上記公報では、ジョグダイヤル、タッチパネル、押しボタン等の電気的な旋回操作入力装置を、ハンドルに代えて、乗員が旋回のための指示を入力する旋回操作入力部に使用できることを示唆している(段落0036参照)。電気的な旋回操作入力装置は、乗員による旋回のための旋回操作を受け付けるとともに、旋回操作が機械的に伝達されて操舵輪としての前輪である前操舵輪が揺動しないように構成された旋回操作入力装置である。
旋回操作が機械的に伝達されて前操舵輪が揺動しないように構成された旋回操作入力装置を使用する場合、傾斜車両の旋回は、旋回操作に基づいてアクチュエータによって制御される。そして、旋回操作が機械的に伝達されて前操舵輪が揺動しないように構成された旋回操作入力装置を備えた傾斜車両は、旋回操作に基づいてアクチュエータによって制御されるため、旋回に対してより高いロバスト性を備えていることが好ましい。
本発明の目的は、旋回に対するロバスト性をより高めることができる、乗員による旋回操作が機械的に伝達されて前操舵輪が揺動しないように構成された旋回操作入力装置を備えた、操舵される前輪を備える傾斜車両を提供することにある。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両は、車体と、車体上下方向に延びる軸線回りに揺動可能な状態で車体に支持される1つまたは2つの前操舵輪と、車体上下方向に延びる軸線回りに揺動しない状態で車体に支持され、前操舵輪が1つの場合は2つであり、前操舵輪が2つの場合は1つまたは2つである後輪と、を備える。
また、本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両は、乗員による旋回のための旋回操作を受け付けるとともに、旋回操作が機械的に伝達されて前操舵輪が揺動しないように前操舵輪に対して機械的に接続されていない旋回操作入力装置を備える。さらに、本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作が車両左方向に旋回させるための旋回操作である場合に車体、前操舵輪及び後輪を車両左方向に傾斜させ、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作が車両右方向に旋回させるための旋回操作である場合に車体、前操舵輪及び後輪を車両右方向に傾斜させる傾斜アクチュエータを含む傾斜装置と、傾斜アクチュエータを制御する制御装置と、を備える。
上述したように、本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両は、三輪車または四輪車である。本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両の前操舵輪または後輪は、2つの車輪を有する。本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両は、傾斜装置及び制御装置によって車体、前操舵輪及び後輪を傾斜させて旋回する。旋回操作入力装置は、旋回操作が機械的に伝達されて前操舵輪が揺動しないように構成されている。そのため、このような操舵される前輪を備える傾斜車両は、旋回操作に基づく傾斜アクチュエータの動作によって制御されるため、旋回に対してより高いロバスト性を備えていることが好ましい。
操舵される前輪を備える傾斜車両は、出力されるトルクを制御することにより旋回中に傾斜している前操舵輪及び後輪に対して追加の向心力を発生させる向心力発生アクチュエータを含む向心力発生装置をさらに備える。加えて、制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、旋回中の車体の傾斜状態と、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力とを制御する。
これにより、旋回操作に基づいて車体を傾斜させる傾斜アクチュエータによる旋回中の車体の傾斜状態の制御と、旋回中に傾斜している前操舵輪及び後輪に対して追加の向心力を発生させる向心力発生アクチュエータによる向心力の制御との両方で、操舵される前輪を備える傾斜車両の旋回を制御することができる。そのため、乗員による旋回操作が機械的に伝達されて前操舵輪が揺動しないように構成された旋回操作入力装置を備えた、操舵される前輪を備える傾斜車両の旋回に対するロバスト性をより高めることができる。
また、傾斜車両が備える制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに操舵アクチュエータのトルクを制御する。そのため、例えば、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に応じた車体の傾斜角度を維持するように傾斜アクチュエータを制御しながら、操舵アクチュエータのトルクを制御することができる。
さらに、旋回操作に基づく傾斜アクチュエータの制御によって傾斜している前操舵輪及び後輪に発生させる向心力の制御を、向心力発生アクチュエータのトルクの制御により行うことになる。これにより、旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータによって車体の傾斜状態を制御しているときに、向心力をより容易に制御することができる。そのため、乗員による旋回操作が機械的に伝達されて前操舵輪が揺動しないように構成された旋回操作入力装置を備えた、操舵される前輪を備える傾斜車両の旋回に対するロバスト性をより高めることができる。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両において、車体は、操舵される前輪を備える傾斜車両の左方向である車両左方向に旋回するときに車両左方向に傾斜し、操舵される前輪を備える傾斜車両の右方向である車両右方向に旋回するときに車両右方向に傾斜するものであれば、特に限定されない。車体は、車体フレームを含む。車体フレームは、複数の部品を組み合わせたフレ-ムであってもよいし、複数の部品を一体的に成形したフレ-ムであってもよい。車体フレームの材料は、アルミ、鉄などの金属であってもよいし、CFRPなどの合成樹脂であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。車体フレームは、操舵される前輪を備える傾斜車両の外観部品で構成したモノコック構造であってもよいし、その一部が操舵される前輪を備える傾斜車両の外観部品を兼ねるセミモノコック構造であってもよい。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両において、1つまたは2つの前操舵輪は、車体の上下方向である車体上下方向に延びる軸線回りに揺動可能な状態で車体に支持されるものであれば、特に限定されない。車体上下方向に延びる軸線は、車体が直立している状態で、鉛直方向に延びていなくてもよい。車体上下方向に延びる軸線は、例えば、車体が直立している状態で、鉛直方向に対して車体の後方向に傾斜していてもよい。前操舵輪が車体に支持される態様は、特に限定されない。前操舵輪は、例えば、車体に対して直接的に支持されていてもよいし、車体に対して間接的に支持されていてもよい。前操舵輪が車体に対して間接的に支持される態様には、例えば、前操舵輪と車体との間に配置され前操舵輪を車体に対して支持する懸架装置を用いる態様が含まれる。1つの前操舵輪を車体に対して支持する懸架装置は、例えば、テレスコピック式やボトムリンク式のフロントフォークである。2つの前操舵輪を車体に対して支持する懸架装置は、例えば、独立懸架方式のサスペンションである。2つの前操舵輪は、例えば、操舵される前輪を備える傾斜車両の左右方向に並んで配置される。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両において、後輪が車体に支持される態様は、車体上下方向に延びる軸線回りに後輪が揺動しない態様であれば、特に限定されない。後輪は、例えば、車体に対して直接的に支持されていてもよいし、車体に対して間接的に支持されていてもよい。後輪が車体に対して間接的に支持される態様には、例えば、後輪と車体との間に配置され後輪を車体に対して支持する懸架装置を用いる態様が含まれる。1つの後輪を車体に対して支持する懸架装置は、例えば、スイングアーム式のサスペンションである。2つの後輪を車体に対して支持する懸架装置は、例えば、独立懸架方式のサスペンションである。2つの後輪は、例えば、操舵される前輪を備える傾斜車両の左右方向に並んで配置される。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両において、旋回操作入力装置は、乗員による旋回のための旋回操作を受け付けるとともに、当該旋回操作が機械的に伝達されて前操舵輪が揺動しないように構成されていれば、特に限定されない。乗員による旋回のための旋回操作は、例えば、乗員の体の一部(例えば、手)を用いて行われる。旋回操作入力装置が乗員による旋回のための旋回操作を受け付ける態様は、特に限定されない。例えば、乗員による旋回のための旋回操作が乗員の体の一部(例えば、手)を用いて行われる場合、旋回操作入力装置は乗員の体の一部(例えば、手)が接触する部分を有していればよい。この場合、当該部分により旋回操作を受け付けることができる。旋回操作が機械的に伝達されて前操舵輪が揺動しないように構成されている態様は、例えば、旋回操作入力装置が前操舵輪に対して機械的に接続されていない態様を含む。旋回操作入力装置が前操舵輪に対して機械的に接続されていない態様は、例えば、旋回操作入力装置から前操舵輪への動力伝達が不能な態様を含む。旋回操作入力装置が前操舵輪に対して機械的に接続されていない場合、例えば、乗員による旋回のための旋回操作に基づいて電気信号を生成し、当該電気信号を用いてアクチュエータを駆動し、それによって、前操舵輪を揺動させればよい。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両において、傾斜装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作が車両左方向に旋回させるための旋回操作である場合に車体、前操舵輪及び後輪を車両左方向に傾斜させ、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作が車両右方向に旋回させるための旋回操作である場合に車体、前操舵輪及び後輪を車両右方向に傾斜させる傾斜アクチュエータを含むものであれば、特に限定されない。傾斜アクチュエータが車体、前操舵輪及び後輪を車両左方向又は車両右方向に傾斜させる態様は、特に限定されない。傾斜アクチュエータは、例えば、車体を車両左方向又は車両右方向に傾斜させることにより、車体が支持する前操舵輪及び後輪を車体とともに車両左方向又は車両右方向に傾斜させてもよい。傾斜アクチュエータは、例えば、車体に対して機械的に接続された出力部材を有していればよい。出力部材が車体に対して機械的に接続される態様は、例えば、出力部材から車体への動力伝達が可能な態様を含む。傾斜アクチュエータは、例えば、正方向及び逆方向に回転可能な出力部材を有する電気モータである。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両において、向心力発生装置は、出力されるトルクを制御することにより旋回中に傾斜している前操舵輪及び後輪に対して追加の向心力を発生させる向心力発生アクチュエータを含むものであれば、特に限定されない。旋回中に傾斜している前操舵輪及び後輪に発生させる追加の向心力は、例えば、旋回に伴って発生する向心力に追加されることで旋回中に傾斜している前操舵輪及び後輪に発生する向心力をさらに大きくするための向心力である。旋回に伴って発生する向心力は、例えば、旋回中の前操舵輪及び後輪の傾斜に起因して発生する向心力である。旋回中の前操舵輪及び後輪の傾斜に起因して発生する向心力は、旋回中に傾斜アクチュエータが前操舵輪及び後輪を傾斜させることに起因して発生する向心力である。つまり、旋回中に傾斜している前操舵輪及び後輪に発生させる追加の向心力は、旋回中に傾斜アクチュエータが前操舵輪及び後輪を傾斜させることに起因して発生する向心力とは異なる向心力である。
向心力発生アクチュエータが前操舵輪及び後輪に対して追加の向心力を発生させる態様は、特に限定されない。向心力発生アクチュエータは、例えば、最初に前操舵輪及び後輪の何れかに対して追加の向心力を発生させ、その結果として、前操舵輪及び後輪の各々に対して追加の向心力を発生させるものを含む。つまり、向心力発生アクチュエータは、前操舵輪及び後輪の各々に対して追加の向心力を発生させるのにタイムラグが生じるものを含む。
向心力発生アクチュエータは、例えば、前操舵輪及び後輪の何れかに対して機械的に接続された出力部材を有していればよい。出力部材が前操舵輪及び後輪の何れかに対して機械的に接続される態様は、例えば、出力部材から前操舵輪及び後輪の何れかへの動力伝達が可能な態様を含む。向心力発生アクチュエータは、例えば、正方向及び逆方向に回転可能な出力部材を有する電気モータである。
