JP7761818B1 - 粉末、イオン伝導体、シート及び蓄電デバイス - Google Patents
粉末、イオン伝導体、シート及び蓄電デバイスInfo
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Abstract
結晶構造の変化を低減できる粉末(19)、イオン伝導体(10)、シート(12)及び蓄電デバイス(11)を提供する。粉末は、ガーネット型の結晶構造を有する酸化物系固体電解質であって、粉末X線回折パターンにおける面指数(042)のピークの半値幅(°)をyとし、比表面積(m2/g)をxとするときの不等式y≦0.04x+0.05を満たす。イオン伝導体は、粉末と、溶媒にリチウム塩が溶解した電解液(23)と、を含む。シートは、イオン伝導体と、固体電解質を結着するバインダーと、を含む。蓄電デバイスは粉末を含む。
Description
本発明はガーネット型の酸化物系固体電解質の粉末、イオン伝導体、シート及び蓄電デバイスに関する。
ガーネット型の結晶構造を有する酸化物系固体電解質は、酸化物系固体電解質の中でもイオン伝導性に優れているため、固体電解質の粉末を蓄電デバイスに使用する先行技術が特許文献1に開示されている。
しかし粉末は周囲の雰囲気によって結晶構造が変化することがあり、粉末の結晶構造の変化は電気的特性の低下につながる。
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、結晶構造の変化を低減できる粉末、イオン伝導体、シート及び蓄電デバイスの提供を目的とする。
この目的を達成するための第1の態様は、ガーネット型の結晶構造を有する酸化物系固体電解質の粉末であって、粉末X線回折パターンにおける面指数(042)のピークの半値幅(°)をyとし、比表面積(m2/g)をxとするときの不等式y≦0.04x+0.05を満たす。
第2の態様は、第1の態様において、格子定数が1.30nm以上である。
第3の態様は、第1又は第2の態様において、固体電解質は成分としてLi,La,Zr,Mg及びSrを含む。
第4の態様はイオン伝導体であって、第1から第3の態様のいずれかにおける粉末と、溶媒にリチウム塩が溶解した電解液と、を含む。
第5の態様はシートであって、第1から第3の態様のいずれかにおける粉末を含む、又は、第4の態様におけるイオン伝導体を含む。
第6の態様は電極であって、第1から第3の態様のいずれかにおける粉末を含む、又は、第4の態様におけるイオン伝導体を含む。
第7の態様は電極であって、第1から第3の態様のいずれかにおける粉末を含む保護層と接する、又は、第4の態様におけるイオン伝導体を含む保護層と接する。
第8の態様はセパレータであって、第1から第3の態様のいずれかにおける粉末を含む、又は、第4の態様におけるイオン伝導体を含む。
第9の態様はセパレータであって、第1から第3の態様のいずれかにおける粉末を含む保護層と接する、又は、第4の態様におけるイオン伝導体を含む保護層と接する。
第10の態様は蓄電デバイスであって、第6又は第7の態様における電極、又は、第8又は第9の態様におけるセパレータを含む。
本発明の粉末によれば、粉末X線回折パターンのピークの半値幅が小さいほど、結晶構造が変化する原因である欠陥が少ないことを表すため、面指数(042)のピークの半値幅(°)をyとし、比表面積(m2/g)をxとするときの不等式y≦0.04x+0.05を満たすことにより、結晶構造の変化を低減できる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は第1実施の形態におけるイオン伝導体10を含む蓄電デバイス11の模式的な断面図である。本実施形態における蓄電デバイス11は、リチウムイオンを電荷担体とする二次電池である。蓄電デバイス11は、順に正極層12、セパレータ15及び負極層16を含む。正極層12、セパレータ15及び負極層16はケース(図示せず)に収容されている。
正極層12は集電層13と活物質層14とが重ね合わされている。集電層13は導電性を有する部材である。集電層13の材料はNi,Ti,Fe及びAlから選ばれる金属、これらの2種以上の元素を含む合金やステンレス鋼、炭素材料が例示される。
活物質層14は、イオン伝導体10及び活物質20を含む。イオン伝導体10は、酸化物系固体電解質の粉末19を含む。活物質層14の抵抗を低くするために、活物質層14に導電助剤が含まれていても良い。導電助剤は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、Ni、Pt及びAgが例示される。
活物質20は、遷移金属を有する金属酸化物、硫黄系活物質、有機系活物質が例示される。遷移金属を有する金属酸化物は、Mn,Co,Ni,Fe,Cr及びVの中から選択される1種以上の元素とLiとを含む金属酸化物が例示される。遷移金属を有する金属酸化物は、LiCoO2,LiNi0.8Co0.15Al0.05O2,LiMn2O4,LiNiVO4,LiNi0.5Mn1.5O4,LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2及びLiFePO4が例示される。
硫黄系活物質は、S,TiS2,NiS,FeS2,Li2S,MoS3及び硫黄-カーボンコンポジットが例示される。有機系活物質は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジノキシル-4-イルメタクリレートやポリテトラメチルピペリジノキシルビニルエーテルに代表されるラジカル化合物、キノン化合物、ラジアレン化合物、テトラシアキノジメタン、及び、フェナジンオキシドが例示される。
セパレータ15は正極層12と負極層16とを隔離し、互いを電気的に絶縁する。セパレータ15はイオン伝導体10からなる。イオン伝導体10は粉末19及び電解液(後述する)を含む。イオン伝導体10は、さらにバインダーを含んでも良い。
負極層16は集電層17と活物質層18とが重ね合わされている。集電層17は導電性を有する部材である。集電層17の材料はNi,Ti,Fe,Cu及びSiから選ばれる金属、これらの元素の2種以上を含む合金やステンレス鋼、炭素材料が例示される。
活物質層18は、イオン伝導体10及び活物質21を含む。活物質層18の抵抗を低くするために、活物質層18に導電助剤が含まれていても良い。導電助剤は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、Ni、Pt及びAgが例示される。活物質21は、Li、Li-Al合金、Li4Ti5O12、黒鉛、In、Si、Si-Li合金、及び、SiOが例示される。セパレータ15と同様に、活物質層14,18にバインダーが含まれていても良い。
