用語、語句
「備える」、「含む」、「有する」、および、これらの変形は、オープンエンドの表現である。オープンエンドで表現される構成は、必須要素に加えて、追加要素をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。「からなる」との記載はクローズドの表現である。ただしクローズドで表現される構成であっても、通常において付随する不純物であったり、対象技術に無関係であったりする付加的な要素は含み得る。「実質的に…からなる」との記載はセミクローズドの表現である。セミクローズドで表現される構成においては、対象技術の基本的かつ新規な特性に実質的に影響しない要素の付加が許容される。
「してもよい」、「し得る」等の表現は、義務的な意味「しなければならないという意味」ではなく、許容的な意味「する可能性を有するという意味」で使用されている。
幾何学的な用語は、厳密な意味に解されるべきではない。幾何学的な用語としては、例えば、「平行」、「垂直」、「直交」等が例示される。例えば、実質的に同じまたは類似の機能が得られる範囲内で、方向、角度、距離等が相対的に変位していてもよい。幾何学的な用語は、例えば、設計上、作業上、製造上等の公差、誤差等を含み得る。各図中の寸法関係は、実際の寸法関係と一致しない場合がある。読者の理解を助けるために、各図中の寸法関係が変更されている場合がある。例えば、長さ、幅、厚さ等が変更されている場合がある。一部の構成が省略されている場合もある。
「単数形」で記載される要素は、特に断りのない限り、複数形も含み得る。例えば、粒子は、複数の粒子、粒子の集合、および、粉粒体を示す場合もある。なお、「複数の粒子」は、「粒子群」と換言され得る。
「mからn%」等の数値範囲は、特に断りのない限り、上限値および下限値を含む。すなわち「mからn%」は、「m%以上n%以下」の数値範囲を示す。また「m%以上n%以下」は「m%超n%未満」を含む。「以上」および「以下」は、等号付き不等号「≦、≧」によって表される。「超」および「未満」は、等号を含まない不等号「<、>」によって表される。数値範囲内から任意に選択された数値が、新たな上限値または下限値とされてもよい。例えば、数値範囲内の数値と、本明細書中の別の部分、表中、図中等に記載された数値とが任意に組み合わされることにより、新たな数値範囲が設定されてもよい。
全ての数値は用語「約」によって修飾されている。用語「約」は、例えば±5%、±3%、±1%等を意味し得る。全ての数値は、対象技術の利用形態によって変化し得る近似値であり得る。全ての数値は有効数字で表示され得る。測定値は、特に断りのない限り、複数回の測定における平均値であり得る。測定回数は、3回以上であってもよいし、5回以上であってもよいし、10回以上であってもよい。一般に測定回数が多い程、平均値の信頼性が向上することが期待される。測定値は有効数字の桁数に基づいて、四捨五入により端数処理され得る。測定値は、例えば測定装置の検出限界等に伴う誤差等を含み得る。
各種の値の測定等に使用される装置、ソフトウエア等は、あくまでも一例である。例示される装置等と同等品が使用されてもよい。同等品が使用される場合、装置に合わせて、測定条件が調整されてもよい。
「D50」は、体積基準の粒度分布(積算分布)において、積算値が50%になる粒子径を示す。体積基準の粒度分布は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定される。
「最大フェレ径」は、粒子のSEM(Scanning Electron Microscope)画像またはTEM(Transmission Electron Microscope)画像において、粒子の最小外接矩形(MBR)の長辺の長さを示す。なお、SEM画像等における各種の寸法測定、形状解析は、例えば、画像解析ソフトウエア「ImageJ」等を用いて実施され得る。
化合物の化学組成は、ICP-AES(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)により測定され得る。0.1gの試料(例えば正極活物質)が、塩酸と硫酸との混酸(10ml)に溶解されることにより、試料溶液が調製される。メスフラスコにより、試料溶液が適当な濃度に希釈される。希釈後、ICP-AES装置により、組成分析が実施される。例えば、製品名「PS3520 UVDD II(日立ハイテクサイエンス社製)」等が使用されてもよい。
化学量論的組成式は、化合物の代表例を示す。化合物は、非化学量論的組成を有していてもよい。例えば「Al2O3」は、「Al/O=2/3」の物質量比(モル比)を有する化合物に限定されない。「Al2O3」は、特に断りのない限り、AlおよびOを任意の物質量比で含む化合物を示す。例えば、該化合物に微量元素がドープされていてもよい。AlおよびOの一部が別の元素で置換されていてもよい。
ドーパントがMnFeサイトに導入されていることは、次の手順で確認され得る。正極活物質の粉末X線回折(XRD)測定が実施されることにより、XRDパターンが取得される。XRDの測定条件は、例えば、次のとおりである。
分析方法:広角法
測定装置:Smart Lab II(リガク社製)
測定角度:10°から120°
管球:CuKα
管電圧:45kV
管電流:200mA
測定法:連続法
ステップ:0.02
IS:1/2
速度:2°/分
RS:20mm
検出モード:1次元
XRDパターンに対して、ソフトウエア「GSAS-II」によりリートベルト解析が実施される。構造モデルは空間群Pnmaである。XRDパターンに対して、バックグラウンド処理、および、構造の精密化が実施される。wの組成に対して変数が設定される。この時、概して「0≦w≦1」の範囲で実施される。その後、添加量の残部を、MnFeサイトのドーパントとして、格子定数の精密化が実行されることにより、精密化の指標のひとつである「Rwp」が算出される。Rwpおよびwの値に対して、二次関数「Rwp=aw2+bw+c」がフィッティングされる。図1は、フィッティング結果の一例を示すグラフである。得られた近似曲線において、Rwpを最小にするwの百分率が、ドーパントのサイト占有率とみなされる。
MnFeサイトにおける、ドーパントとFeとの最隣接原子間距離「dFe-X」、および、ドーパントとMnとの最隣接原子間距離「dMn-X」は、TEM-EDX(Transmission Electron Microscopy Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)により特定され得る。
