JPH025099Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内燃機関用スタータモータを保護す
る装置に関するものである。

［従来の技術］ 内燃機関用スタータモータを保護する装置とし
て、機関の回転数を検出して回転数が所定値に達
した時にスタータモータへの通電を強制的に遮断
してスタータモータのオーバランを防止するよう
にしたものがある。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、この種の保護装置を設けても、
始動時に歯車の食込み等の機械的原因でスタータ
モータがロツクして該モータが回転しなかつた場
合には、スタータモータの電機子コイルにロツク
電流が流れ続けて該モータが焼損するという問題
があつた。

本考案の目的は、スタータモータがロツクした
場合に該モータが焼損するのを防止した内燃機関
用スタータモータ保護装置を提供することにあ
る。

［問題点を解決するための手段］ 本考案の一実施例を示す第１図を参照して説明
すると、同図において１は内燃機関用スタータモ
ータ、２は内燃機関の始動時に閉じられるスター
タスイツチ、３はタイマ回路であり、該タイマ回
路はスタータスイツチ２が閉じられた時に時限動
作を開始する。４はスタータ駆動用スイツチ回路
で、該スイツチ回路４はスタータスイツチ２が閉
じていてタイマ回路３が時限動作を行つている間
導通状態を保持してバツテリ５からスタータモー
タ１に電流を供給する。６はリセツト回路で、こ
のリセツト回路は内燃機関用点火装置７の点火動
作を検出して点火動作が行われる毎にタイマ回路
３をリセツトしてタイマ回路３の時限動作が終了
するのを阻止する。

尚８は機関を始動する際に閉じられるイグニツ
シヨンスイツチで、この例ではスタータスイツチ
２がこのイグニツシヨンスイツチ８を通してバツ
テリ５に接続されている。

［考案の作用］ 上記の保護装置において、スタータスイツチ２
が閉じられると、タイマ回路３が時限動作を開始
し、スタータ駆動用スイツチ４を導通させる。従
つてバツテリ５からスタータ駆動用スイツチ回路
４を通してスタータモータ１に電流が流れ、該ス
タータモータ１が回転する。スタータモータ１の
回転により機関が回転させられるため、点火装置
７が点火動作を行う。リセツト回路６はこの点火
装置の点火動作を検出し、点火動作が行われる毎
にタイマ回路３をリセツトして該タイマ回路の時
限動作が終了するのを阻止する。従つて、スター
タモータ１が正常に回転していて点火動作が行わ
れている限り、タイマ回路３は時限動作を継続
し、スタータモータ１に電流を供給し続ける。こ
れにより機関の始動は支障無く行われる。

これに対し、スタータスイツチ２が閉じられて
スタータモータ１への通電が行われたにも拘らず
該スタータモータ１が歯車の食込み等の機械的原
因により回転しなかつたとすると、点火装置７が
点火動作を行わないため、リセツト回路６はタイ
マ回路３をリセツトしない。従つてスタータスイ
ツチ２が閉じられた後タイマ回路３が時限動作を
終了するとスタータ駆動用スイツチ回路４が遮断
状態になる。従つてスタータスイツチ２が閉じた
後所定の時間（タイマ回路３の動作時限）が経過
するとスタータモータ１への通電が停止され、該
スタータモータ１にロツク電流が流れ続けるのが
防止される。

このように、本考案においては、始動操作を行
つた後機械的な原因でスタータモータが回転しな
かつた場合にスタータモータにロツク電流が流れ
続けるのを防止できるので、スタータモータが焼
損するのを防ぐことができる。

