JP7666201B2 - エンジンシステム - Google Patents

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Description

本発明は、主燃焼室と副室とを備えたエンジンシステムに関する。
従来より、車両等に搭載されるエンジンにおいて、その燃費性能や排ガス性能を高めるために主燃焼室とこれと連通する副室とを設けることが検討されている。具体的に、主燃焼室とこれと連通する副室とを設けて、副室で生成された火炎を主燃焼室に噴出させれば、主燃焼室での燃焼速度を高めて燃費性能の向上が図れるとともに、未燃混合気の残留を抑制して排ガス性能の向上を図ることができる。
例えば、特許文献1には、シリンダブロック、シリンダヘッドおよびピストンにより区画された主燃焼室(特許文献1における主室)と、これと連通する副室と、吸気ポートに設けられて吸気ポートを介して主燃焼室に燃料を供給する主燃料噴射弁と、主燃焼室内の混合気に点火を行う主室点火プラグと、副室に燃料を直接噴射する副燃料噴射弁と、副室内の混合気に点火を行う副室点火プラグとを備えたエンジンが開示されている。このエンジンでは、主燃焼室に形成された混合気であって主燃料噴射弁から噴射された燃料と空気の混合気が主室点火プラグによって先ず点火され、その後、副室に形成された混合気であって副燃料噴射弁から噴射された燃料と空気の混合気が副室点火プラグによって点火されるようになっている。
特開2007-255370号公報
特許文献1のエンジンでは、主燃焼室と副室とにそれぞれ個別に燃料が噴射されるように構成されており、1つの気筒に対して2つの燃料噴射弁が必要となる。そのため、構造が複雑化するとともにコスト面で不利になる。これに対して、主燃焼室と副室とを有するエンジンにおいて、主燃焼室にのみ燃料噴射弁を設けることが考えられる。ただし、主燃焼室にのみ燃料噴射弁を設ける構成では、主燃焼室から副室への混合気の流入具合によって副室および主燃焼室での混合気の燃焼状態が変化する。そのため、主燃焼室から副室に適切な量の混合気を導入して主燃焼室と副室とで混合気を適切に燃焼させる点で工夫が求められる。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、主燃焼室と副室とを備えるエンジンシステムにおいて副室および主燃焼室において混合気を適切に燃焼させることを目的とする。
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、気筒を形成するシリンダブロックおよびシリンダヘッドと、前記気筒に往復動可能に収容されたピストンと、前記シリンダブロック、前記シリンダヘッド、及び前記ピストンにより画成された主燃焼室と、前記主燃焼室と隔壁により隔てられるとともに、当該隔壁に形成された連通孔を通じて前記主燃焼室と連通する副室と、前記主燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、前記主燃焼室内の混合気に点火する主点火装置と、前記副室内の混合気に点火する副点火装置と、前記気筒に導入される吸気を過給可能な過給機と、前記燃料噴射装置、前記主点火装置及び前記副
点火装置に電気的に接続されて当該各装置に制御用の電気信号を出力する制御装置とを備え、前記制御装置は、エンジン負荷が所定の切替負荷よりも高く前記過給機による過給が行われる過給領域と、エンジン負荷が前記切替負荷以下で前記過給機による過給が行われない領域であって前記過給領域と隣接する非過給領域とにおいて、前記主点火装置に点火を行わせた後に前記副点火装置に点火を行わせ、前記主点火装置の点火時期である主点火時期に対する前記副点火装置の点火時期である副点火時期の遅角量を点火位相差としたとき、前記制御装置は、前記過給領域での点火位相差が前記非過給領域での点火位相差よりも小さくなるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御し、前記過給領域における前記主燃焼室内の混合気の空燃比は、前記非過給領域における前記主燃焼室内の混合気の空燃比と同一の空燃比に設定される、ことを特徴とする。
本発明では、過給領域と非過給領域において、主点火装置による点火が行われ後に副点火装置による点火が行われる。そのため、主点火装置による点火によって主燃焼室で混合気を燃焼させて、これにより生じた主燃焼室の圧力上昇を利用して副室に混合気を押し込むことができる。
しかも、本発明では、過給領域の方が非過給領域よりも主点火時期に対する副点火時期の遅角量である点火位相差が小さくされる。つまり、過給が行われるときの方が行われないときよりも、主燃焼室の圧力上昇に伴う混合気の副室への導入が開始してから副点火装置による点火が行われるまでの期間が短くされる。そのため、過給が行われることで主燃焼室の圧力が高くなることに伴い副室に混合気が入りやすい場合に、副室内に過度な量の混合気が流入するのを防止でき、主燃焼室および副室内で混合気を適切に燃焼させることができる。具体的に、副室に過度な混合気が流入すると、副室内で混合気が爆発的に燃焼して副室および主燃焼室で高周波の圧力波を伴う異常燃焼が生じるおそれがあるが、この異常燃焼の発生を防止できる。また、過給が行われず主燃焼室の圧力が比較的低いことに伴い副室に混合気が入りにくい場合に、副室内に十分量の混合気を流入させることができ、主燃焼室および副室内での混合気の適切な燃焼を実現できる。
本発明において、過給領域での点火位相差を非過給領域での点火位相差よりも小さくする構成としては、前記制御装置は、前記過給領域での前記副点火時期が前記非過給領域での前記副点火時期よりも進角側の時期になるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御する構成が挙げられる(請求項2)。
また、本発明において、過給領域での点火位相差を非過給領域での点火位相差よりも小さくする構成としては、前記制御装置は、前記過給領域での前記主点火時期が前記非過給領域での前記主点火時期よりも遅角側の時期になるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御する、構成が挙げられる(請求項3)。
