JPH0124756Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、例えば多トラツク方式のカセツト
テープレコーダにおいて、テープの各トラツクに
対して各チヤンネルのヘツドを正しく対応させ得
るようにする磁気記録再生装置におけるヘツド装
置に関する。

PCM信号の磁気記録再生装置として、テープ
の幅方向に配列された複数のヘツドを用いて記録
再生を行なう所謂固定ヘツド方式のPCMテープ
レコーダが知られている。この種の磁気記録再生
装置においては、SN比の低下あるいはクロスト
ークの増加を防止するために、テープ上のトラツ
クと、同トラツクに対応するヘツドとの間のテー
プの幅方向における相対位置偏差を極めて小さな
値（例えば数10μm）に抑える必要がある。

したがつて、この種の磁気記録再生装置には、
通常テープの各トラツクに対して各チヤンネルの
ヘツドを正しく位置させる装置が設けられてい
る。この装置の一般的な構成は、テープの各トラ
ツクの位置を適宜手段により検出し、この検出信
号に基づいてヘツドの位置を制御するものである
が、ここで通常の磁気記録再生装置は、制御対象
となるマルチトラツクヘツドがテープに対して進
退自在に支持された構造となつているため、この
ヘツドを如何にしてテープの幅方向へ移動させる
かが問題となる。

ところで、従来提供されているこの種の装置と
しては、マルチトラツクヘツドをテープに対して
進退自在に支持するヘツドベース上に、上記の如
き検出信号に基づいてマルチトラツクヘツドの位
置を制御するヘツド位置駆動機構、例えばカムを
利用した機構であつて、カム、カム駆動回路、カ
ムフオロワ等からなるヘツド位置駆動機構を設け
たものが一般的である。

しかしながら、このような装置においては、ヘ
ツドベース上にカム、カム駆動回路、カムフオロ
ア等が設置されるため、マルチトラツクヘツドを
有する可動部が大形化するという欠点があり、可
動部の大きさに制約のあるカセト式の磁気記録再
生装置には適用できないという欠点があつた。

この考案は上記の事情に鑑み、ヘツドを有する
可動部の大形化を招くことなく同ヘツドのテープ
の幅方向に対する位置を制御することのできる磁
気記録再生装置におけるヘツド装置を提供するも
ので、テープの走行通路に対して進退自在に支持
されたヘツドを支持する部材にカムフオロアを固
定し、上記ヘツドの進退方向と平行に偏心カムを
配設し、上記カムフオロアを上記偏心カムのカム
作用面に上記ヘツドの進退方向に移動自在に当接
させ、上記偏心カムを駆動機構により回転制御す
るようにしたものである。

以下、この考案の一実施例を図面を参照して説
明する。

図に示す実施例は、この考案をカセツト方式の
PCMテープレコーダに適用した場合の実施例で
ある。第１図ないし第３図において、符号１はシ
ヤーシであり、このシヤーシ１の上面には、マル
チトラツクヘツド２を有する可動部３が矢印Ａ，
Ｂ方向に移動自在に、すなわち定位置に装填され
るカセツト４のテープ５の走行通路６に対して進
退自在に支持されている。

可動部３について説明すると、まずシヤーシ１
の上面には、シヤーシ１と平行にヘツドベース７
が配設されている。ヘツドベース７は、シヤーシ
１に回転自在に支持されたボール８，８……上に
載置されており、ガイドポスト９，９……に案内
されて矢印Ａ，Ｂ方向に移動できるようになつて
いる。このヘツドベース７には、その中央部に形
成された孔内に軸受１１が嵌着固定されており、
軸受１１内にはカム棒１２（カムフオロア）が上
下動かつ回動自在に挿入されている。カム棒１２
の上端部にはヘツド保持板１３が固定されてお
り、ヘツド保持板１３には螺子１４……およびコ
イルスプリングを介してヘツド吊り下げ板１５が
取付けられている。そしてヘツド吊り下げ板１５
には螺子１６……によつてヘツド２が取付けられ
ている。上記ヘツド保持板１３の一端部にはピン
１７が下方へ突出するように固定されており、ピ
ン１７はヘツド保持板１３の水平方向の回動が規
制されるようにヘツドベース２７に固定された案
内部材１８内に挿入されている。ヘツド保持板１
３およびカム棒１２はヘツド保持板１３とヘツド
ベース７との間に張設したコイルばね２０によつ
て常時下方へ付勢されている。また、ヘツド保持
板１３は、第１図および第４図に示すようにピン
を介してヘツド保持板１３側とヘツドベース７側
との間に張設されたコイルばね２１，２２によつ
て水平方向の位置が正確に一定の位置（ヘツド２
の作用面２ａがテープ５に正確に対向する位置）
に保たれるようになつている。上記軸受１１の外
面にはトーシヨンばね２３が巻回されており、こ
のトーシヨンばね２３はその一端部がヘツドベー
ス７に固定されたピン２４に係止され、他端部が
ピン２５に係止されている。

