JPH0314566B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は変圧器鉄心用の鉄板切断装置、中でも
フープ材（方向性けい素鋼帯）を長手方向に対し
斜めに切断して額縁形鉄心を構成する脚部鉄板お
よびヨーク部鉄板を得るために用いられる鉄板切
断装置に関する。

〔従来技術〕

第１図に三相変圧器用額縁形鉄心の代表的な例
を示す。ここに示した額縁形鉄心は脚部鉄板１，
２，３とヨーク部鉄板４，５の５枚の鉄板で１層
が形成されている。このうち、Ｕ相脚部鉄板１と
Ｗ相脚部鉄板３はその斜めに切断された端でヨー
ク部鉄板４，５の斜めに切断された端に突き合わ
され、Ｖ相脚部鉄板２はその幅方向の中心より若
干偏心してＶ形に切断された端でヨーク部鉄板
４，５のＶ形切欠６に突き合わされており、この
ように組み合わされた鉄板群を２〜３層おきに反
転させて積層することにより、継目が重なり合つ
た額縁形鉄心を構成している。

従来、この額縁形鉄心用の鉄板の切断には第２
図に示すような鉄板切断装置が使用されていた。

この鉄板切断装置は、上下１対の刃１２，１３
をスイング軸１４に結合した駆動部１５により水
平面上で旋回運動させてフープ材１０の長手方向
に対する刃の傾斜方向を反転できるようにしたス
イングシヤー１１と、このスイングシヤーにフー
プ材１０を供給する駆動ロール１６と、切断され
た鉄板を排出する駆動ロール１７および鉄板ガイ
ド（図示せず）から成つており、スイングシヤー
のスイング中心は鉄板ガイドにより規制されたフ
ープ材１０の幅方向の中心に合わせて設定されて
いる。

鉄板の切断は次のようにして行なう。

第３図ａはＵ相およびＷ相の脚部鉄板１，３と
ヨーク部鉄板４，５の切断パターン図で、スイン
グシヤー１１の刃を45゜傾けｘ−x′線にそつて端
切断を行なつた後、フープ材１０を図の右方に所
定寸法送り、スイングシヤー１１の刃を反時計方
向に90゜回転、つまりｙ−y′のように刃の傾斜方
向を反対にして次の端切断を行ない、これを繰り
返してＵ相およびＷ相の脚部鉄板１，３とヨーク
部鉄板４，５を交互に切断する。ヨーク部鉄板
４，５には別に設けたＶカツトプレス（図示せ
ず）によりＶ形切欠６が設けられる。

第３図ｂはＶ相脚部鉄板２の切断パターン図
で、スイングシヤー１１の刃を45゜傾けてフープ
材１０をｘ−x′線にそつて切断し、次にフープ材
１０を駆動ロール１６により図の左方に所定寸法
戻すと共に、切断された鉄板２を駆動ロール１７
により図の右方に所定寸法送つた後、スイングシ
ヤー１１の刃を反時計方向に90゜回転させて、ｙ
−y′線にそつてフープ材１０と鉄板２の端切断を
行なう。その後、駆動ロール１７により鉄板２を
排出し、駆動ロール１６によりフープ材１０を図
の右方に所定寸法送つて繰り返し切断する。

このような従来の鉄板切断装置による額縁形鉄
心の鉄板切断では、鉄板を１枚づつしか切断でき
ないため、切断能力を向上させるには鉄板の送り
速度を早くするのが一般的であるが、切断の寸法
精度上から鉄板送りの高速化には限度がある。一
方、鉄心積み作業では２〜３層の鉄板を同時に積
む場合が多いので、鉄板切断と鉄心積みを一貫自
動化する場合、従来の鉄板切断装置では切断能力
が不足し、十分な効率向上が図れなかつた。