蓄電デバイス11は、例えば以下のように製造される。溶媒にリチウム塩を溶解した電解液と粉末19とを混合したものに、バインダーを溶媒に溶かした溶液を混合し、スラリーを作る。スラリーをシート状に成形した後、乾燥してセパレータ15のためのグリーンシート(電解質シート)を得る。
溶媒にリチウム塩を溶解した電解液と粉末19とを混合したものに活物質20を混合し、さらにバインダーを溶媒に溶かした溶液を混合し、スラリーを作る。集電層13の上にスラリーを塗布した後、乾燥して正極層12のためのグリーンシート(正極シート)を得る。
溶媒にリチウム塩を溶解した電解液と粉末19とを混合したものに活物質21を混合し、さらにバインダーを溶媒に溶かした溶液を混合し、スラリーを作る。集電層17の上にスラリーを塗布した後、乾燥して負極層16のためのグリーンシート(負極シート)を得る。
電解質シート、正極シート及び負極シートをそれぞれ所定の形に裁断した後、正極シート、電解質シート、負極シートの順に重ね、互いに圧着して一体化する。集電層13,17にそれぞれ端子(図示せず)を接続しケース(図示せず)に封入して、正極層12、セパレータ15及び負極層16を含む蓄電デバイス11が得られる。このように粉末19を含むシートは、イオン伝導体10によって電解質シート、正極シート及び負極シートになり得る。
粉末19は、ガーネット型の結晶構造を有する酸化物系固体電解質である。ガーネットは一般式C3A2B3O12で表される。
図2はガーネット型の結晶構造を模式的に示す図である。ガーネット型の結晶構造においてCサイトScは酸素原子Oaと12面体配位、AサイトSaは酸素原子Oaと8面体配位、BサイトSbは酸素原子Oaと4面体配位をしている。ガーネット型の結晶構造では酸素原子Oaと8面体配位する箇所であって、空隙Vとなる箇所にLiが存在し得る。空隙Vは、例えばBサイトSb1とBサイトSb2とに挟まれる箇所である。空隙Vに存在するLiは、BサイトSb1を形成する4面体の面Fb1とBサイトSb2を形成する4面体の面Fb2とを含む8面体を構成する酸素原子Oaと8面体配位をしている。例えばLi7La3Zr2O12の組成のガーネット型固体電解質は、CサイトScをLaが占有し、AサイトSaをZrが占有し、BサイトSbと空隙VとをLiが占有し得る。
ガーネット型固体電解質はCSD(Cambridge Structural Database)のX線回折ファイルNo.422259(Li7La3Zr2O12)に類似のXRDパターンを有する。ガーネット型固体電解質では様々な元素が置換する。例えばCサイトにはCa,Sr,Ba等が置換し、AサイトにはNb,Ta,Sn,Hf等が置換し、BサイトにはAl,Ga等が置換する。元素の置換によりリチウム量が変化し、結晶構造内でのリチウムイオンの配列や占有率、占有サイトが変化することによりイオン伝導率は変化する。元素の置換によってNo.422259と比較して回折角度や強度比が異なることがある。
図1に戻って説明する。粉末19は、典型的にはLi7La3Zr2O12が挙げられる。粉末19は、構成元素の一部が他の元素で置換されていても良いし、構成元素を置換することなく他の元素が微量添加されていても良い。他の元素は、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Ga,Sr,Y,Nb,Sn,Sb,Ba,Hf,Ta,W,Bi,Rb及びランタノイド(Laは除く)からなる群より選択される少なくとも1種の元素が例示される。
粉末19は、例えばLi6La3Zr1.5W0.5O12,Li6.15La3Zr1.75Ta0.25Al0.2O12,Li6.15La3Zr1.75Ta0.25Ga0.2O12,Li6.25La3Zr2Ga0.25O12,Li6.4La3Zr1.4Ta0.6O12,Li6.5La3Zr1.75Te0.25O12,Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12,Li6.9La3Zr1.675Ta0.289Bi0.036O12,Li6.46Ga0.23La3Zr1.85Y0.15O12,Li6.8La2.95Ca0.05Zr1.75Nb0.25O12,Li7.05La3.00Zr1.95Gd0.05O12,Li6.20Ba0.30La2.95Rb0.05Zr2O12が挙げられる。
粉末19は、特にMg及び元素A(AはCa,Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種の元素)の少なくとも一方を含み、各元素のモル比が以下の(1)から(3)を全て満たすもの、又は、Mg及び元素Aの両方を含み、各元素のモル比が以下の(4)から(6)を全て満たすものが好適である。元素Aは、粉末19のイオン伝導率を高くするため、Srが好ましい。
(1)1.33≦Li/(La+A)≦3
(2)0≦Mg/(La+A)≦0.5
(3)0≦A/(La+A)≦0.67
(4)2.0≦Li/(La+A)≦2.6
(5)0.01≦Mg/(La+A)≦0.14
(6)0.04≦A/(La+A)≦0.17
(1)1.33≦Li/(La+A)≦3
(2)0≦Mg/(La+A)≦0.5
(3)0≦A/(La+A)≦0.67
(4)2.0≦Li/(La+A)≦2.6
(5)0.01≦Mg/(La+A)≦0.14
(6)0.04≦A/(La+A)≦0.17
固体電解質からなる粉末19は、成分としてLi,La,Zr,Mg及びSrを含むものが例示される。固体電解質に含まれる成分は、高周波誘導結合質量分析装置(ICP-MS)により分析できる。
正極層12や負極層16から粉末19だけを取り出すことが困難な場合には、蓄電デバイス11から活物質層14,18を取り出し、活物質層14,18に含まれる材料の粉末X線回折により粉末19の解析ができる。粉末19に含まれる成分は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)、オージェ電子分光法(AES)等による活物質層14,18の断面の元素マッピング、又は、粉末19に該当する部分(例えばLaやZrが存在する部分)の点分析により元素種の確認ができる。
セパレータ15の断面に現出する粉末19の円相当径のメジアン径は0.1-10μmが好ましく、より好ましくは0.1-6μmである。粉末19の表面積を適度な大きさにし、粉末19の表面に介在する電解液と粉末19との間のLiイオンの移動量を確保するためである。
