JPH0219448B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はスポーツウエアー、スポーツシユー
ズ、子供服、カバン、帽子等に密着状態で取付け
られる軟質合成樹脂製のワツペン、シール、ラベ
ル、ネームプレート等の立体的装飾片に係るもの
である。

（従来の技術とその問題点） 一般にスポーツウエアー等の胸、腕、肩等の部
分に立体的な文字、図形等を付加する手段として
は、刺繍手段、刺繍布帛片縫着手段のほかに、合
成樹脂等よりなる生地を型押して文字、図形を立
体的に表現し、突出部分の表面のみを生地の地色
とは異色のインキで印刷したり、ホツトスタンプ
等で着色して突出させて立体的な文字、図形を形
成し、その表面のみを着色したワツペン等の装飾
片を形成し、これを接着、縫着、溶着等により取
付ける手段があるが、前記刺繍手段によるもの
は、文字、図形等の輪郭が不鮮明になるだけでな
く、製造能率が低く高価となる欠点があり、合成
樹脂より生地を型押して装飾片を形成したもの
は、文字、図形等の着色が表面のみとなり、浮き
出た文字、図形の側面まで着色が出来ないため、
文字、図形の輪郭まで鮮明とならず立体感が乏し
いものとなる欠点があり、前記の装飾片は印刷、
ホツトスタンプで文字、図形の表面を着色された
ものであるため、洗濯で色が剥げることが多く、
特にドライクリーニング、洗濯の激げしいスポー
ツウエアー等に取付けるワツペン等としては不適
当で耐久性がなかつた。

また、本発明の対象とするワツペン類は、可撓
性を有する取付対象物に密着させる必要から、全
体として薄く裏面は平滑で可撓性を有するものと
する必要があつて、実公昭54−4626号公報に記載
されているような、金属部材の取付脚を樹脂製部
材に埋設する二部材結合技術を利用することがで
きないものである。何故ならば、このような二部
材結合手段は十分なる厚みを有するからこそ有効
なものであつて、重合すべきものが薄く可撓性を
有する場合には、十分なアンカー作用を期待する
ことができず、取扱いや洗濯等によつて屈曲され
る場合に重合部材相互が剥離されるからである。

さらに熱可塑性樹脂の二部材を融着一体化する
手段として実公昭47−26790号公報記載の技術が
公知であるが、この技術は硬質二部材の結合手段
であつて、しかも、一方の部材に予めリブ付き穴
を形成し、他方にピンを突出させ、これらを嵌合
した後、部分的に加熱溶融するものであるから、
製造能率が悪いだけでなく、全面固着ができない
から、周囲から剥離折損する欠点があり、さらに
固着部分裏面に突起が形成され、取付対象物に密
着固定できないものとなることから、本願発明の
対象物の構成としては利用できないものである。

本発明の立体的装飾片は、全体として薄く可撓
性を有する二部材を、裏面平滑状態において剥離
するようなことなく確実に密着させるようにする
ことによつて、前記の欠点を解決したもので、立
体的の文字、図形の表面及び側面まで色彩が鮮明
に表われてその輪郭が鮮明となるとともに、生地
部分に模様のある場合も鮮明に表現出来、また洗
濯等によつて剥離したり、退色しない耐久性のあ
る軟質合成樹脂製のワツペン、シール、ラベル、
ネームプレート等の立体的装飾片を提供しようと
するものである。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、軟質熱可塑性合成樹脂からなる文
字、図形等を現わした表示片１の裏面２に、後記
の二次成形部材の基板４の厚みより長く突出する
適当数の突起物３を形成した一次成形部材と、該
一次成形部材とは異色の軟質熱可塑性合成樹脂か
らなる二次成形部材の基板４とからなり、前記表
示片１と基板４を射出成形型締めにより二次成形
の基板４内に一時成形部材の突起物３が座屈或は
湾曲して複雑に変形、絡み合い固着し一体とした
ことを特徴とする軟質合成樹脂製のワツペン、シ
ール、ラベル、ネームプレート等の立体的装飾片
を要旨とするものである。

（実施例） 本発明を実施例について説明すれば、第２図乃
至第４図に示す如く、0.5mm〜３mm程度の厚みを
有する軟質熱可塑性合成樹脂からなる表示片１と
基板４とが重合一体化されたものであり、表示片
１は軟質熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる文字
等を現わした薄板状の一次成形部材の裏面２に、
基板４の厚みより長い適当数の突起物３を形成し
たものであり、基板４は一次成形部材とは異色
で、同一の軟質熱可塑性合成樹脂からなる二次成
形部材であつて、表示片１と基板４とが、射出成
形締めにより、二次成形の基板４内に一時成形の
突起物３が座屈或は湾曲して複雑に変形、絡み合
い一体結合させ、表示片１の裏面２へ突出する突
起物３がアンカー状態で基板４内に埋設されて一
体結合された構成となつている。

上記のように構成された本発明に係る立体的装
飾片は、表示片用キヤビテイーを有する移動用下
型と突起物用キヤビテイーを有する上型とからな
る一次成形金型内に、軟質熱可塑性ポリウレタン
樹脂を射出し、突起物３を有する表示片１を成形
して型を開いた後、移動用下型を二次側に移動さ
せ、これと基板用キヤビテイーを有する二次成形
金型を対応型締めして、これに一次成形部材であ
る表示片１とは異色で同一の軟質熱可塑性合成樹
脂を射出成形型締めすることにより製作する。

