JP7503410B2 - 建物の開口部の断熱構造および建物 - Google Patents

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本発明は、建物の開口部の断熱構造および建物に関する。
鉄骨造や木造などの建物の外壁の断熱方法として、従来、充填断熱工法および外張断熱工法が用いられている。充填断熱工法は、建物の躯体の間や室内側に断熱材を配置するものであり、グラスウールなどの断熱材が躯体間に充填されることが多い。この充填断熱工法は、断熱材の価格が安いため、断熱材のコストは低減できるものの、建物の躯体が熱橋となり、断熱性能があまり高くない問題がある。
一方、外張断熱工法は、構造躯体の室外側に断熱材を配置するものであり、発泡プラスチックなどのプラスチック系の断熱材が躯体の室外側に張設される。外張断熱工法では、建物全体が断熱材で覆われるため、熱橋がなく、断熱性能が高い。そのため、近年では、より断熱性能が高い外張断熱工法が用いられるようになっている。
ところで、建物から逃げる熱を部位別に検討すると、建物の開口部に設けられた窓から逃げる熱が最も多い場合が多い。そのため、窓から逃げる熱を抑制することが、建物の断熱性能を高める上で肝要となる。
窓は、窓枠と障子とで構成されており、障子は枠体とガラス板とで構成されている。このうち、障子については、例えば特許文献1に記載されているように、枠体の内側に間隙を空けて複数枚のガラス板を配置し、上記間隙に窒素ガスやアルゴンガスなどの気体を充填することによって、高い断熱性能を実現することができる。
一方、窓枠については、特許文献2には、窓枠が樹脂やアルミニウムなどの金属、あるいはこれらの組み合わせで構成されている場合には、窓枠に複数の空隙を設け、この空隙に断熱材を充填することによって、断熱性に優れた防火性サッシについて記載されている。
また、特許文献3には、建物の室外側に配置された断熱材と窓枠との間に長手断熱部材を配置することによって、サッシの外周部分において断熱性を連続的に確保して断熱性を高めたサッシについて記載されている。
特開2010-216104号公報 特開2014-12962号公報 特開2010-270541号公報
特許文献2に記載された技術では、窓枠の設計上、空隙の寸法には限りがあり、窓枠に挿入できる断熱材の厚みが制限される。そのため、窓枠の断熱性能を高めることができるが、障子部に比べて断熱性能は不十分であり、窓枠が熱橋となって、冬季に結露などが発生するなどの原因となっている。この点、窓枠が木材で構成されている場合には、樹脂やアルミニウムに場合に比べて断熱性能を高めることができるが、この場合にも窓枠の断熱性能は依然として不十分である。
また、特許文献3に記載された技術では、窓枠の室外側周辺部に断熱材を設置することによって、窓枠の断熱性能を補強し、断熱性能を高めることができる。しかしながら、近年、建物の断熱性能に対する要求がさらに高まっており、窓枠周辺の熱橋をさらに抑制して建物の開口部の断熱性能を高めることができる技術が望まれている。
そこで、本発明の目的は、窓などの建物の開口部の断熱性能を高めることができる断熱構造を提案することにある。
上記課題を解決する本発明は、以下の通りである。
[1]建物の開口部であって、該開口部の周縁に沿って設けられた窓枠と、該窓枠に支持される障子とを有する開口部の断熱構造において、
前記窓枠の室内側の見付け面の少なくとも一部を覆う断熱材を備えることを特徴とする建物の開口部の断熱構造。
[2]前記窓枠の室内側の見付け面および前記建物の躯体、内装材とで囲われた空間に前記断熱材を備える、前記[1]に記載の建物の開口部の断熱構造。
[3]前記建物の室内側において、前記内装材が、前記断熱材の厚み以上の厚みを有するとともに前記断熱材に隣接して配置された木下地材を介して、前記建物の躯体に固定されている、前記[2]に記載の建物の開口部の断熱構造。
[4]前記断熱材は、樹脂発泡体で構成された断熱材である、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の建物の開口部の断熱構造。
[5]前記樹脂発泡体は熱硬化性樹脂である、前記[4]に記載の建物の開口部の断熱構造。
[6]前記樹脂発泡体は熱可塑性樹脂であり、表面または内部に不燃材を備える、前記[4]に記載の建物の開口部の断熱構造。
[7]前記樹脂発泡体は熱伝導率が0.034W/m・K以下である、前記[4]~[6]のいずれか一項に記載の建物の開口部の断熱構造。
[8]前記断熱材は、前記障子を覆わないように設けられている、前記[1]~[7]のいずれか1項に記載の建物の開口部の断熱構造。
