JPH0127515Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動二輪車のチエーンスリツパ取付構
造に関する。

自動二輪車、特にチエーン駆動式のモトクロス
車等においては、走行時にチエーンが振動又は弛
緩して車体フレーム等の他部材と互いに干渉し合
うことを防止するために、チエーンの下側部分を
ガイドするチエーンスリツパを配設したものがあ
る。

従来、このチエーンスリツパは車体フレームの
所定箇所に固設されたボトムプレート等に形成さ
れたボス部にボルトにより締着固定されていた。
ところが、このチエーンスリツパの取付位置（ボ
ス部）近傍にはエンジンを車体フレームに取り付
るためのエンジンハンガーブラケツト等が配設さ
れており、該ブラケツトの長尺のエンジンハンガ
ーボルトを差し込む場合に前記ボス部が邪魔にな
つてその差し込み操作が行ない難いため組立作業
性が悪く生産性の低下を招来する。また、チエー
ンスリツパの取付位置の設定に際しては特にエン
ジン部分に配設されたチエーン駆動スプロケツト
の位置が密接に関係するが、従来のようにチエー
ンスリツパを車体フレーム側に取り付けるもので
は、各部の組立製作上の誤差により、最適取付位
置の設定が困難でチエーンスリツパとしての機能
を充分に果たすことができない場合がある。

更に、上述の如くエンジンハンガーボルト及び
これと別のチエーンスリツパ取付用ボルトを配設
するために横方向（車体の前後方向）、あるいは
縦方向（車体の上下方向）のスペースを確保する
必要上、設計自由度の低下を余儀なくされている
等の不具合がある。

本考案は上述の点に鑑みてなされたもので、チ
エーンスリツパを最適位置に容易確実に設定する
ことができ、しかもボルト配設のための横方向あ
るいは縦方向のスペースを不要として設計自由度
を高めると共に、ブラケツトにエンジンハンガー
ボルトを差し込む操作に不都合をきたすことがな
いようにして組立作業性の向上を計ることを目的
とし、この目的達成のため、エンジンから駆動輪
へ動力を伝達するチエーンを備えた自動二輪車に
おいて、エンジンを車体に取り付けるためのエン
ジンハンガーボルトの頭部に雌ねじを形成し、該
雌ねじに螺装した取付ボルトにより、該チエーン
をガイドするチエーンスリツパを該エンジンハン
ガーボルトの頭部に取り付けたことを特徴とする
自動二輪車のチエーンスリツパ取付構造を提供す
ることにある。

以下本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳
述する。

第１図は本考案を適用した自動二輪車の一例を
示し、車体フレーム１の略中央下部にはエンジン
２が取付けられ、このエンジン２の回転はエンジ
ン２の所定箇所に設けられた駆動スプロケツト
（図示せず）と後輪４に設けられた従動スプロケ
ツト４ａとの間に捲装した無端状のチエーン３を
介して後輪４に伝達される。エンジン２の一側面
後方下部には本考案の取付構造によりチエーンス
リツパ５が取り付けられている。このチエーンス
リツパ５は自動二輪車の運転中にチエーン３が弛
緩あるいは振動した場合にチエーン３の下側部３
ａが車体フレーム１或は他の部材に接触しないよ
うにチエーン３をガイドする機能を有する。

次いで、本考案に係るチエーンスリツパ５の取
付構造を第２図及び第３図を参照して説明する。

車体フレーム１の、エンジン２の後部両側に位
置する２本のセンターパイプ１ａ（第１図乃至第
３図において一方側のみ図示）の下端部相互を接
続するアンダークロスパイプ１ｂにエンジンハン
ガーブラケツト６が固着されている。該ブラケツ
ト６にはボルト嵌合孔６ａが穿設してあり、エン
ジン２はボルト嵌合孔６ａを介してエンジン２の
一側後方下部のボルト嵌挿孔２ａに螺装したエン
ジンハンガーボルト８によつてブラケツト６に締
着固定されている。ブラケツト６とエンジンハン
ガーボルト８の頭部８ａとの間にはスペーサ７が
介装してある。尚、このスペーサ７は省略しても
よい、エンジンハンガーボルト８の頭部８ａには
軸心に沿つて所定深さの穴８ｂが穿設され、該穴
８ｂの内周面には後述するチエーンスリツパ取付
用ボルトが螺装される雌ねじ８ｃが刻設されてい
る。

