JPH0222512Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動二輪車等の制動時におけるハン
ドルの逃み込みを防止し、且つこの状態で車体に
衝撃が加わつた場合その衝撃を緩和し且つこの緩
和時における減衰力を変え得、又、押行程時の減
衰力を変え得る機構を備えた二輪車等のフロント
フオークに関するものである。

自動二輪車等の主として前部車輪を支持するた
めに使用される油圧緩衝器は一般に上端をハンド
ルに取付けた内筒の下部を車軸に取付け、作動油
を充填した外筒に摺動自在に嵌合し、外筒の底部
に植設したシートパイプの上端を内筒の内側に摺
動自在に嵌合し、シートパイプの上端と内筒の上
端との間にコイルばねを張架して構成されたいわ
ゆるフロントフオークとして車輪の上下方向に生
じる衝撃を緩和するようになつている。

さて、かかるフロントフオークにおいて押行程
時における減衰力の可変装置は数多く提案されて
いるが、部品点数が多くために大型となり又、加
工が面倒で製品コストが高価となつてしまつた。

一方、自動二輪車の走行中に制動をかけると搭
乗者の体重がハンドルにかかつて慣性できわめて
大きな荷重が加わり、いわゆるハンドルの沈み込
み現象がおこる。このためにフロントフオークが
圧縮されて操安性が悪くなるが、この沈み込み防
止のためのいわゆる「アンチ・ノーズ・ダイブ」
機構、更にかかる「アンチ・ノーズ・ダイブ」機
構が働いている時に路面の凹凸により衝撃を受け
るとこれを緩和するための機構なども数多く提案
されている。

しかしながら、従来のこれらの機構はそれぞれ
個別に取付けるものであつて、押行程時の減衰力
可変機構と、制動時のハンドル沈み込み防止及び
制動時の衝撃緩和機構とを１ユニツトとして設け
たフロントフオークはなく、従つてこれら機構を
ともに具備するフロントフオークが望まれている
現状であつた。

本考案は押行程時の減衰力を可変でき、且つ制
動時の沈み込み現象を防止するとともに沈み込み
防止時の衝撃緩和を行い、更に該衝撃緩和時の減
衰力を可変し得る機構をも兼備したフロントフオ
ークを提供するものである。

次に本考案の実施例を添付の図面に基づいて説
明する。

第１図は、本考案装置を付設したフロントフオ
ークの一例の要部を一部断面で示した側面図、第
２図は、本考案装置の一実施例を示す側断面図で
ある。

１は、内筒であつて、一端をハンドルのブラケ
ツト（図示せず）に固着し、下部にピストンを有
するものである。２は、外筒であつて、有底円筒
状をし底部側を車軸に固定し、開口端側は内筒１
外周にオイルシール３を介して摺動自在に嵌合さ
れている。４は、シートパイプであつて、外筒２
の底部に外筒２と同心的に植設され、上部ピスト
ン外周を内筒１の内周に摺動自在に嵌合され、上
部に内筒１内に連通する油孔５があけられてい
る。６は、コイルばねであつて、内筒１の上端と
シートパイプ４の上端との間に張架されている。
７は、逆止弁であつて、内筒１の下部ピストン附
近に押行程時にだけ開くように設けられている。
８は、オイルロツクピースであつて、Ｏ−リング
９を介して外筒２内周に嵌合し、シートパイプ４
の外周下部に嵌合しており、下部に油孔１０があ
けられている。又、先端部にシートパイプ４に摺
動自在に嵌装した押行程時のみ閉じる環状の逆止
弁１１が設けられ逆止弁１１の下部のシートパイ
プ４には油孔１２が設けてあつて、外筒２に設け
た油孔１４に連通する油孔１５を設け、更に外筒
２にオイルロツクピース８の油孔１０を介してシ
ートパイプ４の内部と連通するように油孔１６に
連通する油孔１７を底部１８に設け、Ｏ−リング
１９，１９′，１９″，１９を介して外筒２の外
周に固設されている。２０は、押行程時減衰力可
変機構であつて装置ケース１３に油孔１５及び油
孔１７とに連通する油路２１となる第１孔部２２
が穿設され、異なる径の複数個の油孔２３を設け
た円筒状もしくは半円筒状の第１可変筒体２４を
その開口端側が油路２１中に臨ませるように配置
し、他端に回動把手２５を取付けて底部１８にＯ
−リング２６を介して回動自在に嵌装されてい
る。２７は、制動時に沈み込み防止用の弁機構で
あつて、油路２１の油孔１５側の開口端側に端部
にフランジ部を有する第１円筒弁座２８を嵌合
し、該第１円筒弁座２８に対向して、制動時に第
１円筒弁座２８に圧接して油路２１を閉止する弁
２９と、該弁２９を先端部に装着して第１孔部２
２の開口端側を閉止するガイド３０中にＯ−リン
グ３１を介して摺動自在に嵌装されガイド３０に
対しその一端が第１円筒弁座２８のフランジ部に
張架されているコイルばね３２によつて弾止され
ている第１ピストン３３及びこの第１ピストン３
３に当接する第２ピストン３８から成り、上記ガ
イド３０に連連設され第１孔部２２端側に固着さ
れた部材３４に油圧式のブレーキ装置（図示せ
ず）に制動油供給管３５を介して連絡される制動
油室３６を設け、該制動油室３６中に部材３４に
Ｏ−リング３７を介して前記第２ピストン３８が
摺動自在に嵌装されている。

