JP7495810B2 - 蒸着セロハン貼合紙およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パッケージやカタログ、パンフレット、書籍、ファンシー用品、トレーディングカード、文具などに使用される、強光沢感を有する包装用紙、印刷用紙、加工用紙などの意匠紙に関するものであり、より詳しくは、アルミニウムなどの光沢をもつ金属を蒸着したセロハンを原紙と貼合してなる蒸着セロハン貼合紙において、蒸着セロハンの蒸着面を原紙とは反対面側にして貼合した貼合紙に関するものである。
この種の強光沢感を有する意匠紙においては、従来、原紙にアルミニウム蒸着したPETフィルムが貼合された蒸着PET貼合紙が使用されてきた。
PETフィルムは強度や加工性に優れ、その蒸着フィルムは光沢度も高く、接着性も良好なことから広く使用されている。しかしながら、昨今では、環境への配慮から、このPETフィルム部分を環境に配慮した素材に変更することが望まれている。
その一つの方策として、ポリビニルアルコールフィルムにアルミニウムを蒸着したフィルムを原紙と貼合した蒸着PVA貼合紙が提案されている(特許文献1)。
該特許では、ポリビニルアルコールは、水に溶けるので、廃棄処理が容易で、再生可能であって環境にやさしい素材となる効果を奏するというものである。
しかしながら、ポリビニルアルコールは、フィルム状態では熱水には可溶であるが、常温の水には溶解しにくく、産業的な再生工程では、PETフィルムなどと同様に、パルプ繊維を取り除いた残渣として分離され、焼却処分されることとなる。又、ポリビニルアルコールは石油由来の原料であり、焼却した場合は炭酸ガスを放出し、環境面では温室効果ガスを増大させることになってしまう。
これに対し、本発明者等は、天然物由来原料であるセロハンに着目した。
セロハンは、植物由来のセルロースを基にして生産されており、将来的な石油資源の枯渇対策において有効な素材であるとされる。又、回収した紙製品を再生し、パルプ繊維を分離する工程の残渣として焼却したとしても、発生する炭酸ガスはもともと植物原料のセルロースから発生するため、原料面ではカーボンニュートラルに近づけることができる。
しかしながらセロハンは、湿度依存性が強く、保管中の湿度変化により膨潤や伸縮を起こしやすく寸法安定性に欠けるという欠点があった。このため、蒸着セロハンを貼合した貼合紙では、保管条件によってはカールや歪みが発生し易くなる場合があった。
又、蒸着セロハンは、他の蒸着PETフィルムなどと比べて、蒸着層と基材セロハンの密着強度が低調で、原紙と蒸着面とを接着剤で貼合した場合に、容易にセロハンのみが剥離してしまう場合があるという問題もあった。
この場合、パッケージなどを成型した際に罫線部分でセロハンの剥離がおこるとパッケージそのものの強度低下をおこしてしまい、また、サック貼り部分で剥離が発生すると、パッケージ形態を保てなくなってしまう場合もあった。さらには、その前の工程である裁断時や打抜き工程で剥離が発生すると、その後の加工ができなくなってしまうという問題があった。
一方、原紙と非蒸着面とを接着剤で貼合した場合においては、上記のような剥離は発生しないことになるが、やはり蒸着層の密着が低調なために、蒸着面の上にプライマーコートを行っても、十分な耐磨性が得られずに擦れ傷が発生することがあったり、蒸着面と原紙裏面とのブロッキングで、蒸着層取られが発生する場合があるという問題があった。又、非蒸着面に防湿コートが施されたセロハンを用いると、接着剤と防湿コート間の接着が低調であったり、防湿コート層とセロハンとの界面で?れが発生してしまうこともあった。
一般的な蒸着フィルムを貼合した貼合紙においては、蒸着フィルムの蒸着面を原紙側にするか、反対面にするかは、ユーザーの趣向により決定される。意匠的により強い光沢感を求める場合は蒸着面を原紙と反対面とし、擦れ傷などを目立ちにくくしたい場合は蒸着面を原紙側とする構成を選択する。
他にも、蒸着防湿コートセロハンにおいては、原紙との接着工程やその後のプライマーコート工程などにおいて、乾燥炉で加熱されると熱による蒸着セロハンの収縮で捻じれカールを発生させてしまう場合があった。逆にプライマーコート工程で熱量が不足したりすると、プライマーコート面の曇りが発生し、金属光沢の輝度感を損ねてしまう場合があり、更にはプライマーコート層の密着が低下し、後加工の印刷適性や糊貼り適性を損なうおそれがあるという問題点があった。
特開2012-101418号公報
本発明の目的は、環境に配慮した部材を用いた強光沢の意匠紙の開発であり、原紙と蒸着セロハンとを非蒸着面を紙側にして接着剤で貼合した構成の場合において、湿度変化に対する寸法安定性が確保できるとともに、良好なセロハンの接着強度を保持し、金属蒸着の輝度感の変質と光沢感の低下を防止すると共に、捻じれカールの発生を防止し、良好な後加工の印刷適性や糊貼り適性を保持した蒸着セロハン貼合紙を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、原紙に、光沢をもつ金属を蒸着したセロハンを貼合してなる蒸着セロハン貼合紙において、該セロハンの少なくとも非蒸着面が防湿コートを施したものであり、原紙と蒸着セロハンの非蒸着面とを水系接着剤にてウェットラミネート法にて貼合してなり、蒸着面にプライマーコート層を設けたことを特徴とする蒸着セロハン貼合紙により、上記の課題を解決できることを見出した。
又、水系接着剤が、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体、もしくはそれらのいずれかを成分として含む樹脂エマルジョン接着剤であることを特徴とすることで、蒸着セロハンの防湿コート層の密着を保持し、セロハンの剥離を防止するのにさらに有効であることを見出した。