「誘導体」は、母体となる化合物の一部において、官能基の導入、原子の置換、酸化、還元、および、その他の化学反応からなる群より選択される少なくとも1種により、改変がなされた化合物を示す。改変箇所は、1箇所でもよいし、複数箇所でもよい。「置換基」は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、不飽和シクロアルキル基、芳香族基、複素環基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、OH基、SH基、CN基、SCN基、OCN基、ニトロ基、アルコキシ基、不飽和アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、および、シリル基等からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。これらの置換基はさらに置換されてもよい。置換基が2つ以上ある場合、置換基は同じであってもよいし、異なっていてもよい。複数の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい。
正極活物質
図2は、結晶構造の概念図である。正極活物質は、オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)を含む。LMFPは、空間群Pnmaに帰属される結晶構造を有する。結晶構造は、XRDパターンにより特定され得る。LMFPは、Liサイト、MnFeサイト、Pサイト、および、Oサイトを含む。LMFPは、MnFeサイトにドーパント「X」を含む。MnFeサイトにおいて、ドーパントは、侵入型であってもよいし、置換型であってもよい。置換型の場合、ドーパントは、Mnを置換していてもよいし、Feを置換していてもよい。MnFeサイトにドーパントが導入されている限り、その他のサイトは、ドーパントが導入されていてもよいし、無ドープであってもよい。MnFeサイト以外のサイトが無ドープであることにより、例えば、製造プロセスの簡素化等が期待される。
図3は、本実施形態におけるMnFeサイトの原子配置の概念図である。ドーパント「X」は、Feの近傍に導入されている。ドーパントとFeとの最隣接原子間距離「dFe-X」は、ドーパントとMnとの最隣接原子間距離「dMn-X」に比して小さい。すなわちMnFeサイトにおいて、ドーパントは「dFe-X<dMn-X」の関係を満たす。これにより、Mnプラトーが実質的に変化せず、Feプラトーが上昇することが期待される。
最隣接原子間距離「dMn-X」に対する、最隣接原子間距離「dFe-X」の比「dFe-X/dMn-X」は、例えば、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、または、0.2以下であってもよい。比「dFe-X/dMn-X」は、例えば、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、または、0.9以上であってもよい。
ドーパントは、2種以上の元素を含んでいてもよいし、1種の元素からなっていてもよい。ドーパントの種類が少ない程、例えば、製造プロセスの簡素化等が期待される。ドーパントは、例えば、+I価と+III価との間で価数変動できる元素を含んでいてもよい。ドーパントは、例えば、Gaを含んでいてもよい。Gaは、+I価と+III価との間の遷移が安定であると考えられる。
MnFeサイトにおけるドーパントのサイト占有率は、例えば、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、15%以上、または、20%以上であってもよい。ドーパントのサイト占有率は、例えば、30%以下、20%以下、15%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、または、1%以下であってもよい。
LMFPは、例えば、一般式「Li1+a[(Mn1-bFeb)1-cXc]PO4」により表される組成を有していてもよい。一般式中、Li組成比「1+a」について、例えば、「-0.5≦a≦0.5」の関係が満たされていてもよい。「a」は、例えば、-0.4以上、-0.3以上、-0.2以上、-0.1以上、0以上、0.1以上、0.2以上、0.3以上、または、0.4以上であってもよい。「a」は、例えば、0.4以下、0.3以下、0.2以下、0.1以下、0以下、-0.1以下、-0.2以下、-0.3以下、または、-0.4以下であってもよい。
上記の一般式中、Fe組成比「b」について、例えば、「0.1≦b≦0.9」の関係が満たされていてもよい。Fe組成比「b」は、例えば、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、または、0.8以上であってもよい。Fe組成比「b」は、例えば、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、または、0.2以下であってもよい。
上記の一般式中、「X」はドーパントを示す。Xは、例えば、Gaであってもよい。上記の一般式中、ドーパントの組成比「c」について、例えば、「0.01≦c≦0.12」の関係が満たされていてもよい。ドーパントの組成比「c」は、例えば、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.10以上、0.11以上、0.12以上、0.15以上、または、0.20以上であってもよい。ドーパントの組成比「c」は、例えば、0.30以下、0.20以下、0.15以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、0.05以下、0.04以下、0.03以下、0.02以下、または、0.01以下であってもよい。
図4は、本実施形態における放電カーブおよび抵抗推移の説明図である。上グラフは、放電カーブである。下グラフは、抵抗推移である。各グラフの横軸は、SOC(State of Charge)である。「SOC」は、電池が完全充電された状態から、放電した電気量の割合を除いた割合を示す。100%のSOCは、完全充電状態を示す。0%のSOCは、完全放電状態を示す。放電カーブの縦軸は、電池電圧[単位:V]である。抵抗推移の縦軸は、抵抗[単位:Ω/cm2]である。放電カーブの測定条件は、例えば、次のとおりである。
対極:Li金属
電解液:LiPF6(1M)、EC/DMC=3/7(体積比)
充放電レート:0.05C
充電上限電圧:4.25V
