[第1実施形態]
図1において、不飽和ガス発生装置10は、互いに湿度が異なる第1不飽和ガス31と第2不飽和ガス32とを発生する。不飽和ガス発生装置10は、繊維の吸放湿性試験を行う吸放湿性試験設備40に用いる。まず不飽和ガス発生装置10の説明を行い、次に吸放湿性試験設備40の説明を行う。なお、各図において、白抜きの矢印は、配管の内部を流通するガスを示している。
不飽和ガス発生装置10は、第1中空糸膜ユニット11と、第2中空糸膜ユニット12と、被加湿ガス供給部13と、高湿流体供給部14とを備える。
第1中空糸膜ユニット11は、後述する第1被加湿ガス20Aを加湿して第1不飽和ガス31を発生する。第2中空糸膜ユニット12は、後述する第2被加湿ガス20Bを加湿して第2不飽和ガス32を発生する。
図2Aと図2Bを用いて、第1中空糸膜ユニット11と第2中空糸膜ユニット12について、詳細に説明する。
図2Aに示すように、第1中空糸膜ユニット11は、複数の第1中空糸膜16により構成されている。第1中空糸膜ユニット11は、複数の第1中空糸膜16を束ね、各第1中空糸膜16の両端が開口している状態でポッティング材によりポッティングされている。ポッティング材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられる。第1中空糸膜ユニット11の一端部には継手部17Aが設けられ、第1中空糸膜ユニット11の他端部には継手部17Bが設けられている。後述する被加湿ガス20の流れる方向に対し、上流側に第1中空糸膜ユニット11の一端部が配され、下流側に第1中空糸膜ユニット11の他端部が配される。
第1中空糸膜16は、中空のチューブである。第1中空糸膜16の外径は、例えば1.0mm以上1.3mm以下の範囲内であることが好ましい。第1中空糸膜16の壁部の厚み(膜厚)は、例えば0.11mm以上0.15mm以下の範囲内であることが好ましい。第1中空糸膜16としては、例えばナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)等が用いられる。第1中空糸膜16の内部と外部とにそれぞれ水分含量の異なる流体が供給された場合、水分含量の多い流体中の水分子が第1中空糸膜16の壁部を透過して水分含量の少ない流体へ移動する。例えば第1中空糸膜16の内部と外部とにそれぞれ水分含量の異なる水蒸気が供給された場合、水分子の移動速度は、第1中空糸膜16の内部の水蒸気分圧と外部の水蒸気分圧との分圧差に比例し、分圧差が大きいほど速くなる。また、例えば第1中空糸膜16の内部に乾燥した空気が供給され、第1中空糸膜16の外部に液体としてのイオン交換水が供給された場合、イオン交換水の水分子は、第1中空糸膜16の壁部を透過し、乾燥した空気へ移動する。このように、第1中空糸膜16は、水分含量の多い流体中の水分子を水分含量の少ない流体へ移動させる性質を有する。第1中空糸膜16の長さL1は、継手部17Aと継手部17Bとの間の長さである。
図2Bに示すように、第2中空糸膜ユニット12は、第1中空糸膜16よりも長い複数の第2中空糸膜18により構成されている。第2中空糸膜ユニット12は、複数の第2中空糸膜18を束ね、各第2中空糸膜18の両端が開口している状態でポッティング材によりポッティングされている。ポッティング材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられる。第2中空糸膜ユニット12の一端部には継手部19Aが設けられ、第2中空糸膜ユニット12の他端部には継手部19Bが設けられている。後述する被加湿ガス20の流れる方向に対し、上流側に第2中空糸膜ユニット12の一端部が配され、下流側に第2中空糸膜ユニット12の他端部が配される。
第2中空糸膜18は、中空のチューブである。第2中空糸膜18の外径は、例えば1.0mm以上1.3mm以下の範囲内であることが好ましい。第2中空糸膜18の壁部の厚み(膜厚)は、例えば0.11mm以上0.15mm以下の範囲内であることが好ましい。第2中空糸膜18としては、例えばナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)等が用いられる。第2中空糸膜18は、第1中空糸膜16と同様に、内部と外部とにそれぞれ水分含量の異なる流体が供給された場合に、水分含量の多い流体中の水分子を水分含量の少ない流体へ移動させる性質を有する。第2中空糸膜18の長さL2は、継手部19Aと継手部19Bとの間の長さである。第1中空糸膜16の長さL1と第2中空糸膜18の長さL2との間にはL1<L2の関係が成り立つ。
被加湿ガス供給部13は、第1中空糸膜16の内部と第2中空糸膜18の内部とに被加湿ガス20を供給するように構成されている(図1参照)。本実施形態では、第1中空糸膜16の内部に供給する被加湿ガス20と、第2中空糸膜18の内部に供給する被加湿ガス20とは、同じガスである。各被加湿ガス20を区別する場合は、第1中空糸膜16の内部に供給する被加湿ガス20を第1被加湿ガス20Aと示し、第2中空糸膜18の内部に供給する被加湿ガス20を第2被加湿ガス20Bと示す。被加湿ガス20は乾燥した状態(相対湿度0%近辺)の空気が好ましい。以下の説明では、相対湿度を「湿度」と言う場合もある。被加湿ガス20としては、例えば相対湿度0.002%の限りなく乾燥した空気が用いられる。
本実施形態では、被加湿ガス供給部13は、被加湿ガス20を貯留するガス源21と、ガス源21と接続する原料ガス経路22と、原料ガス経路22に設けられた流量計23と、原料ガス経路22と第1中空糸膜ユニット11とを接続する第1分岐経路24と、原料ガス経路22と第2中空糸膜ユニット12とを接続する第2分岐経路25とを有する。原料ガス経路22、第1分岐経路24、および第2分岐経路25は、配管により構成されている。第1分岐経路24と第2分岐経路25とは、原料ガス経路22から分岐した構成を有している。原料ガス経路22と第1分岐経路24との接続部分、および原料ガス経路22と第2分岐経路25との接続部分には、図示しない流量調整バルブがそれぞれ設けられている。被加湿ガス20は、ガス源21から原料ガス経路22へ流入する。原料ガス経路22の被加湿ガス20は、第1分岐経路24を介して第1中空糸膜ユニット11の内部に供給され、かつ、第2分岐経路25介して第2中空糸膜ユニット12の内部に供給される。
