JPH021443Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関のカム軸受装置に関する。従
来のカム軸受装置は、例えば第１図に示すように
スラスト受１がカム軸継手２とは別体に形成され
ており、またカム軸継手２は独自にフランジ部４
を備え、カム軸継手ボルト３によりフランジ部４
及びカム軸歯車５と共にスラスト受１をカム軸６
に固着している。このようにフランジ部４とスラ
スト受１を別々に設け、かつカム軸継手２とスラ
スト受１を別体にしていると、部品点数が多くて
コストが高く、また分解及び組立にも手間がかか
る。

本考案はカム軸継手にスラスト受兼フランジ部
を一体形成することにより、部品点数を減少させ
てコストの低減を図り、また分解及び組立を容易
にしようとするものである。以下図面に基づいて
本考案を説明する。

本考案の第１実施例を示す第２図において、１
１はシリンダブロツク、１２はギヤケース、１３
はギヤケース蓋であり、ギヤケース１２の上面に
はガバナ１４が固着され、ケース蓋１３の側面に
はフイードポンプ１５が固着されている。１６は
カム軸であつて、カム軸１６の端部はブツシユ１
７を介してシリンダブロツク１１に支承されてお
り、カム軸１６の端面にはいんろう嵌合用突部１
６ａが形成されている。シリンダブロツク１１の
ギヤケース１２側の面には、カム軸１６と同一中
心のカム軸受胴１８が固着されており、カム軸受
胴１８のフイードポンプ１５側の端部には内向き
の環状スラスト受座１８ａが形成されている。

２０はカム軸継手であつて、そのカム軸１６側
の端部には外向きのスラスト受兼フランジ部２１
がカム軸継手２０と一体に形成されると共に、前
記突部１６ａにいんろう嵌合する凹部２２が形成
されている。カム軸継手２０にはスラスト受兼フ
ランジ部２１側から順にカム軸歯車２３及びガバ
ナ駆動歯車２４が嵌合しており、両歯車２３，２
４はスラスト受兼フランジ部２１と共にカム軸継
手ボルト２５よりカム軸１６の端面に締め付けら
れている。カム軸歯車２３とカム軸１６の端面部
の間には、カム軸継手２０と平行な位置決めピン
２６がスラスト受兼フランジ部２１の挿通孔を通
して打ち込まれている。即ちカム軸１６に対する
カム軸継手２０の回転方向の位相（位置）決め
を、上記位置決めピン２６により行つている。

カム軸１６に対するカム軸継手２０の芯出しは
前記突部１６ａと凹部２２のいんろう部Ａにて行
われ、またカム軸継手２０に対する両歯車２３，
２４の芯出しは、両歯車２３，２４の内周面とカ
ム軸継手２０の外周面とのいんろう部（嵌合部）
Ｂ，Ｃにより行われる。

前記スラスト受兼フランジ部２１の外周端部分
にはカム軸歯車２３側に向く環状段部２１ａが形
成されており、この段部２１ａとカム軸歯車２３
の端面の間にスラスト受座１８ａが嵌まり込んで
いる。

カム軸歯車２３はヘリカル歯を備え、中間歯車
２７に噛み合い、中間歯車２７はクランク軸ギヤ
（図示せず）に噛み合つており、機関運転中のカ
ム軸歯車２３は中間歯車２７から矢印Ｆ方向のス
ラスト荷重を受ける。

ガバナ駆動歯車２４は傘歯車であつて、ガバナ
歯車２８に噛み合つている。ガバナ歯車２８はガ
バナ軸２９に固着されている。

カム軸継手２０のフイードポンプ１５側の端部
はオルダム継手３０を介してポンプ軸３１に連動
連結されている。

機関運転中、カム軸継手２０はカム軸歯車２３
と共に矢印Ｆ方向へのスラスト荷重を受けるが、
スラスト受兼フランジ部２１の段部２１ａとスラ
スト受座１８ａの当接により、カム軸継手２０の
矢印Ｆ方向への移動は阻止される。