放電下限電圧:3.0V
LMFPの放電カーブは、MnプラトーおよびFeプラトーを含む。Mnプラトーは、Mnのレドックス反応に起因する。Feプラトーは、Feのレドックス反応に起因する。「プラトー」は、放電カーブが平坦な領域を示す。例えば、10%のSOCの変化に対する、電圧の変化が0.02V以下である領域が、プラトーとみなされてもよい。各プラトーの範囲(容量)は、例えば、上記の一般式におけるFe組成比「b」によって変化し得る。「プラトー電圧」は、プラトーとみなされる領域の中間の電圧を示す。Mnプラトーの電圧は、例えば、4.00Vから4.05Vであってもよい。
図4の例では、40%から60%のSOCにプラトー境界部「Boundary Division」がある。通常、プラトー間ギャップ「ΔV」は、0.60V程度である。抵抗推移に示されるように、プラトー境界部において、抵抗がスパイク状に上昇し得る。MnFeサイトにドーパントが導入されることにより、Feプラトーが上昇し得る。Feプラトーの上昇によって、プラトー境界部における抵抗上昇が大幅に緩和され得る。Feプラトーの上昇により、プラトー間ギャップは、例えば、0.50V以下となり得る。プラトー間ギャップは、例えば、0.48V以下、0.46V以下、0.44V以下、または、0.42V以下であってもよい。プラトー間ギャップは、例えば、0.38V以上、または、0.40V以上であってもよい。
無ドープのLMFPにおいて、Feプラトーの電圧は、3.52V付近にある。ドープ後のFeプラトーの電圧は、例えば、3.54V以上、3.56V以上、または、3.58V以上であってもよい。ドーパント導入後のFeプラトーの電圧は、例えば、3.62V以下、または、3.60V以下であってもよい。
LMFPは、例えば、粉体の形態を有し得る。LMFPのD50は、例えば、5μm以上、10μm以上、15μm以上、または、20μm以上であってもよい。LMFPのD50は、例えば、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、または、10μm以下であってもよい。
LMFPは、二次粒子を形成していてもよい。二次粒子は、一次粒子の集合体である。「一次粒子」は、二次元画像において、見かけ上、粒界を有しない粒子を示す。二次元画像は、例えば、TEM画像、SEM画像等であってもよい。画像の倍率は、例えば、10000倍から30000倍であってもよい。二次粒子は、任意の形状を有し得る。二次粒子は、例えば、球状、棒状、角状等であってもよい。二次粒子が球状であることにより、例えば、充填性の向上等が期待される。二次粒子の球形度は、例えば、0.85以上、0.90以上、または、0.95以上であってもよい。二次粒子の球形度は、例えば、1以下、0.95以下、または、0.90以下であってもよい。「球形度」は、SEM画像における円形度を示す。球形度(円形度)は、下記の式により求まる。球形度の値は、30個の二次粒子における算術平均が採用される。
ψ=4πS/L2
ψ:球形度(円形度)
π:円周率
S:粒子の断面積(粒子の輪郭線で囲まれた領域の面積)
L:粒子の周長(粒子の輪郭線の長さ)
一次粒子は、任意の形状を有し得る。一次粒子は、例えば、球状、棒状、角状等であってもよい。一次粒子は、ナノ粒子であってもよい。一次粒子の最大フェレ径は、例えば、10nmから300nmであってもよい。一次粒子の最大フェレ径は、例えば、15nm以上、20nm以上、25nm以上、50nm以上、75nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、または、250nm以上であってもよい。一次粒子の最大フェレ径は、例えば、250nm以下、200nm以下、150nm以下、100nm以下、75nm以下、50nm以下、または、25nm以下であってもよい。一次粒子の最大フェレ径は、30個の一次粒子の算術平均を示す。
炭素が一次粒子の表面を被覆していてもよい。すなわち、一次粒子の表面に、炭素層、炭素被膜が形成されていてもよい。炭素は、一次粒子の表面の一部を被覆していてもよいし、一次粒子の全面を被覆していてもよい。炭素は、例えば、糖類等に由来していてもよい。炭素の付着量は、例えば、二次粒子に対して、質量分率で0.1%以上、0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、または、4%以上であってもよい。炭素の付着量は、例えば、二次粒子に対して、質量分率で、5%以下、4%以下、または、3%以下であってもよい。
正極活物質は、LMFPを含む限り、その他の成分をさらに含んでいてもよい。LMFPとその他の成分との混合比(質量比)は、例えば「LMFP/その他の成分=9/1から1/9」、「LMFP/その他の成分=8/2から2/8」、「LMFP/その他の成分=7/3から3/7」または「LMFP/その他の成分=6/4から4/6」であってもよい。正極活物質は、例えば、LMFPの粉体と、その他の成分の粉体との混合物であってもよい。その他の成分は、例えば、Li[NiCoMn]O2(層状構造)、Li[NiCoAl]O2(層状構造)、LiMnO2(岩塩構造)、および、Li[NiMn]2O4(スピネル構造)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。なお[NiCoMn]等の記載は、[]内の組成比の合計が1であることを示している。合計が1である限り、[]内の各成分は、任意の組成比をとり得る。
液系電池
いくつかの本実施形態において、電池は、液系電池であり得る。「液系電池」は、電解液を含む電池を示す。例えば、ポリマー電池は、電解液を含むため、液系電池に属する。いくつかの本実施形態において、電池は、モノポーラ構造を有する。モノポーラ構造において、発電要素は、巻回型であってもよいし、積層型であってもよい。いくつかの本実施形態において、電池は、バイポーラ構造を有する。一例として、バイポーラ構造を有する電池(バイポーラ電池)が説明される。
図5は、本実施形態における電池の概略斜視図である。図6は、図5中のVI-VI線に沿う概略断面図である。以下「面直方向」は、シート状部材(例えば箔、電極等)の表面に対する法線方向を示す。「面内方向」は、面直方向と直交する任意の方向を示す。本実施形態の図においては、Z軸方向が面直方向に相当する。X軸方向およびY軸方向は、面内方向の一例である。