切断能力の不足を補う一つの方策として、第２
図に示すような鉄板切断装置を２系列以上並列に
運転することも考えられるが、各ラインごとに独
立のスイングシヤーやロールフイーダが必要で設
備費が高価になると共に、各ラインの鉄板切断角
度、素材送り量の違いや鉄板幅方向へのスイング
中心のずれ等によつて各ラインで切断される鉄板
の寸法誤差が大きくなり、このような寸法の異な
る鉄板を用いて鉄心を組み立てた場合、鉄心の接
合部の損失が増加して所期の性能が得られなくな
る。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、切断の寸法精度を維持しなが
ら切断能力を飛躍的に向上させ、鉄板切断と鉄心
積みの高効率一貫自動化を実現できる額縁形鉄心
用の鉄板切断装置を提供することにある。

〔発明の概要〕

上記目的を達成するため本発明では、１対の刃
を装着した可動部および固定部を多層に重ねて配
置し、一体に結合した各層の可動部を同一駆動源
により各層の固定部に対して垂直往復運動させる
構成とした多層切断ユニツトを用い、複数枚のフ
ープ材を同時供給する鉄板供給手段と多段に配設
した鉄板ガイドにより上記多層切断ユニツトの各
層の刃の間にそれぞれフープ材を供給し、各層同
時に切断するようにした。

上記多層切断ユニツトは、各層の可動部および
固定部を水平面内で同時に旋回運動させるスイン
グ機構を付加することにより、鉄板長手方向に対
する刃の傾斜方向が反転可能なスイングシヤーと
して構成することができる。この場合、スイング
中心をフープ材の幅寸法の中心より所定距離偏心
した位置に設定すれば、Ｖ相脚部鉄板の端切断に
際し第３図ｂのようにフープ材に逆送りを与える
必要がなくなり、寸法精度の向上および送り制御
の簡単化が図れる。

鉄板供給手段としては、連動回転する１対の駆
動ロールを有するロールフイーダを使用すれば、
複数枚のフープ材の同時供給が容易にできる。

鉄板ガイドとしては、フープ材を幅方向に挾ん
で配置したガイド部材によりフープ材の両側縁の
位置を規制するのが一般的であるが、この場合、
片側のガイド部材はその支持部に固定し、反対側
のガイド部材とその支持部との間にこのガイド部
材をフープ材の側縁に向つて押圧するばねを介装
しておけば、フープ材とガイド部材との間のスキ
マをゼロにすることができ、切断の寸法精度がさ
らに向上する。

ヨーク部鉄板にＶ形切欠を設けるには、切断ユ
ニツトと同様な多層構成のＶカツトプレスを切断
ユニツトの前段に配置すればよい。

切断ユニツトからの鉄板排出機構や残材排出機
構なども切断ユニツトに合わせて多段に配設する
ことは言うまでもない。

このように切断ユニツトを多層構成とし、一体
に結合した各層の可動部を同一駆動源で駆動する
ことにより、各層の鉄板切断角度のずれや各層の
刃に対する素材の幅方向のずれをほとんどなくす
ことができ、スイング機構を付加した場合には各
層の刃のスイング中心を一致させることができ
る。

また、素材の供給も各層同時に行なわれるの
で、素材送り量の違いからくる寸法誤差もほとん
どない。

これによつて、各層の切断精度を維持しながら
切断能力を飛躍的に向上させることが可能とな
る。

〔発明の実施例〕

第４図以降に本発明の一実施例を示す。本実施
例は２枚の鉄板を同時に供給、切断する２層鉄板
切断装置である。

第４図はその外観図で、１００はアンコイラ、
２００はピンチローラ、３００はロールフイー
ダ、４００は鉄板分離シユート、５００は鉄板ガ
イド、６００はＶカツトプレス、７００は多層切
断ユニツト、８００は残材排出ユニツト、９００
はグリツプフイーダ、１０００は鉄板排出ユニツ
ト、１１００は鉄板選別ユニツト、１２００はコ
ントロールパネルである。

