JPH0238216Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、例えばストーブなどとして用いられ
るバーナ装置の不燃状態ないし不完全燃焼状態を
確実に検知させる技術に関する。

【従来の技術】

従来のバーナ装置にあつては、多数の小孔を有
し背面側から前面側へガスを通過させるバーナ板
と赤熱されて熱線を輻射する輻射板とを対向させ
てバーナ板前面と輻射板背面との間にガスの燃焼
室を形成すると共に燃焼室の下面側に二次空気取
入口を設け、バーナ板の前面下端部に不燃検知用
の熱電対を配設してあつたが、熱電対は燃焼室内
に露出しており、下面側から流入してくる二次空
気に触れる構造となつていた。

【考案が解決しようとする問題点】 従来のバーナ装置は、上述のような構造をして
いたので、バーナ板の背面で供給されガスと混合
される一次空気の吸引量が不足し、燃焼室の全体
でガスが不完全燃焼もしくは不燃状態となつてい
る場合でも、熱電対のすぐ下の二次空気取入口か
ら二次空気が導入されているために熱電対の近傍
でだけはガスが完全燃焼しており、熱電対による
ガスの不燃状態もしくは不完全燃焼の検知を確実
に行えないという問題があつた。さらに、熱電対
が露出しているために下方の二次空気取入口から
流入する二次空気により熱電対が冷却され、熱電
対の検知に誤差を生じるという問題があつた。

【問題点を解決するための手段】

本考案バーナ装置の不燃検知構造は、多数の小
孔１を有し背面側から前面側へガスを通過させる
バーナ板２と赤熱されて熱線を輻射する輻射板８
とを対向させてバーナ板２前面と輻射板８背面と
の間にガスの燃焼室９を形成すると共に燃焼室９
の下面側に二次空気取入口３を設け、バーナ板２
の前面下端部に不燃検知用の熱電対１３を配設
し、熱電対１３を不燃エレメント１１で覆つて熱
電対１３を二次空気から遮断して成ることを特徴
とするものである。

【作用】

上述の如く不燃検知用の熱電対１３を不燃エレ
メント１１により二次空気から遮断したので、一
次空気が不足している場合には熱電対１３により
不完全燃焼もしくは不燃状態を確実に検知できる
ものである。即ち、一次空気が不足しているにも
拘わらず二次空気によつて熱電対１３の近傍での
みガスが完全燃焼するというようなことがなくな
り、熱電対の検知能力を高めることができるので
ある。しかも、熱電対１３が不燃エレメント１１
により覆われていることで、二次空気取入口３か
ら導入される二次空気により熱電対１３が冷却さ
れることがなく、冷却による検知誤差をなくすこ
とができるのである。

