JPH0138992B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は弁装置、特に温水加熱器のためのサー
モスタツト弁であつて、閉鎖部材のための操作シ
ヤフトを取り囲みかつケーシング内に回転可能に
配置された、流過量を前調節するための挿入体
と、該挿入体に、この挿入体と共に回転するよう
に結合され有利にはスピンドルシール部材のため
のホルダを形成する調節部材とを有し、該調節部
材の、ケーシングから突出した部分に回転部材を
係合させるための成形部が形成されており、前記
挿入体は、前記調節部材とは反対側の端部でばね
力によつてケーシング内の端面に当てつけられ、
かつ流入室を取り囲む周壁を備えていて、挿入体
の外周面にケーシングの定置の開口と協働する絞
り通路が形成されており、該絞り通路の横断面は
周方向で連続的に拡大しており、該挿入体の前記
周壁が、この周壁のほぼ全周にわたつて、ケーシ
ングの端面まで達していて、少なくとも１つの開
口部以外の部分で流入室と絞り通路とを仕切つて
いる形式のものに関する。

従来の技術 ドイツ連邦共和国特許第1261722号明細書で公
知の上記形式を有する弁装置においては、閉鎖部
材を取り囲み端面を斜めに面取りされたスリーブ
を備えた挿入体が設けられている。この挿入体を
回転させることによつて、流入開口と連結して任
意の大きさの絞り横断面が形成される。この挿入
体はスナツプリングによつて軸方向で固定されて
いる。挿入体は、ケーシングの孔の底に向かう端
面側で周面の大部分にわたつて面取りされてい
る。このことによつて、挿入体は端面のごく一部
分でしかケーシング孔の底に当接していないの
で、挿入体は、これを負荷するばねによつて調整
時にしばしば傾いてしまう。

またこの公知の弁装置の端面には複数の軸方向
ねじを介して調節部材が設けられており、該調節
部材の周面にはスパナを係合させるための面が設
けられ、また中央には閉鎖部材のスピンドル用の
シール部が設けられている。調節部材は目盛り盤
に連結されており、それによつて挿入体がスパナ
によつて所望の絞り位置にもたらされるようにな
つている。

前調節用の挿入体が誤つて回されないようにす
るために該挿入体は、スナツプリングとケーシン
グの端面との間で摩擦接続式に保持されている。
従つて挿入体を調節する際にはその摩擦に応じた
大きさの力を工具によつて加えなければならな
い。特に困難なのは、スピンドルシール部材が調
節部材にしつかりと固定されておらず該調節部材
内にねじ止めされている場合である。このような
場合、作業員は、スピンドルシール部材を交換す
るために、その都度２つの工具を用いて作業しな
ければならない。

発明の課題 そこで本発明の課題は冒頭に述べた形式の弁装
置、特にサーモスタツト弁を改良して、前調節用
の挿入体の所望の調節を従来よりも著しく容易
に、小さい力で可能とし、調整時に挿入体が傾い
たり、締付けられたりすることがなく、しかも該
挿入体２１の不本意な動き発生を従来より高い確
実性を以つて避けることができるようにすること
である。

課題を解決するための手段 この課題を解決した本発明によれば、閉鎖部材
のための操作シヤフトを取り囲み、かつケーシン
グ内に回転可能に配置された、流過量を前調節す
るための挿入体と、該挿入体に、この挿入体と共
に回転するように結合された調節部材とを有し、
該調節部材の、ケーシングから突出した部分に回
転部材を係合させるための成形部が形成されてお
り、前記挿入体は、前記調節部材とは反対側の端
部でばね力によつてケーシング内の端面に当てつ
けられ、かつ流入室を取り囲む周壁を備えてい
て、挿入体の外周面にケーシングの定置の開口と
協働する絞り通路が形成されており、該絞り通路
の横断面は周方向で連続的に拡大しており、該挿
入体の前記周壁が、この周壁のほぼ全周にわたつ
て、ケーシングの端面まで達していて、少なくと
も１つの開口部以外の部分で流入室と絞り通路と
を仕切つており、前記回転部材が、ばねのばね力
に抗してケーシングに対して相対的に、軸方向で
非作業位置から作業位置へ摺動可能な調節リング
として構成されており、該調節リングが、非作業
位置及び作業位置で調節部材の成形部と連結係合
する第１の連結範囲と、ケーシング固定された成
形部に、非作業位置でのみ連結係合すう第２の連
結範囲とを有している。