一方、チエーンスリツパ５の一端部５ａには貫
通孔５ｂが穿設されており、この孔５ｂには円筒
状のカラー９が嵌装されている。カラー９に嵌装
した取付ボルト１０の雄ねじ１０ａを上記のエン
ジンハンガーボルト８の雌ねじ８ｃに螺合するこ
とにより、該エンジンハンガーボルト８の頭部８
ａにチエーンスリツパ５が締着固定されている。
取付ボルト１０の頭部１０ａとチエーンスリツパ
５との間及びチエーンスリツパ５とエンジンハン
ガーボルト８の頭部８ａとの間にはワツシヤ１１
及び１２が夫々介装されている。但し、特にワツ
シヤ１２は省略してもよい。尚、チエーンスリツ
パ取付ボルト１０の締付方向はエンジンハンガー
ボルト８の締付方向と同一である。又、チエーン
スリツパ５の略中央部の下面はアンダークロスパ
イプ１ｂ上面に当接支持されると共に、チエーン
スリツパ５の上下方向の位置決めがなされる。

かかる構成において、エンジン２の配設位置、
すなわち、エンジン２側に配設されたチエーン駆
動スプロケツトの配設位置によつてチエーンスリ
ツパ５の取付位置が一義的に決定されるので、仕
様の変更あるいは組立製作上の誤差等によりエン
ジン２と車体フレーム１との相対的な位置関係が
多少変化してもこれに影響を受けることなくチエ
ーンスリツパ５を最適位置に容易且つ確実に設定
することができ、これによつて設計の自由度が向
上する。

更に、チエーンスリツパ５をボルト１０により
エンジンハンガーボルト８に取り付けるだけの非
常に簡単な構成であるため、従来のチエーンスリ
ツパ取付用部材例えばボトムプレート等にボス部
を形成する必要がなくなり、結果として全体の軽
量化が図れる。又、組立時にエンジン取付部材で
あるエンジンハンガーボルト８をブラケツト６に
嵌装する際、チエーンスリツパ取付部材である取
付ボルト１０等が邪魔になることがないので組立
作業性の向上により生産性が向上する。また、エ
ンジンハンガーボルト８とチエーンスリツパ５の
取付ボルト１０は同軸上に配設されるから横方向
あるいは縦方向のスペースを節減することができ
る。

以上説明したように、本考案においては、エン
ジンから駆動輪へ動力を伝達するチエーンを備え
た自動二輪車において、エンジンを車体に取り付
けるためのエンジンハンガーボルトの頭部に雌ね
じを形成し、該雌ねじに螺装した取付ボルトによ
り、該チエーンをガイドするチエーンスリツパを
該エンジンハンガーボルトの頭部に取り付けたの
で、組立時においてエンジン取付用部材及びチエ
ーンスリツパ取付用部材の干渉を防止することが
でき組付性、生産性が良好となる。また、エンジ
ンと車体フレームの相対的位置関係に影響される
ことなくチエーンスリツパを最適位置に容易確実
に設定でき、設計自由度が向上する。また、エン
ジンハンガーボルトとチエーンスリツパ取付ボル
トとは同軸上に配置されているため横方向あるい
は縦方向のスペースが節減される。更に、従来の
ようにボトムプレート等の他部材にチエーンスリ
ツパ取付用のボス部等の突出部を形成する必要が
ないため全体としての軽量化が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用した自動二輪車の全体側
面図、第２図はチエーンスリツパの取付部の拡大
側面図、第３図は第２図における−線に沿う
横断面図である。 １……車体フレーム、１ｂ……アンダークロス
パイプ、２……エンジン、３……チエーン、５…
…チエーンスリツパ、８……エンジンハンガーボ
ルト、８ｃ……雌ねじ、１０……チエーンスリツ
パ取付ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンから駆動輪へ動力を伝達するチエーン
   を備えた自動二輪車において、エンジンを車体に
   取り付けるためのエンジンハンガーボルトの頭部
   に雌ねじを形成し、該雌ねじに螺装した取付ボル
   トにより、該チエーンをガイドするチエーンスリ
   ツパを該エンジンハンガーボルトの頭部に取り付
   けたことを特徴とする自動二輪車のチエーンスリ
   ツパ取付構造。