[9]前記窓枠は、上枠と下枠と2本の縦枠からなり、前記断熱材が前記上枠、前記下枠および前記2本の縦枠の全ての室内側の見付け面を覆うように設けられている、前記[1]~[8]のいずれか1項に記載の建物の開口部の断熱構造。
[10]前記[1]~[9]のいずれか1項に記載の建物の開口部の断熱構造を備える建物。
本発明によれば、窓枠の室内側周辺部に断熱材を配置することによって窓枠の断熱性能を補強しているため、窓などの建物の開口部の断熱性能を高めることができる。
本発明による建物の開口部の断熱構造の一例の縦断面図である。 図1に示した断熱構造の横断面図である。 本発明による建物の開口部の断熱構造の別の例の縦断面図である。 図3に示した断熱構造の横断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本発明による建物の開口部の断熱構造は、建物の開口部であって、該開口部の周縁に沿って設けられた窓枠と、該窓枠に支持される障子とを有する開口部の断熱構造である。ここで、窓枠の室内側の見付け面の少なくとも一部を覆う断熱材を備えることを特徴とする。
上述のように、建物全体で高い断熱性能を実現する上で、窓などの開口部から逃げる熱を抑制することが肝要であるが、障子については、特許文献1に記載された技術などによってある程度高い断熱性能を実現することができる。一方、窓枠については、特許文献2、特許文献3に記載された技術によって断熱性能は向上しているが、障子に比べると不十分であり、さらなる改善の余地が残されている。
本発明者らは、窓枠の断熱性能を高める方途について鋭意検討した。その結果、窓枠の室内側の見付け面の少なくとも一部を覆う断熱材を設けることに想到したのである。これによって、窓枠の熱橋を抑制して、窓などの建物の開口部の断熱性能を高めることができる。
図1は、本発明による建物の開口部の断熱構造の一例の縦断面図、図2は、図1に示した断熱構造の横断面図をそれぞれ示している。図1および図2に示した建物の開口部の断熱構造1においては、サッシ(障子)10は、枠体11内にガラス板12が納められた縦すべりだし窓として構成されており、建物の開口部Aに取付けられている。
建物の開口部Aの周縁に配置された窓枠13は、上辺を構成する上枠13aと、下辺を構成する下枠13bと、左右の縦辺をそれぞれ構成する2本の縦枠13c、13dとで構成されている。また、建物の開口部Aの室内側の周囲には、上辺を構成するまぐさ14,下辺を構成する窓台15、左右の縦辺をそれぞれ構成する柱16、17が設けられている。サッシ10を構成する枠体11および窓枠13は、まぐさ14、窓台15、柱16、17に取付固定されている。窓枠13は、ビスV1によって、開口部Aの周縁を形成する躯体(まぐさ14、窓台15、柱16、17)の内周面に固定されている第1固定部を有し、断熱材22が第1固定部を覆っている。
まぐさ14、窓台15、柱16、17と無機ボード材23、構造用面材24との間の領域には、充填断熱部材(第1の断熱材)21が設けられている。
上記まぐさ14、窓台15、柱16、17の室外側には、パネル状の外張り断熱材(第2の断熱材)18が配設されており、断熱材18の室外面側には、胴縁19を介して外壁材20が対向配置されている。窓枠13は、ビスV2によって、開口部Aの周縁を形成する躯体(まぐさ14、窓台15、柱16、17)の室外側端面に固定されている第2固定部を有し、断熱材18が第2固定部を覆っている。このように、建物の断熱構造としては、駆体の室外側に断熱材18が配設された外張断熱構造を有している。
そして、本発明においては、窓枠13の室内側の見付け面Fの少なくとも一部を覆う断熱材(第3の断熱材)22が設けられていることが肝要である。このように構成することによって、窓枠13の熱橋を低減して、建物の開口部Aの断熱性能を高めることができる。なお、図1および図2においては、断熱材22、まぐさ14、窓台15、柱16、17の見付け面には無機ボード材23が、断熱材22の見込み面には無機ボード材23が、窓台15の見込み面には膳板26が、それぞれ設けられている。
また、従来の断熱構造においては、無機ボード材23が躯体(まぐさ14、窓台15、柱16、17)に固定されるため、湿度に応じた躯体の乾燥収縮の動きが直接無機ボード材23に伝わり、無機ボード材23の目地部に亀裂が発生しやすい問題があった。この点、本発明による断熱構造1においては、躯体と無機ボード材23とは、断熱材22を介して固定されており、断熱材22が緩衝材となる。そのため、躯体の動きが無機ボード材23に伝わりづらくなり、無機ボード材23の目地部に亀裂が入りづらくなる効果も奏する。