粉末19のメジアン径を求めるには、まずセパレータ15の断面(研磨面や集束イオンビーム(FIB)を照射して得られた面、イオンミリングによって得られた面)に現出する粉末19の走査型電子顕微鏡(SEM)による画像を解析して、粉末19の粒子ごとの面積から円相当径を算出し、体積基準の粒度分布を求める。メジアン径は、粒度分布における頻度の積算値が50%となる円相当径である。粒度分布を求める画像は、精度を確保するため、セパレータ15のうち400μm2以上の面積とする。
イオン伝導体10は、Li,La,Zr及びOを含むガーネット型の結晶構造を有する粉末19に加え、他の固体電解質が1種または複数種含まれていても良い。他の固体電解質は、ペロブスカイト型、NASICON型、LISICON型などの結晶質や非晶質の酸化物系の固体電解質や水素化物系の固体電解質が挙げられる。
図3はセパレータ15(図1参照)の断面図である。イオン伝導体10は、溶媒にリチウム塩が溶解した電解液23を含む。リチウム塩は、正極層12と負極層16との間のカチオンの授受のために用いられる化合物である。リチウム塩のアニオンは、ハロゲン化物イオン(I-,Cl-,Br-等),SCN-,BF4
-,BF3(CF3)-,BF3(C2F5)-,PF6
-,ClO4
-,SbF6
-,N(SO2F)2
-,N(SO2CF3)2
-,N(SO2C2F5)2
-,B(C6H5)4
-,B(O2C2H4)2
-,C(SO2F)3
-,C(SO2CF3)3
-,CF3COO-,CF3SO2O-,C6F5SO2O-,B(O2C2O2)2
-,RCOO-(Rは炭素数1-4のアルキル基、フェニル基またはナフチル基)等が例示される。
リチウム塩のアニオンは、スルホニル基-S(=O)2-を有するN(SO2F)2
-,N(SO2CF3)2
-,N(SO2C2F5)2
-等のスルホニルイミドやPF6
-等のハロリン酸イオンが好適に用いられる。スルホニルイミドアニオンは、塩濃度が高くなっても電解液の粘度上昇およびイオン伝導率低下の影響が小さく、ハロリン酸イオンは解離度が高いからである。両者は、さらに安定性が高く抵抗が低い被膜(SEI)の形成により、非水溶媒の還元分解を低減し還元側電位窓を拡張できるため好ましい。
溶媒は水系溶媒、非水溶媒が挙げられる。非水溶媒は、大部分が分子からなる分子性溶媒、カチオン及びアニオンからなるイオン液体に大別される。分子性溶媒は、非水電解液の電位窓を広くするため非プロトン性溶媒が好適である。非プロトン性溶媒は環状エステル、鎖状エステル、脂肪族カルボン酸エステル、リン酸エステル、ニトリル類、アミド類、硫黄化合物、ケトン類、エーテル類、ニトロ化合物、フルオラス溶媒、スルホン系溶媒が例示される。これらの混合物であっても良い。
環状エステルはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等の炭酸エステル、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、α-ピロン、クマリン等のラクトン類が例示される。鎖状エステルはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の炭酸エステルが例示される。脂肪族カルボン酸エステルはギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチルが例示される。リン酸エステルはリン酸トリメチルが例示される。ニトリル類はアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルが例示される。
アミド類はホルムアミド、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルピロリドンが例示される。硫黄化合物はジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルチオホルムアミド、N-メチルチオピロリドンが例示される。ケトン類はアセトン、4-メチル-2-ペンタノン、アセチルアセトンが例示される。エーテル類はテトラヒドロフラン、モノグリムが例示される。ニトロ化合物はニトロメタン、ニトロベンゼンが例示される。フルオラス溶媒は炭化水素の水素原子をフッ素原子に置換した化合物およびその誘導体である。
スルホン系溶媒は、トリメチレンスルホン、スルホラン、ジフルオロスルホラン、ジメチルスルホラン、モノフルオロスルホラン、3-メチルスルホラン、エチルメチルスルホン、エチルイソプロピルスルホンが例示される。スルホン系溶媒は熱安定性が高いため好ましい。
電解質が分子性溶媒に溶けて遊離イオンに解離する反応は、溶媒の比誘電率が大きいほど、またイオンの溶媒和が起きやすいほど進みやすいため、比誘電率εrが比較的大きな溶媒(εr>20)が好ましい。比誘電率が20より大きい分子性溶媒は、環状エステル、ニトリル類、アミド類、硫黄化合物、アセトン、アセチルアセトン、ニトロ化合物が例示される。溶媒の粘度の調整等のため、比誘電率が20より大きい溶媒と比誘電率が20以下の溶媒とを混合することは当然可能である。
イオン液体はカチオン及びアニオンからなる化合物であり、常温常圧で液体である。非水電解液の溶媒がイオン液体であれば非水電解液の難燃性を向上できる。イオン液体は、アンモニウム、イミダゾリウム、ピロリジニウム及びピペリジニウムからなる群から選ばれる1種以上をカチオン種とするものが好適である。
イオン液体のアニオン成分は特に限定されない。アニオン成分はBF4
-,N(SO2F)2
-等の無機アニオン、B(C6H5)4
-,CH3SO3
-,CF3SO3
-,N(SO2CF3)2
-,N(SO2C4F9)2
-等の有機アニオンが例示される。
イオン液体は溶媒和イオン液体であっても良い。溶媒和イオン液体は、例えば、スルホランやスルホラン誘導体などのスルホン系溶媒、又は、テトラグライム等のグライム系溶媒にリチウム塩を溶解させたものが挙げられる。
イオン伝導体10には、粉末19を結着するバインダーが含まれていても良い。バインダーは、フッ素化樹脂、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、スチレンブタジエンゴムなどのゴム状重合体が例示される。フッ素化樹脂は、フッ化ビニリデン系ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体、エチレン4フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体が例示される。