プライマーコート層を樹脂成分が、ポリエステル、ポリウレタン、もしくはそれらの成分の少なくともどちらかを含有した樹脂であり、かつ溶液の固形分濃度が10~25%であり、粘度がザーンカップ(以下Z.C.と記すこともある)NO.3で11~30秒であることを特徴とすることで、印刷適性や糊貼り適性を保有しつつ、蒸着フィルムの輝度感の低下を抑えることを可能にし、かつ表面が十分な耐磨性を有して擦れ傷の発生を防止するとともに、蒸着面と原紙裏面とのブロッキングによる蒸着層取られを防止することができる。
更には、製造工程中の各乾燥炉の乾燥温度が50~130℃で、乾燥炉の通過時間の合計を30秒以内としたことを特徴とすることで、セロハンへの熱負荷を弱めセロハンの熱収縮による貼合紙の捻じれカールを回避することが可能となる。
本発明により、天然物由来原料であるセロハンを使用した強光沢の意匠紙を実現し、従来と変わらない加工適性を持った環境配慮型の包装用紙、印刷用紙、加工用紙などを製造でき、持続可能型社会に貢献するパッケージや加工製品を社会に提供できるようになる。
両面防湿コートされた蒸着セロハン貼合紙の構成図である。 片面防湿コートされた蒸着セロハン貼合紙の構成図である。 熱カールによってねじれが発生しなかった例を示す写真である。 熱カールによってねじれが発生した例を示す写真である。
以下に、本発明の好適な実施の形態について説明する。
この蒸着セロハン貼合紙Sは、原紙6に、光沢をもつ金属蒸着層2を一面に有するセロハン4を貼合してなる蒸着セロハン貼合紙において、
セロハン4の非金属蒸着面またはセロハンの非金属蒸着面および金属蒸着面側に防湿コート3を施してなり、原紙6と前記蒸着セロハンの非金属蒸着面側とがウェットラミネートによる水系接着剤層5にて貼合してなり、前記金属蒸着面層の上にプライマーコート層1を設けた構成からなっている。
図1および図2は、本発明における蒸着セロハン貼合紙の実施の形態を示すものである。
図1は、両面防湿コートされた蒸着セロハンを貼合した構成であり、蒸着セロハン貼合紙Sが、原紙6/水系接着剤層5/防湿コート層3/セロハン4/防湿コート層3/金属蒸着層2/プライマーコート層1を順次積層した実施例1の構成からなる。
また、図2は片面防湿コートされた蒸着セロハンを貼合した構成を示すものであり、蒸着セロハン貼合紙Sが、原紙6/水系接着剤層5/防湿コート層3/セロハン4/金属蒸着層2/プライマーコート層1を順次積層した実施例2の構成からなる。
[原紙]
本発明において、基材となる原紙6としては、基本的には針葉樹パルプや広葉樹パルプを原料として抄造してなるものであるが、メカニカルパルプや非木材パルプ、段ボールや雑誌,新聞などを使用した古紙原料、ミルクカートン古紙、その他の回収紙や場内損紙を原料としたり、これらを適宜配合して用いたものであってもよい。
また、単層抄きの洋紙であっても、多層抄きの板紙であってもよい。
板紙の場合は、全層をバージンパルプ原料から抄造するアイボリー質、古紙や着色パルプ,未晒パルプなどを中層に用いたカード質、表層以外を古紙としたボール質、全層を古紙としたものであってもよい。
原紙の片面または両面には、炭酸カルシウムやカオリンなどをコートしたものを用いてもよく、コート紙やアート紙、キャストコート紙、微塗工紙などが平滑性がよいため、より好適に用いられる。
原紙の坪量としては、使用用途に応じて任意に設定することができ、例えば、印刷用紙として使用する場合は200g/m以下の比較的薄い原紙が好ましく使用される。また、例えば、パッケージ用途においては、150~400g/m程度の比較的厚い原紙が使用でき、使用形態に応じて選定すればよく、特に制約はない。
また、ポリエチレンやポリプロピレンを用いた合成紙、それに無機材料や着色顔料などを添加したものなども使用することもできる。ただし、環境的な側面からは植物原料からなる原紙を用いた方が好ましい。
[セロハン]
本発明において使用する蒸着セロハンの基材となるセロハンは、パルプなどのセルロース原料を水酸化ナトリウムなどで溶解してビスコース化し、これをシート状にして中和させ、セルロースに戻したものである。無色のものが広く使用されているが、着色剤を添加して着色したものでもよく、必要に応じて滑剤や帯電防止剤など、種々の添加剤が使用されていてもよい。
セロハンの厚みとしては、任意に設定できるが、10~50μmのものが好適に用いられる。10μmより薄い場合は、その製造や加工の工程において破断しやすく、50μmより厚い場合は、剛性が高くなり、貼合紙を後加工する際に、打ち抜きや裁断などの工程での刃切れ性や罫線加工する場合の罫線の入り方に不具合が生じる場合がある。
[防湿コート層]
本発明においては、少なくとも非蒸着面に防湿コートを施したものを使用する必用がある。防湿コート層は、非蒸着面のみに設けても、蒸着面を含めた両面に設けてもよい。少なくとも非蒸着面に防湿コート層を設けることにより、原紙と蒸着セロハンを貼合した後にセロハン層の吸放湿を防止して、セロハン層の寸法変化や歪の発生を抑制することができる。
本発明においては、防湿コート面側を原紙側にして貼合するため、防湿コート層が原紙とウェットラミネート法により接着剤を介して接着される。この際に塗布される接着剤は水系のものであり、水分を多量に含んでいる。防湿コート層があることで、この水分がセロハン層に吸収されることを防止でき、セロハンの吸湿による加工中の破断や貼合後のカール、寸法変化によるねじれなどの発生を防止する効果がある。
防湿コートに使用する剤としては、ポリ塩化ビニリデンやアクリル樹脂、ポリエチレンワックス、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などの防湿性を有する樹脂が一般に用いられる。
これら防湿性を有する樹脂をコーティングする工法としては、グラビアコートやロールコートなど、様々なコーティング方法をとることができ、塗布量も任意で設定することが可能である。また、シリカやアルミナなどの透明な無機物や、アルミニウムなどの金属を蒸着するなどして防湿コート層としてもよい。
[金属蒸着]
