JPH0119677Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はハンドル式ドラツグ機構を具備した
リールに於けるドラツグフリー位置調整機構に関
する。

魚釣用リール、特に両軸受リールに於いてドラ
ツグ作動を操作するには、通常、星形形状或いは
ダイヤル形状のドラツグ摘まみを回動操作して作
動させるが、このドラツグ摘まみの部分にハンド
ルアームを置き換え、ハンドル操作のみでドラツ
グ力の強・弱を調節したり強制捲込みの状態とす
るものがある。

即ち、ハンドルを釣糸の捲込み方向とは逆の方
向に回動（弛めて）してドラツグ力を弱めたり、
ハンドルを捲込方向に回動締付けてドラツグ力を
強くしたり、更にハンドルを強く締付ける方向に
回動して強制捲込みの状態とすることが出来るよ
うになつている。

そして、上記したドラツグ作用はハンドルの一
定回転角度の範囲内で行なわれるようになつてい
る。

しかしながら、上記のドラツグ装置は複数枚の
ドラツグワツシヤー、弓形バネ、ドラツグスリー
ブ及びその他各種の部品を積み重ねて構成されて
ているため、各々の部品の厚み及び長さ寸法のバ
ラツキによりドラツグ力は一定とならない不具合
がある。

本考案は上述したような事情に鑑みて考案した
もので、ドラツグ装置を構成する各種部品のバラ
ツキによつて生じるドラツグ力のバラツキをハン
ドルの回動範囲を規制する部品のセツト位置を変
えることによつてドラツグフリーの状態を形成し
得ると共に、所望のドラツグ範囲を形成し得るよ
うにしたものである。

斯る目的を達成する本考案の調整機構は、ハン
ドル面より突出せるメインギヤーシヤフトの上部
にスリ割を施こして断面小判形の係合軸部を形成
し、その係合軸部に、円板状で周縁に突縁を有す
ると共に中央部に角形ボス部を突設した回り止め
板を嵌着係合し、その回り止め板の角形ボス部
に、角孔を開穿し外周適宜個所に突片を突出した
ストツプボスを嵌着し、更に回り止め板の突縁と
ストツプボス外周との間に、内側に突片と衝合す
る突部を有し外側にはハンドルに固着したストッ
プピンと衝合する腕部を突設したストツプ板を回
動可能に嵌合した構成を要旨とするものである。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
すると、第１図はハンドルの回動によつて作動す
る駆動機構を示し、基板１に起立固着された芯軸
２にメインギヤーシヤフト３が回転可能に嵌着し
てあり、このメインギヤーシヤフト３にメインギ
ヤー４が遊転自在に嵌着されると共に、メインギ
ヤーシヤフト３の上半部周面にはネジが刻設さ
れ、且断面小判形に形成されてハンドル５と一体
化されたドラツグメタル６が螺着されている。

又、ハンドル５のドラツグメタル６とメインギ
ヤー４との間にはドラツグワツシヤー７、ドラツ
グプレート８、ワツシヤー９、及びコイルバネ１
０より成るドラツグ装置が介在され、ハンドル５
の締付けによりドラツグ力が強となり、ハンドル
５を弛めた時ドラツグ力が弱くなるようになつて
いる。

即ち、ハンドル５を締付けるとドラツグメタル
６はコイルバネ１０、ドラツグプレート８を介し
てドラツグワツシヤー７でメインギヤー４を挾圧
着し、メインギヤー４の逆回転に強いドラツグ力
が作用し、ハンドル５の正回転にはドラツグ力で
メインギヤー４も一体に回転する。

ハンドル５より外方に突出したメインギヤーシ
ヤフト３の外周面にはスリ割が施こされて断面小
判形の係合軸部１１が形成され、その係合軸部１
１に回り止め板１２が嵌着されると共に、回り止
め板１２の外側にストツプボス１３及びストツプ
板１４が嵌着され、止めナツト１５で締着されて
いる。

回り止め板１２は円板状にしてその周縁には上
方に立ち上つた突縁１６が同一体に突出形成さ
れ、中央部には平面六角形状をなした角形ボス部
１７が突縁１６より上方に突出する高さに突設さ
れると共に、該角形ボス部１７の中央に係合軸部
１１の断面形状と同形状の孔１８が貫通開穿して
あり、突縁１６の内面と角形ボス部１７外面との
間にはストツプボス１３、ストツプ板１４が嵌着
されている。

ストツプボス１３は円板状をなし、中央部に回
り止め板１２の角形ボス部１７が嵌合する六角形
の角孔１９が貫通開穿してあり、外周面の適宜個
所には突片２０が突出形成されている。

ストツプ板１４は回り止め板１２の突縁１６と
ストツプボス１３外周との間に嵌入するリング状
に形成され、その内側にストツプボス１３の突片
２０と衝合する突部２１が突設されると共に、外
側にはハンドル５に固着されたストップピン２３
と衝合する腕部２２が突縁１６を乗り越えて回り
止め板１２外方に突出形成されている。

従つて、ストツプ板１４は突部２１が突片２０
と衝合する位置まで回転可能となつている。

図中、２４はメインギヤーシヤフト３に嵌着係
合され一体回転する逆止め歯車、２５は平行捲き
機構（図示セズ）を作動させる平行捲ギヤーであ
る。

次にドラツグフリーの調整について説明する
と、第２図は止めナツト１５を一部切欠して示す
平面図で、ハンドル５を矢印ａ方向に回転すると
ドラツグ力が強となつて釣糸が捲込まれ、矢印
a′方向に逆転させるとドラツグ力が弱となる。そ
してハンドル５の逆回転方向への作動はストツプ
ボス１３の突片２０と突部２１が衝合して逆方向
への回転が止められているストツプ板１４の腕部
２２にストップピン２３が衝合する位置である。