しかして、基板４の厚みより長い突起物３が基
板４内で座屈或は湾曲したりしてアンカー作用を
するとともに、表示片１と基板４とが一体結合さ
れるから、両者は全体として薄くても強固に結合
されるようになる。

尚、表示片１を形成する一次成形部材用の樹脂
と基板４の二次成形部材用の樹脂を同一、又は同
系の軟質熱可塑性合成樹脂を使用する場合は、塩
化ビニール樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、塩化ビニ
リデン樹脂、ビニールアルコール樹脂、ポリスチ
レン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
アミド樹脂等より適宜選択すればよい。

また一次成形部材用の樹脂と二次成形部材用の
樹脂を異系の軟質熱可塑性合成樹脂を使用する場
合は、ポリスチレン樹脂、ABSの如く両者の射
出成形温度、又は圧縮成形温度が共通範囲を有す
るものを使用すれば、両樹脂の接触面が溶着し易
いので、前記の同一の軟質熱可塑性合成樹脂を使
用した場合より固着度は多少劣るが、前記の突起
物３の座屈或は湾曲によるアンカー作用により充
分通常の使用には耐える固着度を得ることができ
る。

更に互いに異系の軟質熱可塑性合成樹脂、例え
ば、一次成形部材に６ナイロン、二次成形部材に
熱可塑性ポリウレタン樹脂を使用した場合におい
て、射出成形温度が共通範囲を有しなくても一次
成形部材用の６ナイロンで成形されて、尚かなり
の高温を有する間に一次成形部材を二次側に移動
させて移動金型と二次成形金型を射出成形型締め
をするので、二次成形部材の基板の厚みより長い
一次成形部材の突起物は既述のとおりの作用を
し、一次成形部材と二次成形部材は強固に且つ平
滑状態で結合される。

尚、本発明の立体的装飾片は、軟質合成樹脂製
である故に普通水洗、温湯による洗濯には何等不
変であるが、トリクレーン等の有機溶剤を使用す
る洗濯にも損傷を受けないものを提供するには、
有機溶剤に極めて抵抗性の大きいビニールアルコ
ール樹脂、またはポリアミド樹脂等を使用するの
がよい。

また本発明の実施例においては、表示片１の裏
面２の突起物３を一応先尖形のものを図示した
が、その形状は円棒状でもよく、薄刃形でもよ
く、座屈、湾曲によるアンカー作用をするなら
ば、その形状は自由である。

また突起物３の設置方向は、一次成形部材に対
し直立、傾斜の何れでもよく、且つ突起物３の数
も自由である。

（発明の作用効果） 本発明の軟質合成樹脂製のワツペン、シール、
ラベル、ネームプレート等の立体的装飾片は、上
述のように、軟質熱可塑性合成樹脂からなる文
字、図形等の薄い表示片の裏面に後記二次成形部
材の厚みより長く突出する適当数の突起物を形成
した一次成形部材と、該一次成形部材とは異色の
軟質熱可塑性合成樹脂の二次成形部材である薄い
基板とからなり、前記表示片の突起物形成面に基
板が射出成形型締めにより一体結合した構成とし
たから、可撓性が失われることなく、また基板の
厚みより長い突起物が基板内で座屈或は湾曲して
アンカー作用をするとともに、表示片と基板とが
溶融状態にて直接密着されるようになつて、両者
は接着剤を使用することなく強固に結合される。

また従来のホツトスタンプ印刷による表面のみ
を着色したワツペン等の立体的装飾片に比べて、
本発明の装飾片の方が基板上に、これと異色の文
字、図形等からなる表示片が、表面、側面までく
つきりと鮮明に、且つ立体的に表現され、輪郭も
奇麗なものとなる。

さらに、印刷、ホツトスタンプ等による着色工
程が不要となり、装飾片の生産性が向上し、然か
も量産が可能である。

しかも文字、図形等からなる表示片は軟質熱可
塑性合成樹脂の成形物であるから耐摩耗性に優
れ、すこぶる耐久性に富むと共に、基板も軟質熱
可塑性合成樹脂であるから、洗濯、ドライクリー
ニングに強く、損傷されない装飾片を提供するこ
とが出来る。

尚、本発明の装飾片は衣服の装飾品に限定され
るものではなく、ペンシルケース、筆箱、ブツク
カバー、アルバム、日記帳等の文房具類の装飾に
も利用することができ、その利用範囲はすこぶる
広いものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図、
第２図は本発明の立体的装飾片の平面図、第３図
は第２図の底面図、第４図は第２図のＡ−Ａ線に
おける拡大断面図、第５図は突起物の例示の拡大
説明図である。 １……表示片、２……裏面、３……突起物、４
……基板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 軟質熱可塑性合成樹脂からなる文字、図形等
   を現わした表示片１の裏面２に、後記の二次成形
   部材の基板４の厚みより長く突出する適当数の突
   起物３を形成した一次成形部材と、該一次成形部
   材とは異色の軟質熱可塑性合成樹脂からなる二次
   成形部材の基板４とからなり、前記表示片１と基
   板４を射出成形型締めにより二次成形の基板４内
   に一時成形部材の突起物３が座屈或は湾曲して複
   雑に変形、絡み合い固着して一体としたことを特
   徴とする軟質合成樹脂製のワツペン、シール、ラ
   ベル、ネームプレート等の立体的装飾片。