また、本発明は、気筒を形成するシリンダブロックおよびシリンダヘッドと、前記気筒に往復動可能に収容されたピストンと、前記シリンダブロック、前記シリンダヘッド、及び前記ピストンにより画成された主燃焼室と、前記主燃焼室と隔壁により隔てられるとともに、当該隔壁に形成された連通孔を通じて前記主燃焼室と連通する副室と、前記主燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、前記主燃焼室内の混合気に点火する主点火装置と、前記副室内の混合気に点火する副点火装置と、前記気筒に導入される吸気を過給可能な過給機と、前記燃料噴射装置、前記主点火装置及び前記副点火装置に電気的に接続されて当該各装置に制御用の電気信号を出力する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記過給機による過給が行われる過給領域と、前記過給機による過給が行われない領域であって前記過給領域と隣接する非過給領域とにおいて、前記主点火装置に点火を行わせた後に前記副点火装置に点火を行わせ、前記主点火装置の点火時期である主点火時期に対する前記副点火装置の点火時期である副点火時期の遅角量を点火位相差としたとき、前記制御装置は、前記過給領域での点火位相差が前記非過給領域での点火位相差よりも小さくなり、且つ、前記過給領域においてエンジン負荷が高くなるほど前記点火位相差が小さくなるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御する、ことを特徴とするエンジンシステムを提供する(請求項4)。
この構成によれば、過給が行われることに加えてエンジン負荷が高いことにより主燃焼室の圧力が特に高くなり、これによって、主燃焼室から副室への混合気の流入が特に促進されるときに前記点火位相差が小さくされるので、副室への過度な混合気の流入を確実に防止できる。
また、本発明は、気筒を形成するシリンダブロックおよびシリンダヘッドと、前記気筒に往復動可能に収容されたピストンと、前記シリンダブロック、前記シリンダヘッド、及び前記ピストンにより画成された主燃焼室と、前記主燃焼室と隔壁により隔てられるとともに、当該隔壁に形成された連通孔を通じて前記主燃焼室と連通する副室と、前記主燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、前記主燃焼室内の混合気に点火する主点火装置と、前記副室内の混合気に点火する副点火装置と、前記気筒に導入される吸気を過給可能な過給機と、前記燃料噴射装置、前記主点火装置及び前記副点火装置に電気的に接続されて当該各装置に制御用の電気信号を出力する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記過給機による過給が行われる過給領域と、前記過給機による過給が行われない領域であって前記過給領域と隣接する非過給領域とにおいて、前記主点火装置に点火を行わせた後に前記副点火装置に点火を行わせ、前記主点火装置の点火時期である主点火時期に対する前記副点火装置の点火時期である副点火時期の遅角量を点火位相差としたとき、前記制御装置は、前記過給領域での点火位相差が前記非過給領域での点火位相差よりも小さくなり、且つ、前記非過給領域においてエンジン負荷が高くなるほど前記点火位相差が小さくなるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御する、ことを特徴とするエンジンシステムを提供する(請求項5)。
この構成によれば、過給が行われない非過給領域においても、エンジン負荷が高い場合において副室への過度な混合気の流入を確実に防止できるとともに、エンジン負荷が低い場合において副室により確実に十分量の混合気を流入させることができる。
以上説明したように、本発明のエンジンシステムによれば、副室および主燃焼室において混合気を適切に燃焼させることができる。
本発明の実施形態に係るエンジンシステムの概略構成図である。 エンジン本体の概略断面図である。 副点火ユニットの先端部を側方から見た部分断面図である。 副点火ユニットの先端部の平面図である。 エンジンの制御ブロックを示した図である。 エンジンの運転領域を示したマップである。 非過給領域でのインジェクタの駆動パルス、主点火時期および副点火時期の一例を示した図である。 過給領域でのインジェクタの駆動パルス、主点火時期および副点火時期の他の例を示した図である。 高速領域におけるエンジン負荷と各パラメータとの関係を示した図である。 高速領域におけるエンジン回転数と各パラメータとの関係を示した図である。 高速領域における過給用モータおよび点火プラグの制御手順を示したフローチャートである。
(エンジンの全体構成)
図1は、本発明のエンジンシステムの好ましい実施形態を示す概略構成図である。エンジンシステム1は、エンジン本体2と、エンジン本体2に導入される空気(吸気)が内側を流通する吸気通路4と、エンジン本体2から導出された排気ガスが内側を流通する排気通路6と、EGR装置50とを備える。エンジンシステム1は、車両にその走行用の動力源等として搭載される。エンジン本体2は、主としてガソリンを燃料とする4ストロークのガソリンエンジンであり、ガソリンを含む燃料がエンジン本体2に供給される。
図2は、エンジン本体2の概略断面図である。本実施形態では、エンジン本体2は、複数の気筒22を有する多気筒エンジンである。例えば、エンジン本体2は、一列に並ぶ(図1の紙面と直交する方向に並ぶ)4つの気筒22を有する。エンジン本体2は、複数の気筒22が内部に形成されたシリンダブロック52と、各気筒22の上端開口を塞ぐ底面54aを有してシリンダブロック52の上面に取り付けられるシリンダヘッド54と、各気筒22にそれぞれ往復摺動可能に収容された複数のピストン24とを備える。なお、本実施形態では、シリンダブロック52からシリンダヘッド54に向かう側を上、その逆を下として扱うが、これは説明の便宜のためであって、エンジンの据付姿勢を限定する趣旨ではない。