このようにして得られた防湿コートしたセロハンの少なくとも片面には光沢をもつ金属を蒸着加工する。防湿コートを施した面が片面の場合は防湿コート層の無い面に蒸着を行い、両面に防湿コートを施した場合は任意の片面に蒸着を行う。必要であれば、両面に蒸着を施してもよい。
蒸着に用いる金属としては、アルミニウムのほか、錫、銅、金、銀、亜鉛、クロム、ニッケル、プラチナなどを用いることができるが、経済面と入手や蒸着加工の容易さなどから、アルミニウム、錫、銅が比較的よく用いられる。
蒸着層の厚さとしては、10~500nmのものが好適である。10nmより薄い場合は十分な金属光沢が得られず、遮蔽力もないため、原紙層が透けてしまい、強光沢の意匠性が得られない。一方、500nmを超える場合は、蒸着膜の柔軟性が低下し、ひび割れや凝集破壊を起こしやすくなるとともに、蒸着工程に手間がかかり、経済面で非常に高価なものとなり、実用性に欠けるものとなってしまう。
この蒸着による金属光沢の付与は、単に蒸着を施して強光沢を発現する一般的な蒸着フィルムの製法で行えばよく、エンボス加工などと組み合わせて、ホログラムフィルムやレンズフィルムとして製造してもよい。また、2種以上の金属を用い、それを混合して蒸着したり、2層以上の蒸着層を設けてもよい。
なお、先にこの蒸着工程を行い、その後に前述の防湿コート層を設ける加工順をとることもできる。
[ウェットラミネート]
上記のようにして作成された蒸着セロハンフィルムは、本発明においては、ウェットラミネートにより原紙に積層するが、この際、前記防湿コート層を原紙側に配して接着剤により貼合するものである。
ドライラミネート法によっても接着させることは可能ではあるが、ドライラミネート法では、通常、硬化剤を接着剤に配合して用いるため、接着剤層が固い層となり、後に防湿コート層とセロハンの界面で剥離が起こりやすくなってしまうことがある。これは、前記の蒸着セロハンでは、防湿コート層とセロハンとの密着強度が低調となっているためである。
前記ウェットラミネート法では、接着剤はドライラミネート用接着剤に対して柔軟性がある。このため、セロハンを剥がそうとしても接着剤層に伸びと粘りがあり、セロハンと防湿コート層との間での剥がれを防止することができる。
[接着剤]
ウェットラミネートに用いられる接着剤には水分が大量に含まれるが、防湿コート層があるためにその水分がセロハンに到達するのを防止することができる。
水系接着剤としては、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体、もしくはそれらのいずれかを成分として含む樹脂エマルジョン接着剤を用いることで、十分な接着力を得られる。一方で非エマルジョン接着剤の場合は、接着力が不十分となる。
エマルジョン接着剤で使用される樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合体などを含むものが好適に使用できる。
本発明のセロハンに使用する水系接着剤は固形分濃度が30~60%であり、B型粘度計で700~2500mPa・sであり、エマルジョン塗布量が3~20g/mであることが望ましい。また適宜、消泡剤や硬化剤などを添加してもよい。
固形分濃度が30%未満だとセロハン面への濡れ性が悪くなり、十分な接着力が得られにくくなり、固形分濃度が60%を超えると、接着剤として不安定となり、そもそも使用できない。
水系接着剤の粘度については、B型粘度計で700mPa・s未満とするとコーターのロール上に接着剤が載らず、セロハンへの転移量が減少し、接着に必要な塗布量を確保できなくなる。
一方、2500mPa・sを超えると、セロハンへの均一な塗布が難しくなり、部分的に膨れの発生が始まってしまうので、金属蒸着の鏡面の面感が悪くなる場合があり、好ましくない。
エマルジョン塗布量については、3g/m未満であると、接着力が発現されず、十分な接着力を得られ難い。又、エマルジョン塗布量が20g/mより多いと乾燥が不十分となり、後工程に耐えられない可能性がある。
[プライマーコート層]
防湿コート面上には、後工程の印刷適性や糊貼り適性を好適にするため、プライマーコート層を設ける。
このプライマーコート層は樹脂成分としては、ポリエステル、ポリウレタン、もしくはそれらの成分の少なくともどちらかを含有した樹脂であり、かつ固形分濃度が10~25%であり、粘度がザーンカップ(以下Z.C.と記すこともある)NO.3で11~30秒であることを特徴とするアンカー剤を使用することで、プライマーコート層と防湿コート層の間にはたらく結合力が強まり、密着が強固となる。プライマーコート層へは必要に応じて滑り性を向上剤、静電気除電剤、硬化剤、皮膜補強剤、回収凝固防止剤などへ樹脂成分に対して、適宜、添加してもよく、任意の色調に着色したものであってもい。
プライマーコート層の溶液の樹脂固形分濃度については、10%未満であると後工程の印刷適性の性能が発現されないことがあり、又、プライマー層の耐磨性が不足し、擦れ傷が発生しやすくなる。一方、樹脂固形分濃度が25%を超えると表面が凹凸を有し、平滑性が悪化することがあり、又、プライマー層が白く曇り、蒸着セロハンの輝度感を低下させることがある。
プライマー塗料粘度については、Z.C.NO.3で11秒未満とすると、泳ぎ現象が発生し、プライマー層が局所的に不均一な塗膜となり思わしくない。一方、塗料粘度をZ.C.NO.3で30秒より高くとすると、塗料粘度過多となり、均一な表面が得られず塗工ムラとなり、輝度感が悪化することがある。
更に、プライマー溶液塗布量については、2g/m未満であると、プライマー層のカスレや擦れ傷が発生しやすくなるとともに、後工程の印刷適性の性能が発現されず、インキ密着不良が発生することがある。一方、15g/mを超える塗布量とすると、プライマーコート層の乾燥性が低下し、ブロッキングを起こすことがあり、又、プライマー層が白く曇り、蒸着セロハンの輝度感を低下させることになる。これらを防止するためには乾燥温度を上げたり、乾燥時間を長くする必要が生じ、後に記す熱による捻じれカールにつながってしまう。
