JP7671683B2 - 制振構造 - Google Patents

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Description

本発明は、建物の柱梁架構内に制振ブレースが設置される制振構造に関する。
建物の制振性能を高めるため、様々な提案がなされている。例えば、建物の制振性能を高めるため、建物の各階層に制振ブレースを個別に設けることが行われている。しかし、各階層においては、制振ブレースに生じる変位が小さいため、制振効率に向上の余地がある。
これに対し、例えば特許文献1には、ブレースとダンパーとを備えた制振ブレース(制振機構)を複数の階層に跨いで設ける構成が開示されている。このような構成によれば、各制振ブレースでは、複数の階層における変位を減衰するため、制振効率が高まる。
特許文献1に開示されたような構成では、ブレースが跨がる中間階に、ブレースに交差して延びる中間梁部材を備えている。中間梁部材は、柱梁架構の構面内に設けられたブレースに対し、柱梁架構の構面に直交する方向の異なる位置に配置されている。このため、制振ブレースと中間梁部材の双方を設置するために、柱梁架構の構面に直交する方向に、広いスペースが必要となっている。
これに対し、特許文献2、3には、複数の階層に跨ぐブレースとダンパーとを備えた制振ブレース(制振機構)を設けるに際し、ブレースが跨る中間階に中間梁部材を備えない構成が開示されている。
特許文献2、3に開示されたような構成では、中間梁部材を備えないことで、柱梁架構の構面に直交する方向にはブレースのみを配すればよいため、設置に広いスペースを必要としない。他方、特許文献2、3に開示されたような構成においては、中間梁部材を備えないために、建物の耐震性が低下する。したがって、制振ブレースが有効に作用としたとしても、その効果は限定的となる。
特開2019-39282号公報 特許第6837865号 特開2018-178542号公報
本発明が解決しようとする課題は、複数階を跨ぐように制振ブレースを設けるに際し、狭い空間であっても設置可能で、かつ制振効率の良い制振構造を提供することである。
本発明者らは、制振ブレースを有する制振構造として、各階ごとに制振ブレースを配置するのではなく、柱梁架構を構成する梁部材に開口部を設け、その開口部を貫通させ、複数階を跨ぐように鉛直斜め方向に制振ブレースを設けることで、制振ブレースの両側材端に大きな変位量が作用するために、効率的に建物の変形を低減できる点に着眼し、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の制振構造は、建物の柱梁架構内に制振ブレースが設置される制振構造であって、前記制振ブレースは、長尺の鋼材と、当該鋼材の延伸方向に取り付けられたオイルダンパーと、を備えているか、または、長尺の弾塑性ダンパーと、当該弾塑性ダンパーに取り付けられた粘弾性ダンパーとを備え、前記制振ブレースは、前記柱梁架構面内に、複数階を跨いで、斜めに配置され、前記制振ブレースと交差する位置に設けられる梁部材には、開口部が設けられ、前記制振ブレースは前記開口部を貫通して設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、制振ブレースは複数階を跨いで設けられているので、各階層に個別に設けた場合に比べると、地震発生時等に制振ブレースに生じる変位が大きくなる。したがって、効率良く建物の変形を低減させることが可能となる。
また、複数階を跨いで配置された制振ブレースと交差する位置に、中間階に配置される梁部材が設けられている。すなわち、制振ブレースを設けるに際し、中間階の梁部材を廃する構造ではないため、建物の耐震性が損なわれない。
更に、制振ブレースは梁部材に形成された開口部を貫通して設けられている。このため、梁部材によって、制振ブレースの座屈が抑制され、耐震性能が高まる。
以上の効果が相乗し、制振効率が向上する。
また、制振ブレースが梁部材を貫通しているので、設置に際し、柱梁架構の構面に直交する方向と異なる位置に梁部材を配置する必要がない。したがって、梁部材を設けるのに要する空間が小さくて済む。
したがって、複数階を跨ぐように制振ブレースを設けるに際し、狭い空間であっても設置可能で、かつ制振効率の良い制振構造を提供することが可能となる。
本発明の一態様においては、本発明の制振構造は、前記開口部が、前記梁部材を鉛直斜め方向に貫通する貫通孔、または前記梁部材の側面に設けられる凹部である。
