JPH0223601Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、鉄道用軌道の水準（カントを含む）
を測定し、軌道整正の際の目標とする正規の水準
値と現在の水準値との差をデジタル表示できるよ
うにした軌道用水準器に関するものである。

軌道を整正する場合には、現在の水準値（カン
ト量）を測定する一方、目標とする正規の水準値
（目標カント量）までどれだけ一方の軌道をこう
上しタンピングすれば良いのかを確認しながら作
業を進めるのが都合良い。例えば目標とする水準
値までのこう上する量が大きい間は整正速度を高
くし、目標水準値に接近したら整正速度を落して
整正精度を重視しながら作業を進めるのが好まし
い。しかし従来の水準測定器は或る位置における
水準値をそのまま表示するものであつたため、目
標の水準値との差を直感的に把握できずその都度
作業者が自分で計算する必要があつた。

本考案はこのような事情に鑑みなされたもので
あり、軌道の或る場所の現在の水準値を求めると
共に、目標とする水準値とこの現在の水準値との
差を容易に確認でき、整正作業性を向上させるこ
とが可能な軌道用水準整正器を提供することを目
的とする。

本考案はこの目的を達成するため、水準器を取
付けた検測バーと、この検測バーと別体に形成さ
れ検測バーへ電気ケーブルにより接続された表示
箱とを備え、前記表示箱は前記水準器の出力に基
づき水準をデジタル表示する軌道用水準測定器に
おいて、前記表示箱に設けた零調整器およびカン
ト設定器と、前記水準器および零調整器の出力を
入力とする第１差動増幅器と、この第１差動増幅
器と前記カント設定器の出力を入力とする第２差
動増幅器とを備え、前記第２差動増幅器の出力を
Ａ／Ｄ変換して水準器の出力とカント設定器の出
力との差分をデジタル表示するように構成した。
以下図示の実施例に基づき、本考案を詳細に説明
する。

第１図は本考案の一実施例の使用状態を示す
図、第２図はこの実施例の電気回路図である。第
１図において符号１０は検測バーであり、左右一
対の受台１２，１２ａ，１２ｂと、これらを剛直
に連結する連結バー１４とを有する。受台１２
ａ，１２ｂは左右一対の鉄道用軌道１６，１６
ａ，１６ｂに載せられる。受台１２ｂ内には水準
器１８が取付けられ、またこの受台１２ｂの上面
に、はソケツト２０が取付けられている。

２２は表示箱、２４はこの表示箱２２を前記ソ
ケツト２０に接続する電気ケーブルである。表示
箱２２は第２図に示すように構成される。この図
で２５はローパスフイルタであつて、前記水準器
１８が出力するアナログ電圧信号に含まれる高周
波成分からなる雑音を除去するものである。２６
は第１差動増幅器、２８は零調整器として可変抵
抗である。第１差動増幅器２６にはローパスフイ
ルタ２５を通過した後の水準器１８の出力電圧
と、零調整器２８の出力電圧が入力される。第１
差動増幅器２６は両電圧の差を増幅する。

なお３０は第２差動増幅器、３２はカント設定
器としての可変抵抗である。第２差動増幅器３０
にはこのカント設定器３２の出力電圧と、前記第
１差動増幅器２６の出力電圧とが入力される。

３４はＡ／Ｄ変換器であり、第２差動増幅器３
０の出力電圧はこのＡ／Ｄ変換器３４でBCDコ
ードに変換される。３６はデコーダであり、この
BCDコードを10進数に変換する。３８は表示器
であり、例えばLEDを用いた７セグメントから
なる数字を複数桁に配列したものが用いられる。
表示器３８はデコーダ３６の出力に基づき水準を
デジタル表示する。なお、差動増幅器２６，３０
の出力の極性は、それらの２つの入力電圧の大小
が逆になると反転する。Ａ／Ｄ変換器３４は第２
差動増幅器３０の出力の極性に基づき、水準値の
正・負も併せて表示器３８に表示させるようデコ
ーダ３６へ信号を送る。

４０は電池、４２は測定スイツチであり、この
スイツチ４２を押すことにより電気回路部品に電
力が供給され、回路は動作開始して水準の測定を
行う。

次に本実施例の動作を説明する。先づ軌道１６
の現状の水準を測定する場合においては、カント
設定器３２はその出力が零ボルトとなるように調
整される。すなわち第１図でこのカント設定器３
２は目盛“０”に設定される。また検測バー１０
の水平状態で測定スイツチ４２を押した時、表示
器３８の表示が“０”となるように零調整器の抵
抗２８が調整される。そして検測バー１０を軌道
１６上に載せて、再び測定スイツチ４２を押せ
ば、水準器１８はその傾きに応じた電圧を出力す
るので、その場所の水準値が正負の符号と共に例
えばmm単位で表示器３８に表示される。

水準整正の目標とする水準値（目標水準値）と
現状の水準値との差を表示させる場合には、カン
ト設定器３２の目盛をこの目標水準値に合わせ
る。このカント設定器３２の目標は例えばmm単位
で０〜120mm程度まで付されている。この状態で
検測バー１０を軌道１６に載せ測定スイツチ４２
を押せば、第１差動増幅器２６は現在の水準値を
出力し、第２差動増幅器３０はこの現在の水準値
に対応する電圧と、カント設定器３２で設定され
た電圧との差を出力する。この結果表示器３８に
は目標水準値と現在の水準値との差が正負の符号
と共に表示される。例えば旋回軌道において現在
の水準が目標水準よりも小さい場合には、これか
ら外側軌道をこう上しなければならない量が負の
数字で示される。このため作業者はこの表示が
“０”になるように軌道整正作業を進めることが
できるため、作業がし易くなる。

本実施例では、水準器１８の出力をローパスフ
イルタ２５を介して第１差動増幅器２６に入力し
たので、雑音を十分に除去でき測定精度を一層向
上させることができる。

本考案は以上のように、零調整を行うための第
１差動増幅器だけでなく、カント設定を行うため
の第２差動増幅器を設けたので、現在の水準値だ
けでなく、目標水準値と現在の水準値との差も表
示させることができる。このため軌道整正作業時
に、これからこう上すべきこう上量を算出したり
する手間が省け、作業が楽になる。またこう上す
べき量が大きい際には、こう上速度を上げ、また
目標水準値に近づいたら精度を重視して作業を行
なうというように、作業内容も適宜変えることが
できるので、作業能率も向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の使用状態図、第２
図はその電気回路図である。 １０……検測バー、１８……水準器、２２……
表示箱、２４……電気ケーブル、２６……第１差
動増幅器、２８……零調整器、３０……第２差動
増幅器、３２……カント設定器、３４……Ａ／Ｄ
変換器、３８……表示器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水準器を取付けた検測バーと、この検測バーと
   別体に形成され検測バーへ電気ケーブルにより接
   続された表示箱とを備え、前記表示箱は前記水準
   器の出力に基づき水準をデジタル表示する軌道用
   水準測定器において、前記表示箱に設けた零調整
   器およびカント設定器と、前記水準器および零調
   整器の出力を入力とする第１差動増幅器と、この
   第１差動増幅器と前記カント設定器の出力を入力
   とする第２差動増幅器とを備え、前記第２差動増
   幅器の出力をＡ／Ｄ変換して水準器の出力とカン
   ト設定器の出力との差分をデジタル表示すること
   を特徴とする軌道用水準測定器。