JPH0118728B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、熱伝導率の良好な構造よりなる鍋
を多段的に重ね同時に調理し得る斬新且つ実効性
を有する多段加熱用調理容器の開示に係わるもの
である。

而して従前に於いては、調理の際にレンジの数
に応じた数しか鍋、フライパン等を使用できない
ものであつて、多種類の調理を要請される場合、
同時に煮焚きすることができず順序を定めて調理
されたものであつて、既に出来上つた調理物が冷
める不都合を有し、又、調理物各別に燃料エネル
ギーの消費を伴つたものである。

本発明は、かゝる従前例の不都合に鑑み案出さ
れたものであつて、その主たる目的の一つは、鍋
自体の熱伝導を良好なものとすることによつて、
下部の鍋への加熱が即上部の鍋に熱伝導されるよ
うにし、上下の鍋に於いて略均一の煮沸を可能と
なすようにしたものである。

又、本発明に於ける他の主たる目的の一つは、
鍋の全周面から均一な熱の伝達を可能となし、鍋
内の煮物への良好な加熱を可能となすようにした
ものである。

更に本発明に於ける他の主たる目的の一つは、
鍋開口縁に水の膜を生じせしめる構造となし、鍋
内の空気は抜き出し、外部からの空気は入れない
ようにし、煮物の沸き出しを有効に防止し得るよ
うにしたものである。

次いで、本発明に於ける他の主たる目的の一つ
は、鍋の積み重ねによつて、加圧を同時になし得
るようにしたものである。

更に又、本発明に於ける他の主たる目的の一つ
は、水の添加量が必要最少限とされるようにし、
煮沸時間を少なくすることによつて、ガス等の加
熱エネルギー費用の節約を期し得るようにしたも
のである。

次いで又、本発明に於ける他の主たる目的の一
つは、単なる圧力鍋としての構造をとらず、応用
範囲の広い調理鍋を提供するようにしたものであ
る。

而して、本発明に於ける他の主たる目的の一つ
は、鍋の組合せを自在なものとなし、単一の鍋と
しての使用をも可能とするようにしたものであ
る。

而して本発明は、かゝる諸特性の適切且つ合目
的々な奏効を期すべくその構成の要旨をステンレ
ススチール鈑、アルミ板を複数層積層した構造よ
りなる加熱用調理容器の周側面任意位置に該周側
面を外方に膨出した周回凸条を設けるようになす
と共に、該容器開口内周側部に前記凸条の係合段
縁を設けるようにした点に置いたものであつて、
かゝる構成の要旨に附随した相当の設計変更を予
定したものである。

以下本発明の詳細を図面に示す典型的な一実施
例について説明するに、１は加熱用調理容器であ
つて周側面任意位置に該周側面を外方に膨出した
周回凸条１ａを設けたものである。又、該容器１
の開口内周側部に前記周回凸条１ａの係合段縁１
ｂを設け、該係合段縁１ｂは該周回凸条１ａと係
合部に凹溝１ｄを周設し、水分が貯るようにしウ
オーターシールを構成するようにしたものであ
る。かゝる加熱用調理容器１をレンジａに載置
し、該加熱用調理容器１の係合段縁１ｂに順次他
の加熱用調理容器１の周回凸条１ａを係合せし
め、必要調理加熱数分、加熱用調理容器１を積み
重ねるようにしたものである。

該容器１の側部には、把持部３をスポツト熔着
し、この容器１の係合段縁１ｂに係当する蓋２に
はツマミ４を適宜設けたものである。

尚、かゝる加熱用調理容器１は第５図又は第６
図に示す如く、二層のステンレススチール鈑５の
間に単層ないし複数層のアルミ鈑６を介装した構
造又は二層のアルミ鈑６間に単層又は複数層のス
テンレススチール鈑５、アルミ鈑６を介装し、多
重構造よりなるものであつて、良好な熱伝導、保
温性を兼具せしめたものである。

又、第３図に示す如く加熱用調理容器１′は底
部に孔１′ｃを開設し、蒸し鍋としての使用を可
能としたものである。

更に第２図に示す如く、加熱用調理容器１と同
素材からなる孔７ａの付円鈑７を該容器１の係合
段縁１ｂに係合し、蓋２を載せることによつてオ
ーブンとしての使用を可能となし、又、加熱用調
理容器１内で煮込み料理をしながら型蒸し卵や、
ソース等の調理を可能とするものである。

更に、かゝる加熱用調理容器１は、通常の鍋、
蒸し鍋用の他、フライパン型等の各種料理に応じ
た形態が予定されたものである。

而して、本発明はかゝる諸特性の合目的々な奏
効を期すべくその構成の要旨をステンレススチー
ル鈑、アルミ鈑を複数層介装した構造よりなる加
熱用調理容器に於ける周側面任意位置に該周側面
を外方に膨出した周回凸条を設けるようになすと
共に、該容器開口内周側部に前記凸条の係合段縁
を設けるようにした任意複数個の加熱用調理容器
の組合せよりなることによつて、前記せる従前例
に於ける不都合を有効に是正し得たものであつ
て、以下の具体的な奏効を期待されたものであ
る。

