JPH0117364Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は軸体の伸縮防止装置、殊に圧延機用
ユニバーサルジヨイントのスプライン摺動部にお
ける該摺動部の伸縮を防止する装置に関する。

従来、圧延機のロール軸にルーズに嵌合された
フイツテイングを、ロール軸から抜け止めしない
ように保持する方法としては、前記フイツテイン
グに連結されたユニバーサルジヨイントのスプラ
イン摺動部にばねを内蔵してユニバーサルジヨイ
ント自身の伸縮を規制する方法が知られている。
しかし上記従来の方法によるときは、構成が複雑
になる上に、ばね自体のたわみによつてユニバー
サルジヨイントの伸縮を確実に防止することがで
きない不都合があつた。

この考案は上記不都合を解消することができる
ユニバーサルジヨイントのスプライン摺動部にお
ける伸縮防止装置の提供を目的とする。

この考案の構成を実施例に基づいて説明すれ
ば、第１図はユニバーサルジヨイントのスプライ
ン摺動部を示すもので、スプライン軸１と該軸１
とトルク伝達可能に嵌合するメススプラインを内
面に形成した筒体２とが伸縮可能に結合されてい
る。スプライン軸１の基部１Ａ及び前記筒体２の
外形はそれぞれ断面小判形に形成されており、こ
の両者の小判形部２ａ，１ａの各円弧部に周方向
にのびる凹溝２ｂ，１ｂが設けられている。この
場合、スプライン軸１の小判形部１ａの円弧部に
は、１条の凹溝１ｂが設けられるのに対し、筒体
２の小判形部２ａの円弧部には、通常適当な間隔
をおいて複数条（第１図では３条）の凹溝２ｂが
設けられていて、ユニバーサルジヨイントの結合
部の長さを凹溝２ｂの間隔に合せて段階的に変化
させることができるようになつている。

筒体２とスプライン軸１の基部１Ａの両方に外
挿されるカバースリーブ３は、その両端部に近い
内面に、小判形部１ａ，２ａの互いの平行な２つ
の面の間隔l₁より若干大きな間隔l₂で、且つ前記
凹溝１ｂ，２ｂと係合し得る各１対の弓形の係止
片４，４が設けられる（第２図参照）。カバース
リーブ３と筒体２またはスプライン軸１の基部１
Ａとの係合は、弓形の係止片４，４を小判形部２
ａ，１ａの平行な２つの面に対応させて矢印Ｐで
示すように軸方向に移動させ、係止片４が凹溝２
ｂまたは１ｂの位置に達したところでカバースリ
ーブ３を軸方向と直角な矢印Ｑ方向に90゜回転し
て係止片４，４を凹溝２ｂまたは１ｂに係合させ
て行う。

カバースリーブ３を上記係合状態に保持する回
り止めは、カバースリーブ３をスプライン軸１の
基部１Ａに係止する回り止め手段５によつて行
う。この回り止め手段５としては、第１図に示す
ように、スプライン軸１の基部１Ａに設けた半径
方向の凹孔６にばね７を装着し、該ばね７によつ
て凹孔６内から半径方向外方に付勢された押圧部
材８を該凹孔６から一部突出させ、該突出部分を
スプライン軸１及び筒体２と係止状態にあるカバ
ースリーブ３の対応する内面に設けた係合孔９に
嵌め込むように構成されたものを用いるが、カバ
ースリーブ３をネジによつてスプライン軸１の基
部１Ａに固着してもよい。なお前記押圧部材８の
上端部は、カバースリーブ３との係合及び係合解
除を容易にするため、上に凸な曲面、例えば半球
面に形成しておく。

ユニバーサルジヨイントの結合部の長さの調節
は、筒体２に設けた複数条の凹溝２ｂのいずれか
をカバースリーブ３の一方の係止片４，４と係合
させることによつて、各凹溝２ｂの間隔だけ段階
的に調節する。第１図の実線はユニバーサルジヨ
イントの結合部の長さが一番長くなる係合状態を
示し、二点鎖線は筒体２の一番左側の凹溝２ｂを
カバースリーブ３の係止片４と係合させたユニバ
ーサルジヨイントの結合部の長さが一番短くなる
状態を示している。

したがつて、この考案によれば、筒体とスプラ
イン軸の基部とを小判形に形成し、該小判形部の
円弧部に凹溝を設け、この凹溝にカバースリーブ
の弓形の係止片を回動しないように係止するとい
う簡単な構成によつて、ユニバーサルジヨイント
の結合部を規制された長さに保持するだけでな
く、その軸方向への伸縮を確実に防止することが
でき、また、カバースリーブによるスプライン軸
と筒体との結合及び結合解除を、カバースリーブ
の回動及び軸方向への移動というきわめて簡単な
操作によつて能率良く行うことができる。

しかも、カバースリーブの回り止め手段も単に
カバースリーブの回動を防止するものであれば、
例えば実施例のように押圧部材で径方向に付勢す
るだけの簡単な構造のものでよいので、前記カバ
ースリーブの操作を一層能率良く行える。さらに
筒体に複数条の凹溝を設けることにより、圧延機
のロールの段階的な位置決めにも利用することが
できる。

なお本考案では、ユニバーサルジヨイントのス
プライン摺動部における軸体の伸縮防止装置を例
示したが、本考案はこれに限定されるものではな
く、軸と筒体とがトルク伝達可能でかつ摺動可能
に結合している軸体構造でさえあれば、その伸縮
を効果的に規制し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の上半部を断面で
示した正面図、第２図は筒体及びスプライン軸と
カバースリーブとを分離して示した斜視図、第３
図は第１図−断面図、第４図は第１図−
断面図である。 １……スプライン軸、１Ａ……スプライン軸の
基部、１ａ，２ａ……小判形部、１ｂ，２ｂ……
凹溝、２……筒体、３……カバースリーブ、４…
…弓形の係止片、５……回り止め手段、６……凹
孔、７……ばね、８……押圧部材、９……係合
孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 外周面にスプライン等を施した異形断面軸と
   該軸とトルク伝達可能に嵌合する筒体とからな
   る伸縮可能な軸体において、前記異形断面軸の
   基部と筒体の外形とをそれぞれ断面小判形に形
   成し、前記両者の小判形部の各円弧部に周方向
   にのびる凹溝を設けるとともに、前記筒体と異
   形断面軸の基部に前記各凹溝と係合する弓形の
   係止片を両端部内面に設けた円筒状のカバース
   リーブを外挿し、該カバースリーブと前記異形
   断面軸との間に両者の係合状態を保持する回り
   止め手段を設けたことを特徴とする軸体の伸縮
   防止装置。 (2) 前記筒体の小判形部の円弧部に形成した周方
   向にのびる凹溝が複数条設けられている実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の軸体の伸縮防止
   装置。 (3) 前記回り止め手段が前記異形断面軸の基部に
   設けた半径方向の凹孔に装着され、ばねによつ
   て前記軸から一部突出するように保持された押
   圧部材と、該押圧部材と対応するカバースリー
   ブの内面に設けられた係合孔とからなる実用新
   案登録請求の範囲第１項または第２項記載の軸
   体の伸縮防止装置。