JPH0318187Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、印刷機の版胴に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

版胴の外周にセツトされる印刷板には、紙版
と、アルミニウム版との二種類が存在し、上記ア
ルミニウム版の両端部には、多数のピン挿入孔が
設けられている。いずれの印刷版も版胴の外周に
巻付けてその両端部を、版胴の外周一部に形成し
た開口内のヘツドクランプ機構とテールクランプ
機構とで支持するようにしてある。

ところで、第１図に示すように、版胴Ａの外周
にセツトした印刷版Ｐに傾きがあると、印刷物に
も傾きが生じるため、印刷版の傾きを修正する必
要がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記印刷版の傾き修正に際し、従来は、版胴に
セツトした印刷版を一旦取外してセツトのやり直
しを行なうようにしているため、修正に非常に手
間がかかる問題があつた。

また、紙版は、版胴に一度取付けると、両端部
に折り曲げぐせがつくため、セツトのやり直しに
より、紙版と版胴との間に隙間が生じ、版胴の外
周に密着した取付け状態を得ることができない問
題があつた。

この考案は、上記の問題点を解決し、シリンダ
の外周に印刷版を取付けた状態でその印刷版の傾
きを修正し得るようにすることを技術的課題とし
ている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、この考案におい
ては、内部を中空としたシリンダ１の外周一部の
軸方向に長い開口２を形成し、その開口２内に印
刷版の端部を支持するヘツドクランプ機構Ｘとテ
ールクランプ機構Ｙとを設けた印刷機の版胴にお
いて、前記ヘツドクランプ機構Ｘを、シリンダ１
の端板１４，１６間に渡したブラケツトシヤフト
８を中心に回転自在に支持された挾持板３と、上
記ブラケツトシヤフト８に回り止めされ、スプリ
ング１２により挾持板３の背面上部に押し付けら
れたピンプレート４とで形成し、上記ブラケツト
シヤフト８の一方の端部を前記一方の端板１４に
支持された球面軸受１５で支持し、ブラケツトシ
ヤフト８の他方の端部を前記他方の端板１６に形
成した軸挿入孔１７に挿入し、この軸挿入孔１７
を前記開口２の側面に対して直角方向に延びる長
孔とし、前記挾持板３の他方の端部に傾き修正用
調節ねじ２０をねじ係合して先端を開口２の一側
面に当接し、前記テールクランプ機構Ｙを開口２
の他側面に固定され、上縁に複数の受板２７を有
する支持板２６と、上記受板２７間に挿入される
複数のピン２９を下面に有するピンプレート２８
とで形成し、上記ピンプレート２８をシリンダ１
の軸方向に移動自在に支持し、かつヘツドクラン
プ機構Ｘに向けて移動自在に支持し、このピンプ
レート２８と前記ブラケツトシヤフト８との間に
複数のスプリング３５をかけ渡した構成を採用し
たのである。

〔作用〕

シリンダ１の外周に巻付けた印刷版はヘツドク
ランプ機構Ｘとテールクランプ機構Ｙとで両端部
を支持する。

印刷版の傾き修正に際しては、傾き修正用調整
ねじ２０を回転し、球面軸受１５を中心にブラケ
ツトシヤフトを傾動させてヘツドクランプ機構Ｘ
を開口２の一側面に対して傾斜させる。このと
き、ヘツドクランプ機構Ｘの他端部が開口２の側
面から離反する方向にヘツドクランプ機構Ｘを傾
斜させると、印刷版の他側部が引かれ、その印刷
版を介してテールクランプ機構Ｙのピンプレート
２８の他端部が引かれてヘツドクランプ機構Ｘと
同方向に傾斜し、印刷版の一方向の傾きが修正さ
れる。

また、ヘツドクランプ機構Ｘを上記の逆方向に
傾斜させると、ブラケツトシヤフト８とピンプレ
ート２８を連結するスプリング３５が引き伸ばさ
れ、そのスプリング３５の弾力によりテールクラ
ンプ機構Ｙのピンプレート２８が引かれ、印刷版
の他方向の傾きが修正される。

