JP7491136B2 - マイクロ流路構造体、マイクロ流路構造体の製造方法及びマイクロ流路デバイス - Google Patents

マイクロ流路構造体、マイクロ流路構造体の製造方法及びマイクロ流路デバイス Download PDF

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Description

本開示は、マイクロ流路構造体、マイクロ流路構造体の製造方法及びマイクロ流路デバイスに関する。
従来、液体が送液されるマイクロ流路等の流路が設けられた基板を備える、検査用具が種々提案されている。このようなマイクロ流路を有する検査用具は、生体物質(血液や体液他)から検出されるマーカーとなるブドウ糖やタンパク質、抗原・抗体、DNAなどを検出し、血液検査、遺伝子解析、臨床診断、薬物スクリーニング及び環境モニタリングなどの幅広い用途に使用できる。マイクロ流路を有する検査用具は、常用サイズの同種の装置に比べて、サンプル及び試薬の使用量が著しく少ない、分析時間が短い、感度が高い、携帯が可能である等の利点を有する。また、近年では、受精卵検査や再生医療向け検査において、微量検体を自動アッセンブリーする機能を持つマイクロ流路デバイスへの応用も期待されている。
このようなマイクロ流路デバイス等に使用されるマイクロ流路には、良好な液体の送液性を有することが求められるが、従来のマイクロ流路は、マイクロ流路の壁面を構成する部材の材質によっては、各種検体又は試料の送液性が良好ではない場合があった。
また、近年、センシング機能に加え、ろ過機能やクロマトグラフィー機能を持たせたバイオセンサが開発されている(例えば、特許文献1~3)。
特開2002-90331号公報 特開2003-254934号公報 特開2004-257944号公報
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、効率的に液体を送液することが可能なマイクロ流路を有するマイクロ流路構造体を提供することを主目的とする。
本開示では、基材と、上記基材の一方の面側に配置されたカバー材と、上記基材と上記カバー材との間に配置されたスペーサーと、上記基材と、上記カバー材と、上記スペーサーとにより区画され、前記基材の厚み方向に対し、垂直方向に延伸されたマイクロ流路と、を有し、上記マイクロ流路に、無機材料を含む多孔層が配置されている、マイクロ流路構造体を提供する。
本開示では、上述したマイクロ流路構造体の製造方法であって、上記基材、上記カバー材、および無機材料を含む多孔層芯材を準備し、上記基材と上記多孔層芯材との間、及び上記カバー材と上記多孔層芯材との間に熱可塑性樹脂を有する熱可塑性樹脂層を配置する準備工程と、上記基材と上記カバー材と上記多孔層芯材とを前記熱可塑性樹脂層を介して熱圧着させる熱圧着工程とを有し、上記準備工程では、上記熱可塑性樹脂層は、上記スペーサーが形成される領域と平面視上重なる領域に配置され、上記熱圧着工程により、上記熱可塑性樹脂が含侵された多孔層を有するスペーサーと、上記熱可塑性樹脂が含侵されていない多孔層を有するマイクロ流路とを、形成する、マイクロ流路構造体の製造方法を提供する。
本開示では、基材と、上記基材の一方の面側に配置されたカバー材と、上記基材と上記カバー材との間に配置されたスペーサーと、上記記基材と、上記カバー材と、上記スペーサーとにより区画され、上記基材の厚み方向に対し、垂直方向に延伸されたマイクロ流路と、上記マイクロ流路が形成された領域の上記基材上に配置された導体層と、を有し、前記マイクロ流路に、無機材料を含む多孔層が配置されている、マイクロ流路デバイスを提供する。
本開示によれば、良好な液体の送液性を有するマイクロ流路を有するマイクロ流路構造体を得ることができる。