カム軸継手２０を分解する場合には、まずボル
ト２５を介して、ガバナ駆動歯車２４及びカム軸
歯車２３を継手２０から矢印Ｆ方向へ抜き出し、
次にカム軸継手２０を受胴１８に挿入した状態
で、受胴１８をシリンダブロツク１１から取り外
せばよい。

組み立てる場合には、カム軸継手２０を受胴１
８に矢印Ｆ方向へ挿入した状態で受胴１８をシリ
ンダブロツク１１に固着し、次にカム軸歯車２３
を継手２０に嵌合してピン２６で位置決めし、ガ
バナ駆動歯車２４を継手２０に嵌合してボルト２
５を締め付ければよい。

第３図は第２実施例を示しており、突部１６ａ
と凹部２２の間の第１キー３２によりカム軸１６
に対するカム軸継手２０の円周方向の位置決めを
行い、また第２キー３３によりカム軸継手２０に
対するカム軸歯車２３の円周方向の位置決めを行
うようになつている。カム軸１６に対するカム軸
継手２０の芯出しは突部１６ａと凹部２２のいん
ろう部Ａにて行われ、カム軸継手２０に対するカ
ム軸歯車２３及びガバナ駆動歯車２４の芯出し
は、両歯車２３，２４の内周面とカム軸継手２０
の外周面のいんろう部（嵌合部）Ｂ，Ｃにより行
なわれる。

なお第３図において第２図と対応する部品には
第２図と同じ番号を付している。

以上説明したように本考案は、カム軸歯車２３
を備えると共にカム軸１６の端部に連結されるカ
ム軸継手２０であつて、フイードポンプ１５等の
エンジン補機類を駆動するカム軸継手２０に、ス
ラスト受兼フランジ部２１をカム軸継手２０と一
体形成し、スラスト受兼フランジ部２１を、カム
軸１６の端部に固着すると共にカム軸継手２０の
スラスト荷重方向Ｆへの移動を阻止するようにシ
リンダブロツク１１と一体的なスラスト受座１８
ａに対向させているので、次のような利点があ
る。

(1) 第１図の従来例におけるスラスト受１とフラ
ンジ部４の役目を、カム軸継手２０と一体のス
ラスト受兼フランジ部２１（第２、第３図）の
みによつて果たすことができるので、部品点数
が減ると共に構造が簡単になり、コストも安く
なる。

(2) スラスト受兼フランジ部２１をカム軸継手２
０に一体形成しているので、カム軸継手２０の
組立作業の際に、第１図のように特別のスラス
ト受１を組み込む必要がなくなり、組立作業が
容易になる。勿論分解作業も容易になる。

(3) カム軸継手２０に一体形成されたスラスト受
兼フランジ部２１をカム軸１６に固着している
ので、カム軸継手２０とカム軸１６の連結構造
が強固になり、カム軸継手２０の剛性も向上す
る。

なおカム軸継手２０に連動連結される補機類と
しては、フイードポンプ１５のほかに、潤滑油ポ
ンプや冷却水ポンプ等がある。また第２、第３図
はデイーゼル機関に適用した例であるが、本考案
はガソリン機関等全ての内燃機関に適用すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す縦断面図、第２図は本考
案の第１実施例を示す縦断面図、第３図は第２実
施例を示す縦断面図である。１１……シリンダブ
ロツク、１５……フイードポンプ、１６……カム
軸、１８ａ……スラスト受座、２０……カム軸継
手、２１……スラスト受兼フランジ部、２３……
カム軸歯車。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カム軸歯車を備えると共にカム軸端部に連結さ
   れるカム軸継手であつて、フイードポンプ等のエ
   ンジン補機類を駆動するカム軸継手に、スラスト
   受兼フランジ部をカム軸継手と一体形成し、スラ
   スト受兼フランジ部を、カム軸端部に固着すると
   共にカム軸継手のスラスト荷重方向への移動を阻
   止するようにシリンダブロツクと一体的なスラス
   ト受座に対向させたことを特徴とする内燃機関の
   カム軸受装置。