このような構成によれば、制振ブレースは、梁部材を鉛直斜め方向に貫通する貫通孔、または梁部材の側面に形成される凹部を貫通して設けられている。これにより、梁部材を分断させることなく、制振ブレースを貫通させる開口部を形成することができる。
また、制振ブレースは、貫通孔、または凹部を貫通するために、制振ブレースを梁部材の断面内、つまり、柱梁架構内に設置することができる。これにより、制振ブレースは、
柱梁架構内の狭い空間においても配置可能であり、設計自由度の高い制振構造を実現できる。
本発明の一態様においては、本発明の制振構造は、前記開口部を形成する前記梁部材の表面と、前記制振ブレースとが、互いに摺動するように設けられる。
このような構成によれば、開口部を形成する梁部材の表面と制振ブレースとが、互いに摺動することで、制振ブレースの伸縮方向への動きが阻害されるのを抑えることができる。これにより、制振効率を効率良く高めることができる。
また、制振ブレースが、開口部を形成する梁部材の表面に突き当たることによって、制振ブレースの座屈を抑えることができる。
本発明によれば、複数階を跨ぐように制振ブレースを設けるに際し、狭い空間であっても設置可能で、かつ制振効率の良い制振構造を提供することが可能となる。
本発明の実施形態に係る制振構造を示す縦断面図である。 図1のI-I部分の横断面図である。 図1の建物の、制振ブレースが設けられた部分の拡大図である。 図3のII-II部分の横断面図である。 建物の地震時の挙動をシミュレーションした結果を示す図である。 図5に示した提案モデルの応答結果について、最大層間変形角の低減率を示す図である。 本発明の実施形態の第1変形例における制振構造の横断面図である。 本発明の実施形態の第2変形例における制振構造の横断面図である。
本発明は、各階ごとに制振ブレースを配置するのではなく、建物の柱梁架構を構成する梁部材に開口部を設け、その開口部を貫通させ、複数階を跨ぐように鉛直斜め方向に制振ブレースを設けた制振構造である。
以下、添付図面を参照して、本発明による制振構造を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係る制振構造を示す縦断面図を図1に示す。図2は、図1のI-I部分の横断面図である。図1は、図2のIII-III部分の縦断面図でもある。
図1に示されるように、建物1は、地盤G中に構築された基礎部2と、基礎部2上に構築された建物本体10と、を主に備えている。なお、建物本体10の一部は、地盤G中に形成された地下部を備えていてもよい。
建物本体10は、建物本体10の下部に設けられた低層部10Lと、低層部10L上に設けられた高層部10Hと、を備えている。ここで、低層部10L、高層部10Hの階数は何ら限定するものではない。低層部10Lと高層部10Hとを、ほぼ同じ階数としてもよいし、低層部10Lの階数よりも、高層部10Hの階数を多くしてもよい。また、低層部10Lの階数よりも高層部10Hの階数を少なくしてもよい。
図2に示すように、低層部10Lは、外部架構部20と、コア部30と、を主に備えている。低層部10Lにおいて、外部架構部20は、建物1の外周部を構成する。コア部30は、外部架構部20の内側に設けられている。
本実施形態においては、コア部30は、平面視矩形状で、全体として、上下方向に連続する略筒状をなしている。コア部30は、柱31と、梁部材32と、を有している。柱31は、矩形形状の角の部分に設けられている。梁部材32は、コア部30の各階層において、互いに隣り合う柱31間に架設されている。コア部30と外部架構部20の間には、隙間S1が設けられている。外部架構部20と、コア部30とは、水平方向に離間して設けられている。コア部30の内側には、例えば、タワーパーキング、エレベータシャフト、階段室等が設けられる。
外部架構部20は、外部柱21と、梁部材22と、内部柱23と、を有している。外部柱21は、外部架構部20の外周部に複数本配置されている。各外部柱21は、建物本体10の全高に亘って上下方向に連続して延びている。内部柱23は、外部架構部20の内周部において、コア部30に臨む位置に複数本配置されている。各内部柱23は、コア部30の外側に、コア部30から離間して設けられている。各内部柱23は、建物本体10の全高に亘って上下方向に連続して延びている。梁部材22は、外部架構部20の各階層において、互いに隣り合う外部柱21間、内部柱23間、及び外部柱21と内部柱23との間に架設されている。