前操舵輪に対して追加の向心力を発生させる場合、向心力発生アクチュエータは、例えば、前操舵輪を車体上下方向に延びる軸線回りに揺動させるためのトルクを前操舵輪に対して付与するものであってもよい。別の表現をすれば、向心力発生アクチュエータは、前操舵輪を車体上下方向に延びる軸線回りに揺動可能に支持する部材に対して当該軸線回りに揺動させるためのトルクを付与するものであってもよい。或いは、操舵される前輪を備える傾斜車両の左右方向である車両左右方向に並ぶ2つの前操舵輪の各々に向心力を発生させる場合、向心力発生アクチュエータは、例えば、当該2つの前操舵輪に対して異なるトルクを付与するものであってもよい。2つの前操舵輪に対して異なるトルクを付与する態様には、例えば、2つの前操舵輪のうち傾斜車両が旋回しているときに内側に位置する前操舵輪に付与するトルクを外側に位置する前操舵輪に付与するトルクよりも小さくする態様が含まれる。2つの前操舵輪に対して異なるトルクを付与する態様は、例えば、2つの前操舵輪の各々を回転させるパワーユニットを用いて実現してもよいし、2つの前操舵輪の各々に制動力を付与するブレーキユニットを用いて実現してもよい。
また、操舵される前輪を備える傾斜車両の左右方向である車両左右方向に並ぶ2つの後輪の各々に向心力を発生させる場合、向心力発生アクチュエータは、例えば、当該2つの後輪に対して異なるトルクを付与するものであってもよい。2つの後輪に対して異なるトルクを付与する態様には、例えば、2つの後輪のうち操舵される前輪を備える傾斜車両が旋回しているときに内側に位置する後輪に付与するトルクを外側に位置する後輪に付与するトルクよりも小さくする態様が含まれる。2つの後輪に対して異なるトルクを付与する態様は、例えば、2つの後輪の各々を回転させるパワーユニットを用いて実現してもよいし、2つの後輪の各々に制動力を付与するブレーキユニットを用いて実現してもよい。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両において、制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに、向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、旋回中の車体の傾斜状態と、前操舵輪及び後輪に発生する向心力とを制御するものであれば、特に限定されない。つまり、制御装置は、傾斜アクチュエータを制御しながら、向心力発生アクチュエータのトルクを制御するものであれば、特に限定されない。制御装置が旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御する態様は、例えば、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作が一定のときに操舵される前輪を備える傾斜車両の車速が変化することに伴って旋回中の車体の傾斜角度が変化する態様を含む。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両が備える制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータの出力部材の位置を制御しているときに、向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、旋回中の車体の傾斜角度と、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力を制御するようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両が備える制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、旋回中の車体の傾斜状態と、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力とを制御するようにしてもよい。
このような態様においては、操舵される前輪を備える傾斜車両を旋回させるための操作を用いて向心力発生アクチュエータのトルクを制御するので、旋回中に2つの前操舵輪及び後輪に発生する向心力をより適切に制御することができる。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両において、旋回操作入力装置は、乗員が揺動操作可能な被操作部材を含んでいてもよい。この場合、制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに、旋回操作入力装置が有する被操作部材の揺動操作角度に基づいて向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、旋回中の車体の傾斜状態と、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力とを制御するようにしてもよい。
旋回操作入力装置が有する被操作部材は、乗員が旋回操作を行う際に用いる部材であれば、特に限定されない。別の表現をすれば、旋回操作入力装置が有する被操作部材は、乗員による旋回のための旋回操作を受け付ける部材であれば、特に限定されない。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両は、操舵される前輪を備える傾斜車両の走行状態に関する物理量を検出する走行状態検出装置をさらに備えていてもよい。この場合、制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに、走行状態検出装置が検出した操舵される前輪を備える傾斜車両の走行状態に基づいて向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、旋回中の車体の傾斜状態と、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力とを制御するようにしてもよい。
このような態様においては、操舵される前輪を備える傾斜車両の旋回中の走行状態を用いて向心力発生アクチュエータのトルクを制御するので、旋回中に2つの前操舵輪及び後輪に発生する向心力をより適切に制御することができる。
或いは、制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作と、走行状態検出装置が検出した操舵される前輪を備える傾斜車両の走行状態とに基づいて向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、旋回中の車体の傾斜状態と、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力とを制御するようにしてもよい。
このような態様においては、操舵される前輪を備える傾斜車両を旋回させるための操作と、操舵される前輪を備える傾斜車両の旋回中の走行状態とを用いて、向心力発生アクチュエータのトルクを制御するので、旋回中に2つの前操舵輪及び後輪に発生する向心力をより適切に制御することができる。
操舵される前輪を備える傾斜車両の走行状態に関する物理量は、操舵される前輪を備える傾斜車両の走行状態の検出に寄与する物理量であれば、特に限定されない。
上記走行状態検出装置は、操舵される前輪を備える傾斜車両の走行状態に関する物理量として、以下の(1)、(2)及び(3)の何れかを検出するものであってもよい。
(1)車体の傾斜角度に関する物理量
(2)操舵される前輪を備える傾斜車両の車速に関する物理量
(3)車体の車両左右方向の加速度である横方向加速度に関する物理量
車体の傾斜角度に関する物理量は、車体の傾斜角度の検出に寄与する物理量であれば、特に限定されない。車速に関する物理量は、車速の検出に寄与する物理量であれば、特に限定されない。横方向加速度に関する物理量は、横方向加速度の検出に寄与する物理量であれば、特に限定されない。
上記走行状態検出装置は、横方向加速度検出装置であってもよい。横方向加速度検出装置は、車体の車両左右方向の加速度である横方向加速度に関する物理量を検出する。なお、横方向加速度に関する物理量は、車体の車両左右方向の加速度である横方向加速度の検出に寄与する物理量であれば、特に限定されない。横方向加速度検出装置は、例えば、静電容量型であってもよいし、ピエゾ抵抗型であってもよいし、圧電型であってもよい。横方向加速度検出装置が圧電型である場合、横方向加速度に関する物理量は、圧電体に力を加えたときに発生する電圧である。なお、横方向加速度検出装置は、例えば、慣性計測装置(IMU)によって実現してもよい。
上記横方向加速度検出装置を有する、操舵される前輪を備える傾斜車両が備える制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに、横方向加速度検出装置が検出した横方向加速度に基づいて向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、旋回中の車体の傾斜状態と、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力とを制御するようにしてもよい。
このような態様においては、操舵される前輪を備える傾斜車両の旋回中に発生する慣性力と関係がある横方向加速度を用いて向心力発生アクチュエータのトルクを制御するので、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力をより適切に制御することができる。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両において、接地領域と、ZMP位置とを定義するようにしてもよい。接地領域は、前操舵輪及び後輪がそれぞれ路面に接する位置を結ぶ複数の線分によって規定される領域である。つまり、操舵される前輪を備える傾斜車両が三輪車である場合、操舵される前輪を備える傾斜車両の上方向又は下方向に見て、接地領域は三角形である。操舵される前輪を備える傾斜車両が四輪車である場合、操舵される前輪を備える傾斜車両の上方向又は下方向に見て、接地領域は四角形である。ZMP位置は、操舵される前輪を備える傾斜車両の重心に対して作用する重力と操舵される前輪を備える傾斜車両の重心に対して作用する慣性力との合力の方向に平行かつ操舵される前輪を備える傾斜車両の重心を通過する仮想直線が路面と交差する位置である。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両が備える制御装置は、ZMP位置が接地領域内に存在するように、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに、向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、旋回中の車体の傾斜状態と、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力とを制御するようにしてもよい。
このような態様においては、ZMP位置と接地領域との関係を考慮しながら、向心力発生アクチュエータのトルクを制御するので、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力をより適切に制御することができる。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両は、横方向加速度検出装置または前後方向加速度検出装置をさらに備えていてもよい。ここで、横方向加速度検出装置は、車体の車両左右方向の加速度である横方向加速度に関する物理量を検出する。前後方向加速度検出装置は、車体の車両前後方向の加速度である前後方向加速度に関する物理量を検出する。
横方向加速度に関する物理量は、車体の車両左右方向の加速度である横方向加速度の検出に寄与する物理量であれば、特に限定されない。横方向加速度検出装置は、例えば、静電容量型であってもよいし、ピエゾ抵抗型であってもよいし、圧電型であってもよい。横方向加速度検出装置が圧電型である場合、横方向加速度に関する物理量は、圧電体に力を加えたときに発生する電圧である。なお、横方向加速度検出装置は、例えば、慣性計測装置(IMU)によって実現してもよい。