上記のように構成された可動部３は、図示しな
いプレイ釦、ストツプ釦等の操作によつて矢印
Ａ，Ｂ方向に移動されるものである。

一方、シヤーシ１の一側部下面には、可動部３
の駆動源となるソレノイド３０が、プランジヤ３
１を矢印Ａ，Ｂ方向（前後方向）に延在させた状
態で取付けられている。プランジヤ３１の先端部
にはピン３２が固定されており、ピン３２はレバ
ー３３の一端部に形成された長孔３４内に挿入係
止されている。レバー３３はその中央部がシヤー
シ１の下面に固定されたピン３５に回動自在に取
付けられている。このレバー３３の他端部にはピ
ン３６が固定されており、ピン３６はレバー３７
の一端部に形成された長孔３８内に挿入係止され
ている。レバー３７は矢印Ａ，Ｂ方向に移動自在
に支持されており、シヤーシ１との間に張設され
たばね３９によつて常時矢印Ｂ方向に付勢されて
いる。この場合レバー３７の他端部上面には前述
したピン２５が固定されており、ピン２５はヘツ
ドベース７に形成された孔４０から上方へ突出し
た状態でヘツドベース７に係合している。

なお、図中４５は、ヘツドベース７に形成され
た孔から上方へ突出するキヤプスタンであり、４
６は、このキヤプスタン４５と協働してテープ走
行系を構成するピンチローラである。

上記の構成において、例えばプレイ釦を押した
場合には、ソレノイド３０が通電されてプランジ
ヤ３１が矢印Ｂ方向に吸引され、これによつてレ
バー３３がピン３５を中心として矢印Ｃ方向に回
動し、このレバー３３の動きに基づいてレバー３
７がばね３９の付勢力に抗して矢印Ａ方向に移動
し、しかしてピン２５が同方向に移動することに
よりトーシヨンばね２３を介してヘツドベース７
が矢印Ａ方向に移動する。これによつてヘツド２
は、カム棒１２を含むヘツドベース７に支持され
た部材と共に矢印Ａ方向に移動し、その作用面２
ａが装填されたカセツト４のテープ５に当接す
る。なお、図はヘツド２が矢印Ａ方向に移動され
た状態を示している。この状態から例えばストツ
プ釦を押した場合には、ソレノイド３０の通電が
解除されてプランジヤ３１が自由に矢印Ａ方向に
移動できる状態となり、これによつてばね３９の
付勢力によりレバー３７が矢印Ｂ方向に移動し、
ピン２５が同方向に移動することによりヘツドベ
ース７が矢印Ｂ方向に移動する。これよつてヘツ
ド２も矢印Ｂ方向に移動し、テープ５から離れ
る。なお、この動作においてヘツドベース７は、
その前後のリミツト位置が図示しないストツパに
より定められている。可動部３は、上記のよう
に、矢印Ａ，Ｂ方向に移動するものであり、この
動作は一般のカセツトテープレコーダと同様であ
る。