流量計23は、原料ガス経路22を流通する被加湿ガス20の流量を検出する。本実施形態では、被加湿ガス20が10~100L/minの範囲内の特定の流量に維持されている。被加湿ガス20の流量は、例えば流量調整バルブ等により制御される。被加湿ガス20としての第1被加湿ガス20Aの流量と、被加湿ガス20としての第2被加湿ガス20Bの流量とは、本実施形態では同じ数値である。
高湿流体供給部14は、第1中空糸膜16の外部と第2中空糸膜18の外部とに被加湿ガス20よりも高湿の高湿流体26を供給するように構成されている。高湿流体26は、気体または液体である。気体としては、例えば水蒸気等が用いられる。液体としては、例えばイオン交換水等が用いられる。高湿流体26はイオン交換水が好ましい。
高湿流体供給部14は、本実施形態では、高湿流体26を収容し、高湿流体26の温度を調整するように構成されている恒温槽である。恒温槽としての高湿流体供給部14は、高湿流体26を収容する槽本体27と、槽本体27の内部に設けられたヒータ28と、槽本体27に収容された高湿流体26の温度を検出する温度計29と、温度計29と電気的に接続し、温度計29が検出した温度に基づき、ヒータ28の温度を制御する温度制御部30とを有する。槽本体27に収容された高湿流体26は、所定の温度(例えば26℃)に保たれる。
高湿流体26を収容した槽本体27の内部に、第1中空糸膜ユニット11の複数の第1中空糸膜16と第2中空糸膜ユニット12の複数の第2中空糸膜18とが配される。例えば高湿流体26がイオン交換水である場合は、槽本体27に収容されたイオン交換水の中に複数の第1中空糸膜16と複数の第2中空糸膜18とが浸漬される。
第1中空糸膜ユニット11は、高湿流体26に含まれる水分子を第1中空糸膜16の内部を流通する被加湿ガス20(第1被加湿ガス20A)に移動させ、第1不飽和ガス31を発生させる。第1不飽和ガス31は、第1中空糸膜16の内部を流通する第1被加湿ガス20Aが高湿流体26に含まれる水分子により加湿され、第1中空糸膜16の内部から出た不飽和状態のガスである。本実施形態において、不飽和状態のガスとは、相対湿度が100%未満の状態のガスのことを言うものとする。第1不飽和ガス31の相対湿度は、第1中空糸膜16の長さL1と第1被加湿ガス20Aの流量との少なくともいずれかに基づき定められる。本実施形態では第1被加湿ガス20Aが特定の流量に維持されるので、第1不飽和ガス31の相対湿度は、第1中空糸膜16の長さL1を変更することにより、容易に調整できる。
第2中空糸膜ユニット12は、高湿流体26に含まれる水分子を第2中空糸膜18の内部を流通する被加湿ガス20(第2被加湿ガス20B)に移動させ、第1不飽和ガス31よりも高湿の第2不飽和ガス32を発生させる。第2不飽和ガス32は、第2中空糸膜18の内部を流通する第2被加湿ガス20Bが高湿流体26に含まれる水分子により加湿され、第2中空糸膜18の内部から出た不飽和状態のガスである。第2不飽和ガス32の相対湿度は、第2中空糸膜18の長さL2と第2被加湿ガス20Bの流量に基づき定められる。本実施形態では第2被加湿ガス20Bが特定の流量に維持されるので、第2不飽和ガス32の相対湿度は、第2中空糸膜18の長さL2を変更することにより、容易に調整できる。
第1中空糸膜ユニット11の他端部に設けられた継手部17Bには、第1不飽和ガス31が流通する第1不飽和ガス流通経路35が接続している。第2中空糸膜ユニット12の他端部に設けられた継手部19Bには、第2不飽和ガス32が流通する第2不飽和ガス流通経路36が接続している。第1不飽和ガス流通経路35および第2不飽和ガス流通経路36は、配管により構成されている。
以上のように、不飽和ガス発生装置10は、複数の第1中空糸膜16の内部と複数の第2中空糸膜18の内部とに被加湿ガス20を供給し、複数の第1中空糸膜16の外部と複数の第2中空糸膜18の外部とに高湿流体26を供給するように構成されている。高湿流体26に含まれる水分子は、第1中空糸膜16の壁部を透過して被加湿ガス20としての第1被加湿ガス20Aへ移動し、かつ、第2中空糸膜18の壁部を透過して被加湿ガス20としての第2被加湿ガス20Bへ移動する。高湿流体26に含まれる水分子により加湿された第1被加湿ガス20Aは、第1不飽和ガス31として第1中空糸膜16の内部から出る。高湿流体26に含まれる水分子により加湿された第2被加湿ガス20Bは、第1不飽和ガス31よりも高湿の第2不飽和ガス32として第2中空糸膜18の内部から出る。このように、不飽和ガス発生装置10は、互いに湿度が異なる第1不飽和ガス31と第2不飽和ガス32とを大流量かつ低コストで発生させることができる。
互いに長さが異なる2種の中空糸膜を用いて、中空糸膜の長さと被加湿ガスの流量と不飽和ガスの相対湿度との関係を検証するための実験を行った。実験では、被加湿ガスとして26℃の空気を用い、高湿流体として26℃のイオン交換水を用い、被加湿ガスの流量を10~100L/minの範囲内で変更した。
本実験を行う前に、被加湿ガスの流量を最大の100L/minとした場合でも飽和状態(相対湿度が100%の状態)のガスが発生するような中空糸膜の長さを調べた。この結果、長さ320mmの中空糸膜では、被加湿ガスの流量を最大の100L/minとしても、飽和状態のガスが発生することがわかった。このため、本実験では、中空糸膜の長さを320mmよりも短くし、かつ、被加湿ガスの流量を10~100L/minの範囲内で変更することで、不飽和ガスの相対湿度の変化を調べた。実験では、長さ110mmの中空糸膜を実施例1とし、長さ220mmの中空糸膜を実施例2として用いた。