電池100は、外装体90および発電要素50を含む。外装体90は、発電要素50を収納している。外装体90は、例えば、第1集電板91、第1ラミネートフィルム92、第2ラミネートフィルム93、および、第2集電板94を含んでいてもよい。第1ラミネートフィルム92と第2ラミネートフィルム93とは、面内方向の端部において、互いに接合されている。第1ラミネートフィルム92と第2ラミネートフィルム93との接合部において、第1ラミネートフィルム92と第2ラミネートフィルム93との間に、シール材(不図示)が介在していてもよい。
第1集電板91および第2集電板94は、積層方向(Z軸方向)の端部において、発電要素50に接合されている。第1集電板91に、第1ラミネートフィルム92が接合されている。第2集電板94に、第2ラミネートフィルム93が接合されている。集電板とラミネートフィルムとの接合部において、集電板とラミネートフィルムとの間に、シール材(不図示)が介在していてもよい。
発電要素50は、複数のバイポーラ電極10を含む。複数のバイポーラ電極10は、面直方向(Z軸方向)に積層されている。複数のバイポーラ電極10の各々は、面直方向において、正極層11、集電箔13および負極層12をこの順に含む。面内方向(例えばX軸方向)において、集電箔13は、正極層11および負極層12に比して、外側に延びている。例えば、面内方向の全周にわたって、集電箔13は、正極層11および負極層12に比して、外側に延びていてもよい。
集電箔13は、導体である。集電箔13は、例えば、金属箔、導電性樹脂層等を含んでいてもよい。例えば、Al箔とCu箔とが貼り合わされることにより、集電箔13が形成されていてもよい。集電箔13の表面に炭素材料が塗布されていてもよい。炭素材料は、例えば、カーボンブラック等を含んでいてもよい。
発電要素50は、シール材30を含む。面内方向の端部において、シール材30が集電箔13に接合されている。シール材30は、例えば、集電箔13に熱溶着されていてもよい。例えば、面内方向の周縁全周にわたって、シール材30が配置されていてもよい。シール材は、例えば、樹脂材料等を含んでいてもよい。シール材30は、面直方向に隣接する集電箔13同士の間をシールしている。集電箔13同士の間をシール材30がシールすることにより、セル40が区画される。セル40は、発電要素50の最小単位である。電池100は、複数のセル40を含むため、「バイポーラモジュール」とも称され得る。複数のセル40は、それぞれ、密封されている。複数のセル40は、互いに隔離されている。複数のセル40の各々は、正極層11、セパレータ20、負極層12、および、電解液を含む。
正極層
正極層11は、集電箔13の片面に付着している。例えば、正極層11に溝が形成されていてもよい。正極層11は、例えば、ストライプ状に形成されていてもよい。正極層11は、正極活物質を含む。すなわち電池100は、正極活物質を含む。正極活物質の詳細は、前述のとおりである。
正極層11は、正極活物質に加えて、例えば、導電材およびバインダ等をさらに含んでいてもよい。導電材の配合量は、100質量部の正極活物質に対して、例えば、0.1から10質量部であってもよい。導電材は、任意の成分を含み得る。導電材は、例えば、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(登録商標)、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)、および、グラフェンフレーク(GF)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
バインダの配合量は、100質量部の正極活物質に対して、例えば、0.1から10質量部であってもよい。バインダは、任意の成分を含み得る。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および、これらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
正極層11は、例えば、無機フィラー、有機フィラー、固体電解質、表面改質剤、分散剤、潤滑剤、難燃剤、保護剤、フラックス、カップリング剤、吸着剤等をさらに含んでいてもよい。正極層は、例えば、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルホスフェート、ゼオライト、シランカップリング剤、MoS2、WO3等を含んでいてもよい。
負極層
負極層12は、集電箔13の片面に付着している。負極層12は、正極層11の裏側に配置されている。負極層12は、正極層11に比して大きい面積を有していてもよい。負極層12は、負極活物質を含む。
負極活物質は、例えば、粒子状であってもよいし、シート状であってもよい。負極活物質のD50は、例えば、1μm以上、5μm以上、または、10μm以上であってもよい。負極活物質のD50は、例えば、30μm以下、20μm以下、15μm以下、または、10μm以下であってもよい。
負極活物質は、任意の成分を含み得る。負極活物質は、例えば、炭素系活物質、合金系活物質、Si-C複合材料、Li金属、Li基合金、および、チタン酸リチウムからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。いくつかの本実施形態において、電池は、Li金属負極電池であってもよい。
炭素系活物質は、例えば、黒鉛、ソフトカーボン、および、ハードカーボンからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。「黒鉛」は、天然黒鉛および人造黒鉛の総称である。黒鉛は、天然黒鉛と人造黒鉛との混合物であってもよい。混合比(質量比)は、例えば、「天然黒鉛/人造黒鉛=1/9から9/1」、「天然黒鉛/人造黒鉛=2/8から8/2」または「天然黒鉛/人造黒鉛=3/7から7/3」であってもよい。
黒鉛の表面が、例えば、非晶質炭素により被覆されてもよい。黒鉛の表面が、例えば、異種材料により被覆されていてもよい。異種材料は、例えば、P、W、Al、および、Oからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。異種材料は、例えば、Al(OH)3、AlOOH、Al2O3、WO3、Li2CO3、LiHCO3、および、Li3PO4からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
合金系活物質は、例えば、Si、Liシリケート、SiO、Si基合金、錫(Sn)、SnO、および、Sn基合金からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
