JP7534688B2 - 組成物、フッ素樹脂シート及びその製造方法 - Google Patents

組成物、フッ素樹脂シート及びその製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、組成物、フッ素樹脂シート及びその製造方法に関する。
高周波用プリント配線板において、伝送損失が小さい高周波用プリント配線板が求められている。このような高周波用プリント配線板において、フッ素樹脂フィルムを使用することが公知である(特許文献1等)。また、配線基板材料としてフィラーを配合したフッ素樹脂を使用することについて、特許文献2、3に記載されている。
さらに、特許文献4には、真球状シリカ粒子をフッ素樹脂に配合したフッ素樹脂組成物を回路用基板に使用することが開示されている。
特開2015-8260 特開昭63-259907号公報 特表2022-510017 国際公開2020/145133
本開示は、低誘電率、低損失、低熱膨張という観点において優れた性能を有するフッ素樹脂シートを得るための組成物、薄膜化されたフッ素樹脂シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、
溶融成形不可能であるフッ素樹脂と
(10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m2/g))の比
が0.00001~0.00035のフィラーを含み、フィラーは、10GHzでの誘電正接の値が0.0015以下であることを特徴とする組成物である。
上記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂であることが好ましい
上記ポリテトラフルオロエチレン樹脂は、SSGが2.0~2.3であることが好ましい。
上記ポリテトラフルオロエチレン樹脂は、屈折率が1.2から1.6であることが好ましい。
上記フッ素樹脂は、一次粒子径が0.05~10μmであることが好ましい。
上記フッ素樹脂は、体積基準累積50%径が0.05~40μmであることが好ましい。
上記フィラーは、シリカ粒子であることが好ましい。
上記フィラーは、組成物全量に対する含有量が50wt%以上であることが好ましい。
上記フィラーは、平均粒径が0.5~250μmであることが好ましい。
上記フィラーは、表面をシランカップリング剤でコーティングしたものであることが好ま
しい
本開示は、溶融成形不可能であるフッ素樹脂と(10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の比が0.00001~0.00035のフィラーを含み、
フィラーは、10GHzでの誘電正接の値が0.0015以下である組成物から
なることを特徴とするフッ素樹脂シートでもある。
上記フッ素樹脂シートは、厚みが5~250μmであることが好ましい。
本開示は、フッ素樹脂粒子とフィラーを混合して成膜する工程を有することを特徴とする上述したフッ素樹脂シートの製造方法でもある。
上記製造方法は、フッ素樹脂粒子と無機フィラーのみを混合し、その他の成分を加えることなく成膜することが好ましい。
本開示は、銅箔及び上述したフッ素樹脂フィルムを必須の層とする銅張積層体でもある。
本開示は、上記銅張積層体を有することを特徴とする回路用基板でもある。
本開示の組成物によって得られたフッ素樹脂シートは、低誘電率、低損失、低熱膨張において優れた性能を有する。また、シートを薄膜化することができる。
以下、本開示を詳細に説明する。
フッ素樹脂にフィラーを配合した組成物については多くの検討が行われている。一方、高周波用プリント配線板という分野においては、近年、ますます高水準の、低誘電率、低損失、低膨張という性能が要求されている。このような高水準の低誘電率、低損失、低膨張を得ることについての検討は必ずしも充分ではなかった。
本開示においては、従来にない高水準の、低誘電率、低損失、低膨張を有するフッ素樹脂シートを得るための組成物を提供することを目的とするものである。
(フィラー)
本開示の組成物は、フッ素樹脂とフィラーを含み、(10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の比が0.00035~0.00001であることを特徴とするものである。すなわち、上述した特定のパラメータを満たすフィラーを使用することを特徴とする。
フィラーの誘電正接は、表面の極性官能基による影響を大きく受ける。例えばシリカの場合、表面のSi-OH基の量が、誘電正接に影響を与える。より具体的には、表面のSi-OH基の量が多いほどフィラーの誘電正接が大きくなる。このため、本開示においては、表面のSi-OHの量を少なくすることが好ましいこととなる。
このような観点から、(10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の比は、フィラーの単位表面積あたりの表面極性官能基の量を示す指標となる。本発明者らは、このような表面極性官能基の量を低減させ、上述した所定の範囲内のものとした場合に、特に優れた低誘電率、低損失、低膨張を有するフッ素樹脂シートが得られることを見出し、本開示を完成させたものである。
(10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の比が上述したような範囲内であるようなフィラーとするためには、使用するフィラーの選択に加えて、表面処理を行うことが必要である。すなわち、表面処理によって、フィラー表面に存在する極性官能基を反応させ、極性官能基の量を低減することによって、上述した範囲内のものとすることができる。このような表面処理については、以下で詳述する。
上記(10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の上限は、0.00030あることがより好ましく、0.00025であることが更に好ましい。
本開示において、10GHzで測定したフィラーの誘電正接は、円筒形空洞共振器とネットワークアナライザを用い、フィラー粉体試料を石英管に充填し、共振器内に装荷して測定した。試料挿入前後の共振器の特性(共振周波数とQ値)を取得し、その結果から誘電正接を算出した。本測定法は日本工業規格JIS2565マイクロ波用フェライト磁心試験方法に準拠するものであり、室温25℃、湿度40%の環境下測定を行った。
本開示において、10GHzで測定したフィラーの誘電正接は、特に限定されるものではないが、0.0015以下であることが好ましい。このような値とすることで、フッ素樹脂シートが低損失になるという点で好ましい。上記上限は、0.0025であることがより好ましく、0.002であることが更に好ましい。