本開示のマイクロ流路構造体を例示する概略平面図および断面図である。 本開示のマイクロ流路を例示する概略平面図である。 本開示のマイクロ流路を例示する概略平面図である。 本開示のマイクロ流路構造体を例示する概略平面図および断面図である。 本開示のマイクロ流路構造体を例示する概略断面図である。 本開示のマイクロ流路構造体を例示する概略断面図である。 本開示のマイクロ流路構造体の製造方法を例示する概略工程図である。 本開示のマイクロ流路構造体の製造方法で使用する熱ラミネート装置を説明する説明図である。 本開示のマイクロ流路デバイスを例示する概略平面図および断面図である。 比較例におけるマイクロ流路構造体の製造方法を説明する概略工程図である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」または「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
以下、本開示のマイクロ流路構造体、マイクロ流路構造体の製造方法およびマイクロ流路デバイスについて、詳細に説明する。
A.マイクロ流路構造体
本開示におけるマイクロ流路構造体について、図面を参照して説明する。図1(a)は本開示におけるマイクロ流路構造体の一例を示す概略平面図、図1(b)は図1(a)のA-A断面図、図1(c)は図1(a)のB-B断面図である。図1に示すマイクロ流路構造体10は、基材1と、基材1の一方の面側に配置されたカバー材2と、基材1とカバー材2との間に配置されたスペーサー3と、マイクロ流路4と、を有し、マイクロ流路4は、基材1と、カバー材2と、スペーサー3とに囲まれ、基材1の厚み方向に対して垂直方向に延伸しており、無機材料を含む多孔層5が配置されている。
図1においては、スペーサー3は、無機材料を含む多孔層と、多孔層に含侵された熱可塑性樹脂とを有する第一のスペーサー31である。また、多孔層5は、平面視において、マイクロ流路4の全体に配置されている。また、基材の厚み方向において、マイクロ流路4の全体に配置されている。
本開示における多孔層に含まれる空隙を構成する無機材料は、例えばPET等の樹脂材料と比較して、通常、液体に対する濡れ性が良好である。そのため、このような多孔層の無機繊維の空隙を通過する液体は、濡れ広がりやすくなり、毛細管現象によって液体がマイクロ流路内に引き込まれやすく、また液体がマイクロ流路内を流れやすくなる。従って、本開示によれば、効率的に液体を送液することが可能なマイクロ流路を有するマイクロ流路構造体となる。さらに、マイクロ流路内に無機材料を含む多孔層が配置されていることで、従来のマイクロ流路よりも使用する各種検体量や試薬量を削減することができる。
1.マイクロ流路
マイクロ流路は、基材と、カバー材と、スペーサーとに囲まれ、基材の厚み方向とは垂直方向に延伸されており、延伸方向に液体を送液する機能を有する。本開示におけるマイクロ流路は、濡れ性の良好な無機材料を含む多孔層が配置されている。このため、上述した理由により従来のマイクロ流路に比べ、良好な液体の送液性を有するものとなり、外部から加圧するポンプ等の加圧手段を必要とすることなく液体を移動させることができる。
(1)多孔層
上記多孔層は、内部に複数の空隙を含む層であり、これらの空隙は、通常はマイクロ流路の送液方向に連通している。
上記多孔層の空隙率は特に限定されないが、50%以上が好ましく、特に好ましくは75%以上である。上記値以上であれば、無機材料の存在により液体の流動が物理的に妨げられる恐れがない。一方、上記多孔層の空隙率は、99%以下が好ましく、特に好ましくは97%以下である。上記値以下であれば、無機材料の含有量が十分であり、無機材料の濡れ性がもたらす良好な送液性を確実に確保することができる。
本開示において、空隙率とは、多孔層に占める空隙の割合をいい、以下のように算出することができる。
Pv(%)={(Va-Vt)/Va}×100 (1)
Pv(%):多孔層の空隙率(体積%)
Va:多孔層の見かけ体積
Vt:多孔層の理論体積
ここで、Vaは無機多孔層の縦、横、および厚みの値により算出することができ、Vtは多孔層の重量、構成材料の重量割合および構成材料それぞれの真比重の値により算出することができる。
多孔層は無機材料を含む。無機材料としては、無機材料一般、特に金属酸化物類からなるセラミクス類の他、金属、炭素材料が挙げられる。無機材料としては、その形状が繊維状または針状であることが好ましい。強度が高く、また、多孔層を構成しやすいためである。
さらに、多孔層は、無機繊維を抄造した無機繊維成形体や、ネット形状に成形した無機繊維成形体が好ましい。無機繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、セラミック繊維などが挙げられる。