効 果 本発明の構成によれば、挿入体の周壁は、この
周壁のほぼ全周にわたつてケーシング内の端面ま
で達していて、ここで広範囲にわたつて支持され
ているので、挿入体はこれを負荷するばねによつ
て傾けられることはなく、むしろ常に軸方向で正
しく整合されている。従つて挿入体は横力の負荷
を受けないので、従来より一層密着した嵌合の度
合を選ぶこともできる。これにより短いシール距
離で作業することができ、従つて挿入体を全体的
にコンパクトにすることができる。

さらに本発明によれば、各弁ケーシングにそれ
ぞれ１つの調節リングが設けられている。従つて
組立て作業員は適当な工具を探す必要はない。こ
の調節リングは狭いスペースにおいても容易に操
作可能である。また調節リングが所定の作業位置
にある状態で該調節リングを回転させるには小さ
な力で十分である。何故ならば、調節後の回動防
止は摩擦接続によつてではなく、調節リングの非
作業において調節部材がこの調節リングを介して
ケーシングに錠止されることによつて得られるか
らである。従つて前調節度合の変更は手動によつ
て行うことができる。

本発明の有利な１実施態様によれば調節リング
は、ケーシング固定された縁部上をおおう内側フ
ランジを有するスリーブとして形成されており、
この内側フランジの内周面に第１の連結範囲が形
成されていて、調節部材に支持されたばねのため
のばね受け面がこの内側フランジによつて形成さ
れており、また、第２の連結範囲がスリーブの内
側フランジの、前記ばねとは反対の側で該スリー
ブの内周面に形成されているとよい。このような
構成によれば、調節リングの外径を小さくするこ
とができる。

また第１及び／又は第２の連結範囲と、これら
２つの連結範囲に対応配置された成形部とが全周
に亙つて均一に分配された多重溝形の歯列として
形成されていると有利である。このような歯部を
用いれば調節リングの直径が小さな場合でも十分
な大きさの回転力を伝達させることができる。ま
た前調節のための挿入体を微調節することが可能
となる。

更に有利には、調節リングがケーシングの、サ
ーモスタツト載着部材を緊締するための締付け面
よりも小さな直径を有しているとよい。これによ
つて調節リングがサーモスタツト載着部材の装着
を妨げることはなくなり、また該載着部材の取外
し後は作業員が調節リングに自由に近づくことが
できる。

調節リングの外周面に、この調節リングを握り
やすくするための成形部分、例えば凹部又は刻み
部あるいは溝部が形成されていると有利である。

更にスピンドルシール部材が調節部材内にねじ
込まれていれば、該スピンドルシール部材は、他
の部分を取り除かなくても交換することができ有
利である。調節リングの非作業位置では調節部材
がケーシングに錠止されているので、スピンドル
シール部材に適当な回転工具を作用させることは
問題なく可能である。

またケーシングに固定されかつ調節部材及び挿
入体を軸方向で確保する据付部材を有する弁にお
いては有利には、この据付部材がねじ山によつて
ケーシング内にストツパに当接するまでねじ込ま
れており、該据付部材がケーシング固定的な成形
部を有していて、調節リングによつてねじ込み可
能であるとよい。このような構成によれば調節リ
ングを、据付部材をねじ込むための工具として応
用することができる。従つて前調節用の挿入体を
有する弁を完全自動式に組立てることが可能とな
る。何故なら全ての必要部材は軸方向でそう入さ
れ、次いで据付部材をねじ込むことによつて所定
の位置で確保されるからである。

また挿入体が、据付部材によつて軸方向で確保
された調節部材と回動不能しかしながら軸方向摺
動可能に結合されており、しかも調節部材で支え
られた圧縮ばねによつて、ケーシングの内側の端
面に対して圧着されていると有利である。これに
よつて他の弁構造部分を残したまま種々異なる挿
入体を使用し、その都度の所望の前調節範囲をあ
らかじめ選択することが可能となる。

