JPH02626Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は断熱構造の改良をはかつた断熱箱体に
関する。

（従来の技術） 冷蔵庫の断熱箱体としては、外箱と内箱からな
る箱殻内に発泡製ウレタン等の発泡性断熱材を発
泡充填幹させるようにしたものが一般的である
が、近時、冷蔵庫内容積の大容量化にともなう断
熱箱体の省スペース化と省電力のための断熱効果
の向上とを図るべく真空断熱によるものが考えら
れている。そして、この真空断熱による断熱箱体
としては、従来より、プラスチツク製の袋状容器
内に軽量で且つ熱伝導率の小なる無機質粉末を充
填した後その袋状容器内を真空状態にしてなる断
熱パネルを箱殻内に収納する構成のものが試みら
れている。

（考案が解決しようとする課題） 従来のものでは、剛性を保持するために袋状容
器を強固にする必要があり、このため、袋状容器
が重量化し高価になる問題がある。

また、断熱箱体には冷媒パス用のパイプ及びリ
ード線等の挿通部材が挿通されるようになるが、
上記真空断熱の構成では袋状容器の真空状態を確
保すべく複雑な気密構造が要求される問題があ
る。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、そ
の目的は、省スペース化及び断熱効果の向上を図
りつつも軽量にして安価になし得る断熱箱体を提
供するにある。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 本考案の断熱箱体は、左、右両側部に側壁空間
部を有し且つ背部に背壁空間部を有する箱殻を設
け、この箱殻の背部にこれを貫通するように挿通
部材を配設し、剛体の連続気泡体をフイルムで覆
い且つその内部を略真空状態にしてなる断熱パネ
ルを前記箱殻の側壁空間部にその前、後端部との
間に充填材を介在させて収納し、そして、前記箱
殻における前記挿通部材の挿通部分を含む背壁空
間部に端面が前記断熱パネルに密着するようにし
て発泡性断熱材を発泡充填させる構成に特徴を有
する。

（作用） 本考案の断熱箱体によれば、箱殻の側壁空間部
に収納された断熱パネルは剛体の連続気泡体を芯
材としているので、充分な強度が得られて、フイ
ルムに剛性をもたせる必要がなくなるとともに、
内部を略真空状態としているので、断熱効果の向
上を図ることができ、従つて、断熱壁の薄形化を
達成し得て全体としての省スペース化及び軽量化
を図ることができる。又、箱殻の背壁空間部にそ
の挿通部材の挿通部分を含んで発泡性断熱材を発
泡充填させるようにしたので、前記挿通部分に真
空状態を保つための複雑な気密構造を施す必要が
なくなる。そして、箱殻の背壁空間部内に発泡充
填された発泡性断熱材の端面を側壁空間部に収納
された断熱パネルに密着させるようにしたので、
全体としての強度を一層大とすることができる。

（実施例） 以下本考案を冷蔵庫の断熱箱体に適用した一実
施例につき図面を参照しながら説明する。

１は箱殻であり、これは、前面を開放した外箱
２内にこれも前面を開放した内箱３を配設して形
成され、左、右両側部に側壁空間部４，４及び背
部に背壁空間部５が形成されている。６は断熱パ
ネルであり、これは、次のように構成される。即
ち、アルミニウムを蒸着してなるプラスチツク製
のフイルム７を矩形の袋状にして図示しない成形
治具内に収納し、そのフイルム７内に５％程度の
ブタジエン、シリコン、塩化メチレン等の破泡剤
を加えた硬質ウレタンフオームの原液を注入孔７
ａより注入発泡して固化させることにより連続気
泡体８とする。この場合、硬質ウレタンフオーム
は通常発泡状態では独立気泡体ではあるが、発泡
時に前述したような破泡剤を加えることにより気
泡殻の一部が破壊され、以て、全体の気泡が連続
連通状態の所謂オープンカプセルと称される剛体
の連続気泡体８となるものである。その後、フイ
ルム７内を注入孔７ａを介して略真空状態にし、
その注入孔７ａを封止部材９により封止する。そ
して、このように構成された二個の断熱パネル
６，６は箱殻１の側壁空間部４，４内にその前端
部及び後端部との間に夫々接着剤若しくは発泡性
接合剤等の充填材１０を介在させて収納される。
而して、前記箱殻１の背壁空間部５にはこれを貫
通するようにして冷媒パスたるパイプ１１，１１
及びリード線１２等の挿通部材が挿通されるよう
になつており、このパイプ１１，１１及びリード
線１２等の挿通部分を含む背壁空間部５には発泡
性断熱材たる発泡性ウレタン１３が原液の状態で
注入されることにより発泡充填され、両端面が断
熱パネル６，６の後端部側面に密着するものであ
る。

