JP7492441B2 - スイッチング電源装置、その制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Description
この従来型DABは、直流の1次側電圧E1及び1次側電流I1を平滑する1次側平滑コンデンサ1に対して並列に、1次側インバータ10が接続されている。1次側インバータ10は、平滑された1次側電圧E1及び1次側電流I1をスイッチングして3相交流電圧及び3相交流電流に変換する回路であり、U相の高レベル(以下「H」という。)側スイッチ11、U相の低レベル(以下「L」という。)側スイッチ12、V相のH側スイッチ13、V相のL側スイッチ14、W相のH側スイッチ15、及びW相のL側スイッチ16のフルブリッジ回路により構成されている。スイッチ11,12間の接続点、スイッチ13,14間の接続点、及びスイッチ15,16間の接続点には、3相のリアクトル17,18,19を介して、3相の変圧器20の1次巻線が接続されている。
2次側インバータ30で整流された直流電圧及び直流電流は、2次側平滑コンデンサ37にて平滑され、平滑された直流の2次側電圧E2及び2次側電流I2が出力されるようになっている。
1次側インバータ10は、図示しない制御装置から供給される1次側駆動パルスS11~S16により、スイッチ11~16がオン/オフ動作し、直流の1次側電圧E1及び1次側電流I1を3相交流電圧vp(以下「出力電圧vp」という。)及び3相交流電流に変換する。2次側インバータ30は、図示しない制御装置から供給される2次側駆動パルスS31~S36により、スイッチ31~36がオン/オフ動作し、変圧器20の2次巻線に誘起された3相交流電圧vs(以下「入力電圧vs」という。)及び3相交流電流を直流の2次側電圧E2及び2次側電流I2に変換する。
このように、従来型DABでは、位相差φを変えることにより、容易に昇降圧動作、及び双方向電力変換が可能である。
図10は、従来の特許文献2に記載された駆動パルスS11~S16のパターン図である。
このように、図8の従来型DABでは、どの時間においても、U,V,W各相のスイッチ状態が全て同一(オン又はオフ)となる区間が存在しないため、短絡時等の電流低減ができない。
しかしながら、近年、回路設計の自由度を向上させるために、従来型DABにおける基本回路の構成を変更することなく、駆動パルス変調方法を変更して、特許文献2と同様の作用効果を奏するDAB型DC/DCコンバータ等のスイッチング電源装置の実現が要望されていた。
図1は、本発明の実施例1における3相DAB型DC/DCコンバータの構成図である。
本実施例1の3相DAB型DC/DCコンバータは、従来型DABと同様の1次側平滑コンデンサ1、1次側インバータ10、3相のリアクトル17,18,19、3相の変圧器20、2次側インバータ30、及び2次側平滑コンデンサ37を有する電力変換部と、従来とは異なる制御装置40と、により構成されている。
位相差φと変調率MRとは、それぞれ独立の制御パラメータである。そのため、制御装置40において、例えば、位相差φを決定し、その位相差φに対して1次側変調率MR1及び2次側変調率MR2を決めた駆動パルスS11~S16,S31~S36を生成する制御方法、又は、1次側変調率MR1及び2次側変調率MR2を決めた駆動パルスS11~S16,S31~S36を生成してその位相差φを調整する制御方法のいずれか一方を採用できる。
このような制御装置40は、例えば、中央処理装置(CPU)や、半導体素子等の個別回路により構成されている。
図2は、図1の制御装置40における1次側駆動パルスS11~S16及び2次側駆動パルスS31~S36の変調方法の一例を示す動作波形図である。
制御装置40は、測定された1次側電圧E1と2次側電圧E2とに基づき、1次側/2次側電圧比E1/E2を求め、その電圧比E1/E2が大きい場合(最悪で2次側が短絡状態)、制御パラメータである大小の変調率MRを持つU,V,W相比較値CV_U,CV_V,CV_Wに基づき、そのU,V,W相比較値CV_U,CV_V,CV_Wと、三角波キャリアTCと、を比較して比較結果を求め、その比較結果に基づき、1次側駆動パルスS11a~S16a及び2次側駆動パルス31a~36aを生成(変調)し、出力する。