各気筒22のピストン24の上方には、主燃焼室26がそれぞれ区画されている。主燃焼室26は、シリンダブロック52に形成された気筒22の内周面22aと、シリンダヘッド54の底面(下面)54aと、ピストン24の冠面24aとによって画成されている。主燃焼室26には後述するインジェクタ28からの噴射によって燃料が供給される。ピストン24は、この燃料と空気の混合気の燃焼による膨張力を受けて上下方向に往復動する。
シリンダブロック52の下部(ピストン24の下方)には、エンジン本体2の出力軸であるクランク軸20が設けられている。クランク軸20は、各気筒22のピストン24とコネクティングロッド21を介して連結されており、ピストン24の往復運動に応じて中心軸回りに回転する。
シリンダヘッド54には、吸気通路4から供給される空気を主燃焼室26に導入するための吸気ポート8と、主燃焼室26で生成された排気ガスを排気通路6に導出するための排気ポート12とが、それぞれ気筒22ごとに形成されている。シリンダヘッド54には、吸気ポート8の主燃焼室26側の開口を開閉する吸気弁10と、排気ポート12の主燃焼室26側の開口を開閉する排気弁14とが、それぞれ気筒22ごとに設けられている。本実施形態では、1つの気筒22につき2つの吸気弁10および2つの排気弁14が設けられている。
吸気弁10および排気弁14は、それぞれ、シリンダヘッド54に配設された動弁機構16、18により、クランク軸20の回転に連動して開閉駆動される。吸気弁10用の動弁機構16には、吸気弁10のバルブリフト量および開閉タイミングを電動で可変に制御する可変バルブリフト機構(吸気S-VT)16aが設けられている。同様に、排気弁14用の動弁機構18にも、排気弁14のバルブリフト量および開閉タイミングを電動で可変に制御する可変バルブリフト機構(排気S-VT)18aが設けられている。
シリンダヘッド54には、インジェクタ28、主点火プラグ32および副点火ユニット30が各気筒22につきそれぞれ1組ずつ設けられている。インジェクタ28は請求項の「燃料噴射装置」に相当し、主点火プラグ32は請求項の「主点火装置」に相当する。
インジェクタ28は、主燃焼室26に燃料を噴射する噴射弁である。インジェクタ28の先端部28xには、燃料を噴射する噴射口が形成されている。インジェクタ28は、その先端部28xが主燃焼室26を上方から臨むようにシリンダヘッド54に取り付けられている。本実施形態では、インジェクタ28は、その先端部28xが主燃焼室26の天井面の中央(詳細には、気筒22の軸線上)に位置するように配設されている。
主点火プラグ32は、主燃焼室26内の混合気に火花放電による点火を行うものである。主点火プラグ32の先端には、火花を放電するための電極部32xが設けられている。この電極部32xは、中心電極32aと側方電極(アース)32bとを含む。主点火プラグ32は、その電極部32xが主燃焼室26を上方から臨むようにシリンダヘッド54に取り付けられている。本実施形態では、主点火プラグ32は、その電極部32xが主燃焼室26の天井面のうちインジェクタ28の先端部28xよりも吸気ポート8側に位置するように配設されている。
副点火ユニット30は、主燃焼室26に火炎を噴出するための装置である。副点火ユニット30の詳細については後述する。
吸気通路4は、各気筒22の吸気ポート8と連通するようにシリンダヘッド54の一側面に接続されている。吸気通路4には、その上流側から順に、吸気中の異物を除去するエアクリーナ34と、吸気通路4を流通する吸気を過給する過給機35と、過給機35から吐出された吸気を冷却するインタークーラ39と、吸気の流量を調整する開閉可能なスロットル弁36と、サージタンク38とが設けられている。
吸気通路4の下流端は複数の通路に分岐している。各分岐通路はそれぞれ1つの吸気ポート8に接続されている。各気筒22について、2つの吸気ポート8の一方につながる分岐通路には、これを開閉するスワールバルブ56(図5参照)が設けられている。
また、本実施形態では、過給機35は電動過給機であり、エンジンシステム1は、過給機35を回転駆動するモータ37(以下、過給用モータ37という)を有する。
排気通路6は、各気筒22の排気ポート12と連通するようにシリンダヘッド54の一側面(吸気通路4と反対側の面)に接続されている。排気通路6には、三元触媒等の触媒41が内蔵された触媒装置40が設けられている。
EGR装置50は、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路4に還流させて、吸気通路4を介してこれと連通する主燃焼室26に導入する(還流させる)ための装置である。EGR装置50は、排気通路6と吸気通路4とを連通するEGR通路42と、EGR通路42にそれぞれ設けられたEGR弁46とEGRクーラ44とを有する。EGR通路42の上流端は、触媒装置40の下流端であって触媒41よりも下流側の排気通路6に接続され、EGR通路42の下流端は、サージタンク38に接続されている。EGR弁46は、EGR通路42を開閉してEGRガスの流量を調整するバルブである。EGRクーラ44は、EGRガスを冷却する熱交換器である。EGRクーラ44は、EGR弁46よりも下流側に配設されている。
(副点火ユニット30)
図3は、副点火ユニット30の先端部30xを側方から見た部分断面図である。図4は、副点火ユニット30の先端部30xの平面図(先端側から見た)である。
副点火ユニット30は、火花放電によって混合気に点火を行う副点火プラグ62を有する。副点火プラグ62の先端には、火花を放電するための電極部62xが設けられている。電極部62xは、中心電極62aと側方電極(アース)62bとを含む。副点火ユニット30は、その先端部30xに設けられて副点火プラグ62の電極部62xを覆うカバー部材64を備える。カバー部材64の内側には、所定の空間である副室60が区画されている。換言すると、副点火プラグ62はその電極部62xが副室60を臨むように配設されており、副室60内の混合気に点火を行う。カバー部材64は、副点火ユニット30の先端側に向かって膨出する中空の半球状を呈している。上記の副点火プラグ62は請求項の「副点火装置」に相当し、上記のカバー部材64は請求項の「隔壁」に相当する。