このような建物1の外部架構部20の柱梁架構内には、制振ブレース50Aが設置されている。本実施形態において、制振ブレース50Aは、外部架構部20の、コア部30に対向する内周面において、図2の紙面上下方向における互いに反対側に位置する、2つの柱梁架構の構面に設けられている。制振ブレース50Aは、図2の紙面左右方向において、互いに隣り合うように設けられた3本の内部柱23の、各々の間に、設置されている。制振ブレース50Aは、柱梁架構面内に、複数階を跨いで、斜めに配置されている。本実施形態において、制振ブレース50Aは、例えば2つの階層を跨いで斜めに配置されている。制振ブレース50Aは、例えば3以上の階層を跨いで斜めに配置してもよい。
図3は、図1の建物の低層部を示す拡大図である。
図3に示すように、制振ブレース50Aは、例えば、長尺の鋼材51と、鋼材51の延伸方向Dに取り付けられたオイルダンパー52と、を備えている。長尺の鋼材51の延伸方向Dの一端は、内部柱23と上側の梁部材22Aとの接合部J1に設けられたブラケット24Aに、例えばピン接合されている。長尺の鋼材51の延伸方向Dの他端には、オイルダンパー52の一端が取り付けられている。オイルダンパー52の他端は、内部柱23と下側の梁部材22Bとの接合部J2に設けられたブラケット24Bに、例えばピン接合されている。オイルダンパー52は、地震発生時等に、制振ブレース50Aに対して作用する引張力、圧縮力を吸収し、減衰する。
図4は、図3のII-II部分の横断面図である。
図3、図4に示すように、上側の梁部材22Aと下側の梁部材22Bとの間に配置され、制振ブレース50Aの延伸方向Dにおける中間部と交差する、中間階の梁部材22Mには、開口部25が設けられている。開口部25は、梁部材22Mを、制振ブレース50Aの延伸方向Dに沿って鉛直斜め方向に貫通する貫通孔25hである。貫通孔25hは、梁部材22Mにおいて、水平面内で梁部材22Mの延伸方向Dに直交する梁幅方向Wの中央部に形成されている。制振ブレース50Aの鋼材51は、貫通孔25h内に挿通されている。
制振ブレース50Aの鋼材51は、図4に示されるように水平面によって断面視したときに、梁幅方向Wに水平面内で直交し延伸方向Dに平行な長さ方向Lにおける長さよりも、梁幅方向Wの長さが、短くなっている。このため、制振ブレース50Aに圧縮力が作用したときに、制振ブレース50Aは、長さ方向Lよりも梁幅方向Wに、座屈しやすい。このようにして生じ得る座屈を抑制するとともに、後に説明するような地震時における制振ブレース50Aの梁部材22Mに対する相対変位を可能とするように、制振ブレース50Aと、開口部25を形成する梁部材22Mの表面とは、互いに摺動するように設けられている。
より詳細には、貫通孔25hの、梁幅方向Wで制振ブレース50Aの鋼材51に対向する表面に、金属、特にステンレス等で形成される滑り板55が設けられている。また、制振ブレース50Aの鋼材51の、梁幅方向Wで貫通孔25hに対向する表面には、例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂で形成される滑り材56が設けられている。滑り板55と滑り材56は、互いに当接して設けられている。
このようにして、滑り板55と滑り材56を介して、貫通孔25hの表面と制振ブレース50Aの鋼材51が当接するように構成されている。
貫通孔25hの表面と制振ブレース50Aの鋼材51の、長さ方向Lで対向する部分においては、本実施形態においては滑り板55と滑り材56は設けられておらず、貫通孔25hの表面と制振ブレース50Aの鋼材51は互いに離間して、隙間S2が形成されている。これに替えて、長さ方向Lで対向する部分においても、貫通孔25hの表面と制振ブレース50Aの鋼材51の間に、滑り板55と滑り材56を設け、滑り板55と滑り材56を介して、貫通孔25hの表面と制振ブレース50Aの鋼材51が当接するように構成してもよい。
このような制振ブレース50Aを建物1の柱梁架構内に備えた制振構造では、地震発生時等に、制振ブレース50Aの上側の梁部材22Aと内部柱23との接続部J1と、制振ブレース50Aの下側の梁部材22Bと内部柱23との接続部J2との相対変位により、制振ブレース50Aが延伸方向Dに伸縮するような変位が鋼材51に入力される。このとき、制振ブレース50Aは複数階を跨いで設けられているので、各階層に個別に設けた場合に比べると、地震発生時等に制振ブレース50Aに入力される変位が大きくなる。地震発生時等に制振ブレース50Aに入力される変位は、制振ブレース50Aの鋼材51へ、引張力、圧縮力として伝達される。このような引張力、圧縮力は、制振ブレース50Aのオイルダンパー52により、吸収、減衰される。