前後方向加速度に関する物理量は、車体の車両前後方向の加速度である前後方向加速度の検出に寄与する物理量であれば、特に限定されない。前後方向加速度検出装置は、例えば、静電容量型であってもよいし、ピエゾ抵抗型であってもよいし、圧電型であってもよい。前後方向加速度検出装置が圧電型である場合、前後方向加速度に関する物理量は、圧電体に力を加えたときに発生する電圧である。なお、前後方向加速度検出装置は、例えば、慣性計測装置(IMU)によって実現してもよい。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両が備える制御装置は、ZMP位置が接地領域内に存在するように、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに、横方向加速度検出装置が検出した横方向加速度または前後方向加速度検出装置が検出した前後方向加速度に基づいて向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、旋回中の車体の傾斜状態と、前操舵輪及び後輪に発生する向心力とを制御するようにしてもよい。
このような態様においては、操舵される前輪を備える傾斜車両の重心に作用する慣性力と関係がある(つまり、ZMP位置に影響を与える)横方向加速度または前後方向加速度を用いて向心力発生アクチュエータのトルクを制御しているので、ZMP位置と接地領域との関係を考慮しながら、旋回中に前操舵輪及び後輪に発生する向心力をより適切に制御することができる。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両が備える制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作が一定状態の旋回中に車速を変化させた場合、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに、向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、車体の傾斜角度が変化しないで前操舵輪及び後輪に発生する向心力が変化するように、または、車体の傾斜角度が変化して前操舵輪及び後輪に発生する向心力が変化しないように制御するようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両が備える制御装置は、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に対応する旋回中の車体の傾斜角度が所定の制限傾斜角度である場合、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータを制御しているときに、向心力発生アクチュエータのトルクを制御して、車体の傾斜角度が変化しないで前操舵輪及び後輪に発生する向心力が増加するように制御してもよい。所定の制限傾斜角度は、例えば、ある車速で走行しているときの最大傾斜角度である。所定の制限傾斜角度は、例えば、傾斜車両の車速に応じて変化してもよい。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両が備える傾斜アクチュエータは、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作が車両左方向に旋回させるための旋回操作である場合にその出力部材を第1回転方向に回転させて車体を車両左方向に傾斜させ、旋回操作入力装置に入力されている旋回操作が車両右方向に旋回させるための旋回操作である場合にその出力部材を第2回転方向に回転させて車体を車両右方向に傾斜させる傾斜回転電機であってもよい。
本発明の一実施形態に係る操舵される前輪を備える傾斜車両が備える向心力発生アクチュエータは、以下の(a)、(b)、(c)、(a)及び(b)、(a)及び(c)、(b)及び(c)、または、(a)及び(b)及び(c)の何れかである。
(a)前操舵輪に機械的に接続され、その出力部材を第3回転方向に回転させて前操舵輪を第5回転方向に揺動させるトルクを付与し、その出力部材を第4回転方向に回転させて前操舵輪を第6回転方向に揺動させるトルクを付与する前操舵輪操舵回転電機。
(b)前操舵輪または後輪のうち左車輪及び右車輪で構成される2つの車輪に異なるトルクを付与するパワーユニット。
(c)前操舵輪または後輪のうち左車輪及び右車輪で構成される2つの車輪に異なるトルクを付与するブレーキユニット。
この発明の上述の目的及びその他の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面に関連して行われる以下のこの発明の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
本明細書にて使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は1つの、又は複数の関連した列挙されたアイテム(items)のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。
本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」、「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。
本発明の説明においては、技術及び工程の数が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせの全てを繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び特許請求の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
本発明によれば、乗員による旋回操作が機械的に伝達されて前操舵輪が揺動しないように構成された旋回操作入力装置を備えた、操舵される前輪を備える傾斜車両の旋回に対するロバスト性をより高めることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態による操舵される前輪を備える傾斜車両の詳細について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、あくまでも一例である。本発明は、以下に説明する実施の形態によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
図1を参照しながら、本発明の実施の形態による操舵される前輪を備える傾斜車両としての傾斜車両10について説明する。図1は、傾斜車両10の左側面図と傾斜車両10が備える制御装置30のブロック図とを併せて示す図面である。
本明細書では、傾斜車両10における各種の方向を、以下のように定義する。
傾斜車両10の前方向を車両前方向Fと定義する。傾斜車両10の後方向を車両後方向Bと定義する。傾斜車両10の左方向を車両左方向Lと定義する。傾斜車両10の右方向を車両右方向Rと定義する。傾斜車両10の上方向を車両上方向Uと定義する。傾斜車両10の下方向を車両下方向Dと定義する。傾斜車両10の前後方向を車両前後方向FBと定義する。傾斜車両10の左右方向を車両左右方向LRと定義する。傾斜車両10の上下方向を車両上下方向UDと定義する。なお、傾斜車両10の前後上下左右は、傾斜車両10のシート123に着座した乗員から見た前後上下左右である。
傾斜車両10では、車体12が車両左方向L又は車両右方向Rに傾斜できる。車体12が車両左方向L又は車両右方向Rに傾斜している場合、車体12の上下方向及び左右方向は、傾斜車両10の上下方向UD及び左右方向LRと一致しない。一方、直立状態の車体12の上下方向及び左右方向は、傾斜車両10の上下方向UD及び左右方向LRと一致する。
傾斜車両10では、車体12の前方向を車体前方向fと定義する。車体12の後方向を車体後方向bと定義する。車体12の左方向を車体左方向lと定義する。車体12の右方向を車体右方向rと定義する。車体12の上方向を車体上方向uと定義する。車体12の下方向を車体下方向dと定義する。車体12の前後方向を車体前後方向fbと定義する。車体12の左右方向を車体左右方向lrと定義する。車体12の上下方向を車体上下方向udと定義する。
図1を参照して、傾斜車両10は、車体12と、複数の車輪14と、懸架装置16と、旋回操作入力装置18と、操舵機構22と、傾斜角度検出装置24と、横方向加速度検出装置26と、制御装置30とを備える。
車体12は、傾斜車両10が車両左方向Lに旋回するときに車両左方向Lに傾斜し、傾斜車両10が車両右方向Rに旋回するときに車両右方向Rに傾斜する。車体12は、複数の車輪14を支持する。
車体12は、車体フレーム121、車体カバー122及びシート123を含む。以下、これらについて説明する。
車体フレーム121は、ヘッドパイプ1211を含む。ヘッドパイプ1211は、車体フレーム121の前端部に設けられている。
ここで、傾斜車両10は、パワーユニット40をさらに備える。パワーユニット40は、例えば、エンジン或いは電気モータ等の駆動源と、変速機等を含む。なお、駆動源は、例えば、エンジン及び電気モータを有するハイブリッドタイプの駆動源であってもよい。パワーユニット40は、車体フレーム121によって支持されている。
車体カバー122は、車体フレーム121に取り付けられる。車体カバー122は、車体フレーム121を覆う。
シート123は、車体フレーム121によって支持される。シート123は、傾斜車両10の乗員が着座するものである。
複数の車輪14は、2つの前操舵輪14Fと、1つの後輪14Rとを含む。以下、これらについて説明する。
2つの前操舵輪14Fは、車両左右方向LRに並んで配置される。つまり、2つの前操舵輪14Fは、車両左右方向LRに並んで配置される左右一対の車輪である。2つの前操舵輪14Fは、左前操舵輪14FLと、右前操舵輪14FRとを含む。2つの前操舵輪14Fは、車体上下方向udに延びる軸線CL1回りに揺動可能な状態で、車体12が有するヘッドパイプ1211に支持される。
1つの後輪14Rは、車体12に支持される。具体的には、1つの後輪14Rは、スイングアーム式のサスペンションによって車体フレーム121に支持される。1つの後輪14Rは、車体12に支持された状態では、車体上下方向に延びる軸線回りに揺動しない。
1つの後輪14Rには、パワーユニット40の駆動力が伝達される。これにより、1つの後輪14Rが回転する。その結果、傾斜車両10が走行する。つまり、傾斜車両10の駆動輪は、1つの後輪14Rである。
懸架装置16は、2つの前操舵輪14F(つまり、左右一対の車輪)を車体12に対して車体上下方向udに変位可能な状態で支持する。懸架装置16は、車体フレーム121が有するヘッドパイプ1211と、2つの前操舵輪14Fとの間に配置される。つまり、車体フレーム121が有するヘッドパイプ1211と、2つの前操舵輪14Fとは、懸架装置16を介して接続される。なお、懸架装置16の詳細については、後述する。
旋回操作入力装置18は、乗員による旋回のための操作である旋回操作を受け付ける。旋回操作入力装置18は、乗員が操作可能な被操作部材としてのハンドルバー181を含む。ハンドルバー181は、乗員が傾斜車両10を旋回させる際に操作するものである。つまり、ハンドルバー181は、乗員による旋回操作を受け付けるものである。
旋回操作入力装置18は、乗員による旋回操作が機械的に伝達されて2つの前操舵輪14Fが軸線CL1回りに揺動しないように構成されている。具体的には、ハンドルバー181は、2つの前操舵輪14Fに対して機械的に接続されていない。つまり、ハンドルバー181から2つの前操舵輪14Fに動力は伝達されない。
旋回操作入力装置18は、旋回操作検出装置182をさらに含む。旋回操作検出装置182は、ハンドルバー181の操作方向及び操作量を検出する。旋回操作検出装置182は、検出したハンドルバー181の操作方向及び操作量を制御装置30に入力する。旋回操作検出装置182は、ハンドルバー181の操作方向及び操作量を検出することができるものであれば、特に限定されない。旋回操作検出装置182は、例えば、ハンドルバー181の操作方向及び操作量を非接触で検出する。旋回操作検出装置182は、例えば、エンコーダ等によって実現される。
図2を参照しながら、懸架装置16について説明する。図2は、懸架装置16及び操舵機構22の概略構成を示す模式図である。
懸架装置16は、傾斜装置として機能する。懸架装置16は、リーン機構161と、傾斜アクチュエータ162と、左サスペンション163Lと、右サスペンション163Rとを含む。
リーン機構161は、パラレログラムリンク方式のリーン機構である。リーン機構161は、上アーム1611と、下アーム1612と、左部材1613と、右部材1614とを含む。
上アーム1611及び下アーム1612は、それぞれ、車体前後方向fbに延びる回転中心軸線回りに回転可能な状態で、車体フレーム121に支持されている。上アーム1611及び下アーム1612は、それぞれ、車体フレーム121が有するヘッドパイプ1211に対して回転可能に接続されている。
左部材1613は、車体前後方向fbに延びる回転中心軸線回りに回転可能な状態で、上アーム1611及び下アーム1612の各々の左端部に支持されている。つまり、左部材1613は、上アーム1611及び下アーム1612のうち各々の回転中心軸線(ヘッドパイプ1211に対する回転中心軸線)よりも左に位置する部分に対して回転可能に接続されている。左部材1613の下端部には、ブラケットを介して、左サスペンション163Lが接続されている。左サスペンション163Lは、車体上下方向udに伸縮可能である。左サスペンション163Lには、左前操舵輪14FLが回転可能に接続されている。