以下、各部の構成および機能について説明す
る。

アンコイラ１００に装荷されたフープ材１０
Ａ，１０Ｂは２段式ピンチローラ２００によつて
ロールフイーダ３００へ送られる。

第５図に示すようにロールフイーダ３００はば
ね３０３により加圧された１対の駆動ロール３０
１，３０２を有し、モータ３０４に直結した駆動
ロール３０２とギヤ３０５，３０６を介して連動
回転する駆動ロール３０１により２枚のフープ材
１０Ａ，１０Ｂを重ねて同時供給する。モータ３
０４は、たとえば数値制御によりステツプ駆動さ
れる直流モータであり、その回転によりフープ材
１０Ａ，１０Ｂにコントロールパネル１２００で
設定された所定寸法の送りを与えることができ
る。

鉄板分離シユート４００はロールフイーダ３０
０から出たフープ材１０Ａ，１０Ｂを上下に分離
するためのもので、第６図に示すように傾斜した
上段シユート４０１と水平な下段シユート４０２
とセパレータ４０３から成つている。上段シユー
ト４０１と下段シユート４０２はそれぞれ１対の
平行板４０４と４０５，４０６と４０７の間にフ
ープ材が通るスキマ４０８，４０９を形成してお
り、最大幅b_naxまでのフープ材を通すことができ
る。セパレータ４０３は受台４１０の支点ピン４
１１に取り付けられ、レバー４１２を介して駆動
用シリンダ４１３に連結されている。

フープ材１０Ａ，１０Ｂを最初にセツトする
際、セパレータ４０３を第６図ｃの鎖線で示すよ
うに回転させ、そのくし歯状に形成された先端部
を下段シユート４０２の底面にある穴４１４に沈
ませる。この状態でフープ材１０Ａ，１０Ｂの先
端部を30mm程度ずらしてシユート入口４１５に挿
入すると、先行する上の層のフープ材１０Ａはセ
パレータ４０３によつて上段シユート４０１に導
かれ、その後、セパレータ４０３を第６図ｃの実
線位置に戻すことにより、下の層のフープ材１０
Ｂはセパレータ４０３の下を通つて下段シユート
４０２に進入し、２枚のフープ材を上下に分離す
ることができる。

鉄板ガイド５００は鉄板分離シユート４００と
Ｖカツトプレス６００との間およびＶカツトプレ
ス６００と多層切断ユニツト７００との間に配置
されており、その構成は第７図に示す通りであ
る。

同図ａの５０１はフープ材１０Ａ，１０Ｂの幅
方向の中心となる基準線であり、この基準線５０
１を挾んで相対するコ字形ガイド部材５０２，５
０３が上下２段に配設されている。コ字形ガイド
部材５０２，５０３は垂直軸を有するガイドロー
ラ５０４，５０５を内蔵し、このガイドローラに
よつてフープ材１０Ａ，１０Ｂの両側縁を案内す
る。５０６，５０７は基準線５０１を挾んで両側
に配設されたスライド部であり、片側のスライド
部５０６は送りねじ５０８の右ねじ部にねじ合わ
され、反対側のスライド部５０７は送りねじ５０
８の左ねじ部にねじ合わされており、送りねじ５
０８の回転により両側のスライド部５０６，５０
７は基準線５０１に対し左右対称にガイド軸５０
９にそつて移動する。各段の片側のコ字形ガイド
部材５０２はその支持部であるスライド部５０６
に直接固定して、そのガイドローラ５０４と基準
線５０１の間隔がフープ材板幅ｂに対し常にｂ／２ の関係になるように設定してあり、各段の反対側
のコ字形ガイド部材５０３はその支持部であるス
ライド部５０７にスライド軸５１０を介してフー
プ材幅方向に可動的に取り付け、スライド軸５１
０に装着したばね５１１によりそのガイドローラ
５０５がフープ材１０Ａ，１０Ｂの一方の側縁に
押し付けられるようにしてある。この構成によれ
ば、送りねじ５０８を駆動ギヤ５１２を介して回
転させることにより、ガイドローラ５０４，５０
５の間隔はフープ材の最小幅b_nioから最大幅b_nax
まで変化するが、そのどの位置でもガイドローラ
５０４，５０５とフープ材１０Ａ，１０Ｂとの間
のスキマはゼロになり、フープ材の中心を基準線
５０１に正しく一致させることができる。なお、
５１３はコ字形ガイド部材５０２，５０３の中間
に設置した鉄板支えであり、これでフープ材１０
Ａ，１０Ｂの中央部を水平に支える。