［実施例］ 以下添附図面を参照して本考案の実施例を説明
する。

第２図は本考案の一実施例を示したもので、本
実施例においては、バツテリ５の負極が接地さ
れ、該バツテリの正極にイグニツシヨンスイツチ
８の一端が接続されている。イグニツシヨンスイ
ツチ８の他端には点火コイル７０１の１次コイル
７０１ａの一端が接続され、１次コイル７０１ａ
の他端にはエミツタが接地されたNPNトランジ
スタ７０２のコレクタが接続されている。点火コ
イル７０１の２次コイル７０１ｂの一端は１次コ
イル７０１ａの他端に接続され、２次コイル７０
１ｂの他端と接地間に図示しない機関の気筒に取
付けられた点火プラグ７０３が接続されている。
点火コイル７０１、トランジスタ７０２、点火プ
ラグ７０３及びトランジスタ７０２を制御する図
示しない制御回路により内燃機関用点火装置７が
構成されている。トランジスタ７０２は図示しな
い制御回路により機関の点火位置より位相が進ん
だ位置でベース電流が与えられて導通し、機関の
点火位置でベース電流が遮断されて遮断状態にな
る。このトランジスタ７０２の遮断によりバツテ
リ５から１次コイル７０１ａを通して流れていた
電流が遮断されるため、点火コイル７０１の２次
コイル７０１ｂに高電圧が発生し、点火プラグ７
０３に火花が発生して機関が点火される。

スタータスイツチ２はその一端がイグニツシヨ
ンスイツチ８を通してバツテリ５の正極に接続さ
れ、スタータスイツチ２の他端にダイオード３０
１のアノードが接続されている。ダイオード３０
１のカソードに抵抗３０２を介してツエナーダイ
オード３０３のカソードが接続され、該ツエナー
ダイオードのアノードは接地されている。ツエナ
ーダイオード３０３のカソードには抵抗３０４の
一端が接続され、該抵抗３０４の他端と接地間に
コンデンサ３０５が接続されている。ツエナーダ
イオード３０３のカソードにはまた抵抗３０６の
一端が接続され、抵抗３０６の他端と接地間に抵
抗３０７が接続されている。コンデンサ３０５の
端子電圧は比較器３０８の正相入力端子に入力さ
れ、抵抗３０５の端子電圧（基準電圧）比較器３
０８の逆相入力端子に入力されている。抵抗３０
４の両端にはアノードをコンデンサ３０５側に向
けたダイオード３０９が並列接続されている。ダ
イオード３０１，３０９、抵抗３０４，３０６，
３０７、コンデンサ３０５、ツエナーダイオード
３０３及び比較器３０８によりタイマ回路３が構
成されている。

このタイマ回路においては、イグニツシヨンス
イツチ８が閉じられ、スタータスイツチ２が閉じ
られた時にバツテリ５からダイオード３０１、抵
抗３０２及び抵抗３０４を通してコンデンサ３０
５が一定の時定数で充電される。コンデンサ３０
５の端子電圧が抵抗３０７の両端に得られる基準
電圧以下の時には比較器３０８の出力段が導通状
態にあり、コンデンサ３０５の端子電圧が抵抗３
０７の両端の基準電圧を超えた時に比較器３０８
の出力段が遮断状態になる。

ダイオード３０１のカソードにはNPNPトラ
ンジスタ４０１のエミツタが接続され、トランジ
スタ４０１のコレクタには電磁接触器４０２の励
磁コイル４０２ａの一端が接続されている。励磁
コイル４０２ａの他端は接地され、該励磁コイル
４０２ａの両端にアノードを接地側に向けたダイ
オード４０３が並列接続されている。電磁接触器
４０２は励磁コイル４０２ａが励磁されている間
閉じる接点４０２ｂを有し、一端が接地されたス
タータモータ１の電機子の非接地側端子が該接点
４０２ｂを介してバツテリ５に接続されている。
トランジスタ４０１のベースは抵抗４０４を介し
て比較器３０８の出力端子に接続され、コンデン
サ３０５の端子電圧が抵抗３０７の両端の基準電
圧未満で比較器３０８の出力段が導通状態にある
時に、バツテリ５からイグニツシヨンスイツチ
２、ダイオード３０１及び比較器３０８の出力段
を通してトランジスタ４０１にベース電流が流れ
て該トランジスタ４０１が導通するようになつて
いる。トランジスタ４０１、電磁接触器４０２、
ダイオード４０３及び抵抗４０４によりスタータ
駆動用スイツチ回路４が構成されている。