右部材1614は、車体前後方向fbに延びる回転中心軸線回りに回転可能な状態で、上アーム1611及び下アーム1612の各々の右端部に支持されている。つまり、右部材1614は、上アーム1611及び下アーム1612のうち各々の回転中心軸線(ヘッドパイプ1211に対する回転中心軸線)よりも右に位置する部分に対して回転可能に接続されている。右部材1614の下端部には、ブラケットを介して、右サスペンション163Rが接続されている。右サスペンション163Lは、車体上下方向udに伸縮可能である。右サスペンション163Rには、右前操舵輪14FRが回転可能に接続されている。
上記のように、上アーム1611及び下アーム1612のうち各々の回転中心軸線よりも左に位置する部分には、左部材1613及び左サスペンション163Lを介して、左前操舵輪14FLが回転可能に接続されている。また、上アーム1611及び下アーム1612のうち各々の回転中心軸線よりも右に位置する部分には、右部材1614及び右サスペンション163Rを介して、右前操舵輪14FRが回転可能に接続されている。これにより、上アーム1611及び下アーム1612が各々の回転中心軸線回りに回転すると、左前操舵輪14FL及び右前操舵輪14FRの車体フレーム121に対する車体上下方向udの相対位置が変化する。左前操舵輪14FL及び右前操舵輪14FRの車体フレーム121に対する車体上下方向udの相対位置が変化すると、車体フレーム121が車両左右方向LRに傾斜する。つまり、上アーム1611及び下アーム1612の車体フレーム121に対する回転を制御することにより、車体フレーム121の車両左方向L又は車両右方向Rへの傾斜(すなわち、傾斜角度)を制御することができる。
傾斜アクチュエータ162は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に応じて、上アーム1611及び下アーム1612の何れかを車体フレーム12(より具体的には、ヘッドパイプ1211)に対して回転させる。傾斜アクチュエータ162は、例えば、傾斜回転電機である。傾斜回転電機は、例えば、車体フレーム12に取り付けられる。傾斜回転電機は、例えば、上アーム1611及び下アーム1612の何れかに対して機械的に接続された出力部材を正方向及び逆方向に回転可能な電気モータである。出力部材は、例えば、電気モータのロータに設けられた出力軸である。傾斜アクチュエータ162の制御には、例えば、傾斜アクチュエータ162の出力部材の位置を制御する位置制御が用いられる。
傾斜アクチュエータ162の出力が上アーム1611及び下アーム1612の何れかに伝達されることにより、上アーム1611及び下アーム1612の何れかが車体フレーム12(より具体的には、ヘッドパイプ1211)に対して回転する。これにより、左前操舵輪14FL及び右前操舵輪14FRの車体フレーム121に対する車体上下方向udの相対位置が変化する。その結果、車体フレーム121が車両左方向L又は車両右方向Rに傾斜する。つまり、車体12が車両左方向L又は車両右方向Rに傾斜する。
具体的には、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作が傾斜車両10を車両左方向Lに旋回させるための旋回操作である場合、傾斜アクチュエータ162は上アーム1611及び下アーム1612の何れかを車体フレーム12(より具体的には、ヘッドパイプ1211)に対して第1回転方向に回転させる。これにより、左前操舵輪14FL及び右前操舵輪14FRの車体フレーム121に対する車体上下方向udの相対位置が変化し、左前操舵輪14FLが車体上下方向udにおいて右前操舵輪14FRよりも上方に位置する。その結果、車体フレーム121、つまり、車体12が車両左方向Lに傾斜する。
また、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作が傾斜車両10を車両右方向Rに旋回させるための旋回操作である場合、傾斜アクチュエータ162は上アーム1611及び下アーム1612の何れかを車体フレーム12(より具体的には、ヘッドパイプ1211)に対して第2回転方向(第1回転方向とは逆方向)に回転させる。これにより、左前操舵輪14FL及び右前操舵輪14FRの車体フレーム121に対する車体上下方向udの相対位置が変化し、右前操舵輪14FRが車体上下方向udにおいて左前操舵輪14FLよりも上方に位置する。その結果、車体フレーム121、つまり、車体12が車両右方向Rに傾斜する。
上述の説明から明らかなように、傾斜回転電機である傾斜アクチュエータ162は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作が傾斜車両10を車両左方向Lに旋回させるための旋回操作である場合に、その出力部材を第1回転方向に回転させて、車体12を車両左方向Lに傾斜させる。傾斜回転電機である傾斜アクチュエータ162は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作が傾斜車両10を車両右方向Rに旋回させるための旋回操作である場合に、その出力部材を第2回転方向に回転させて、車体12を車両右方向Rに傾斜させる。
上述の説明から明らかなように、傾斜アクチュエータ162は、2つの前操舵輪14Fを車体12とともに車両左方向L又は車両右方向Rに傾斜させる。また、1つの後輪14Rは車体フレーム121に支持されているので、傾斜アクチュエータ162が2つの前操舵輪14Fを車体12とともに車両左方向L又は車両右方向Rに傾斜させる際に、1つの後輪14Rは2つの前操舵輪14及び車体12とともに車両左方向L又は車両右方向Rに傾斜する。つまり、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作が傾斜車両10を車両左方向Lに旋回させるための旋回操作である場合、傾斜アクチュエータ162は、車体12、2つの前操舵輪14及び1つの後輪14Rを車両左方向Lに傾斜させる。旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作が傾斜車両10を車両右方向Rに旋回させるための旋回操作である場合、傾斜アクチュエータ162は、車体12、2つの前操舵輪14及び1つの後輪14Rを車両右方向Rに傾斜させる。
図1を参照して、操舵機構22について説明する。操舵機構22は、2つの前操舵輪14Fに対して軸線CL1回りのトルクを付与する。これにより、2つの前操舵輪14Fが軸線CL1回りに揺動する。操舵機構22による2つの前操舵輪14Fへのトルク付与は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて行われる。
図2を参照しながら、操舵機構22について説明する。操舵機構22は、向心力発生装置として機能する。操舵機構22は、操舵アクチュエータ221と、ステアリングシャフト222と、タイロッド223とを含む。
操舵アクチュエータ221は、向心力発生アクチュエータとして機能する。操舵アクチュエータ221は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に応じて、ステアリングシャフト222を回転させる。操舵アクチュエータ221は、例えば、ステアリングシャフト222に対して機械的に接続された出力部材を回転させる。操舵アクチュエータ221は、例えば、前操舵輪操舵回転電機である。前操舵輪操舵回転電機は、例えば、ステアリングシャフト222に対して機械的に接続された出力部材を正方向及び逆方向に回転可能な電気モータである。出力部材は、例えば、電気モータのロータに設けられた出力軸である。操舵アクチュエータ221の制御には、操舵アクチュエータ221の出力トルクを制御するトルク制御が用いられる。
ステアリングシャフト222は、車体フレーム121が有するヘッドパイプ1211に挿入された状態で配置されている。ステアリングシャフト222は、ヘッドパイプ1211に対して相対回転可能である。ステアリングシャフト222は、ハンドルバー181に対して機械的に接続されていない。つまり、ハンドルバー181に対する乗員の旋回操作がステアリングシャフト222に対して機械的に伝達されることはない。
タイロッド223は、ステアリングシャフト222の回転を2つの前操舵輪14Fに伝達する。タイロッド223の中央部は、ステアリングシャフト222の下端部に対して機械的に接続されている。タイロッド223の左端部は、左サスペンション163Lに対して機械的に接続されている。タイロッド223の右端部は、右サスペンション163Rに対して機械的に接続されている。
タイロッド223は、ステアリングシャフト222が回転するときに、その姿勢を維持しながら、ステアリングシャフト222が回転する方向に向かって移動する。このとき、タイロッド222の左端部の動きは、左サスペンション163Lを介して、左前操舵輪14FLに伝達される。これにより、左前操舵輪14FLが軸線CL1回りに揺動する。同様に、タイロッド222の右端部の動きは、右サスペンション163Rを介して、右前操舵輪14FRに伝達される。これにより、右前操舵輪14FRが軸線CL1回りに揺動する。
操舵機構22は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて、2つの前操舵輪14Fに対して軸線CL1回りのトルクを付与し、2つの前操舵輪14Fを軸線CL1回りに揺動させる。
具体的には、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作が傾斜車両10を車両左方向Lに旋回させるための旋回操作である場合、操舵アクチュエータ221は、ステアリングシャフト222を第3回転方向に回転させる。このとき、タイロッド223がステアリングシャフト222の回転を2つの前操舵輪14Fに伝達する。その結果、2つの前操舵輪14Fが軸線CL1回りに回転する。2つの前操舵輪14Fが回転する方向は、第5回転方向である。第5回転方向は、傾斜車両10を車両左方向Lに旋回させる方向である。
また、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作が傾斜車両10を車両右方向Rに旋回させるための旋回操作である場合、操舵アクチュエータ221は、ステアリングシャフト222を第4回転方向に回転させる。なお、第4回転方向は、第3回転方向を正方向とした場合、正方向とは反対の方向(つまり、逆方向)である。操舵アクチュエータ221がステアリングシャフト222を第4回転方向に回転させるとき、タイロッド223がステアリングシャフト222の回転を2つの前操舵輪14Fに伝達する。その結果、2つの前操舵輪14Fが軸線CL1回りに回転する。2つの前操舵輪14Fが回転する方向は、第6回転方向である。第6回転方向は、傾斜車両10を車両右方向Rに旋回させる方向である。なお、第6回転方向は、第5回転方向を正方向とした場合、正方向とは反対の方向(つまり、逆方向)である。
上述の説明から明らかなように、前操舵輪操舵回転電機である操舵アクチュエータ221は、その駆動力が2つの前操舵輪14Fに伝達されるように、2つの前操舵輪14Fに対して機械的に接続されている。前操舵輪操舵回転電機である操舵アクチュエータ221は、その出力部材を第3回転方向に回転させて2つの前操舵輪14を第5回転方向に揺動させるトルクを付与する。前操舵輪操舵回転電機である操舵アクチュエータ221は、その出力部材を第4回転方向に回転させて2つの前操舵輪14を第6回転方向に揺動させるトルクを付与する。
図1を参照して、走行状態検出装置としての傾斜角度検出装置24は、車体12の傾斜角度を検出する。車体12の傾斜角度は、車体12が直立状態から車両左右方向LRに傾いたときの角度である。傾斜角度検出装置24は、検出した車体12の傾斜角度を制御装置30に入力する。傾斜角度検出装置24は、例えば、エンコーダ等によって実現してもよいし、慣性計測装置(IMU)によって実現してもよい。
走行状態検出装置としての横方向加速度検出装置26は、横方向加速度に関する物理量を検出する。横方向加速度は、車体12の車両左右方向LRの加速度である。横方向加速度検出装置26は、検出した横方向加速度を制御装置30に入力する。横方向加速度検出装置26は、例えば、一般的な加速度センサによって実現してもよいし、慣性計測装置(IMU)によって実現してもよい。