本実験の結果を図3に示す。図3では、被加湿ガスの流量を横軸に示し、不飽和ガスの相対湿度を縦軸に示している。「〇」のマーカーで示すグラフは、長さ110mmの中空糸膜である実施例1の実験結果である。「△」のマーカーで示すグラフは、長さ220mmの中空糸膜である実施例2の実験結果である。図3より、長さ110mmの中空糸膜である実施例1は、長さ220mmの中空糸膜である実施例2よりも、不飽和ガスの相対湿度が低いことが確認できた。中空糸膜が短いほど不飽和ガスの相対湿度が低くなることがわかる。中空糸膜の長さを変更することにより、不飽和ガスの相対湿度を容易に変更できる。
次に、繊維の吸放湿性試験を行う吸放湿性試験設備40について説明する(図1参照)。
吸放湿性試験設備40は、不飽和ガス発生装置10と、第1チャンバー41と、第2チャンバー42と、試験片収容部44とを備える。
第1チャンバー41は、不飽和ガス発生装置10の第1不飽和ガス流通経路35と接続し、第1不飽和ガス31を受け入れるように構成されている。第1チャンバー41には、例えば、温度25℃、相対湿度30%の第1不飽和ガス31が導入される。
第2チャンバー42は、不飽和ガス発生装置10の第2不飽和ガス流通経路36と接続し、第2不飽和ガス32を受け入れるように構成されている。第2チャンバー42には、例えば、温度25℃、相対湿度80%の第2不飽和ガス32が導入される。
試験片収容部44は、試験片43を収容し、第1チャンバー41の内部と第2チャンバー42の内部との間を移動するように構成されている。試験片43は、例えば、吸湿性と放湿性とを有する繊維等である。試験片43は、例えばホルダーにより試験片収容部44に固定されている。
本実施形態では、吸放湿性試験設備40は、試験片43の質量を検出する質量計45と、質量計45が検出した質量に基づき、第1チャンバー41と第2チャンバー42と間で試験片収容部44を移動させる制御部46とを更に備える。質量計45としては、例えば電子天秤が用いられる。
制御部46は、質量計45と電気的に接続しており、質量計45が検出した試験片43の質量を取得する。本実施形態では、制御部46は、所定の時間が経過するごとに、質量計45から試験片43の質量を取得する。
試験片収容部44が第1チャンバー41の内部に配置されている場合、制御部46は、試験片43が放湿恒量となったときに、試験片収容部44を第2チャンバー42の内部へ移動させる。また、試験片収容部44が第2チャンバー42の内部に配置されている場合、制御部46は、試験片43が吸湿恒量となったときに、試験片収容部44を第1チャンバー41の内部へ移動させる。
制御部46は、試験片43の質量を測定しながら試験片収容部44を第1チャンバー41と第2チャンバー42との間で移動させ、測定した試験片43の質量に基づき、試験片43の吸湿量、吸湿率、吸湿速度を算出する。具体的には、まず、制御部46は、第1チャンバー41の内部に試験片収容部44を移動させ、試験片43が放湿恒量となるまで放湿させる。制御部46は、試験片43が放湿恒量となったときに、試験片43の質量の測定を開始し、試験片収容部44を第1チャンバー41の内部から第2チャンバー42の内部へ移動させ、試験片43が吸湿恒量となるまで吸湿させる。制御部46は、試験片43が吸湿恒量となったときに、試験片収容部44を第2チャンバー42の内部から第1チャンバー41の内部へ移動させ、試験片43が放湿恒量となるまで放湿させる。制御部46は、試験片43が放湿恒量となったときに、試験片43の質量の測定を終了する。制御部46は、測定した試験片43の質量に基づき、試験片43の吸湿量、吸湿率、吸湿速度を算出する。制御部46が算出した試験片43の吸湿量、吸湿率、吸湿速度に基づき、試験片43の吸放湿性を評価することができる。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、第1中空糸膜16の長さL1と第2中空糸膜18の長さL2とを変更することにより、第1不飽和ガス31の相対湿度と第2不飽和ガス32の相対湿度とを調整している。第2実施形態では、被加湿ガス20を供給する第1中空糸膜16の本数と、被加湿ガス20を供給する第2中空糸膜18の本数とを変更することにより、第1不飽和ガス31の相対湿度と第2不飽和ガス32の相対湿度とを調整する。
図4に示すように、第2実施形態の不飽和ガス発生装置50は、第1中空糸膜ユニット11、第2中空糸膜ユニット12、被加湿ガス供給部13、および高湿流体供給部14に加え、第1中空糸膜ユニット11の両端部に設けられた第1シール部51A,51Bと、第2中空糸膜ユニット12の両端部に設けられた第2シール部52A,52Bとを更に備える。上記第1実施形態の不飽和ガス発生装置10と同じ部材については、同じ符号を付して説明を省略する。
第1シール部51Aは、第1中空糸膜ユニット11の一端部に設けられた継手部17Aに固定されている。第1シール部51Bは、第1中空糸膜ユニット11の他端部に設けられた継手部17Bに固定されている。第1シール部51Aと第1シール部51Bとは、互いに同じ構成を有している。したがって、第1シール部51Aのみ図面を用いて説明し、第1シール部51Bは図面を省略する。
図5Aに示すように、第1シール部51Aは、環状に形成されている。第1シール部51Aは、カバー部53と貫通穴54とを有する。図示していないが、第1シール部51Bもカバー部53と貫通穴54とを有する。カバー部53は、複数の第1中空糸膜16のうち、一部の第1中空糸膜16の開口を塞ぐように設けられている。貫通穴54は、複数の第1中空糸膜16のうち、カバー部53が設けられていない残りの一部の第1中空糸膜16の開口を露出させるように設けられている。第1シール部51Aの場合、カバー部53は第1中空糸膜16の上流側の開口としての入口を塞ぎ、貫通穴54は第1中空糸膜16の上流側の開口としての入口を露出させる。第1シール部51Bの場合、カバー部53は第1中空糸膜16の下流側の開口としての出口を塞ぎ、貫通穴54は第1中空糸膜16の下流側の開口としての出口を露出させる。第1シール部51A,51Bの各カバー部53は、本発明の「第1カバー部」に対応し、第1シール部51A,51Bの各貫通穴54は、本発明の「第1貫通穴」に対応する。また、説明の便宜上、カバー部53により開口の全部が塞がれている第1中空糸膜16を第1中空糸膜16Aとし、貫通穴54から開口の全部または一部が露出している第1中空糸膜16を第1中空糸膜16Bとする。