コンデンサ３０５の非接地側端子３０５にはエ
ミツタを接地したNPNトランジスタ６０１のコ
レクタが接続され、トランジスタ６０１のベース
エミツタ間に抵抗６０２が接続されている。トラ
ンジスタ６０１のベースにはまた抵抗６０３の一
端が接続され、該抵抗６０３の他端にツエナーダ
イオード６０４のアノードが接続されている。ツ
エナーダイオード６０４のカソードにはダイオー
ド６０５のカソードが接続され、該ダイオード６
０５のアノードが点火装置７のトランジスタ７０
２のコレクタに接続されている。この実施例で
は、トランジスタ６０１、抵抗６０２，６０３、
ツエナーダイオード６０４及びダイオード６０５
によりリセツト回路６が構成されている。

次に上記実施例の動作を説明する。機関を始動
させるに当たり、イグニツシヨンスイツチ８を閉
じ、スタータスイツチ２を閉じると、バツテリ５
からスイツチ８及び２とダイオード３０１と抵抗
３０２及び３０４とを通してコンデンサ３０５が
一定の時定数で図示の極性に充電される（時限動
作が行なわれる）。このコンデンサ３０５の端子
電圧と抵抗３０７の両端に得られる基準電圧とは
比較器３０８に入力されて比較され、コンデンサ
３０５の端子電圧が抵抗３０７の両端の基準電圧
以下の場合には比較器３０８の出力段が導通状態
になつている。コンデンサ３０５の充電が進み、
該コンデンサ３０５の端子電圧が抵抗３０７の両
端の基準電圧を超えると（タイマ回路の時限動作
が終了すると）比較器３０８の出力段が遮断状態
になる。すなわち、タイマ回路３においては、時
限動作が行われている間比較器３０８の出力段が
導通状態になり、時限動作が終了すると比較器３
０８の出力段が遮断状態になる。

タイマ回路３の時限動作が行われている間バツ
テリ５からスイツチ８，２、ダイオード３０１、
トランジスタ４０１のエミツタベース、抵抗４０
４及び比較器３０８の出力段を通してトランジス
タ４０１にベース電流が流れ、該トランジスタ４
０１が導通する。この時バツテリ５からダイオー
ド３０１及びトランジスタ４０１のエミツタコレ
クタを通して励磁コイル４０２ａに電流が流れ
る。従つてタイマ回路３が時限動作を行つている
間電磁接触器４０２の接点が閉じ、スタータモー
タ１に通電される。これによりスタータモータ１
が回転し、機関が回転させられる。機関が回転さ
せられると、該機関に取付けられた信号発電機が
出力を発生して図示しない制御回路がトランジス
タ７０２にベース電流を供給するため、トランジ
スタ７０２が導通状態になり、バツテリ５から点
火コイル７０１の１次コイル７０１ａ及びトラン
ジスタ７０２を通して大きな１次電流が流れる。
次いで機関の点火時期に制御回路がトランジスタ
７０２のベース電流を遮断するため、該トランジ
スタ７０２が遮断状態になつて１次電流を遮断
し、点火コイル７０１の２次コイルに高電圧を誘
起させる。この時点火プラグ７０３に火花が生
じ、機関が点火される。トランジスタ７０２が遮
断した時には１次コイル７０１ａに１次電流を流
し続けようとする向きの電圧が誘起するため、ダ
イオード６０５、ツエナーダイオード６０４及び
抵抗６０３を通してトランジスタ６０１にベース
電流が流れ、該トランジスタ６０１導通する。従
つてタイマ回路３のコンデンサ３０５の電荷がト
ランジスタ６０１を通して瞬時に放電してタイマ
回路３がリセツトされ、該タイマ回路３が最初の
状態に戻される。このようにして、タイマ回路３
は点火動作が行われる毎にリセツトされるため、
スタータスイツチ２が閉じられていてスタータモ
ータが回転している限り該タイマ回路が時限動作
を継続し、トランジスタ４０１を導通状態に保持
する。従つて電磁接触器４０２が導通状態に保持
され、スタータモータが回転状態に保持される。
機関が始動した後スタータスイツチ２を開くと、
電磁接触器４０２への通電が遮断されるため、そ
の接点４０２ｂが開いてスタータモータ１が停止
する。