ここで、制振ブレース50Aは、梁部材22Mに形成された開口部25に貫通して設けられている。特に、開口部25すなわち貫通孔25hの表面と制振ブレース50Aの鋼材51は、滑り板55と滑り材56を介して、当接している。このため、梁部材22によって、制振ブレース50Aの座屈が抑制され、耐震性能が高まる。
上記のように、制振ブレース50Aの鋼材51に伝達された引張力、圧縮力を、オイルダンパー52が吸収、減衰させる際には、鋼材51は、梁部材22Mに対して、相対変位する。このとき、梁部材22Mの貫通孔25hと鋼材51とは、滑り板55と滑り材56を介して、互いに摺動するように設けられているため、上記のような相対変位は妨げられない。
上述したような制振構造によれば、建物1の柱梁架構内に制振ブレース50Aが設置される制振構造であって、制振ブレース50Aは、長尺の鋼材51と、鋼材51の延伸方向Dに取り付けられたオイルダンパー52と、を備え、制振ブレース50Aは、柱梁架構面内に、複数階を跨いで、斜めに配置され、制振ブレース50Aと交差する位置に設けられる梁部材22Mには、開口部25が設けられ、制振ブレース50Aは開口部25を貫通して設けられている。
このような構成によれば、制振ブレース50Aは複数階を跨いで設けられているので、各階層に個別に設けた場合に比べると、地震発生時等に制振ブレース50Aに生じる変位が大きくなる。したがって、効率良く建物1の変形を低減させることが可能となる。
また、複数階を跨いで配置された制振ブレース50Aと交差する位置に、中間階に配置される梁部材22Mが設けられている。すなわち、制振ブレース50Aを設けるに際し、中間階の梁部材22Mを廃する構造ではないため、建物1の耐震性が損なわれない。
更に、制振ブレース50Aは梁部材22に形成された開口部25に貫通して設けられている。このため、梁部材22Mによって、制振ブレース50Aの座屈が抑制され、耐震性能が高まる。
以上の効果が相乗し、制振効率が向上する。
また、制振ブレース50Aが梁部材22Mを貫通しているので、設置に際し、柱梁架構の構面に直交する方向に異なる位置に梁部材22Mを配置する必要がない。したがって、梁部材22Mを設けるのに要する空間が小さくて済む。
したがって、複数階を跨ぐように制振ブレース50Aを設けるに際し、狭い空間であっても設置可能で、かつ制振効率の良い制振構造を提供することが可能となる。
また、開口部25は、梁部材22Mを鉛直斜め方向に貫通する貫通孔25hである。
このような構成によれば、制振ブレース50Aは、梁部材22Mを鉛直斜め方向に貫通する貫通孔25hを貫通して設けられている。これにより、梁部材22Mを分断させることなく、制振ブレース50Aを貫通させる開口部25を形成することができる。
また、制振ブレース50Aは、貫通孔25hを貫通するために、制振ブレース50Aを梁部材22Mの断面内、つまり、柱梁架構内に設置することができる。これにより、制振ブレース50Aは、柱梁架構内の狭い空間においても配置可能であり、設計自由度の高い制振構造を実現できる。
また、開口部25を形成する梁部材22Mの表面と、制振ブレース50Aとが、互いに摺動するように設けられている。
このような構成によれば、開口部25を形成する梁部材22Mの表面と制振ブレース50Aとが、互いに摺動することで、制振ブレース50Aの伸縮方向への動きが阻害されるのを抑えることができる。これにより、制振効率を効率良く高めることができる。
また、制振ブレース50Aが、開口部25を形成する梁部材22の表面に突き当たることによって、制振ブレース50Aの座屈を抑えることができる。
特に本実施形態においては、開口部25を形成する梁部材22Mの表面と、制振ブレース50Aとが、滑り板55と滑り材56を介して、互いに当接し、かつ摺動するように設けられている。
このような構成によれば、制振ブレース50Aの面外方向への座屈を抑えつつ、制振ブレース50Aと梁部材22Mの間の相対変位を阻害しない構造を、適切に実現することができる。
上記のような制振構造に対して、地震時の挙動をシミュレーションした。実施例としては、上記の図2を用いて説明したような構成の立体解析モデルを用意した。建物は、地上23階建てとし、1階の階高は5500mm、2階の階高は5000mm、3階以上の各階の階高は3350mmとした。各階は、3340mm×3080mmの面積とし、柱間のスパンは、図2に記載したような寸法とした。制振ブレース50Aは、3つの階層を跨ぐように設けた。制振ブレース50Aは、5~7層、8~10層、11~13層、14~16層のそれぞれに、2つの構面にそれぞれ2台ずつ、計16台を設置した。オイルダンパー52は、最大減衰力が150tのものを使用した。