３９は沈み込み防止用弁機構が働いている時の
減衰力可変機構であつて、装置ケース１３に第１
孔部２２との境界壁に第１ピストン３３の周囲の
油路４０に連通する油孔４１及び前記第１可変筒
体２４の油孔２３に連通する油孔４２を設けて第
１孔部２２に並列して油路４３となる第２孔部４
４を穿設し、周辺に径の異なる複数個の油孔４５
を設けた円筒状もしくは半円筒状の第２可変筒体
４６をその開口端側が第２孔部４４中に臨ませる
よう配置し、他端に回転把手４７を取付けて底部
１８にＯ−リング４８を介して回転自在に嵌装さ
れ、且つ該第２可変筒体４６に対向して第２孔部
４４中に第２円筒弁座４９を嵌着し、段差部５０
を有する円筒弁５１を第２円筒弁座４９に当接さ
せるよう第２孔部４４の開口端を閉止する部材５
２と円筒弁５１の段差部５０との間に張架されて
いるコイルばね５３により弾止され、第２油孔４
４中を自在に摺動し得るように嵌装して構成され
ている。

本考案装置はこのように構成されているので、
本考案装置を装備したフロントフオークにおいて
通常の走行時には油圧式ブレーキの制動油は第２
ピストン３８にその油圧を及ぼしていないので第
１ピストン３３は、コイルばね３２におされてガ
イド３０側に圧接している。

従つて、この状態では弁２９は第１円筒弁２８
の先端から隔離されているからシートパイプ４の
外側は、油孔１４，１５−油路２１−油孔２３−
油孔１７，１６、１０−油孔１２からなる流路を
通つてシートパイプ４の内側に連通されている。
この状態で路面の凹凸でフロントフオークが作動
し、内筒１が外筒２内へ押し込まれると逆止弁７
が開いて内筒１の下部の作動油が該逆止弁７の上
面に形成された半径方向の凹溝を介して内筒１内
へ移動するとともに前記流路及びシートパイプ４
の内部を通つて内筒１内へ流入し比較的小さい押
行程時の減衰力が発生し、内筒１は容易に外筒２
内へ押し込まれる。この場合、押行程時減衰力可
変機構２０の回動把手２５を回動することによつ
て第１可変筒体２４を回転し、任意の径の油孔２
３を選定することによつて、この流路を流れる作
動油量を調整して減衰力を変えることができる。
次に、内筒１がコイルばね６の力で上昇し始める
と逆止弁７が図のように閉じるからシートパイプ
４の上部ピストンと内筒１の下部ピストンとの間
の作動油が油孔５を通つてシートパイプ４の内部
へ流出し大きな減衰力を発生する。且つ、逆止弁
１１が上昇するから油孔１２を通つて内筒１の下
部へ作動油が補給される。