図2に示すように、副点火ユニット30は、その先端部30xが主燃焼室26を上方から臨むようにシリンダヘッド54に取り付けられている。本実施形態では、副点火ユニット30は、主燃焼室26の天井面のうちインジェクタ28よりも排気ポート12側の位置に取り付けられている。本実施形態では、この取付状態において、カバー部材64のほぼ全体が主燃焼室26内に位置している。
カバー部材64には、その表裏を貫通して主燃焼室26と副室60とを連通する複数の連通孔66が形成されている。カバー部材64の内側空間つまり副室60は、これら連通孔66を介して主燃焼室26と連通している。このように、本実施形態では、エンジン本体2に上記のように構成された副点火ユニット30が取り付けられることで、カバー部材64によって主燃焼室26と隔てられ、且つ、連通孔66を通じて主燃焼室26と連通する副室60がエンジン本体2に形成されている。
本実施形態では、カバー部材64に3つの連通孔66が形成されている。図4に示すように、3つの連通孔66はカバー部材64の頂点Aを通るカバー部材64の軸線回りに120度間隔で形成されている。また、図3に示すように、各連通孔66は、側面視で、頂点Aから45度の位置に形成されている。また、カバー部材64の半径および厚みはそれぞれ5mm、1mmとされて、各連通孔66の直径は1.2mmとされている。
副点火ユニット30は、主燃焼室26に火炎を噴出する。具体的に、インジェクタ28から主燃焼室26内に燃料が噴射されて主燃焼室26内で空気と燃料の混合気が形成されると、この混合気の一部は連通孔66を介して副室60内に導入される。副室60内に十分量の混合気が存在する状態で副点火プラグ62によって火花放電が行われると、副室60内にて混合気は燃焼を開始し、副点火プラグ62の電極部62x付近から周囲へと火炎が伝播していく。そして、この火炎は連通孔66を介して主燃焼室26に噴出/放出され、主燃焼室26内の混合気に伝搬する。
ここで、上記のように、主点火プラグ32による点火が行われると、主点火プラグ32の電極部32x付近からも周囲へと火炎が伝搬していく。これより、主点火プラグ32と副点火プラグ62の双方により点火が行われて主燃焼室26および副室60内で適切に混合気が燃焼すれば、主燃焼室26内の混合気には複数の位置から火炎が伝搬されることになり、主燃焼室26内での混合気の燃焼速度が高められて燃費性能が高められるとともにノッキングの発生および未燃混合気の残留が抑制されることになる。
(制御系統)
図5は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。本図に示されるECU100は、エンジンを統括的に制御する装置であり、各種演算処理を行うプロセッサ(CPU)と、ROMおよびRAM等のメモリーと、各種の入出力バスとを含むマイクロコンピュータにより構成されている。ECU100は、請求項の「制御装置」に相当する。
ECU100には、各種センサによる検出情報が入力される。例えば、ECU100には、エンジンシステム1に設けられたエアフローセンサSN1、吸気温センサSN2、吸気圧センサSN3、水温センサSN4およびクランク角センサSN5や、車両に設けられたアクセル開度センサSN6の検出値が入力される。エアフローセンサSN1は、吸気通路4を通過してエンジン本体2に導入される吸気の流量を検出する。吸気温センサSN2および吸気圧センサSN3は、エンジン本体2に導入される吸気の温度および圧力をそれぞれ検出する。水温センサSN4は、エンジン本体2を冷却するエンジン冷却水の温度を検出する。クランク角センサSN5は、クランク軸20の回転角度であるクランク角およびエンジン回転数を検出する。アクセル開度センサSN6は、車両に備わるアクセルペダル(不図示)の開度であるアクセル開度を検出する。
ECU100は、各種センサからの入力信号に基づいて種々の判定や演算等を行う。ECU100は、インジェクタ28、主点火プラグ32、副点火プラグ62、EGR弁46、過給用モータ37等と電気的に接続されており、演算結果等に基づいて、これら装置に制御用の電気信号を出力する。
図6は、横軸をエンジン回転数、縦軸をエンジン負荷としたエンジンの運転領域を示すマップである。図6に示すように、エンジンの運転領域は、インジェクタ28、点火プラグ32、62、EGR弁46および過給用モータ37の制御内容に応じて、複数の領域に分けられる。具体的に、エンジンの運転領域は、エンジン回転数が所定の第1回転数N1以下の低速領域R1と、エンジン回転数が第1回転数N1よりも高い高速領域R2とに大別される。また、低速領域R1は3つの領域A1~A3(第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3)に分けられ、高速領域R2は互いに隣接する2つの領域B1、B2(非過給領域B1、過給領域B2)に分けられる。
(低速領域R1の制御内容)
第1領域A1は、低速領域R1のうちエンジン負荷が所定の負荷以下の領域である。第2領域A2は、低速領域R1のうち第1領域A1よりもエンジン負荷が高い領域である。第3領域A3は、低速領域R1のうちエンジン負荷が第2領域A2よりも高い領域である。
第1領域A1では、HCCI燃焼(予混合圧縮着火燃焼、HCCI:Homogeneous Compression Charge Ignition)が実現されるように、インジェクタ28および点火プラグ32、62が制御される。具体的に、第1領域A1では、吸気行程中にインジェクタ28から燃料が噴射される。また、点火プラグ32、62の駆動(これら点火プラグ32、62による点火)が停止される。
