JPH0140002B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） この発明は保湿性化粧料組成物に係り、その目
的は化粧水や補助皮膚化粧品として使用して皮膚
の保湿性が極めて高く従つて皮膚に弾力や張りを
与えるとともにその保湿性を賦与する成分が従来
より経口内服薬としてその安全性が確認されてき
た成分であり、従つて極めて安全性の高い保湿性
化粧料組成物の提供にある。 （従来の技術） 一般に、皮膚の表皮の角質層には10〜20％の水
分が必要で、この角質層の水分が10％以下になる
と皮膚は乾燥して、弾力や張りが無くなり、膚荒
れが生じるといわれている。 従つて、皮膚の保湿性を保持する為に、グリセ
リン等の保湿剤を化粧料組成物に添加されてい
る。 （発明が解決しようとする課題） しかしながら、グリセリンは吸湿能をも有して
いるため、場合によつては逆に角質層の水分を奪
うことがあつたり、更には皮膚の炎症を生じ、皮
膚全体が黒ずむ等の欠点もあつた。 一方、近年、化粧料に配合された保湿剤による
と考えられる皮膚障害が増加していることから、
配合する保湿剤はより安全性の高いことが必要で
ある。 以上のような実情に鑑み業界では化粧水や補助
皮膚化粧品として使用して皮膚の保湿性が極めて
高く従つて皮膚に弾力や張りを与えるとともにそ
の保湿性を賦与する成分が極めて安全性の高い保
湿性化粧料組成物の創出が望まれていた。 （課題を解決するための手段） この発明者らは、上記の事情に照らし、安全で
且つ入手が容易でしかも高い保湿能を持つ物質に
関し研究を続け、通常経口内服薬としてその安全
性が確認されてきたシヤゼンシの成分の内に高い
保湿能を持つ物質が存在することを見い出しこの
発明に到達した。 この発明で使用するシヤゼンシ（車前子）とは
オオバコ料（Plantaginaceae）のオオバコ
（Plantago major Linne var.asiatica
Decaisne）の種子である。 このシヤゼンシは、消炎、利尿、止瀉、鎮咳、
去痰薬等として使用されていたが、この発明者ら
は保湿剤としての効果をも有することを見出し
た。 この発明に於いてシヤゼンシは、水あるいは水
溶性アルコール（エタノール又はメタノール）で
抽出したエキス或いはエキスの乾燥粉末を使用す
るのが望ましい。 抽出は冷浸又は温浸の何れによつてもなし得る
が、通常40〜70℃の温度で数時間ないし数日行な
うのが好ましい。 以上の如くして得られたシヤゼンシのエキス
は、これをそのまま又は濃縮して、あるいは水、
アルコール、軟膏基剤で希釈又はこれに溶解し
て、好ましくは経皮剤型として使用されるが、保
湿性化粧料組成物にこのエキスを配合する際に
は、少なくともエキス分として1000mg〜5000mg程
度となるように配合する。 この発明に係る保湿性化粧料組成物の用途は特
に限定されないが、乾燥皮膚（ドライスキン）、
老人性湿疹、考化皮膚にうるおいをもたせる目的
で使用される種々の組成物基剤中に保湿成分とし
て配合することができる。 これら組成物としては、例えば皮膚化粧料等、
例えば栄養クリーム、アイクリーム、ボデイクリ
ーム、ハンドクリーム、マツサージクリーム、コ
ールドクリーム等のクリーム類、栄養乳液、ボデ
イ乳液、ネツク乳液、ハンド乳液等の乳液類、ビ
ーリングパツク、エアゾールフオームパツク、ウ
オツシユオフパツク類、栄養化粧水、シエーブロ
ーシヨン、ボデイローシヨン、液状パツク料等の
ローシヨン類等が挙げられるがこれらに限定され
るものではない。 化粧料組成物とするには、他の成分例えば柔軟
剤、溶剤、油脂、香料、抗酸化剤等を適宜調合す
る。 次に、この発明の実施例、および試験例を記載
することによりこの発明の効果をより一層明確な