このような本実施例によれば、次のような効果
を奏するものである。即ち、断熱パネル６とし
て、剛体の連続気泡体８を芯材としてこれをプラ
スチツク製のフイルム７で覆うようにしてその内
部を略真空とすることにより形成するようにした
ので、従来の袋状容器に相当するフイルム７とし
ては剛性を必要としないものであり、従つて、そ
れだけ断熱箱体としては断熱壁の薄形化を達成し
得て全体としての省スペース化及び断熱効果の向
上を図りつつも軽量化にして安価になし得るもの
である。更に、箱殻１のパイプ１１，１１及びリ
ード線１２の挿通部分を含む背壁空間部５には発
泡性ウレタン１３を発泡充填させるようにしたの
で、断熱パネル６の真空状態が破られるようなこ
とはなく、従つて、断熱パネル６の真空状態を確
保するような複雑な気密構造を施す必要もない。
しかも、発泡性断熱材１３の両端面を断熱パネル
６，６の後端部側面に密着させるようにしたの
で、全体としての強度を一層大にすることができ
る。

尚、本考案は上記し且つ図面に示す実施例にの
み限定されるものではなく、例えば冷蔵庫の断熱
箱体に限らず貯蔵庫の断熱箱体全般に適用し得る
等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変形して実施
し得ることは勿論である。

［考案の効果］ 本考案の断熱箱体は以上説明したように、剛体
の連続気泡体をフイルムで覆うようにしてその内
部を略真空にしてなる断熱パネルを用い、そし
て、挿通部材の挿通部分には発泡性断熱材を発泡
充填させて、その端面を断熱パネルに密着させる
ようにしたので、省スペース化及び断熱効果の向
上を図りつつも軽量にして安価になし得、更に、
断熱パネルに挿通部材による真空状態の確保のた
めの気密構造の必要性をなくすことができ、しか
も、全体としての強度を大にすることができる
等、種々の実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を冷蔵庫の断熱箱体に適用した一
実施例を示し、第１図は全体の斜視図、第２図は
同横断面図、第３図は断熱パネルの断面図であ
る。 図面中、１は箱殻、２は外箱、３は内箱、４は
側壁空間部、５は背壁空間部（挿通部分）、６は
断熱パネル、７はフイルム、８は連続気泡体、１
０は充填材、１１及び１２はパイプ及びリード線
（挿通部材）、１３は発泡性ウレタン（発泡性断熱
材）を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左、右両側部に側壁空間部を有し且つ背部に背
   壁空間部を有する箱殻と、この箱殻の背部にこれ
   を貫通するように配設された挿通部材と、前記箱
   殻の側壁空間部にその前、後端部との間に充填材
   を介在させて収納され剛体の連続気泡体をフイル
   ムで覆い且つその内部を略真空状態にしてなる断
   熱パネルと、前記箱殻における前記挿通部材の挿
   通部分を含む背壁空間部に注入されて発泡充填さ
   れ端面が前記断熱パネルに密着する発泡性断熱材
   とを具備してなる断熱箱体。