上記のようにインジェクタ28は主燃焼室26を臨んでおり、インジェクタ28から噴射された燃料は主燃焼室26の全体に拡散可能となっている。これより、第1領域A1では、吸気行程中にインジェクタ28から燃料が噴射されることで、圧縮上死点に到達するまでの間に主燃焼室26内で燃料と空気とが十分に混合される。そして、第1領域A1では、この十分に混合された混合気(予混合気)がピストン24の圧縮により高温・高圧化されることで圧縮上死点付近において自着火する。HCCI燃焼では、混合気の空燃比(主燃焼室26内の燃料重量に対する主燃焼室26内の空気重量の割合)を、火炎伝播が不可能なレベルにまでリーンに(高く)して燃費性能を高めることができる。これより、第1領域A1では、主燃焼室26内の混合気の空燃比が理論空燃比(14.7)よりもリーンに(高く)なるように、スロットル弁36の開度が調整される。
第2領域A2および第3領域A3では、主点火プラグ32と副点火プラグ62とが駆動されて火炎伝播燃焼が実現される。つまり、これらの領域A2、A3では、点火プラグ32、62の電極部32x、62xからの火花放電によって電極部32x、62x回りに火炎核が生成され、火炎核から周囲へと火炎が伝搬していくことで主燃焼室26および副室60の混合気が燃焼するSI燃焼(SI:Spark Ignition)が実現される。また、これらの領域A2、A3では、主燃焼室26内の混合気の空燃比が理論空燃比近傍になるように、スロットル弁36の開度が調整される。
第2領域A2では、第1領域A1と同様に吸気行程中にインジェクタ28から燃料が噴射される。一方、第3領域A3では、エンジン回転数が低く且つエンジン負荷が高いために、吸気行程中にインジェクタ28から燃料を噴射するとプリイグニッションが生じるおそれがある。これより、第3領域A3では、圧縮行程中にインジェクタ28からの燃料噴射を開始させて混合気をSI燃焼させるリタードSI燃焼が実施される。
また、エンジン負荷あるいはエンジン回転数が高い領域では、EGRガスを吸気通路4に還流させるEGRを実施すると十分量の空気が主燃焼室26に導入されないおそれがある。一方、エンジン回転数およびエンジン負荷が比較的低い領域では、EGRの実施によってポンピングロスおよび冷却損失の低減に伴う燃費性能の向上が見込める。これより、第2領域A2ではEGR弁46が開弁されてEGRが実施され、第3領域A3ではEGR弁46が全閉とされてEGRが停止される。
(高速領域R2の制御内容)
次に、本発明の特徴である高速領域R2での制御内容について説明する。
高速領域R2のうちの過給領域B2は、過給機35による過給が行われる領域である。つまり、過給領域B2では、過給用モータ37が駆動されて過給用モータ37により過給機35が回転駆動される。過給領域B2は、高速領域R2のうちエンジン回転数が所定の第2回転数N2よりも高く且つエンジン負荷が所定の切替負荷Tq1よりも高い領域に設定されている。第2回転数N2は、第1回転数N1よりも高い回転数である。非過給領域B1は、過給機35による過給が行われない領域である。つまり、非過給領域B1では、過給用モータ37が停止されて過給用モータ37による過給機35の回転駆動が停止される。非過給領域B1は、高速領域R2のうちの過給領域B2を除いた領域に設定されている。
図7は、非過給領域B1に含まれる運転ポイントP1でのインジェクタ28の駆動パルスと、主点火時期tmと、副点火時期tsとをそれぞれ示した図である。図8は、過給領域B2に含まれる運転ポイントP2でのインジェクタ28の駆動パルスと、主点火時期tmと、副点火時期tsとをそれぞれ示した図である。主点火時期tmは、主点火プラグ32が点火つまり火花放電を行うクランク角での時期である。副点火時期tsは、副点火プラグ62が点火つまり火花放電を行うクランク角での時期である。
高速領域R2(過給領域B2および非過給領域B1の双方)では、主点火プラグ32と副点火プラグ62とが駆動されて火炎伝播燃焼(SI燃焼)が実現される。図7および図8に示すように、高速領域R2では、インジェクタ28からの燃料噴射が開始される時期である燃料噴射時期tinjが吸気行程中の時期に設定されており、吸気行程中にインジェクタ28から主燃焼室26内への燃料噴射が開始される。また、高速領域R2では、主点火時期tmが副点火時期tsよりも進角側の時期に設定されており、まず主点火プラグ32による点火が行われ、その後、副点火プラグ62による点火が行われる。本実施形態では、高速領域R2において、主点火時期tmは圧縮行程中の時期とされ、副点火時期tsは膨張行程中の時期とされる。また、高速領域R2では、主燃焼室26内の混合気の空燃比が理論空燃比近傍になるように、スロットル弁36の開度が調整されるとともに、EGR弁46が全閉とされてEGRが停止される。
ここで、高速領域R2では、その領域全体で主点火プラグ32と副点火プラグ62の点火順序は同じとされるが、副点火時期tsの主点火時期tmに対する遅角量(つまり主点火時期tmから副点火時期tsまでのクランク角での期間)である点火位相差dtが非過給領域B1と過給領域B2とで異なるように、主点火時期tmと副点火時期tsとが設定される。具体的に、過給領域B2での点火位相差dt(例えば運転ポイントP2の点火位相差dt)の方が、非過給領域B1での点火位相差dt(例えば運転ポイントP1の点火位相差dt)よりも小さくされる。
図9は、高速領域R2におけるエンジン負荷と各パラメータとの関係を示したグラフである。詳細には、図9には、高速領域R2のうちエンジン回転数が第2回転数N2よりも高い領域での上記関係を示している。図10は、高速領域R2におけるエンジン回転数と各パラメータとの関係を示したグラフである。詳細には、図10には、高速領域R2のうちエンジン負荷が切替負荷Tq1よりも高い領域での上記関係を示している。図9および図10の一番上のグラフは、エンジン負荷/エンジン回転数と点火位相差dtとの関係を示したグラフである。図10の上から二番目のグラフは、エンジン負荷/エンジン回転数と主点火時期tmおよび副点火時期tsとの関係を示したグラフである。なお、図9のグラフはエンジン回転数一定でのエンジン負荷と各パラメータとの関係を示したものであり、図10のグラフはエンジン負荷一定でのエンジン回転数と各パラメータとの関係を示したものである。
