JPH0329532Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はエンジンの排気ガスを浄化する装置に
関し、特に、デイーゼルエンジンなどの排気ガス
に含まれるカーボン粒子などの可燃性粒子（パテ
イキユレート）を捕集して燃焼除去する装置に関
するものである。

（従来技術） 従来から排気ガス中のカーボン粒子などの可燃
性粒子を除去する装置は種々提案されている。例
えば、パテイキユレートフイルタを排気通路中に
設けて捕集したカーボン粒子などをバーナー加熱
により焼却除去するものや電気的加熱により焼却
除去するものが知られている。しかし、バーナー
加熱による場合は、バーナーの失火のときに異常
燃焼が起きパテイキユレートフイルタが溶融する
おそれがあり、複雑なコントロールが必要であ
り、装置のコストが高くなるという問題があり、
電気的加熱による場合は、電熱線の近傍にしか燃
焼が起こらず、消費電力が大きく、電熱線の耐久
性に乏しいという問題がある。

また、特開昭56−98519号公報に記載されるよ
うに、エンジンの排気系に排気ガス中の可燃性粒
子などを捕集して酸化反応させる触媒フイルタを
配設するとともに、該触媒フイルタの上流に補助
燃料を噴射する噴射装置を設け、触媒フイルタで
の触媒による酸化反応作用と補助燃料による燃焼
促進作用とによつて排気ガス温度を可燃性粒子の
着火温度以上まで加熱することにより、触媒フイ
ルタに捕集された可燃性粒子を燃焼除去し、フイ
ルタを再生するようにしたものが知られている。

しかし、この従来のものでは、エンジンが正常
運転域にあるときには、その排気ガス温度が比較
的低いため（例えばデイーゼルエンジンにあつて
は200〜300℃）、補助燃料の燃焼促進作用にもか
かわらず、排気ガスが可燃性粒子の着火温度にま
で充分に加熱されず、その結果、可燃性粒子の燃
焼不良により触媒フイルタの再生が確実に行なわ
れなくなり、触媒フイルタの目詰まりによりエン
ジンの排圧が上昇してその正常な運転が妨げられ
るおそれがあつた。

そこで、本出願人は、先に、エンジンの排気系
に触媒フイルタに代えて、可燃性粒子の捕集機能
のみを持つ通常のパテイキユレートフイルタを設
け、該パテイキユレートフイルタを、比較的目が
荒い上流側フイルタと比較的目が細かい下流側フ
イルタとに分割して構成し、該上流側フイルタ上
流の排気通路に可燃性粒子の燃焼を促進させる液
体（触媒溶液）として、例えば、触媒成分と炭化
水素成分とを混合エマルジヨン化した溶液や触媒
成分（例えばCuC₂）の水溶液を噴射供給する
ようにすることにより、パテイキユレートフイル
タに捕集された可燃性粒子の表面に上記各成分を
均一に被着させて可燃性粒子の着火温度を大幅に
低下させるようにし、排気ガス温度が低いエンジ
ンの定常運転時でも可燃性粒子を確実に燃焼除去
させるようにした技術を提案している。

ところが、そのようなパテイキユレートフイル
タが複数のフイルタからなる構造では、下流側フ
イルタはまだ可燃性粒子を捕集できるのに上流側
フイルタに設定量の可燃性粒子が捕集されると、
触媒溶液を噴射して燃焼除去するようにしている
ので、下流側フイルタは可燃性粒子が少なく十分
に燃焼が行われず、再生効率が低いという問題が
ある。

（考案の目的） 本考案は、パテイキユレートフイルタを構成す
る各フイルタに適量の可燃性粒子を捕集させ、再
生効率を高めたエンジンの排気ガス浄化装置を提
供することを目的とする。

（考案の構成） 本考案は、排気系に可燃性粒子などを捕集する
パテイキユレートフイルタを備えたエンジンの排
気ガス浄化装置に係るものである。

本考案は、パテイキユレートフイルタを上流側
フイルタと下流側フイルタとに分割して構成し、
前記パテイキユレートフイルタの上流に前記可燃
性粒子の燃焼を促進させる触媒溶液を噴射供給す
る溶液噴射手段を設けている。さらに、上流側フ
イルタおよび下流側フイルタに設定量の可燃性粒
子が捕集されたことを検出する第１および第２捕
集検出手段と、該第１捕集検出手段の出力を受け
排気ガスを上流側フイルタ上流より下流側フイル
タ上流へ導く一方、第２捕集検出手段の出力を受
け排気ガスを下流側フイルタ下流へ導く排気バイ
パス手段とを備えている。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に沿つて説明す
る。