Ｖカツトプレス６００は、第８図に示すように
上下１対の刃６０１，６０２を装着した可動部６
０３と固定部６０４を２層に配置して構成されて
いる。各層の固定部６０４は上部固定板６０５と
共にガイドポスト６０６を介して一体に結合され
ており、一定、各層の可動部６０３はタイロツド
６０７を介して一体に結合され、スライドベアリ
ング６０８とガイドポスト６０６により案内され
て上下動する。また、各層の可動部６０３は上部
固定板６０５に取り付けられた駆動用シリンダ６
０９のピストンロツド６１０に連結されている。

このＶカツトプレスは、第８図ａに示すように
各層の刃６０１，６０２の間にそれぞれフープ材
１０Ａ，１０Ｂを矢印方向より供給し、共通の駆
動用シリンダ６０９で各層の可動部６０３を固定
部６０４に対し垂直往復運動させることにより、
ヨーク部鉄板のＶカツト加工を２層同時に行な
う。

次に多層切断ユニツト７００について説明す
る。

第９図は多層切断ユニツトのシヤー部を示す
図、第１０図はその駆動機構を示す図であり、シ
ヤー部は上下１対の刃７０１，７０２を装着した
可動部７０３と固定部７０４を２層に配置して構
成されている。各層の固定部７０４は下部固定板
７０５と共にステー７０６を介して一体に結合さ
れており、一方、各層の可動部７０３は下部スラ
イド板７０７と共にタイロツド７０８を介して一
体に結合され、タイロツド７０８とスライドベア
リング７０９によつて上下動を案内される。下部
スライド板７０７には駆動機構のスライド軸７１
０が連結されている。

上記した可動板、固定板の名称はこれら両者の
相対的関係を表わしているだけで、水平方向には
スライド軸７１０の中心をスイング中心Ｏとして
可動部７０３と固定部７０４が一体となつて旋回
運動し、第９図ｃの矢印方向より供給されるフー
プ材１０Ａ，１０Ｂに対して各層の刃７０１，７
０２の傾斜方向をｘ−x′、ｙ−y′のように反転さ
せる。ここで、スイング中心Ｏは鉄板ガイド５０
０により規制されたフープ材１０Ａ，１０Ｂの中
心より所定距離ｅだけ偏心した位置に設定されて
いる。

第１０図に示すようにスライド軸７１０は架台
７１１の下部に取り付けられた駆動用シリンダ７
１２のピストンロツド７１３にカツプリング７１
４を介して連結されており、駆動用シリンダ７１
２の作動により可動部７０３がスライド軸７１
０、スライド板７０７と共に固定部７０４に対し
て垂直往復運動し、各層の刃の間に供給されたフ
ープ材１０Ａ，１０Ｂを２層同時に切断する。