図9、図10に示すように、本実施形態では、過給領域B2の主点火時期tmの方が非過給領域B1の主点火時期tmよりも遅角側の時期に設定され、過給領域B2の副点火時期tsの方が非過給領域B1の副点火時期tsよりも進角側の時期に設定される。そして、これにより、過給領域B2の点火位相差dtが非過給領域B1の点火位相差dtよりも小さくされる。
また、非過給領域B1および過給領域B2のいずれにおいても、主点火時期tmは、エンジン負荷が高くなるほど遅角側の時期になり(同一エンジン回転数において)、且つ、エンジン回転数が高くなるほど遅角側の時期になるように(同一エンジン負荷において)設定される。また、非過給領域B1および過給領域B2のいずれにおいても、副点火時期tsは、エンジン負荷が高くなるほど進角側の時期になり(同一エンジン回転数において)、且つ、エンジン回転数が高くなるほど進角側の時期になるように(同一エンジン負荷において)設定される。そして、非過給領域B1および過給領域B2のいずれにおいても、点火位相差dtはエンジン負荷が高くなるほど小さい値にされるとともにエンジン回転数が高くなるほど小さい値にされる。
副点火時期tsは、高速領域R2全体を通じてエンジン負荷およびエンジン回転数に対してほぼ比例して進角するように設定されている。一方、主点火時期tmは、非過給領域B1から過給領域B2に切り替わるエンジン回転数(第2回転数N2)およびエンジン負荷(切替負荷Tq1)を超えると大幅に遅角されるようになっており、上記の切り替わりのエンジン回転数およびエンジン負荷を超えると点火位相差dtも大幅に大きくなる。
本実施形態では、過給領域B2および非過給領域B1のそれぞれについて、エンジン回転数とエンジン負荷とについて予め上記のように設定された主点火時期tmと副点火時期tsとがECU100にマップで記憶されており、このマップに基づいて主点火時期tmと副点火時期tsとを設定する。具体的に、ECU100は、エンジンの運転ポイントが過給領域B2内のポイントの場合は、過給領域B2用の主点火時期tmのマップと副点火時期tsのマップからそれぞれ値を抽出して、抽出した値を主点火時期tmおよび副点火時期tsに設定する。また、ECU100は、エンジンの運転ポイントが非過給領域B1内のポイントの場合は、非過給領域B1用の主点火時期tmのマップと副点火時期tsのマップからそれぞれ値を抽出して、抽出した値を主点火時期tmと副点火時期tsとに設定する。
図11は、ECU100により実施される高速領域R2での過給用モータ37、主点火プラグ32および副点火プラグ62の制御手順を示したフローチャートである。
ECU100は、まず、各種情報を読み込む(ステップS1)。ECU100は、クランク角センサSN5により検出されたエンジン回転数、アクセル開度センサSN6により検出されたアクセル開度等を読みこむ。
次に、ECU100は、エンジンに要求されているトルクである要求トルクつまりエンジン負荷を算出する(ステップS2)。ECU100は、ステップS1で読み込んだエンジン回転数およびアクセル開度に基づいて要求トルク(エンジン負荷)を算出する。
次に、ECU100は、エンジンの運転ポイントが高速領域R2であるか否かを判定する(ステップS3)。具体的に、ECU100は、ステップS1で読み込んだエンジン回転数およびステップS2で算出した要求トルク(エンジン負荷)に基づいて、現在のエンジンの運転ポイントが高速領域R2内のポイントであるか否かを判定する。
ステップS3の判定がNOであってエンジンの運転ポイントが高速領域R2内のポイントでない場合は、ECU100は処理を終了する(低速領域R1の制御を実施する)。一方、ステップS3の判定がYESであってエンジンの運転ポイントが高速領域R2内のポイントの場合、ECU100はステップS4に進む。
ステップS4にて、ECU100は、エンジン回転数とエンジン負荷とに基づいて、現在のエンジンの運転ポイントが過給領域B2内のポイントであるか否かを判定する。
ステップS4の判定がYESであってエンジンの運転ポイントが過給領域B2内のポイントである場合、ECU100は、過給用モータ37を駆動して過給機35に過給を行わせる(ステップS5)。また、ECU100は、主点火時期tmおよび副点火時期tsを、過給領域B2用の時期(過給用点火時期)に設定する(ステップS6)。本実施形態では、上記のように、ECU100は、予め設定された過給領域B2用のマップから現在のエンジン回転数とエンジン負荷とに対応する値を抽出して、主点火時期tmおよび副点火時期tsを設定する。なお、上記のように、ここで設定される主点火時期tmおよび副点火時期tsは、点火位相差dtが比較的(非過給領域B1での点火位相差dtに比べて)小さくなる時期である。ステップS6の後はステップS9に進む。
一方、ステップS4の判定がNOであってエンジンの運転ポイントが非過給領域B1内のポイントである場合、ECU100は、過給用モータ37を停止して過給機35に過給を停止する(ステップS7)。また、ECU100は、主点火時期tmおよび副点火時期tsを、非過給領域B1用の時期(非過給用点火時期)に設定する(ステップS8)。本実施形態では、上記のように、ECU100は、予め設定された非過給領域B1用のマップから現在のエンジン回転数とエンジン負荷とに対応する値を抽出して、主点火時期tmおよび副点火時期tsに設定する。なお、上記のように、ここで設定される主点火時期tmおよび副点火時期tsは、点火位相差dtが比較的(過給領域B2での点火位相差dtに比べて)大きくなる時期である。ステップS8の後はステップS9に進む。
ステップS6あるいはステップS8の後に進むステップS9では、ECU100は、主点火プラグ32と副点火プラグ62とによる点火を実行する。具体的に、ECU100は、ステップS6あるいはステップS8で設定した主点火時期tmで主点火プラグ32による点火が行われるように主点火プラグ32を駆動し、その後、ステップS6あるいはステップS8で設定した副点火時期tsで副点火プラグ62による点火が行われるように副点火プラグ62を駆動する。
