JPH0325688Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、コンパクト容器に関し、特にボタ
ンの上下方向のプツシユ操作により開放できるよ
うにしたコンパクト容器に係るものである。

《従来の技術》 従来この種のコンパクト容器としては実公昭58
−30486に係るものが公知となつている。

この公知のコンパクト容器ではロツク解除ボタ
ンと作動子とを一体的に形成し、その中間部を支
点形成用のピンにて容器本体に取り付けている。
そしてロツク解除ボタンは上記ピンの後方に位置
し、作動子がピンの前方に位置している。ロツク
解除ボタンの上方の蓋体には窓孔が形成され、蓋
体の閉止位置において指を窓孔の上方からロツク
解除ボタンに押し当ててこれを押し込むと、作動
子がピンを支点として上方に回動して蓋体を押し
上げ、これによつて蓋体の容器本体に対する止錠
が解除されるのである。

しかしながらこの公知のコンパクト容器におい
ては、ロツク解除ボタンの位置が蓋体および容器
本体の前端縁から内方に入つた位置にあるため、
このボタンは押しにくく、特に親指をボタンにあ
てがい人差し指を容器本体の下面にあてがつて両
方の指を挟むようにして蓋体を開放操作するのに
は不都合であつた。そして更にロツク解除ボタン
の前方部がピンにて枢着されているため、上記の
ように指を挟むようにして開放操作をするとき、
ボタンにあてがつた指を水平方向に寝かせると、
ピンの上方から押し込むことになつてボタンが回
動しにくなるため、その指を立てた状態でボタン
を押し込む必要が有り開放操作性の悪いものであ
つた。

上記の欠陥を改良するものとして実開昭59−
45002に係るコンパクト容器が公知となつている。
この公知のコンパクト容器では、ロツク解除ボタ
ンを容器本体の縁角部に設け、このボタンの下方
にスライド部材を配設し、このボタンとスライド
部材の接触面に傾斜面を設け、ボタンを押し下げ
るとスライド部材が横方向に摺動するようになつ
ている。スライド部材の前面には蓋体の係止爪片
に係合する係止突起を設け、スライド部材が横方
向に摺動した時に蓋体との係止が離脱するように
構成されている。また、スライド部材はバネ部材
によつてボタンの下方に常時付勢されている。

《考案が解決しようとする問題点》 しかしながら上記公知のコンパクト容器ではス
ライド部材の前面に蓋体の係止爪片に係合する係
止突起を設けているため、このスライド部材およ
び係止突起の厳密な寸法精度が要求され、蓋体の
安定的な閉止状態を得ることが困難である。また
スライド部材が横方向に摺動した時に蓋体の爪片
との係止は離脱するが、蓋体を更に上方に押し上
げてこれを開放するバネなどの手段が必要とされ
ている。

本願考案は上記２件の公知のコンパクト容器の
欠陥を解決しようとするもので、その目的は蓋体
の係止爪片に係合する係止突起を容器本体に固定
的に設けて蓋体の安定的な閉止状態を得ることが
できると共に、押しボタンを容器本体の縁部に於
いて指で挟むようにして下方に押し下げることに
よつて蓋体との係合を開放すると同時に蓋体を上
方に押し上げることのできるコンパクト容器を提
供するにある。

《問題点を解決するための手段》 前記の目的を解決するため、この考案に係るコ
ンパクト容器では、容器本体と、該本体の後端に
回動可能に連結されて該本体の開口部を閉止する
蓋体と、該蓋体の先端に設けられた第１の係止爪
と、該本体に設けられ該蓋体の閉止位置において
該第１の係止爪と係止する第２の係止爪と、該本
体の外周縁部の内底面に立設した中空のボス部
と、該ボス部の外周部に遊嵌されると共に該本体
の内底面に揺動可能に支持され、一端が該蓋体の
該係止爪近傍において該蓋体の下面に対向し、他
端が該ボス部を挟んで該一端と反対側にて上方に
延出した作動子と、該作動子の該他端に対向して
位置するとともに該本体の縁部上に露出した状態
で昇降可能にガイドされるロツク解除ボタンと、
該ボス部内に圧縮介装され該解除ボタンを上昇位
置に付勢するバネ体とを備えてなるのである。

《作用》 上記第１の係止爪と第２の係止爪とが係止した
状態では、蓋体は閉止位置を占め、またロツク解
除ボタンはバネ体によつて上方に付勢されてい
る。この状態からロツク解除ボタンを下方に押圧
すると作動子の上記他端が押し下げられ、これに
よつて作動子が容器本体の内底面を支点として揺
動し、作動子の上記一端が上昇し蓋体の下面を押
し上げて容器本体との係合を解除するのである。

《実施例》 以下、この考案に好適な実施例を図面を参照し
て詳細に説明する。

第１図、第２図ａ，ｂはこの考案に係るコンパ
クト容器の第１の実施例を示すもので、第１図は
コンパクト容器１の分解斜視図、第２図ａ，ｂは
ロツク及びその解除状態を示す作動説明用の部分
拡大断面図である。