〔実施例〕

以下、この考案の構成を添付図面に基づいて説
明する。

第２図ないし第５図に示すように、シリンダ１
は内部中空に形成され、その外周一部に形成した
開口２に印刷版Ｐの端部を支持するヘツドクラン
プ機構Ｘおよびテールクランプ機構Ｙが配置され
ている。

ヘツドクランプ機構Ｘは、開口２の一側面に並
行に配置した挾持板３と、この挾持板３の背面上
部に先端縁を対向させたピンプレート４とを備
え、上記ピンプレート４の上面長さ方向にはアル
ミニウム版の端部に係合孔に対して係合可能な複
数の係合ピン５が等間隔に設けられている。

前記挾持板３の背面両端部には、一対のブラケ
ツト６が設けられ、このブラケツト６の内側にピ
ンプレート４の下面に設けた一対のブラケツト７
が配置され、この両ブラケツト６，７にブラケツ
トシヤフト８が貫通している。

挾持板３のブラケツト６はブラケツトシヤフト
８に対して回転自在に支持され、一方、ピンプレ
ート４のブラケツト７はブラケツトシヤフト８に
対して回り止めされている。

ピンプレート４のブラケツト７の端部には、Ｌ
字形のアーム９が連結され、このアーム９の端部
に設けたピン１０とシリンダ１の端板内面に設け
たピン１１との間にスプリング２１をかけ渡して
ピンプレート４の先端縁を挾持板３の背面上部に
圧接させ、その両者間に挿入される紙版の端部を
挾持するようになつている。

なお、挾持板３の背面には、第５図に示すよう
に紙版の先端縁を位置決めする位置決めプレート
１３が設けられている。

挾持板３およびピンプレート４を支持する前記
のブラケツトシヤフト８は、第２図に示すよう
に、シリンダ１の端板間に渡され、その一方の端
部は、シリンダ１の一方の端板１４に取付けた球
面軸受１５で支持されている。また他方の端部
は、シリンダ１の他方の端板１６に形成した軸挿
入孔１７に挿入され、上記挿入孔１７から突出す
る端部にカムレバー１８が取付けられている。軸
挿入孔１７は、シリンダ開口２の側面に対して直
角方向に延びる長孔となり、この軸挿入孔１７に
沿つてブラケツトシヤフト８の端部を移動させる
ことにより、球面軸受１５を中心に上記シヤフト
８が傾動し、挾持板３およびピンプレート４をシ
リンダ開口２の側面に対して傾斜させることがで
きる。

シリンダ１の他方の端板１６がわに位置する挾
持板３のブラケツト６には、第４図に示すように
正面から背面に貫通するねじ孔１９が形成され、
このねじ孔１９にねじ係合した傾き修正用調節ね
じ２０の先端はシリンダ開口２の側面に当接し、
上記調節ねじ２０を回動すると、ブラケツトシヤ
フト８が軸挿入孔１７に沿つて移動する。

なお、上記調節ねじ２０の頭部には、第２図に
示すように、シリンダ端板１６にねじ込んだ偏心
ピン２１が係合して調節ねじ２０の軸方向の移動
を制限している。

シリンダ１の他方端板１６の内面には、第２図
および第３図に示すように、軸挿入孔１７に平行
するガイド２２が取付けられ、このガイド２２は
挾持板３のブラケツト６側面に形成したガイド溝
２３に嵌合してブラケツト６の移動を案内してい
る。また、上記他方端板１６には、第６図に示す
ように、軸挿入孔１７に並行する長孔２４が設け
られ、この長孔２４に挿入され、かつ抜き止めさ
れた位置修正用調節ねじ２５は、挾持板３のブラ
ケツト６のねじ込まれている。

前記テールクランプ機構Ｙは、第３図に示すよ
うに、シリンダ開口２の側面に支持板２６を取付
け、この支持板２６の上縁からシリンダ開口２の
内側に延びる受板２７上にピンプレート２８を配
置し、このピンプレート２８の下面先端部に設け
た複数の係合ピン２９を受板２７の間に挿入し、
上記係合ピン２９を紙版の端部に突き刺し、ある
いはアルミニウム版の係合孔に挿入して印刷版の
端板を支持するようにしてある。