フッ化ビニリデン系ポリマーは、フッ化ビニリデンの単独重合体、フッ化ビニリデンと共重合性モノマーとの共重合体が例示される。共重合性モノマーは、ハロゲン含有モノマー(フッ化ビニリデンを除く)、非ハロゲン系の共重合性モノマーが挙げられる。ハロゲン含有モノマーは、塩化ビニル等の塩素含有モノマー;トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル等のフッ素含有モノマーが例示される。非ハロゲン系の共重合性モノマーは、エチレン、プロピレン等のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、これらのエステル又は塩等のアクリルモノマー;アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマーが例示される。共重合性モノマーの1種または2種以上がフッ化ビニリデンに重合して共重合体を構成する。
粉末19は不活性ガス雰囲気で取扱っても、不活性ガス中に僅かに存在している水分や二酸化炭素と反応して結晶構造が変化し、結晶構造の変化に伴い電気的特性が低下する。粉末19の結晶構造が変化する原因は、粉末19の周囲の雰囲気の他、粉末19の結晶に存在する欠陥、粉末19の表面の結晶構造の乱れ、複数の結晶系の混在による不安定性などが挙げられる。粉末19の欠陥や結晶構造の乱れは、水分や二酸化炭素との反応の起点になりやすいと考えられるからである。従って欠陥や結晶構造の乱れが少ない粉末19は、水分や二酸化炭素との反応が起こりにくく、結晶構造の変化が起こりにくいと考えられる。
粉末19の欠陥や結晶構造の乱れは、固体電解質の塊を粉砕して粉末19を作製する過程で導入されやすい。一方、固体電解質の塊を粉砕して粉末19を細かくすればするほど粉末19の比表面積は大きくなる。そうすると粉砕された粉末19の比表面積が大きくなるにつれて、粉末19の欠陥や結晶構造の乱れは大きくなる傾向があると推定される。
放射光による波長が短い高エネルギーX線を用いることにより逆格子空間を精度良く測定できるため、放射光X線を利用した粉末X線回折パターンを用いて測定したピークの半値幅(強度がピーク値の半分となる散乱角(2θ)の全幅)を、粉末19の欠陥や結晶構造の乱れを表す指標とする。ピークの半値幅は、結晶を作っている最小微結晶単位(結晶子)の大きさと反比例の関係にあるため、結晶性の良否を精度良く見極められるからである。
取得した粉末X線回折パターンは、標準試料(NIST-Si)の粉末X線回折パターンのピークの拡がりを装置の光学系に起因する拡がりとして差し引いて補正する。標準試料の粉末X線回折パターンのうち最も低角度のピークは15.5°に位置するため、粉末X線回折パターンのうち15.5°よりも散乱角が小さい範囲に現れるピークは信頼性が乏しい。従って補正が可能である散乱角が15.5°よりも大きい範囲に現れる最強線ピークの半値幅を使って粉末19を評価する。
粉末X線回折パターンに現れるピークの位置は、X線の回折・反射の物理法則であるブラッグの式に従う。ブラッグの式は、4・sin2θ/λ2=1/d2=(h2+k2+l2)/a2と変形できる。(hkl)は結晶面の種類を指定するための面指数である。各ピークの散乱角2θと入射X線の波長λから、式の左辺が求められる。左辺の値は、面指数の2乗の和h2+k2+l2と格子定数aの2乗の比に一致する。左辺の値を一定値で除して、一連の小さい整数値を与える数値を見つけ出すことを考える。この数値を使って求めた整数値を使って各ピークの面指数(hkl)を決定できる。ガーネット型固体電解質の粉末X線回折パターンの、補正が可能である散乱角2θが15.5°よりも大きい範囲に現れる最強線ピークは面指数が(042)である。
粉末19は、面指数(042)のピークの半値幅(°)をyとし、比表面積(m2/g)をxとするときの不等式y≦0.04x+0.05を満たす。粉末19は好ましくは不等式y≦0.04x+0.025を満たし、より好ましくは不等式y≦0.04x+0.005を満たす。これらの不等式を満たす粉末19は、結晶中に欠陥が少なく、表面に結晶構造の乱れが少なく、結晶系が単相に近いと推定される。粉末19の結晶の安定性が高いため、結晶構造の変化を低減できる。
粉末19の比表面積は、JIS R1626:1996に準拠して測定される。粉末19の比表面積は10m2/g以上50m2/g以下が好ましい。粉末19の表面の伝導パスを適度に設けるためである。
レーザ回折式粒度分布測定装置により測定される粉末19の積算粒度分布におけるメジアン径は、0.1μm以上10μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以上6μm以下である。粉末19の比表面積を適度な大きさにするためである。
粉末19の格子定数aは1.30nm以上であることが好ましい。粉末19の格子定数aが大きいほど、導電率に寄与するイオンの拡散に適しているからである。格子定数aは粉末X線回折パターンから求められる。粉末19の格子定数aは、ガーネット型固体電解質の結晶構造を確保するため、1.32nm以下が好ましい。粉末19のイオン伝導率を向上させるため、粉末19の結晶系は立方晶系であるとさらに好ましい。
電解液のリチウム塩の濃度は4.0mol/kg以下が好ましい。電解液の塩濃度が4.0mol/kgを超えると、電解液の粘度の増加によってイオン伝導率が小さくなる傾向が著しいからである。電解液の塩濃度は、例えば以下のようにして特定する。ここではセパレータ15を構成するイオン伝導体10について説明するが、活物質層14,18を構成するイオン伝導体10も同様に特定できる。
まず、セパレータ15を砕いたものを溶剤に浸し、セパレータ15に含まれる電解液を溶剤に溶かした後、遠心分離機により固体成分と液体成分とに分離する。分離した液体成分を対象として、高周波誘導結合プラズマ分析法(ICP)によりLiの含有量を特定する。
また、セパレータ15に含まれる非水溶媒の種類を、例えばガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)により特定する。熱重量示差熱分析(TG-DTA)により、種類を特定した溶媒(以下「標準物質」と称す)の分析とセパレータ15の分析とを行い、標準物質の分析結果とセパレータ15の分析結果とを比較して、セパレータ15に含まれる溶媒の含有量を特定する。液体成分中のLiの含有量とセパレータ15中の溶媒の含有量とに基づき、電解液におけるリチウム塩の質量モル濃度(mol/kg)を算出する。