一方、下部固定板７０５は架台７１１の軸受部
７１５によりスライド軸７１０と同心的に支持さ
れた中空軸７１６の上部フランジ７１７に結合さ
れ、中空軸７１６の下部に結合したギヤ７１８に
は架台７１１上のガイド７２０にそつて摺動する
ラツク７１９がかみ合つている。架台７１１上の
駆動用シリンダ７２１によつてラツク７１９が動
かされると、ギヤ７１８が回転し、中空軸７１６
を介して可動部７０３および固定部７０４をスイ
ング動作させる。カツプリング７１４にはスイン
グ時のスライド軸７１０の回転をフリーにするた
めの軸受７２２が内蔵されている。スイング角度
を規制するため中空軸７１６のフランジ下面にス
トツパ７２３が設けられており、刃７０１，７０
２が第９図ｃのｘ−x′およびｙ−y′の位置に来た
とき、ストツパ７２３が鎖線で示すように架台上
面に設けたストツパボルト７２４に当つて停止す
る。したがつて、ストツパボルト７２４によりス
イング角度の微調整が可能である。

第１１図はこの多層切断ユニツト７００と後述
するグリツプフイーダ９００によるＶ相脚部鉄板
の端切断のパターン図である。

多層切断ユニツト７００で同図イに示す最初の
45゜端切断を行なつた後、ロに示すようにフープ
材１０Ａ，１０Ｂの送りを停止したまま多層切断
ユニツト７００を反時計方向に90°スイングさせ
て再び端切断を行なう。次にハに示すようにロー
ルフイーダ３００でフープ材１０Ａ，１０Ｂを図
の右方に所定量送り、これをグリツプフイーダ９
００でクランプした後、多層切断ユニツト７００
を時計方向に90°スイングさせて端切断を行なう。
次に、ニに示すように切断された鉄板をグリツプ
フイーダ９００でクランプした状態で図の右方に
所定距離移動させ、多層切断ユニツト７００を反
時計方向に90゜スイングさせて再び端切断を行な
い、Ｖ相脚部鉄板２を得る。

このように多層切断ユニツト７００のスイング
中心の偏心量ｅをＶ相脚部鉄板のＶ形端部の偏心
量に合わせて設定することにより、第３図ｂに示
す従来方式のようにフープ材をいつたん戻す必要
がなくなり、ロールフイーダを正逆回転させた場
合に生じがちな送り精度の低下が避けられると共
に、ロールフイーダの送り制御も簡単になる。

Ｕ相脚部鉄板１、Ｗ相脚部鉄板３およびヨーク
部鉄板４，５の端切断は従来と同様に行なえる。

図面には省略したが、スイング中心の偏心量ｅ
を調整したい場合には、切断ユニツトの架台７１
１に送りねじ等のスライド機構を付加して、切断
ユニツト全体を鉄板送り方向と直角の方向に必要
量だけ移動させればよい。

残材排出ユニツト８００はＶ相脚部鉄板の切断
時に生じる残材の排出に用いられるもので、第１
２図に示すように多層切断ユニツト７００の左右
両側に配置され、左右ほぼ対称に構成されてい
る。

多層切断ユニツトの架台７１１に中心軸８０１
を立て軸受８０２で回転自在に支持している。こ
の中心軸８０１に水平アーム８０３を固定金具８
０４で上下２段に取り付け、各アーム８０３の先
端にペンシル形シリンダ８０５によつて上下に開
閉されるクランパ８０６を固定金具８０７で取り
付けてある。中心軸８０１の下端は固定枠８０８
に取り付けられた上下動用シリンダ８０９に連結
し、また中心軸８０１にスプライン８１０を介し
て結合されたスプロケツトホイール８１１と左右
の残材排出ユニツトに共通の駆動軸８１２に取り
付けられたスプロケツトホイール８１３との間に
チエン８１４を掛け渡してある。駆動軸８１２上
のギヤ８１５は第１０図に示す多層切断ユニツト
のスイング用ギヤ７１８とかみ合い、これを駆動
源として中心軸８０１が回転駆動されるようにな
つている。

