JPH0122837Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は合成床版構築の際、本設兼用仮設床
として使用される鉄筋トラス組付けのリブ付き鉄
板に関する。

「従来の技術」 合成床版の構築において、リブ付き鉄板を鋼梁
間に渡架し、リブ付き鉄板を捨て型枠すなわち、
本設兼用仮設床としてその上にコンクリート打設
を行う工法があるが、この場合リブ付き鉄板はフ
ランジ幅に対して波の高さ、すなわち溝部の深さ
が比較的小さいため、曲げ剛性が大きくなく、荷
重に対して撓みが大きく、従つて支持スパンを大
きくできないという欠点がある。また表面平滑な
リブ付き鉄板を合成床版の構造材として計算する
ためには、リブ付き鉄板をコンクリートに一体と
させるに鉄板表面にずれ止め筋等を現場溶接する
加工が必要となり、工期、手間がかかるという欠
点がある。

かかるリブ付き鉄板単独での不都合から、従来
より合成床版用の捨型枠として、第１図に示す如
き、リブ付き鉄板１の上向き面上にラチス状鉄筋
トラス２の下側折曲部２ａを溶着させてなるもの
が例えば特開昭52−87816号等に提案されている。
尚、図中２ｂはラチス状鉄筋トラス２の下側折曲
部２ａに近い位置にかぶり厚を確保して溶着され
る下弦筋で、リブ付き鉄板１が構造材の一部とし
て計算、つまりラチス状鉄筋トラスの下弦筋とし
て構成される場合には省略される。

このものは鋼梁間に渡架され、コンクリート打
設されて合成床版となるものであるが、鋼梁間に
渡架されたときは、その自重および打設コンクリ
ート等の仮設的な荷重をリブ付き鉄板１とラチス
状鉄筋トラス２との合成梁として受持つこととな
つて、曲げ剛性が大きくなると共にラチス状鉄筋
トラス２によつて何んらの加工を要することなく
してリブ付き鉄板１とコンクリートとの一体化が
図れるので、既述のリブ付き鉄板単独に於ける不
都合が解消されることとなる。

さらに、ラチス状鉄筋トラス２はスラブ配筋の
要部となることからして、配筋の観点からは、工
場製作による配筋精度の向上、工期の短縮、現場
の配筋作業の大巾な低減が期し得ることとなる。

「考案が解決しようとする問題点」 しかるに、このものにあつては、ラチス状鉄筋
トラス２の各下側折曲部２ａをリブ付き鉄板１の
上向き面上に溶着するものであるから、その溶着
点の数は膨大となり、かつ、その作業もラチス状
鉄筋トラス２を所定の立姿勢に定めつつとり行な
わねばならないという困難なものとなり、さら
に、リブ付き鉄板１表面に厚層の耐火被覆を施こ
す必要のあるリブ付き鉄板１が構造材の一部とし
て計算されないものの場合にあつては、ラチス状
鉄筋トラス２の下弦筋２ｂは通常加工の場合にお
ける如くに下側折曲部２ａに取り付くとすること
が出来ず、つまり、被り厚確保のために図示の如
く、所定寸法上方に故意にずらした位置にて溶着
取り付けしなければならず、このため溶着点の数
は倍増し、加工の困難さと共に溶着点数の多さが
加工難、コストアツプをもたらしている。

その他、この架構体では、吊り込み用吊上げ部
として利用し得る個所は別段見当たらず（ラチス
状鉄筋トラス２に掛けた場合には溶着点が耐えら
れないので）、使用時にあつて不便である。

「問題点を解決するための手段」、「作用」 本案は叙上の事情に鑑みなされたもので、その
要旨とするところは、合成床版用本設兼用仮設床
としての鉄筋トラス組付けのリブ付き鉄板をば、
リブ付鉄板の上向き面上にリブ方向と直交させて
適宜間隔をもつて複数のＣ型コネクターを溶着
し、当該並列配置のＣ型コネクター上にトラスと
して独立の梁を構成する断面三角形の立体架構の
ラチス状鉄筋トラス若しくは平板状のラチス状鉄
筋トラスを溶着にて該リブ方向に渡架させて、構
成し既述の諸難点を全く解消した点にある。