前記ピンプレート２８は、第３図および第５図
に示すように、両端から立上がる支持片３１を備
え、この支持片３１に形成した横長孔３２にシリ
ンダ１の端板１４，１６内面に設けたピン３３を
挿入してピンプレート２８を移動自在に支持し、
上記ピンプレート２８に形成した一対の切り起し
片３４と前記ブラケツトシヤフト８との間に、第
２図に示すように、複数のスプリング３５をかけ
てピンプレート２８をヘツドクランプ機構Ｘがわ
に偏向している。

このピンプレート２８の上面端部よりに設けた
摘み３６の軸３７は、このピンプレート２８を貫
通して下方に突出し、その下部は前記支持板２６
の内面に取付けた係合板３８の係合孔３９に挿入
され、上記係合孔３９の下方に突出する下端に抜
け止め突部４０が設けられている。この突部４０
の外周対向位置は平面となり、摘み３６の回動操
作により上記平面を係合孔３９の側縁に平行させ
ることによつて、突部４０を係合孔３９から上方
に抜くことができる。上記突部４０は、印刷版Ｐ
を支持する状態において、摘み３６の内側に設け
たスプリング４１の弾力によつて、係合板３８の
下面に係合し、またスプリング４１の弾力によつ
てピンプレート２８が受板２７に圧接されてい
る。

前記支持板２６の内面中央部には、第３図およ
び第５図に示すように、支持枠４２が取付けら
れ、この支持枠４２の対向する支持片４３間に渡
したピン４４で加圧板４５が揺動自在に支持さ
れ、上記加圧板４５にねじ込んだ緊張用ボルト４
６の先端が支持枠４２に当接している。

このため、緊張用ボルト４６を回動すると、加
圧板４５がこのボルト４６と共に揺動し、上記加
圧板４５をヘツドクランプ機構Ｘがわに揺動させ
ると、その上端がピンプレート２８の下面から垂
下する受圧板４７を押圧してピンプレート２８を
ヘツドクランプ機構Ｘがわに移動させるようにな
つている。

実施例で示す版胴は上記の構造から成り、シリ
ンダ１の外周に巻付けた印刷版Ｐの端部は開口が
わに折り曲げ、その一方の端部をヘツドクランプ
機構Ｘで支持し、かつ他方の端部をテールクラン
プ機構Ｙで支持するようにする。

ところで、上記印刷版Ｐには、前記のように、
紙版とアルミニウム版とが存在するため、紙版の
端部をヘツドクランプ機構Ｘで支持する場合は、
ブラケツトシヤフト８を第３図の左方向に回転し
てピンプレート４を揺動させ、このピンプレート
４と挾持版３との間に隙間を形成し、この隙間に
紙版の先端を挿入してからブラケツトシヤフト８
の回動操作を解除し、スプリング１２の弾力でピ
ンプレート４を上記の逆方向に揺動させてこのピ
ンプレート４と挾持板３とで挾圧するようにす
る。また、紙版の他方の端部をテールクランプ機
構Ｙで支持する場合は、摘み３６を回動し、突部
４０を係合孔３９に対して通過可能とした状態で
上記摘み３６を引き上げてピン３３を中心にピン
プレート２８を上方向に揺動し、係合ピン２９を
受板２７の上方に位置させた状態で紙版の端部を
挿入し、そののち、ピンプレート２８を下方向に
揺動させて係合ピン２９を紙版に刺通させ、突部
４０と係合版３８下面の係合によつて、ピンプレ
ート２８の上方向の揺動を阻止する。

一方、アルミニウム版の場合は、その両端部に
予め形成した係合孔に、ヘツドクランプ機構Ｘお
よびテールクランプ機構Ｙの各係合ピン５，２９
を挿入して抜け止めする。

シリンダ１の外周にセツトした印刷版の傾き修
正に際しては、傾き修正用調節ねじ２０を回転す
る。

上記ねじ２０の回転により、これにねじ係合す
る挾持板３のブラケツト６がねじ２０の軸方向に
移動するため、ブラケツトシヤフト８が球面軸受
１５を中心に傾動し、ブラケツトシヤフト８の他
端部が軸挿入孔１７に沿つて移動する。