すなわち、駆動軸８１２とギヤ８１５をクラツ
チ８１６により接続すると、多層切断ユニツト７
００が第１２図ａのｘ−x′の位置からｙ−y′の位
置へ反時計方向にスイングする時、これに連動し
て中心軸８０１が時計方向に回転し、水平アーム
８０３は実線図示の位置まで移動してｘ−x′線で
切断された鉄板の端をクランパ８０６で挾みクラ
ンプする。この状態で多層切断ユニツト７００は
ｙ−y′線にそつて鉄板の端を切断する。次に多層
切断ユニツト７００がｘ−x′の位置へ時計方向に
スイングする時、中心軸８０１は反時計方向に回
転し、水平アーム８０３は鎖線図示の位置まで移
動して第１２図ｃにハツチングを施して示す残材
８１７を多層切断ユニツト７００から取り出し、
残材受箱８１８に落下させる。

上下動用シリンダ８０９は、残材を取り出す時
にクランパ８０６を中心軸８０１、水平アーム８
０３と共に若干上昇させて、残材が鉄板の送りを
妨げないようにするためのものである。

この残材排出ユニツトは通常の自重落下やエア
ブロー方式より信頼性が高く、高速切断において
も残材の排出を確実に行なうことができる。

残材排出ユニツトを使用しない時には、クラン
パ８０６を切断ユニツトから離し、クラツチ８１
６を切つておく。

第１３図はＶ相脚部鉄板の切断時に使用するグ
リツプフイーダ９００の詳細図である。

グリツプフイーダの移動フレーム９０１はスタ
ンド９０２，９０３の間に取り付けられたガイド
軸９０４にそつて横移動する。９０５はフレーム
９０１の駆動用シリンダで、スタンド９０２に取
り付けられている。移動フレーム９０１のガイド
ポスト９０６で案内される上下動部９０７はフレ
ーム下部に取り付けられたシリンダ９０８により
駆動される。この上下動部９０７にはフレーム９
０１の移動方向に平行に延びたアーム９０９が取
り付けられており、アーム９０９の先端にある圧
着子９１０とこれに対向してフレーム９０１に固
定されたアーム９１１との間で鉄板をクランプす
る。このアーム９０９とアーム９１１は上下２段
に配設されている。第１３図ｄに拡大して示した
ように圧着子９１０はアーム９０９に上下動でき
るように取り付けられており、アーム９０９の下
降時にばね９１２がたわんで圧着子９１０を鉄板
に押し付け、この状態でフレーム９０１がアーム
９０９，９１１と共に横移動し、クランプした鉄
板を所定距離移動させるようになつている。

このグリツプフイーダはクランプ力を適度に調
整することにより、ロールフイーダにありがちな
滑りをなくし、送り精度を高めることができる。

第１４図はこのグリツプフイーダ９００を組み
込んだ鉄板排出ユニツト１０００の詳細図であ
る。

１００１は多層切断ユニツト７００の出口側に
ある鉄板ガイドで、前出の鉄板ガイド５００と同
様に鉄板を幅方向に挾んでガイドローラ１００
２，１００３を内蔵したコ字形ガイド部材１００
４，１００５を上下２段に配設し、左右のねじを
切つた送りねじ１００６を駆動ギヤ１００７を介
して回転させることにより、コ字形ガイド部材１
００４，１００５を支持しているスライド部１０
０８，１００９が左右対称的に移動し、ガイドロ
ーラ１００２，１００３の間隔を鉄板幅寸法に応
じて調整できるようにしてある。また、コ字形ガ
イド部材１００５に取り付けたシリンダ１０１０
によりコ字形ガイド部材１００５をスライド部１
００９に対し鉄板送り方向に移動させて、鉄板切
断寸法に応じコ字形ガイド部材１００５を多層切
断ユニツト７００に近付けたり離したりすること
ができる。鉄板ガイド１００１の送りねじ１００
６は鉄板ガイド５００の送りねじ５０８と共通の
駆動軸（図示せず）から回転駆動され、ガイドロ
ーラ１００２，１００３とガイドローラ５０４，
５０５の間隔が同時に変化するようになつてい
る。