第1シール部51Aは、第1中空糸膜16Aの入口への第1被加湿ガス20Aの流入を防止し、かつ、第1中空糸膜16Bの入口への第1被加湿ガス20Aの流入を許容する。第1中空糸膜ユニット11の一端部に第1シール部51Aを設けることにより、第1被加湿ガス20Aが供給される第1中空糸膜16の本数が少なくなるので、第1不飽和ガス31の相対湿度が低下する。
第1シール部51Bは、第1中空糸膜16Bの出口からの第1不飽和ガス31の流出を許容し、かつ、第1中空糸膜16Bの出口から流出した第1不飽和ガス31の、第1中空糸膜16Aの出口への流入を防止する。すなわち、第1シール部51Bは、第1中空糸膜16Bの出口から出た第1不飽和ガス31が、別の1中空糸膜16Aの出口へ巻き込まれて入ることを防止する機能を有する。
この例では第1中空糸膜ユニット11の一端部に第1シール部51Aを設け、更に第1中空糸膜ユニット11の他端部に第1シール部51Bを設けているが、仮に第1中空糸膜ユニット11の他端部に第1シール部51Bを設けない場合は、第1不飽和ガス31が第1中空糸膜16Aの出口から入ることがある。第1不飽和ガス31が第1中空糸膜16Aの出口から入った場合、第1中空糸膜16Aへ入った第1不飽和ガス31は、第1中空糸膜16Aの外部に供給されている高湿流体26に含まれる水分子により加湿される。加湿された第1不飽和ガス31は、第1中空糸膜16Aの出口から出ることにより、第1中空糸膜16Bの出口から出た第1不飽和ガス31と混合する。このため、第1不飽和ガス31が第1中空糸膜16Aの出口から入った場合、第1中空糸膜ユニット11から出る最終的な第1不飽和ガス31の相対湿度は、第1中空糸膜16Bの出口から出た時点での第1不飽和ガス31の相対湿度よりも高くなる。また、第1中空糸膜16Aの出口に入る第1不飽和ガス31の流量の調整が難しいため、第1中空糸膜ユニット11から出る最終的な第1不飽和ガス31の相対湿度を高精度に調整することが難しくなる。第2実施形態では、第1中空糸膜ユニット11の一端部に第1シール部51Aを設け、更に第1中空糸膜ユニット11の他端部に第1シール部51Bを設けていることにより、相対湿度が高精度に調節された第1不飽和ガス31を発生することができる。
第2シール部52Aは、第2中空糸膜ユニット12の一端部に設けられた継手部19Aに固定されている。第2シール部52Bは、第2中空糸膜ユニット12の他端部に設けられた継手部19Bに固定されている。第2シール部52Aと第2シール部52Bとは、互いに同じ構成を有している。したがって、第2シール部52Aのみ図面を用いて説明し、第2シール部52Bは図面を省略する。
図5Bに示すように、第2シール部52Aは、環状に形成されている。第2シール部52Aは、カバー部55と貫通穴56とを有する。図示していないが、第2シール部52Bもカバー部55と貫通穴56とを有する。カバー部55は、複数の第2中空糸膜18のうち、一部の第2中空糸膜18の開口を塞ぐように設けられている。貫通穴56は、複数の第2中空糸膜18のうち、カバー部55が設けられていない残りの一部の第2中空糸膜18の開口を露出させるように設けられている。第2シール部52Aの場合、カバー部55は第2中空糸膜18の上流側の開口としての入口を塞ぎ、貫通穴56は第2中空糸膜18の上流側の開口としての入口を露出させる。第2シール部52Bの場合、カバー部55は第2中空糸膜18の下流側の開口としての出口を塞ぎ、貫通穴56は第2中空糸膜18の下流側の開口としての出口を露出させる。第2シール部52A,52Bの各カバー部55は、本発明の「第2カバー部」に対応し、第2シール部52A,52Bの各貫通穴56は、本発明の「第2貫通穴」に対応する。また、説明の便宜上、カバー部55により開口の全部が塞がれている第2中空糸膜18を第2中空糸膜18Aとし、貫通穴56から開口の全部または一部が露出している第2中空糸膜18を第2中空糸膜18Bとする。
第2シール部52Aは、第2中空糸膜18Aの入口への第2被加湿ガス20Bの流入を防止し、第2中空糸膜18Bの入口への第2被加湿ガス20Bの流入を許容する。第2中空糸膜ユニット12の一端部に第2シール部52Aを設けることにより、第2被加湿ガス20Bが供給される第2中空糸膜18の本数が少なくなるので、第2不飽和ガス32の相対湿度が低下する。
第2シール部52Bは、第2中空糸膜18Bの出口からの第2不飽和ガス32の流出を許容し、かつ、第2中空糸膜18Bの出口から流出した第2不飽和ガス32の、第2中空糸膜18Aの出口への流入を防止する。第2シール部52Bは、第1シール部51Bと同様の機能を有する。すなわち、第2シール部52Bは、第2中空糸膜18Bの出口から出た第2不飽和ガス32が、別の第2中空糸膜18Aの出口へ巻き込まれて入ることを防止する機能を有する。
この例では第2中空糸膜ユニット12の一端部に第2シール部52Aを設け、更に第2中空糸膜ユニット12の他端部に第2シール部52Bを設けているが、仮に第2中空糸膜ユニット12の他端部に第2シール部52Bを設けない場合は、第2不飽和ガス32が第2中空糸膜18Aの出口から入ることがある。第2不飽和ガス32が第2中空糸膜18Aの出口から入った場合、第2中空糸膜ユニット12から出る最終的な第2不飽和ガス32の相対湿度は、第2中空糸膜18Bの出口から出た時点での第2不飽和ガス32の相対湿度よりも高くなる。また、第2中空糸膜18Aの出口に入る第2不飽和ガス32の流量の調整が難しいため、第2中空糸膜ユニット12から出る最終的な第2不飽和ガス32の相対湿度を高精度に調整することが難しくなる。第2実施形態では、第2中空糸膜ユニット12の一端部に第2シール部52Aを設け、更に第2中空糸膜ユニット12の他端部に第2シール部52Bを設けていることにより、相対湿度が高精度に調節された第2不飽和ガス32を発生することができる。