スタータスイツチ２を閉じ、電磁接触器４０２
の接点４０２ｂが閉じてスタータモータ１への通
電が行われた後、何等かの原因でスタータモータ
１が回転できなかつたとすると、機関が回転せ
ず、信号発電機が出力を生しないため、点火装置
７のトランジスタ７０２を導通しない。従つてリ
セツト回路６のトランジスタ６０１は導通せず、
タイマ回路３のコンデンサ３０５は継続的に充電
される。コンデンサ３０５の充電が進み、その端
子電圧が抵抗３０７の両端の基準電圧を超えると
比較器３０８の出力段が遮断状態になり、トラン
ジスタ４０１のベース電流が遮断される。従つて
トランジスタ４０１が遮断状態になり、電磁接触
器４０２の接点４０２ｂが開いてスタータモータ
１への通電が遮断される。従つてスタータモータ
１にロツク電流が流れ続けるのが阻止され、スタ
ータモータ１の破損が防止される。

上記タイマ回路３の動作時限は、スタータスイ
ツチ２が閉じられた後点火装置７が点火動作を行
なうまでの時間よりは長く、且つスタータモータ
１にロツク電流が流れた場合にスタータモータが
破損するまでの時間よりは充分短い長さ（通常は
約１秒）に設定しておく。

上記の実施例では、内燃機関用点火装置７とし
て電流遮断式のものが用いられているが、コンデ
ンサ放電式等他の形式の点火装置が用いられる場
合にも本考案を適用することができる。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、始動操作を行
つた後何等かの原因でスタータモータが回転しな
かつた場合にスタータモータにロツク電流が流れ
続けるのを防止できるので、スタータモータが焼
損するのを防ぐことができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の全体的な構成を示すブロツク
図、第２図は本考案の一実施例を示す回路図であ
る。 １……スタータモータ、２……スタータスイツ
チ、３……タイマ回路、４……スタータ駆動用ス
イツチ回路、５……バツテリ、６……リセツト回
路、７……内燃機関用点火装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内燃機関の始動時に閉じられるスタータスイ
   ツチと、前記スタータスイツチが閉じられた時
   に時限動作を開始するタイマ回路と、前記スタ
   ータスイツチが閉じていて前記タイマ回路が時
   限動作を行つている間導通状態を保持してバツ
   テリから前記スタータモータに電流を供給する
   スタータ駆動用スイツチ回路と、内燃機関用点
   火装置の点火動作を検出して点火動作が行われ
   る毎に前記タイマ回路をリセツトして前記タイ
   マ回路の時限動作が終了するのを阻止するリセ
   ツト回路とを具備したことを特徴とする内燃機
   関用スタータモータ保護装置。 (2) 前記スタータ駆動用スイツチ回路は、前記ス
   タータスイツチが閉じ前記タイマ回路が時限動
   作を行つている間導通状態を保持する半導体ス
   イツチと、前記半導体スイツチが導通している
   時に該半導体スイツチと前記スタータスイツチ
   とを通して励磁電流が流れる励磁コイル及び前
   記励磁コイルが励磁されている時に閉じて前記
   バツテリから前記スタータモータに電流を流す
   接点を備えた電磁接触器とからなつていること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に
   記載の内燃機関用スタータモータ保護装置。 (3) 前記タイマ回路は前記バツテリから前記スタ
   ータスイツチを通して一定の時定数で充電され
   るコンデンサと、前記コンデンサの端子電圧を
   基準電圧と比較する比較回路とからなつている
   実用新案登録請求の範囲第１項または第２項に
   記載の内燃機関用スタータモータ保護装置。 (4) 前記リセツト回路は、前記内燃機関用点火装
   置が点火動作を行つた際に該点火装置の回路に
   誘起する電圧を検出して導通するリセツト用ス
   イツチを備え、該リセツト用スイツチが前記タ
   イマ回路のコンデンサに対して並列に接続され
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第３項に記載の内燃機関用スタータモータ保
   護装置。