動するOHC方
式に設けられたものでは、上記伝動機構が両側の
バンクの同一平面上でカムシヤフトを駆動するこ
とになり、また、この伝動機構を覆つてフロント
カバーを配設する必要がある。

しかるに、上記Ｖ型エンジンにおいては、一方
のバンクのシリンダと他方のバンクのシリンダと
は、クランクシヤフトの軸方向にずれて配置され
ることになり、一方のバンクのシリンダヘツドに
おいては、このシリンダヘツドの端面と前記伝動
機構との間に空間が形成されることになる。そし
て、この伝動機構を覆うカバーとのシール面を構
成するためには、例えば、一方のシリンダヘツド
を延長して設け、このシリンダヘツドの端面にカ
バーを取り付けるようにすることが考えられる。

しかして、左右のバンクにおけるシリンダヘツ
ドは共通の部品に設けることが製造上で有利とな
るが、上記のように一方のバンクのシリンダヘツ
ドの前部を延長することは、他方のバンクにおけ
るシリンダヘツドの後部が延長されることにな
り、エンジンの軽量化の障害となるとともに、各
種補機もしくは吸排気系統をコンパクトに配設す
る際のレイアウトの自由度を損う問題がある。

（発明の目的） 本発明は上記事情に鑑み、左右のバンクにおけ
るシリンダヘツドの共通化を図るについて、シリ
ンダヘツドを可及的に小さく形成するとともにカ
バーとのシール面を確保するようにしたＶ型エン
ジンを提供することを目的とするものである。

（発明の構成） 本発明のＶ型エンジンは、カムシヤフトを駆動
するシリンダヘツドの端部に伝動機構を覆うフロ
ントカバーを設けるとともに、この端部からシリ
ンダが離隔している第１バンクのフロントカバー
の背部に、エンジンの補機を支持する支持部を有
する中間部材を配設し、この中間部材に前記フロ
ントカバーのシール面の一部を構成するシール部
を形成してなることを特徴とするものである。

（発明の効果） 本発明によれば、一方のバンクのフロントカバ
ーの背部に中間部材を配設し、他方のバンクのシ
リンダヘツドにおいてはこの中間部材を除去して
構成するようにしたことにより、左右のバンクで
のシリンダヘツドのコンパント化および共通化を
図つてその製造を容易とするとともに、他方のバ
ンクのシリンダヘツドの軽量化およびレイアウト
のスペースを確保することができ、エンジン全体
のコンパンク化が可能となるものである。

また、上記中間部材の介設によつて伝動機構の
フロントカバーのシール性を良好に確保すること
ができ、特に水等の付着を阻止する必要のあるタ
イミングベルトに対して有効である。さらに、上
記中間部材にはオイルポンプ、デイストリビユー
タ等の補機の支持部を形成してなり、両側のバン
クでシリンダがクランクシヤフトの軸方向にずれ
て配置されるのに伴つて形成されるデツドスペー
スを利用して、エンジンの全長を大きくすること
なく補機の配設が可能となるものである。

（実施例） 以下、図面により本発明の実施例を説明する。
第１図は６気筒Ｖ型エンジンの概略正面図、第２
図は一部断面にして示す平面模式図、第３図は要
部断面側面図、第４図は第２図の−線に沿う
要部断面図である。

OHC方式のＶ型エンジン１は、Ｖ字状に右左
に形成された第１および第２バンク２，３を有
し、そのシリンダブロツク４の下面にオイルパン
５が取り付けられている。

第１および第２バンク２，３の、シリンダブロ
ツク４上面に接合された第１および第２シリンダ
ヘツド８，９にはカムシヤフト１０，１１がそれ
ぞれ設けられ、該カムシヤフト１０，１１がクラ
ンクシヤフト７にそれらの端部（前端）で伝動機
構を介して連係され、それによつて、カムシヤフ
ト１０，１１がクランクシヤフト７によつて同期
回転駆動される。すなわち、各カムシヤフト１
０，１１の端部に固定されているタイミングプー
リ１２，１３と、クランクシヤフト７の端部に固
定されているクランクプーリ１４とにタイミング
ベルト１５が巻き掛けられている。１６，１７，
１８はアイドラである。

一方、エンジン１の前面における右左のバンク
２，３間の中央部で、しかも前記タイミングベル
ト１５の内周側位置には、ウオーターポンプ２０
が取り付けられている。このウオーターポンプ２
０は、ウオーターポンプケーシング２１がシリン
ダブロツク４から両側のバンク２，３に延びるよ
うに配設され、中央にポンプシヤフト２２が設け
られて構成されている。このウオーターポンプケ
ーシング２１の外周部には、上記タイミングベル
ト１５のフロント側を覆うフロントカバー２３に
対する内周側のシール面２４を形成する周壁が全
周に亘つて形成されている。