第１図はエンジンの排気ガス浄化装置の全体構
成を示し、１はデイーゼルエンジンで、燃焼室２
に連通する渦流室３を備える。４は燃料噴射ノズ
ルで、渦流室３に燃料を噴射供給するようになつ
ている。

６は排気通路で、途中に排気ガス中のカーボン
粒子などの可燃性粒子を捕集するパテイキユレー
トフイルタ７が配設されている。パテイキユレー
トフイルタ７は、比較的目の荒い上流側フイルタ
８と、比較的目の細かい下流側フイルタ９とを一
定間隔を存して直列に配してなり、排気ガスが両
フイルタ８，９を順に通る際に排気ガス中の可燃
性粒子が捕集されるようになつている。なお、上
流側フイルタ８は下流側フイルタ９より薄く例え
ば1/8程度の厚さとして可燃性粒子の捕集可能量
を少なくし、フイルタ再生時の温度の異常上昇を
抑制し、クラツクの発生を防止している。

上流側フイルタ８は海綿状タイプのフイルタ
で、セラミツク繊維を綿状に集めてなるセラミツ
クフアイバタイプフイルタもしくはセラミツクを
スポンジ状に形成してなるセラミツクフオームタ
イプフイルタからなる一方、下流側フイルタ９は
多孔質材料よりなるハニカム形状のウオールフロ
ータイプフイルタからなる。

上記上流側フイルタ８の上流側端面８ａ上もし
くはこの近傍で可燃性粒子の多くは捕集され、こ
の部分の捕集可燃性粒子の濃度が濃くなり、しか
も上流側にある後述の噴射ノズル１１から噴射供
給される触媒溶液の濃度も上記端面８ａ近傍で濃
くなるため着火温度が低くなるので、着火温度の
点からは海綿状タイプフイルタのみで良いのであ
るが、これのみでは捕集率が低下するため、多孔
質材料よりなるハニカム体における多数のハニカ
ム孔孔の両端開口部の一方を交互に閉塞して排気
ガスをハニカム孔の隔壁を通過させるように構成
し、該隔壁を通過する際に排気ガス中の可燃性粒
子を通過してこれを捕集するウオールフロータイ
プのフイルタを下流側に配している。

上記下流側フイルタ９は着火温度が高くなりや
すいウオールフロータイプであるが、上流側フイ
ルタ８において比較的低温で着火し燃焼した後の
高温排気が下流側に導かれるので、下流側フイル
タ９に捕集された可燃性粒子を確実に燃焼除去す
ることができる。

上記排気通路６には上流側フイルタ８上流に上
記可燃性粒子の燃焼を促進させる触媒溶液を噴射
供給する溶液噴射手段１０が設けられている。溶
液噴射手段１０は、パテイキユレートフイルタ７
上流の排気通路６に噴射口１１ａを上流側フイル
タ８の上流側端面８ａの中心に向けて配設され、
上流側フイルタ８に触媒溶液を噴射する噴射ノズ
ル１１と、触媒溶液を貯える触媒タンク１２と、
該触媒タンク１２と噴射ノズル１１とを接続する
接続管１３と、該接続管１３の途中に介設された
電動式の触媒溶液供給ポンプ１４および電磁式の
開閉弁１５とを備えてなる。そして、触媒溶液供
給ポンプ１４の作動および開閉弁１５の開作動に
より、上記触媒タンク１２内の触媒溶液を所定量
（例えば10〜100c.c.）だけ噴射ノズル１１の噴射口
から上流側フイルタ８の上流側端面８ａに向けて
噴射させてその表面に付着させるようになつてい
る。