このようにして得られた蒸着セロハンを貼合した積層紙においては、蒸着フィルム面とは反対側の原紙裏面にカール防止効果をもたらす加工を施すことも有効である。
一般に、フィルムをウェットラミネート法で貼合すると、フィルム面を内側にしたカールが発生することがある。これを防止するためには、フィルムと反対面の原紙裏面に水を塗布したり、ポリビニルアルコールや澱粉などの水溶液などを塗布して乾燥させ、原紙裏面を収縮させてカールを緩和することが有効とされる。
蒸着セロハン貼合紙においても同じ手法を用いることが可能である。この際、ポリビニルアルコールや澱粉などの水溶液の固形分濃度は、カールの状態に応じて任意に設定でき、水または水溶液中にはエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール成分やグリコール成分などを添加することもできる。ポリビニルアルコールは部分鹸化品や架橋品、変性品でもよく、澱粉も熱可塑性などに変性されたものであってもよい。
また、炭酸カルシウムやカオリンなどをバインダー成分などと混合したエマルジョンコート層を設けてもよい。
これらのカール防止処理は、蒸着セロハンを貼合する前工程で行っても、貼合後に行ってもよく、グラビアコートやロールコート、エアナイフコートなど、任意のコート法を用いることができる。
また、原紙裏面の吸放湿を遮断する方法としては、フィルムを貼合する方法も有効である。フィルムとしては特に制約はないが、環境面を考慮すると、植物由来原料を使用したものや、生分解性を有するものであることが望ましい。
貼合の方法は、ウェットラミネート、ドライラミネート、サンドイッチラミネート、サーマルラミネートなど、種々の方法を用いることができる。場合によっては、蒸着セロハンを原紙の両面に貼合することも有効である。
そのほか、熱可塑性樹脂を押し出しラミネート法で積層することもでき、この場合もやはり、植物由来原料を使用した樹脂や、生分解性を有する樹脂であることが望ましい。
ウェットラミネート工程は、原紙とセロハンを貼合させる貼合工程であり、水系接着剤を塗付する方法としては種々の方法をとることができる。
まず、水系接着剤をピックアップする方法としては、カラーパン内の接着剤をピックアップする方法、或いは噴射式でエマルジョンを溜めピックアップする方法、又はグラビアロールにて接着剤を計量、ピックアップするなど、何れの方法を採ってもよい。
接着剤は、ピックアップしたロールから直接蒸着セロハンに接着剤を転移させても、若しくは更に別ロールに接着剤転移してから転移させても良い。
更に紙とセロハンについて圧着を行うべく、インプレッションロールを通過する。インプレッションロールに使用するロールについてはステンレスロール、鉄ロール、樹脂ロール何れを用いても構わない。その後、乾燥炉を通過し、接着剤を乾燥、固化させる。
蒸着セロハン上にプライマー溶液塗工を実施する場合の塗布方式としては、グラビアコーター、ロールコーター、グラビアリバースコーターなど任意の方法を用いることができる。その後、溶液塗工後の乾燥炉を通過し、裏面のコートを実施後、更に乾燥炉を通過する。
貼合紙の裏面にカール防止加工を行う必要がある場合においては、その方法については前述した任意の加工方式を採用することができる。
上記の製造工程においては、乾燥炉を通過する工程は、貼合工程通過後の乾燥炉と蒸着セロハン上のプライマー溶液塗工通過後の乾燥炉の2セクションあり、裏面にカール防止コートを採用した場合にはその乾燥炉を含めると3セクションとなる。
本発明に用いる蒸着防湿コートセロハンは、乾燥炉で加熱されると収縮し、貼合紙に捻じれるようなカールを発生させることがある。このため、上記のような乾燥炉セクションの条件設定に注意を要する。
この発明においては、熱風乾燥機を使用する際は全ての乾燥炉セクションの乾燥温度を50~130℃の範囲とし、全セクションの乾燥炉通過時間の合計を30秒以下とすることが好ましい。
温度を130℃より高くしたり、通過時間の合計が30秒を超過すると、セロハンに熱収縮が生じて貼合紙に捻じれるようなカールを発生させる場合がある。 更に望ましくは乾燥温度を110℃以下とするとより好ましい。
赤外線ヒーターなどで乾燥させる場合も、貼合紙の表面温度が上記範囲を超えないようにするのが好ましい。
又、ドラム式の接触乾燥機を用いる場合は、貼合紙の表面温度を50℃~110℃とし、接触時間を3秒以内とするとよい。
各セクションの乾燥温度の下限は50℃であるが、この温度を下回ると、いずれの工程においても接着不良などの問題が発生する場合がある。特にプライマーコート工程で熱量が不足すると、プライマーコート面の曇りが発生し、金属光沢の輝度感を損ねてしまう場合があり、更にはプライマーコート層と防湿コート層の密着が低下し、後加工の印刷適性や糊貼り適性を損なうおそれがある。又、貼合紙の表裏の接触でブロッキングが発生してしまう場合があり好ましくない。
このようにして作成された蒸着セロハン貼合紙は、必要に応じ、裁断され、グラビア印刷やオフセット印刷、フレキソ印刷、シルク印刷などの印刷加工を経て、その使用形態に応じて罫線加工、打抜き加工、糊貼り加工などが施される。また、ホットスタンプ加工やUVニス加工、ブリスター加工などの追加加工も可能であり、多様な品種、用途に使用することができる。
以下に実施例に基づき、本発明の蒸着セロハン貼合紙について、より具体的に説明するが、本発明はこれらの事例に限定されるものではない。
本明細書の実施例、比較例を作成するのに用いた各種原材料は表1の通りである。
Figure 0007495810000001
又、本明細書の実施例、比較例を作成するのに用いた水系接着剤・プライマー剤の塗工及び乾燥の条件を表2に一覧で示す。
Figure 0007495810000002