本開示において、フィラーの表面積(m/g)は、特に限定されるものではないが、1~10であることが好ましい。上記範囲内とすることで、フッ素樹脂シートの低損失と低線膨張のバランスが良いという点で好ましい。上記下限は、1.2であることがより好ましく、1.5であることが更に好ましい。上記上限は、9であることがより好ましく、7であることが更に好ましい。
本開示において、フィラーの表面積(m/g)は、比表面積は、BET法に基づく値であり、比表面積測定機としては、「Macsorb HM model-1208」(MACSORB社製)を用いて測定することができる。なお、本開示のフッ素樹脂シートが、2種以上のフィラーを含有する場合は、配合したフィラー全体に対して測定した表面積が上述した範囲内となるものである。
本開示においてフィラーは、平均粒径が0.5~250μmであることが好ましい。なお、ここでの平均粒径は、レーザー解析式粒度分布計によって測定したD50の値である。
平均粒径が0.5μm未満であると、フィラーの凝集が生じることで、充分な効果が得られない点で好ましくないものである。
本開示において使用することができるフィラーとしては特に限定されず、アラミド繊維、ポリフェニルエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレン、ポリアミド、全芳香族ポリエステル樹脂から選ばれる一種以上である有機充填材、セラミックス、タルク、マイカ、酸化アルミ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、ガラス繊維、ガラス片、ガラスビード、炭化ケイ素、弗化カルシウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム、二硫化モリブデン及び炭酸カリウムウイスカから選ばれる一種以上である無機充填材などを挙げることができる。これらの2種以上を併用するものであってもよい。
上記フィラーは、その形状を特に限定されるものではないが、球状であることが特に好ましい。球状であると、穴あけ加工時に均一に加工しやすい、比表面積が少なく伝送損失が低いという点で好ましいものである。
これらのなかでも、シリカを使用することが特に好ましく、球状シリカ粒子を使用することが最も好ましい。
上記球状シリカ粒子は、その粒子形状が真球に近いものを意味しており、具体的には、球形度が0.80以上であることが好ましく、0.85以上であることがより好ましく、0.90以上がさらに好ましく、0.95以上が最も好ましい。球形度はSEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(球形度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}で算出される値として算出する。1に近づくほど真球に近い。具体的には画像処理装置(スペクトリス株式会社:FPIA-3000)を用いて100個の粒子について測定した平均値を採用する。
本開示で使用する球状シリカ粒子は、粒径が小さい方から体積を積算したときにD90/D10が2以上(望ましくは2.3以上、2.5以上)、D50が10μm以下であることが好ましい。更に、D90/D50が1.5以上であることが好ましい(更に望ましくは1.6以上)。D50/D10が1.5以上であることが好ましい(更に望ましくは1.6以上)。更に、D50が5μm以下であることがより好ましい。粒径が大きな球状シリカ粒子の間隙に粒径が小さな球状シリカ粒子が入ることが可能になるため、充填性に優れ、且つ、流動性を高くすることができる。特に粒度分布としてはガウス曲線と比較して粒径が小さい側の頻度が大きいことが好ましい。粒径はレーザー回折散乱方式粒度分布測定装置により測定可能である。また、粗粒がシートの薄膜化を困難にするため、所定以上の粒径をもつ粗粒をフィルタなどで除去したものであることが好ましい。
上記球状シリカ粒子は、吸水性が1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが更に好ましい。吸水性は乾燥時のシリカ粒子の質量を基準とする。吸水性の測定は乾燥状態にある試料を40℃ 80%RHに1時間放置し、カールフィッシャー水分測定装置で200℃加熱により生成する水分を測定し、算出する。
また上記球状シリカ粒子は、フッ素樹脂シートを600℃で30分間、大気雰囲気下で加熱することでフッ素樹脂を焼き飛ばし、球状シリカ粒子を取り出したのち、上述の方法を用いて上記各パラメータを測定することもできる。
上記シリカ粒子は、表面処理が施されたものである。表面処理を予め施すことで、シリカ粒子の凝集を抑制することができ、樹脂組成物中にシリカ粒子を良好に分散させることができる。また、上記(10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の比を所定の範囲内のものとすることができる点でも好ましい。
上記表面処理は、(10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の比を所定の範囲内のものとすることができるように、表面処理剤の種類や処理量を適宜選択して行うことができる。
上記表面処理としては特に限定されるものではなく、公知の任意のものを使用することができる。具体的には例えば、反応性官能基を有するエポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシラン、ビニルシラン、アクリルシラン、疎水性のアルキルシラン、フェニルシラン、フッ素化アルキルシランなどのシランカップリング剤による処理、プラズマ処理、フッ素化処理等を挙げることができる。
上記シランカップリング剤として、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン、アクリロキシトリメトキシシラン等のアクリルシラン等が例示される。
上記球状シリカ粒子は、市販のシリカ粒子で上述した性質を満たすものを使用するものであってもよい。市販のシリカ粒子としては、例えば、デンカ溶融シリカ FBグレード(デンカ株式会社製)、デンカ溶融シリカ SFPグレード(デンカ株式会社製)、エクセリカ(株式会社トクヤマ製)、高純度合成球状シリカ粒子 アドマファイン(株式会社アドマテックス製)、アドマナノ(株式会社アドマテックス製)、アドマフューズ(株式会社アドマテックス製)、等を挙げることができる。
