JPH0225052Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は揚物、炒め物等の調理を行う際に、油
等が調理台周辺に飛散して周囲を汚したり、調理
人にかかることによる危険等を防止するための調
理時における油等の飛散防止具に関する。

（従来の技術） 従来、揚物等の際に使用する金属箔からなる油
等の飛散防止具としては、調理台上に、たとえば
揚物用の鍋等を後面と両側面の三方から囲うよう
に、金属箔を三面に折曲し衝立状として使用する
もの、或は丸形の鍋の縁に沿つて円弧状として衝
立てたり、鍋縁に直接装着して使用するもの等が
提案されている。しかるにこれ等は、いずれの場
合も金属箔を成形加工して、その強度を保持する
ためのリブその他凹凸模様を施しただけもので、
表面は金属箔の地肌そのままのものであつた。

（考案が解決しようとする課題） 従つて、上記のような金属箔そのままの従来の
油等の飛散防止具を用いた場合には、表面に付着
した油等はそのまま表面上に油滴等として残り、
取扱い上、手で触れたり折畳む等するとべたつ
き、極めて扱い難いという欠点があり、又使用を
重ねると付着した油滴が表面に沿つて流れ落ち、
調理台や床等を汚してしまう等の欠点があつた。

この欠点を幾分解消するものとして、たとえば
金属箔表面に多数の細溝或は凹凸模様を施して油
等の保留部を設け、一時的にその流れ落ちを阻止
するものが提案（実公昭51−34461号）されては
いるが、これとても付着した油等を、単に金属箔
表面に直かに溜めておくにすぎず、取扱い上、本
質的には上述従来例とは何ら変るものではなく、
べとつき、流れ落ち等の現象は生じるという欠点
があつた。

（課題を解決するための手段） 本考案は上述の欠点に鑑み、金属箔の表面に繊
維層を植毛して被覆することにより、付着した油
等を繊維植毛層に吸収せしめて、取扱い上、使用
を重ねても表面のべとつき、油の流れ落ち等がな
く、装飾性をも有する調理時における油等の飛散
防止具を提供せんとするものである。

（実施例） 以下図示した実施例に基き本考案を詳述する
が、第１図は本考案に係る一実施例の繊維層の一
部を省略して示した正面図、第２図は同実施例の
使用状態の斜視図である。

図中１は飛散防止具で、横長の矩形をなした金
属箔２に対し、植毛によつて繊維層３を被覆せし
めたものから成つている。金属箔２は、好ましく
は厚さ70〜150μm程度のアルミニウム箔、或はス
テンレス製薄板、耐熱合成樹脂板等で形成し、全
体を横方向に略三分割する如く縦方向に折目４，
４を形成すると共に、各分割面には形状保持のた
めの突出リブ５が形成してある。上記折目４は二
本に限らず、一本乃至は三本以上あつてもよく、
金属箔２を連続した帯状体として、その所定間隔
毎に断面Ｓ形の折目を形成しておき、また、該折
目の所定本数毎にミシン目を入れて、該ミシン目
の部分で切断できるようにしておいてもよい。又
各分割面の突出リブ５は、その断面形状が弧状、
角状等任意のものでよく、平面形状も適宜のもの
であつてよい。さらに金属箔２の周縁６は、危険
防止と形状保持のために、巻込み或は折込み等の
縁加工を施しておくのが好ましい。

一方、繊維層３は飛散する油分、タール分等を
吸着し易い材質のもので形成するのが好ましく、
繊維層３の素材繊維としては、ガラス繊維、石綿
の如き鉱物繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエス
テル繊維、フエノール樹脂繊維の如き合成樹脂繊
維、羊毛その他の獣毛、木綿、麻等の天然繊維等
が用いられ得るが、耐熱性、難燃性にすぐれたも
のが好ましく、耐熱、難燃、不燃処理等の後処理
を施したものが望ましい。又繊維層３の厚さが
0.3〜３mm程度となるような素材繊維とするのが
好ましい。金属箔２の面に予め接着剤を塗布して
おき、この部分に上記短繊維をスプレーで吹付け
る吹付植毛、或は静電的に行う静電植毛等によつ
て、上記繊維を植毛して繊維層３を金属箔２に一
体的に被覆形成する。

