JPH0334538B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は、角型鋼管柱間と溝型鋼梁とからなる
構造躯体に壁パネルを取付ける構造に関する。

（従来技術） 従来から角型鋼管柱や溝型鋼梁からなる構造躯
体、所謂鉄骨ラーメン構造にカーテンウオール等
を取付ける部材としてフアスナーが用いられてい
る。

すなわち、構造躯体に直接取付けられる一次フ
アスナーとカーテンウオール等の本体に取付けら
れる二次フアスナーの両フアスナーを介してカー
テンウオールを固定するものである。

これらフアスナーによる取付構造によれば、下
階と上階の構造部位、所謂胴差部では下階壁パネ
ル上端の取付けに用いられるフアスナーと上階壁
パネルの下端に用いられるフアスナーがそれぞれ
重複し、単に取付施工が複雑になるという丈でな
く、地震時の水平力や熱膨張、風圧等カーテンウ
オールに直接かかる応力の吸収機能が複雑かつ不
十分となり、又現場施工に於いて取付け誤差をこ
れ等フアスナーにより調整することは極めて難し
くなるという問題があつた。

（発明の目的） そこで本発明の壁パネルの取付構造は、所謂胴
差部に当たる溝型鋼梁のフランジ上面に固定され
た一次フアスナーの支持部と係止部とに下階壁パ
ネルの上端に固定された二次フアスナーの合せ部
と上階壁パネルの下端に固定された二次フアスナ
ーの係合部を当接し、かつ上階壁パネル下端に固
定された二次フアスナーのレベル支持部を一次フ
アスナーのレベル調整ボルトに載置して上下階の
壁パネルを単純且つ容易に取付け、現場施工での
取付誤差をも三次元的に調整出来る壁パネルの取
付構造を提供するもである。

（実施例） 以下、図面に基づき本発明の壁パネルの取付構
造を詳細に説明する。

第１図は、角型鋼管柱１，１…を立設し、その
間に溝型鋼梁、例えばＨ型鋼梁２，２…を架設し
て所定空間の構造躯体を形成し、その構造躯体の
外壁面に壁パネル３，３…を吊設しながら取付け
る状態を示す一部省略斜視図である。

この構造躯体は外力を角型鋼管柱１，１…と溝
型鋼梁２，２…が負担するものである。すなわち
構造躯体自体は鉄骨ラーメン構造となり、後述す
るように壁パネルに外力を直接伝達させない構造
となつている。

構造躯体に取付けるには、クレーン等により吊
設して各階毎にフアスナーを介して止着する。

本発明の壁パネルの取付構造は壁パネル３，３
…が外力を受けない様に、構造躯体の所謂胴差部
においてはＨ型鋼梁２のフランジ上面に固定され
た一次フアスナーに上下階壁パネルに固定された
各二次フアスナーを取付けるもので、下階壁パネ
ルの上端は一次フアスナーと二次フアスナーによ
り摺動可能に支持され、上階壁パネルの下端は一
次フアスナーに載置されて水準位置を確定し、当
接した状態にて取付ける構造となつている。

第２図は、構造躯体胴差部における下階壁パネ
ル３１と上階壁パネル３２の取付状態を構造躯体
内方向からみた分解斜視図である。

Ｈ型鋼梁２に取付けられた一次フアスナー４
と、下階壁パネル３１の上端及び上階壁パネル３
２の下端に固定された二次フアスナー５，６はそ
れぞれ第３図の分解斜視図で示す様に形成されて
いる。

Ｈ型鋼梁２のフランジ上面２１に固定される一
次フアスナー４は、固定部４１を基体とし、この
固定部４１の前方一側辺を垂直に立設して支持部
４２と係止部４３を形成している。

支持部４２の略中央にはボルト孔４４が穿設さ
れ、該支持部４２と係止部４３間にはレベル調整
ボルト４５が螺動自在に配設され、又係止部４３
にはその上端から下方へ縦長溝４６が形成されて
いる。