上記触媒溶液としては、10グラムの塩化銅
（CuC₂）を100c.c.の水に溶かした溶液を用いて
いるが、これ以外にも、例えば0.05〜0.5重量％
の１もしくは２以上の白金属（Pt，Pd，Rh，Ir）
の水溶性化合物、あるいは１〜10重量％の１もし
くは２以上の卑金属（Ｖ，Cu，Cr，Fe，Ni，
Mo，Ca，Ba）の水溶性塩を、10〜50重量％の
灯油，軽油，重油，アルコール，またはケトン
（含酸素炭化水素）等の炭化水素と、該炭化水素
を水に溶かすための１〜10重量％の界面活性剤
と、水とを混合してエマルジヨン化したものを用
いてもよい。

上記噴射ノズル１１上流側の排気通路６とパテ
イキユレートフイルタ７下流側の排気通路１６と
は排気バイパス通路１７によつて接続されてい
る。また、上記バイパス通路１７の上流端部、す
なわち噴射ノズル１１上流側の排気通路６との接
続端部には、排気バイパス通路１７を開閉する第
１バイパス弁１８が配設され、また中間部は下流
側フイルタ９の上流側に分岐路１７ａを介して接
続され、該分岐路１７ａには第２バイパス弁１９
が配設されている。第１および第２バイパス弁１
８，１９は第１および第２ダイヤフラム装置２
０，２１に連係され、しかして第１バイパス弁１
８は排気バイパス通路１７を閉じるA₁位置と排
気バイパス通路１７を開くA₂位置とを有する一
方、第２バイパス弁１９は分岐路１７ａを閉じる
B₁位置と分岐路１７ａを開くB₂位置とを有して
いる。各ダイヤフラム装置２０，２１の負圧室２
０ａ，２１ａはスプリング２０ｂ，２１ｂが設け
られるとともに、負圧導入通路２２を介してバキ
ユームポンプ２３に連通されている。負圧導入通
路２２の途中には第１ダイヤフラム装置２０の負
圧室２０ａとバキユームポンプ２３または大気開
放部２５ａとを択一的に連係する第１三方ソレノ
イドバルブ２５と、第２ダイヤフラム装置２１の
負圧室２１ｂとバキユームポンプ２３または大気
開放部２７ａとを択一的に連係する第２三方ソレ
ノイドバルブ２７とが配設されている。三方ソレ
ノイドバルブ２４，２５の切換制御でダイヤフラ
ム装置２０，２１を作動させ、バイパス弁１８，
１９により排気バイパス通路１７を介してエンジ
ン１からの排気ガスを、噴射ノズル１１およびパ
テイキユレートフイルタ７をバイパスして通過さ
せ、下流側フイルタ９上流またはそれの下流に供
給することができる。このようにして、排気バイ
パス手段が構成されている。

２８は開閉弁１５、触媒溶液供給ポンプ１４、
および三方ソレノイドバルブ２５，２７を作動制
御するための制御回路、２９，３０は上流側フイ
ルタ８上流および下流側フイルタ９上流の排気通
路６内の排気ガス圧つまりエンジン１の排圧を検
出する第１および第２排圧センサ（捕集検出手
段）で、その出力は上記制御回路２８に入力され
ている。

続いて、上記制御回路２８による処理の流れを
第２図に沿つて説明する。

先ず、第１排出センサ２９にて検出されるパテ
イキユレートフイルタ７（上流側フイルタ８）の
上流側排気通路６の上流側排圧P₁が、設定圧P₀₁
を越えるか否かが判定され（ステツプS₁）、YES
の場合は上流側フイルタ８にて適量の可燃性粒子
が捕集されたと判断されるので、三方ソレノイド
バルブ２５，２７に信号を送つて、ダイヤフラム
装置２０，２１により第１および第２バイパス弁
１８，１９をA₂，B₂位置にする（ステツプS₂）。
これによつて第１バイパス弁１８により排気バイ
パス通路１７の上流端を開き、排気通路６を閉じ
て上流側フイルタ８側へ流れる排気ガス量を制限
する一方、第２バイパス弁１９により分岐路１７
ａを開き、排気バイパス通路１７の途中を閉じて
下流側フイルタ９上流へ排気ガスを供給する。一
方、NOの場合はステツプS₁の判定を繰返す。

なお、通常運転時では排気ガス温度が低いた
め、カーボン粒子等の可燃性粒子の粒子径が比較
的大きくなるのに加えて、排気ガス中の可燃性粒
子は粒子径が大きいものが小さいものよりも多い
ので、比較的目の荒い上流側フイルタ８の方が早
く適量の可燃性粒子を捕集することになる。