このように、本発明による建物の開口部の断熱構造1は、断熱材22が窓枠13の室内側の見付け面Fの少なくとも一部を覆うように構成されている点に特徴を有するものであり、窓枠13の室内側の見付け面Fから断熱材22および内装材の無機ボード材23または膳板26がはみ出さない範囲であれば、その他の構成については特に限定されず、適切に設定することができる。
断熱材22は、熱硬化性樹脂で構成することができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂フォーム(PF)、ビーズ発泡ポリスチレン(EPS)、押出発泡ポリスチレン(XPS)などの樹脂発泡体や、ロックウール(RW)などの既知の材料で構成することができる。中でも、断熱性に優れる点から、断熱材22の材料としては樹脂発泡体、中でもフェノール樹脂フォームを用いることが好ましい。樹脂発泡体は、繊維系断熱材と異なり、圧縮強度を有している。そのため、無機ボード材23を留め付ける際の圧縮に耐えることができ、断熱材22の形状変化が小さく、施工性に優れる。
窓枠13を樹脂で構成する場合、ガラス板12に比べて室内側の窓枠13が熱に弱い。屋内火災時の開口部Aの耐火性を考慮すると、樹脂部分はガラスよりも耐火性に劣る。そのため、断熱材22を熱硬化性のフェノール樹脂フォームで構成し、窓枠13の室内側の見付け面Fに施工することによって、火災の際に窓枠13が熱で溶けてサッシ10が脱落するのを抑制する等の効果を奏することができる。
また、熱硬化性樹脂に代えて、断熱材22として、熱可塑性のビース法ポリスチレンフォーム(EPS)や押出法ポリスチレンフォーム(XPS)等の表面を防耐火性を有するアルミなどの不燃材で覆った断熱材を使用することもできる。また断熱材22として、ウレタンフォーム断熱材(熱可塑性)に不燃材を添加物として混入した断熱材を使用することもできる。この場合にも、断熱構造1の耐火性を向上させることができる。
なお、防火設備の認定試験においては、サッシ本体(障子10および窓枠13)が評価対象となるため、上記本発明による耐火性の向上効果を試験に加味することができないが、実際の建物に適用する場合に効果を奏することができる。
断熱材22としては、例えば、工場などで樹脂を発泡させて成型された断熱材を用いることができる。あるいは、建設現場などで断熱材料を吹付けて形成されたものを用いることもできる。発泡体のみからなる断熱材でも、発泡体の少なくとも一方の表面に面材が積層一体化されてなる断熱材でもよい。断熱材22として、フェノール樹脂フォームなどを用いる場合の面材としては、不織布、織布、紙類、金属箔などの既知の面材を用いることができる。
上記断熱材22の見付け方向の厚みは、窓枠13の見つけ面の限られた寸法の中で納まりがよければ特に限定されない。断熱材22を熱伝導率が小さい材料で構成することによって、見付け方向の厚みが小さい場合にも十分な断熱効果を得ることができる。例えば、断熱材22をフェノール樹脂フォーム(熱伝導率:0.020(W/m・K))、XPS(熱伝導率:0.028(W/m・K))あるいはEPS(熱伝導率:0.034(W/m・K))で構成する場合には、例えば20mm~30mm程度の厚みでも、十分な断熱性能を得ることができる。
また、断熱材22は、図1および図2に示したように、窓枠13を構成する上枠13aと下枠13bと2本の縦枠13c、13dの全ての室内側の見付け面Fを覆うように設けられていることが好ましい。これにより、開口部Aの断熱構造を最大限に高めることができる。ただし、視認性や見栄えの点から、断熱材22および無機ボード材23は、サッシ(障子)10を覆わないことが好ましい。
上述のように構成される建物の開口部Aに設けられる窓構造は、特に限定されず、半外付け外開きのものや、内付け内開きのもの、図1および図2に示した縦すべりだしのものなど、適切なものを使用することができる。
図3は、本発明による建物の開口部の断熱構造の別の例の縦断面図、図4は、図3に示した断熱構造の横断面図をそれぞれ示している。なお、図1および図2に示した構成と同じ構成には、同じ符号が付されている。
図3および図4に示した建物の開口部の断熱構造2と、図1および図2に示した断熱構造1との相違点は、躯体(まぐさ14、窓台15、柱16、17)の開口部A側の面の室内側端部に、木下地材25が取り付けられている点である。このように構成することにより、断熱材22は、躯体(まぐさ14、窓台15、柱16、17)と構造用面材24との空間に配置されるため、無機ボード材23が、断熱材22の乾燥または収縮の影響を受け、無機ボード材23が施工後にへこんだり浮き上がったりすることで、無機ボード材23の表面に取り付けるクロス材のへこみや浮き上がりを抑制でき、意匠性を向上させることができる。
