JPH0343427Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 産業上の利用分野 この考案はランナーの構造を改良した貫流水車
に関する。

Ｂ 考案の概要 この考案はランナーにおけるランナー端板とケ
ーシング側壁間間隙に流水が入ることによるラン
ナーに対するブレーキ効果を減少させるために、
ランナー端板を廃止し、ランナーのブレードを回
転軸から外周に突設した仕切板だけで支持させる
ことによつて、ガイドベーンによつてランナー内
に導入し、第６図に示すごときケーシング側壁２
ａ（又は軸受棒取付板１４ａ）とランナー端板１
ｃ間間隙g₂に流れ込みランナーの回転阻害によ
り、ブレーキ効果による水車出力低下を防止する
ことができる。

Ｃ 従来の技術 従来の貫流水車は第５図にその一部断面斜視図
で示すように、ランナー１がケーシング２内に収
納されており、ケーシング２内にランナー１の回
転軸３がシールおよび軸受を有する軸受枠１３を
介してケーシングに回転可能に取りつけられてい
る。

ケーシング２の入口管側、つまりランナー１の
上流側に入口管４がフランジを介して接続されて
おり、入口管４の出口側でケーシング２の入口端
には流水量をコントロールするガイドベーン５
ａ，５ｂが仕切板９によつて仕切られた流水路を
開閉自在に設けられ、さらにランナー１の上部後
方に位置してノズル板６がケーシング２と一体に
形成されている。また、ケーシング２の出口側、
つまりランナー１に対して下流側には、下部にハ
ウジング７がフランジで接続されるとともに、下
部にはケーシング２とハウジング７にフランジで
接続される放水管８が設けてある。

そして、ランナー１は回転軸３に接合した仕切
板１ｂの先端外周上にブレード１ａが一定間隔毎
に多数取り付け、ブレードの両側端にはランナー
端板１ｃが設けられ、このブレード１ａに流水を
受けて回転力を生じ、回転軸３の先端に取りつけ
たカツプリングＣ（非図示）を介して発電機（非
図示）を回転する構成になつている。

回転軸３の先端は、ケーシング２の側壁に開口
した回転軸挿入孔にパツキンとグランドパツキン
押えで回転自在に取り付けられ、さらにその外周
側壁に取り付けた軸受枠１３で支持されている。
そして、ランナーブレード１ａはランナーの両側
端においてそれぞれランナー端板１ｃで支持した
構造のものが使用されておつた。

Ｄ 考案が解決しようとする問題点 ところが、ランナーに、上述したランナー端板
を使用してランナーブレードを支持する構造のも
のを使用すると、第５図に示すようにガイドベー
ンによつて、ランナー１内に導入された流水は、
第６，７図に示すようにケーシング２とランナー
すき間g₁からもれ水を生じ、ランナー端板および
ケーシング側壁間間隙に流れ出て、ランナーの回
転を阻害しブレーキ効果をもたらし、上述したも
れ水による出力低下と相俟つて、水車効率を低下
させる傾向があつた。

この考案は、ランナー端板を有すランナーによ
る上述の欠点をなくするためになされたものであ
つて、ガイドベーンによつてランナー内に導入さ
れ、ランナーとケーシング間すき間からのもれ水
による出力低下およびランナー端板とケーシング
側壁間間隙への流水によるランナー回転にもたら
すブレーキ効果を生じないランナー構造を有する
貫流水車を提供しようとするものである。

Ｅ 問題点を解決するための手段および作用 上述の目的を達成するためこの考案は貫流水車
のランナーをランナーの回転軸を中心として外周
に向けて多数の仕切板を突設し、多数のランナー
ブレードを支持した構造のものにしたことを特徴
とする。

このように、ランナーのランナー端板を廃止す
ると共に、多数のランナーブレードを、ランナー
の回転軸からランナー外周に突設した多数の仕切
板で支持した構造にしているため、ケーシングと
ランナーブレード間間隙からもれ水を生じたり、
さらにもれ水がランナー端板とケーシング側壁に
流れ、ブレーキ効果を生じさせることもない。

Ｆ 実施例 以下図面を用いて、この考案の代表的な実施例
について説明する。

第１図〜第３図は本考案の貫流水車に使用する
ランナーの改良構造を示す図であり、第１図はケ
ーシング内収納の本考案にかかるランナーの構造
を示す一部断面背面図、第２図は本考案のランナ
ー端部とケーシングの関係を示す要部断面図、第
３図は本考案のランナー端部とケーシングの関係
を示す要部断面図である。