これに対し、比較例として、実施例と同様な建物に対し、各階の柱梁架構内に、階ごとにそれぞれ、ブレース材を設置する構成の耐震モデルを用意した。
上記のような実施例と比較例の各モデルに対し、巨大地震を想定して、国土交通省にて示された設計用地震動(告示はレベル2)を入力した。図5は、本願発明の提案モデル、及び従来技術の耐震モデルについて、建物の地震時の応答挙動をシミュレーションした結果を示す図である。また、図6は、図5に示した最大層間変形角について、耐震モデルに対する提案モデルによる応答低減率の建物の層高さ方向の変化を示す図である。図5に示されるように、線L1として示される実施例は、線L2として示される比較例よりも、最大層間変形角が各階において小さな値となった。また、図6に示されるように、実施例は、比較例に対して、最大層間変形角が、20%程度低減しており、本願発明による複数階を跨ぐように制振ブレースを設けることで、制振効率に良い点が確認できる。
(実施形態の第1変形例)
なお、本発明の制振構造は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、制振ブレース50Aが貫通する開口部25として、貫通孔25hが梁部材22Mの梁幅方向Wの中央部に形成されているようにしたが、これに限られない。例えば、図7に示す第1変形例のように、制振ブレース50Aが貫通する開口部25として、梁部材22Mの梁幅方向Wにおける一方側の側面22sに、梁幅方向Wにおける他方側へと窪む凹部25gを設けるようにしてもよい。凹部25gは、貫通孔25hと同様、鉛直斜め方向に延びている。この場合、制振ブレース50Aの延伸方向Dにおける中間部は、凹部25g内に収められている。制振ブレース50Aの延伸方向Dにおける中間部は、梁部材22Mの梁幅方向Wにおける一方側に露出している。本変形例においても、上記実施形態と同様に、開口部25を形成する梁部材22Mの表面と、制振ブレース50Aとが、滑り板55と滑り材56を介して、互いに当接し、かつ摺動するように設けられている。
このように、本変形例においては、開口部25が、梁部材22Mの側面22sに設けられる凹部25gである。
このような構成においても、複数階を跨ぐように制振ブレース50Aを設けるに際し、狭い空間であっても設置可能で、かつ制振効率の良い制振構造を提供することが可能となる。
(実施形態の第2変形例)
また、図8に示す第2変形例のように、制振ブレース50Aが貫通する開口部25として、梁部材22の梁幅方向Wにおける一方側の側面22sと他方側の側面22tの各々に、凹部25g、25kを設けるようにしてもよい。この場合、制振ブレース50Aは、梁部材22の梁幅方向Wに間隔を開けて一対で設けられる。
本変形例においては、一対の制振ブレース50Aは、互いに平行に、すなわち各々の延伸方向Dが同一の方向となるように設けられている。これに替えて、一対の制振ブレース50Aは、柱梁架構の構面に直交する方向である梁幅方向Wから視たときに、互いに交差して、X字状となるように、設けられてもよい。
各制振ブレース50Aは、凹部25g、25k内に収められている。梁幅方向Wにおける表面22s側の制振ブレース50Aの、延伸方向Dにおける中間部は、表面22sから露出している。梁幅方向Wにおける表面22t側の制振ブレース50Aの、延伸方向Dにおける中間部は、表面22tから露出している。本変形例においても、上記実施形態と同様に、開口部25を形成する梁部材22Mの表面と、制振ブレース50Aとが、滑り板55と滑り材56を介して、互いに当接し、かつ摺動するように設けられている。
このように、本変形例においては、開口部25が、梁部材22Mの側面22s、22tに設けられる凹部25g、25kである。
このような構成においても、複数階を跨ぐように制振ブレース50Aを設けるに際し、狭い空間であっても設置可能で、かつ制振効率の良い制振構造を提供することが可能となる。
(実施形態の他の変形例)
また、上記実施形態、及び第1、第2変形例では、制振ブレース50Aを、鋼材51とオイルダンパー52とを備える構成としたが、これに限られない。
例えば、図3に示すように、制振ブレース50Bは、長尺の弾塑性ダンパー57と、弾塑性ダンパー57に取り付けられた粘弾性ダンパー58とを備えた、いわゆるハイブリッドダンパーとしてもよい。弾塑性ダンパー57には、例えば、座屈拘束ブレースが利用される。座屈拘束ブレースは十字断面の鋼材からなるブレース軸材と、ブレース軸材の周りを囲うように配置された複数本の角形鋼管を束ねた座屈補剛材と、を備えている。粘弾性ダンパー58は、弾塑性ダンパー57のブレース軸材と座屈補剛材との相対変位を減衰する。