(10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の値は、フィラー形状、フィラーの大きさ、表面処理の有無、等によって調整することができる。より具体的には、上述した球状シリカ粒子として、所定の大きさのものを使用し、更に、表面処理を施したものとすることが好ましい。表面処理を行う場合の表面処理剤の種類も、上記パラメータに影響を与えるものとなる。より具体的には、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン、ビニルシラン、疎水性のアルキルシラン、フェニルシラン、3-メルカプトプロピルシラン、3-アクリロキシプロピルシラン、3-メタクリロキシプロピルシラン、p-スチリルシラン、シリルプロピルコハク酸無水物、3-イソシアネートプロピルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルシラン等によって表面処理を施したものであることが特に好ましい。これらのシランカップリング剤を用いて表面処理を施すことにより、フィラー表面に存在する極性官能基が反応し、極性官能基の量が低減するため電気特性に優れる。
上記フィラーは、シート重量に対して50重量%以上の割合で含まれることが好ましい。このような配合量とすることで、低誘電率、低損失を維持しながら低熱膨張になるという点で好ましい。上記配合量は、53重量%以上であることがより好ましく、56重量%以上であることが更に好ましい。フィラーの配合量の上限は特に限定されるものではないが、68重量%以下であることが好ましく、65重量%以下であることが更に好ましい。
(フッ素樹脂)
本開示の組成物は、フッ素樹脂を含有するものである。フッ素樹脂は、低誘電性を有するものであることから、本開示の目的において好適に使用することができる。
本開示において使用することができるフッ素樹脂は特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン〔TFE〕/ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕共重合体〔FEP〕、TFE/アルキルビニルエーテル共重合体〔PFA〕、TFE/HFP/アルキルビニルエーテル共重合体〔EPA〕、TFE/クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕共重合体、TFE/エチレン共重合体〔ETFE〕、ポリフッ化ビニリデン〔PVdF〕、分子量30万以下のテトラフルオロエチレン〔LMW-PTFE〕等が挙げられる。一種類で使用してもよいし、二種類以上を混合しても良い。低誘電性という観点から、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)であることが特に好ましい。PTFEはフィブリル性を有するものが好ましい。フィブリル性を有するPTFEとは未焼成のポリマー粉末をペースト押出できるPTFEを意味する。
PTFEは、変性ポリテトラフルオロエチレン(以下、変性PTFEという)であってもよいし、ホモポリテトラフルオロエチレン(以下、ホモPTFEという)であってもよいし、変性PTFEとホモPTFEの混合物であってもよい。なお、高分子PTFEにおける変性PTFEの含有割合は、ポリテトラフルオロエチレンの成形性を良好に維持させる観点から、10重量%以上98重量%以下であることが好ましく、50重量%以上95重量%以下であることがより好ましい。ホモPTFEは、特に限定されず、特開昭53-60979号公報、特開昭57-135号公報、特開昭61-16907号公報、特開昭62-104816号公報、特開昭62-190206号公報、特開昭63-137906号公報、特開2000-143727号公報、特開2002-201217号公報、国際公開第2007/046345号パンフレット、国際公開第2007/119829号パンフレット、国際公開第2009/001894号パンフレット、国際公開第2010/113950号パンフレット、国際公開第2013/027850号パンフレット等で開示されているホモPTFEを好適に使用できる。中でも、高い延伸特性を有する特開昭57-135号公報、特開昭63-137906号公報、特開2000-143727号公報、特開2002-201217号公報、国際公開第2007/046345号パンフレット、国際公開第2007/119829号パンフレット、国際公開第2010/113950号パンフレット等で開示されているホモPTFEが好ましい。
変性PTFEは、TFEと、TFE以外のモノマー(以下、変性モノマーという)とからなる。変性PTFEには、変性モノマーにより均一に変性されたもの、重合反応の初期に変性されたもの、重合反応の終期に変性されたものなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。変性PTFEは、TFE単独重合体の性質を大きく損なわない範囲内で、TFEとともに微量のTFE以外の単量体をも重合に供することにより得られるTFE共重合体であることが好ましい。変性PTFEは、例えば、特開昭60-42446号公報、特開昭61-16907号公報、特開昭62-104816号公報、特開昭62-190206号公報、特開昭64-1711号公報、特開平2-261810号公報、特開平11-240917、特開平11-240918、国際公開第2003/033555号パンフレット、国際公開第2005/061567号パンフレット、国際公開第2007/005361号パンフレット、国際公開第2011/055824号パンフレット、国際公開第2013/027850号パンフレット等で開示されているものを好適に使用できる。中でも、高い延伸特性を有する特開昭61-16907号公報、特開昭62-104816号公報、特開昭64-1711号公報、特開平11-240917、国際公開第2003/033555号パンフレット、国際公開第2005/061567号パンフレット、国際公開第2007/005361号パンフレット、国際公開第2011/055824号パンフレット等で開示されている変性PTFEが好ましい。
変性PTFEは、TFEに基づくTFE単位と、変性モノマーに基づく変性モノマー単位とを含む。変性モノマー単位は、変性PTFEの分子構造の一部分であって変性モノマーに由来する部分である。変性PTFEは、変性モノマー単位が全単量体単位の0.001~0.500重量%含まれることが好ましく、好ましくは、0.01~0.30重量%含まれる。全単量体単位は、変性PTFEの分子構造における全ての単量体に由来する部分である。