上記無機繊維成形体の具体例としては、ガラスペーパー、アルミナ繊維ペーパー、炭素繊維ペーパー、セラミック繊維ペーパー、上記無機繊維をネット状に成型したフィルム・シートなどを挙げることができ、中でもガラスペーパーが好ましい。
多孔層を構成する無機繊維の大きさは、特に限定されるものではなく、例えば、繊維径は0.1μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好適である。また、繊維径は50μm以下が好ましく、20μm以下がより好適である。なお、繊維径は、無機繊維の長手方向に対する垂直断面における最大径である。
さらに、無機繊維の長手方向長さ(無機繊維長さ)は、0.1mm以上が好ましく、0.5mm以上とするとより好適である。また、無機繊維長さは50mm以下が好ましく、20mm以下とするとより好適である。
無機繊維の熱伝導率は0.5W・m-1・K-1以上であることが好ましい。温度制御が容易となり、マイクロ流路内に存在する各種検体や試料、細胞等の温度管理が容易であるためである。
上記無機繊維成形体を構成する無機繊維同士はその交点で接触しているが、その交点がバインダーにより接着されていてもよく、バインダーなしで繊維自体が絡み合っていてもよい。バインダーは、水溶性樹脂を含むことが好ましい。水溶性樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又はそれに対応する「メタクリル」を意味する。
上記多孔層としては、上述したように、特にガラスペーパーが好ましい。ガラスペーパーは、ガラス繊維がバインダー(水溶性樹脂)により結着した構成を有している。ガラスペーパーとしては、目付が、好ましくは、8g/m以上、より好ましくは、15g/m以上である。上記値以上であれば、ガラス繊維の量が十分であり、液体に対する濡れ性を確実に発揮することができる。好ましくは、700g/m以下、より好ましくは、400g/m以下である。上記値以下であれば、物理的に液体の流動を妨げる恐れがなく、また、軽量化の妨げとなる恐れがない。
ガラスペーパーは、樹脂等に比べ、耐熱性が高く、乾熱滅菌処理に対する耐性を有する。そのため、本開示におけるマイクロ流路構造体の製造の際に、予めガラスペーパーを乾熱滅菌処理して滅菌状態としておくことで、例えば、エンドトキシン等の微生物夾雑物の検出試験に使用する際に、検出試験の精度を向上させることができる。また、エンドトキシン等によるマイクロ流路内において行う反応への意図しない悪影響を抑制することができる。
また、ガラスペーパーを使用することで、マイクロ流路に濾過機能を持たせることができる。濾過機能により、検査対象成分と検査対象以外の成分とを分離することが可能となる。例えば血糖値を測定するバイオセンサに用いる場合、血液中の血球成分を濾過することで、血漿中のブドウ糖濃度をより正確に測定することが可能となる。
例えば、後述する図5(a)、(d)に示すように、投入口Oがカバー材2に設けられている場合、Oに滴下された液体(例えば血液)は、まず垂直方向に濾過されるとともに、水平方向においても濾過が可能である。
また、図5(b)、(c)に示すように、投入口Oがスペーサー3に設けられている場合、水平方向に濾過が可能である。
なお、上記ガラスペーパーの濾過機能は、上述したマイクロ流路として用いる場合のみならず、一般的な濾過材として用いた場合であっても、同様の機能を有するものである。
上記多孔層は、平面視において、マイクロ流路の一部に配置されていてもよいし、全体に配置されていてもよいが、通常の用途においては、マイクロ流路全体に配置されていることが好ましい。なお、本開示において、平面視とは、基材の厚み方向から見ることを意味する。
上記マイクロ流路の一部に配置されているとは、マイクロ流路の送液方向に対して垂直方向の断面における一部に配置されている場合であってもよく、マイクロ流路の送液方向に対し、平行な方向の断面における一部に配置されている場合であってもよい。
また、基材の厚み方向において、マイクロ流路の一部に配置されていてもよいし、全体に配置されていてもよいが、通常は、全体に配置されていることが好ましい。
(2)マイクロ流路