1次側電圧E1と2次側電圧E2とが近く、定格出力近傍等の高出力時は、図2(c)に示すように、変調率MRが大きくなり、更に、1次側インバータ10の出力電圧vp(又は出力電流)と2次側インバータ30の入力電圧vs(又は入力電流)との間の位相差φも大きくなり、それに対応した駆動パルスS11~S16,S31~S36が、制御装置40から出力され、1次側インバータ10及び2次側インバータ30がスイッチング動作する。
例えば、無負荷時の2次側短絡によって1次側/2次側電圧比E1/E2が大きく、出力を絞る場合は、変調率MRも位相差φも小さくなり、それに対応した駆動パルスS11~S16,S31~S36が、制御装置40から出力され、1次側インバータ10及び2次側インバータ30がスイッチング動作する。
U相の相補的な駆動パルスS11,S12、V相の相補的な駆動パルスS13,S14、及び、W相の相補的な駆動パルスS15,S16のパルス幅大、中(デューティ比D=0.5)、小を順番に入れ替えることにより、全スイッチ11~16が同一状態(例えば、全L側スイッチ12,14,16がオン状態、又は、全H側スイッチ11,13,15がオン状態)となる区間が生成されている。
なお、2次側駆動パルスS31~S36の代表的なパターン図も、図3と同様である。
2次側電圧E2が0Vになると、平滑コンデンサ37に蓄積された電荷が放電され、瞬時的にパルス状の大電流が発生するが、その後、2次側電流I2が一定値に維持される。この時、制御装置40では、1次側/2次側電圧比E1/E2が最大値であるので、図2に示すように、所望の1次側変調率MR1及び2次側変調率MR2(例えば、MR1=MR2=最小の0、中又は大)を算出する。
そして、制御装置40は、U,V,W相比較値CV_U,CV_V,CV_Wと三角波キャリアTCとの比較結果に基づき、1次側駆動パルスS11~S16及び2次側駆動パルスS31~S36を生成し、1次側インバータ10内のスイッチ11~16と2次側インバータ30内のスイッチ31~36とをオン/オフ動作させる。
この図4では、図1の3相DAB型DC/DCコンバータでの2次側電圧E2が0Vの垂下状態の動作波形が示されている。1次側駆動パルスS11~S16及び2次側駆動パルスS31~S36には、デッドタイムが含まれていない。2次側電圧E2が0Vの垂下状態では、電力変換することができないので、制御パラメータである位相差φと変調率MR(=1次側変調率MR1及び2次側変調率MR2)とを全て0としている。
本実施例1によれば、次の(1)~(4)のような効果がある。
(1) 図3の1次側駆動パルスS11~S16(及び2次側駆動パルスS31~S36も同様)のパターン図に示すように、U,V,W各相のパルス幅大、中(デューティ比D=0.5)、小を順番に入れ替えることにより、全スイッチ11~16(及び/又は31~36)が同一状態となる区間を作りだしている。この駆動パルス変調方法が図2に示されている。図2に示すように、変調率MRが最小(=0)となる条件においては(図2の下段の(a)の状態、及び図4の状態)、U,V,W全相のスイッチ11~16(及び/又は31~36)の動作状態が同一になる。この時の回路の状態は、どのタイミングにおいても2通り(U相H側スイッチ11、V相H側スイッチ13、W相H側スイッ15がオン状態、U相L側スイッチ12、V相L側スイッチ14、W相L側スイッチ16がオフ状態、又は、U相L側スイッチ12、V相L側スイッチ14、W相L側スイッチ16がオン状態、U相H側スイッチ11、V相H側スイッチ13、W相H側スイッチ15がオフ状態のいずれか)しか発生できなくなる(スイッチS31~S36も同様)。この状態においては、図4に示すように、その2つのパターンのいずれにおいても、巻線部(リアクトル17~19と変圧器20がある部位)の線間に電圧が発生できなくなり(例えば、U相リアクトル電圧VL_U=0V)、その巻線部に電圧が印加されるモードが消滅する。これにより、回路内を循環する電流を低減できる(例えば、U相リアクトル電流IL_U=0A、1次側電流I1=0A)。
このように、本実施例1によれば、1次側/2次側電圧比E1/E2が大きい場合、従来型DABから基本回路の構成を変更することなく、変調率MR(MR1,MR2)を小さくすることで、回路内を循環する無効電流を抑制できる。但し、変調率MR(MR1,MR2)を小さくした場合は、有効電力成分も抑制されてしまうので、1次側/2次側電圧比E1/E2が小さい場合は、あまり変調率MR(MR1,MR2)の減少を行うべきではない。
この図5に示すように、本実施例1では、従来型DABと同様に、位相差φによる双方向電力変換も可能となっている。