従つて、第２図に示せる如く、メインギヤーシ
ヤフト３の係合軸部に嵌着してあるストツプボス
１３をドラツグ力が弱となる方向に１ピツチ（１
角）、即ちｂ点からb′点に移動させてセツトすれ
ば、ストツプ板１４も変更前に比べてｃ点から
c′点まで回動してストツプボス１３と衝合して、
ハンドル５がa′方向に回転する範囲が広がり、変
更前に比較してドラツグ弱の範囲を大きくするこ
とが出来るものである。

尚、ストツプボス１３をドラツグ力が強となる
方向に１ピツチまたはそれ以上ズラしてセツト変
えした場合はドラツグ力の作動幅（強←→弱）を狭
くすることが出来る。

第３図及び第４図はハンドル操作を示し、第３
図の仮想線で示すハンドル５の位置はドラツグフ
リー時を示し、実線で示す位置はハンドル５をド
ラツグフリー時から矢印Ａ方向に回転してドラツ
グ力を強とし、ストップピン２３がストツプ板１
４の腕部２２に当接した状態である。

第４図は第３図の実線で示す位置からハンドル
５を正転方向に回動した状態を示し、仮想線で示
す状態からの回動はストップピン２３の前面でス
トツプ板１４の腕部２２を係着しながら回転し、
ストツプ板１４の突部２１がストツプボス１３の
突片２０と衝合してハンドル５の締付け方向の回
転が止められる。

尚、ハンドル５を逆回転させてストップピン２
３がストツプ板１４の腕部２２と衝合する位置ま
で回転させた時、ハンドル５表面と回り止め板１
２下面との間に隙間があり、両者が接触しないよ
うにする。

これはハンドル５と回り止め板１２とが接触し
た場合、ハンドル５を正回転方向に回動してもハ
ンドル５がネジ込まれず、強制捲込みの状態にな
らなくなるといつた不具合が生じるのを防止する
ためである。

又、上記実施例は回り止め板１２の角形ボス部
１７とストツプボス１３との嵌め合いを六角形状
で行ない一角のズラしによつて60゜移動し得るよ
うにしたものであるが、ストツプボス１３の角孔
１９を12角形孔として回り止め板１２とストツプ
ボス１３とのセツト変え時のズラシ幅をより細か
くし、より一層の微調整を行うようにするも勿論
可能である。

本考案のドラツグフリー位置調整機構は以上詳
記したように、断面小判形となしたメインギヤー
シヤフトの係合軸部に角形ボス部を有した回り止
め板を嵌着し、その角形ボス部の外側にストツプ
ボスを嵌合位置調節自在に嵌着すると共に、回り
止め板の突縁とストツプボス外周面との間にハン
ドル上のストツプピンと衝合する腕部及びストツ
プボスの突片と衝合する突部を有したストツプ板
を嵌着したものであるから、ハンドルの回転量は
突片と突部、腕部とストップピンの夫々が係合し
た位置から正転方向へ回転して再び衝合する位置
までの最高２回転の範囲となり、ドラツグ力の強
←→弱の範囲を広くとることが出来る。

しかも、メインギヤーシヤフトの係合軸部に嵌
着せる回り止め板の角形ボス部に対するストップ
ボスの嵌着位置（突片の位置）を正・逆方向にズ
ラしてセツトすればハンドルの回転量が変わり、
所望のドラツグ力が作用する範囲に設定すること
が出来る。

従つて、予めセツトされていた状態でのドラツ
グ力が強・弱方向に足りなかつたり、或いはドラ
ツグ装置を構成する部品の肉厚、長さ等のバラ付
きによつて生じるドラツグ力のバラ付き等はスト
ツプボス、ストツプ板のセツト変えによつて簡単
に調整することが出来る。

依つて、釣りに応じて最適なドラツグ力を得る
ことが出来るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は一部切
欠正面図、第２図は一部を切欠して示す平面図、
第３図及び第４図はハンドルの回転状態を示す一
部切欠平面図である。 図中、３……メインギヤーシヤフト、４……メ
インギヤー、５……ハンドル、６……ドラツグメ
タル、７……ドラツグワツシヤー、８……ドラツ
グプレート、１１……係合軸部、１２……回り止
め板、１３……ストツプボス、１４……ストツプ
板、１６……突縁、１７……角形ボス部、１９…
…角孔、２０……突片、２１……突部、２２……
腕部、２３……ストップピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. メインギヤーを遊転自在に保持したメインギヤ
   ーシヤフトにハンドルが緊締、弛緩可能に螺着さ
   れ、且ハンドルとメインギヤーとの間にドラツグ
   装置が介在されてハンドルの緊締によりメインギ
   ヤーが一体回転状となり、ハンドルの弛緩により
   メインギヤーがスリツプ転するハンドル式ドラツ
   グ機構を具備した魚釣用リールに於いて、上記ハ
   ンドル面より突出せるメインギヤーシヤフトの上
   部にスリ割を施こして断面小判形の係合軸部を形
   成し、その係合軸部に、円板状で周縁に突縁を有
   すると共に中央部に角形ボス部を突設した回り止
   め板を嵌着係合し、その回り止め板に、角形ボス
   部が嵌合する角孔を開穿し外周適宜個所に突片を
   突出したストツプボスを嵌着し、更に回り止め板
   の突縁とストツプボス外周との間に、内側に突片
   と衝合する突部を有し外側にはハンドルに固着し
   たストップピンと衝合する腕部を突設したストッ
   プ板を回動可能に嵌合したドラツグフリー位置調
   整機構。