以上のように、不飽和ガス発生装置50は、互いに湿度が異なる第1不飽和ガス31と第2不飽和ガス32とを大流量かつ低コストで発生させることができる。不飽和ガス発生装置50は、上記第1実施形態の不飽和ガス発生装置10の代わりに、吸放湿性試験設備40(図1参照)に用いても良い。
シール部の効果を確認するための実験を行った。実験は、両端部にシール部を設けた中空糸膜を実施例3とし、被加湿ガスが流入する上流側の一端部にのみシール部を設けた中空糸膜を実施例4とし、両端部にシール部を設けていない中空糸膜を実施例5とした。被加湿ガスとして26℃の空気、高湿流体として26℃のイオン交換水を用い、被加湿ガスの流量を5~50L/minの範囲内で変更した。本実験に用いた各中空糸膜の長さは、110mmとした。本実験の結果を図6に示す。図6では、被加湿ガスの流量を横軸に示し、不飽和ガスの相対湿度を縦軸に示している。「●」のマーカーで示すグラフは、両端部にシール部を設けた中空糸膜である実施例3の実験結果である。「△」のマーカーで示すグラフは、被加湿ガスが流入する上流側の一端部にのみシール部を設けた中空糸膜である実施例4の実験結果である。「×」のマーカーで示すグラフは、両端部にシール部を設けていない中空糸膜である実施例5の実験結果である。図6より、実施例3,4と実施例5とを比べると、シール部を設けた実施例3,4は、シール部を設けていない実施例5よりも、不飽和ガスの相対湿度が低いことが確認できた。また、実施例3と実施例4とを比べると、両端部にシール部を設けた実施例3は、一端部にのみシール部を設けた実施例4よりも、不飽和ガスの相対湿度が低いことが確認できた。この結果より、両端部にシール部を設けた実施例3では、他端部に設けたシール部により、中空糸膜の出口から出た不飽和ガスが、別の中空糸膜の出口へ巻き込まれて入ることが防止されていることがわかった。
[第3実施形態]
第3実施形態では、第1中空糸膜ユニット11が発生する第1不飽和ガス31に被加湿ガス20を混合し、第2中空糸膜ユニット12が発生する第2不飽和ガス32に被加湿ガス20を混合することにより、第1不飽和ガス31の湿度と第2不飽和ガス32の湿度とを補正する。
図7に示すように、第3実施形態の不飽和ガス発生装置60は、第1中空糸膜ユニット11、第2中空糸膜ユニット12、被加湿ガス供給部13、および高湿流体供給部14に加え、第1不飽和ガス31の湿度を補正する第1湿度補正部61と、第2不飽和ガス32の湿度を補正する第2湿度補正部62とを更に備える。
第1湿度補正部61は、第1分岐経路24と第1不飽和ガス流通経路35とに接続し、被加湿ガス20(第1被加湿ガス20A)を第1不飽和ガス31に混合する第1補正用経路63と、第1補正用経路63に設けられた流量計64とを有する。第1補正用経路63は、配管により構成されている。第1補正用経路63には第1被加湿ガス20Aが流入する。流量計64は、第1補正用経路63を流通する第1被加湿ガス20Aの流量を検出する。図示していないが、第1分岐経路24と第1補正用経路63との接続部分には流量調整バルブが設けられ、第1中空糸膜ユニット11の下流には湿度計が設けられている。当該湿度計が検出した湿度と流量計64が検出した流量とに基づき、流量調整バルブの開度を調整し、第1補正用経路63に対し所定の流量の第1被加湿ガス20Aを流入させることができる。第1中空糸膜16の出口から流出した第1不飽和ガス31に対し、第1補正用経路63を流通する第1被加湿ガス20Aが混合することにより、湿度を補正した補正後の第1不飽和ガス71が生成される。
第2湿度補正部62は、第2分岐経路25と第2不飽和ガス流通経路36とに接続し、被加湿ガス20(第2被加湿ガス20B)を第2不飽和ガス32に混合する第2補正用経路66と、第2補正用経路66に設けられた流量計67とを有する。第2補正用経路66は、配管により構成されている。第2補正用経路66には第2被加湿ガス20Bが流入する。流量計67は、第2補正用経路66を流通する第2被加湿ガス20Bの流量を検出する。図示していないが、第2分岐経路25と第2補正用経路66との接続部分には流量調整バルブが設けられ、第2中空糸膜ユニット12の下流には湿度計が設けられている。当該湿度計が検出した湿度と流量計67が検出した流量とに基づき、流量調整バルブの開度を調整し、第2補正用経路66に対し所定の流量の第2被加湿ガス20Bを流入させることができる。第2中空糸膜18Bの出口から流出した第2不飽和ガス32に対し、第2補正用経路66を流通する第2被加湿ガス20Bが混合することにより、湿度を補正した補正後の第2不飽和ガス72が生成される。
以上のように、不飽和ガス発生装置60は、互いに湿度が異なる補正後の第1不飽和ガス71と補正後の第2不飽和ガス72とを大流量かつ低コストで発生させることができる。不飽和ガス発生装置60は、上記第1実施形態の不飽和ガス発生装置10の代わりに、吸放湿性試験設備40(図1参照)に用いても良い。
[第4実施形態]
第4実施形態では、複数の第1中空糸膜ユニットを有する第1中空糸膜モジュールと、複数の第2中空糸膜ユニットを有する第2中空糸膜モジュールとを備え、被加湿ガスを供給する第1中空糸膜ユニットの組み合わせを変更することにより第1不飽和ガスの相対湿度を制御し、かつ、被加湿ガスを供給する第2中空糸膜ユニットの組み合わせを変更することにより第2不飽和ガスの相対湿度を制御する。
図8に示すように、第4実施形態の不飽和ガス発生装置80は、第1中空糸膜モジュール81と、第2中空糸膜モジュール82と、被加湿ガス供給部13と、高湿流体供給部14とを備える。上記第1実施形態の不飽和ガス発生装置10と同じ部材については、同じ符号を付して説明を省略する。
第1中空糸膜モジュール81は、第1分岐経路24と第1不飽和ガス流通経路35とを接続する。第2中空糸膜モジュール82は、第2分岐経路25と第2不飽和ガス流通経路36とを接続する。