本実施例1では、図6の実線の変圧器電流実効値で示すように、出力短絡時(=2次側電圧E2が0V)において、制御パラメータである変調率MR(MR1,MR2)を変えることにより、変圧器電流(リアクトル電流ILと同一)の実効値を変えることができる。例えば、変調率MR(MR1,MR2)が最小の0.0の時、変圧器電流の実効値は0Aとなる。
従来型DABの位相差φの制御では、図6の破線の電流値(イメージ)で示すように、常時最大電流が流れ続けるので、変圧器電流を軽減できない。これに対して、本実施例1では、特許文献2と同様に、入出力間の電圧差が大きい状態での軽負荷時の回路内電流を減少させることにより、導通損失を低減することができる。
以下、実施例2として、例えば、単相DAB型DC/DCコンバータについて説明する。
本実施例2の単相DAB型DC/DCコンバータは、例えば、図1において、W相のスイッチ15,16,35,36、及びリアクトル19が省略され、3相の変圧器20が単相の変圧器(以下、符号「20A」を付す。)に置き換えられ、更に、制御装置40から出力される駆動パルスS15,S16,S35,S36が省略された構成になっている。
本実施例2の制御装置(以下、符号「40A」を付す。)は、実施例1の制御装置40と略同様に、測定された2次側電流I2と2次側目標電流値Ithとを入力し、その2次側電流I2と2次側目標電流値Ithとの誤差を減少するような、1次側インバータ(以下、符号「10A」を付す。)の出力電圧vp(又は出力電流)と2次側インバータ(以下、符号「30A」を付す。)の入力電圧vs(又は入力電流)との間の、出力指令値である制御パラメータの位相差φを求め、複数の1次側駆動パルスS11~S14及び複数の2次側駆動パルスS31~S34を生成し、1次側インバータ10A及び2次側インバータ30Aをスイッチング制御して、2次側インバータ30Aの出力電力Poを制御する機能を有している。
実施例1と略同様に、位相差φと変調率MRとは、それぞれ独立の制御パラメータである。そのため、制御装置40Aにおいて、例えば、位相差φを決定し、その位相差φに対して1次側変調率MR1及び2次側変調率MR2を決めた駆動パルスS11~S14,S31~S34を生成する制御方法、又は、1次側変調率MR1及び2次側変調率MR2を決めた駆動パルスS11~S14,S31~S34を生成してその位相差φを調整する制御方法のいずれか一方を採用できる。
図7は、本発明の実施例2の制御装置40Aにおける1次側駆動パルスS11~S14及び2次側駆動パルスS31~S34の変調方法の一例を示す動作波形図である。
図7に示すように、三角波キャリアTCは、制御上の1周期Tの間に2周期発生する。U,V相比較値CV_U,CV_Vは、図7の上段の波形図に示すように、それぞれ+側、-側の2通り発生し、制御上の1周期T内でそれぞれ180°ずつ発生する。図7の下段の(a),(b),(c)の波形図に示すように、振幅である変調率MRの大小(=最小の0、中、大)は、+側、-側の三角波キャリアTCの中間値からの増大により制御される。そのU,V相比較値CV_U,CV_Vは、互いに180°の位相差を持つ。変調率MRは、各U,V相で同一となる。
本発明は、上記実施例1,2に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。例えば、図1に示すDAB型DC/DCコンバータにおける電力変換部の構成は、図示以外の構成に変更しても良い。
10 1次側インバータ
11~16,31~36 スイッチ
17~19 リアクトル
20 変圧器
30 2次側インバータ
37 2次側平滑コンデンサ
40 制御装置
Claims (5)
- 複数の1次側駆動パルスによりオン/オフ動作する複数のスイッチがブリッジ接続され、直流の1次側電圧及び1次側電流をスイッチングして交流電圧及び交流電流に変換して出力する1次側インバータと、
1次巻線及び2次巻線を有し、前記1次側インバータの出力電圧及び出力電流を前記1次巻線に入力し、誘起された交流電圧及び交流電流を前記2次巻線から出力する変圧器と、
複数の2次側駆動パルスによりオン/オフ動作する複数のスイッチがブリッジ接続され、前記2次巻線の出力電圧及び出力電流を整流し、直流の2次側電圧及び2次側電流を出力する2次側インバータと、