実施例 次に図面に示した実施例につき本発明を説明す
る。

ケーシング１は弁座２及び該弁座と協働する閉
鎖部材３を有している。この構造によつて流入室
４が、通路６を介して接続部７に接続されている
流出室５に対して遮断されるようになつている。
閉鎖部材３は調節部材９内で案内された弁シヤフ
ト８によつて保持されており、この弁シヤフト８
は、調節部材９の環状面１１と協働する戻りシー
ル閉鎖部材１０を有していて、該戻りシール閉鎖
部材１０はピンとして形成されたスピンドル１２
と伝力接続式に軸方向で協働している。シールリ
ング１３とパツキン１４とを備えたスピンドルシ
ール部材１５は雄ねじ１６を有し、該雄ねじ１６
は調節部材９の雌ねじ１７とかみ合つている。ま
た弁シヤフト８は戻しばね１８によつて負荷され
ており、この戻しばね１８は一方でつば１９にま
た他方で前調節用の挿入体２１に支えられてい
る。この挿入体２１は、調節部材９に支えられた
ばね２２によつてケーシング１の端面２３に対し
て押し付けられている。挿入体２１とケーシング
１との間に形成された絞り通路２４の横断面は周
方向で連続的に大きくなつており、挿入体２１の
開口部２５と流入管片への接続個所との間の有効
区分によつて有効絞り度合が規定されている。

挿入体２１は連結部２６を介して回動不能しか
しながら軸方向摺動可能に調節部材９と結合され
ている。例えば調節部材９のフインガ部分が挿入
体２１の対応する溝内に係合している。調節部材
９に設けられた段部２７には据付部材２９のスト
ツパ２８が当接しており、この据付部材２９自体
はそのねじ山３０を以つて、該部材２９の端面が
ケーシング固定されたストツパ３１に当接するま
でケーシング１内にねじ込まれている。シールリ
ング３２は調節部材９と据付部材２９との間に配
設されている。ねじ山３０はサーモスタツト載着
部材のための締付け面３３の内側に当たる範囲に
位置している。

調節リング３４として構成された回転部材は内
側フランジ３６を備えたスリーブ３５の形状を有
している。この内側フランジ３６上には、調節部
材９のばね受け３８で支えられたばね３７が押付
けられている。この内側フランジ３６の内周面に
は多重溝状の歯列として形成された第１の連結範
囲３９が設けられており、この連結範囲３９は調
節部材９の対応する成形部４０と連結係合してい
る。内側フランジ３６の下方ではこの調節リング
３４に、やはり多重溝状の歯列として形成された
第２の連結範囲４１が設けられており、この第２
の連結範囲４１はケーシング固定された据付部材
２９の対応する成形部４２と連結係合している。
スリーブ３５の外周面上には、調節リング３４を
握りやすくするための成形部分として溝４３が設
けられている。

スリーブ３５の直径は締付け面３３の直径より
も小さく、それによつてサーモスタツト載着部材
は調節リング３４上を通つて移動せしめられる。

前調節用の挿入体２１を調節する際には、調節
リング３４を軸方向で上方へ引張り、それによつ
てケーシング固定された据付部材２９との連結を
解除し、続いて該調節リング３４を調節部材９と
共に適当な角度だけ回転させ、その位置で調節リ
ング３４を手から再び離すだけでよい。