グリツプフイーダ９００のアーム９０９，９１
１はコ字形ガイド部材１００４，１００５の中間
に鉄板送り方向に平行に配置されている。アーム
９１１とコ字形ガイド部材１００４，１００５の
間には同一駆動軸１０１１から駆動されるベルト
コンベア１０１２，１０１３が上下２段に配設さ
れており、切断された鉄板はこのベルトコンベア
１０１２，１０１３によりグリツプフイーダ９０
０のアーム９０９，９１１の間を通つて多層切断
ユニツト７００から排出され、ベルトコンベア１
０１２，１０１３に接続して設けられた上下２段
の広幅のベルトコンベア１０１４，１０１５によ
り後方（図の右方）に搬送される。上段コンベア
１０１４は下段コンベア１０１５より長さが短い
ので、上段コンベア１０１４で搬送された鉄板は
第１４図ｂの鎖線１０１６で示すように下段コン
ベア１０１５に移り、下段コンベア１０１５で搬
送されて来た鉄板と一諸に送り出される。

第１５図は最終段の鉄板選別ユニツト１１００
の詳細図である。

この鉄板選別ユニツト１１００は切断された鉄
板を形状別に分離する装置で、鉄板送り方向の前
後に開口した中空状のセパレータ１１０１をフレ
ーム１１０２に軸１１０３で枢着してあり、この
セパレータ１１０１をフレーム１１０２に取り付
けた駆動用シリンダ１１０４により第１９図ａの
実線および鎖線で示すように上下に振らせること
により、鉄板排出ユニツト１０００の下段コンベ
ア１０１５から送り出された鉄板はセパレータ１
１０１の中を通つて上段シユート１１０５と下段
シユート１１０６に振り分けられ、ベルトコンベ
ア１１０７，１１０８によつて別々のスタツカ
（図示せず）に積み込まれる。この鉄板選別ユニ
ツトにより脚部鉄板とヨーク部鉄板を分離して次
工程に送ることができる。

上記した各部の動作はコントロールパネル１２
００で設定した鉄板の種類および切断寸法に応じ
て自動的に行なわれる。

以上、本発明の一実施例について説明したが、
本発明はこの実施例に限定されるものでなく、
種々の変形、応用が可能であり、たとえば切断ユ
ニツトの層数をふやし、これに伴つて鉄板分離シ
ユートや鉄板ガイド等の段数をふやせば、３枚ま
たはそれ以上の鉄板の多層同時切断も可能であ
る。また、上記実施例では切断ユニツトとして各
層の刃の向きを同一としたスイングシヤーを使用
しているが、各層の刃を90゜向きを変えて配置し
てもよいし、スイングシヤーの代わりに刃の向き
が異なる２台の多層切断ユニツトを用いて順次に
異方向の端切断を行なつてもよい。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば鉄板の多層
同時切断ができるので、切断能力は２層ならば２
倍、３層ならば３倍というように第２図の従来例
に比べ飛躍的に増加する。

しかも本発明のように、１対の刃を装着した可
動部および固定部を多層に重ねて配置し、一体に
結合した各層の可動部を同一駆動源により各層の
固定部に対して垂直往復運動させる構成とした多
層切断ユニツトを用い、複数枚のフープ材を同時
供給する鉄板供給手段と多段に配設した鉄板ガイ
ドにより上記多層切断ユニツトの各層の刃の間に
それぞれフープ材を供給して多層同時切断を行な
うようにすれば、各層の鉄板切断角度、素材送り
量の違いや各層の刃に対する素材の幅方向のずれ
を最小にして各層の鉄板切断寸法を合わせること
が容易にできる。