変性モノマーは、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)等のパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)等のクロロフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)等の水素含有フルオロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル;パーフルオロアルキルエチレン(PFAE)、エチレン等が挙げられる。用いられる変性モノマーは1種であってもよいし、複数種であってもよい。
パーフルオロビニルエーテルは、特に限定されず、例えば、下記一般式(1)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。
CF=CF-ORf・・・(1)
式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。
本明細書において、パーフルオロ有機基は、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基である。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
パーフルオロビニルエーテルとしては、例えば、上記一般式(1)において、Rfが炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)が挙げられる。パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~5である。PAVEにおけるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。PAVEとしては、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)が好ましい。
上記パーフルオロアルキルエチレン(PFAE)は、特に限定されず、例えば、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、パーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)等が挙げられる。
変性PTFEにおける変性モノマーとしては、HFP、CTFE、VDF、PAVE、PFAE及びエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記フッ素樹脂は、溶融成形不可能であることが好ましい。溶融成形不可能であるとは、融点以上に加熱しても、樹脂が十分な流動性を有さず、樹脂において一般的に使用される溶融成形の手法によって成型することができない樹脂を意味する。PTFEがこれに該当する。
本開示においては、このような溶融成形不可能であるようなフッ素樹脂を使用し、これをフィブリル化するような成形方法によってフッ素時樹脂シートとするものであることが好ましい。当該成型方法については、後述する。
上記PTFEは、SSGが2.0~2.3であることが好ましい。このようなPTFEを使用すると、高い強度(凝集力及び単位厚さあたりの突き刺し強度)を有するPTFE膜を得やすい。大きい分子量を有するPTFEは長い分子鎖を有するため、分子鎖が規則的に配列した構造を形成しにくい。この場合、非晶質部の長さが増加し、分子同士の絡み合いの度合いが増加する。分子同士の絡み合いの度合いが高い場合、PTFE膜は、加えられた負荷に対して変形しにくく、優れた機械的強度を示すと考えられる。また、大きい分子量を有するPTFEを使用すると、小さい平均孔径を有するPTFE膜を得やすい。
上記SSGの下限は、2.05であることがより好ましく、2.1であることが更に好ましい。上記SSGの上限は、2.25であることがより好ましく、2.2であることが更に好ましい。
標準比重〔SSG〕はASTM D-4895-89に準拠して試料を作製し、得られた試料の比重を水置換法によって測定したものである。
本実施形態において、PTFE粉末を構成するPTFEの分子量(数平均分子量)は、例えば、200~1200万の範囲にある。PTFEの分子量の下限値は、300万であってもよく、400万であってもよい。PTFEの分子量の上限値は、1000万であってもよい。
PTFEの数平均分子量の測定方法としては、標準比重(Standard Specific Gravity)から求める方法、及び、溶融時の動的粘弾性による測定法がある。標準比重から求める方法は、ASTM D-4895 98に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D-792に準拠した水置換法によって実施することができる。動的粘弾性による測定法は、例えば、S.Wuによって、Polymer Engineering & Science, 1988, Vol.28, 538、及び、同文献1989, Vol.29, 273に説明されている。
上記PTFEは、屈折率が1.2~1.6の範囲内のものであることが好ましい。このような屈折率を有するものとすることで、低誘電であるという点で好ましい。屈折率を上記範囲内のものとすることは、分極率や主鎖の柔軟性を調整する方法等によって行うことができる。上記屈折率の下限は、1.25であることがより好ましく、1.30であることがより好ましく、1.32であることが最も好ましい。上記屈折率の上限は、1.55であることがより好ましく、1.50であることがより好ましく、1.45であることが最も好ましい。
上記屈折率は、屈折計(Abbemat 300)を用いて測定した値である。
また、上記PTFEは、最大吸熱ピーク温度(結晶融点)は340±7℃であることが好ましい。
PTFEは示差走査熱量計で測定した結晶融解曲線上の吸熱カーブの最大ピーク温度が338℃以下の低融点PTFEと、示差走査熱量計で測定した結晶融解曲線上の吸熱カーブの最大ピーク温度が342℃以上の高融点PTFEであっても良い。
低融点PTFEは、乳化重合法で重合し製造された粉末であり、前記の最大吸熱ピーク温度(結晶融点)を有し、誘電率(ε)は2.08~2.2、誘電正接(tan δ)は1.9×10-4~4.0×10-4である。市販品としては、たとえばダイキン工業(株)製のポリフロンファインパウダーF201、同F203、同F205、同F301、同F302;旭硝子工業(株)製のCD090、CD076;デュポン社製のTF6C、TF62、TF40などがあげられる。