さらに、シリンダブロツク４および右左のシリ
ンダヘツド８，９の前面の外周部には、前記タイ
ミングベルト１５の外周側を包囲して上記フロン
トカバー２３に対する外周側のシール面２５が連
続形成されている。なお、外側シール面２５はそ
の全周域において内側シール面２４よりも低く形
成されている。

上記フロントカバー２３は前記タイミングベル
ト１５の外側を覆つて、該タイミングベルト１５
を雨水あるいは汚泥の付着から保護するためのも
のであり、前記内側シール面２４と外側シール面
２５の間に形成される部分の内の前記クランクシ
ヤフト７の外周部を除く他の全域を覆うものであ
り、中央部に前記内側シール面２４の平面形状に
対応する開口部分を有するものである。このフロ
ントカバー２３は、中央部から左右に２分割形成
され、それぞれ取付ボルト２６により取り付けら
れて、内周部および外周部内面がシール材２７を
介して前記内側シール面２４および外側シール面
２５に圧接固定されるものである。

上記第１バンク２には偶数番目のシリンダ，
，が、第２バンク３には奇数番目のシリンダ
，，がそれぞれ形成され、この第１バンク
２のシリンダ，，は、第２バンク３のシリ
ンダ，，よりも前面側でフロントカバー２
３より離隔するようにクランクシヤフト７の軸方
向にずれて配置されている。第１および第２バン
ク２，３のシリンダヘツド８，９の上面には、そ
れぞれヘツドカバー２９，３０が設けられてい
る。

第１バンク２のシリンダヘツド８は前部すなわ
ち前記フロントカバー２３に近い部分の一部およ
び第２バンク３のシリンダヘツド９は後部すなわ
ち前記フロントカバー２３とは反対側の後部の一
部が各々のヘツドカバー２９，３０よりそれぞれ
延長して形成されている。

上記両シリンダヘツド８，９の延長部８ａ，９
ａの互いに対称な位置にそれぞれ開孔３１，３２
が設けられている。上記シリンダヘツド８，９お
よびヘツドカバー２９，３０は両側のバンク２，
３で共通化された部材で、第２図より明らかなよ
うに、互いに他方に対して180゜回転された状態で
配置されて取り付けられ、前記延長部８ａ，９ａ
の開孔３１，３２も同様の位置関係に配設され、
これらは平面図で見て、エンジン中心に対して点
対称になつている。

そして、上記第１バンク２のシリンダヘツド８
においては、上記延長部８ａの上部および外側部
に対してフロントカバー２３の背部に前記外側シ
ール面２５の一部を構成するシール部を有する中
間部材３４，３５，３６が配設され、この中間部
材はソケツト部材３４とキヤツプ部材３５とプレ
ート部材３６とで構成され、エンジン補機として
のデイストリビユータ３７およびオイルポンプシ
ヤフト３８の支持部を有している。

すなわち、第１バンク２のシリンダヘツド８の
延長部８ａの第１の開孔３１はデイストリビユー
タ３７の取付孔であつて、この開孔３１に対して
前記ソケツト部材３４が装着され、このソケツト
部材３４上にデイストリビユータ３７が装着さ
れ、このデイストリビユータ３７の回転軸３７ａ
の下端部にウオームホイール３７ｂが固着され、
このウオームホイール３７ｂがカムシヤフト１０
に設けられたウオームギヤ１０ａと噛合してい
る。

また、第１バンク２のシリンダヘツド８の延長
部８ａの第２の開孔３２にはキヤツプ部材３５が
装着され、このキヤツプ部材３５の内部にオイル
ポンプシヤフト３８の一端部が係合され、該オイ
ルポンプシヤフト３８にはウオームホイール３８
ａが固着され、このウオームホイール３８ａがカ
ムシヤフト１０に設けられた前記ウオームギヤ１
０ａと噛合しているとともに、このオイルポンプ
シヤフト３８は下方に延びてシリンダブロツク４
を貫通してオイルパン５内に配設されたオイルポ
ンプ３９に連結されている。上記構造によつてカ
ムシヤフト１０の回転駆動力でデイストリビユー
タ３７およびオイルポンプ３９が回転作動される
ようになつている。

さらに、上記プレート部材３６は、断面コ字状
の一側面が上記シリンダヘツド８の延長部８ａの
外側方に沿つて固着され、他側面は外側シール面
２５と同じ高さになるように設けられている。

上記カムシヤフト１０は、そのジヤーナル部１
０ｂがシリンダヘツド８に回転自在に支承される
とともに、その吸気もしくは排気カム部１０ｃに
吸気弁もしくは排気弁に連係したロツカーアーム
（図示せず）が当接している。そして、このカム
シヤフト１０の一端部（前端）に前記タイミング
プーリ１２が固着され、この端部内方はシリンダ
ヘツド８の延長部８ａの内部空間を貫通し、この
部分に上記ウオームギヤ１０ａが形成されてい
る。