即ち、本発明に於いては、加熱用調理容器１を
二層のステンレススチール鈑５の間に単層又は複
数層のアルミ鈑６を介装した構造又はステンレス
スチール鈑５、カーボンスチール鈑、ステンレス
スチール鈑５の三層構造もしくはアルミ鈑６、ス
テンレススチール鈑５、アルミ鈑６の三層構造
等々の熱伝導性の高い構造よりなるものとし、下
部容器１への加熱がすぐに上部の容器１に熱伝導
され得るものとなし、上下の容器内に於いて略均
一の煮沸を可能としたものであつて、非常に経済
性を有したものである。

又、本発明に於いては、熱伝導性の高い構成、
就中二層ステンレス間に1145アルミニウム3003ア
ルミニウム等の熱ムラが無く且つ熱伝導の良い鈑
を介装し、加熱用調理容器１の全周面から均一な
熱の伝達を可能となし、煮物への良好な加熱を可
能となしたものである。

更に、本発明に於いては、該容器１の係合段縁
１ｂと周回凸条１ａの係合した際に水分の貯まる
凹溝１ｄが所謂ウオーターシールの効果を有し、
加熱に伴ない発生する水蒸気を該凹溝１ｄ部で受
け止め、水蒸気の散失を防止し、且つ外気の侵入
を防止することによつて、該容器１内を半真空と
なし、もつて煮物材料の風味を保ち、栄養素の酸
化、分解、更に色の変化を防止すると共に煮物の
沸き出しを有効に防止し得たものである。

尚、半真空となり、蓋２ないし容器１が外れな
い場合は少々加熱すれば容易に外し得るものであ
る。

次いで又本発明に於いては加熱用調理容器１を
積み重ねるようにしたことによつて下の容器１の
加圧を同時になし得たものである。

即ち、本発明に於いては、半真空となり易く、
煮沸時間を少なくすることによつて、エネルギー
を節約し、添加する水の量が必要最少限とされる
ことにより栄養価の損失を最少に抑止し得たもの
である。即ち、調理法によつて失なわれる栄養価
の百分率を水を使用しないで調理した場合（以下
Ａという）、水を多量に使用した場合（以下Ｂと
いう）、水と少量使用した場合（以下Ｃという）
の３つの場合に於いて比較するにカルシウムでは
Ａに於いて5.6％、Ｂに於いて22.2％、Ｃに於い
ては12.1％、鉄に於いてはＡが9.6％、Ｂが23.3
％、Ｃが13.6％、ビタミンB₁に於いてはＡが9.0
％、Ｂが37.4％、Ｃが24.4％、ビタミンB₂に於い
てはＡが12.1％、Ｂが36.9％、Ｃが21.7％ビタミ
ンＣに於いては、Ａが26.7％、Ｂが47.3％、Ｃが
35.5％、ビタミンＡに於いてはＡが5.3％、Ｂが
20.9％、Ｃが13.5％を示し、調理法に於ける水分
量は極力少ない方が栄養価の損失が少ないもので
ある。

而して又、本発明に於いて加圧鍋としてのみな
らずフライパン、蒸し鍋、煮鍋としての種々の機
能の組合せを自在なものとなし、単一の鍋として
の使用をも可能となし得、しかも水、油等の使用
量を極力少なくしたものである。

叙上に於ける通り本発明は斬新にして実効的な
多段加熱用調理容器の提供をその目的としたもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の典型的な一実施例を示す断面
図、第２図は同他の一実施例を示す斜視図、第３
図は同他の一実施例を組合せ状態を示す斜視図、
第４図は同断面図、第５図、第６図は加熱用調理
容器を構成する鈑の積層構造を示す断面図であ
る。 尚、図中１……加熱用調理容器、２……蓋、３
……把持部、４……ツマミ、５……ステンレスス
チール鈑、６……アルミ鈑、７……孔付円鈑を示
したものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ステンレススチール鈑、アルミニウム鈑の多
   層構造よりなる容器であり、該容器に於ける周側
   立上り壁の任意位置が該周側壁から外方に向けて
   膨出された周回凸条部とされ、且つ該容器開口縁
   部の内周側部には凹溝が設けられた加熱用調理容
   器であつて、該容器が順次重ね合せられて下段の
   容器の開口縁部にある凹溝に上段の容器の立上り
   壁外周にある凸条が係当して、該凸条と前記凹溝
   との間にウオーターシールを構成する溝部が設け
   られている任意複数個の加熱用調理容器の組合わ
   せよりなることを特徴とする多段加熱用調理容
   器。