ものとする。 （実施例） オオバコの種子600ｇを粗末となし、35％（容
量）のエタノール4000mlを加え、３日間15〜25℃
で浸出し、その残留物に更にエタノール2000mlを
加えて２日間15〜25℃で浸出し、浸出液を合わせ
て２日間室温で放置後濾過し、減圧下で好ましく
は85℃以下で加熱濃縮し、35％エタノールに可溶
の成分を有効成分として含有するエキス100ｇを
得た。 得られたエキスを用いて、下記組成の化粧水を
保湿性化粧料組成物として調整した。 〔組成〕 ポリエチレングリコール 0.2 界面活性剤 2.0 オレイルアルコール 0.1 エタノール 15.0 香料 0.1 シヤゼンシのエキス 5.00 着色料 適量 精製水 残部 計 100 ml （試験例 １） 上記実施例で得た化粧水及び比較例としてグリ
セリンを配合した以外は実施例と同様に調整した
化粧水を用いて、各化粧水について膚荒れ症の女
性10人（18才〜45才）計20人に毎日被用させ２週
間継続使用させた後の効果を調べた。。 膚荒れの程度を重症、中症、軽症の三段階に分
け、その程度が軽減したか否かを問診により観察
した。 その結果を下記第１表に示す。

【表】

【表】 以上の結果から明らかな如く、この発明に係る
保湿性化粧料組成物は、従来品より優れた効果を
奏し、特に症状の重い女性に効果が大きいことが
判る。 この結果は、この発明に係る保湿性成分が単な
る保湿能だけでは無く、他になんらかの有効な効
果を皮膚に機能し、その結果膚荒れ、膚のカサ付
き等を改善しているものと考えられる。 これに対し、グリセリンは単に保湿能しか持た
ない為に、症状の重い女性には効果がないものと
考えられる。 次に、試験例２及び３として、この発明に係る
保湿性化粧料組成物に配合する保湿性成分の吸湿
力及び水分保有力を調べた。 （試験例 ２） 実施例で得られたエキスの溶剤を、減圧留去し
て粉末を得た。 この乾燥粉末約0.5ｇを蓋付き秤量瓶（内径3.6
cm、深さ3.8cm）に精密に秤取し、20〜25℃、湿
度95％に調整したデシケーター内に放置して、12
時間経過後の重量変化により試料の吸湿量を調べ
た。 吸湿試料の秤量は、秤量瓶の外側の水分を蒸発
させた後行い、秤量瓶内側の水分吸着量は、別途
試料を秤量しない秤量瓶によるコントロール試験
に依つて補正した。 尚、コントロールはグリセリンを使用した。 その結果、シヤゼンシは0.42ｇ、グリセリンは
0.64ｇの水分を吸収した。 （試験例 ３） 試験例２と同様にして得られた乾燥粉末を、水
に溶解させ1.0重量％の溶液を調製して試験液と
し、試験液５mlを秤量瓶中に採取し、湿度60％〜
70％、温度23〜25℃の条件下で放置して、12時間
経過後の水分の含有量を求めて、試料の保湿性を
調べた。 尚、コントロールは試料を含まないで、水のみ
とした。 その結果、シヤゼンシは2.13ｇ、無添加は1.72
ｇの水分を含有していた。 試験例２及び３の結果より、この発明に係る保
湿性化粧料組成物は、グリセリンよりも吸湿性が
劣るから、皮膚に塗布した際に角質層の水分を奪
うことがなく、しかも優れた水分保湿能を持つこ
とがわかる。 （発明の効果） 以上詳述した如くこの発明に係る保湿性化粧料
組成物はシヤゼンシの抽出物を必須成分として含
有する保湿性化粧料組成物であるから、化粧水や
補助皮膚化粧品としてて使用して皮膚の保湿性が
極めて高く、従つて皮膚に弾力や張りを与えると
ともにその保湿性を賦与する成分が従来より経口
内服薬としてその安全性が確認されてきた成分を
含有させた極めて安全性の高い保湿性化粧料組成
物であることが判る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シヤゼンシの抽出物を必須成分として含有す
   る保湿性化粧料組成物。