高融点PTFE粉末も、乳化重合法で重合し製造された粉末であり、前記の最大吸熱ピーク温度(結晶融点)を有し、誘電率(ε)は2.0~2.1、誘電正接(tan δ)は1.6×10-4~2.2×10-4と全体的に低い。市販品としては、たとえばダイキン工業(株)製のポリフロンファインパウダーF104、F106;旭硝子工業(株)製のCD1、CD141、CD123;デュポン社製のTF6、TF65などがあげられる。
なお、両PTFE重合粒子が2次凝集した粉末の平均粒径は通常、250~2000μmであるのが好ましい。特に、溶媒を用いて造粒して得られる造粒粉末は予備成形の際の金型充填時の流動性が向上する点から好ましい。
上述したような各パラメータを満たす粉末形状のPTFEは、従来の製造方法により得ることができる。例えば、国際公開第2015-080291号や国際公開第2012-086710号等に記載された製造方法に倣って製造すればよい。
(組成物)
本開示の組成物は、上述したフィラー及びフッ素樹脂を含有するものである。必要に応じて、フィラー、フッ素樹脂以外の成分を含有するものであってもよいし、フィラー及びフッ素樹脂のみからなるものであってもよい。フィラー及びフッ素樹脂以外の成分の含有量は、10重量%以下であることが好ましい。
本開示の組成物は、組成物の全量に対して、フィラーの含有量が70重量%以下であることが好ましい。このような範囲でフィラーを含有させることで、線膨張係数を低くでき、成形しやすいという点で好ましい。上記フィラーの配合量の下限は、特に限定されるものではないが、線膨張整数を低くできるという観点から、40重量%であることが好ましい。上記上限は、68重量%であることがより好ましく、65重量%であることが更に好ましい。上記下限は、40重量%であることがより好ましく、45重量%であることが更に好ましい。
本開示の組成物は、組成物としての10GHz誘電正接が0.0001~0.0015であることが好ましい。このような範囲内のものとすることで、低損失になるという点で好ましい。
更に、本開示の組成物は、組成物としての80GHzでの誘電正接が0.0001~0.0018であってもよい。このような広い周波数領域において低い誘電正接を有し、低損失となることが好ましい。また80GHzの誘電正接が低い場合、ミリ波アンテナの利得が向上するため好ましい。
(フッ素樹脂シート)
本開示のフッ素樹脂シートは、フッ素樹脂と(10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の比が0.00001~0.00035のフィラーを含むものである。
上記フッ素樹脂シートは、300μm未満であることが好ましい。本開示のフッ素樹脂シートは、薄いものであっても、充分にその目的を達成することができる。このような観点から、200μm未満であることがより好ましく、150μm未満であることが更に好ましい。また、必要に応じて100μm以下の厚みに加工が可能であると、各種厚みの基板に幅広く適用が可能であり、好ましい。
本開示のフッ素樹脂シートは、線膨張係数が10~100(ppm/℃)であることが好ましい。上記範囲内であることで、低収縮で寸法安定性に優れたフッ素樹脂シートとなる点で好ましい。上記上限は、90であることがより好ましく、80であることが更に好ましい。上記下限は、12であることがより好ましく、15であることが更に好ましい。本明細書における線膨張係数は、TMA―7100(株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いたTMA測定を引張モードで行い、サンプル片として、長さ20mm、幅5mm、厚み150μmに切出したシートを用いて、チャック間を10mmに設定し、49mNの荷重をかけながら昇温速度2℃/分で-10~160℃でのサンプルの変位量から線膨張率を求めた。
本開示のフッ素樹脂シートは、-50~150℃の温度範囲の比誘電率の変化率が、0.025以下であることが好ましく、より好ましくは0.023以下であり、更に好ましくは0.021以下であることが好ましい。このような範囲内のものとすると、温度による電気的性質の変化が少なく、高周波プリント基板に使用した場合に安定した性能が得られる点で好ましい。
(フッ素樹脂シートの製造方法)
本開示のフッ素樹脂シートは、上述したフッ素樹脂粒子とフィラーを混合して成膜することによって得ることができる。その製造方法を限定するものではないが、ペースト押出成形、粉体圧延成形等によって行うことができる。
上述したように、本開示のフッ素樹脂シートに使用するフッ素樹脂としては、溶融成形不可能であるフッ素樹脂を使用することが好ましい。このようなフッ素樹脂を使用した場合、これをシート状に成形する場合は、原料としての粉末状のPTFEをフィブリル化することで成形することが好ましい。
上記粉末状のPTFEは、一次粒子径が0.05~10μmのものを使用することが好ましい。このようなものを使用することで、成形性、分散性に優れるという利点がある。なお、ここでの一次粒子径は、ASTM D 4895に準拠し測定した値である。
上記粉末状のPTFEは、二次粒子径が500μm以上のポリテトラフルオロエチレン樹脂を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。二次粒子径が500μm以上のPTFEが当該範囲内のものであることによって、強度の高い合剤シートを作製できるという点で利点を有する。二次粒子径が500μm以上のPTFEを用いることで、より抵抗が低く、靭性に富んだ合剤シートを得ることができる。
上記二次粒子径の下限は、300μmであることがより好ましく、350μmであることが更に好ましい。上記二次粒子径の上限は、700μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることが更に好ましい。二次粒子径は例えばふるい分け法などで求めることができる。
上記粉末状のPTFEは、より高強度でかつ均質性に優れるフッ素樹脂シートが得られることから、平均一次粒子径が50nm以上であることが好ましい。より好ましくは、100nm以上であり、更に好ましくは150nm以上であり、特に好ましくは200nm以上である。PTFEの平均一次粒子径が大きいほど、その粉末を用いてペースト押出成形をする際に、ペースト押出圧力の上昇を抑えられ、成形性にも優れる。上限は特に限定されないが500nmであってよい。重合工程における生産性の観点からは、350nmであることが好ましい。