図9に示すように、第1中空糸膜モジュール81は、4つの第1中空糸膜ユニット91A~91Dを有する。第1中空糸膜ユニットは、この例では4つであるが、これに限られない。第1中空糸膜ユニット91Aは、複数の第1中空糸膜96Aにより構成されている。第1中空糸膜ユニット91Aは、複数の第1中空糸膜96Aを束ね、各第1中空糸膜96Aの両端が開口している状態でポッティング材によりポッティングされている。ポッティング材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられる。第1中空糸膜ユニット91Aの一端部には継手部17Aが設けられ、第1中空糸膜ユニット91Aの他端部には継手部17Bが設けられている。
第1中空糸膜ユニット91B~91Dは、第1中空糸膜の長さが異なること以外は第1中空糸膜ユニット91Aと同じ構成を有している。すなわち、第1中空糸膜ユニット91A~91Dは、第1中空糸膜の長さが互いに異なる。第1中空糸膜ユニット91Bは、第1中空糸膜96Aよりも短い第1中空糸膜96Bにより構成されている。第1中空糸膜ユニット91Cは、第1中空糸膜96Bよりも短い第1中空糸膜96Cにより構成されている。第1中空糸膜ユニット91Dは、第1中空糸膜96Cよりも短い第1中空糸膜96Dにより構成されている。第1中空糸膜ユニット91B~91Dの各一端部には継手部17Aが設けられ、第1中空糸膜ユニット91B~91Dの各他端部には継手部17Bが設けられている。被加湿ガス20の流れる方向に対し、上流側に第1中空糸膜ユニット91A~91Dの一端部が配され、下流側に第1中空糸膜ユニット91A~91Dの他端部が配される。
第1中空糸膜モジュール81は、第1中空糸膜ユニット91A~91Dに加え、第1分岐経路24と第1不飽和ガス流通経路35とを接続する5つの接続経路100~104と、接続経路100に設けられた切替バルブV0と、接続経路101に設けられた切替バルブV1A,V1Bと、接続経路102に設けられた切替バルブV2A,V2Bと、接続経路103に設けられた切替バルブV3A,V3Bと、接続経路104に設けられた切替バルブV4A,V4Bとを更に有する。接続経路100~104は、配管によりそれぞれ構成されている。第1中空糸膜モジュール81の各切替バルブは、本発明の「第1切替バルブ」に対応する。第1中空糸膜ユニット91Aは、接続経路101に設けられている。第1中空糸膜ユニット91Bは、接続経路102に設けられている。第1中空糸膜ユニット91Cは、接続経路103に設けられている。第1中空糸膜ユニット91Dは、接続経路104に設けられている。
第1中空糸膜モジュール81は、切替バルブV0、切替バルブV1A,V1B、切替バルブV2A,V2B、切替バルブV3A,V3B、および切替バルブV4A,V4Bの開状態と閉状態との切り替えを行う第1バルブ制御部106を更に有する。第1バルブ制御部106は、第1中空糸膜モジュール81の各切替バルブと電気的に接続している。
切替バルブV0が開状態である場合は、接続経路100から第1不飽和ガス流通経路35へ第1被加湿ガス20Aが流入する。切替バルブV0が閉状態である場合は、接続経路100から第1不飽和ガス流通経路35へ第1被加湿ガス20Aが流入しない。
切替バルブV1Aは、第1中空糸膜ユニット91Aの一端部に配置されている。切替バルブV1Bは、第1中空糸膜ユニット91Aの他端部に配置されている。切替バルブV1A,V1Bが開状態である場合は、接続経路101から第1中空糸膜96Aの内部へ第1被加湿ガス20Aが流入する。切替バルブV1A,V1Bが閉状態である場合は、接続経路101から第1中空糸膜96Aの内部へ第1被加湿ガス20Aが流入しない。第1中空糸膜ユニット91Aは、切替バルブV1A,V1Bが開状態である場合に、第1不飽和ガス111Aを発生する。第1不飽和ガス111Aの相対湿度は、例えば略100%である。
切替バルブV2Aは、第1中空糸膜ユニット91Bの一端部に配置されている。切替バルブV2Bは、第1中空糸膜ユニット91Bの他端部に配置されている。切替バルブV2A,V2Bが開状態である場合は、接続経路102から第1中空糸膜96Bの内部へ第1被加湿ガス20Aが流入する。切替バルブV2A,V2Bが閉状態である場合は、接続経路102から第1中空糸膜96Bの内部へ第1被加湿ガス20Aが流入しない。第1中空糸膜ユニット91Bは、切替バルブV2A,V2Bが開状態である場合に、第1不飽和ガス111Bを発生する。第1不飽和ガス111Bの相対湿度は、例えば80%である。
切替バルブV3Aは、第1中空糸膜ユニット91Cの一端部に配置されている。切替バルブV3Bは、第1中空糸膜ユニット91Cの他端部に配置されている。切替バルブV3A,V3Bが開状態である場合は、接続経路103から第1中空糸膜96Cの内部へ第1被加湿ガス20Aが流入する。切替バルブV3A,V3Bが閉状態である場合は、接続経路103から第1中空糸膜96Cの内部へ第1被加湿ガス20Aが流入しない。第1中空糸膜ユニット91Cは、切替バルブV3A,V3Bが開状態である場合に、第1不飽和ガス111Cを発生する。第1不飽和ガス111Cの相対湿度は、例えば40%である。
切替バルブV4Aは、第1中空糸膜ユニット91Dの一端部に配置されている。切替バルブV4Bは、第1中空糸膜ユニット91Dの他端部に配置されている。切替バルブV4A,V4Bが開状態である場合は、接続経路104から第1中空糸膜96Dの内部へ第1被加湿ガス20Aが流入する。切替バルブV4A,V4Bが閉状態である場合は、接続経路104から第1中空糸膜96Dの内部へ第1被加湿ガス20Aが流入しない。第1中空糸膜ユニット91Dは、切替バルブV4A,V4Bが開状態である場合に、第1不飽和ガス111Dを発生する。第1不飽和ガス111Dの相対湿度は、例えば20%である。