尚、以下の実施例及び比較例について、その評価を行うに際しては、各評価項目については以下の(a)(b)(c)(d)の評価方法に基づき実施した。いずれの評価においても、「○」は合格、「△」と「×」は不合格である。
(a)「接着状態」; 流れ方向20cm×幅方向4cmにカットした貼合紙から蒸着セロハンを180度の角度をつけ、手作業ではがした。接着剤と蒸着セロハン間にて界面剥離がなく、原紙表面層の?れがあった場合は「○」、接着剤と蒸着セロハン間にて界面剥離があった場合は「×」とした。
(b)「輝度感」; 作成した蒸着セロハン貼合紙が貼合前の蒸着セロハン面と同等の輝度感を発揮しているかを目視にて判断した。蒸着セロハンに相当する輝度感であれば「○」、表面に凹凸が生じたり擦れ傷があって輝度感が低下している場合は「△」、白濁や虹発色などの金属光沢を損なう発色がある場合は「×」とした。
(c)「プライマー層密着強度」:いわゆるセロテープピック法(登録商標:セロテープ)にて評価した。巾15mm、長さ約15cmのセロハンテープを評価するプライマーコート面に貼りつけ、空気を抜くようにして指で擦り、テープの端を直角方向に引っ張り、約1秒で?す。この際にプライマー層がセロハンテープ側に取られてこなければ「○」、一部分で取られた場合は「△」、全面的に取られた場合は「×」とした。
(d)「熱カール」:得られた蒸着セロハン貼合紙を流れ方向15cm×幅方向15cmにカットし、4頂点および4辺中央部分の計8か所の浮き上がり量(mm)を測定した。浮き上がり量の標準偏差(mm)を計算し、5未満なら「○」、5以上なら「×」とした。
以下に個別に実施例と比較例について説明する。
ここで、実施例1は、図1に示すように、符号で示すと1/2/3/4/3/5/6の順で積層されたI型の蒸着セロハン貼合紙Sからなっている。
同時に、図2に示すように、符号で示すと1/2/4/3/5/6の順で積層された簡易構造のII型の蒸着セロハン貼合紙Sとしてもよい。
原紙6として巾805mm 、坪量310g/mのコート紙、三菱製紙株式会社製「三菱Nパールカード」(商品名)を使用。
蒸着セロハンは、巾800mm、厚さ23μmのセロハン4の両面または片面に防湿コート層3を設け、セロハン3の片面にアルミニウムを真空蒸着した尾池パックマテリアル株式会社製の「セロメタル」(商標)を用いて金属蒸発層2とした。
水系接着剤5として、コニシ株式会社製のビニル共重合樹脂エマルジョン「SP2850N」(商品名)を用い、固形分濃度50% 、粘度1940mPa・s(B型粘度計)、エマルジョン塗布量が6g/mとなるよう調整してウェットラミネーターで塗布し、蒸着面が外になるように原紙のコート面を貼合した。
更に金属蒸着層2の面に保護と印刷適性の向上のために、プライマーコート層1を設けた。
プライマーコート層1としては、ポリウレタンを含む硝化綿系のプライマー剤、 DICグラフィックス株式会社製「MET-517」(商品名)を、固形分濃度23%、粘度20秒(Z.C.No.3)、溶液塗布量が7g/mとなるよう塗布して乾燥させることで、蒸着セロハン貼合紙Sを得た。この時の通紙速度は60m/minであり、各乾燥炉の乾燥温度は100℃ 、乾燥炉の通過時間の合計は10秒となるようにした。
得られた実施例1のI型、2型の蒸着セロハン貼合紙Sの蒸着セロハンの接着強度および金属光沢、プライマー層の密着性は良好であった。また熱カールはなくフラットな状態であった。評価結果を表3に一覧で示す。
Figure 0007495810000003
本実施例2でも1型(図1)とII型(図2)の2種類を用いた。
原紙6として巾805mm 、坪量310g/mのコート紙、三菱製紙株式会社製「三菱Nパールカード」(商標)を使用。蒸着セロハンは、巾800mm、厚さ23μmのセロハン4の両面(I型)または片面(II型)に防湿コート層3を設け、片面にアルミニウムを真空蒸着した金属蒸発層2を尾池パックマテリアル株式会社製の「セロメタル」(商標)を用いて形成した。
水系接着剤5として、サイデン化学株式会社製のアクリル・酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン「AC-60」(商品名)を用い、固形分濃度50% 、粘度1940mPa・s(B型粘度計)、エマルジョン塗布量が5g/mとなるよう調整してウェットラミネーターで塗布し、蒸着面が外になるように原紙のコート面を貼合した。
更に金属蒸着層2の面に保護と印刷適性の向上のために、プライマーコート層1を設けた。プライマー層1としては、ポリウレタンを含む硝化綿系のプライマー剤、 DICグラフィックス株式会社製「MET-517」(商品名)を、固形分濃度25%、粘度27秒(Z.C.No.3)、溶液塗布量が3g/mとなるよう塗布して乾燥させることで、蒸着セロハン貼合紙Sを得た。この時の通紙速度は60m/minであり、各乾燥炉の乾燥温度は100℃ 、乾燥炉の通過時間の合計は10秒となるようにした。
得られた蒸着セロハン貼合紙SのI型とII型のいずれも、蒸着セロハンの接着強度および金属光沢、プライマー層の密着性は良好であった。また熱カールはなくフラットな状態であった。評価結果を表3に一覧で示す。
本実施例3でも実施例1と同様にI型とII型とを製作した。
原紙6として巾805mm 、坪量310g/mのコート紙、三菱製紙株式会社製「三菱Nパールカード」(商標)を使用。蒸着セロハンは、巾800mm、厚さ23μmのセロハン4の両面(I型)または片面(II型)に防湿コート層3を設け、片面にアルミニウムを真空蒸着した金属蒸着層2を、尾池パックマテリアル株式会社製の「セロメタル」(商標)を用いて形成した。
水系接着剤5として、コニシ株式会社製のビニル共重合樹脂エマルジョン「SP2850N」(商品名)を用い、固形分濃度55% 、粘度2360mPa・s(B型粘度計)、エマルジョン塗布量が11g/mとなるよう調整してウェットラミネーターで塗布し、蒸着面が外になるように原紙のコート面を貼合した。