上記植毛する場合には、金属箔２を上記成形加
工した後に植毛形成するのが、加工処理上におい
て好ましい。なお、第１図においては、繊維層３
が金属箔２の略右側半分を被覆した状態で示して
あるが、これは図において構成をより分り易くす
るために、繊維層３の一部を省略して画いたもの
であり、繊維層３は、図上左側半分も含めて金属
箔２の片面全体に被覆形成されているものであ
る。

また、該繊維層３は、金属箔２の片面に限られ
ず両面に被覆形成しておいてもよく、片面或は両
面の一部、たとえば上半部のみに形成しておく等
のものであつてもよい。

さらに、繊維層３にはその全面或は一部に着色
を施しておいてもよく、その場合油分等を吸着し
てもその汚れが目立たないように、たとえば黄
色、灰色等に着色しておくとか、美観上の点から
他の色に、或いは文字、模様状に、単色或は多色
で着色することにより、装飾その他宣伝効果に役
立せることもできる。

斯くして、上述の如き飛散防止具１を、第２図
に示すように、たとえばガスレンジ７上の天ぶら
鍋８に対し、三分割した折目４，４を内側に折曲
して、コ形状に衝立状として使用すれば、鍋８か
ら飛散した油は、縦横無数の微細な間隙を有する
繊維層３に容易に吸着、保留されることになる。
しかも繊維層３は金属箔２の内側全面に形成させ
ておけば飛散する油を多量に受けても、十分にそ
の吸着機能を発揮し、受けた油分が流れ落ちる等
のことがなく、手を触れた場合にも金属箔２に直
接油分を付着せしめた場合に比べ、べとつき等が
少なく、取扱い易いという特徴がある。この効果
は繊維層３の厚まが好ましい範囲において厚い
程、より大きくあらわれるのは言うまでもない。
又繊維層３を予め調理台周囲の色と適合した適宜
な色に着色したものを使用すれば、美観的に好ま
しいばかりでなく、調理する人の気分を明るく、
和ませることができ、特のその人の趣味に合うよ
うな模様として着色形成してあれば、調理をより
楽しい気分で行わしめることができるという効果
があり、同時に吸着した油分等の汚れを目立たな
くする効果もある。さらに繊維層３は、鍋８の縁
よりも上側に相当する部分のみに形成してあつて
も、上述油の吸着作用は支障なく行われ、使い捨
ての飛散防止具としてはコスト的に有利なものと
なる。一方逆に、金属箔２の片面全体、或は両面
全体に繊維層３を形成したものであれば、片面を
上下逆にして、又表裏面を入れ替える等して多数
回使用することも可能である。

尚、上述飛散防止具１は、天ぷら鍋８に対して
後方と両側方の三面を囲うようにした場合を説明
したが、折目４を多く有する長尺のものを用い
て、鍋８の全周を囲うようにして使用することも
でき、カール可能な形態として使用することも可
能であり、揚物、炒め物等に限らず、焼き物、煮
物等他の場合に使用しても便利である等、使用態
様に限定されないのは勿論である。

（考案の効果） 以上の如く、本考案の油等の飛散防止具によれ
ば、油等の飛散して付着する面が繊維層で形成さ
れているので、付着した油等は容易に層内に吸収
され、多量に保留することができ、付着した油滴
等が寄集まり、流れ落ちて周囲を汚す等のことが
なく、取扱い上においてもべとつきが少なく、手
ざわりも金属箔そのままの状態の場合よりもよい
等のほか、金属箔による光反射がないので外観上
好ましく、繊維層を適宜着色すれば、美観を呈す
るだけでなく飛散分の付着による汚れを目立たな
くさせることができる等の特徴を有している。

特に、植毛繊維層としたことにより、極細の各
繊維間がすべて細かい隙間となり、かつ繊維長さ
分を含めた繊維表面積が大となるので、これらに
よる油分を捕捉し保持する能力が著しく大きなも
のとなる。また、金属箔のプレス加工前後如何を
問わず、金属箔に凹凸があつても繊維層を正確に
植毛形成し得るので、保油能力を均一に加工で
き、加工性能が正確、簡便かつ多様なものとなし
得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る一実施例の繊維層の一部
を省略して示した正面図、第２図は同実施例の使
用状態の斜視図である。 １……飛散防止具、２……金属箔、３……繊維
層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 横長の金属箔を折曲乃至はカールせしめて調理
   時に使用する油等の飛散防止具において、該金属
   箔面が繊維層で植毛被覆されてなる調理時におけ
   る油等の飛散防止具。