第1中空糸膜モジュール81は、上述したように、複数の第1中空糸膜により構成され、第1中空糸膜の長さが互いに異なる複数の第1中空糸膜ユニット91A~91Dと、各々の第1中空糸膜ユニット91A~91Dの両端部に配置された複数の第1切替バルブとしての切替バルブV0、V1A,V1B、V2A,V2B、V3A,V3B、V4A,V4Bと、複数の切替バルブの切り替えを行う第1バルブ制御部106とを有する。第1中空糸膜モジュール81は、切替バルブV1A,V1B、切替バルブV2A,V2B、切替バルブV3A,V3B、および切替バルブV4A,V4Bの開状態と閉状態との切り替えを第1バルブ制御部106が行うことにより、被加湿ガス20としての第1被加湿ガス20Aを供給する第1中空糸膜ユニット91A~91Dの組み合わせを変更し、第1不飽和ガス111A~111Dの少なくともいずれかを発生する。第1中空糸膜モジュール81は、切替バルブV0を開状態とすることにより、第1不飽和ガス111A~111Dに対し第1被加湿ガス20Aを混合することができる。第1中空糸膜モジュール81は、互いに湿度が異なる第1不飽和ガス111A~111Dと第1被加湿ガス20Aとを用いて、相対湿度を調整した調整後の第1不飽和ガス121を発生する。
図10に示すように、第2中空糸膜モジュール82は、4つの第2中空糸膜ユニット92A~92Dを有する。第2中空糸膜ユニットは、この例では4つであるが、これに限られない。第2中空糸膜ユニット92Aは、複数の第2中空糸膜98Aにより構成されている。第2中空糸膜ユニット92Aは、複数の第2中空糸膜98Aを束ね、各第2中空糸膜98Aの両端が開口している状態でポッティング材によりポッティングされている。ポッティング材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられる。第2中空糸膜ユニット92Aの一端部には継手部19Aが設けられ、第2中空糸膜ユニット92Aの他端部には継手部19Bが設けられている。
第2中空糸膜ユニット92B~92Dは、第2中空糸膜の長さが異なること以外は第2中空糸膜ユニット92Aと同じ構成を有している。すなわち、第2中空糸膜ユニット92A~92Dは、第2中空糸膜の長さが互いに異なる。第2中空糸膜ユニット92Bは、第2中空糸膜98Aよりも短い第2中空糸膜98Bにより構成されている。第2中空糸膜ユニット92Cは、第2中空糸膜98Bよりも短い第2中空糸膜98Cにより構成されている。第2中空糸膜ユニット92Dは、第2中空糸膜98Cよりも短い第2中空糸膜98Dにより構成されている。第2中空糸膜ユニット92B~92Dの各一端部には継手部19Aが設けられ、第2中空糸膜ユニット92B~92Dの各他端部には継手部19Bが設けられている。被加湿ガス20の流れる方向に対し、上流側に第2中空糸膜ユニット92A~92Dの一端部が配され、下流側に第2中空糸膜ユニット92A~92Dの他端部が配される。
第2中空糸膜モジュール82は、第2中空糸膜ユニット92A~92Dに加え、第1中空糸膜モジュール81と同様に、接続経路100~104と、切替バルブV0と、切替バルブV1A,V1Bと、切替バルブV2A,V2Bと、切替バルブV3A,V3Bと、切替バルブV4A,V4Bとを更に有する。第2中空糸膜モジュール82の各切替バルブは、本発明の「第2切替バルブ」に対応する。第2中空糸膜ユニット92Aは、接続経路101に設けられている。第2中空糸膜ユニット92Bは、接続経路102に設けられている。第2中空糸膜ユニット92Cは、接続経路103に設けられている。第2中空糸膜ユニット92Dは、接続経路104に設けられている。
第2中空糸膜モジュール82は、切替バルブV0、切替バルブV1A,V1B、切替バルブV2A,V2B、切替バルブV3A,V3B、および切替バルブV4A,V4Bの開状態と閉状態との切り替えを行う第2バルブ制御部108を更に有する。第2バルブ制御部108は、第2中空糸膜モジュール82の各切替バルブと電気的に接続している。
切替バルブV0が開状態である場合は、接続経路100から第2不飽和ガス流通経路36へ第2被加湿ガス20Bが流入する。切替バルブV0が閉状態である場合は、接続経路100から第2不飽和ガス流通経路36へ第2被加湿ガス20Bが流入しない。
切替バルブV1Aは、第2中空糸膜ユニット92Aの一端部に配置されている。切替バルブV1Bは、第2中空糸膜ユニット92Aの他端部に配置されている。切替バルブV1A,V1Bが開状態である場合は、接続経路101から第2中空糸膜98Aの内部へ第2被加湿ガス20Bが流入する。切替バルブV1A,V1Bが閉状態である場合は、接続経路101から第2中空糸膜98Aの内部へ第2被加湿ガス20Bが流入しない。第2中空糸膜ユニット92Aは、切替バルブV1A,V1Bが開状態である場合に、第2不飽和ガス112Aを発生する。第2不飽和ガス112Aの相対湿度は、例えば略100%である。
切替バルブV2Aは、第2中空糸膜ユニット92Bの一端部に配置されている。切替バルブV2Bは、第2中空糸膜ユニット92Bの他端部に配置されている。切替バルブV2A,V2Bが開状態である場合は、接続経路102から第2中空糸膜98Bの内部へ第2被加湿ガス20Bが流入する。切替バルブV2A,V2Bが閉状態である場合は、接続経路102から第2中空糸膜98Bの内部へ第2被加湿ガス20Bが流入しない。第2中空糸膜ユニット92Bは、切替バルブV2A,V2Bが開状態である場合に、第2不飽和ガス112Bを発生する。第2不飽和ガス112Bの相対湿度は、例えば80%である。
切替バルブV3Aは、第2中空糸膜ユニット92Cの一端部に配置されている。切替バルブV3Bは、第2中空糸膜ユニット92Cの他端部に配置されている。切替バルブV3A,V3Bが開状態である場合は、接続経路103から第2中空糸膜98Cの内部へ第2被加湿ガス20Bが流入する。切替バルブV3A,V3Bが閉状態である場合は、接続経路103から第2中空糸膜98Cの内部へ第2被加湿ガス20Bが流入しない。第2中空糸膜ユニット92Cは、切替バルブV3A,V3Bが開状態である場合に、第2不飽和ガス112Cを発生する。第2不飽和ガス112Cの相対湿度は、例えば40%である。