この一次フアスナー４は、フランジ上面２１に
打たれた出入墨の所要位置にボルト孔を穿孔し、
このボルト孔に挿入したボルトを介して固定部４
１を固定するものであり、その結果支持部４２と
係合部４３の外表面、所謂当接面はＨ型鋼梁から
所定の位置となるよう配設される。

一方、下階壁パネル３１の上端に取付けられた
二次フアスナー５は、帯板状の取付基部５１とこ
の取付基部５１の上方一側辺から前方に傾斜させ
て取付基部５１とほぼ平行となる様に延出した合
せ部５２とからなる。合せ部５２の略中央にはボ
ルト長孔５３が横長状に穿孔されている。

この二次フアスナー５は、下階壁パネル３１の
上端に設けられた座掘部３２内に配設され、埋込
まれた長ナツト３３，３３を介してボルトにより
下階壁パネル３１に固定される。又上階壁パネル
３２の下端に固定された二次フアスナー６は、断
面Ｌ字状の取付基部６１にレベル支持部６２と係
合部６３を形成したものである。

レベル支持部６２は取付基部６１の外表面に突
設された腕状のもので、一次フアスナー４のレベ
ル調整ボルト４５上に載置される。一方係合部６
３はその表面を一次フアスナー４の係合部４３の
外表面に当接し、係合部６３に設けられた固定ボ
ルト６４を縦長溝４６の上方から挿入して止着す
る構造となつている。

すなわち第４図の要部断面図で示す様に、下階
壁パネル３１は二次フアスナー５の合せ部５２が
一次フアスナー４の支持部４２に当接した状態で
支持され、又上階壁パネル３２はレベル支持部６
２がレベル調整ボルト４５上に載置され、且つ係
合部６３が係止部４３の外表面に当接した状態で
縦長溝４６に固定ボルト６４を挿入して固着され
ている。またこれ等係合部間には必要に応じてフ
ツソ樹脂シート等の滑材８を介在させておく。

次に第５図の斜視図により下階壁パネル３１及
び上階壁パネル３２の取付施工について説明す
る。

先ず、Ｈ型鋼梁２のフランジ上面２１に出入墨
を打ち、この出入墨及び割付墨に従つて一次フア
スナー４を固定する。この一次フアスナー４に対
し、下階壁パネル３１ａをその上端の二次フアス
ナー５の合せ部５２を一次フアスナー４の支持部
４２に当接し、取付ボルト７により支持する。同
様にした隣接する下階壁パネル３１ｂをそれぞれ
支持する。次いで一次フアスナー４のレベル調整
ボルト４５を螺動させ調整ボルト４５の頭部上面
により天端位置を定める。この天端位置が定まる
と上階壁パネル３２ａを吊り下し、その下端の二
次フアスナー６の係合部６３を係止部４３の外面
に当接させながら固定ボルト６４を縦長溝４６に
挿入しつつレベル支持部６２をレベル調整ボルト
４５上に載置する。そして固定ボルト６４を締め
付ける。これにより上階壁パネル３２ａは下階壁
パネル３１ａに対して上階の所定位置に取付けら
れる。同様に隣接する上階壁パネル３２ｂも下階
壁パネル３１ｂに対して所定位置に取付けられ
る。以下同様にしてすべての壁パネルが構造躯体
の所定位置に配設されることになる。

第６図は、上下階それぞれの壁パネルの左右方
向中間部における取付構造を示すものである。壁
パネルの両端に於いては上述の如く、各一次フア
スナー４のレベル調整ボルト４５により上階壁パ
ネル３２の水準位置が定められる為、中間部では
水準位置を定める必要がない。よつて中間部に固
定される一次フアスナー４は、支持部４２と係止
部４３をそれぞれ分割して形成し、支持部４２で
は下階壁パネル３１の上端を二次フアスナー５を
介して支持するものであれば良く、又係止部４３
では上階壁パネル３２の下端を固定ボルト６４に
より止着するものであれば足りる。その為、通常
上階壁パネル３２の下端を両端の各フアスナーに
より固定した状態において中間部における一次フ
アスナーの支持部４４で下階壁パネル３１の中間
部上端を支持し、中間部における一次フアスナー
の係止部４３を矢視線の如く配設して縦長溝４６
に固定ボルト６４を嵌め入れて固定する。

