JPH0211854B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、低温下で各種材料による試験片の引
張り試験を行う装置に関し、特に当該試験片を均
一に冷却して温度分布を可及的に小さくし、信頼
性の高い引張り試験を行うことができるようにし
た引張り試験装置に係るものである。

従来、この種の引張り試験装置としては、第１
図に示す通り、試験片１の両保持端部分１ａ，１
ｂがチヤツク２ａ，２ａ，２ｂ，２ｂおよび挟着
板３ａ，３ｂとからなる引張保持部Ａ，A′によ
り保持され、かつ同片１の試験部分４は断熱容器
５に収納されたアルコールのような冷媒６中に浸
漬しておき、当該冷媒６にはノズル７から液体窒
素、液体炭酸ガスのような低温液化ガスまたはド
ライアイスを投入して、同冷媒６を所定温度に冷
却することにより試験片１に低温条件を付与する
ようにしている。

そして引張り試験としては、例えば挟着板３ｂ
は固定し、他の挟着板３ａを矢印の如く上方へ引
くことにより行なわれるが、この際挟着板３ａ，
３ｂのテーパ孔８がチヤツク２ａ，２ｂを狭縮
し、同チヤツクの第２図に示すＶ字状の保持溝９
に形成されたローレツト１０が試験片１の端部に
食い込むようになつており、尚同図にあつて、試
験片１の下方保持端部分１ｂは直接チヤツク２
ｂ，２ｂにより挾着することなく断熱容器５の底
部に嵌着して下方へ突設した連結杆１１に螺着さ
れ、同杆１１をチヤツク２ｂ，２ｂにて挾着する
ようにしてあり、また試験片１が断熱容器５を貫
通する場合には連結杆１１の代りに粘度でシール
している。

従来装置は、かゝる構成を有するものであるた
め、室内に存するチヤツク２ａ，２ａ，２ｂ，２
ｂ等から熱侵入があり、この結果試験片の上、下
保持端部分１ａ，１ｂが加温されるから、試験片
１に温度勾配が生じ信頼性の高い試験結果が得ら
れないだけでなく、シール部が前記の如く粘土の
場合、低温下では液漏れがあるため冷媒６を均一
温度にすることも難度があり、かつ所定温度に制
御すること自体も困難を伴うものとなつている。

そしてさらに第１図の如く試験片１の試験部分
４を細成加工した場合には、当該部分４から破断
されて試験目的を達成し得るが、同片１が均一太
さのものである場合には、上記の如く上、下保持
端部分１ａ，１ｂが高温条件下にあるため、低温
下にある部分より弱い状態にあり、この結果保持
端部分１ａ，１ｂから破断が生じて、本来の引張
り試験を行なうことができない等の重大な欠陥が
あつた。

本発明はかゝる欠点を解消するためになされた
もので、試験片に温度勾配を生じさせることな
く、従つて試験部分と保持端部分とが同一径の場
合でも、保持端部分で破断してしまうことのない
引張り試験装置を提供しようとするのが目的であ
る。

本発明を第３図以下に示す一実施例により説明
すれば、引張保持部Ａ，A′の構成は、第１図の
ものと全く同じでよくチヤツク等の所要部材は同
一符号で示されており、当該発では下方の保持端
部分１ｂをも直接引張保持部A′により保持する
ようにしている。

そして本発明では試験片１の上、下保持端部分
１ａ，１ｂに対してノズル１２ａ，１２ｂから噴
射される低温液化ガスによる冷却流体を噴当する
ための冷却用噴射部Ｂが設けられており、図示例
では上記ノズル１２ａ，１２ｂをチヤツク２ａ，
２ａ，２ｂ，２ｂの隙間から装入するようにして
いる。

こゝで上記の冷却流体としては、例えば液体窒
素または、これを気化させた窒素ガスを用いるの
がよく、さらにノズル１２ａ，１２ｂと試験片１
の試験部分４との間にあつて試験片１の温度を検
知する温度センサ１３ａ，１３ｂが付設してあ
り、ノズル１２ａ，１２ｂからの冷却流体につ
き、その温度を自動制御するため、第５図に示す
通り液化ガスボンベ１７が電気ヒータ等による熱
交換器１８を介してノズル１２ａ，１２ｂに連結
され、前記温度センサ１３ａ，１３ｂの検知信号
を温度制御器１９に導入し、同器１９の出力によ
り上記熱交換器１８の電気ヒータに供給される電
流を制御し、かくて温度制御器１９により設定し
た所望温度の窒素ガス等をノズル１２ａ，１２ｂ
から冷却流体として噴出し得るようにしてある。