次に、窓枠13への断熱材22の取付工程について説明する。まず、図1および2に示した断熱構造1の場合には、断熱材22を躯体(まぐさ14、窓台15、柱16、17)の開口部A側の面の室内側端部に取り付け、釘やビス、接着剤などで躯体に本固定する。次いで、無機ボード材23または膳板26の室内正面側から躯体に向けて釘またはビスを断熱材22に留め付ける。こうして、断熱材22を窓枠13に取り付けることができる。
一方、図3および4に示した断熱構造2の場合には、まず、断熱材22の見付け方向の厚み以上の厚みを有する木下地材25を用意し、木下地材25を躯体(まぐさ14、窓台15、柱16、17)の開口部A側の面の室内側端部に取り付ける。次に、木下地材25と窓枠13との間に断熱材22を配し、釘やビス、接着剤などで躯体に本固定する。続いて、無機ボード材23を木下地材25に留め付ける。こうして、断熱材22を窓枠13に取り付けることができる。
本発明の別の実施形態である建物は、上述した本発明による建物の開口部の断熱構造を備える建物である。上述のように、本発明による建物の開口部の断熱構造1においては、開口部Aの周縁に沿って設けられた窓枠13の室内側の見付け面Fの少なくとも一部を覆うように断熱材22が設けられており、窓枠13の熱橋が抑制されて、断熱性能が高められている。本発明による建物は、上記断熱構造1を備えることにより、従来よりも高い断熱性能を有する。
本発明によれば、窓枠周辺の熱橋を抑制して、建物の断熱性能を高めることができるため、建築業において有用である。
1 建物の開口部の断熱構造
10 サッシ
11 枠体
12 ガラス板
13 窓枠
13a 上枠
13b 下枠
13c、13d 縦枠
14 まぐさ
15 窓台
16、17 柱
18 外張り断熱材(第2の断熱材)
19 胴縁
20 外壁材
21 充填断熱部材(第1の断熱材)
22 断熱材(第3の断熱材)
23 無機ボード材
24 構造用面材
25 木下地材
26 膳板
A 建物の開口部
F 窓枠の室内側の見付け面
V1,V2 ビス

Claims (11)

  1. 建物の開口部であって、該開口部の周縁に沿って設けられた窓枠と、該窓枠に支持される障子とを有する開口部の断熱構造において、
    前記窓枠の室内側の見付け面の少なくとも一部を覆う断熱材を備え、
    前記開口部に設けられる窓構造は半外付けであり、
    前記窓枠は樹脂製であり、
    前記窓枠は、前記開口部の前記周縁を形成する躯体の内周面に固定されている第1固定部を有し、
    前記断熱材が前記第1固定部を覆っていることを特徴とする建物の開口部の断熱構造。
  2. 前記窓枠が、前記開口部の前記周縁を形成する躯体の室外側端面に固定されている第2固定部を有し、
    外張り断熱材が前記第2固定部を覆っている、請求項1に記載の断熱構造。
  3. 前記窓枠の室内側の見付け面と、前記建物の躯体と、内装材とで囲われた空間に前記断熱材を備える、請求項1または2に記載の建物の開口部の断熱構造。
  4. 前記建物の室内側において、前記内装材が、前記断熱材の厚み以上の厚みを有するとともに前記断熱材に隣接して配置された木下地材を介して、前記建物の躯体に固定されている、請求項3に記載の建物の開口部の断熱構造。
  5. 前記断熱材は、樹脂発泡体で構成された断熱材である、請求項1~4のいずれか一項に記載の建物の開口部の断熱構造。
  6. 前記樹脂発泡体は熱硬化性樹脂である、請求項5に記載の建物の開口部の断熱構造。
  7. 前記樹脂発泡体は熱可塑性樹脂であり、表面または内部に不燃材を備える、請求項5に記載の建物の開口部の断熱構造。
  8. 前記樹脂発泡体は熱伝導率が0.034W/m・K以下である、請求項5~7のいずれか一項に記載の建物の開口部の断熱構造。
  9. 前記断熱材は、前記障子を覆わないように設けられている、請求項1~8のいずれか1項に記載の建物の開口部の断熱構造。
  10. 前記窓枠は、上枠と下枠と2本の縦枠からなり、前記断熱材が前記上枠、前記下枠および前記2本の縦枠の全ての室内側の見付け面を覆うように設けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載の建物の開口部の断熱構造。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の建物の開口部の断熱構造を備える建物。
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