上記平均一次粒子径は、重合により得られたPTFEの水性分散液を用い、ポリマー濃度を0.22質量%に調整した水性分散液の単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真における定方向径を測定して決定された平均一次粒子径との検量線を作成し、測定対象である水性分散液について、上記透過率を測定し、上記検量線をもとに決定できる。
本開示に使用するPTFEは、コアシェル構造を有していてもよい。コアシェル構造を有するPTFEとしては、例えば、粒子中に高分子量のポリテトラフルオロエチレンのコアと、より低分子量のポリテトラフルオロエチレンまたは変性のポリテトラフルオロエチレンのシェルとを含む変性ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。このような変性ポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば、特表2005-527652号公報に記載されるポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
ペースト押出成形、粉体圧延成形の具体的な方法は特に限定されるものではないが、以下に一般的な方法を記載する。
(ペースト押出成形)
上記シートの製造方法は、炭化水素系界面活性剤を使用して得られたPTFE粉末と押出助剤とを混合する工程(1a)、得られた混合物をペースト押出成形する工程(1b)、押出成形で得られた押出物を圧延する工程(1c)、圧延後のシートを乾燥する工程(1d)、乾燥後のシートを焼成して成形体を得る工程(1e)を含むものであってよい。上記ペースト押出成形は、上記PTFE粉末に顔料や充填剤等の従来公知の添加剤を加えて行うこともできる。
上記押出助剤としては特に限定されず、一般に公知のものを使用できる。例えば、炭化水素油等が挙げられる。
(粉体圧延成形)
上記シートは、粉体圧延成形によって成形することもできる。粉体圧延成形は、樹脂粉体に剪断力を付与することで、フィブリル化させ、これによってシート状に成形する方法である。その後、焼成して成形体を得る工程を含むものであってよい。より具体的には、
フッ素樹脂及びフィラーを含む原料組成物を混合しながら、剪断力を付与する工程(1)
前記工程(1)によって得られた混合物をバルク状に成形する工程(2)及び
前記工程(2)によって得られたバルク状の混合物をシート状に圧延する工程(3)
を有する製造方法によって得ることができる。なお、このような粉体圧延成形によってシートとする場合は、フッ素樹脂粒子と無機フィラーのみを混合して成形することが好ましい。
(積層体)
本開示のシート状樹脂組成物は、プリント配線基板用のシートとして、その他の基材と積層して使用することができる。
本開示は、上述したフッ素樹脂フィルムの片面又は両面に銅箔を接着させたことを特徴とする銅張積層体でもある。上述したように、本開示のフッ素樹脂を含むフィルムは、プリント配線基板用途において特に好適に使用することができるものであるから、このような銅張積層体として好適に使用することができる。
上記銅箔は、Rz1.6μm以下であることが好ましい。すなわち、本開示のフッ素樹脂組成物は、Rz1.6μm以下という平滑性の高い銅箔への接着性も優れたものである。更に、銅箔は、少なくとも上述したフッ素樹脂フィルムと接着する面が1.6μm以下であればよく、他方の面は、Rz値を特に限定するものではない。上記Rzは、もっとも高い部分(最大山高さ:Rp)ともっとも深い部分(最大谷深さ:Rv)の和の値である。上記表面粗さはJIS-B0601に規定される十点平均粗さである。本明細書において、上記Rzは、測定長を4mmとして、表面粗さ計(商品名:サーフコム470A、東京精機社製)を用いて測定した値である。
上記銅箔は、厚みは特に限定されないが、1~100μmの範囲であることが好ましく、5~50μmの範囲内であることがより好ましく、9~35μmがさらに好ましい。
上記銅箔は特に限定されるものではなく、具体的には例えば、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
Rz1.6μm以下の銅箔としては特に限定されず、市販のものを使用することができる。市販のRz1.6μm以下の銅箔としては、例えば、電解銅箔CF-T9DA-SV-18(厚み18μm/Rz0.85μm)(福田金属箔粉工業株式会社製)等を挙げることができる。
上記銅箔は、本開示のフッ素樹脂フィルムとの接着強度を高めるために、表面処理を施したものであってもよい。
上記表面処理は特に限定されないが、シランカップリング処理、プラズマ処理、コロナ処理、UV処理、電子線処理などであり、シランカップリング剤の反応性官能基としては、特に限定されないが、樹脂基材に対する接着性の観点から、アミノ基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、及びエポキシ基から選択される少なくとも1種を末端に有することが好ましい。また、加水分解性基としては、特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基などが挙げられる。本開示で使用する銅箔は、防錆層(クロメート等の酸化物皮膜等)、耐熱層等が形成されたものであってもよい。
上記シラン化合物による表面処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔は、シラン化合物を含む溶液を調製した後、この溶液を用いて銅箔を表面処理することによって製造することができる。
上記銅箔は、表面に、樹脂基材との接着性を高めるなどの観点から、粗化処理層を有するものであってもよい。
なお、粗化処理が本開示において要求される性能を低下させるおそれがある場合は、必要に応じて銅箔表面に電着させる粗化粒子を少なくしたり、粗化処理を行わない態様としたりすることもできる。
銅箔と表面処理層との間には、各種特性を向上させる観点から、耐熱処理層、防錆処理層及びクロメート処理層からなる群から選択される1種以上の層を設けてもよい。これらの層は、単層であっても、複数層であってもよい。
本開示の銅張積層板は、更に、銅箔およびフッ素樹脂フィルム以外の層を有するものであってもよい。
当該銅箔およびフッ素樹脂フィルム以外の層は、ポリイミド、モディファイドポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルファイド、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリフェニレンオキサイド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンエーテル、及び、ポリブタジエンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これらの銅箔およびフッ素樹脂フィルム以外の層は、上述した樹脂からなるものであれば特に限定されない。また、当該銅箔およびフッ素樹脂フィルム以外の層は、厚みが、12.5~260μmの範囲内のものであることが好ましい。