実施例に示すランナーは、中央部に多数の間隙
部ｇを有するランナー仕切円板１ｂを３枚、各仕
切円板１ｂの中心部をランナーの回転軸３に接合
し、さらに各仕切円板１ｂの外周縁にランナーブ
レード１ａを多数、所定の位置においてかつ定め
られた角度で等間に取付けたもので構成される。

そしてランナーの回転軸３は、ケーシング側面
の軸受枠１３取付フランジ１４ａに設けた回転軸
挿入孔１５にグランドパツキン１６およびグラン
ドパツキン押え１７を介してランナー内流水から
水密にシールし、さらにランナーの回転軸３の先
端を軸受１８を介して軸受枠１３に回転自在に取
り付けられている。

第３図は、本考案の貫流水車に使用する他の実
施例のランナー構造の要部断面図である。第３図
のランナーは、第１図、第２図に図示のランナー
と異なり、ケーシング２の側壁２ａを回転軸３を
挿入する近傍まで伸延したものに取り付けるとと
もに、仕切板１ｂに間隙ｇを有しないものを使用
した実施例である。

上述したランナーにおいては、ガイドベーンに
よつてランナー内に流水が誘導されると、ランナ
ーブレード１ａは水の力を受けて回転力を生じ、
回転軸３を回転させる。この場合において、従来
構造（ランナー端板１ｃを有する）のランナーに
おいては、入口管４から流れ込む水は、ガイドベ
ーン５で流れの方向および流量が定められランナ
ーに流れ込むが、ケーシング２とランナー１間の
すき間g₁からもれ水を生じ（第６図に示す）、こ
れが、ランナー端板１ｃとケーシング側壁２ａ
（又は軸受枠取付フランジ板）との間に流れ出し
てランナーの回転を阻害し、ブレーキ効果を生
じ、前記もれ水による出力低下と相俟つて水車出
力の低下原因となる。

本考案にかかるランナー端板を有しない構造の
ランナーを使用するときはすき間g₁を通過したも
れ水は、もれ流となつて出力低下を招くが、ラン
ナーブレードが多数設けてあるから、次のランナ
ーブレードにおいて出力を生じることになる結
果、第４図に示すように従来構造のランナーのよ
うに端板のすき間に入り、ブレーキ効果を生じる
ことはなく、隙間からのもれ水による出力低下が
極めて少い。

Ｇ 考案の効果 以上の説明から明らかなように、本考案の貫流
水車は、 ランナー端板を廃止することにより、部品点
数を少くすることができ（従来構造のランナー
では、ランナー両側の端板２枚を要するが、本
考案ではそのうちの１枚を減らし、仕切板を１
枚追加することとなる。）、したがつて、その溶
接加工作業の工数を減らすことができる。

また、上記ランナー端板は、上述したもれ水
を少くするため厚板で構成するので、この厚板
を廃止できることの効果は大きい。

水車効率が向上し、貫流水車の有効効率を増
大させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の貫流水車に使用するランナー
の一実施例の概略構成を示す一部断面背面図、第
２図は第１図のランナー構造を示す要部断面図、
第３図は本考案の貫流水車に使用するランナーの
他の実施例の概略構成を示す要部断面図、第４図
は本考案のランナーを使用したときの貫流水車内
流水路を示す要部横断面図、第５図は従来の貫流
水車の構造を示す一部断面斜視図、第６図は従来
の貫流水車におけるランナーの構造を示す要部断
面図、第７図は従来のランナーを使用した貫流水
車内流水路を示す要部横断面図である。 図面中、１……ランナー、１ａ……ブレード、
１ｂ……仕切板（ランナー）、１ｃ……ランナー
端板、２……ケーシング、２ａ……ケーシング側
壁、３……ランナー回転軸、５……ガイドベーン
（一枚ガイドベーン）、５ａ，５ｂ……分割ガイド
ベーンである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ランナーの回転軸を中心として外周に向けて多
   数の仕切板を突設し、ランナーブレードの両側に
   端板を設けることなく、前記仕切板により複数の
   ランナーブレードを前記仕切板の一定位置に一定
   角度に支持した構造のランナーを設けたことを特
   徴とする貫流水車。