JPH0115800Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、廊下やバルコニーを外壁から片持ち
状態に突出させて設けた集合住宅のような片持ス
ラブを備えたRC造構造物を構築するにあたつて、
工期の短縮を図り得る新規かつ有用な梁主筋仮置
き用治具を提供するものである。

従来、片持スラブを備えたRC造構造物におけ
る桁梁の配筋は、第１図に示すように、内スラブ
型枠ａと片持スラブ型枠ｂとにわたつて架設した
鋼棒ｃの上に、梁主筋ｄを仮置きした状態で、圧
接等による梁主筋ｄ同士の接合、スターラツプｅ
と梁主筋ｄとの結束等を行なつて、梁鉄筋を組立
て、前記鋼棒ｃを引き抜いて、前記梁鉄筋を所定
レベルまで降下するといつた手順によつて行なわ
れていた。

このため、外壁の内側型枠ｆ、桁梁の底型枠ｇ
及び内側型枠ｈ、内スラブ型枠ａを組立て、壁配
筋後、外壁の外側型枠ｉ及びこれに連なる片持ち
スラブ型枠ｂの組立てが完了するまで、梁鉄筋の
配筋作業に着手することができず、工期が長くな
ることがあつた。

本考案の梁主筋仮置き用治具は、柱主筋を有効
に利用することにより、内スラブ型枠の工事が完
了した時点で、直ちに、つまり、片持スラブ型枠
の組立て以前に、梁鉄筋の配筋を行なえ、もつ
て、型枠工事と鉄筋工事との同時進行により、工
期短縮を可能にしたものであり、内スラブ型枠の
上面に対する取付用部分と該部分から立上つた立
上り部分とその上端から水平に延設されて梁の上
端主筋を載置するように構成された水平部分とか
らなる上端主筋支持部材と、該部材の前記水平部
分から垂下された吊り具と、該吊り具と前記内ス
ラブ型枠の上面とにわたつて水平に架設され、梁
の下端主筋を載置するように構成された下端主筋
支持部材と、前記上端主筋支持部材の前記水平部
分と柱主筋又は仮設支柱とを着脱自在に連結する
連結具とによつて構成されている。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第２図、第３図は梁主筋仮置き用治具Ａとその
使用状態を示す。

図において、１は柱主筋、２はフープ筋、３は
外壁の内側型枠、４は桁梁の底型枠、５は桁梁の
内側型枠、６は内スラブ型枠、７はスパン方向の
梁型枠を示している。８はスパイラル筋よりなる
スターラツプ、９はスターラツプ８を仮置きする
ための桟木、１０ａ…は桁梁の上端主筋、１０ｂ
…は桁梁の下端主筋を示す。

前記治具Ａは、上端主筋支持部材１１と、下端
主筋支持部材１２と、吊り具１３と、連結具１４
とによつて構成されている。

上端主筋支持部材１１は、前記内スラブ型枠６
の上面に犬釘等の留め具１５によつて固定される
水平な取付用部分１１ａと、その一端から斜めに
立上つた立上り部分１１ｂと、その上端から水平
に折曲延設された水平部分１１ｃとからなり、水
平部分１１ｃに、前記上端主筋１０ａ…及び桟木
９を載置すべく構成してある。

吊り具１３は、上端に上端主筋支持部材１１の
前記水平部分１１ｃに対する係止部１３ａを有
し、下端には、下端主筋支持部材１２に対する係
止部１３ｂを有している。

また、図示の連結具１４は、互いに直角に固着
された一対の筒部１４ａ，１４ｂと各筒部１４
ａ，１４ｂに、それらの筒壁を貫通した状態に螺
着したボルト１４ｃ，１４ｄとを有し、一方の筒
部１４ａを前記水平部分１１ｃに外嵌して、ボル
ト１４ｃにより締付け固定し、他方の筒部１４ｂ
を柱主筋１に、また、治具Ａを桁梁の中間部相当
位置に用いる場合には、桁梁の底型枠４の上面に
犬釘等の留め具１５で固定された仮設支柱１６に
夫々外嵌して、ボルト１４ｄにより締付け固定す
べく構成されている。

下端主筋支持部材１２は、前記吊り具１３の係
止部１３ｂと前記内スラブ型枠６の上面とにわた
つて水平に架設され、桁梁の下端主筋１０ｂ…を
載置すべく構成されている。