そしてこのカセツトテープレコーダにおいて
は、シヤーシ１の下面に、第３図、第５図、第６
図に示すように保持枠５０が固定されている。保
持枠５０はその一側端に保持腕５０ａ，５０ｂを
有しており、これら保持腕５０ａ，５０ｂには軸
受５１，５１を介して軸５２が回転自在に支持さ
れている。この場合、軸５２の軸線は矢印Ａ，Ｂ
方向を向いた状態で、上記カム棒１２の軸線と同
一垂直面内で直交するように位置している。この
軸５２には、保持腕５０ａ，５０ｂ間に位置させ
て偏心カム５３が固定されている。偏心カム５３
は外観略円筒状に形成されたものであつて、その
内部の孔５４（第５図参照）の軸線が中心軸線か
ら僅か偏心しており、この偏心した孔５４内に軸
５２が挿入配置され、固定されている。ここで上
記カム棒１２は、ばね２０により下方に付勢され
ることによつて第２図、第３図、第５図ないし第
７図に示すように偏心カム５３のカム作用面５３
ａに当接している。この場合カム棒１２は、前述
したように可動部３が矢印Ａ，Ｂ方向に移動した
きに同方向に移動するが、この移動に際してもそ
の先端は偏心カム５３のカム作用面５３ａに当接
している。すなわち、上記偏心カム５３のカム作
用面５３ａの軸線方向の長さは、可動部３の進退
ストロークよりも長く、可動部３が進退したとき
にカム棒１２がこのカム作用面５３ａの長さの範
囲内で進退動するようになつているのである。な
お、第５図、第６図に示すカム棒１２の位置にお
いて、実線は可動部３がＡ方向への前進リミツト
位置にあるとき、２点鎖線は可動部３がＢ方向へ
の後退リミツト位置にあるときを示す。

一方、上記保持枠５０の下面には、回転軸の軸
線が上記軸５２と平行するようにステツプモータ
５５が取付けられている。このステツプモータ５
５の保持枠５０のモータ保持板部５０ｂから突出
する回転軸５６には小歯車５７が固定されてい
る。また上記保持枠５０の保持腕５０ａから突出
する軸５２には大歯車５８が固定されており、こ
の大歯車５８は上記小歯車５７に噛合されてい
る。上記の構成において、ステツプモータ５５、
小歯車５７、大歯車５８等は後述するように偏心
カム５３を駆動させるものであり、カム駆動機構
５９を構成している。

上記の構成において、例えばプレイ釦を操作し
てこのテープレコーダを動作させた際に、マルチ
トラツクヘツド２の各チヤンネルのヘツドの位置
がテープ５の各対応するチヤンネルのトラツクの
位置とずれていた場合には、このずれに基づいて
適宜作られた制御信号により駆動回路を介してス
テツプモータ５５が回転させられる。ステツプモ
ータ５５の回転軸５６の回転は小歯車５７、大歯
車５８を介して軸５２に伝達され、これにより偏
心カム５３が回転する。偏心カム５３が回転する
と、カム作用面５３ａに従動してカム棒１２が矢
印Ｅ方向（上方）またはＦ方向（下方）に移動
し、これによりマルチトラツクヘツド２が矢印Ｅ
またＦ方向（テープ５の幅方向）に移動する。こ
こでマルチトラツクヘツド２の各ヘツドの位置が
テープ５の各対応するチヤンネルのヘツドの位置
に合致すると、上記制御信号が零となり、ステツ
プモータ５５の回転が停止する。

上記のようにして、このテープレコーダにおい
ては、マルチトラツクヘツド２の各ヘツドとテー
プ５の各対応するチヤンネルのトラツクとの位置
を正確に合致させることができるのである。

そして、上記の構成においては、偏心カム５
３、このカム５３を支持する各部材、ステツプモ
ータ５５、このステツプモータ５５の回転力を偏
心カム５３に伝達する機構等をシヤーシ１側に設
けている。すなわち、ヘツド２を矢印Ｅ，Ｆ方向
へ移動させる機構の要部をヘツドベース７上に設
けることなく、シヤーシ１側に設けた構成なので
ある。したがつて、この構成においては、可動部
３の小形化が図れるのである。