図において、コンパクト容器１は、上面開口し
矩形状の容器本体２と、該容器本体２の一側部に
開閉自在にヒンジ結合されかつ内面に鏡３１を一
体に設けた蓋体３と、容器本体２の開口内部に収
納固定される中皿４とから概略構成されている。

そして、容器本体２の後側壁には一対の軸受け
用切欠部２０−２０が切欠形成され、これに対応
して蓋体３の後側壁には軸受用ブロツク３２−３
２が突設され、軸受ブロツク３２−３２を切欠２
０−２０に嵌合し、両者に形成されたピン孔２
２，３３にピン３６を嵌込むことで容器本体２の
後端部に蓋体３を開閉自在にヒンジするようにう
になつている。

また、中皿４および蓋体３の一側部には略三角
形状に切欠かれた斜辺部３ａ，４ａが形成されて
いる。そして、蓋体３の斜辺部３ａには係止爪３
４が突設され、また中皿４の斜辺部４ａにはこの
係止爪３４を挿通するための切欠部４４が一体に
形成されている。

蓋体３および中皿４の斜辺部形状により容器本
体２の隅角部には三角形状の収納空間が形成さ
れ、その内底部に前記係止爪３４に係合する係止
爪２３が一体に立設されており、また係止爪２３
後部において、容器本体２の内底面には中空のボ
ス部２４が立設され、このボス部２４の外周部に
ロツク解除用作動子５が遊嵌されるとともに、内
周部に圧縮コイルスプリング６が挿通され、その
上部を三角形状をなすロツク解除ボタン７が配置
されるようになつている。

作動子５は梃子の作用によりロツク解除を行な
うもので、その中央部には前記ボス部２４に遊嵌
される長孔５１が形成され、ボス部２４の外周に
おいて揺動可能に容器本体の内底部に支持され
る。また、その後端部にはロツク解除ボタン７の
内面に当接する係止突起５２が、先端には蓋体３
のコーナー部底面に当接する一対のロツク解除片
５３−５３を形成してある。

また、ロツク解除ボタン７の外周部にはガイド
突起７１が形成されており、これに対応して容器
本体２のコーナー部側壁にはガイド溝２５が形成
され、各側部のガイド突起７１をスライド可能に
ガイドし、かつロツク解除ボタン７のスプリング
６の付勢圧による上昇位置を規制するようになつ
ている。

また、ロツク解除ボタン７の前方側に形成され
たガイド突起７１は中皿４の斜辺部４ａの上部に
形成されたフランジ４１に当接することでその上
昇位置が規制されるようになつている。

前記中皿４の後側部には前記軸受ブロツク３２
を受け入れるための一対の切欠４２−４２が形成
されているとともに、その内部には仕切壁で区画
された一対の化粧料収納用凹部４３，４３および
コーナー形状に応じた三角形状の化粧料収納凹部
４６が形成されている。

さらに、前記蓋体３の一方の軸受ブロツクには
巻きバネ３５が前記ピン３６の外周に同軸上に介
装されるようになつており、この巻きバネ３５の
一端を蓋体３側に、他端を前記中皿４の後部に形
成された透孔４５を通じて化粧料収納凹部４６の
内底部に当接することで、蓋体３を常時開放側に
付勢している。

以上の構成において、蓋体３を閉止した状態で
は、第２図ａのように係止爪部２３，２４同士が
係合し、蓋３は前記巻きバネ３５のバネ圧に抗し
て閉止状態に保たれる。

この状態において、ロツク解除ボタン７はスプ
リング６のバネ圧により上昇位置に位置した状態
であり、ほぼ蓋体３の外表面とほぼ同一面上に位
置する。また、作動子５のロツク解除片５３−５
３は蓋体３側の係止爪部３４の両側部に位置し、
更に、後端の係止突起５２はロツク解除ボタン７
の天井面に対向している。

この状態で、ロツク解除ボタン７を押圧する
と、作動子５の係止突起５２が押し下げられる結
果、梃子の原理により他端側のロツク解除片５３
−５３が持ち上がり、これにより蓋体３を押圧
し、第２図ｂの如く係止爪部２３，３４同士の係
合状態を開放する。開放によつて、蓋体３は巻き
バネ３５のバネ圧によつて矢印の如く回動し、コ
ンパクト容器１を開くことになるのである。

なお、ロツク解除ボタン７の面積は、相当広い
が、このいずれを押しても、ロツク解除ボタン７
は垂直に押し下がり、前記作動子５のロツク解除
動作を行なわせることができるのである。

第３図はこの考案の第２実施例を示すものであ
る。

図において、このコンパクト容器９は、中央部
に矩形状の化粧料収納用凹部１０１を開口形成し
た矩形状の容器本体１０と、内面に鏡１１１を一
体化した同じく矩形状の蓋体１１を備えており、
容器本体１０の後部に形成された軸受用切欠部１
０２に蓋体１１の後端下部に突設された軸受ブロ
ツク１１２を嵌合し、両者に形成されたピン孔に
図示しないピンを挿通することで、蓋体１１を容
器本体１０に回動可能に連結するようになつてい
る。そして、本体１０の化粧料収納用凹部１０１
の先端側には矩形状の開口部１０３が形成され、
その内底面に係止爪１０４および中空ボス部１０
５を突設するとともに、開口部１０３の内周壁に
ガイド用溝部１０６を形成してある。これに対応
して、蓋体１１の回動先端部中央には凹形の切欠
部１１３が切欠形成されているとともに、切欠部
１１３の内奥部下部には前記係止爪１０４と係合
する係止爪１１４が形成されている。