制御装置30は、傾斜アクチュエータ201及び操舵アクチュエータ221を制御する。本実施の形態では、制御装置30は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201を制御しながら、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作と、走行状態検出装置が検出した傾斜車両10の走行状態とに基づいて、操舵アクチュエータ221のトルクを制御する。具体的には、制御装置30は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201の出力部材の位置を制御しながら、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作と、傾斜角度検出装置24が検出した車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26が検出した横方向加速度とに基づいて、操舵アクチュエータ221のトルクを制御する。より具体的には、制御装置30は、後述するZMP位置P1が所定の範囲内に存在するように、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201の出力部材の位置を制御しながら、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作と、傾斜角度検出装置24が検出した車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26が検出した横方向加速度とに基づいて、操舵アクチュエータ221のトルクを制御する。これにより、制御装置30は、傾斜車両10が旋回しているときの車体12の傾斜状態と、傾斜車両10が旋回しているときに2つの前操舵輪14及び1つの後輪14Rに発生する向心力とを制御する。
制御装置30は、例えば、ECU(Electric Control Unit)である。ECUは、例えば、IC(Integrated Circuit)、電子部品、回路基板等の組み合わせによって実現される。
制御装置30は、旋回操作指示値取得部31と、操舵アクチュエータ制御部32と、傾斜アクチュエータ制御部33とを含む。旋回操作指示値取得部31、操舵アクチュエータ制御部32、及び、傾斜アクチュエータ制御部33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)が不揮発性のメモリに記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムに従って所定の処理を実行すること等によって実現される。
旋回操作指示値取得部31は、旋回操作入力装置18が有する旋回操作検出装置182から入力されたハンドルバー181の操作方向及び操作量に基づいて、旋回操作指示値を取得する。旋回操作指示値は、乗員による旋回操作の内容を示している。旋回操作指示値は、傾斜車両10の旋回に際して傾斜アクチュエータ201及び操舵アクチュエータ221を制御するための指示値である。旋回操作指示値は、複数種類の指示値を含んでいてもよい。旋回操作指示値は、傾斜車両10が旋回しているときの車体12の傾斜状態を示す傾斜指示値と、傾斜車両10が旋回しているときの旋回方向及び旋回量を示す操舵指示値とを含む。旋回操作指示値取得部31は、傾斜指示値取得部311と、操舵指示値取得部312とを含む。
傾斜指示値取得部311は、入力されたハンドルバー181の操作方向及び操作量に基づいて、傾斜車両10が旋回しているときの車体12の傾斜状態を示す傾斜指示値を取得する。傾斜指示値は、傾斜車両10の旋回に際して傾斜アクチュエータ201を制御するための指示値である。傾斜指示値は、例えば、傾斜車両10が旋回しているときの車体12の傾斜角度を示す。傾斜指示値取得部311による傾斜指示値の取得は、例えば、図示しないメモリに格納されている参照テーブルを用いて、入力されたハンドルバー181の操作方向及び操作量に対応する傾斜指示値を選択して取得することで実現してもよい。傾斜指示値の取得に際して用いる参照テーブルの一例を、表1に示す。傾斜指示値の取得に際して用いる参照テーブルは、例えば、傾斜車両10の車速に応じて変更してもよい。傾斜指示値の取得に際して用いる参照テーブルは、例えば、旋回操作指示値取得部31が取得した旋回操作指示値と所定の基準指示値との関係に応じて変更してもよい。傾斜指示値取得部311による傾斜指示値の取得は、例えば、演算によって実現してもよい。
操舵指示値取得部312は、入力されたハンドルバー181の操作方向及び操作量に基づいて、傾斜車両10が旋回しているときの旋回方向及び旋回量を示す操舵指示値を取得する。操舵指示値は、傾斜車両10の旋回に際して操舵アクチュエータ221を制御するための指示値である。操舵指示値は、例えば、操舵アクチュエータ221の出力トルクを示すトルク指示値を含む。操舵指示値取得部312による操舵指示値の取得は、例えば、図示しないメモリに格納されている参照テーブルを用いて、入力されたハンドルバー181の操作方向及び操作量に対応する操舵指示値を選択して取得することで実現される。操舵指示値の取得に際して用いる参照テーブルは、例えば、傾斜車両10の車速に応じて変更してもよい。操舵指示値の取得に際して用いる参照テーブルは、例えば、旋回操作指示値取得部31が取得した旋回操作指示値と所定の基準指示値との関係に応じて変更してもよい。操舵指示値取得部312による操舵指示値の取得は、例えば、演算によって実現してもよい。
操舵指示値取得部312は、旋回操作指示値判定部3121と、操舵アクチュエータ出力トルク算出部3122とを含む。以下、これらについて説明する。
旋回操作指示値判定部3121は、旋回操作指示値取得部31が取得した旋回操作指示値が所定の基準指示値と比べて大きいか否かを判定する。ここで、所定の基準指示値は、傾斜車両10の旋回中に操舵アクチュエータ221が2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに対して追加の向心力を発生させるか否かを判断するための基準を示す。所定の基準指示値は、例えば、図示しないメモリに格納されている。
旋回操作指示値取得部31が取得した旋回操作指示値が所定の基準指示値と比べて大きい場合、車体12の傾斜角度はある傾斜角度に制限される。この傾斜角度を、制限傾斜角度とする。制限傾斜角度は、例えば、ある車速で走行しているときの最大傾斜角度である。制限傾斜角度は、例えば、傾斜車両の車速に応じて変化してもよい。
操舵アクチュエータ出力トルク算出部3122は、目標ZMP位置設定部312Aと、ZMP位置算出部312Bとを含む。以下、これらについて説明する。
目標ZMP位置設定部312Aは、旋回操作指示値取得部31が取得した旋回操作指示値と所定の基準指示値との関係に応じて、目標となるZMP位置としての目標ZMP位置を設定する。目標ZMP位置設定部312Aは、例えば、参照テーブルを用いて取得したZMP位置を目標ZMP位置として設定してもよい。当該参照テーブルの一例を、表2に示す。目標ZMP位置設定部312Aは、例えば、旋回操作指示値取得部31が取得した旋回操作指示値と所定の基準指示値との関係に応じて、複数の参照テーブルを使い分けてもよい。目標ZMP位置設定部312は、例えば、演算によって取得したZMP位置を目標ZMP位置として設定してもよい。目標ZMP位置設定部312Aは、例えば、旋回操作指示値取得部31が取得した旋回操作指示値と所定の基準指示値との関係に応じて、目標ZMP位置を所定の基準位置に設定してもよい。
図3を参照しながら、ZMP位置P1及び目標ZMP位置P2について説明する。図3は、ZMP位置P1及び目標ZMP位置P2を説明するための概念図である。
ZMP位置P1は、仮想直線VL1が路面Rsと交差する位置である。仮想直線VL1は、傾斜車両10の重心Gに対して作用する重力Fgと傾斜車両10の重心Gに対して作用する慣性力Fiとの合力Frの方向に平行かつ傾斜車両10の重心Gを通過する直線である。
ZMP位置P1は、乗員による旋回操作が追加の向心力Fc2を発生させるものではない場合、所定の基準位置P0に存在する。つまり、ZMP位置P1は、乗員による旋回操作が追加の向心力Fc2を発生させるものではない場合、車体12の傾斜角度が変化しても移動しない。別の表現をすれば、ZMP位置P1は、乗員による旋回操作が追加の向心力Fc2を発生させるものではない場合、慣性力Fiの大きさ及び方向に応じて移動しない。所定の基準位置P0は、例えば、傾斜車両10の車体12が直立状態であるときに仮想直線VL1が路面Rsと交差する位置である。
ここで、追加の向心力Fc2は、操舵アクチュエータ221が発生させる。本実施の形態では、追加の向心力Fc2は、傾斜車両10の旋回中に操舵アクチュエータ221が2つの前操舵輪14Fの操舵角度をさらに大きくすることで発生する。追加の向心力Fc2の大きさは、傾斜車両10の旋回中に操舵アクチュエータ221が2つの前操舵輪14Fの操舵角度を変化させることで調整される。
追加の向心力Fc2は、傾斜車両10の旋回に伴って2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力Fc1と同じ方向に作用する向心力である。つまり、追加の向心力Fc2は、傾斜車両10の旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力Fcを大きくするものである。
傾斜車両10の旋回に伴って2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力Fc1は、後述する慣性力Fi1の発生に寄与する。傾斜車両10の旋回に伴って2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力Fc1の大きさ及び方向は、車体12の傾斜角度に依存する。
追加の向心力Fc2は、追加の慣性力Fi2の発生に寄与する。追加の慣性力Fi2は、傾斜車両10の旋回に伴って発生する慣性力Fi1と同じ方向に作用する慣性力である。つまり、追加の慣性力Fi2は、旋回中の傾斜車両10の重心Gに作用する慣性力Fiを大きくするものである。傾斜車両10の旋回に伴って発生する慣性力Fi1は、旋回中の傾斜車両10の重心Gに作用する重力Fgと車体12の傾斜角度との関係に基づいて規定される。
ZMP位置P1は、乗員による旋回操作が追加の向心力Fc2を発生させるものである場合、所定の基準位置P0から離れた位置に存在する。つまり、ZMP位置P1は、乗員による旋回操作が追加の向心力Fc2を発生させるものである場合、慣性力Fiの大きさ及び方向に応じて移動する。別の表現をすれば、ZMP位置P1は、乗員による旋回操作が追加の向心力Fc2を発生させるものである場合、慣性力Fiと関係のある横方向加速度の大きさ及び方向に応じて移動する。要するに、ZMP位置P1は、乗員による旋回操作が追加の向心力Fc2を発生させるものである場合、乗員による旋回操作の内容に応じて移動する。
目標ZMP位置P2は、乗員による旋回操作に伴ってZMP位置P1が移動するときの当該ZMP位置P1の移動先の位置を示す。目標ZMP位置P2は、乗員による旋回操作の内容に応じて設定される。
ZMP位置P1を目標ZMP位置P2に移動させるためには、慣性力Fiを変化させる必要がある。ZMP位置P1を目標ZMP位置P2に移動させる場合としては、例えば、以下の(A)、(B)及び(C)に示す場合などがある。
(A)乗員による旋回操作に基づいて追加の向心力Fc2を発生させる場合
(B)乗員による旋回操作に起因して発生している追加の向心力Fc2を大きくする場合
(C)乗員による旋回操作に起因して発生している追加の向心力Fc2を小さくする場合
上記(A)及び(B)の場合、ZMP位置P1は所定の基準位置P0から離れる方向に移動する。つまり、追加の向心力Fc2を新たに発生させる場合又は既に発生している追加の向心力Fc2を大きくする場合、ZMP位置P1は所定の基準位置P0から離れる方向に移動する。
上記(C)の場合、ZMP位置P1は所定の基準位置P0に近づく方向に移動する。つまり、既に発生している追加の向心力Fc2を小さくする場合、ZMP位置P1は所定の基準位置P0に近づく方向に移動する。
ZMP位置P1を目標ZMP位置P2に移動させる場合の一例として、図3に示すように、上記(A)の場合を考える。この場合、ZMP位置P1を目標ZMP位置P2に移動させるためには、慣性力Fiを大きくする必要がある。具体的には、傾斜車両10の旋回に伴って発生している慣性力Fi1に対して、慣性力Fi1と同じ方向に作用する追加の慣性力Fi2が加わるようにする必要がある。
慣性力Fiを大きくするには、傾斜車両10の旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力Fcを大きくする必要がある。具体的には、傾斜車両10の旋回に伴って発生している向心力Fc1に対して、向心力Fc1と同じ方向に作用する追加の向心力Fc2が加わるようにする必要がある。
このような追加の向心力Fc2を発生させるために、操舵アクチュエータ221が制御される。具体的には、傾斜車両10の旋回中に2つの前操舵輪14Fの操舵角度をさらに大きくするように、操舵アクチュエータ221が制御される。