本開示の銅張積層板は、銅層を形成するのはロールフィルムの片面でも両面でも構わない。銅層を形成する方法としては、ロールフィルムの表面に銅箔を積層(粘着)する方法、蒸着法、めっき法などが挙げられる。銅箔を積層する方法としては、熱プレスによる方法が挙げられる。熱プレス温度は誘電体フィルムの融点-150℃~誘電体フィルムの融点+40℃が挙げられる。熱プレスの時間は例えば1~30分である。熱プレスの圧力は、0.1~10MPaという方法によって製造することができる。
本開示の銅張積層板は、その用途を特に限定されず、回路用基板として使用される。プリント基板とは半導体やコンデンサチップなどの電子部品を電気的に接続すると同時に、限られた空間内に配置し固定するための板状部品である。本銅張積層体から形成されるプリント基板の構成は特に制限はない。プリント基板は、リジッド基板、フレキシブル基板、リジッドフレキシブル基板のいずれであってもよい。プリント基板は、片面、基板、両面基板、多層基板(ブルドアップ基板等)のいずれであってもよい。特に、フレキシブル基板、リジット基板用に好適に使用することができる。特に10GHz以上の高周波用プリント基板として好適に使用することができる。
回路用基板としては特に限定されず、上述した銅張積層板を使用して、一般的な方法によって製造することができる。
回路基板用の積層体は、銅箔層及び上述したフッ素樹脂フィルムおよび基材層を有することを特徴とする積層体でもある。基材層としては特に限定されないがガラス繊維からなる布帛層、樹脂フィルム層を有することが好ましい。
上記ガラス繊維からなる布帛層は、ガラスクロス、ガラス不織布等からなる層である。
ガラスクロスとしては市販のものが使用でき、フッ素樹脂との親和性を高めるためにシランカップリング剤処理を施されたものが好ましい。ガラスクロスの材質としてはEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、低誘電率ガラスなどが挙げられるが、入手が容易である点からEガラス、Sガラス、NEガラスが好ましい。繊維の織り方としては平織でも綾織でも構わない。ガラスクロスの厚さは通常5~90μmであり、好ましくは10~75μmであるが、使用するフッ素樹脂フィルムよりは薄いものを用いることが好ましい。
上記積層体は、ガラス不織布をガラス繊維からなる布帛層として使用するものであってもよい。ガラス不織布とは、ガラスの短繊維を少量のバインダー化合物(樹脂あるいは無機物)で固着したもの、あるいはバインダー化合物を使用せずにガラス短繊維を絡ませることによってその形状を維持しているものであり、市販のものが使用できる。ガラス短繊維の直径は好ましくは0.5~30μmであり、繊維長は好ましくは5~30mmである。
バインダー化合物の具体例としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、セルロース、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂等の樹脂や、シリカ化合物等の無機物が挙げられる。バインダー化合物の使用量はガラス短繊維に対して通常3~15質量%である。ガラス短繊維の材質としてはEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、低誘電率ガラスなどが挙げられる。ガラス不織布の厚さは通常50μm乃至1000μmであり、100~900μmであることが好ましい。尚、本願におけるガラス不織布の厚さは、JIS P8118:1998に準じ、(株)小野測器製のデジタルゲージDG-925(荷重110グラム、面径10mm)を用いて測定した値を意味する。フッ素樹脂との親和性を高めるために、ガラス不織布にシランカップリング剤処理を施してもよい。
ガラス不織布の多くは空隙率が80%以上と非常に高いので、フッ素樹脂からなるシートより厚いものを使用し、圧力によって圧縮して用いることが好ましい。
上記ガラス繊維からなる布帛層は、ガラスクロスとガラス不織布とを積層した層であってもよい。これによって、相互の性質が組み合わせられて、好適な性質を得ることができる。
上記ガラス繊維からなる布帛層は、樹脂を含浸させたプリプレグの状態であってもよい。
上記積層体は、ガラス繊維からなる布帛層とフッ素樹脂フィルムが界面で接着していてもよく、ガラス繊維からなる布帛層にフッ素樹脂フィルムの一部もしくはすべてが含侵されていてもよい。
更に、ガラス繊維からなる布帛にフッ素樹脂組成物を含侵させてプリプレグを作成したものであってもよい。このようにして得られたプリプレグに対して、更に、本開示のフッ素樹フィルムを積層したものであってもよい。この場合、プリプレグを作成する際に使用するフッ素樹脂組成物としては特に限定されるものではなく、本開示のフッ素樹脂フィルムを使用することもできる。
上記基材層として用いる樹脂フィルムとしては、耐熱性樹脂フィルム、熱硬化性樹脂フィルムが好ましい。耐熱性樹脂フィルムとしては、ポリイミド、モディファイドポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルファイドなどが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリフェニレンオキサイド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンエーテル、ポリブタジエンなどを含むものが挙げられる。
耐熱性樹脂フィルムおよび熱硬化性樹脂フィルムは強化繊維を含んでいても良い。強化繊維としては特に限定されないが、例えばガラスクロス、とくに低誘電タイプのものが好ましい。
耐熱性樹脂フィルムおよび熱硬化性樹脂フィルムの誘電特性、線膨張係数、吸水率などの特性は特に限定されないが、たとえば、20GHzにおける誘電率は3.8以下が好ましく、3.4以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましい。20GHzにおける誘電正接は、0.0030以下が好ましく、0.0025以下がより好ましく、0.0020以下が更に好ましい。線膨張係数は100ppm/℃以下が好ましく、70ppm/℃以下がより好ましく、40ppm/℃以下が更に好ましい。吸水率は1.0%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.1%以下が更に好ましい。