(作用等)
以上のように、上記実施形態では、エンジン本体2に主燃焼室26と副室60とが設けられているため、これら2つの燃焼室26、60での混合気の燃焼によって燃費性能および排ガス性能を高めることができる。しかも、燃料を噴射する装置であるインジェクタ28が主燃焼室26にのみ設けられて副室60には設けられていないことで、主燃焼室26と副室60とにそれぞれインジェクタ28を設ける場合に比べてエンジンシステムの構造を簡素化できるとともにコスト面で有利になる。また、インジェクタ28が主燃焼室26に燃料を噴射するように配設されていることで、主燃焼室26全体により均一に燃料を拡散させることができる。そのため、低速低負荷の第1領域A1において適切なHCCI燃焼を実現できる。
ここで、上記のように主燃焼室26にのみインジェクタ28を設ける構成では、主燃焼室26から副室60に適切な量の混合気(燃料)が流入しないおそれがある。これに対して、上記実施形態では、高速領域R2において、主点火プラグ32による点火が行われた後に副点火プラグ62による点火が行われる。そのため、主燃焼室26での混合気の燃焼により生じた主燃焼室26の圧力上昇を利用して副室60に混合気を押し込むことができ、副室60内において混合気が不足するのを防止できる。
ただし、主燃焼室26内の圧力が高いときは、副室60に過度な混合気が流入することで、副室60内で混合気が爆発的に燃焼して副室60および主燃焼室26で高周波の圧力波を伴う異常燃焼が生じるおそれがある。
これに対して、上記実施形態では、過給が行われることで主燃焼室26内の圧力が高くなる過給領域B2での運転時の方が、過給が行われず主燃焼室26の圧力が比較的低い非過給領域B1での運転時よりも、主点火時期tmに対する副点火時期tsの遅角量である点火位相差dtが小さくされる。点火位相差dtを小さくすれば、主燃焼室26の圧力上昇に伴って混合気の副室60への流入が開始してから副点火プラグ62による点火が行われるまでの期間が短くなる。これより、点火位相差dtが小さいときの方が大きいときよりも副点火プラグ62の点火時点での副室60内の混合気の量が少なくなる。従って、点火位相差dtが上記のように制御されることで、上記実施形態によれば、過給領域B2において副室60内に過度な量の混合気が流入するのを防止でき、副室60および主燃焼室26にて混合気を適切に燃焼させることができる。また、非過給領域B1において副室60内に十分量の混合気を流入させることができ、副室60および主燃焼室26にて混合気を適切に燃焼させることができる。
また、エンジン負荷つまり要求トルクが高いと、主燃焼室26で生成される熱エネルギーが高くなることで主燃焼室26の圧力も高くなり主燃焼室26から副室60への混合気の流入が促進される。これに対して、上記実施形態では、過給領域B2および非過給領域B1の双方において、エンジン負荷が高くなるほど点火位相差dtが小さくされる。これより、過給領域B2において副室60への混合気の過度な流入を確実に防止できるとともに、非過給領域B1において副室60内に確実に適切な量の混合気を流入させることができる。従って、過給領域B2および非過給領域B1の双方において、副室60および主燃焼室26での混合気の適切な燃焼をより確実に実現できる。
また、上記実施形態では、主点火時期tmが、非過給領域B1から過給領域B2に切り替わるエンジン回転数(第2回転数N2)およびエンジン負荷(切替負荷Tq1)を超えると大幅に遅角側の時期とされる。そのため、過給によって主燃焼室26内の圧力・温度が高くなることでノッキングが生じやすい過給領域B2において、圧縮上死点付近での主燃焼室26内の圧力・温度の増大を抑制してノッキングが発生するのを防止できる。
(変形例)
上記実施形態では、過給領域B2の主点火時期tmの方が非過給領域B1の主点火時期tmよりも遅角側とされ、且つ、過給領域B2の副点火時期tsの方が非過給領域B1の副点火時期tsよりも進角側とされる場合を説明したが、副点火時期tsのみを過給領域B2と非過給領域B1とで異なるように設定し、主点火時期tmを過給領域B2と非過給領域B1とで同一の時期に設定してもよい。また、逆に、主点火時期tmのみを過給領域B2と非過給領域B1とで異なるように設定し、副点火時期tsを過給領域B2と非過給領域B1とで同一の時期に設定してもよい。
上記実施形態では、過給領域B2が、エンジン回転数が第2回転数N2よりも高く且つエンジン負荷が切替負荷Tq1よりも高い領域に設定され、非過給領域B1が高速領域R2のうちの他の領域に設定された場合を説明したが、過給領域B2と非過給領域B1の具体的な範囲は上記に限られない。
上記実施形態では、エンジン回転数が所定の第1回転数以上N1の高速領域R2を過給領域B2と非過給領域B1とに分けて点火位相差dtを異ならせる場合を説明したが、過給領域B2と非過給領域B1とに分けて点火位相差dtを異ならせる領域は、上記のように設定した高速領域R2に限られない。
また、低速領域R1の制御内容は上記に限られない。
副点火ユニット30のカバー部材64の具体的形状および寸法は、上記に限られない。また、カバー部材64に設けられる連通孔66の数および寸法は上記に限られない。また、副点火ユニット30の取付位置は上記に限られない。例えば、副点火ユニット30は、インジェクタ28の先端部28xに対して排気ポート12側に設けられてもよい。
また、エンジン本体2の気筒数等の詳細構造は上記に限られない。
1 エンジンシステム
2 エンジン本体
4 吸気通路
24 ピストン
28 インジェクタ(燃料噴射装置)
26 主燃焼室
30 副点火ユニット
32 主点火プラグ(主点火装置)
35 過給機
37 過給用モータ
52 シリンダブロック
54 シリンダヘッド
60 副室
62 副点火プラグ(副点火装置)
64 カバー部材(隔壁)
66 連通孔
100 ECU(制御装置)
B1 非過給領域
B2 過給領域

Claims (5)

  1. 気筒を形成するシリンダブロックおよびシリンダヘッドと、
    前記気筒に往復動可能に収容されたピストンと、