マイクロ流路とは、液体の搬送に際し、マイクロ効果が生じるような微細な流路をいう。このようなマイクロ流路では、液体は、表面張力の影響を強く受け、通常の大寸法の流路を流れる液体とは異なる挙動を示す。
本開示におけるマイクロ流路の流路幅(図1(b)におけるW)は、50mm以下であることが好ましく、特に好ましくは20mm以下である。一方、20μm以上であることが好ましく、特に好ましくは50μm以上である。
上記範囲内であれば、多孔層の配置が容易となり、また、毛細管現象を生じさせることができる。なお、流路幅とは、マイクロ流路の延伸方向とは垂直に切断した流路断面における、マイクロ流路の幅である。
マイクロ流路の高さ(図1(b)におけるH)は、10mm以下であることが好ましく、特に好ましくは5mm以下である。一方、50μm以上であることが好ましく、特に好ましくは100μm以上である。上記範囲内であれば、多孔層の配置が容易となり、また、毛細管現象を生じさせることができる。
マイクロ流路の幅は、一定であってもよく、不定であってもよい。例えば、マイクロ流路が後述する配置部を有する場合には、配置部を幅広とし、配置部以外の領域を幅狭としてもよい。具体的には、マイクロ流路における配置部以外の領域の幅は、上述したマイクロ流路の幅であり、マイクロ流路における配置部の幅は、20μm以上とすることができ、また50mm以下とすることができる。マイクロ流路における配置部の幅が上記範囲であれば、毛細管現象により液体がマイクロ流路を安定して流れることができるとともに、感度良く検査することができる。
マイクロ流路の長さは、液体の種類やマイクロ流路構造体の用途等に応じて適宜設定されるものであり、例えば、5mm以上とすることができ、25mm以上であることが好ましい。また、上記長さは、1000mm以下とすることができ、500mm以下であることが好ましい。マイクロ流路の送液方向に対し垂直に切断した流路断面の形状は、通常、長方形状であるが、例えば、アーチ形状、台形状、三角形状等であってもよい。
マイクロ流路の平面視形状は、特に限定されず、直線状、曲線状、分岐状、およびこれらが組み合わされた形状であってもよい。1つのマイクロ流路構造体に含まれるマイクロ流路は、1以上であってもよく、2以上であってもよい。マイクロ流路構造体に含まれる具体的なマイクロ流路の態様を、図2、3に示す。図2(a)~(c)及び図3(a)~(c)のそれぞれは、カバー材およびマイクロ流路内の多孔層を省略した概略平面図である。
図2(a)は、複数の直線状のマイクロ流路が並列に配置されている態様である。この場合、N数を増やすことができ、検査精度を向上することができる。図2(b)、(c)は、2または3のマイクロ流路が1のマイクロ流路に合流する態様である。この場合、2以上の液体を混合したり、反応させたりすることが可能となる。図3(a)は、1つのマイクロ流路が複数のマイクロ流路に段階的に分岐する態様である。この場合、液体を段階的に分離したりすることが可能となる。図3(b)は蛇行した形状を有する態様である。この場合は、長時間マイクロ流路内に液体を保持することができることから、例えば反応時間を保持したり、二以上の物質をより均一に混合することが可能とすることができる。
本開示においては、図3(c)に示されるように、マイクロ流路4の途中に、試薬、微粒径体、及び細胞等を捕捉して配置するための試薬等配置部S(以下、配置部)が設けられていてもよく、この場合、配置部内には、無機繊維を含む多孔層が配置されていてもよいし、配置されていなくてもよい。配置部は、マイクロ流路内に試薬等が固定される領域である。マイクロ流路は、1つの配置部を有していてもよく、複数の配置部を有していてもよい。配置部の数は、試薬等の数やマイクロ流路構造体の用途等に応じて適宜選択される。配置部の配置位置としては、特に限定されるものではなく、例えば、マイクロ流路の中間位置とすることができる。配置部の平面視形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形状、楕円形状、長方形状、菱形状、多角形等が挙げられる。
2.基材