目標ZMP位置設定部312Aは、乗員による旋回操作に伴ってZMP位置P1が移動しても、ZMP位置P1が所定の範囲内に存在するように、目標ZMP位置P2を設定する。本実施の形態では、ZMP位置P1及び目標ZMP位置P2は、例えば、車両左右方向LRに延びる直線上の座標で表すことができる。
ZMP位置P1及び目標ZMP位置P2が車両左右方向LRに延びる直線上の座標で表される場合、目標ZMP位置P2は車両左右方向LRに延びる直線上の所定の範囲内に設定される。車両左右方向LRに延びて目標ZMP位置P2が設定される直線は、例えば、車両上方向U又は車両下方向Dに見て、傾斜車両10の重心Gを通過する。車両左右方向LRに延びて目標ZMP位置P2が設定される直線の左端は、例えば、車両上方向U又は車両下方向Dに見て、左前操舵輪14FLが路面Rsに接する位置と後輪14Rが路面Rsに接する位置とを通過する直線上に位置している。車両左右方向LRに延びて目標ZMP位置P2が設定される直線の右端は、例えば、車両上方向U又は車両下方向Dに見て、右前操舵輪14FRが路面Rsに接する位置と後輪14Rが路面Rsに接する位置とを通過する直線上に位置している。
図1を参照して、ZMP位置算出部312Bは、傾斜角度検出装置24から入力された車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26から入力された横方向加速度とに基づいて、現在のZMP位置を算出する。現在のZMP位置の算出は、例えば、傾斜角度検出装置24から入力された車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26から入力された横方向加速度とを用いて、演算によって実現してもよい。現在のZMP位置の算出は、例えば、図示しないメモリに記憶されている参照テーブルを用いて、傾斜角度検出装置24から入力された車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26から入力された横方向加速度との組み合わせに対応するZMP位置を選択して取得することで実現してもよい。
操舵アクチュエータ出力トルク算出部3122は、目標ZMP位置設定部312Aが設定した目標ZMP位置とZMP位置算出部312Bが算出した現在のZMP位置との差分に基づいて、操舵アクチュエータ221が出力するトルクを算出する。図3に示す例では、操舵アクチュエータ出力トルク算出部3122は、目標ZMP位置設定部312Aが設定した目標ZMP位置P2とZMP位置算出部312Bが算出した現在のZMP位置であるZMP位置P1(所定の基準位置P0に存在するZMP位置P1)との差分に相当する向心力Fc2を発生させるような操舵アクチュエータ221の出力トルクを算出する。操舵アクチュエータ221が出力するトルクの算出は、例えば、目標ZMP位置設定部312Aが設定した目標ZMP位置と、ZMP位置算出部312Bが算出した現在のZMP位置とを用いて、演算によって実現してもよい。操舵アクチュエータ221が出力するトルクの算出は、例えば、図示しないメモリに格納されている参照テーブルを用いて、目標ZMP位置設定部312Aが設定した目標ZMP位置とZMP位置算出部312Bが算出した現在のZMP位置との差分に対応するトルクを選択することで実現してもよい。
図1を参照して、操舵アクチュエータ制御部32は、操舵アクチュエータ出力トルク算出部3122が算出した操舵アクチュエータ221の出力トルクに基づいて、操舵アクチュエータ221を制御する。図3に示す例では、目標ZMP位置設定部312Aが設定した目標ZMP位置P2とZMP位置算出部312Bが算出した現在のZMP位置であるZMP位置P1(所定の基準位置P0に存在するZMP位置P1)との差分に相当する向心力Fc2を発生させるような操舵アクチュエータ221の出力トルクが算出されるので、当該出力トルクに基づいて、操舵アクチュエータ制御部32が操舵アクチュエータ221を制御する。
図1を参照して、傾斜アクチュエータ制御部33は、傾斜指示値取得部311が取得した傾斜指示値に基づいて、傾斜アクチュエータ201を制御する。
続いて、図4を参照しながら、制御装置30が実行するZMP位置制御について説明する。図4は、制御装置30が実行するZMP位置制御を示すフローチャートである。ZMP位置制御は、例えば、傾斜車両10が走行しているときに所定の間隔で実行される。
先ず、制御装置30は、ステップS11において、乗員による旋回操作の内容に基づいて、旋回操作指示値を取得する。具体的には、旋回操作指示値取得部31は、旋回操作検出装置182が検出したハンドルバー181の操作方向及び操作量に基づいて、旋回操作指示値を取得する。
次に、制御装置30は、ステップS12において、ステップS11で取得した旋回操作指示値から傾斜指示値を取得し、当該取得した傾斜指示値に基づいて、傾斜アクチュエータ201を制御する。具体的には、傾斜アクチュエータ制御部36は、ステップS11で取得した旋回操作指示値から傾斜指示値を取得し、当該取得した傾斜指示値に基づいて、傾斜アクチュエータ201を制御する。これにより、ハンドルバー181の操作方向及び操作量に応じて、車体12、2つの前操舵輪14及び1つの後輪14Rが同じ方向に同じ傾斜角度で傾斜する。なお、旋回操作指示値取得部31が取得した旋回操作指示値が所定の基準指示値以上である場合、車体12の傾斜角度が所定の制限傾斜角度に制限されるような傾斜指示値が取得される。
続いて、制御装置30は、ステップS13において、ステップS11で取得した旋回操作指示値が所定の基準指示値以上であるか否かを判定する。具体的には、旋回操作指示値判定部3121は、ステップS11で取得した旋回操作指示値が所定の基準指示値以上であるか否かを判定する。
旋回操作指示値が所定の基準指示値以上である場合(ステップS13:YES)、制御装置30は、ステップS14において、ステップS11で取得した旋回操作指示値に応じた目標ZMP位置を設定する。具体的には、目標ZMP位置設定部312Aは、ステップS11で取得した旋回操作指示値に応じた目標ZMP位置を設定する。
続いて、制御装置30は、ステップS15において、傾斜角度検出装置24から入力された車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26から入力された横方向加速度とに基づいて、現在のZMP位置を算出する。具体的には、ZMP位置算出部312Bは、傾斜角度検出装置24から入力された車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26から入力された横方向加速度とに基づいて、現在のZMP位置を算出する。
続いて、制御装置30は、ステップS16において、ステップS14又は後述するステップS19において設定した目標ZMP位置とステップS15において算出した現在のZMP位置との差分に基づいて、操舵アクチュエータ221の出力トルクを算出する。具体的には、操舵アクチュエータ出力トルク算出部3122は、ステップS14又は後述するステップS19において設定した目標ZMP位置とステップS15において算出した現在のZMP位置との差分に基づいて、操舵アクチュエータ221の出力トルクを算出する。
続いて、制御装置30は、ステップS17において、ステップS16で算出した操舵アクチュエータ221の出力トルクに基づいて、操舵アクチュエータ221を制御する。具体的には、操舵アクチュエータ制御部32は、ステップS16で算出した操舵アクチュエータ221の出力トルクに基づいて、操舵アクチュエータ221を制御する。その後、制御装置30は、ZMP位置制御を終了する。
ここで、ステップS16及びステップS17の処理について、図3を参照しながら、もう少し詳しく説明する。
図3において、ZMP位置P1を現在のZMP位置とする。目標ZMP位置P2とZMP位置P1(現在のZMP位置)との差分に基づいて、操舵アクチュエータ221の出力トルクが算出される。図3に示す例では、追加の向心力Fc2を発生させるのに必要な操舵アクチュエータ221の出力トルクが算出される。追加の向心力Fc2を発生させるのに必要な操舵アクチュエータ221の出力トルクは、傾斜車両10の旋回中に操舵アクチュエータ221が2つの前操舵輪14Fの操舵角度をさらに大きくするための出力トルクである。このような出力トルクに基づいて、操舵アクチュエータ221が制御される。
追加の向心力Fc2を発生させるのに必要な操舵アクチュエータ221の出力トルクは、例えば、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に対応する旋回中の車体12の傾斜角度が所定の制限傾斜角度である場合に算出される。本実施の形態では、追加の向心力Fc2を発生させるのに必要な操舵アクチュエータ221の出力トルクは、旋回操作指示値取得部31が取得した旋回操作指示値が所定の基準指示値以上である場合に算出される。
旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に対応する旋回中の車体121の傾斜角度が所定の制限傾斜角度である場合、つまり、操作指示値取得部31が取得した旋回操作指示値が所定の基準指示値以上である場合、制御装置30は、追加の向心力Fc2が発生するように、操舵アクチュエータ221を制御する。このとき、制御装置30は、車体12の傾斜角度は変化させない。つまり、制御装置30は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜車両201を制御しながら、向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221の出力トルクを制御して、車体12の傾斜角度が変化しないで2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力が増加するように制御する。
図4を参照して、旋回操作指示値が所定の基準指示値よりも小さい場合(ステップS13:NO)、制御装置30は、ステップS18において、現在のZMP位置を算出する。具体的には、現在のZMP位置として、所定の基準位置P0が算出される。続いて、制御装置30は、ステップS19において、目標ZMP位置を現在のZMP位置に設定する。具体的には、目標ZMP位置設定部312Aは、目標ZMP位置を現在のZMP位置である所定の基準位置P0に設定する。その後、制御装置30は、ステップS16以降の処理を実行する。
このような傾斜車両10は、旋回に対するロバスト性をより高めることができる。その理由は、以下のとおりである。
傾斜車両10が備える旋回操作入力装置18は、乗員による旋回操作が機械的に伝達されて2つの前操舵輪14Fが揺動しないように構成されている。そのため、傾斜車両10は、旋回に対してより高いロバスト性を備えていることが好ましい。
ここで、傾斜車両10は、向心力発生装置として機能する操舵機構22を備える。向心力発生装置として機能する操舵機構22は、向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221を含む。向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221は、出力されるトルクを制御することにより旋回中に傾斜している2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに対して追加の向心力Fc2(図3参照)を発生させる。
また、傾斜車両10が備える制御装置30は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201を制御しているときに操舵アクチュエータ221のトルクを制御して、旋回中の車体12の傾斜状態と、旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力とを制御する。
これにより、旋回操作に基づいて車体12を傾斜させる傾斜アクチュエータ201による旋回中の車体12の傾斜状態の制御と、旋回中に傾斜している2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに対して追加の向心力Fc2(図3参照)を発生させる向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221による向心力の制御との両方で、傾斜車両10の旋回を制御することができる。そのため、乗員による旋回操作が機械的に伝達されて2つの前操舵輪14Fが揺動しないように構成された旋回操作入力装置18を備えた傾斜車両10の旋回に対するロバスト性をより高めることができる。
