JPH0325027Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、温度制御装置を備えた瞬間湯沸器に
関する。

（従来の技術） この種の瞬間湯沸器における温度制御装置は、
ガス比例制御方式が採用されているが、この方式
として、フイードフオワード制御とPID制御とを
併用する方式が有効であり、広く利用されてい
る。ところが、出湯温度制御を常時両制御方式に
よつて行なうようにすると、出湯の際の立ち上が
り時や再出湯時等のいわゆるフイードフオワード
制御の過渡時にPID制御の比率が高くなり過ぎ、
整定時間や設定温度からの超過量（行き過ぎ量）
等を良好に制御することが困難である。

そこで、実開昭61−18351号公報に示されたも
のでは、出湯開始時には所定温度Ｔ、フイードフ
オワード出力のみにより供給ガス量を制御し、そ
の後PID制御出力との合成出力により制御するよ
うにしている。

（考案が解決しようとする課題） この従来のものでは、フイードフオワード出力
のみにより制御する時間Ｔを熱交換器の内容積と
通水流量とから演算しているが、通水流量が連続
して変動するような場合には上記時間Ｔの演算に
誤差が生じ、フイードフオワード制御のみの時間
Ｔが長くなる場合がある。この場合、フイードフ
オワード出力の誤差がそのまま出湯温度にあらわ
れ、フイードフオワード出力が過大であれば出湯
温度が設定温度を超過することになり、出湯開始
時のフイードフオワード出力を意図的に大出力と
して出湯温度を迅速に設定温度に近づけた後に適
正なフイードフオワード出力とPID制御出力とに
よつて出湯温度を整定させようとするものでは上
記時間Ｔの誤差が極めて大きな出湯温度の超過に
つながる問題点を有していた。

本考案は上記従来の問題点を解決し、通水流量
の変動によつて湯温の超過量が大幅に増加するこ
とがなく、出湯開始時のフイードフオワード出力
を必要加熱量以上の大出力として湯温の立上がり
を速める場合に有効に湯温の超過量を軽減できる
瞬間湯沸器の提供を目的としている。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成させるために本考案の瞬間湯
沸器は次のような構成としている。すなわち、熱
交換器と、熱交換器を加熱するバーナと、このバ
ーナへの供給ガス量を出湯開始時には演算した必
要加熱量より過大なフイードフオワード出力によ
り制御し、設定温度より所定温度低い出湯温度を
検出した後は演算した必要加熱量に相当するフイ
ードフオワード出力とPID制御出力との合成出力
で制御する制御器を備え、前記所定温度を設定温
度に基づいて可変するようにしている。

（作用） 出湯開始時、フイードフオワード出力のみで供
給ガス量を制御し、PID制御の弊害を取り除いて
設定温度への接近を速める。フイードフオワード
制御の過渡期に通水量の変動が有つたとしても、
フイードフオワード出力とPID制御出力との合成
出力による制御への移行は、出湯温度と設定温度
との関係のみに依存しているから制御の移行が遅
れて出湯温度の大幅な超過を生じることはなく、
また、出湯開始時のフイードフオワード出力を設
定温度にするために必要な加熱量より大きな出力
としているので湯温は急速に立上がり、制御の移
行は設定温度より所定温度低い出湯温度を検出し
た時点で行われるが、設定温度に基づいて上記所
定温度が変化し、その値が大きい場合には出湯温
度の超過は一層軽減される。

（実施例） 第２図は本考案の実施例を示す瞬間湯沸器の概
略構成図であり、１は熱交換器、２はバーナであ
る。熱交換器１の入口側通水路３には入水温度セ
ンサ４、流量センサ５を設け、熱交換器１の出口
側通水路７には出湯温度センサ８を設けている。
９は湯温設定器、１０はバーナ２へのガス供給路
中に設けた比例制御弁である。１１は制御器であ
り、第１図に制御ブロツク図を示す。制御器１１
はマイクロコンピユータ１１０を備え、流量セン
サ５にて検出する通水流量Ｑと、入水温度センサ
４にて検出する入水温度TCと、湯温設定器９の
設定温度TSと、出湯温度センサ８にて検出する
出湯温度THとを入力し、比例制御弁１０の駆動
回路１１５への出力電圧を制御する。

出湯開始時には、フイードフオワード制御部１
１１からの出力のみにより電圧制御部１１４を介
して比例制御弁１０の駆動電圧を制御する。ここ
で本実施例においては、設定温度TS、入水温度
TC、通水流量Ｑに基づいて演算される必要加熱
量に比例する過大加熱量を与えるフイードフオワ
ード出力とし、出湯温度の立上がりを速めるよう
にしている。そして出湯温度THが設定温度TS
より所定温度α低い温度になつたとき、出湯温度
判定部１１３から信号が出力され、フイードフオ
ワード制御部１１１の出力が前記必要加熱量を与
える出力に変更されると共にPID制御部１１２が
演算を開始し、設定温度TSと出湯温度THとの
偏差に基づいて出力する。したがつて、この時点
からフイードフオワード出力とPID制御出力との
合成出力によつて駆動電圧が制御されることにな
る。この制御出力の移行時点では、出湯温度TH
は上昇過渡期にあり、温度検出遅れを有するため
制御出力を減少させても出湯温度THは更に上昇
するが、この上昇分を吸収するために設定温度
TSより所定温度α低い温度で制御を移行させる
のである。この所定温度αは設定温度TS等に応
じて可変してもよく、例えば設定温度TSが最高
温度のときには、もしも出湯温度THが超過する
と沸とうして安全装置が働く不都合が有るため所
定温度αを大きくすればよい。

（考案の効果） 本考案の瞬間湯沸器は以下に示すようなすぐれ
た効果を奏するものである。すなわち、制御の移
行は出湯温度が設定温度より低いときに行なわ
れ、通水流量の変動等によつて移行が遅れること
がなく、出湯温度の超過量や出湯温度の整定時間
が大きばらつくことがない。また、出湯開始時の
フイードフオワード出力を必要加熱量より過大な
出力としているので湯温の立上がりを向上させる
ことができ、且つ制御の移行が設定温度に基づい
て調節されるので、例えば設定温度が最高温度の
場合には早めに移行し、出湯温度の超過を一層軽
減して沸騰を防止する等、必要に応じて安全性と
出湯特性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す制御ブロツク
図、第２図は同例の瞬間湯沸器の概略構成図であ
る。 １……熱交換器、２……バーナ、１１……制御
器、１１１……フイードフオワード制御部、１１
２……PID制御部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱交換器と、熱交換器を加熱するバーナと、こ
   のバーナへの供給ガス量を出湯開始時には演算し
   た必要加熱量より過大なフイードフオワード出力
   により制御し、設定温度より所定温度低い出湯温
   度を検出した後は演算した必要加熱量に相当する
   フイードフオワード出力とPID制御出力との合成
   出力で制御する制御器を備え、前記所定温度を設
   定温度に基づいて可変するようにしたことを特徴
   とする瞬間湯沸器。