更に蒸着層面に保護と印刷適性の向上のために、プライマーコート層1を設けた。
プライマーコート層1としては、ポリ塩化ビニル・エステル・ウレタン系のプライマー剤、 DICグラフィックス株式会社製「UVプライマー」(商品名)を、固形分濃度21%、粘度24秒(Z.C.No.3)、溶液塗布量が5g/mとなるよう塗布して乾燥させることで、蒸着セロハン貼合紙Sを得た。
この時の通紙速度は60m/minであり、各乾燥炉の乾燥温度は100℃ 、乾燥炉の通過時間の合計は10秒となるようにした。
得られた蒸着セロハン貼合紙SのI型とII型のいずれも、蒸着セロハンの接着強度および金属光沢、プライマー層の密着性は良好であった。また熱カールはなくフラットな状態であった。
本実施例4でも実施例1と同様にI型とII型とを製作した。
原紙6として巾805mm 、坪量310g/mのコート紙、三菱製紙株式会社製「三菱Nパールカード」(商標)を使用。蒸着セロハンは、巾800mm、厚さ23μmのセロハン3の両面(I型)または片面(II型)に防湿コート層3を設け、片面にアルミニウムを真空蒸着した金属蒸着層2として尾池パックマテリアル株式会社製の「セロメタル」(商標)を用いた。
水系接着剤5として、コニシ株式会社製のビニル共重合樹脂エマルジョン「SP2850N」(商品名)を用い、固形分濃度34% 、粘度800mPa・s(B型粘度計)、エマルジョン塗布量が9g/mとなるよう調整してウェットラミネーターで塗布し、蒸着面が外になるように原紙のコート面を貼合した。
更に金属蒸着層4の面に保護と印刷適性の向上のために、プライマーコート層1を設けた。
プライマー層としては、ポリエステル系のプライマー剤、 DICグラフィックス株式会社製「SFプライマー930」(商品名)を、固形分濃度20%、粘度22秒(Z.C.No.3)、溶液塗布量が6g/mとなるよう塗布して乾燥させることで、蒸着セロハン貼合紙Sを得た。この時の通紙速度は60m/minであり、各乾燥炉の乾燥温度は100℃ 、乾燥炉の通過時間の合計は10秒となるようにした。
得られた蒸着セロハン貼合紙Sにおいては、蒸着セロハンの接着強度および金属光沢、プライマーコート層1のI型とII型のいずれも、密着性は良好であった。また熱カールはなくフラットな状態であった。
本実施例5でも実施例1と同様にI型とII型とを製作した。
原紙6として巾810mm 、坪量360g/mのキャスト紙、興陽製紙株式会社製「エスプリSR」(商標)を使用。蒸着セロハンは、巾800mm、厚さ23μmのセロハン3の両面(1型)または片面(II型)に防湿コート層3を設け、片面にアルミニウムを真空蒸着して金属蒸着層2とした尾池パックマテリアル株式会社製の「セロメタル」(商標)を用いた。
水系接着剤5として、コニシ株式会社製のビニル共重合樹脂エマルジョン「SP2850N」(商品名)を用い、固形分濃度50% 、粘度2500mPa・s(B型粘度計)、エマルジョン塗布量が8g/mとなるよう調整してウェットラミネーターで塗布し、蒸着面が外になるように原紙のコート面を貼合した。
更に金属蒸着層4の面に保護と印刷適性の向上のために、プライマーコート層1を設けた。
プライマーコート層1としては、ポリウレタンを含む硝化綿系のプライマー剤、 DICグラフィックス株式会社製「MET-517」(商品名)を、固形分濃度10%、粘度12秒(Z.C.No.3)、溶液塗布量が7g/mとなるよう塗布して乾燥させることで、蒸着セロハン貼合紙Sを得た。
この時の通紙速度は60m/minであり、各乾燥炉の乾燥温度は100℃ 、乾燥炉の通過時間の合計は10秒となるようにした。
得られた蒸着セロハン貼合紙SのI型とII型のいずれも、蒸着セロハンの接着強度および金属光沢、プライマー層の密着性は良好であった。また熱カールはなくフラットな状態であった。
本実施例6でも実施例1と同様にI型とII型とを製作した。
水系接着剤層5のエマルジョン塗布量を4g/m、各乾燥炉の乾燥温度を全て60℃ 、乾燥炉の通過時間の合計は25秒となるようにした以外は実施例1と同様にして蒸着セロハン貼合紙Sを得た。
得られた蒸着セロハン貼合紙SのI型とII型のいずれも、蒸着セロハンの接着強度および金属光沢、プライマーコート層1の密着性は良好であった。また熱カールはなくフラットな状態であった。
本実施例7でも実施例1と同様にI型とII型とを製作した。
水系接着剤層5の塗布量を18g/m、プライマー剤の溶液塗布量を14g/m、乾燥炉の通過時間の合計を20秒となるようにした以外は実施例1と同様にして蒸着セロハン貼合紙Sを得た。
得られた蒸着セロハン貼合紙SのI型とII型のいずれも、蒸着セロハンの接着強度および金属光沢、プライマーコート層の密着性は良好であった。また熱カールはなくフラットな状態であった。
比較例1
水系接着剤層5として、クラレ株式会社製のPVAを固形分濃度10%、粘度2430mPa・s(B型粘度計)となるように水に溶解した非エマルジョン系の水溶液接着剤を用い、水溶液塗布量は6g/mとなるようにした以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例1の蒸着セロハン貼合紙のI型とII型を得た。
この評価結果としては、いずれも貼合後に蒸着セロハンの剥離を試みると、非エマルジョン接着剤であるため、蒸着セロハンの蒸着面と接着剤間に十分な接着力が得られず、界面剥離した。
比較例2
水系接着剤層5として、コニシ株式会社製のビニル共重合樹脂エマルジョン「SP2850N」(商品名)を用い、固形分濃度24% 、粘度580mPa・s(B型粘度計)、エマルジョン塗布量が6g/mとなるよう調整した以外は実施例1と同様にして比較例2のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、貼合後に蒸着セロハンの剥離を試みると、いずれも蒸着セロハンと接着剤間に十分な接着力が得られず、容易に剥離した。
比較例3