また、傾斜車両10が備える制御装置30は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201を制御しているときに操舵アクチュエータ221のトルクを制御する。そのため、例えば、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に応じた車体12の傾斜角度を維持するように傾斜アクチュエータ201を制御しながら、操舵アクチュエータ221のトルクを制御することができる。
さらに、旋回操作に基づく傾斜アクチュエータ201の制御によって傾斜している2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生させる向心力の制御を、向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221のトルクの制御により行うことになる。これにより、旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201によって車体12の傾斜状態を制御しているときに、向心力をより容易に制御することができる。具体的には、操舵アクチュエータ221の出力部材の位置を制御する場合と比べて、操舵アクチュエータ221の出力部材の位置を参照する必要がなくなるので、操舵アクチュエータ221の制御が容易になる。そのため、乗員による旋回操作が機械的に伝達されて2つの前操舵輪14Fが揺動しないように構成された旋回操作入力装置18を備えた傾斜車両10の旋回に対するロバスト性をより高めることができる。
傾斜車両10が備える制御装置30は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201を制御しながら、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて、向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221のトルクを制御して、旋回中の車体12の傾斜状態と、旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力とを制御する。
傾斜車両10を旋回させるための操作を用いて向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221のトルクを制御するので、旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力をより適切に制御することができる。
傾斜車両10が備える制御装置30は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201を制御しながら、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作と、走行状態検出装置が検出した傾斜車両10の走行状態とに基づいて、向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221のトルクを制御して、旋回中の車体12の傾斜状態と、旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力とを制御する。
傾斜車両10の旋回中の走行状態を用いて向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221のトルクを制御するので、旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力をより適切に制御することができる。
傾斜車両10が備える制御装置30は、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201を制御しながら、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作と、傾斜角度検出装置24が検出した車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26が検出した横方向加速度とに基づいて、向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221のトルクを制御して、旋回中の車体12の傾斜状態と、旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力とを制御する。
傾斜車両10が旋回しているときの車体12の傾斜角度を用いて向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221のトルクを制御するので、旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力をより適切に制御することができる。
傾斜車両10の旋回中に発生する慣性力と関係がある横方向加速度を用いて向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221のトルクを制御するので、旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力をより適切に制御することができる。
(変形例1)
上記実施の形態では、ZMP位置P1及び目標ZMP位置P2が、それぞれ、車両左右方向LRに延びる直線上に存在している。つまり、上記実施の形態では、ZMP位置P1及び目標ZMP位置P2が、それぞれ、1次元の位置として表されている。しかしながら、ZMP位置P1及び目標ZMP位置P2は、それぞれ、2次元の位置として表されてもよい。
本変形例では、ZMP位置P1及び目標ZMP位置P2が、それぞれ、2次元の位置として表される。目標ZMP位置P2は、所定の平面領域内に存在するように設定される。
図5を参照して、目標ZMP位置P2が存在する平面領域S1について説明する。図5は、目標ZMP位置P2が存在する平面領域S1を示す平面図である。
平面領域S1は、2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rがそれぞれ路面に接する位置を結ぶ複数の線分SL1、SL2、SL3によって規定される接触領域である。ここで、線分SL1は、左前操舵輪14FLが路面に接する位置CP1と後輪14Rが路面に接する位置CP2とを結ぶ線分である。線分SL2は、右前操舵輪14FRが路面に接する位置CP3と後輪14Rが路面に接する位置CP2とを結ぶ線分である。線分SL3は、左前操舵輪14FLが路面に接する位置CP1と右前操舵輪14FRが路面に接する位置CP3とを結ぶ線分である。つまり、複数の線分SL1、SL2、SL3によって規定される平面領域S1は、車両上方向U又は車両下方向Dに見て、三角形状を有している。なお、位置CP1、位置CP2及び位置CP3は、それぞれ、車輪において路面と接する範囲の中心に相当する位置である。別の表現をすれば、位置CP1、位置CP2及び位置CP3は、それぞれ、車両上方向U又は車両下方向Dに見て、車輪の前後方向UDの中心であって且つ左右方向LRの中心に相当する位置である。
平面領域S1は、内側領域S2を含む。内側領域S2は、車両上方向U又は車両下方向Dに見て、平面領域S1よりも一回り小さい三角形状を有している。つまり、内側領域S2と平面領域S1は互いに相似の関係にある。
内側領域S2は、複数の線分SL4、SL5、SL6によって規定される。線分SL4は、平面領域S1内に位置し、線分SL1に平行である。線分SL5は、平面領域S1内に位置し、線分SL2に平行である。線分SL6は、平面領域S1内に位置し、線分SL3に平行である。線分SL4と線分SL5とが為す角度は、線分SL1と線分SL2とが為す角度と同じである。線分SL5と線分SL6とが為す角度は、線分SL2と線分SL3とが為す角度と同じである。線分SL6と線分SL4とが為す角度は、線分SL3と線分SL1とが為す角度と同じである。
目標ZMP位置P2は、平面領域S1内に設定される。目標ZMP位置P2は、好ましくは、内側領域S2内に設定される。
変形例1に係る傾斜車両では、目標ZMP位置設定部312Aは、目標ZMP位置P2が内側領域S2内に存在するように、目標ZMP位置P2を設定する。なお、平面領域S1及び内側領域S2に関するデータは、例えば、図示しないメモリに格納されている。
このような変形例1に係る傾斜車両では、制御装置は、ZMP位置P1が内側領域S2内に存在するように、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201の出力部材の位置を制御しながら、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作と、傾斜角度検出装置24が検出した車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26が検出した横方向加速度とに基づいて、操舵アクチュエータ221のトルクを制御する。そのため、旋回に対するロバスト性をより高めることができる。
(変形例2)
図6を参照しながら、本発明の実施の形態の変形例2による傾斜車両10Bについて説明する。図6は、傾斜車両10Bの左側面図と傾斜車両10Bが備える制御装置30Bのブロック図とを併せて示す図面である。
傾斜車両10Bは、傾斜車両10と比べて、走行状態検出装置としての前後方向加速度検出装置28をさらに備える。前後方向加速度検出装置28は、車体12の車両前後方向の加速度である前後方向加速度に関する物理量を検出する。前後方向加速度検出装置28は、検出した前後方向加速度を制御装置30Bに入力する。前後方向加速度検出装置28は、例えば、一般的な加速度センサによって実現してもよいし、慣性計測装置(IMU)によって実現してもよい。
傾斜車両10Bでは、変形例1と同様に、ZMP位置P1及び目標ZMP位置P2が、それぞれ、2次元の位置として表される。目標ZMP位置P2は、変形例1と同様に、所定の平面領域内に存在するように設定される。
傾斜車両10Bにおいても、変形例1と同様に、図5に示すような平面領域S1及び内側領域S2が設定される。目標ZMP位置P2は、図5に示すように、平面領域S1内に設定される。目標ZMP位置P2は、好ましくは、図5に示すように、内側領域S2内に設定される。
傾斜車両10Bは、傾斜車両10と比べて、制御装置30の代わりに、制御装置30Bを備えている点で異なる。制御装置30Bは、ZMP位置P1が内側領域S2内に存在するように、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201を制御しながら、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作と、傾斜角度検出装置24が検出した車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26が検出した横方向加速度と、前後方向加速度検出装置28が検出した前後方向加速度とに基づいて、操舵アクチュエータ221のトルクを制御して、旋回中の車体12の傾斜状態と、旋回中に2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力とを制御する。
傾斜車両10Bでは、目標ZMP位置設定部312Aは、目標ZMP位置P2が内側領域S2内に存在するように、目標ZMP位置P2を設定する。なお、平面領域S1及び内側領域S2に関するデータは、例えば、図示しないメモリに格納されている。
傾斜車両10Bでは、ZMP位置算出部312Bは、傾斜角度検出装置24から入力された車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26から入力された横方向加速度と、前後方向加速度検出装置28から入力された前後方向加速度とに基づいて、現在のZMP位置を算出する。現在のZMP位置の算出は、例えば、図示しないメモリに記憶されている参照テーブルを用いて、傾斜角度検出装置24から入力された車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26から入力された横方向加速度と、前後方向加速度検出装置28から入力された前後方向加速度との組み合わせに対応するZMP位置を選択して取得することで実現される。なお、現在のZMP位置の算出は、例えば、傾斜角度検出装置24から入力された車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26から入力された横方向加速度と、前後方向加速度検出装置28から入力された前後方向加速度とを用いて、演算によって実現してもよい。
続いて、制御装置30Bが実行するZMP位置制御について説明する。制御装置30Bが実行するZMP位置制御は、制御装置30が実行するZMP位置制御(図4参照)と比べて、ステップS15の処理が異なる。具体的には、制御装置30が実行するZMP位置制御のステップS15では、傾斜角度検出装置24から入力された車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26から入力された横方向加速度とに基づいて、現在のZMP位置を算出しているが、制御装置30Bが実行するZMP位置制御のステップS15では、傾斜角度検出装置24から入力された車体12の傾斜角度と、横方向加速度検出装置26から入力された横方向加速度と、前後方向加速度検出装置28から入力された前後方向加速度とに基づいて、現在のZMP位置を算出する。