本開示における基材は、スペーサを支持する部材である。基材の材料としては、例えば、有機材料および無機材料が挙げられる。有機材料の一例としては、樹脂が挙げられる。また、樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。一方、無機材料としては、例えば、ガラス、シリコンが挙げられる。本開示におけるマイクロ流路構造体がセンサーとして使用される場合、基材は、少なくとも導体層側の面が絶縁性を有することが好ましい。
基材の平面視形状は、特に限定されず、任意の形状を採用できるが、例えば、矩形、円形、楕円形が挙げられる。また、基材の厚さは、マイクロ流路構造体の用途に応じて適宜設定できる。
基材のスペーサー側の表面は、表面処理または修飾処理されていてもよい。表面処理または修飾処理を行うことで、例えば、導体層との密着性向上を図ることができる。表面処理としては、例えば、コロナ処理、UV処理、防曇処理が挙げられる。修飾処理としては、例えば、スルホン酸基を有する材料のコーティングによる修飾処理が挙げられる。
3.カバー材
マイクロ流路構造体は、カバー材を有する。カバー材の材料としては、例えば、樹脂、セラミック、ガラス、半導体、金属が挙げられる。上記樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、塩化ビニル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)が挙げられる。また、カバー材は、透明であってもよく、不透明であってもよいが、前者が好ましい。液体の導入や流動の様子を目視することができるからである。
カバー材の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、所望の構造を有するマイクロ流路を得ることが可能な形状であることが好ましい。また、カバー材は、必要に応じて、開口部を有していてもよい。
4.スペーサー
マイクロ流路構造体は、基材とカバー材との間に配置されたスペーサーを有する。基材およびカバー層の間にスペーサーを設けることで、液体を送液するマイクロ流路を形成することができる。スペーサーとしては、無機材料を含む多孔層と、多孔層に含侵された熱可塑性樹脂とを有する態様(第一のスペーサー)、上記無機材料を含む多孔層を含まないスペーサー(第二のスペーサー)が挙げられる。中でも、第一のスペーサーであれば、後述するように製造工程が簡単となり、マイクロ流路構造体のサイズ制御が容易であるため好ましい。図4は、第二のスペーサー32を有するマイクロ流路構造体の一例を示す概略平面図および概略断面図である。いずれのスペーサーも、平面視形状は、特に限定されないが、例えば、所望の構造を有するマイクロ流路を得ることが可能な形状であることが好ましい。また、いずれのスペーサーも、必要に応じて、開口部を有していてもよい。
(1)第一のスペーサー
第一のスペーサーは、上述した無機材料を含む多孔層と、多孔層における空隙に含侵された熱可塑性樹脂とを有する。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。本開示においては、ポリスチレン、ポリエステル樹脂が特に好ましい。上記熱可塑性樹脂は耐薬品性を有し、また、溶出物の低減が可能となるからである。
上記熱可塑性樹脂としては、融点が60℃~160℃の範囲内であるものが好ましく、特に75℃~120℃の範囲内であるものが好ましい。上記熱可塑性樹脂の融点が上記範囲よりも高いと、カバー材および基材と熱融着させる際の加熱温度が高くなってしまい、基材等が熱損傷を受けてしまう場合があるからである。また、熱可塑性樹脂が多孔層芯材に十分に含侵されない場合があるからである。また、融点が上記範囲よりも低いと、スペーサー形成領域以外の領域(例えば、マイクロ流路を形成する領域)にまで、熱可塑性樹脂が含侵されてしまう恐れがあるからである。
熱可塑性樹脂のメルトマスフローレート(MFR)としては、特に制限されないが、多孔層芯材に対して含侵させる観点から、好ましくは5g/10分以上、より好ましくは15g/10分以上である。一方、多孔層芯材のスペーサー形成領域以外の領域には含侵させないことが好ましい観点から、好ましくは150g/10分以下、より好ましくは100g/10分以下である。上記メルトマスフローレート(MFR)は、JIS K7210:2014の規定に準拠した方法により、測定温度190℃、加重2.16kgで測定した値である。