水系接着剤層5として、コニシ株式会社製のビニル共重合樹脂エマルジョン「SP2850N」(商品名)を用い、固形分濃度50% 、粘度は増粘剤としてIPAを5%添加して粘度2700mPa・s(B型粘度計)、エマルジョン塗布量が13g/mとなるよう調整した以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例3のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、いずれも水系接着剤層5のセロハン4への均一な塗布ができず、部分的に膨れの発生が始まり、金属蒸着層2の鏡面の面感が損なわれ、不良品となってしまった。
比較例4
水系接着剤層5として、コニシ株式会社製のビニル共重合樹脂エマルジョン「SP2850N」(商品名)を用い、固形分濃度50% 、粘度1940mPa・s(B型粘度計)、エマルジョン塗布量が2g/mとなるよう調整した以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例4のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、いずれも貼合後に蒸着セロハンの剥離を試みると、十分な接着力が得られず容易に剥離した。
比較例5
水系接着剤層5として、コニシ株式会社製のビニル共重合樹脂エマルジョン「SP2850N」(商品名)を用い、固形分濃度50% 、粘度1940mPa・s(B型粘度計)、エマルジョン塗布量が24g/mとなるよう調整した以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例5のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、貼合後に蒸着セロハンの剥離を試みると、乾燥不充分で蒸着セロハンと接着剤間に十分な接着力が得られずに剥離した。
比較例6
プライマーコート層1として、ポリウレタンを含まない硝化綿系のプライマー剤、DICグラフィックス株式会社製「サイアスHR メジューム」(商標)を用い、固形分濃度20%、粘度19秒(Z.C.NO.3)、溶液塗布量が7g/mとなるよう塗布する以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例6のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、プライマー層が密着不十分により表面から剥離した。
比較例7
プライマーコート層1として、ポリウレタンを含む硝化綿系のプライマー剤、DICグラフィックス株式会社製「MET-517」(商品名)を用い、固形分濃度7%、粘度10秒(Z.C.NO.3)、溶液塗布量が9g/mとなるよう塗布する以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例7のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、いずれも固形分としてのプライマー層の塗布量が少ないため、表面の耐摩性が保持されず、擦れキズが発生した。
比較例8
プライマーコート層1として、ポリウレタンを含む硝化綿系のプライマー剤、DICグラフィックス株式会社製「MET-517」(商品名)を用い、固形分濃度27%、粘度35秒(Z.C.NO.3)、溶液塗布量が4g/mとなるよう塗布する以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例8のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、いずれもプライマーの固形分濃度が高く、塗布面が凹凸を有して表面平滑性が悪化した。又、プライマー層の白化もあることから輝度感が損なわれた。
比較例9
プライマーコート層1として、ポリウレタンを含む硝化綿系のプライマー剤、DICグラフィックス株式会社製「MET-517」(商品名)を用い、固形分濃度23%、粘度20秒(Z.C.NO.3)、溶液塗布量が1g/mとなるよう塗布する以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例9のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、いずれもプライマーコート層1が抜ける部分が存在するほか擦れ傷も発生しやすかった。
比較例10
プライマーコート層1として、ポリウレタンを含む硝化綿系のプライマー剤、DICグラフィックス株式会社製「MET-517」(商品名)を用い、固形分濃度23%、粘度20秒(Z.C.NO.3)、溶液塗布量が20g/mとなるよう塗布する以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例10のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、いずれも製品の平判断裁後の積載でブロッキングが発生し、表面の破壊を招いてしまった。
比較例11
各乾燥炉の乾燥温度を全て130℃ 、乾燥炉の通過時間の合計は10秒となるようにした以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例11のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、いずれも蒸着セロハンが委縮してねじれるようなカールが発生した。
比較例12
各乾燥炉の乾燥温度を全て40℃ 、乾燥炉の通過時間の合計は10秒となるようにした以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例12のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、いずれも乾燥不足でプライマーコート層の密着不良が発生し、セロテープピック(登録商標:セロテープ)で?れてしまった。又、プライマーコート層が白化してしまい、輝度感が低下した。