前記1次側インバータに供給する前記複数の1次側駆動パルスと前記2次側インバータに供給する前記複数の2次側駆動パルスとを出力し、前記1次側インバータの出力値と前記2次側インバータの入力値との間の位相差を変えて前記2次側インバータの出力電力を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
制御上の1周期の間に複数周期発生するキャリアの中間値から+側と-側への増大により制御される、出力指令値である大小の変調率を持ち、前記制御上の1周期の間に複数レベルに変化する比較値と、前記キャリアと、を比較して比較結果を求め、前記比較結果に基づき、前記1次側駆動パルス及び前記2次側駆動パルスを変調する、
ことを特徴とするスイッチング電源装置。 - 前記キャリアは、前記制御上の1周期の間に3周期発生する三角波キャリアであり、
前記比較値は、前記制御上の1周期の間に0、+側及び-側の3通りのレベルに変化し、且つ、前記制御上の1周期内でそれぞれ120°ずつ発生する、
ことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。 - 前記キャリアは、前記制御上の1周期の間に2周期発生する三角波キャリアであり、
前記比較値は、前記制御上の1周期の間に+側及び-側の2通りのレベルに変化し、且つ、前記制御上の1周期内でそれぞれ180°ずつ発生する、
ことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。 - 複数の1次側駆動パルスによりオン/オフ動作する複数のスイッチがブリッジ接続され、直流の1次側電圧及び1次側電流をスイッチングして交流電圧及び交流電流に変換して出力する1次側インバータと、
1次巻線及び2次巻線を有し、前記1次側インバータの出力電圧及び出力電流を前記1次巻線に入力し、誘起された交流電圧及び交流電流を前記2次巻線から出力する変圧器と、
複数の2次側駆動パルスによりオン/オフ動作する複数のスイッチがブリッジ接続され、前記2次巻線の出力電圧及び出力電流を整流し、直流の2次側電圧及び2次側電流を出力する2次側インバータと、
を備えるスイッチング電源装置の制御装置であって、
前記1次側インバータに供給する前記複数の1次側駆動パルスと前記2次側インバータに供給する前記複数の2次側駆動パルスとを出力し、前記1次側インバータの出力値と前記2次側インバータの入力値との間の位相差を変えて前記2次側インバータの出力電力を制御する機能と、
制御上の1周期の間に複数周期発生するキャリアの中間値から+側と-側への増大により制御される、出力指令値である大小の変調率を持ち、前記制御上の1周期の間に複数レベルに変化する比較値と、前記キャリアと、を比較して比較結果を求め、前記比較結果に基づき、前記1次側駆動パルス及び前記2次側駆動パルスを変調する機能と、
を有することを特徴とするスイッチング電源装置の制御装置。 - 複数の1次側駆動パルスによりオン/オフ動作する複数のスイッチがブリッジ接続され、直流の1次側電圧及び1次側電流をスイッチングして交流電圧及び交流電流に変換して出力する1次側インバータと、
1次巻線及び2次巻線を有し、前記1次側インバータの出力電圧及び出力電流を前記1次巻線に入力し、誘起された交流電圧及び交流電流を前記2次巻線から出力する変圧器と、
複数の2次側駆動パルスによりオン/オフ動作する複数のスイッチがブリッジ接続され、前記2次巻線の出力電圧及び出力電流を整流し、直流の2次側電圧及び2次側電流を出力する2次側インバータと、
を備えるスイッチング電源装置の制御方法であって、
前記1次側インバータに供給する前記複数の1次側駆動パルスと前記2次側インバータに供給する前記複数の2次側駆動パルスとを出力し、前記1次側インバータの出力値と前記2次側インバータの入力値との間の位相差を変えて前記2次側インバータの出力電力を制御すると共に、
制御上の1周期の間に複数周期発生するキャリアの中間値から+側と-側への増大により制御される、出力指令値である大小の変調率を持ち、前記制御上の1周期の間に複数レベルに変化する比較値と、前記キャリアと、を比較して比較結果を求め、前記比較結果に基づき、前記1次側駆動パルス及び前記2次側駆動パルスを変調する、
ことを特徴とするスイッチング電源装置の制御方法。
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JP7325347B2 (ja) | スイッチング電源装置及びその制御方法 |
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