SiOは、例えば一般式「SiOx」で表される組成を有していてもよい。一般式中、例えば、「0<x<2」、「0.5≦x≦1.5」または「0.8≦x≦1.2」の関係が満たされていてもよい。
「Si-C複合材料」は、炭素系活物質(黒鉛等)と、合金系活物質(Si等)との複合材料を示す。例えば、炭素粒子内にSi微粒子が分散していてもよい。例えば、黒鉛粒子内にSi微粒子が分散していてもよい。例えば、Liシリケート粒子が炭素材料(非晶質炭素等)により被覆されていてもよい。
セパレータ
セパレータ20は、正極層11を負極層12から分離し得る。セパレータ20は、電気絶縁性を有する。セパレータ20は、例えば、樹脂膜(高分子膜)、無機粒子層、および、有機粒子層からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。セパレータ20は、例えば、樹脂膜および無機粒子層を含んでいてもよい。
樹脂膜は、多孔質である。樹脂膜は、例えば、微多孔膜、不織布等を含んでいてもよい。樹脂膜は、樹脂骨格を含む。樹脂骨格は、例えば網状に連続していてもよい。樹脂骨格の隙間に細孔が形成されている。樹脂膜は、電解液を透過させ得る。樹脂膜は、例えば、1μm以下の平均細孔径を有していてもよい。樹脂膜の平均細孔径は、例えば、0.01から1μm、または、0.1から0.5μmであってもよい。「平均細孔径」は、水銀圧入法により測定され得る。樹脂膜のガーレ値は、例えば、50から250s/100cm3であってもよい。「ガーレ値」は、ガーレ試験法により測定され得る。
樹脂膜は、例えば、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、および、ポリエステル系樹脂等からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。樹脂膜は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、および、これらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。樹脂膜は、例えば、延伸法、相分離法等により形成され得る。樹脂膜の厚さは、例えば、5から50μm、または10から25μmであってもよい。
樹脂膜は、例えば、単層構造を有していてもよい。樹脂膜は、例えば、PE層からなっていてもよい。PE層の骨格は、PEにより形成されている。PE層は、シャットダウン機能を有し得る。樹脂膜は、例えば、多層構造を有していてもよい。樹脂膜は、例えば、PP層とPE層とを含んでいてもよい。PP層の骨格は、PPにより形成されている。樹脂膜は、例えば三層構造を有していてもよい。樹脂膜は、例えば、PP層、PE層およびPP層がこの順に積層されることにより形成されていてもよい。PE層の厚さは、例えば、5から20μmであってもよい。PP層の厚さは、例えば、3から10μmであってもよい。
無機粒子層は、樹脂膜の表面に形成されていてもよい。無機粒子層は、樹脂膜の片面のみに形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。無機粒子層は、正極層11に対向する面に形成されてもよいし、負極層12に対向する面に形成されてもよい。なお、無機粒子層は、正極層11の表面に形成されていてもよいし、負極層12の表面に形成されていてもよい。
無機粒子層は、多孔質である。無機粒子層は、無機粒子を含む。無機粒子は、「無機フィラー」とも称され得る。無機粒子同士の隙間に細孔が形成されている。無機粒子層の厚さは、例えば0.5から10μm、または、1から5μmであってもよい。無機粒子は、例えば、耐熱材料を含んでいてもよい。耐熱材料を含む無機粒子層は、「HRL(Heat Resistance Layer)」とも称される。無機粒子は、ベーマイト、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシアおよびシリカ等からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。無機粒子は、任意の形状を有し得る。無機粒子は、例えば、球状、棒状、板状、繊維状等であってもよい。無機粒子のD50は、例えば、0.1から10μm、または、0.5から3μmであってもよい。無機粒子層は、バインダをさらに含んでいてもよい。バインダは、例えば、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、および、液晶ポリエステル系樹脂等からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
セパレータ20は、例えば、有機粒子層を含んでいてもよい。セパレータ20は、例えば、樹脂膜に代えて、有機粒子層を含んでいてもよい。セパレータ20は、例えば、無機粒子層に代えて、有機粒子層を含んでいてもよい。セパレータ20は、樹脂膜および有機粒子層の両方を含んでいてもよい。セパレータ20は、無機粒子層および有機粒子層の両方を含んでいてもよい。セパレータ20は、樹脂膜、無機粒子層および有機粒子層を含んでいてもよい。
有機粒子層の厚さは、例えば、0.1から50μm、0.5から20μm、0.5から10μm、または、1から5μmであってもよい。有機粒子層は、有機粒子を含む。有機粒子は、「有機フィラー」とも称され得る。有機粒子は、耐熱材料を含んでいてよい。有機粒子は、例えば、PE、PP、PTFE、PI、PAI、PA、および、アラミド等からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。有機粒子は、例えば、球状、棒状、板状、繊維状等であってもよい。有機粒子のD50は、例えば、0.1から10μm、または0.5から3μmであってもよい。
セパレータ20は、例えば、混合層を含んでいてもよい。混合層は、無機粒子および有機粒子の両方を含む。
電解液
電解液は、液体電解質である。電解液は、溶質および溶媒を含む。溶質の濃度は、例えば、0.5から1mоl/L、1から1.5mоl/L、1.5から2mоl/L、2から2.5mоl/L、または、2.5から3mоl/Lであってもよい。「mоl/L」は「M」と表記される場合もある。溶質は、支持塩(Li塩)を含む。溶質は、例えば、無機酸塩、イミド塩、オキサラト錯体、ハロゲン化物等を含んでいてもよい。溶質は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiSbF6、LiN(SO2F)2「LiFSI」、LiN(SO2CF3)2「LiTFSI」、LiB(C2O4)2「LiBOB」、LiBF2(C2O4)「LiDFOB」、LiPF2(C2O4)2「LiDFOP」、LiPO2F2、FSO3Li、LiI、LiBr、および、これらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