尚、下端主筋支持部材１２は、内スラブ型枠６
の上面にフリーな状態に載置されるだけでもよい
が、この実施例では、犬釘等の留め具１５で固定
すべく構成してある。

また、上端主筋支持部材１１及び下端主筋支持
部材１２は、鋼棒によつて製作されているが、型
鋼や鋼管等によつて製作してもよい。仮設支柱１
６は、柱主筋１と同径の鋼棒によつて製作されて
いる。これは、同一形状の連結具１４を柱主筋
１、仮設支柱１６のいずれにも適用可能にしたた
めである。吊り具１３は、フラツトバーによつて
製作されているが、鋼棒製でもよく、チエーン等
を用いたものであつてもよい。

次に、上記の治具Ａを用いて、片持スラブを備
えたRC造構造物を構築する手順について説明す
る。

第２図乃至第６図に示すように、外壁の内側型
枠３、桁梁の底型枠４及び内側型枠５、内スラブ
型枠６を、この順に組立てた時点で、予め配筋さ
れている柱主筋１と内スラブ型枠６とにわたつ
て、治具Ａを取り付け、桁梁の中間部相当位置に
おいては、底型枠４に仮設支柱１６を立設して、
この仮設支柱１６と内スラブ型枠６とにわたつて
治具Ａを取り付ける。

しかる後、柱主筋１に取り付けられた治具Ａ
に、桟木９を置き、これに縮少状態にあるスパイ
ラル筋製スターラツプ８を仮置きする。

次いで、前記スターラツプ８に桁梁の上端主筋
１０ａ…及び下端主筋１０ｂ…を挿通して、各々
を上端主筋支持部材１１及び下端主筋支持部材１
２に仮置きする。

この状態で、圧接等による上端主筋１０ａ…同
士の接合及び下端主筋１０ｂ…同士の接合を行な
い、スターラツプ８を引き伸ばし、次いで、治具
Ａの下端主筋支持部材１２を引き抜いて下端主筋
１０ｂ…をスターラツプ８上に落とし、スターラ
ツプ８と各主筋１０ａ…，１０ｂ…と結束して、
梁鉄筋を組立てる。

しかる後、各治具Ａの全部を内スラブ型枠６上
からの操作によつて取り外し、前記梁鉄筋を所定
レベルまで降ろして梁配筋を行ない、次いで、壁
配筋を行なう。

しかる後、第７図、第８図に示すように、外壁
の外側型枠１７及び片持スラブ型枠１８をこの順
に組立て、内スラブ及び片持スラブの配筋（これ
は、内スラブ、片持スラブのいずれから行なつて
もよい。）を行ない、柱、外壁、桁梁、内スラブ
及び片持スラブ等のコンクリート打設を行なうの
である。

以上の実施例から明らかなように、本考案によ
る梁主筋仮置き用治具を用いれば、内スラブ型枠
の工事が完了した時点で、梁の配筋が可能であ
り、型枠工事と鉄筋工事を併行して進めることに
より、工期を短縮できるのである。

また、上端主筋及び下端主筋が、いずれも桁梁
の底型枠や内側型枠よりも高い位置に仮置きさ
れ、この状態で圧接による接合を行なえるので、
圧接時の火力による型枠の損傷防止にも非常に有
効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す概略縦断面図、第２図以
降が本考案の実施例を示し、第２図は斜視図、第
３図は要部の平面図、第４図は概略平面図、第５
図乃至第８図は要部の概略縦断面図である。 Ａ……梁主筋仮置き用治具、１……柱主筋、６
……内スラブ型枠、１０ａ……上端主筋、１０ｂ
……下端主筋、１１……上端主筋支持部材、１１
ａ……取付用部分、１１ｂ……立上り部分、１１
ｃ……水平部分、１２……下端主筋支持部材、１
３……吊り具、１４……連結具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内スラブ型枠の上面に対する取付用部分と該部
   分から立上つた立上り部分とその上端から水平に
   延設されて梁の上端主筋を載置するように構成さ
   れた水平部分とからなる上端主筋支持部材と、該
   部材の前記水平部分から垂下された吊り具と、該
   吊り具と前記内スラブ型枠の上面とにわたつて水
   平に架設され、梁の下端主筋を載置するように構
   成された下端主筋支持部材と、前記上端主筋支持
   部材の前記水平部分と柱主筋又は仮設支柱とを着
   脱自在に連結する連結具とを備えてなる梁主筋の
   仮置き用治具。