このような変形例2に係る傾斜車両10Bにおいても、上記実施の形態と同様に、旋回操作に基づいて車体12を傾斜させる傾斜アクチュエータ201による旋回中の車体12の傾斜状態の制御と、旋回中に傾斜している2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに対して追加の向心力Fc2(図3参照)を発生させる向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221による向心力の制御との両方で、傾斜車両10Bの旋回を制御することができる。そのため、乗員による旋回操作が機械的に伝達されて2つの前操舵輪14Fが揺動しないように構成された旋回操作入力装置18を備えた傾斜車両10Bの旋回に対するロバスト性をより高めることができる。
なお、変形例2に係る傾斜車両10Bでは、車速の変化に伴って現在のZMP位置P1が内側領域S2又は平面領域S1の外側に移動した場合(或いは、そのおそれがある場合)、現在のZMP位置P1が内側領域S2又は平面領域S1に存在するように、傾斜車両10Bの車速を調整するようにしてもよい。例えば、図7に示すように、車速の増加に伴って現在のZMP位置P1が内側領域S2の外側に移動した場合、現在のZMP位置P1が内側領域S2に戻るように、傾斜車両10Bの車速を減少させてもよい。
(変形例3)
図8を参照しながら、本発明の実施の形態の変形例3による傾斜車両10Cについて説明する。図8は、傾斜車両10Cの左側面図と傾斜車両10Cが備える制御装置30Cのブロック図とを併せて示す図面である。
傾斜車両10Cは、傾斜車両10と比べて、前後方向加速度検出装置28をさらに備えている点で異なる。なお、前後方向加速度検出装置28は、変形例2に係る傾斜車両10Bが備えているものと比べて、検出した前後方向加速度をZMP位置算出部312Bではなく後述する旋回状態及び車速変化判定部38に入力している点で異なるが、それ以外は同じである。したがって、前後方向加速度検出装置28についての詳細な説明は省略する。
傾斜車両10Cの旋回操作検出装置182は、傾斜車両10が備える旋回操作検出装置182と比べて、旋回操作指示値取得部31だけでなく後述する旋回状態及び車速変化判定部38にも検出した旋回操作を入力している点で異なるが、それ以外は同じである。
傾斜車両10Cは、傾斜車両10と比べて、制御装置30の代わりに、制御装置30Cを備えている点で異なる。制御装置30Cは、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作が一定状態の旋回中に車速を変化させた場合、旋回操作入力装置18に入力されている旋回操作に基づいて傾斜アクチュエータ201を制御しながら、向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221のトルクを制御して、車体12の傾斜角度が変化しないで2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力が変化するように、または、車体12の傾斜角度が変化して2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力が変化しないように制御する。
制御装置30Cは、制御装置30と比べて、旋回状態及び車速変化判定部38と、旋回状態調整部39とをさらに備える点で異なる。なお、旋回状態及び車速変化判定部38と、旋回状態調整部39とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)が不揮発性のメモリに記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムに従って所定の処理を実行すること等によって実現される。
旋回状態及び車速変化判定部38は、旋回操作が一定であるときに車速が変化したか否かを判定する。具体的には、旋回操作検出装置182から入力される信号(旋回操作を示す信号)が変化していない状態で、前後方向加速度検出装置28から前後方向加速度が入力された場合に、旋回操作が一定であるときに車速が変化したと判定する。
旋回状態調整部39は、旋回操作が一定であるときに車速が変化した場合に、傾斜アクチュエータ201及び操舵アクチュエータ221を制御して、傾斜車両10Cの旋回状態を調整する。具体的には、旋回状態調整部39は、旋回操作が一定であるときに車速が変化した場合に、車体12の傾斜角度が変化しないで2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力が変化するように、操舵アクチュエータ221を制御する。或いは、旋回状態調整部39は、旋回操作が一定であるときに車速が変化した場合に、車体12の傾斜角度が変化して2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力が変化しないように、傾斜アクチュエータ201を制御する。なお、これらの制御は、両方とも実施してもよい。また、旋回状態調整部39は、旋回操作が一定であるときに車速が変化した場合に、車体12の傾斜角度が変化して2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力が変化するように、傾斜アクチュエータ201及び操舵アクチュエータ221を制御してもよい。
続いて、図9を参照しながら、制御装置30Cが実行するZMP位置制御について説明する。図9は、制御装置30Cが実行するZMP位置制御を示すフローチャートである。
制御装置30Cが実行するZMP位置制御は、制御装置30が実行するZMP位置制御(図4参照)と比べて、ステップS17の処理が終了した後に、ステップS20及びステップS21の処理を実行する点で異なる。
ステップS20では、制御装置30Cは、旋回操作が一定であるときに車速が変化したか否かを判定する。具体的には、旋回状態及び車速変化判定部38は、旋回操作検出装置182から入力される信号(旋回操作を示す信号)が変化していない状態で、前後方向加速度検出装置28から前後方向加速度が入力された場合に、旋回操作が一定であるときに車速が変化したと判定する。一方、旋回状態及び車速変化判定部38は、以下の(1)、(2)及び(3)の何れかである場合には、旋回操作が一定であるときに車速が変化したと判定しない。
(1)旋回状態及び車速変化判定部38は、旋回操作検出装置182から入力される信号(旋回操作を示す信号)が変化した状態で、前後方向加速度検出装置28から前後方向加速度が入力された場合に、旋回操作が一定であるときに車速が変化したと判定しない。
(2)旋回状態及び車速変化判定部38は、旋回操作検出装置182から入力される信号(旋回操作を示す信号)が変化した状態で、前後方向加速度検出装置28から前後方向加速度が入力されていない場合に、旋回操作が一定であるときに車速が変化したと判定しない。
(3)旋回状態及び車速変化判定部38は、旋回操作検出装置182から入力される信号(旋回操作を示す信号)が変化していない状態で、前後方向加速度検出装置28から前後方向加速度が入力されていない場合に、旋回操作が一定であるときに車速が変化したと判定しない。
旋回操作が一定であるときに車速が変化したと判定された場合(ステップS20:YES)、制御装置30Cは、ステップS21の処理を実行する。旋回操作が一定であるときに車速が変化したと判定されていない場合(ステップS20:NO)、制御装置30Cは、ZMP位置制御を終了する。
ステップ21では、制御装置30Cは、傾斜アクチュエータ201及び操舵アクチュエータ221を制御して、傾斜車両10Cの旋回状態を調整する。具体的には、旋回状態調整部39は、車体12の傾斜角度が変化しないで2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力が変化するように、操舵アクチュエータ221を制御する。或いは、旋回状態調整部39は、車体12の傾斜角度が変化して2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに発生する向心力が変化しないように、傾斜アクチュエータ201を制御する。その後、制御装置30Cは、ZMP位置制御を終了する。
このような変形例3に係る傾斜車両10Cにおいても、上記実施の形態と同様に、旋回操作に基づいて車体12を傾斜させる傾斜アクチュエータ201による旋回中の車体12の傾斜状態の制御と、旋回中に傾斜している2つの前操舵輪14F及び1つの後輪14Rに対して追加の向心力Fc2(図3参照)を発生させる向心力発生アクチュエータとして機能する操舵アクチュエータ221による向心力の制御との両方で、傾斜車両10Cの旋回を制御することができる。そのため、乗員による旋回操作が機械的に伝達されて2つの前操舵輪14Fが揺動しないように構成された旋回操作入力装置18を備えた傾斜車両10Cの旋回に対するロバスト性をより高めることができる。
(その他の実施形態)
本明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた実施形態及び変形例は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示の思想を限定するものではない。上記の実施形態及び変形例は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得る。
当該趣旨は、本明細書に開示された実施形態に基づいて当業者によって認識されうる、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、実施形態及び変形例に跨る特徴の組み合わせ)、改良、変更を包含する。特許請求の範囲における限定事項は当該特許請求の範囲で用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態及び変形例に限定されるべきではない。そのような実施形態及び変形例は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」、「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」、「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。
上記実施の形態において、傾斜車両10は、2つの前操舵輪14と1つの後輪14Rとを備える三輪車であるが、傾斜車両10は、例えば、1つの前操舵輪14と2つの後輪14Rとを備える三輪車であってもよいし、2つの前操舵輪14と2つの後輪14Rとを備える四輪車であってもよい。
上記実施の形態において、乗員が操作可能な被操作部材はハンドルバー181によって実現されているが、被操作部材は、例えば、ステアリングホイールや、ジョグダイヤル、タッチパネル、押ボタン等であってもよい。
上記実施の形態では、横方向加速度検出装置26が検出した横方向加速度を用いているが、例えば、傾斜車両の車速やヨーレートから推定した横方向加速度を用いてもよい。
上記実施の形態では、操舵アクチュエータ221によって向心力発生アクチュエータが実現されているが、向心力発生アクチュエータは、例えば、以下のようなパワーユニットやブレーキユニットであってもよい。なお、向心力発生アクチュエータは、操舵アクチュエータ221と、以下のようなパワーユニットやブレーキユニットを組み合わせて採用してもよい。
(1)前操舵輪または後輪のうち左車輪及び右車輪で構成される2つの車輪に異なるトルクを付与するパワーユニット。
なお、パワーユニットは、エンジン、変速機及びトルクベクタリングディファレンシャルであってもよいし、左車輪用回転電機及び右車輪用回転電機であってもよい。
(2)前操舵輪または後輪のうち左車輪及び右車輪で構成される2つの車輪に異なるトルクを付与するブレーキユニット。
なお、ブレーキユニットは、左車輪に用いられる左ブレーキ及び右車輪に用いられる右ブレーキである。
上記実施の形態において、操舵アクチュエータ221は、例えば、ラックアンドピニオンを含むものであってもよい。
上記実施の形態において、傾斜アクチュエータ201は、例えば、ラックアンドピニオンを含むものであってもよい。
上記実施の形態では、車体12の傾斜角度が所定の制限傾斜角度である場合に追加の向心力を発生させているが、例えば、車体12の傾斜角度が所定の制限傾斜角度より小さい場合に追加の向心力を発生させてもよい。
上記実施の形態の変形例3において、旋回操作が一定でなくても、車速が変化した場合に、旋回状態を調整してもよい。