JPH0238950Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は二重撚糸機に関する。

〔考案の背景〕

上記二重撚糸機の構成を簡単に言えば、給糸パ
ーンを載置し静止している静止体と、該静止体の
外側にあつてスピンドル回転と共に回転する回転
体とより成り、給糸パーンから解じよされた糸は
スピンドル軸心内を通り、回転体の糸導孔から外
部に出て該回転体に数回巻付いた後にバルーンニ
ングして撚が付与される。

さて、上記糸のバルーンニングに関してである
が、給糸する糸種により糸のバルーンニングの広
がりに多少の差異があることは従来より知られて
いる。すなわち、太さの細い糸の場合、あるいは
回転体の回転が低速の場合には、バルーンの広が
りがほとんど形成されない場合があり、形成され
ても２、３段のバルーンを有す崩れたバルーンと
なる場合もあつた。その場合、走行する糸は給糸
パーン表面等に接触することもあり、糸にとつて
は不利な状態となつていた。また一方、太さの太
い糸の場合、あるいは上記回転が高速の場合には
バルーンが広がりすぎる傾向になり、隣接する錘
まで広がり支障をきたすことがあつた。

すなわち、従来給糸する糸種や回転体の回転速
度にはある一定の制限があり、しかもその限られ
た範囲はほんの僅かなものでしかなく、多種の給
糸を行う時には、その度設計変更が必要とされて
いた。

本考案は上記問題点を解消することを目的とし
ている。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、円筒状の糸溜円盤部と、該糸溜円
盤部の上端から上方に開いた円錘状部と、該円錘
状部の上端から水平方向外側に延設し該円錘状部
に着脱可能に設置した鍔部とより成る回転体をス
ピンドル軸に固定したものである。

〔作用〕

上記鍔部の径の大きさによりバルーンの形状は
左右される。したがつて、径の異なる鍔部を数種
類用意しておき、糸種が変わつた場合は鍔部の取
り替えによりバルーン形状を所望する形状にす
る。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第３図は本考案に係る二重撚糸機の構造を示
し、本二重撚糸機はフレーム１上に固定された台
座２、該台座２上に回転自在に支持された回転体
３、および該回転体３上に支持された静止体４か
ら基本的に構成される。静止体４は筒状のテンシ
ヨン装置５と静止デイスク６とリング７とからな
り、静止デイスク６は回転体３上にベアリング８
によつて回転自在に支持され、テンシヨン装置５
は静止デイスク６の中央に着脱可能に装着され、
更にリング７は静止デイスク外周に螺子９で固定
されている。リング７の内周には磁石１１が固着
され、またフレーム１には支持プレート１２を介
して別の磁石１３が固定されていて、両磁石１
２，１３が相互に磁気的に吸引し合うことによ
り、上記静止体４は回転体３が回転しても静止状
態を保つ様になつている。テンシヨン装置５はキ
ヤツプ状の上部テンサ体１４を筒形の下部テンサ
体１５の上端に着脱可能に嵌合したものとなつて
おり、パーン型の給糸パーンＢはその紙管１６を
下部テンサ体１５の外周に沿つて挿着され、静止
デイスク６上に立姿勢で支持される。両テンサ体
１４，１５および静止デイスク６の各中央には上
下に貫通する糸通路１７が直線状に形成されてお
り、前記回転体３には上記糸通路１７と連通する
糸導孔１８が形成されていて、給糸パーンＢから
引出された糸Ｙは上部テンサ体１４上に載置され
たリングテンサ１９を介して上記テンサ体１４の
上端から糸通路１７へと入り、下部テンサ体１５
内に設けたボールテンサ２１を経て下降した後、
糸導孔１８から外部に導出される。回転体３は中
央部の糸貯溜デイスク２２と該デイスク２２の周
縁から上広がり円錘形に延びる回転デイスク２３
および糸貯溜デイスク２２の下端に固着されたワ
ーブ２４とに分けられ、上記糸導孔１８は糸貯溜
デイスク２２の内部でその半径方向にＬ字形に屈
曲して形成される。回転体３はワーブ２４に走行
ベルト２５が接触することによつて回転され、こ
のとき糸導孔１８の出口２６から出た糸Ｙは旋回
して回転デイスク２３の周囲に沿つて少し巻付き
ながら上昇し、給糸パーンＢの周りでバルーン２
７を描いた後、上部テンサ体１４の直上にある糸
ガイド２８を通つて図示しないパツケージに巻取
られる。

上記回転体３の回転デイスク２３の上端にはド
ーナツツ盤状の鍔部３０が螺着３１されている。
該鍔部３０は外周に行くにつれ上方に傾斜してお
り、低比重の材質、例えば「エンジニアリングプ
ラスチツク」または「アルミニユーム合金」等で
形成されている。該鍔部３０は外径Ｄを有し、該
外径Ｄの異なる数種の鍔部を予め用意しておき、
糸種等に応じて該鍔部を取り替える。なお、３２
はスピンドルを示している。

糸導孔１８の出口２６から出た糸Ｙは糸貯溜デ
イスク２２および回転デイスク２３の周囲に数回
巻き付いた後、回転デイスク２３との接触から離
れ、鍔部３０の外周で案内され給糸パーンＢの周
りでバルーン２７を描く。該バルーン２７の広が
りは上記鍔部３０の径Ｄにより変化する。すなわ
ち、第２図に示すように、鍔部３０の外径の長い
ものの方３０ａがより大きなバルーンを描き、鍔
部３０の外径の短いものの方３０ｂがより小さな
バルーンを描くことになる。なお、該鍔部３０に
は上記した低密度の材質を用いているので、大小
により生じる回転アンバランスの差異を少なくし
ている。

したがつて、細い糸あるいは低速回転の場合に
は、より外径の長い鍔部３０ａを装着し、また太
い糸あるいは高速回転の場合には、より外径の短
い鍔部３０ｂを装着して、バルーンの広がりをコ
ントロールすることができる。なお、上記鍔部の
取付けは、螺着だけでなく、スプリング力止めや
しまりばね止め等の取付け方法が考えられる。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、設備費が微かでかつ簡単な着脱作業により、
同一装置で多種の給糸の撚糸が可能となつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る回転体を示す縦断正面
図、第２図は第１図におけるＸ部拡大図、第３図
は本考案に係る二重撚糸機を示す一部縦断正面図
である。 ３……回転体、２２……糸貯溜デイスク（糸溜
円盤部）、２３……回転デイスク（円錘状部）、３
０……鍔部、３１……螺子、３２……スピンド
ル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒状の糸溜円盤部と、該糸溜円盤部の上端か
   ら上方に開いた円錘状部と、該円錘状部の上端か
   ら水平方向外側に延設し該円錘状部に着脱可能に
   設置した鍔部とより成る回転体をスピンドル軸に
   固定したことを特徴とする二重撚糸機。