    前記シリンダブロック、前記シリンダヘッド、及び前記ピストンにより画成された主燃焼室と、
    前記主燃焼室と隔壁により隔てられるとともに、当該隔壁に形成された連通孔を通じて前記主燃焼室と連通する副室と、
    前記主燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
    前記主燃焼室内の混合気に点火する主点火装置と、
    前記副室内の混合気に点火する副点火装置と、
    前記気筒に導入される吸気を過給可能な過給機と、
    前記燃料噴射装置、前記主点火装置及び前記副点火装置に電気的に接続されて当該各装置に制御用の電気信号を出力する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、エンジン負荷が所定の切替負荷よりも高く前記過給機による過給が行われる過給領域と、エンジン負荷が前記切替負荷以下で前記過給機による過給が行われない領域であって前記過給領域と隣接する非過給領域とにおいて、前記主点火装置に点火を行わせた後に前記副点火装置に点火を行わせ、
    前記主点火装置の点火時期である主点火時期に対する前記副点火装置の点火時期である副点火時期の遅角量を点火位相差としたとき、前記制御装置は、前記過給領域での点火位相差が前記非過給領域での点火位相差よりも小さくなるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御し、
    前記過給領域における前記主燃焼室内の混合気の空燃比は、前記非過給領域における前記主燃焼室内の混合気の空燃比と同一の空燃比に設定される、ことを特徴とするエンジンシステム。
  2. 請求項1に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御装置は、前記過給領域での前記副点火時期が前記非過給領域での前記副点火時期よりも進角側の時期になるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御する、ことを特徴とするエンジンシステム。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御装置は、前記過給領域での前記主点火時期が前記非過給領域での前記主点火時期よりも遅角側の時期になるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御する、ことを特徴とするエンジンシステム。
  4. 気筒を形成するシリンダブロックおよびシリンダヘッドと、
    前記気筒に往復動可能に収容されたピストンと、
    前記シリンダブロック、前記シリンダヘッド、及び前記ピストンにより画成された主燃焼室と、
    前記主燃焼室と隔壁により隔てられるとともに、当該隔壁に形成された連通孔を通じて前記主燃焼室と連通する副室と、
    前記主燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
    前記主燃焼室内の混合気に点火する主点火装置と、
    前記副室内の混合気に点火する副点火装置と、
    前記気筒に導入される吸気を過給可能な過給機と、
    前記燃料噴射装置、前記主点火装置及び前記副点火装置に電気的に接続されて当該各装置に制御用の電気信号を出力する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記過給機による過給が行われる過給領域と、前記過給機による過給が行われない領域であって前記過給領域と隣接する非過給領域とにおいて、前記主点火装置に点火を行わせた後に前記副点火装置に点火を行わせ、
    前記主点火装置の点火時期である主点火時期に対する前記副点火装置の点火時期である副点火時期の遅角量を点火位相差としたとき、前記制御装置は、前記過給領域での点火位相差が前記非過給領域での点火位相差よりも小さくなり、且つ、前記過給領域においてエンジン負荷が高くなるほど前記点火位相差が小さくなるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御する、ことを特徴とするエンジンシステム。
  5. 気筒を形成するシリンダブロックおよびシリンダヘッドと、
    前記気筒に往復動可能に収容されたピストンと、
    前記シリンダブロック、前記シリンダヘッド、及び前記ピストンにより画成された主燃焼室と、
    前記主燃焼室と隔壁により隔てられるとともに、当該隔壁に形成された連通孔を通じて前記主燃焼室と連通する副室と、
    前記主燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
    前記主燃焼室内の混合気に点火する主点火装置と、
    前記副室内の混合気に点火する副点火装置と、
    前記気筒に導入される吸気を過給可能な過給機と、
    前記燃料噴射装置、前記主点火装置及び前記副点火装置に電気的に接続されて当該各装置に制御用の電気信号を出力する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記過給機による過給が行われる過給領域と、前記過給機による過給が行われない領域であって前記過給領域と隣接する非過給領域とにおいて、前記主点火装置に点火を行わせた後に前記副点火装置に点火を行わせ、
    前記主点火装置の点火時期である主点火時期に対する前記副点火装置の点火時期である副点火時期の遅角量を点火位相差としたとき、前記制御装置は、前記過給領域での点火位相差が前記非過給領域での点火位相差よりも小さくなり、且つ、前記非過給領域においてエンジン負荷が高くなるほど前記点火位相差が小さくなるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御する、ことを特徴とするエンジンシステム。
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