第８図は、上記のパルスモータ５５を駆動して
マルチトラツクヘツド２の位置を制御する制御信
号を得る方法の一例を示す図である。

図において、テープ５は矢印Ｙ方向に走行する
ようになつており、このテープ５には５−₁〜５
−_oのトラツクが形成されている。再生用のマル
チトラツクヘツド２はテープ５の幅方向である矢
印Ｅ，Ｆ方向に移動できるようになつており、こ
のヘツド２には２−₁〜２−_oのヘツドが設けられ
ている。６０は記録用のマルチトラツクヘツドで
あり、このヘツド６０はヘツド６０−₁〜６０−_o
のうち、ヘツド６０−ｉによりテープ５のトラツ
ク５−ｉにタイムコード信号を記録し、トラツク
５−（ｉ−₁），５−（ｉ＋₁）を除く他のトラツク
にPCM信号を記録する。そしてこの方法におい
ては、再生用のマルチトラツクヘツド２におい
て、ヘツド２−ｉによりトラツク５−ｉのタイム
コード信号を再生し、ヘツド２−（ｉ−₁），２−
（ｉ＋₁）によりトラツク５−（ｉ−₁），５−（ｉ＋
_１）に漏洩によつて記録されたタイムコード信号
を再生し、その他のヘツドによりPCM信号を再
生する。再生したタイムコード信号はデコーダ６
１を通して表示装置６２に送られ、そのときのテ
ープ５の走行位置を表わす情報として表示する。
再生されたPCM信号はPCM信号処理回路６３に
送られる。そして、ヘツド２−（ｉ−₁），２−（ｉ
＋₁）の出力をレベル検出器６３，６４により電
圧V₁，V₂に変換する。ここで電圧V₁，V₂は漏洩
したタイムコード信号のレベルに応じた値の電圧
であり、その差はテープ５の各トラツクとマルチ
トラツクヘツド２の各ヘツドとの相対的位置偏差
に比例した信号である。したがつて、この方法に
おいては、上記電圧V₁，V₂を比較回路６５で比
較することにより制御信号を得、この制御信号に
よりパルスモータ駆動回路６６を動作させてパル
スモータ５５をオン、オフさせ、これによつてマ
ルチトラツクヘツド２の位置を制御するのであ
る。

なお、この考案においてパルスモータを駆動す
るための制御信号を得る方法は、上記の方法に限
られるものでなく各種の方法であつてよい。

以上説明したように、この考案によれば、テー
プの走行通路に対して進退方向に支持されたヘツ
ドを支持する部材にカムフオロアを固定し、上記
ヘツドの進退自在と平行に偏心カムを配設し、上
記カムフオロアを上記偏心カムのカム作用面に上
記ヘツドの進退方向に移動自在に当接させ、上記
偏心カムを駆動機構により回転制御するようにし
たから、ヘツドの位置を制御する系がヘツドの進
退時にカムフオロア例と偏心カム側とが相対移動
することになり、これによつてヘツドを含む可動
部に上記偏心カム、駆動機構等を搭載する必要が
なく、したがつて可動部の小形化が図れ、カセツ
ト式のテープレコーダにも適用でる等の効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を適用したカセツトテープレ
コーダの要部の平面図、第２図は同正面図、第３
図は同側面図、第４図は第１図−線視断面
図、第５図は第３図の左半部の拡大図、第６図は
偏心カムおよびカム駆動機構部分の一部断面視し
た平面図、第７図は第２図中心部の拡大図、第８
図は制御信号を得る方法の一例を示す説明図であ
る。 ２……ヘツド（マルチトラツクヘツド）、５…
…テープ、６……テープの走行通路、１２……カ
ムフオロア（カム棒）、１３……ヘツド保持板、
５３……偏心カム、５３ａ……カム作用面、５９
……カム駆動機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. テープの走行通路に対して進退自在に支持され
   たヘツドを支持する部材に、上記ヘツドが進退す
   る方向に直交する方向であつて、テープの走行方
   向に対して直交する方向に突出するようにカムフ
   オロワを固定し、上記ヘツドの進退ストロークよ
   り長いカム作用面を有する偏心カムを、軸線を上
   記ヘツドの進退方向に平行させて配設し、上記カ
   ムフオロワの先端を上記偏心カムのカム作用面に
   上記ヘツドの進退方向に移動自在に当接させ、上
   記偏心カムをカム駆動機構により回転させて上記
   ヘツドの位置を制御するようにしてなる磁気記録
   再生装置におけるヘツド装置。