そして最後にはフランジ上面２１にこの係止部
４３及び支持部４４を溶着して固定するものであ
る。

第７図は壁パネル３１，３２が角型鋼管柱１と
当接する場合に用いられる一次フアスナー４の構
造を示すものである。一次フアスナー４は直接角
型鋼管柱１の外表面に溶接固定される為、その固
定部４１を所要量切断したものである。

この場合、壁パネル３１，３２はＨ型鋼梁２に
よつて支持されるのでなく、角型鋼管柱１によつ
て支持される。

尚、上記取付構造において必要に応じてはフラ
ンジ上面２１と一次フアスナー４の固定部４１を
溶着し、又取付ボルト７や固定ボルト６４の弛緩
を防止する為、それぞれボルトとナツト間を点付
溶接することもある。更に又、上記実施例では二
次フアスナーの取付けを上階壁パネルの下端と下
階壁パネルの上端に分けて説明したが、基礎との
接合部を除いて一枚の壁パネルの上端は前記下階
壁パネルの上端と、下端は上階壁パネルの下端と
同一のフアスナーを使用するものであり、説明の
便宜上から上階壁パネルの下端、下階壁パネルの
上端とそれぞれ区分したものである。

（効果） 以上説明した様に本発明の壁パネルの取付構造
は、胴差部のＨ型鋼梁に固定された一次フアスナ
ーにより下階壁パネルの上端を支持し、上階壁パ
ネルの水準位置を確定して取付けるものなので、
極めて効率良く上下階の壁パネルを取付けられ、
また壁パネルの水準位置も正確かつ容易に確保さ
れる。

又、構造躯体が変位しても壁パネルはその上端
の二次フアスナー合せ部のボルト長孔により無理
なくその変位を追従できることになり、壁パネル
の取付構造としても極めて優れた外力の伝達を行
なうものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、壁パネルを構造躯体に取付ける一部
省略図、第２図は、構造躯体胴差部における取付
構造を構造躯体内方向からみた一部省略分解斜視
図、第３図は、一次フアスナーと各二次フアスナ
ーを説明する分解斜視図、第４図は、上・下階壁
パネルを取付けた胴差部の一部要部断面図、第５
図は、上・下階壁パネルの取付施工を説明する斜
視図、第６図は、壁パネルの中間部に於ける取付
構造を説明する図、第７図は、一次フアスナーを
角型鋼管柱に溶着した状態を説明する一部省略図
である。 １……角型鋼管柱、２……Ｈ型鋼梁、３……壁
パネル、３１……下階壁パネル、３２……上階壁
パネル、４……一次フアスナー、４１……固定
部、４２……支持部、４３……支持部、４５……
レベル調整ボルト、５……二次フアスナー、５１
……取付基部、５２……合せ部、５３……ボルト
長孔、６……二次フアスナー、６２……レベル支
持部、６３……係合部、６４……固定ボルト、７
……取付ボルト、８……滑材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 角型鋼管柱間に溝型鋼梁を架設して形成した
   構造躯体に壁パネルを取付ける構造において、下
   階壁パネル上端を支持する支持部と上階壁パネル
   下端を係止する係止部及び水準位置を定めるレベ
   ル調整ボルトとからなる一次フアスナーを溝型鋼
   梁に固定し、下階壁パネルの上端に固定された二
   次フアスナーの合せ部を該支持部で支持するとと
   もに、上階壁パネルの下端に固定された二次フア
   スナーのレベル支持部を一次フアスナーのレベル
   調整ボルトに載置し、二次フアスナーの係合部を
   一次フアスナーの係止部にに当接係止させて止着
   することを特徴とする壁パネルの取付構造。 ２ 一次フアスナーの支持部と二次フアスナーの
   合せ部及び一次フアスナーの係止部と二次フアス
   ナーの係合部間には滑材を介在させた特許請求の
   範囲第１項記載の壁パネルの取付構造。