切替バルブV4Aは、第2中空糸膜ユニット92Dの一端部に配置されている。切替バルブV4Bは、第2中空糸膜ユニット92Dの他端部に配置されている。切替バルブV4A,V4Bが開状態である場合は、接続経路104から第2中空糸膜98Dの内部へ第2被加湿ガス20Bが流入する。切替バルブV4A,V4Bが閉状態である場合は、接続経路104から第2中空糸膜98Dの内部へ第2被加湿ガス20Bが流入しない。第2中空糸膜ユニット92Dは、切替バルブV4A,V4Bが開状態である場合に、第2不飽和ガス112Dを発生する。第2不飽和ガス112Dの相対湿度は、例えば20%である。
第2中空糸膜モジュール82は、上述したように、複数の第2中空糸膜により構成され、第2中空糸膜の長さが互いに異なる複数の第2中空糸膜ユニット92A~92Dと、各々の第2中空糸膜ユニット92A~92Dの両端部に配置された複数の第2切替バルブとしての切替バルブV0、V1A,V1B、V2A,V2B、V3A,V3B、V4A,V4Bと、複数の切替バルブの切り替えを行う第2バルブ制御部108とを有する。第2中空糸膜モジュール82は、切替バルブV1A,V1B、切替バルブV2A,V2B、切替バルブV3A,V3B、および切替バルブV4A,V4Bの開状態と閉状態との切り替えを第2バルブ制御部108が行うことにより、被加湿ガス20としての第2被加湿ガス20Bを供給する第2中空糸膜ユニット92A~92Dの組み合わせを変更し、第2不飽和ガス112A~112Dの少なくともいずれかを発生する。第2中空糸膜モジュール82は、切替バルブV0を開状態とすることにより、第2不飽和ガス112A~112Dに対し第2被加湿ガス20Bを混合することができる。第2中空糸膜モジュール82は、互いに湿度が異なる第2不飽和ガス112A~112Dと第2被加湿ガス20Bとを用いて、相対湿度を調整した調整後の第2不飽和ガス122を発生する。
図11は、調整後の第1不飽和ガス121の相対湿度と、調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度と、切替バルブV0、切替バルブV1A,V1B、切替バルブV2A,V2B、切替バルブV3A,V3B、および切替バルブV4A,V4Bの開閉状態との関係を説明する説明図である。図11において、調整後の第1不飽和ガス121の相対湿度または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を「調整後の不飽和ガスの相対湿度」と示している。
調整後の第1不飽和ガス121または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を90%とする場合は、切替バルブV1A,V1Bと切替バルブV2A,V2Bのみを開状態とする。調整後の第1不飽和ガス121または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を80%とする場合は、切替バルブV2A,V2Bのみを開状態とする。調整後の第1不飽和ガス121または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を70%とする場合は、切替バルブV1A,V1Bと切替バルブV3A,V3Bのみを開状態とする。調整後の第1不飽和ガス121または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を60%とする場合は、切替バルブV2A,V2Bと切替バルブV3A,V3Bのみを開状態とする。調整後の第1不飽和ガス121または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を50%とする場合は、切替バルブV2A,V2Bと切替バルブV4A,V4Bのみを開状態とする。調整後の第1不飽和ガス121または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を40%とする場合は、切替バルブV2A,V2Bと切替バルブV0のみを開状態とする。また、図11には示していないが、切替バルブV3A,V3Bのみを開状態とすることにより、相対湿度を40%としても良い。調整後の第1不飽和ガス121または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を30%とする場合は、切替バルブV3A,V3Bと切替バルブV4A,V4Bのみを開状態とする。調整後の第1不飽和ガス121または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を20%とする場合は、切替バルブV3A,V3Bと切替バルブV0のみを開状態とする。また、図11には示していないが、切替バルブV4A,V4Bのみ開状態とすることにより、相対湿度を20%としても良い。調整後の第1不飽和ガス121または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を10%とする場合は、切替バルブV4A,V4Bと切替バルブV0のみを開状態とする。調整後の第1不飽和ガス121または調整後の第2不飽和ガス122の相対湿度を略0%とする場合は、切替バルブV0のみを開状態とする。
以上のように、不飽和ガス発生装置80は、互いに湿度が異なる調整後の第1不飽和ガス121と調整後の第2不飽和ガス122とを大流量かつ低コストで発生させることができる。不飽和ガス発生装置80は、上記第1実施形態の不飽和ガス発生装置10の代わりに、吸放湿性試験設備40(図1参照)に用いても良い。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
上記各実施形態では第1被加湿ガス20Aおよび第2被加湿ガス20Bとして同じガスを用いているが、第1被加湿ガス20Aの経路と第2被加湿ガス20Bの経路とを個別に設け、第1被加湿ガス20Aと第2被加湿ガス20Bとを異なるガスとしても良い。
上記各実施形態では第1分岐経路24を流通する第1被加湿ガス20Aの流量と第2分岐経路25を流通する第2被加湿ガス20Bの流量とが同じであるが、原料ガス経路22と第1分岐経路24と第2分岐経路25との接続部分に流量調整バルブを設け、第1被加湿ガス20Aの流量と第2被加湿ガス20Bの流量とを互いに異なる流量としても良い。