イオン伝導体10は、粉末19の体積と電解液の体積の合計に対する粉末19の体積の割合が52%以上100%未満が好ましく、61%以上100%未満がより好ましい。粉末19と電解液との組合せによって粉末19の界面抵抗を低減できるため、イオン伝導体10が配置された蓄電デバイス11の動作の安定性が増す。
粉末19及び電解液の含有量(体積%)は、セパレータ15を凍結させ、又は、4官能性のエポキシ系樹脂などにセパレータ15を埋め込み固めた後、セパレータ15の断面から無作為に選択した5000倍の視野を対象に、エネルギー分散型X線分光器(EDS)が搭載されたSEMを用いて分析し、求める。分析は、La,Zr,Sの分布を特定したり反射電子像のコントラストを画像解析したりして、粉末19の面積および電解液の面積を特定し、セパレータ15の断面における面積の割合を、セパレータ15のイオン伝導体10における体積の割合とみなして粉末19及び電解液の含有量(体積%)を得る。
イオン伝導体10のLiイオン伝導率は、粉末19、電解液の種類や塩濃度等により決定される。イオン伝導体10の25℃におけるリチウムイオン伝導率は1.0×10-5S/cm以上であるのが好ましい。イオン伝導体10を含む蓄電デバイス11の出力密度を確保するためである。
図4を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施形態では電解質に粉末19と電解液とを使用する蓄電デバイス11を説明した。第2実施形態では電解質に電解液を使用する液系リチウムイオン電池にイオン伝導体10を用いる場合を説明する。第1実施形態で説明した部分と同一の部分は、同じ符号を付して以下の説明を省略する。図4は第2実施形態における蓄電デバイス24の断面図である。
蓄電デバイス24は、順に正極層12、セパレータ25及び負極層16を含む。これらはケース(図示せず)に収容されている。セパレータ25は、正極層12や負極層16に含まれる活物質20,21や電解液に対して耐久性があり、リチウムイオンは通過するが電子伝導性は有しない多孔質体からなる。セパレータ25は、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、アルミナ等からなる不織布や多孔膜が例示される。非水電解液は第1実施形態で説明したものと同一なので説明を省略する。
第2実施形態における蓄電デバイス24は、正極層12や負極層16にイオン伝導体10が含まれるので、第1実施形態における蓄電デバイス11と同様に動作の安定性が増す。
図5を参照して第3実施の形態について説明する。第1実施形態や第2実施形態では正極層12やセパレータ15、負極層16にイオン伝導体10が含まれる場合を説明した。第3実施形態では保護層29,32にイオン伝導体10が含まれる場合を説明する。第1実施形態や第2実施形態で説明した部分と同一の部分は、同じ符号を付して以下の説明を省略する。図5は第3実施形態における蓄電デバイス26の断面図である。
蓄電デバイス26は、順に正極層27、セパレータ25及び負極層30を含む。これらはケース(図示せず)に収容されている。蓄電デバイス26は電解質に非水電解液を使用する液系リチウムイオン電池である。
正極層27は集電層13と活物質層28とが重ね合わされている。活物質層28は活物質20を含む。活物質層28の抵抗を低くするために、活物質層28にカーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、Ni、Pt及びAg等の導電助剤が含まれていても良い。
セパレータ25と負極層30との間に保護層29が配置されている。保護層29はイオン伝導体10を含む。
負極層30は順に活物質層31、保護層32及び集電層17が重ね合わされている。活物質層31は例えばLi、Li-Al合金、Li-Sn合金、Li-Si合金、Li-Mg合金、Li-Si合金またはSi-Li合金からなる。保護層32はイオン伝導体10を含む。保護層29,32は、イオン伝導体10を含むスラリーによるシート状の成形体の積層、イオン伝導体10を含むスラリーのセパレータ25や集電層17への塗布などにより配置される。
イオン伝導体10に含まれる、Li,La,Zr及びOを含むガーネット型の結晶構造を有する粉末19は、活物質層31の金属リチウムに対し耐還元性を有するため、保護層29によって蓄電デバイス26の動作の安定性が増す。さらに保護層29は金属リチウムのデンドライト成長による短絡を抑制する。活物質層31と集電層17との間に介在する保護層32は、集電層17の変質を抑制する。
図6を参照して第4実施の形態から第6実施の形態までを説明する。なお第1実施形態から第3実施形態までに説明した部分と同一の部分は、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図6(a)は第4実施の形態における絶縁体33の断面図である。
絶縁体33は、セパレータ25と、セパレータ25に接する保護層29と、を備えている。セパレータ25は、第1の界面34と、第1の界面34と反対の第2の界面35と、を含み、第1の界面34及び第2の界面35に保護層29が配置されている。セパレータ25に配置された保護層29によって、蓄電デバイスに含まれる金属リチウムのデンドライト成長による短絡を低減できる。仮に蓄電デバイスに短絡が発生してセパレータ25が熱変形しようとしても、保護層29があるため、セパレータ25の形状が保持され蓄電デバイスの熱暴走の発生を抑制する。
図6(b)は第5実施の形態における電極36の断面図である。電極36は、正極層12と、正極層12の活物質層14に接する保護層29と、を備えている。電極36は、活物質層14の集電層13が配置された面と反対の界面37に保護層29が配置されている。活物質層14の界面37に配置された保護層29によって、蓄電デバイスの負極層16からのデンドライト成長を低減できる。
図6(c)は第6実施の形態における電極38の断面図である。電極38は、負極層16と、負極層16の活物質層18に接する保護層29と、を備えている。電極38は、活物質層18の集電層17が配置された面と反対の界面39に保護層29が配置されている。活物質層18の界面39に配置された保護層29によって、蓄電デバイスの負極層16からのデンドライト成長を低減できる。
