JPH0341176Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は電動駆動される各種の低速運動機
器、例えば電動バルブの制御等に使用する減速装
置に関する。

〔従来の技術及び考案が解決しようとする問題点〕

従来、高減速比を得る歯車を用いた減速装置と
しては、平歯車等を用いて段階的に減速する装
置、ウオームとウオーム歯車を用いた装置等があ
る。

これらのうち前者は、一段ごとの効率はよい
が、高減速比を得るためには多段に構成しなけれ
ばならないので、総合効率の低下は免れない。ま
た後者は、滑りによる動力の摩擦損失が大きくて
高い機械効率が得られない。更に両者共に比較的
大型化する傾向にあつて、小型で高効率高減速比
の減速が要求される電動バルブ制御等には適さな
いばかりか、電動操作から手動操作への切換えに
クラツチを必要とするなどの問題点があつた。

この考案は、前記要求を充足すると共に、電動
操作と手動操作との切換えがクラツチを要するこ
となく、簡単且つ迅速確実に為し得るところの減
速装置を提供しようとしてななされたものである 〔問題点を解決するための手段〕 この考案は、上記課題を達成するために、常時
において非回転の軸に固定された一方の歯車と、
前記軸と同軸線上に配設され回転自在に支承され
た出力軸に一体回転するように設けられ、前記一
方の歯車と歯数の異なる他方の歯車と、これら歯
車のそれぞれと噛合して自転するとともにそれら
歯車に対して公転する遊星歯車と、この遊星歯車
が軸着された遊星軸を支持して前記非回転の軸を
回転中心として回転自在に支承された入力用の軸
支体とを備えて減速装置を構成したことを要旨と
する。

〔作用〕

この考案に係る減速装置は以上のように構成さ
れているので、駆動源から回転動力が伝達される
と、軸支体が回転し、この時、軸支体の遊星軸に
軸着された遊星歯車が非回転の軸に固定された側
の歯車の回りを公転しつつその歯車と噛合して自
転する。そしてまた遊星歯車は、回転自在となつ
た側の歯車の周囲を公転し、歯数差による回転
を、前記回転自在の歯車に伝えることとなり、こ
れが出力して取り出される。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながら、この考案の実施例
について説明する。

図面はこの考案を実施した減速装置の構成図で
あつて、非回転の軸に固定した歯車、即ち静止歯
車と、回転自在の歯車、即ち太陽歯車とを外歯の
歯車とした場合である。

図において、１は軸一端に出力回転伝達用の溝
２を形成した中空の出力軸であつて、ベースフレ
ーム３に回転自在に軸支している。出力軸１には
太陽歯車４を一体回転すべく軸着すると共に、後
述する遊星軸５，６の一端を回転自在に支持する
軸支体７，８のうち軸支体７を回転自在に支承さ
せており、軸他端には同一軸線に配設される固定
軸９の一端を支承する軸受部１０を具備してい
る。

９の固定軸は、一端を前記出力軸１の軸受部１
０に支承し、他端部は順次中径軸、小径軸を段設
して、その小径軸部をカバーフレーム１１に貫通
支持させる構成とすると共に、前記小径軸を螺軸
としてロツクレバー１２をカバーフレーム１１の
外側へ当接するよう螺着し、軸端に手動ハンドル
１３を固定具備させている。

このロツクレバー１２は、中径軸と小径軸とに
よる異径段部をカバーフレーム１１の内面に密着
固定することにより、固定軸９を常時は非回転に
維持するものであつて、これの緩締で固定軸９の
固定、回転状態を確保するものである。

固定軸９には、前記太陽歯車４の歯数に対し減
速比及び回転方向に応じた歯数差のある静止歯車
１４を太陽歯車４に隣接して軸着し、また、この
固定軸９の中径軸部には、入力用の歯車体１５が
固定一体化された軸支体８を回転自在に支承させ
ている。