上述したような制振構造によれば、建物1の柱梁架構内に制振ブレース50Bが設置される制振構造であって、制振ブレース50Bは、長尺の弾塑性ダンパー57と、弾塑性ダンパー57に取り付けられた粘弾性ダンパー58と、を備え、制振ブレース50Bは、柱梁架構面内に、複数階を跨いで、斜めに配置され、制振ブレース50Bと交差する位置に設けられる梁部材22Mには、開口部25が設けられ、制振ブレース50Bは開口部25を貫通して設けられている。
このような構成によれば、制振ブレース50Bは複数階を跨いで設けられているので、各階層に個別に設けた場合に比べると、地震発生時等に制振ブレース50Bに生じる変位が大きくなる。したがって、効率良く建物1の変形を低減させることが可能となる。
また、複数階を跨いで配置された制振ブレース50Bと交差する位置に、中間階に配置される梁部材22Mが設けられている。すなわち、制振ブレース50Bを設けるに際し、中間階の梁部材22Mを廃する構造ではないため、建物1の耐震性が損なわれない。
更に、制振ブレース50Bは梁部材22に形成された開口部25に貫通して設けられている。このため、梁部材22Mによって、制振ブレース50Bの座屈が抑制され、耐震性能が高まる。
以上の効果が相乗し、制振効率が向上する。
また、制振ブレース50Bが梁部材22Mを貫通しているので、設置に際し、柱梁架構の構面に直交する方向に異なる位置に梁部材22Mを配置する必要がない。したがって、梁部材22Mを設けるのに要する空間が小さくて済む。
したがって、複数階を跨ぐように制振ブレース50Bを設けるに際し、狭い空間であっても設置可能で、かつ制振効率の良い制振構造を提供することが可能となる。
(その他の変形例)
また、上記実施形態、及びその変形例では、制振構造について説明したが、建物1の構成は一例に過ぎず、階層数、平面レイアウト等を適宜変更してもよい。例えば、上記のような制振構造が設けられる建物は、コア部を有する構造ではなく、全体として上記の外部架構部のような、柱と梁により構成された構造であってよい。
また、制振ブレース50A、50Bの設置位置、設置数等も、適宜変更可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1 建物 50A、50B 制振ブレース
22、22M 梁部材 51 鋼材
22s、22t 側面 52 オイルダンパー
25 開口部 57 弾塑性ダンパー
25g、25k 凹部 58 粘弾性ダンパー
25h 貫通孔 D 延伸方向

Claims (3)

  1. 建物の柱梁架構の構面内に制振ブレースが設置される制振構造であって、
    前記制振ブレースは、長尺の鋼材と、当該鋼材の延伸方向に取り付けられたオイルダンパーと、を備えているか、または、長尺の弾塑性ダンパーと、当該弾塑性ダンパーに取り付けられた粘弾性ダンパーとを備え、
    前記制振ブレースは、前記柱梁架構の構面内に、複数階を跨いで、斜めに配置され、
    前記制振ブレースと交差する位置に設けられる梁部材には、開口部が設けられ、前記制振ブレースは前記開口部を貫通して設けられ
    前記制振ブレースは、前記梁部材の幅方向に直交する方向の長さよりも、前記幅方向の長さが短く、前記直交する方向よりも前記幅方向に座屈しやすい断面形状を有し、
    前記幅方向で互いに対向する、前記開口部を形成する前記梁部材の表面と、前記制振ブレースの表面とが、滑り板と滑り材を介して、互いに当接し、かつ摺動するように設けられていることを特徴とする制振構造。
  2. 前記開口部は、前記梁部材を鉛直斜め方向に貫通する貫通孔、または前記梁部材の側面に設けられる凹部であることを特徴とする請求項1に記載の制振構造。
  3. 前記開口部は、前記梁部材の前記幅方向における一方側の側面と他方側の側面の各々に設けられた、一対の凹部であり、
    前記制振ブレースは、前記幅方向に間隔を開けて一対で設けられ、
    一対の前記制振ブレースは、互いに平行に設けられているか、または、前記幅方向から視たときに、互いに交差して、X字状となるように設けられ、
    一対の前記制振ブレースの各々は、一対の前記凹部の各々に納められていることを特徴とする請求項1または2に記載の制振構造。
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