第一のスペーサーにおいては、上述した熱可塑性樹脂のうち、1種類のみを用いても良く、2種類以上を混合して用いても良い。
第一のスペーサーの形成は、多孔層が配置されたマイクロ流路の形成と同時に行うことができる。第一のスペーサーの形成方法については、後述する「B.マイクロ流路構造体の製造方法」に記載するため、ここでの説明は省略する。
(2)第二のスペーサー
第二のスペーサーの材料としては、無機材料を含む多孔層を含まないものであれば特に限定されず、例えば樹脂が挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、塩化ビニル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂が挙げられる。また、上記樹脂は、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂であってもよい。一方、無機材料としては、例えば、ガラス、石英等を挙げることができる。
第二のスペーサーの形成方法としては、例えば、スペーサー用基材をプロッター等を使用しレーザーカッター等で所望形状に切断する方法が挙げられる。また、成形金型を作製して樹脂モールドをする方法が挙げられる。また、印刷法により所望形状の硬化性樹脂層を形成し、その後、硬化性樹脂層を光または熱により硬化し、所望形状のスペーサーを形成する方法が挙げられる。また、光硬化性樹脂を用いる場合には、例えば、基材の表面に光硬化性樹脂を塗工し、フォトリソグラフィ法により、所望形状のスペーサーを形成する方法が挙げられる。
第二のスペーサーの配置方法としては、接着剤や粘着剤を介して所望形状の樹脂シートを基材の一方の面側およびカバー材の一方の面側に貼り合せる方法が挙げられる。また、ヒートシール層を介して、熱ラミネートにより基材の一方の面側およびカバー材の一方の面側に貼り合わせる方法を用いてもよい。ヒートシール層としては、従来ヒートシール層として使用されるものと同様のものを使用することができる。基材とカバー材との間に第二のスペーサーを配置して貼り合わせた後、形成されたマイクロ流路内へ多孔層材料を挿入することで、マイクロ流路に多孔層を配置することができる。
また、第二のスペーサーとして両面テープを使用することができる。両面テープを用いる場合、両面テープに打ち抜き加工等によりマイクロ流路を形成した後、基材の一方の面側およびカバー材の一方の面側に両面テープを貼付する方法が挙げられる。
また、第二のスペーサーは基材と一体化していてもよく、この場合、材質は上述した「2.基材」で例示したものと同様のものを使用することができる。
5.その他構成
マイクロ流路構造体は、通常、マイクロ流路に接続される2以上の開口部を有する。開口部の開口形状は特に限定されず、任意の形状を採用できるが、例えば、矩形、円形、楕円形が挙げられる。開口部のサイズは特に限定されない。開口部は、液体(検体)を投入する投入口であってもよい。
開口部が投入口である場合、図5(a)、(d)に示すように、投入口Oはカバー材2に設けることができる。投入口をカバー材に形成することにより、投入口に液体を滴下しやすく、また滴下した液体に加わる重力によってマイクロ流路内に液体を圧入することができるからである。
また、図5(b)、(c)に示すように、投入口Oはマイクロ流路構造体の側面に形成されていてもよい。この場合、図6に示すように、マイクロ流路構造体10を液体Lを含む容器60内で垂直方向に立てることで、液体Lをマイクロ流路4内に導入することができるからである。図6は、マイクロ流路構造体10のマイクロ流路4内に液体Lを導入する際のマイクロ流路構造体および容器の概略断面図である。図6ではカバー材を省略し記載している。
また、投入口以外の開口部は、空気孔であってもよいし、外部に排出する排出口であってもよい。投入口以外の開口部Oは、カバー材に設けられていても良いし(図5(a)、(c))、マイクロ流路構造体の端面やスペーサーに設けられていても良い(図5(b)、(d))。また、基材に設けられていても良い。
6.液体