以下、本開示を実施例に基づいて具体的に説明する。以下の実施例においては特に言及しない場合は、「部」「%」はそれぞれ「質量部」「質量%」を表す。
以下の実施例及び比較例において、以下のシリカを使用した。

表中、ZA-30のフェニル+アミノはフェニルトリメトキシシランとアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランを9:1で混合したものである。
上記表1における各サンプルの評価は、以下の方法に基づいて行った。
[フィラーのDf(誘電正接)]
10GHzで測定したフィラーの誘電正接は、円筒形空洞共振器とネットワークアナライザを用い、フィラー粉体試料を石英管に充填し、共振器内に装荷して測定した。試料挿入前後の共振器の特性(共振周波数とQ値)を取得し、その結果から誘電正接を算出した。
本想定法は日本工業規格JIS2565マイクロ波用フェライト磁心試験方法に準拠。
[D50]
レーザー解析式粒度分布計によって測定した。
[フィラーの比表面積]
BET法に基づく値であり、比表面積測定機としては、「Macsorb HM model-1208」(MACSORB社製)を用いて測定した。
(実施例1)
シート作製方法1(ペースト押出成形)
表1に示す割合でPTFE末(平均粒径:500μm、見掛密度:460g/L、標準比重:2.17)とシリカを所定量計量し、ドライアイス存在下、ミキサーで混合した。混合中の温度はー10℃以下であった。
得られた混合粉末にオイル(IPソルベント2028)を18~23wt%添加し、混合し、5時間程度熟成させた。
熟成させた組成物を圧力3MPa条件で予備成形し、予備成形した成形体を40℃、50mm/minの条件で押出し、押出サンプルを得た。押出サンプルを二本ロールで圧延し、膜厚125μmのサンプルを得、200℃、2時間乾燥し、360℃で、15分焼成することでシートを得た。さらに二本ロールの圧力を調節し、膜厚30μmのサンプルを作製し、穴あきや裂けの発生の有無を観察した。
得られた各サンプルについて、以下の基準に基づいて評価を行った。
[シートDf]
スプリットシリンダ式誘電率・誘電正接測定装置(EM lab社製)を用いて、25℃、10GHzと80GHzのDfを測定した。
[線膨張係]
TMA―7100(株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いたTMA測定を引張モードで行い、サンプル片として、長さ20mm、幅5mm、厚み150μmに切出したシートを用いて、チャック間を10mmに設定し、49mNの荷重をかけながら昇温速度2℃/分で0~150℃でのサンプルの変位量から線膨張率を求めた。
[30μm薄膜化]
下記表2に示した組成で、PTFE/シリカ=40/60の組成において、30μmの厚みで穴あきや裂けなく成膜できたものを〇、成膜できなかったものを×とした。
結果を表2に示す。
上記結果から、本開示のフッ素樹脂シートは、低誘電率、低損失、低熱膨張という観点において優れた性能を有するものである。また実施例8のPTFE/シリカ=40/60(質量比)の80GHzのDfは0.0008であり、80GHzにおいても優れた性能を有するものである。
上記実施例1及び8のうち、PTFE/シリカ=40/60のシートについては、以下の方法に基づいて、-50~150℃の温度範囲の比誘電率の変化率を測定した。結果を表3に示した。
(-50~150℃の温度範囲の比誘電率の変化率の測定方法)
スプリットシリンダ式誘電率・誘電正接測定装置(EM lab社製)を用いて、‐50℃から150℃まで10℃刻みで10GHzのDkを測定した。
測定したDk値の最大値と最小値の差から‐50℃から150℃までの変化率を算出した。
表3の結果から、本開示のフッ素樹脂シートは、-50~150℃の温度範囲の比誘電率の変化率が小さいことが明らかである。
本開示のフッ素樹脂シートは、特に、高周波プリント基板に好適に使用することができる。

Claims (16)

  1. 溶融成形不可能であるフッ素樹脂と
    (10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の比が0.00001~0.00035のフィラーを含み、
    フィラーは、10GHzでの誘電正接の値が0.0015以下である
    ことを特徴とする組成物。
  2. フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂である請求項1記載の組成物。
  3. ポリテトラフルオロエチレン樹脂は、SSGが2.0~2.3である請求項2記載の組成物。
  4. ポリテトラフルオロエチレン樹脂は、屈折率が1.2から1.6である請求項2記載の組成物。
  5. フッ素樹脂は、一次粒子径が0.05~10μmである請求項1又は2記載の組成物。
  6. フッ素樹脂は、体積基準累積50%径が0.05~40μmである請求項1又は2記載の組成物。
  7. フィラーは、シリカ粒子である請求項1又は2記載の組成物。
  8. フィラーは、組成物全量に対する含有量が50wt%以上である請求項1又は2記載の組成物。
  9. フィラーは、平均粒径が0.5~250μmである請求項1又は2記載の組成物。
  10. フィラーは、表面をシランカップリング剤でコーティングしたものである請求項1又は2記載の組成物。
  11. 溶融成形不可能であるフッ素樹脂と
    (10GHzで測定したフィラーの誘電正接)/(フィラーの表面積(m/g))の比が0.00001~0.00035のフィラーを含み、
    フィラーは、10GHzでの誘電正接の値が0.0015以下である組成物からなることを特徴とするフッ素樹脂シート。
  12. 厚みが5~250μmである請求項11記載のフッ素樹脂シート。
  13. フッ素樹脂粒子とフィラーを混合して成膜する工程を有することを特徴とする請求項11又は12に記載のフッ素樹脂シートの製造方法。
  14. フッ素樹脂粒子と無機フィラーのみを混合し、その他の成分を加えることなく成膜することを特徴とする請求項13に記載のシート状組成物の製造方法。
  15. 銅箔及び請求項11又は12に記載のフッ素樹脂シートを必須の層とする銅張積層体。
  16. 請求項15に記載の銅張積層体を有することを特徴とする回路用基板。
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