絶縁体33は、第2実施形態における蓄電デバイス24や第3実施形態における蓄電デバイス26のセパレータ25に代えて、蓄電デバイスに配置される。絶縁体33は、セパレータ25の界面34,35に配置された2つの保護層29のうち片方を省いても良い。
電極36は、第2実施形態における蓄電デバイス24や第3実施形態における蓄電デバイス26の正極層12,27に代えて、蓄電デバイスに配置される。電極38は、第2実施形態における蓄電デバイス24や第3実施形態における蓄電デバイス26の負極層16,30に代えて、蓄電デバイスに配置される。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
Li6.95Mg0.15La2.75Sr0.25Zr2.0O12となるように、Li2CO3,MgO,La(OH)3,SrCO3,ZrO2を秤量した。Li2CO3は、焼成時のLiの揮発を考慮し、元素換算で15mol%程度過剰にした。秤量した原料およびエタノールをジルコニア製ボールと共にナイロン製ポットに投入し、ボールミルで15時間粉砕混合した。ポットから取り出したスラリーを乾燥後、MgO製の板の上に乗せ900℃で1時間焼成し、さらに1200℃で10時間焼成した。
Li6.95Mg0.15La2.75Sr0.25Zr2.0O12となるように、Li2CO3,MgO,La(OH)3,SrCO3,ZrO2を秤量した。Li2CO3は、焼成時のLiの揮発を考慮し、元素換算で15mol%程度過剰にした。秤量した原料およびエタノールをジルコニア製ボールと共にナイロン製ポットに投入し、ボールミルで15時間粉砕混合した。ポットから取り出したスラリーを乾燥後、MgO製の板の上に乗せ900℃で1時間焼成し、さらに1200℃で10時間焼成した。
25℃における粘度が0.54cPのメタノール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを168時間粉砕した。粘度は振動式粘度計(VM-ICA-M)で測定した(粘度を測定した装置は実施例2-4、比較例1-3においても同じ)。粉砕後の粉末を乾燥して、実施例1における粉末を得た。
(実施例2)
25℃における粘度が1.1cPのエタノール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを24時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、実施例2における粉末を得た。
25℃における粘度が1.1cPのエタノール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを24時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、実施例2における粉末を得た。
(実施例3)
25℃における粘度が1.1cPのエタノール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを72時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、実施例3における粉末を得た。
25℃における粘度が1.1cPのエタノール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを72時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、実施例3における粉末を得た。
(実施例4)
25℃における粘度が0.54cPのメタノール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを48時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、実施例4における粉末を得た。
25℃における粘度が0.54cPのメタノール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを48時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、実施例4における粉末を得た。
(比較例1)
25℃における粘度が6.6cPのブチルカルビトール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを168時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、比較例1における粉末を得た。
25℃における粘度が6.6cPのブチルカルビトール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを168時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、比較例1における粉末を得た。
(比較例2)
25℃における粘度が1.1cPのエタノール210mLの存在下、回転数105rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを24時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、比較例2における粉末を得た。
25℃における粘度が1.1cPのエタノール210mLの存在下、回転数105rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを24時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、比較例2における粉末を得た。
(比較例3)
25℃における粘度が16.5cPのエチレングリコール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを168時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、比較例3における粉末を得た。
25℃における粘度が16.5cPのエチレングリコール210mLの存在下、回転数400rpmのボールミルで焼成後の粉末35gを168時間粉砕した以外は、実施例1と同様にして、比較例3における粉末を得た。
(粉末の比表面積の測定)
JIS R1626:1996に準拠して、実施例1-4、比較例1-3における粉末の比表面積を測定した。比表面積の測定を行う前に、不活性ガス(He)雰囲気で脱気処理(温度200℃で60分)を行い、粉末の表面に物理吸着した物質を取り除いた。比表面積の測定に用いた吸着ガスは混合ガス(He:N2=7:3)であり、吸着ガス量は流動法により測定した。パラメータは一点法により算出した。