電解液は、例えば、カーボネート系溶媒(炭酸エステル系溶媒)を含んでいてもよい。溶媒は、例えば、環状カーボネート、鎖状カーボネート、フッ素化カーボネート等を含んでいてもよい。溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート、4,4-ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、パーフルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネート、および、これらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
溶媒は、環状カーボネート(EC、PC、FEC等)と、鎖状カーボネート(EMC、DMC、DEC等)とを含んでいてもよい。環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合比(体積比)は、例えば、「環状カーボネート/鎖状カーボネート=1/9から4/6」、「環状カーボネート/鎖状カーボネート=2/8から3/7」または「環状カーボネート/鎖状カーボネート=3/7から4/6」であってもよい。
溶媒は、環状カーボネート(EC、PC等)と、フッ素化環状カーボネート(FEC等)とを含んでいてもよい。環状カーボネートと、フッ素化環状カーボネートとの混合比(体積比)は、例えば、「環状カーボネート/フッ素化環状カーボネート=99/1から90/10」、「環状カーボネート/フッ素化環状カーボネート=9/1から1/9」、「環状カーボネート/フッ素化環状カーボネート=9/1から7/3」または「環状カーボネート/フッ素化環状カーボネート=3/7から1/9」であってもよい。
溶媒は、例えば、EC、FEC、EMC、DMC、および、DECを含んでいてもよい。各成分の体積比は、例えば、関係式「VEC+VFEC+VEMC+VDMC+VDEC=10」により表される関係を満たしていてもよい。関係式中、「VEC、VFEC、VEMC、VDMC、VDEC」は、それぞれ、EC、FEC、EMC、DMC、DECの体積比を示す。「1≦VEC≦4」、「0≦VFEC≦3」、「VEC+VFEC≦4」、「0≦VEMC≦9」、「0≦VDMC≦9」、「0≦VDEC≦9」、「6≦VEMC+VDMC+VDEC≦9」の関係が満たされる。例えば「1≦VEC≦2」または「2≦VEC≦3」の関係が満たされていてもよい。例えば「1≦VFEC≦2」または「2≦VFEC≦4」の関係が満たされていてもよい。例えば「3≦VEMC≦4」または「6≦VEMC≦8」の関係が満たされていてもよい。例えば「3≦VDMC≦4」または「6≦VDMC≦8」の関係が満たされていてもよい。例えば「3≦VDEC≦4」または「6≦VDEC≦8」の関係が満たされていてもよい。
溶媒は、例えば、体積比で「EC/EMC=3/7」、「EC/DMC=3/7」、「EC/FEC/DEC=1/2/7」、「EC/DMC/EMC=3/4/3」、「EC/DMC/EMC=3/3/4」、「EC/FEC/DMC/EMC=2/1/4/3」、「EC/FEC/DMC/EMC=1/2/4/3」、「EC/FEC/DMC/EMC=2/1/3/4」、「EC/FEC/DMC/EMC=1/2/3/4」等の組成を有していてもよい。
電解液は、エーテル系溶媒を含んでいてもよい。電解液は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン(DOX)、1,3-ジオキソラン(DOL)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,2-ジエトキシエタン(DEE)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、エチルグリム、トリグリム、テトラグリム、および、これらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
電解液は、任意の添加剤を含んでいてもよい。添加量(電解液全体に対する質量分率)は、例えば、0.01から5%、0.05から3%、または、0.1から1%であってもよい。添加剤は、例えば、SEI(Solid Electrolyte Interphase)形成促進剤、SEI形成阻害剤、ガス発生剤、過充電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、電極保護剤、界面活性剤等を含んでいてもよい。
添加剤は、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、1,3-プロパンサルトン(PS)、tert-アミルベンゼン、1,4-ジ-tert-ブチルベンゼン、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、エチレンスルフィット(ES)、エチレンスルファート(DTD)、γ-ブチロラクトン、ホスファゼン化合物、カルボン酸エステル〔例えば、メチルホルメート(MF)、メチルアセテート(MA)、メチルプロピオネート(MP)、ジエチルマロネート(DEM)等〕、フルオロベンゼン〔例えば、モノフルオロベンゼン(FB)、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、1,3,5-トリフルオロベンゼン、1,2,3,4-テトラフルオロベンゼン、1,2,3,5-テトラフルオロベンゼン、1,2,4,5-テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン等)、フルオロトルエン(例えば、2-フルオロトルエン、3-フルオロトルエン、4-フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,6-ジフルオロトルエン、3,4-ジフルオロトルエン、オクタフルオロトルエン等)、ベンゾトリフルオリド(例えば、ベンゾトリフルオリド、2-フルオロベンゾトリフルオリド、3-フルオロベンゾトリフルオリド、4-フルオロベンゾトリフルオリド、2-メチルベンゾトリフルオリド、3-メチルベンゾトリフルオリド、4-メチルベンゾトリフルオリド等)、フルオロキシレン(例えば、3-フルオロ-o-キシレン、4-フルオロ-o-キシレン、2-フルオロ-m-キシレン、5-フルオロ-m-キシレン等)、含硫黄複素環式化合物(例えば、ベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、テトラチアフルバレン等)、ニトリル化合物(例えば、アジポニトリル、スクシノニトリル等)、リン酸エステル(例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等)、カルボン酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水安息香酸等)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等)、および、これらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
溶質および溶媒として前述された成分が、微量成分(添加剤)として使用されてもよい。添加剤は、例えば、LiBF4、LiFSI、LiTFSI、LiBOB、LiDFOB、LiDFOP、LiPO2F2、FSO3Li、LiI、LiBr、HFE、DOX、PC、FEC、および、これらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
電解液は、イオン液体を含んでいてもよい。イオン液体は、例えば、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ピペリジニウム塩、ピロリジニウム塩、モルホリニウム塩、ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、および、これらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
いくつかの本実施形態において、電池は、ゲル電解質を含んでいてもよい。すなわち、電池は、ポリマー電池であってもよい。ゲル電解質は、電解液および高分子材料を含んでいてもよい。高分子材料は、高分子マトリックスを形成していてもよい。高分子材料は、例えば、PVdF、PVdF-HFP、ポリアクリロニトリル(PAN)、PVdF-PAN、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、および、これらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
全固体電池
いくつかの本実施形態において、電池は、全固体電池であり得る。全固体電池がバイポーラ構造を有していてもよい。全固体電池は、電解液およびセパレータ20に代えて、固体電解質を含む。固体電解質は、正極層11および負極層12にも含まれていてもよい。セパレータ20に代えて、固体電解質層が正極層11から負極層12を分離する。固体電解質層は、例えば、固体電解質およびバインダを含む。
固体電解質は、例えば、粉体であってもよい。固体電解質のD50は、例えば、0.1μm以上、0.2μm以上、0.3μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上、0.6μm以上、0.7μm以上、0.8μm以上、0.9μm以上、または、1μm以上であってもよい。固体電解質のD50は、例えば、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、または、1μm以下であってもよい。
固体電解質は、例えば、硫化物固体電解質、ハロゲン化物固体電解質、酸化物固体電解質、水素化物固体電解質、および、窒化物固体電解質からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
硫化物固体電解質は、非晶質相、結晶質相、および、ガラスセラミックス(結晶化ガラス)相からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。結晶質相は、例えば、アルジロダイト型、LGPS型等であってもよい。硫化物固体電解質は、Liおよび硫黄(S)を含む。硫化物固体電解質は、LiおよびSに加えて、任意の成分をさらに含んでいてもよい。
硫化物固体電解質は、例えば、LiI-LiBr-Li3PS4、Li2S-SiS2、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Li2S-P2S5、LiI-Li2O-Li2S-P2S5、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P2S5、Li2S-GeS2-P2S5、Li2S-P2S5、Li10GeP2S12、Li4P2S6、Li7P3S11、Li3PS4、および、Li7PS6からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
例えば「LiI-LiBr-Li3PS4」は、LiI、LiBrおよびLi3PS4が任意の物質量比で混合されることにより生成された硫化物固体電解質を示す。例えば、メカノケミカル法により硫化物固体電解質が生成されてもよい。各原料の前に数字が付されることにより、混合比が特定されてもよい。例えば、「10LiI-15LiBr-75Li3PS4」は、混合比が「LiI/LiBr/Li3PS4=10/15/75(物質量比)」であることを示す。
硫化物固体電解質は、例えば、一般式「xLi2S-(1-x)P2S5」で表される組成を有していてもよい。一般式中、「x」は、例えば、0超、0.1以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、または、0.9以上であってもよい。「x」は、例えば、1以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.75以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、または、0.1以下であってもよい。例えば「x=0.75」である時、「xLi2S-(1-x)P2S5」は、Li3PS4の組成を有し得る。