完全自動式の組立てにおいては、予め挿入体２
１に取り付けられた弁シヤフト８がケーシング１
内にそう入され、その上に調節部材９が押し入れ
られる。続いて据付部材２９と調節リング３４と
ばね３７とがそう入される。その後で回し工具が
調節リング３４に係合して該調節リング３４を据
付部材２９が所定の最終位置に達するまで回転さ
せる。これによつて挿入体２１と調節部材９との
軸方向位置が確保される。挿入体２１の調節は一
般的に、加熱器に当該弁を取付ける時に初めて行
われる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の１実施例を示すものであつて、
第１図は本発明による弁装置の鉛直方向断面図、
第２図は第１図の−線に沿つた断面図、第３
図は第１図の−線に沿つた断面図である。 １……ケーシング、２……弁座、３……閉鎖部
材、４……流入室、５……流出室、６……通路、
７……接続部、８……弁シヤフト、９……調節部
材、１０……戻りシール閉鎖部材、１１……環状
面、１２……スピンドル、１３，３２……シール
リング、１４……パツキン、１５……スピンドル
シール部材、１６……雄ねじ、１７……雌ねじ、
１８……戻しばね、１９……つば、２０，３８…
…ばね受け、２１……挿入体、２２，３７……ば
ね、２３……端面、２４……絞り通路、２５……
開口部、２６……連結部、２７……段部、２８，
３１……ストツパ、２９……据付部材、３０……
ねじ山、３３……締付け面、３４……調節リン
グ、３５……スリーブ、３６……内側フランジ、
３９，４１……連結範囲、４０，４２……成形
部、４３……溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 弁装置であつて、閉鎖部材３のための操作シ
   ヤフト８を取り囲み、かつケーシング１内に回転
   可能に配置された、流過量を前調節するための挿
   入体２１と、該挿入体２１に、この挿入体２１と
   共に回転するように結合された調節部材９とを有
   し、該調節部材９の、ケーシング１から突出した
   部分に回転部材を係合させるための成形部４０が
   形成されており、前記挿入体２１は、前記調節部
   材９とは反対側の端部でばね力によつてケーシン
   グ１内の端面８に当てつけられ、かつ流入室４を
   取り囲む周壁を備えていて、挿入体２１の外周面
   にケーシング１の定置の開口と協働する絞り通路
   ２４が形成されており、該絞り通路２４の横断面
   は周方向で連続的に拡大しており、該挿入体２１
   の前記周壁が、この周壁のほぼ全周にわたつて、
   ケーシング１の端面２３まで達していて、少なく
   とも１つの開口部２５以外の部分で流入室４と絞
   り通路２４とを仕切つている形式のものにおい
   て、前記回転部材が、ばね３７のばね力に抗して
   ケーシング１に対して相対的に、軸方向で非作業
   位置から作業位置へ摺動可能な調節リング３４と
   して構成されており、該調節リング３４が、非作
   業位置及び作業位置で調節部材９の成形部４０と
   連結係合する第１の連結範囲３９と、ケーシング
   固定された成形部４２に、非作業位置でのみ連結
   係合する第２の連結範囲４１とを有していること
   を特徴とする、弁装置。 ２ 調節リング３４が、ケーシング固定された縁
   部上をおおう内側フランジ３６を有するスリーブ
   ３５として形成されており、この内側フランジ３
   ６の内周面に第１の連結範囲３９が形成されてい
   て、調節部材９に支持されたばね３７のためのば
   ね受け面がこの内側フランジ３６によつて形成さ
   れており、また、第２の連結範囲４１がスリーブ
   ３５の内側フランジ３６の、前記ばね３７とは反
   対の側で該スリーブ３５の内周面に形成されてい
   る、特許請求の範囲第１項記載の弁装置。 ３ 第１及び／又は第２の連結範囲３９，４１
   と、これら２つの連結範囲に対応配置された成形
   部４０，４２とが全周に亙つて均一に分配された
   多重溝形の歯列として形成されている、特許請求
   の範囲第１項又は第２項記載の弁装置。 ４ 調節リング３４がケーシング１の、サーモス
   タツト載着部材を緊締するための締付け面３３よ
   りも小さな直径を有している、特許請求の範囲第
   １項から第３項までのいずれか１項記載の弁装
   置。 ５ 調節リング３４の外周面に、この調節リング
   ３４を握りやすくするための成形部分が形成され
   ている、特許請求の範囲第１項から第４項までの
   いずれか１項記載の弁装置。 ６ スピンドルシール部材１５が調節部材９内に
   ねじ込まれている、特許請求の範囲第１項から第
   ５項までのいずれか１項記載の弁装置。 ７ ケーシング１に固定された、調節部材９及び
   挿入体２１を軸方向で確保する据付部材２９が設
   けられており、この据付部材２９がねじ山３０に
   よつてケーシング１内にストツパ３１に当接する
   までねじ込まれており、該据付部材２９がケーシ
   ング固定的な成形部４２を有していて、調節リン
   グ３４によつてねじ込み可能である、特許請求の
   範囲第１項から第５項までのいずれか１項記載の
   弁装置。 ８ 挿入体２１が、据付部材２９によつて軸方向
   で確保された調節部材９に回動不能しかしながら
   軸方向摺動可能に結合されており、しかも調節部
   材９で支えられた圧縮ばね２２によつて、ケーシ
   ング１の内側の端面２３に対して圧着されてい
   る、特許請求の範囲第７項記載の弁装置。