そして、前記ボス部１０５の内周には第１の実
施例と同じくスプリング１２が、また外周部には
これに支持される作動子１３がそれぞれ装着さ
れ、また、その上部に前記ガイド溝１０６に沿つ
て摺動可能なガイド突起１４１を設けた矩形状の
ロツク解除ボタン１４により覆うようになつてい
る。

前記作動子１３は中央にボス部１０５に遊嵌す
る長孔を形成し、その一端にロツク解除ボタン１
４の内面に当接する係止突起１３２を、また他端
に蓋体１１の開閉端下面に当接する一対のロツク
解除片１３３−１３３を一体に形成したものであ
る。

この実施例においては、蓋体１１の閉鎖状態で
はロツク解除ボタン１４が蓋体１１の切欠１１３
に突出した状態で蓋体１１の表面に連続する表面
を作る。また、その開閉時における機構は第１実
施例とほぼ同様にロツク解除ボタン１４のいずれ
の部位を押圧しても、スプリング１２の付勢圧に
抗して垂直に下降し、作動子１３の梃子の作用に
よつて蓋体１１を開くことになるのである。

《効果》 以上のように本考案に係るコンパクト容器で
は、ロツク解除ボタンが容器本体の縁部上に露出
した状態で設けられているため、指を平らにして
挟むようにしてロツク解除ボタンを押し込むこと
ができる。そして、蓋体に設けた第１の係止爪は
容器本体に固定的に設けた第２の係止爪と係合し
て閉止位置を占めるようになつているため蓋体の
閉止状態は安定したものとなる。また、ロツク解
除ボタンを下方に押圧すると作動子の一方の端部
が押し下げられ、これによつて作動子が容器本体
の内底面を支点として揺動し、作動子の他方の端
部が上昇し蓋体の下面を押し上げて容器本体との
係合を解除するので従来のようにバネ部材等を必
要とすること無く蓋体を大きく開放することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図ａ，ｂはこの考案の第１の実施
例を示すもので、第１図はコンパクト容器の分解
斜視図、第２図ａはロツク状態における要部断面
図、同図ｂはロツク解除操作時における要部断面
図、第３図はこの考案の第２の実施例を示すコン
パクト容器の分解斜視図である。 １，９……コンパクト容器、２，１０……容器
本体、３，１１……蓋体、３ａ，４ａ……斜辺
部、５，１３……ロツク解除用作動子、６，１２
……スプリング、７，１４……ロツク解除ボタ
ン、２３，３４，１０４，１１４……係止爪部、
１０３……開口、１１３……凹部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 容器本体と、該本体の後端に回動可能に連結
   されて該本体の開口部を閉止する蓋体と、該蓋
   体の先端に設けられた第１の係止爪と、該本体
   に設けられ該蓋体の閉止位置において該第１の
   係止爪と係止する第２の係止爪と、該本体の外
   周縁部の内底面に立設した中空のボス部と、該
   ボス部の外周部に遊嵌されると共に該本体の内
   底面に揺動可能に支持され、一端が該蓋体の該
   係止爪近傍において該蓋体の下面に対向し、他
   端が該ボス部を挟んで該一端と反対側にて上方
   に延出した作動子と、該作動子の該他端に対向
   して位置するとともに該本体の縁部上に露出し
   た状態で昇降可能にガイドされるロツク解除ボ
   タンと、該ボス部内に圧縮介装され該解除ボタ
   ンを上昇位置に付勢するバネ体とを備えてなる
   ことを特徴とするコンパクト容器。 (2) 前記蓋体の回動先端部は斜めに切り欠かれ、
   この切欠いた端面に前記第１の係止爪を設ける
   とともに、前記本体の隅角部に三角状開口部を
   形成すると共に該三角状開口部に前記第１の係
   止爪に係合する前記第２の係止爪を突設し、か
   つ両者の係合を解除するための前記作動子およ
   び該開口部の形状に応じて三角に形成された前
   記ロツク解除ボタンおよび該ボタンを上昇位置
   に付勢する前記バネ体を該三角状開口内部に配
   置したことを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項に記載のコンパクト容器。 (3) 前記蓋体の回動先端中央に凹形の切り欠き部
   を形成し、該切り欠き部の内奥部に前記第１の
   係止爪を設けるとともに、前記本体の先端中央
   に形成した開口部に前記第１の係止爪に係合す
   る前記第２の係止爪を突設し、かつ両者の係合
   を解除するための前記作動子および該切欠部の
   凹形状に応じた形状の前記ロツク解除ボタンお
   よび該ボタンを上昇位置に付勢する前記バネ体
   を該本体の開口内部に配置したことを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項に記載のコン
   パクト容器。