又、図の状態で走行中にブレーキをかけると、
その油圧式ブレーキ装置に連結された制動油室３
６中へ制動油が流入して第２ピストン３８を加圧
するから第２ピストン３８に当接する第１ピスト
ン３３が第１円筒弁座２８の先端方向におされ弁
２９が第１円筒弁座２８の先端に圧着されて油路
２１が閉止され、内筒１の下降を阻止するからハ
ンドルの沈み込みが防止されて安定な操安性を保
持することができる。しかして、この状態におい
て、路面の凹凸や小石などによつて車体に衝撃が
加わつて内筒１に更に荷重が加わると、その下部
ピストン下方の油圧がいちじるしく上昇するか
ら、その油圧の上昇が円筒弁５１の段差部５０に
かかつて円筒弁５１をコイルばね５３の弾力に抗
して押上げる。従つて、油路４３が油孔４１、第
１ピストン３３の周囲の油路４０を介して油孔１
５に連通し、シートパイプ４の外側の作動油が油
孔１４，１５、油路４０，４３−油孔４５，４２
−油孔２３，１７，１６−油孔１０，１２からな
る流路を介してシートパイプ４の内側に流入す
る。従つて、路面の凹凸や小石などによる衝撃は
有効に緩和される。しかして、油路４３から油孔
１７へ流れる作動油量を回転把手４７を回転して
第２可変筒体４６を回転し、任意の径の油孔４５
に選定することによつて前記流路を流れる作動油
量を変え、路面からの衝撃緩和の程度を考慮して
任意の減衰力を設定することができる。このよう
にして、第３図に示すように押行程時減衰力とピ
ストン速度との関係を可変し得る結果が得られ
る。

尚、回転把手２５及び回動把手４７との間に節
度感装置５４を共用し得るように設けることも可
能である。

本考案は、押行程時減衰力流路に異径の油孔を
設けた可変筒体を及び制動時弁機構を付設し、更
に、これに並列して設けた油路に弁機構と異径の
油孔を有する可変筒体を設けた装置としたので、
押行程時の減衰力を任意に可変し得るとともに制
動時の沈み込みを防止し得、更に沈み込み防止時
の衝撃緩和とその減衰力を任意に変え得たもので
あつて、これらの機能を有する機構を同一装置内
に設置でき、これらの操作、作用を容易且つ円滑
に行ない得、操安性、乗り心地、安定性などを改
善し得るなど大きな効果が認められる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案装置を付設したフロントフオ
ークの一例の要部を一部断面で示した側面図、第
２図は、本考案装置の一実施例を示す側断面図、
第３図は押行程時減衰力とピストン速度との関係
を示す図である。 １……内筒、２……外筒、４……シートパイ
プ、５，１０，１２……油孔、７……逆止弁、８
……オイルロツクピース、１３……装置ケース、
１４，１６……油孔、１５，１７……油孔、１８
……底部、２０……押行程時減衰力可変装置、２
１……油路、２２……第１孔部、２３……（異
径）油孔、２４……第１可変筒体、２５……回動
把手、２７……制度時弁機構、２８……第１円筒
弁座、２９……弁、３０……ガイド、３２……コ
イルばね、３３……第１ピストン、３４……部
材、３６……制動油室、３８……第２ピストン、
３９……沈み込み時減衰力可変機構、４０……油
路、４１，４２……油孔、４３……油路、４４…
…第２孔部、４５……（異径）油孔、４６……第
２可変筒体、４７……回転把手、４９……第２円
筒弁座、５０……段差部、５１……円筒弁、５２
……部材、５３……コイルばね、５４……節度感
装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内筒１を外筒２に摺動自在に嵌合し且つ該外筒
   ２底部に該内筒１と摺動自在なようにシートパイ
   プ４を植設してなるフロントフオークにおいて、
   シートパイプ４の内外を連通する２つの油路２
   １，４３を有する装置ケース１３を外筒２に設
   け、該装置ケース１３の第１の油路２１には制動
   装置に連動するピストン３３により開閉する弁座
   ２８と、該第１の油路２１を流れる作動油の油量
   を調整して減衰力を変えるよう異なる径の複数個
   の油孔を周辺に有する回転自在に嵌装された第１
   の可変筒体２４とを設け、一方第２の油路４３に
   はばね５３により該第２の油路を閉じるように附
   勢された円筒弁５１と、該第２の油路４３を流れ
   る作動油の油量を調整して減衰力を変えるよう異
   なる径の複数個の油孔を周辺に有する回転自在に
   嵌装された第２の可変筒体４６とを設けた二輪車
   等のフロントフオーク。