【実施例】

本考案の実施例を添付図に基いて詳述する。バ
ーナ板２はセラミツク製の面状体で縦に立てて使
用されるものであり、周縁を除くほぼ前面におい
て多数の小さな小孔１が穿孔され、前面には多数
の凹凸が形成されており、この小孔１を通してバ
ーナ板２のほぼ全体からガスが背面から前面へ向
けて面状に通過できるようになつている。バーナ
板２の下方では小孔１は大きな開口率となつてお
り、上方では小さな開口率となつており、一方、
バーナ板２の上部には幅広の無孔部７が設けられ
ている。ケーシング６内には減圧室５が設けられ
ており、上記バーナ板２は減圧室５の前面開口に
取り付けられていて減圧室５の前面開口を塞いで
いる。しかして、燃焼用のガスはガス配管（図示
せず）を通じて導入孔４より減圧室５内に送り込
まれてガス圧を下げられ、同時にガスには一次空
気が混合される。更に、バーナ板２の前方には間
隙を隔ててセラミツク製の輻射板８がケーシング
６に取り付けられており、バーナ板２と輻射板８
との間の間隙はガスの燃焼室９となつている。こ
の種のバーナ装置ではバーナ板２と輻射板８との
間の燃焼室９内にガスを充満させて燃焼させる構
造となつており、高いガス圧は必要なく、却つて
ガス圧を高くしすぎると輻射板８から炎を噴き出
す危険があるので、燃焼室９をバーナ板２の背後
に設けてガス圧を下げているのである。輻射板８
には多数の透孔がハニカム状に（透孔の形状は問
わず、六角や四角に限らない）穿孔されており、
輻射板８はバーナ板２よりも大きなものである。
燃焼室９内へはケーシング６の下面の空気取入口
３から二次空気が送り込まれるようになつてお
り、更に減圧室５の背後から上方を通つて燃焼室
９の上部に至る補助空気供給バイパス路１０が形
成されている。また、第１図に示すようにバーナ
板２の前面下部には、熱電対１３が配置されてい
る。尚、この熱電対１３は炎の不燃状態もしくは
不完全燃焼を検知するものであり、一次空気吸引
率（理論空気量に対する一次空気の比）が低下す
ると不燃（不完全燃焼）状態となつて第４図ｂに
示すように一酸化炭素比（CO／CO₂）が増大す
るが、同時に一次空気吸引率が低下すると第４図
ａに示すように燃焼温度が下がつて熱電対１３の
熱起電力が低下するので不燃状態などが検知され
るのである。しかして、不燃状態もしくは不完全
燃焼を検知した場合には、ガスの供給を停止させ
たり、吸引口を開いて一次空気吸引率を増大させ
るなどの動作を行うのである。更に、熱電対１３
は、第１図に示すようにセラミツク製の不燃エレ
メント１１で覆われて不燃エレメント１１と共に
ビス１２で固定されている。このため、不燃エレ
メント１１内には二次空気は供給されず、不燃エ
レメント１１内ではガスが一次空気のみで燃焼さ
せられており、一次空気吸引率が低下した場合に
は熱電対１３により確実に検知できる構造となつ
ている。即ち、不燃エレメント１１内の熱電対１
３の周囲ではバーナ板２の最悪の燃焼条件の場所
と同様の条件で燃焼させられているのである。し
かも、二次空気に触れないので二次空気により熱
電対１３が冷却されることがないのである。従つ
て、第４図ａに比較してあるように一次空気吸引
量が低下した時、不燃エレメント１１がない場合
よりも不燃エレメント１１を設けてある場合の方
が顕著に熱起電力が低下し、検出を確実に行える
のである。 しかして、着火操作すると弁（図示せず）が開
いてガスが流れ、ガスが減圧室５内に入つてここ
で小さなガス圧に調整されと共に一次空気を混合
される。減圧され一次空気と混合されたガスはバ
ーナ板２の小孔１全体から流出させられ、バーナ
板２表面の燃焼室９で燃焼させられる。燃焼室９
内で燃えているガスは輻射板８を赤熱し、赤熱し
た輻射板８は熱線を放射して輻射板８の前方を暖
めるのである。また、燃焼した後のガスはケーシ
ング６の上面の開口より上方へ排気される。

【考案の効果】

本考案は、叙述のごとくバーナ板の前面下端部
に配設された不燃検知用の熱電対を不燃エレメン
トで覆つて熱電対を二次空気から遮断してあるか
ら、一次空気が不足しているにも拘わらず二次空
気によつて熱電対の近傍でのみガスが完全燃焼す
るというようなことがなくなり、一次空気が不足
している場合には熱電対により不完全燃焼もしく
は不燃状態を確実に検知できるという効果があ
る。しかも、二次空気により熱電対が冷却される
ことがないので、二次空気での冷却による検知誤
差をなくすことができ、検知精度を高めることが
できるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す部分拡大断面
図、第２図は同上の全体を示す縦断面図、第３図
は同上の輻射板を取り除いた状態の正面図、第４
図ａ，ｂは各々本考案の作用を説明するためのグ
ラフであり、１は小孔、２はバーナ板、３は二次
空気取入口、８は輻射板、９は燃焼室、１１は不
燃エレメント、１３は熱電対である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多数の小孔を有し背面側から前面側へガスを通
   過させるバーナ板と赤熱されて熱線を輻射する輻
   射板とを対向させてバーナ板前面と輻射板背面と
   の間にガスの燃焼室を形成すると共に燃焼室の下
   面側に二次空気取入口を設け、バーナ板の前面下
   端部に不燃検知用の熱電対を配設し、熱電対を不
   燃エレメントで覆つて熱電対を二次空気から遮断
   して成ることを特徴とするバーナ装置の不燃検知
   構造。