硫化物固体電解質は、例えば一般式「yLiI-zLiBr-(100-y-z)[xLi2S-(1-x)P2S5]」で表される組成を有していてもよい。一般式中、「x」は、例えば、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、または、0.9以上であってもよい。「x」は、例えば、1以下、0.9以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、または、0.6以下であってもよい。「y」は、例えば、0以上、5以上、10以上、15以上、20以上、または、25以上であってもよい。「y」は、例えば、30以下、25以下、20以下、15以下、10以下、または、5以下であってもよい。「z」は、例えば、0以上、5以上、10以上、15以上、20以上、または、25以上であってもよい。「z」は、例えば、30以下、25以下、20以下、15以下、10以下、または、5以下であってもよい。
硫化物固体電解質は、例えば一般式「Li7-x-2yPS6-x-yXy」で表される組成を有していてもよい。一般式中、「0<7-x-2y」、「0<6-x-y」、「0≦x」および「0≦y」の関係が満たされる。「X」は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、および、ヨウ素(I)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
硫化物固体電解質は、例えば一般式「Li4-xM1-xPxS4」で表される組成を有していてもよい。一般式中、「x」は、例えば、0超、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、または、0.9以上であってもよい。「x」は、例えば、1未満、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、または、0.1以下であってもよい。「M」は、例えば、Al、Zn、In、Ge、Si、Sn、Sb、Ga、および、Biからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
硫化物固体電解質は、例えば一般式「Li10+xGe1+xP2-xS12」で表される組成を有していてもよい。一般式中、「x」は、例えば、0以上、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、または、0.6以上であってもよい。「x」は、例えば、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、または、0.1以下であってもよい。上記の一般式で表される硫化物固体電解質は、例えば、LGPS型の結晶相を含んでいてもよい。
ハロゲン化物固体電解質は、例えば一般式「Li6-naMaX6」により表される組成を有していてもよい。一般式中、「n」は、「M」の酸化数を示す。「M」は、例えば、+3の酸化数を有する原子を含んでいてもよい。「M」は、例えば、+4の酸化数を有する原子を含んでいてもよい。「M」は、例えば、Y、Al、Ti、Zr、Ca、および、Mgからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。例えば「0<a<2」の関係が満たされていてもよい。「X」は、例えば、F、Cl、Br、および、Iからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
ハロゲン化物固体電解質は、例えば一般式「Li3-aTiaAl1-aF6」により表される組成を有していてもよい。一般式中、「a」は、例えば、0以上、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、または、0.9以上であってもよい。「a」は、例えば、1以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、または、0.1以下であってもよい。
ハロゲン化物固体電解質は、例えば一般式「Li3YClaBrbI6-a-b」により表される組成を有していてもよい。一般式中、例えば「0≦a+b≦6」の関係が満たされてもよい。「a」は、例えば、0以上、1以上、2以上、3以上、4以上、または、5以上であってもよい。「a」は、例えば、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または、1以下であってもよい。「b」は、例えば、0以上、1以上、2以上、3以上、4以上、または、5以上であってもよい。「b」は、例えば、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または、1以下であってもよい。
酸化物固体電解質は、例えば、LiNbO3、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3、La2/3-xLi3xTiO3、および、Li7La3Zr2O12からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。水素化物固体電解質は、例えば、LiBH4等を含んでいてもよい。窒化物固体電解質は、例えば、Li3N、Li3BN2等を含んでいてもよい。
LMFPの製造
図7は、実験結果を示す表である。下記の手順により、ドーパント(Ga)のサイト占有率が互いに異なる各種のLMFPが製造された。
炭酸マンガン、リン酸第二鉄および水酸化リチウムが、Mn、FeおよびPが所望の組成比となるように秤量される。炭酸マンガン、リン酸第二鉄および水酸化リチウムが、水中で攪拌、混合されることにより、スラリーが形成される。スラリーが噴霧乾燥されることにより、第1前駆体(粉体)が形成される。第1前駆体と、所定量のドーパントソース(硝酸ガリウム)との混合物に対して、窒素雰囲気下、第1焼成が実施される。第1焼成は、低融点であるGaに対応するため、400℃の低温において、24時間から48時間にわたって実施される。硝酸ガリウムは、400℃の分解温度付近で反応性が上がると考えられる。第1焼成後、窒素雰囲気下、650℃において、第2焼成が実施されることにより、LMFPが製造される。遊星ボールミルにより、LMFPが粉砕される。
評価
各種のLMFPにおいて、放電カーブおよび抵抗推移が測定された。
実験結果
図7において、Gaのサイト占有率が高くなる程、抵抗のピーク値が減少する傾向がみられる。図8は、実験結果を示すグラフである。図8には、Ga(0%)およびGa(12%)における、放電カーブおよび抵抗推移が示されている。Ga(0%)に比して、Ga(12%)においては、プラトー間ギャップが12%縮小した。さらに、Ga(0%)に比して、Ga(12%)においては、抵抗のピーク値が16.2%改善した。