したがつて、額縁形鉄心の鉄板切断と鉄心積み
円一貫自動化するに当り本装置を使用すれば、低
損失の額縁形鉄心を効率良く製造することができ
る。また本発明の鉄板切断装置は、鉄板の供給、
切断に必要な駆動源を各層共通とすることができ
るので、設備費も比較的安価になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は額縁形鉄心の代表的な例を示す斜視
図、第２図は額縁形鉄心用の鉄板切断装置の従来
例を示す概要図、第３図はその切断パターン図、
第４図は本発明の一実施例を示す外観図、第５図
はロールフイーダの内部機構を示す図で、ａは側
面図、ｂは正面図、第６図は鉄板分離シユートの
詳細図で、ａは平面図、ｂは側面図、ｃは動作説
明図、第７図は鉄板ガイドの詳細図で、ａは平面
図、ｂは正面図、ｃはその部分拡大図、第８図は
Ｖカツトプレスの詳細図で、ａは平面図、ｂは一
部切断した側面図、第９図は多層切断ユニツトの
シヤー部の詳細図で、ａは一部切断した正面図、
ｂは切断側面図、ｃは平面図、第１０図は多層切
断ユニツトの駆動機構の詳細図で、ａは切断正面
図、ｂは平面図、第１１図はこの鉄板切断装置に
よるＶ相脚部鉄板の切断パターン図、第１２図は
残材排出ユニツトの詳細図で、ａは平面図、ｂは
その矢印Ａ方向から見た一部切断側面図、ｃは動
作説明図、第１３図はグリツプフイーダの詳細図
で、ａは平面図、ｂは正面図、ｃはａ図のＢ−Ｂ
線より矢印方向に見た側面図、ｄは部分拡大断面
図、第１４図はグリツプフイーダを組み込んだ鉄
板排出ユニツトの詳細図で、ａは平面図、ｂは側
面図、第１５図は鉄板選別ユニツトの詳細図で、
ａは切断側面図、ｂはセパレータの斜視図であ
る。 １０Ａ，１０Ｂ……フープ材、３００……鉄板
供給手段であるロールフイーダ、３０１，３０２
……駆動ロール、３０５，３０６……ギヤ、３０
４……駆動モータ、５００……鉄板ガイド、５０
２，５０３……コ字形ガイド部材、５０４，５０
５……ガイドローラ、５０６，５０７……ガイド
部材を支持するスライド部、５０８……送りね
じ、７００……多層切断ユニツト、７０１，７０
２……刃、７０３……可動部、７０４……固定
部、Ｏ……スイング中心、７１０……スライド
軸、７１２……可動部７０３の駆動用シリンダ、
７１８……スイング用ギヤ、７１９……スイング
用ラツク、７２１……ラツク７１９の駆動用シリ
ンダ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ １対の刃を装着した可動部および固定部を多
   層に重ねて配置し、一体に結合した各層の可動部
   を同一駆動源により各層の固定部に対して垂直往
   復運動させる構成とした多層切断ユニツトを備
   え、複数枚のフープ材を同時供給する鉄板供給手
   段と多段に配設した鉄板ガイドにより上記多層切
   断ユニツトの各層の刃の間にそれぞれフープ材を
   供給し、各層同時に切断するようにした鉄板切断
   装置。 ２ 多層切断ユニツトは鉄板長手方向に対する刃
   の傾斜方向を反対とするように各層の可動部およ
   び固定部を同時に旋回運動させるスイング機構を
   有することを特徴とする特許請求の範囲１項記載
   の鉄板切断装置。 ３ 多層切断ユニツトのスイング中心が鉄板幅方
   向の中心より偏心した位置に設定されていること
   を特徴とする特許請求の範囲２項記載の鉄板切断
   装置。 ４ 鉄板供給手段が連動回転する１対の駆動ロー
   ルを有するロールフイーダであることを特徴とす
   る特許請求の範囲１項記載の鉄板切断装置。 ５ 鉄板ガイドはフープ材を幅方向に挾んで両側
   に配設されたガイド部材を有し、片側のガイド部
   材はその支持部に固定し、反対側のガイド部材と
   その支持部との間にはこのガイド部材をフープ材
   の側縁に向つて押圧するばねが介装されているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲１項記載の鉄板切
   断装置。