比較例13
各乾燥炉の乾燥温度を全て100℃ 、乾燥炉の通過時間の合計は40秒となるようにした以外は実施例1のI型とII型と同様にして比較例13のI型とII型の蒸着セロハン貼合紙を得た。
この評価結果としては、いずれも蒸着セロハンが委縮してねじれるようなカールが発生した。
本発明の実施例である実施例1~実施例7は、いずれにおいても蒸着セロハンの接着強度は良好であり、輝度感も保持され、プライマー層の密着強度も良好であった。
これに対し比較例1では、蒸着セロハンの接着状態の評価に関して、水系接着剤として、非エマルジョンであるPVAを用いると十分な接着が確保できなかった。またポリ酢酸ビニルのエマルジョン樹脂を用いると、蒸着セロハンとで界面剥離が発生し、接着状態とならなかった。
また、比較例2~比較例5において、水系接着剤の固形分濃度30%、粘度700mPa・s(B型粘度計)を下回った場合、および塗布量3g/mを下回った場合も、蒸着セロハンの接着状態が不十分であった。逆に塗布量20g/mを超過させると、接着剤が乾燥不足となり接着力が不十分であった。固形分濃度50%、粘度2500mPa・s(B型粘度計)を上回った場合は水系接着剤のセロハンへの均一な塗布ができず、部分的に膨れが発生した。
一方、比較例6において、プライマーコート層として、ポリウレタンを含まない硝化綿系のプライマー剤を使用すると、プライマーコート層の密着が低下して容易にセロテープピック(登録商標:セロテープ)で剥離してしまった。
また、比較例8~比較例10においては、プライマー剤が固形分濃度10%あるいは塗布量2g/mを下回った場合、プライマー層の塗布量が少ないため、表面の耐摩性が保持されず、擦れキズが発生した。
粘度が11秒(Z.C.NO.3)を下回った場合は、プライマーコート層の泳ぎが発生し、輝度感が不均一となり面感を損なった。
一方でプライマー剤の固形分濃度が25%を超過すると、塗布面が凹凸を有して表面平滑性が悪化した。又、プライマーコート層が白く曇り、輝度感の低下が大きいものとなった。
粘度が15秒(Z.C.NO.3)を上回った場合、プライマーコート層の塗りムラから表面の輝度感低下につながった。塗布量を15g/mよりも超過させると、製品の平判断裁後の積載でブロッキングが発生してしまった。
比較例11~比較例13においては、乾燥炉での加熱条件を変化させたが、乾燥炉の温度を上昇させて130℃とした場合と、乾燥時間を増加させて100℃×40秒とした場合には、蒸着セロハンの収縮を招き捻じれるようなカールが強まってしまった。
逆に乾燥炉温度を低下させて40℃×10秒とした場合には、乾燥不足でプライマーコート層の密着不良が発生し、セロテープピック(登録商標:セロテープ)で?れてしまった。又、プライマーコート層が白化してしまい、輝度感が低下した。
以上のように、比較例では、いずれにおいても良品となる製品は得られなかった。
本発明の蒸着セロハン貼合紙Sは、光沢感を有する包装用紙、印刷用紙、加工用紙などとして、必要により、裁断、印刷、オーバーコート、罫線加工、打抜き加工、他の部材との接着、糊貼り加工などを施し、パッケージやカタログ、パンフレット、書籍、ファンシー用品、トレーディングカードゲームのカード、文具などに使用することができる。
1 プライマーコート層
2 金属蒸着層
3 防湿コート層
4 セロハン
5 水系接着剤層
6 原紙
10 蒸着セロハン貼合紙

Claims (4)

  1. 原紙に、光沢をもつ金属蒸着層を一面に有する蒸着セロハンを貼合してなる蒸着セロハン貼合紙において、
    セロハンの非金属蒸着面またはセロハンの非金属蒸着面および金属蒸着面側に防湿コートを施してなり、原紙と前記蒸着セロハンの非金属蒸着面側とがウェットラミネートによる水系接着剤層にて貼合してなり、前記金属蒸着面層の上にプライマーコート層を設けてなり、
    前記水系接着剤層が、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体、もしくはそのいずれかを成分として含む樹脂エマルジョン接着剤からなり、且つ固形分濃度が30~60%であり、B型粘度計で700~2500mPa・sの粘度であり、エマルジョン塗布量が3~20g/m であり、
    プライマーコート層がポリエステル、ポリウレタン、もしくはそれらの成分の少なくともどちらかを含有した樹脂であり、かつ溶液の固形分濃度が10~25%であり、粘度がザーンカップNO.3で11~30秒であり、溶液塗布量が2~15g/m であり、水系接着剤による接着工程およびプライマーコート工程における各乾燥炉の乾燥温度が50~130℃で、乾燥炉の通過時間の合計を30秒以内としたことを特徴とする蒸着セロハン貼合紙。
  2. 蒸着セロハン貼合紙が、原紙/水系接着剤層/防湿コート層/セロハン/防湿コート層/金属蒸着層/プライマーコート層を順次積層してなることを特徴とする請求項1に記載の蒸着セロハン貼合紙。
  3. 蒸着セロハン貼合紙が、原紙/水系接着剤層/防湿コート層/セロハン/金属蒸着層/プライマーコート層を順次積層してなることを特徴とする請求項1に記載の蒸着セロハン貼合紙。
  4. 原紙に、光沢をもつ金属蒸着層を一面に有する蒸着セロハンを貼合してなる請求項1から3のいずれかに記載の蒸着セロハン貼合紙の製造方法において、
    原紙と蒸着セロハンとがウェットラミネートによる水系接着剤層にて貼合し、前記セロハンの金属蒸着層の上にプライマーコート層を設ける工程中で、水系接着剤による接着工程およびプライマーコート工程における各乾燥炉の乾燥温度が50~130℃で、乾燥炉の通過時間の合計を30秒以内としたことを特徴とする蒸着セロハン貼合紙の製造方法。
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