このため、挾持板３およびピンプレート４がシ
リンダ開口２の側面に対して傾斜し、上記挾持板
３およびピンプレート４の他端部を上記側面から
離反させると、ヘツドクランプ機構Ｘを介して印
刷版Ｐの他側部が引かれ、その印刷版Ｐを介して
テールクランプ機構Ｙが引かれてテールクランプ
機構Ｙがヘツドクランプ機構Ｘと同方向に傾斜す
る。

また、挾持板３およびピンプレート４の他端部
がシリンダ１の開口２の側面に接近する方向にヘ
ツドクランプ機構Ｘを傾斜させると、印刷版Ｐの
他側部にゆるみが生じると共に、スプリング３５
が引き伸ばされ、そのスプリング３５を介してテ
ールクランプ機構Ｙの他端部が引かれる。このた
め、テールクランプ機構Ｙはヘツドクランプ機構
Ｘと同方向に傾斜する。

このように、傾き修正用調節ねじ２０を回転す
ると、ヘツドクランプ機構Ｘが傾斜し、そのヘツ
ドクランプ機構Ｘに対して、テールクランプ機構
Ｙも同方向に傾斜するため、第１図に示すよう
に、印刷版Ｐが版胴（シリンダ１）に対して傾斜
している場合、あるいはその逆の場合において、
上記傾き修正用の調節ねじ２０を回転することに
より、印刷版Ｐをたるませることなくその傾きを
修正することができる。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案に係る版胴において
は、傾き修正用の調節ねじを回動すると、ブラケ
ツトシヤフトが球面軸受を中心に傾動し、このシ
ヤフトで支持されたヘツドクランプ機構が傾くと
共にテールクランプ機構も同様に傾くため、シリ
ンダの外周に印刷版をセツトした状態においての
印刷版の傾きを修正することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、版胴にセツトした印刷に傾きがある
状態を示す正面図、第２図は、この考案に係る版
胴の平面図、第３図は同上の縦断正面図、第４図
は同上のヘツドクランプ機構を示す分解斜視図、
第５図は同上のテールクランプ機構を示す分解斜
視図、第６図は同上のシリンダ端板に形成した軸
挿入孔を示す断面図、第７図は同上のテールクラ
ンプ機構の摘み取付部を示す断面図である。 １……シリンダ、２……開口、Ｘ……ヘツドク
ランプ機構Ｘ、Ｙ……テールクランプ機構Ｙ、８
……ブラケツトシヤフト、１２……スプリング、
１４……一方端板、１５……球面軸受、１６……
他方端板、１７……軸挿入孔、２０……傾き修正
用調節ねじ、２６……支持板、２７……受版、２
８……ピンプレート、２９……ピン、３５……ス
プリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部を中空としたシリンダ１の外周一部の軸方
   向に長い開口２を形成し、その開口２内に印刷版
   の端部を支持するヘツドクランプ機構Ｘとテール
   クランプ機構Ｙとを設けた印刷機の版胴におい
   て、前記ヘツドクランプ機構Ｘを、シリンダ１の
   端板１４，１６間に渡したブラケツトシヤフト８
   を中心に回転自在に支持された挾持板３と、上記
   ブラケツトシヤフト８に回り止めされ、スプリン
   グ１２により挾持板３の背面上部に押し付けられ
   たピンプレート４とで形成し、上記ブラケツトシ
   ヤフト８の一方の端部を前記一方の端板１４に支
   持された球面軸受１５で支持し、ブラケツトシヤ
   フト８の他方の端部を前記他方の端板１６に形成
   した軸挿入孔１７に挿入し、この軸挿入孔１７を
   前記開口２の側面に対して直角方向に延びる長孔
   とし、前記挾持板３の他方の端部に傾き修正用調
   節ねじ２０をねじ係合して先端を開口２の一側面
   に当接し、前記テールクランプ機構Ｙを開口２の
   他側面に固定され、上縁に複数の受板２７を有す
   る支持板２６と、上記受板２７間に挿入される複
   数のピン２９を下面に有するピンプレート２８と
   で形成し、上記ピンプレート２８をシリンダ１の
   軸方向に移動自在に支持し、かつヘツドクランプ
   機構Ｘに向けて移動自在に支持し、このピンプレ
   ート２８と前記ブラケツトシヤフト８との間に複
   数のスプリング３５をかけ渡したことを特徴とす
   る印刷機の版胴。