次いで、第２排出センサ３０にて検出される下
流側フイルタ９上流の圧力である下流側排圧P₂
が設定圧P₀₂を越えるか否かが判定され（ステツ
プS₃）、YESの場合は下流側フイルタ９にも適量
の可燃性粒子が捕集されたと判断されるので、第
２三方ソレノイドバルブ２７に信号を送つて第２
ダイヤフラム装置２１により第２バイパス１９を
B₁位置にする（ステツプS₄）。これによつて、排
気バイパス通路１７の途中を開き、第２バイパス
弁１９にて分岐路１７ａを閉じ、排気ガスを下流
側フイルタ９下流の排気通路１６へバイパスす
る。一方、NOの場合はステツプS₂へ戻り、第１
および第２バイパス弁１８，１９をA₂，B₂位置
に保つ。

それから、触媒溶液供給ポンプ１４を作動させ
（ステツプS₅）、開閉弁１５を開き（ステツプS₆）、
上流側フイルタ８の上流側端面８ａに向けて噴射
ノズル１１より触媒溶液を噴射する。

一定量の噴射に必要な所定時間t₁経過後（ステ
ツプS₇）、触媒溶液供給ポンプ１４を停止し（ス
テツプS₈）、開閉弁１５を閉じる（ステツプS₉）。

それから、パテイキユレートフイルタ７に捕集
された可燃性粒子が燃焼を開始し、その燃焼が終
了する所定時間t₂経過させる（ステツプS₁₀）。

このようにして、海綿状タイプフイルタからな
る比較的目の荒い上流側フイルタ８に対し触媒溶
液を噴射して付着させ、着火温度を低下させるこ
とができ、また、下流側フイルタ９においては上
流側フイルタ８での可燃性粒子の燃焼により高温
になつた排気ガスが流れ込むので、上流側および
下流側フイルタ８，９に捕集された可燃性粒子の
燃焼除去を確実に行なうことができ、パテイキユ
レートフイルタ７の再生効率の向上が図れる。

その後、第１三方ソレノイドバルブ２５に信号
を送つて第１ダイヤフラム装置２０により第１バ
イパス弁１８をA₁位置とし（ステツプS₁₁）、第
１バイパス弁１８にて排気バイパス通路１７を閉
じる。

（考案の効果） 本考案は上記のように構成したから、パテイキ
ユレートフイルタを構成する各フイルタに適量の
可燃性粒子を捕集させ、何れのフイルタにおいて
も可燃性粒子の燃焼を確実に行うことができ、パ
テイキユレートフイルタの再生効率を高めること
ができる。また、それによつてパテイキユレート
フイルタの再生回数を減少させ、触媒溶液の消費
量を少なくすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はエンジ
ンの排気ガス浄化装置の全体構成図、第２図は制
御回路の処理の流れを示す流れ図である。 １……エンジン、３……渦流室、６，１６……
排気通路、７……パテイキユレートフイルタ、８
……上流側フイルタ、８ａ……上流側端面、９…
…下流側フイルタ、１０……溶液噴射手段、１７
……排気バイパス通路、１８，１９……バイパス
弁、２８……制御回路、２９，３０……排圧セン
サ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 排気系に可燃性粒子などを捕集するパテイキユ
   レートフイルタを備えたエンジンの排気ガス浄化
   装置において、前記パテイキユレートフイルタを
   上流側フイルタと下流側フイルタとに分割して構
   成し、前記パテイキユレートフイルタの上流に前
   記可燃性粒子の燃焼を促進させる触媒溶液を噴射
   供給する溶液噴射手段と、上流側フイルタおよび
   下流側フイルタに設定量の可燃性粒子が捕集され
   たことを検出する第１および第２捕集検出手段
   と、該第１捕集検出手段の出力を受け排気ガスを
   上流側フイルタ上流より下流側フイルタ上流へ導
   く一方、第２捕集検出手段の出力を受け排気ガス
   を下流側フイルタ下流へ導く排気バイパス手段と
   を備えていることを特徴とするエンジンの排気ガ
   ス浄化装置。