本開示におけるマイクロ流路に適用される液体としては、特に限定されず、各種検体や検体以外の試料等が挙げられる。例えば、血液(全血)、血漿、血清、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、うがい液、鼻汁、尿、唾液、洗浄液、抗体溶液、基質溶液等が挙げられる。これらは必要に応じて希釈して用いてもよい。
7.試薬
本開示におけるマイクロ流路構造体は、マイクロ流路内の多孔層に、固定された試薬を有することができる。マイクロ流路内に固定される試薬としては、マイクロ流路構造体の用途や液体の種類に応じて適宜選択されるものであり、例えば、タンパク質、抗体、酵素、核酸等が挙げられる。中でも、マイクロ流路内に固定される試薬は、検体に含まれる抗原と結合する抗体であることが好ましい。試薬は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示におけるマイクロ流路構造体は、マイクロ流路内の多孔層(特にガラスペーパー)に、固定された試薬を有する場合においても、上述した濾過機能を持たせることができる。
8.用途
本開示におけるマイクロ流路構造体は、液体の移送、混合、反応、抽出、分離等の様々な化学プロセスを必要とする用途に使用することができる。中でも、体内留置のセンサーや、無菌培養装置、再生医療用のマイクロ流路デバイスに使用することができる。また、その他の各種抗原抗体反応や酵素反応を利用した検査デバイス用のマイクロ流路構造体として使用することができる。このような検査においては、光学的手法を用いてもよく、電気化学的手法を用いてもよい。
近年、一時的な血液循環装置(カテーテル、チューブなど)や、体内留置の血糖値センサーが開発されている。血液透析は、循環装置で体外循環した血液を中空糸型透析フィルター内で血液中の電解質、低分子と透析用水を膜交換することで、失った腎臓機能を補っている。この定期的な透析療法に掛かる患者の時間と肉体的な負荷を減らすために、膜機能と透析用水をコンパクトにマイクロ流路化し、体内留置や体外循環させる方法が求められている。本開示におけるマイクロ流路構造体は、良好な送液性を有し、かつ、上述した濾過機能を持たせることが可能であるため、体内留置の血糖値センサーや透析装置に好適に使用することができる。また、転移性の癌が危惧される時に、臓器から血液に飛散したがん細胞について、癌特有の細胞表面抗原を認識して吸着する抗体などをマイクロ流路チャンバー内に担持体として広い吸着面積をもって貯留したマイクロ流路も求められている。本開示におけるマイクロ流路構造体は、マイクロ流路内における多孔層にこのような抗体を担持することができるため、癌細胞の検査センサーとして好適に使用することができる。
B.マイクロ流路構造体の製造方法
次に、本開示におけるマイクロ流路構造体の製造方法について、図面を参照して説明する。
図7は本開示におけるマイクロ流路構造体の製造方法の一例を示す概略工程図である。図7に示すマイクロ流路構造体の製造方法は、上述したマイクロ流路構造体の製造方法であって、基材1、カバー材2、無機材料を含む多孔層芯材51を準備し(図7(a))、基材1と多孔層芯材51との間、及びカバー材2と多孔層芯材51との間に熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層52を配置する準備工程(図7(b))と、上記基材1と上記カバー材2と上記多孔層芯材51とを上記熱可塑性樹脂層52を介して熱圧着させる熱圧着工程(図7(c)、(d))とを有し、上記準備工程において、上記熱可塑性樹脂層52は、上記スペーサー3が形成される領域と平面視上重なる領域に配置され、上記熱圧着工程により、熱可塑性樹脂が含侵された多孔層を有するスペーサー3と、上記熱可塑性樹脂含侵されていない多孔層を有するマイクロ流路4とを、形成することにより、マイクロ流路構造体を製造する。
このようなマイクロ流路構造体の製造方法によれば、良好な液体の送液性を有するマイクロ流路を有するマイクロ流路構造体を製造することができる。また、多孔層芯材を使用することで、多孔層芯材と、基材とカバー材とを熱可塑性樹脂層を介して熱圧着することでマイクロ流路構造体を製造することができ、製造工程が簡単となる。また、多孔層芯材を使用して製造されたマイクロ流路は、多孔層芯材の厚みに相当するマイクロ流路高さとすることができ、マイクロ流路構造体のサイズ制御が容易となる。以下、各工程について詳細に説明する。