一方、第２バンク３におけるシリンダヘツド９
の延長部９ａに対しては中間部材３４〜３６が配
設されることなく、また、デイストリビユータ３
７等の補機の配設もなく、その開孔３１，３２は
封孔プラグ４０，４０によつて閉塞されている。
よつて、この第２バンク３のカムシヤフト１１は
ジヤーナル部１１ａがシリンダヘツド９に回転自
在に支承されるとともに、その吸気もしくは排気
カム部１１ｃに吸気弁もしくは排気弁に連係した
ロツカーアーム（図示せず）が当接している。そ
して、このカムシヤフト１１の一端部（前端）に
前記タイミングプーリ１３が固着され、後端部は
シリンダヘツド９の延長部９ａ内には突出してい
ないものである。

上記構造において、第２バンク３のシリンダヘ
ツド９の前端面には直接前記フロントカバー２３
のための外側シール面２５が形成されているが、
第１バンク２のシリンダヘツド８においては、フ
ロントカバー２３と離隔していることにより、中
間部材すなわちソケツト部材３４、キヤツプ部材
３５およびプレート部材３６の前端面側に連続し
て外側シール面２５が形成されている。すなわ
ち、下部外側のシリンダブロツク４前面の外側シ
ール面２５に連続して、まず、シリンダヘツド８
に固着されたプレート部材３６のシール面２５ａ
が接続し、続いて、ソケツト部材３４からキヤツ
プ部材３５のシール面２５ｂ，２５ｃに接続され
るものである。

上記のような構造により、OHC方式のＶ型エ
ンジン１で第１バンク２のシリンダをクランクシ
ヤフト７の軸方向にずらすことによつて生じる前
端シリンダの前方部分に中間部材３４〜３６を
介設し、この中間部材３４〜３６の前面端にフロ
ントカバー２３に対するシール面２５ａ〜２５ｃ
を形成する共に、上記シリンダヘツド８とフロン
トカバー２３との間のデツドスペースを有効に利
用してデイストリビユータ３７等のエンジン補機
を配置している。よつて、エンジン全長を延ばす
ことなく、コンパクト化を図つたままでその配設
を行うことができ、また、その位置関係からシリ
ンダヘツド８，９等の部品の共通化することがで
きる。一方、第２バンク３のシリンダヘツド９の
後端部には中間部材等を装着することなく、この
スペースが有効利用でき、例えば排気パイプの配
設スペースとして利用できるものであつて、エン
ジン全体のコンパクト化が実施できる。

特に、上記実施例では、カムシヤフト１０の先
端にタイミングプーリ１２を固着した前端側に設
けた中間部材としてのソケツト部材３４およびキ
ヤツプ部材３５にデイストリビユータ３７および
オイルポンプ３９の駆動部分を配置したことによ
り、その駆動が有利でコンパントに形成できるも
のである。また、この中間部材に配設するエンジ
ン補機としては上記のものに限られず、その他の
補機が必要に応じて配設される。

なお、第２バンク３におけるシリンダヘツド９
の延長部９ａの開孔３１もしくは３２にフイラー
キヤツプを着脱自在に取付けて、オイル注入口に
構成するようにしてもよい。

また、本発明は、６気筒以外のOHC方式の多
気筒Ｖ型エンジンにも適用することができるのは
言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における６気筒Ｖ型
エンジンをフロントカバーの一部を切除して示す
概略正面図、第２図は一部断面にして示す平面模
式図、第３図は要部断面側面図、第４図は第２図
の−線に沿う要部断面正面図である。 １……Ｖ型エンジン、２……第１バンク、３…
…第２バンク、７……クランクシヤフト、８，９
……シリンダヘツド、１０，１１……カムシヤフ
ト、１２，１３……タイミングプーリ、１５……
タイミングベルト、２５……シール面、２９，３
０……ヘツドカバー、３１，３２……開孔、３４
〜３６……中間部材、３７……デイストリビユー
タ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 第１および第２バンクのシリンダヘツドにカ
   ムシヤフトをそれぞれ設け、該カムシヤフトをク
   ランクシヤフトにそれらの端部において伝動機構
   によつて連係駆動し、上記伝動機構を覆うフロン
   トカバーを設けるとともに、第１バンクのシリン
   ダを第２バンクのシリンダよりも前記端部から離
   隔するようにクランクシヤフトの軸方向にずらせ
   て配置したＶ型エンジンにおいて、前記第１バン
   クのフロントカバーの背部に、エンジンの補機を
   支持する支持部を有する中間部材が配設され、該
   中間部材に前記フロントカバーのシール面の一部
   を構成するシール部が形成されていることを特徴
   とするＶ型エンジン。