つぎに上記試験部分４は断熱部Ｃによつて囲繞
するが、図示の断熱部Ｃは試験部分４に被覆した
断熱部材１４と、これを包囲した断熱箱１５と、
両者１４，１５間に画成された断熱空間１６とに
より構成されている。

そして第３図にあつては全長にわたり均一径の
試験片１を用いており、この場合は断熱箱１５内
の試験部分４を全面的に断熱部材１４で被覆する
のがよいが、第４図に示すように試験部分４だけ
が小径である試験片であれば、当該部分４のみに
断熱部材１４を施すようにし、このような場合に
はノズル１２ａ，１２ｂの端口を第４図の如く試
験部分４の近傍に臨装させるようにすることが望
ましい。

そこで上記装置を用いて試験をするには、まず
ノズル１２ａ，１２ｂから所定温度に制御された
冷却流体を噴射し、これにより試験片１はその保
持端部分１ａ，１ｂから試験部分４へと冷却され
る。

そして温度センサ１３ａ，１３ｂによつて感知
される温度が設定値に達したならば、挾着板３
ａ，３ｂを上下方向に動かすことにより、チヤツ
ク２ａ，２ｂを前記の如く狭縮して試験片１の保
持端部分１ａ，１ｂをしつかりと保持しながら引
張り力を伝えるようにすればよい。

以上説明した通り、本発明に係る低温引張り試
験装置は、試験片の両保持端部分を保持して、試
験片に引張り力を与えるための対をなす引張保持
部が、相互に対向する間隔をおいて配置されてお
り、これら引張保持部間には、試験片の両保持端
部分間にある試験部分を断熱するための断熱部が
配置されており、冷却流体を噴射するための冷却
用噴射部に設けられた対をなす噴射ノズルが、上
記両引張保持部を介して保持された試験片の両保
持端部分と対応して配置されており、上記断熱部
が、試験片の試験部分外周を被覆するための筒状
の断熱部材と、その断熱部材の外周を覆う断熱箱
とで構成されているとともに、これら断熱部材と
断熱箱との間に断熱空間が介在されていることを
特徴とする。

かかる構成を特徴とする本発明低温引張り試験
装置の場合、冷却用噴射部の各噴射ノズルより試
験片の両保持端部分へ冷却流体を噴射して、その
両保持端部分（両端）から試験片の試験部分（中
央）へと当該試験片を冷却するようにしたから、
この両方向からの低温熱伝導（両端冷却方式）に
より試験片の試験部分を速やかに冷却することが
でき、しかも、この際、上記試験部分を断熱部材
と断熱箱とで二重に断熱するので、試験片の温度
分布を効率よく均一化することができる。

特に、本発明低温引張り試験装置の場合、両引
張保持部を介して熱侵入が起こりがちな試験片の
両保持端部分を、両冷却用噴射部からの冷却流体
により冷却するので、これら保持端部分が試験部
分よりも高温化することがなく、したがつて、試
験片を両保持端部分から破断させるようなテスト
ミスも起こりがたく、所要の試験を行なう際の信
頼性が高まる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の引張試験装置を示す縦断正面
図、第２図はチヤツクの斜視図、第３図は本発明
に係る装置の一実施例を示す縦断正面図、第４図
は他の試験片を用いた場合の同要部縦断正面図、
第５図は同装置の冷却用噴射部に付設された低温
液化ガスの温度制御系を示す回路説明図である。 １……試験片、１ａ，１ｂ……保持部分、４…
…試験部分、１２ａ，１２ｂ……噴射ノズル、１
３ａ，１３ｂ……温度センサ、１４……断熱部
材、１５……断熱箱、１６……断熱空間、Ａ，
A′……引張保持部、Ｂ……冷却用噴射部、Ｃ…
…断熱部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 試験片の両保持端部分を保持して、試験片に
   引張り力を与えるための対をなす引張保持部が、
   相互に対向する間隔をおいて配置されており、こ
   れら引張保持部間には、試験片の両保持端部分間
   にある試験部分を断熱するための断熱部が配置さ
   れており、冷却流体を噴射するための冷却用噴射
   部に設けられた対をなす噴射ノズルが、上記両引
   張保持部を介して保持された試験片の両保持端部
   分と対応して配置されており、上記断熱部が、試
   験片の試験部分外周を被覆するための筒状の断熱
   部材と、その断熱部材の外周を覆う断熱箱とで構
   成されているとともに、これら断熱部材と断熱箱
   との間に断熱空間が介在されていることを特徴と
   する低温引張り試験装置。