軸支体７，８には、固定軸９と平行であり、且
つこの軸を狭んで互いに反対位置にある遊星軸
５，６の両端が回転自在に支持されており、１つ
の遊星軸５には、太陽歯車４に噛合する遊星歯車
１６とベルトプーリ１８が、他の遊星軸６には、
静止歯車１４に噛合する遊星歯車１７とベルトプ
ーリ１９がそれぞれ軸着され、相互のベルトプー
リ１８，１９にタイミングベルト２０が平行掛け
されている。遊星軸の並設は回転バランスを得る
ものであり、タイミングベルトは安全性の確保を
も含めて採用したものである。従つて、他の適当
な手段によつて回転バランス及び安全性が得られ
れば、１本の遊星軸に２個の遊星歯車を固着して
各遊星歯車を静止歯車１４及び太陽歯車４にそれ
ぞれ噛合させ、或いは、１本の遊星軸に軸方向長
さの長い１個の遊星歯車を固着してその遊星歯車
を静止歯車１４及び太陽歯車４に同時に噛合させ
るような構成としてもよい。

尚、静止歯車１４及び太陽歯車４には、より高
い減速比を得るために歯数の多い内歯歯車が使用
される場合もあり。この場合の手動操作構成は、
静止歯車の外周面をウオーム歯車としてウオーム
と噛合させて自己保持するようにされる。

次に以上説明した減速装置の動作を説明する。
まず歯車体１５に駆動源からの回転動力が伝達さ
れると、これと一体をなす軸支体７，８が回転す
る。この時、軸支体７．８の遊星軸６に軸着され
た遊星歯車１７は静止歯車１４の回りを公転しつ
つ静止歯車１４との噛合により自転して、同軸の
ベルトプーリ１９を回転させる。このベルトプー
リ１９はタイミングベルト２０によつて反対側の
ベルトプーリ１８に伝達されて遊星軸５に伝えら
れ、この軸に固定された遊星歯車１６を自転させ
る。この遊星歯車１６はは回転自在となつている
太陽歯車４と噛合しているので、その自転によつ
て太陽歯車４の周囲を公転し、歯数差による回転
をこの太陽歯車４に伝えることとなり、これが出
力軸１から取り出されるのである。因みに、ベル
トプーリを同一サイズ、遊星歯車の歯数も同一と
し、静止歯車の歯数をＮ、太陽歯車の歯数をＮ＋
αとすると、入力回転に対する出力回転の減速比
Ｓは、 Ｓ＝（Ｎ＋α）−Ｎ／Ｎで表わされる。

一方、手動操作は、歯車体１５が固定され、ロ
ツクレバー１２を緩めて固定軸９を回転可能状態
にした後、手動ハンドル１３を回転させることに
より行なう。

〔効果〕 この考案は以上のように構成され、かつ作用す
るので、この考案に係る減速装置によれば、同一
軸線上において、一方が常時は非回転の軸に固定
され他方は出力用として回転自在となつた歯数の
異なる２個の歯車に、相互に連動される遊星歯車
をそれぞれ噛合させ、この遊星歯車に非回転の軸
の回りに回転する入力回転を付与するように構成
したから、全体として小型、軽量化が達成される
と共に、高効率、高減速比の減速を可能とする効
果があり、電動操作と手動操作の相互切替えもク
ラツチを使用することなく単なるロツクレバーの
緩締により簡単、確実且つ迅速な操作により実施
することが可能となるなど、電動バルブ制御等に
最適の減速装置を提供し得た。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の１実施例を示す減速装置の断
面構成図である。 １……出力軸、４……太陽歯車、５，６……遊
星軸、７，８……軸支体、９……固定軸、１２…
…ロツクレバー、１３……手動ハンドル、１４…
…静止歯車、１５……歯車体、１６，１７……遊
星歯車。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 常時において非回転の軸に固定された一方の歯
   車と、前記軸と同軸線上に配設され回転自在に支
   承された出力軸に一体回転するように設けられ、
   前記一方の歯車と歯数の異なる他方の歯車と、こ
   れら歯車のそれぞれと噛合して自転するとともに
   それら歯車に対して公転する遊星歯車と、この遊
   星歯車が軸着された遊星軸を支持して前記非回転
   の軸を回転中心として回転自在に支承された入力
   用の軸支体とを備えてなることを特徴とする減速
   装置。