「実施例」 以下、これを図に基づいて詳細に説明する。

第２図は本案品の平板状ラチス鉄筋の場合で示
す俯瞰図であつて、図中３はリブ付き鉄板１の上
向き面上にリブ方向と直交させて所定間隔をもつ
て並列に溶着のＣ型コネクター、４は該Ｃ型コネ
クター３に溶着立設の鉄板コネクター、５は該鉄
板コネクター４への溶着を介して該Ｃ型コネクタ
ー３間に渡架の平板状のラチス状鉄筋トラスを
夫々示す。

図示例では、それ自体では自立不可能な平板状
のラチス状鉄筋トラス５を鉄板コネクター４を介
してＣ型コネクター３間に渡架させているが、第
３図に示す如く、断面三角形の立体架構のラチス
状鉄筋トラス６をＣ型コネクター３上に溶着にて
直接渡架させた場合には、該トラス６は自立可能
であるので、コネクター４は不要となる。

叙上平板状のラチス状鉄筋トラス５並びに断面
三角形のラチス状鉄筋トラス６はそれ自体が独立
して梁体を構成し且つ機能するものであり、力学
上リブ付き鉄板１は単にこれに非構造材として付
属するものである。

つまり、本案品は梁架設時にあつては、リブ付
き鉄板１をトラス下弦材として合成するものでは
ない。

よつて、本案の鉄板の支持は鉄筋トラス５，６
に由る。そして、Ｃ型コネクター３は鉄板１が上
部に打設されるコンクリート荷重を支持できる間
隔に配設されればよいものである。

尚、第４図ａ，ｂは第２図に示されるものの、
縦断正面、側面図である。

第２図において、７は亀裂防止用のために本案
品上に載せられるメツシユ筋若しくはメタルラス
である。

本案品は上述の如く構成されるものであるか
ら、リブ付き鉄板１に溶着のＣ型コネクター３
が、吊り上げ部として利用し得ると共に直接鉄板
１に溶着されることなく当該Ｃ型コネクター３の
厚み分上に位置することとなるラチス状鉄筋トラ
ス５，６の下弦筋はＣ型コネクター３の厚さ分鉄
板１より隔離され自動的に被り厚が確保される。

かかるＣ型コネクター３のスペーサー作用は、
ラチス状鉄筋トラス５，６についての下弦筋溶着
に関して便宜を与える。つまり、既述の如く、ラ
チス状鉄筋トラスの下弦筋の溶着取り付けでは、
被り厚確保のため通常の下側折曲部ではなく、所
定寸法上方に故意にずれた溶着点数が倍増する位
置にしなければならないことが生じるが、本案に
あつてはＣ型コネクター３が鉄板１との間に介在
していることから、そのような不利な加工を強い
られることがなく有利である。

また、本案品に於ける溶着加工個所は、リブ付
き鉄板１に対してのＣ型コネクター３、Ｃ型コネ
クター３に対しての鉄板コネクター４若しくはラ
チス状鉄筋トラス５，６、鉄板コネクター４に対
しての平板状のラチス状鉄筋トラス５等の僅少個
所のみであり既述在来のものに比し大巾低減がな
されている。

尚、本案にあつては、構造上鉄筋トラス５，６
が型枠のリブ付き鉄板１を梁架構の力学上単に非
構造材として付属するものとしているが、Ｃ型コ
ネクター３で一体化されているので、断面性能が
上り、強度、撓みに対して有利である。

「考案の効果」 以上の如く、本案によるならば、従来の合成床
版用本設兼用仮設床としての鉄筋トラス組付けの
リブ付き鉄板に於ける溶着点についての難点、吊
り込み時の脆弱性が改善せられ、極めて有意義で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは従来の合成床版用鉄筋トラス組
付けのリブ付き鉄板の縦断正面、側面図、第２図
は平板状ラチス鉄筋の場合で示す本案品の俯瞰
図、第３図は本案品の一実施例の縦断正面図、第
４図ａ，ｂは本案品の縦断正面図、ａ−ａ線縦断
側面図である。 １……リブ付き鉄板、３……Ｃ型コネクター、
４……鉄板コネクター、５，６……ラチス鉄筋ト
ラス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リブ付鉄板の上向き面上にリブ方向と直交させ
   て適宜間隔をもつて複数のＣ型コネクターを溶着
   し、当該並列配置のＣ型コネクター上にトラスと
   して独立の梁を構成する断面三角形の立体架構の
   ラチス状鉄筋トラス若しくは平板状のラチス状鉄
   筋トラスを溶着にて該リブ方向に渡架させるとし
   てなることを特徴とする合成床版用本設兼用仮設
   床としての鉄筋トラス組付けのリブ付き鉄板。