JIS R1626:1996に準拠して、実施例1-4、比較例1-3における粉末の比表面積を測定した。比表面積の測定を行う前に、不活性ガス(He)雰囲気で脱気処理(温度200℃で60分)を行い、粉末の表面に物理吸着した物質を取り除いた。比表面積の測定に用いた吸着ガスは混合ガス(He:N2=7:3)であり、吸着ガス量は流動法により測定した。パラメータは一点法により算出した。
(粉末X線回折)
放射光を利用した粉末X線回折により実施例1-4、比較例1-3における粉末の粉末X線回折パターンを取得した。粉末X線回折は、あいちシンクロトロン光センターBL5S2にて、カメラ長:340mm、ビームサイズ:0.5mm×0.5mm、入射X線の波長:0.07nm、キャピラリー:リンデマンガラス0.3mmΦ、検出器:PILATUS100Kの条件で行った。取得した粉末X線回折パターンは、標準試料(NIST-Si)の粉末X線回折パターンによって補正した。
放射光を利用した粉末X線回折により実施例1-4、比較例1-3における粉末の粉末X線回折パターンを取得した。粉末X線回折は、あいちシンクロトロン光センターBL5S2にて、カメラ長:340mm、ビームサイズ:0.5mm×0.5mm、入射X線の波長:0.07nm、キャピラリー:リンデマンガラス0.3mmΦ、検出器:PILATUS100Kの条件で行った。取得した粉末X線回折パターンは、標準試料(NIST-Si)の粉末X線回折パターンによって補正した。
実施例1-4、比較例1-3における粉末の粉末X線回折パターンに基づき、2θが16.0°から17.5°の間に位置する面指数(042)のピークをそれぞれ特定し、面指数(042)のピークの半値幅(°)を求めた。さらに粉末X線回折パターンから格子定数をそれぞれ求めた。
(粉末の暴露試験)
面指数(042)のピークの半値幅を求めた粉末を露点-40℃のアルゴン雰囲気下に168時間暴露した後、暴露前の粉末X線回折と同じ条件で粉末X線回折を行った。粉末X線回折パターンにおける面指数(042)のピークの半値幅(°)をそれぞれ求め、暴露前の粉末の半値幅に対する暴露後の粉末の半値幅の変化率を計算した。
面指数(042)のピークの半値幅を求めた粉末を露点-40℃のアルゴン雰囲気下に168時間暴露した後、暴露前の粉末X線回折と同じ条件で粉末X線回折を行った。粉末X線回折パターンにおける面指数(042)のピークの半値幅(°)をそれぞれ求め、暴露前の粉末の半値幅に対する暴露後の粉末の半値幅の変化率を計算した。
実施例1-4、比較例1-3における粉末の、暴露前の比表面積、面指数(042)のピークの半値幅および格子定数と、暴露前の粉末のピークの半値幅に対する暴露後の粉末のピークの半値幅の変化率と、を表1に記した。
表1によれば実施例1-4、比較例1-3における粉末は変化率が正であったため、暴露後のピークの半値幅は、暴露前のピークの半値幅に比べて大きくなった。暴露試験によってピークの半値幅が大きくなったことは、暴露試験によって結晶子径が小さくなったことを示しており、粉末が暴露された雰囲気中の水分や二酸化炭素等と粉末とが反応し、粉末の結晶性が低下したことを表している。
表1によれば実施例1-4における粉末は、暴露前後の半値幅の変化率が、比較例1-3における粉末の変化率に比べて小さいことが明らかになった。実施例1-4における粉末は、比較例1-3における粉末に比べて結晶性が低下しにくくなっており、結晶性が低下する原因となる結晶構造の乱れや欠陥が少ないと推定される。実施例1-4における粉末は環境の影響を受けにくいため、粉末を保管する雰囲気の選択の幅(露点の許容範囲)が広く、また蓄電デバイスに用いたときの粉末の結晶構造の変化(体積の変化)に起因するクラックの発生や、粉末と電解液との体積比率の変化による蓄電デバイスの特性の変化を低減できる。
実施例1-4における粉末は、比較例1-3における粉末と比較して、ボールミルで粉末を湿式粉砕したときに使用した溶媒の粘度が低く、5cP以下であった。これにより実施例1-4における粉末は、粉砕中の粉末の固着や凝集などが起こりにくくなり、粉砕メディアの力が粉末に均一に加わりやすくなるため、結晶に導入される欠陥が少なく、粉末の表面の結晶構造の乱れも生じにくかったと推定される。
実施例1-4における粉末の格子定数は1.30nm以上であった。実施例1-4における粉末は結晶構造の乱れが少ないからであると推定される。実施例1-4における粉末は比較例1-3における粉末の格子定数よりも格子定数が大きいため、リチウムイオンの拡散性も優れていると推定される。
図7は暴露前の粉末の粉末X線回折パターンの面指数(042)のピークの半値幅(°)をyとし、暴露前の粉末の比表面積(m2/g)をxとする相関図である。実施例1-4における粉末は不等式y≦0.04x+0.05を満たすことが明らかになった。比較例1-3における粉末は不等式y>0.04x+0.05の範囲にあるため、粉末の比表面積に対して半値幅が大きく、欠陥や結晶構造の乱れが多く存在するため、暴露試験によって粉末の結晶性が低下したと推定される。
実施例1-4における粉末は不等式y≦0.04x+0.025を満たすことにより、欠陥や結晶構造の乱れを少なくできるため、暴露試験による粉末の結晶性の低下をさらに低減できると推定される。実施例1-4における粉末は不等式y≦0.04x+0.005を満たすことにより、欠陥や結晶構造の乱れをさらに少なくできるため、暴露試験による粉末の結晶性の低下をさらに低減できると推定される。
Li,La及びZrを含むガーネット型の結晶構造を有する酸化物系の固体電解質は、非水電解液に準ずるバルクの導電率をもち、金属リチウムに対して電気化学的に安定であるという優れた特徴をもつ。しかし、酸化物系の固体電解質は反応性が高く、水分や二酸化炭素等と反応して抵抗層が形成され界面抵抗が高くなるため、固体電解質の粉末を加圧成形した成形体が採用された蓄電デバイスは、実用に耐え得る電池特性を得ることが難しい。これに対し、実施例によれば水分や二酸化炭素等と反応しにく固体電解質が得られることが明らかになったため、固体電解質の粉末を成形・焼成して高密度の焼結体にしなくても、粉末を加圧成形した成形体を採用して、あるいは粉末と電解液とが共存した成形体を採用して、実用に耐え得る電池特性が得られる蓄電デバイスを得ることが期待される。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
実施形態では、蓄電デバイス11として、集電層13の片面に活物質層14が設けられた正極層12、及び、集電層17の片面に活物質層18が設けられた負極層16を備えるものを説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば集電層13の両面に活物質層14と活物質層18とをそれぞれ設けた電極層(いわゆるバイポーラ電極)を備える蓄電デバイスに、実施形態における各要素を適用することは当然可能である。バイポーラ電極とセパレータ15とを交互に積層しケース(図示せず)に収容すれば、いわゆるバイポーラ構造の蓄電デバイスが得られる。
実施形態では、活物質層14,18及びセパレータ15が全てイオン伝導体10を含む場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。蓄電デバイスは、活物質層14,18及びセパレータ15の少なくとも1つがイオン伝導体10を含んでいれば良い。
実施形態では、リチウムイオン電池からなる蓄電デバイス11,24,26を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。他の蓄電デバイスが粉末19を含んでも良いことは明らかである。他の蓄電デバイスは電気化学キャパシタが例示される。電気化学キャパシタは、レドックス反応を利用するレドックスキャパシタや電気二重層キャパシタと粉末19とを組み合わせた非対称セルであるハイブリッドキャパシタが例示される。
実施形態では説明を省略したが、活物質層18とセパレータ15,25との間に保護層29を配置したり、集電層17と活物質層18との間に保護層29を配置したりすることは当然可能である。活物質層18とセパレータ15,25との間に保護層29が配置されると、デンドライトによる短絡を低減できる。集電層17と活物質層18との間に保護層29が配置されると集電層17の変質を低減できる。
10 イオン伝導体
11,24,26 蓄電デバイス
12 正極層(シート、電極)
15 セパレータ(シート)
16 負極層(シート、電極)
19 粉末
23 電解液
25 セパレータ
29,32 保護層
11,24,26 蓄電デバイス
12 正極層(シート、電極)
15 セパレータ(シート)
16 負極層(シート、電極)
19 粉末
23 電解液
25 セパレータ
29,32 保護層
Claims (13)
- ガーネット型の結晶構造を有する酸化物系固体電解質の粉末であって、
粉末X線回折パターンにおける面指数(042)のピークの半値幅(°)をyとし、比表面積(m2/g)をxとするときの不等式y≦0.04x+0.05を満たす粉末。 - 格子定数が1.30nm以上である請求項1記載の粉末。
- 前記固体電解質は、成分としてLi,La,Zr,Mg及びSrを含む請求項1記載の粉末。
- 請求項1から3のいずれかに記載の粉末と、
溶媒にリチウム塩が溶解した電解液と、を含むイオン伝導体。 - 請求項1から3のいずれかに記載の粉末を含むシート。
- 請求項1から3のいずれかに記載の粉末を含む電極。
- 請求項1から3のいずれかに記載の粉末を含む保護層と接する電極。
- 請求項6記載の電極を含む蓄電デバイス。
- 請求項7記載の電極を含む蓄電デバイス。
- 請求項1から3のいずれかに記載の粉末を含むセパレータ。
- 請求項1から3のいずれかに記載の粉末を含む保護層と接するセパレータ。
- 請求項10記載のセパレータを含む蓄電デバイス。
- 請求項11記載のセパレータを含む蓄電デバイス。
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|---|---|---|---|
| JP2024029815 | 2024-02-29 | ||
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|---|---|
| JPWO2025182727A1 JPWO2025182727A1 (ja) | 2025-09-04 |
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Citations (3)
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|---|---|---|---|---|
| JP2016169142A (ja) * | 2015-03-10 | 2016-09-23 | Tdk株式会社 | ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物及び全固体型リチウムイオン二次電池 |
| JP2021151932A (ja) * | 2020-03-24 | 2021-09-30 | 冨士色素株式会社 | 複合酸化物粉末、複合酸化物粉末の製造方法、固体電解質体の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池の製造方法 |
| US20240038984A1 (en) * | 2022-07-27 | 2024-02-01 | Corning Incorporated | Modified cathode for high-voltage lithium-ion battery and methods of manufacturing thereof |
-
2025
- 2025-02-19 WO PCT/JP2025/005669 patent/WO2025182727A1/ja active Pending
- 2025-02-19 JP JP2025528391A patent/JP7761818B1/ja active Active
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| US20240038984A1 (en) * | 2022-07-27 | 2024-02-01 | Corning Incorporated | Modified cathode for high-voltage lithium-ion battery and methods of manufacturing thereof |
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| JPWO2025182727A1 (ja) | 2025-09-04 |
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