I.準備工程
本工程は、基材、カバー材、及び無機繊維を含む多孔層芯材を準備し、さらに基材とカバー材との間、及びカバー材と多孔層芯材との間に熱可塑性樹脂層を配置する工程である。
上記基材、上記カバー材としては、それぞれ、上述した「A.マイクロ流路構造体 2.基材」、「A.マイクロ流路構造体 3.カバー材」で説明したものと同様のものを用いることができる。上記多孔層芯材としては、上述した「A.マイクロ流路構造体 1.マイクロ流路 (1)多孔層」を構成する成形体が挙げられる。多孔層芯材は、後述する熱可塑性樹脂が含侵されることにより、スペーサーを構成可能なものとなる。
上記熱可塑性樹脂層は、基材と多孔層芯材との間、及びカバー材と多孔層芯材との間において、スペーサーが形成される領域と平面視上重なる領域、即ち、マイクロ流路が形成される領域以外の領域に配置される。
例えば、多孔層芯材の両主面の、スペーサーが形成される領域(図7においてR)と平面視上重なる領域上に、熱可塑性樹脂層を配置する方法が挙げられる。また、基材の一方の面およびカバー材の一方の面におけるスペーサー形成領域と平面視上重なる領域上に形成してもよい。
熱可塑性樹脂層の配置方法としては、例えば、マイクロ流路が形成される領域に開口部を有する熱可塑性樹脂からなるドライフィルムをあらかじめ作製しておき、上記ドライフィルムを、多孔層芯材の両主面、または、基材の一方の面側およびカバー材の一方の面側に貼り付ける方法があげられる。また、基材の一方の面側およびカバー材の一方の面側、または多孔層芯材の両主面全体に熱可塑性樹脂層を形成し、スペーサーが形成される領域にマスクを形成し、エッチング加工によりマスク形成領域以外の熱可塑性樹脂層を除去する方法が挙げられる。
本開示における熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂としては、上述した「A.マイクロ流路構造体 4.スペーサー (1)第一のスペーサー」に記載したものと同じ樹脂が挙げられるため、ここでの説明は省略する。
II.熱圧着工程
本工程は、上記基材と上記カバー材と上記多孔層芯材とを上記熱可塑性樹脂層を介して熱圧着させる工程であり、これにより、スペーサー形成領域に配置されていた熱可塑性樹脂が多孔層芯材のスペーサー形成領域に含侵し、熱可塑性樹脂が含侵された多孔層を有するスペーサーが形成される。そしてこれに伴い、熱可塑性樹脂が含侵されていない多孔層を有するマイクロ流路が形成される。
具体的な熱圧着方法としては、熱ラミロールを使用する方法が好ましい。この際の熱圧着条件としては、具体的には、温度を例えば、60℃以上250℃以下、好ましくは75℃以上210℃以下の範囲内で、圧力を例えば0kg/cmより大きく40kg/cm以下、好ましくは0.5kg/cm以上10kg/cm以下の範囲内とすることができる。
上述した「I.準備工程」および「II.熱圧着工程」は、独立して行ってもよいし、連続して行ってもよい。中でも、図8に示すような熱ラミネート装置を使用して、同時に行うことが好ましい。即ち、基材の巻取りロール81、多孔層芯材の巻取りロール83、カバー材の巻取りロール82、および熱可塑性樹脂フィルムの巻取りロール84、85からこれらを各々取り出し、熱ラミロール87及び圧着ロール88を使用して、基材と多孔層芯材との熱可塑性樹脂フィルムを介しての熱圧着、多孔層芯材とカバー材との熱可塑性樹脂フィルムを介しての熱圧着を同時に行い、一体化する方法が好ましい。工程を簡略化することが可能となり、安定的にマイクロ流路構造体を製造することができるからである。
ただし、上記方法に限定されるものではなく、例えば、片面を面状の支持体でサポートし、他方の面をロールでプレスする方法も用いることができる。また、熱源は片面であっても良く、または、両面であっても良い。
また、基材(またはカバー材)と多孔層芯材とを熱可塑性樹脂層を介して圧着した積層体を製造し、その後、該積層体とカバー材(または基材)とを熱可塑性樹脂層を介して圧着させてもよい。この場合、次工程までの移送または保管中に、傷や塵から保護するために積層体に離型材を設けても良い。
C.マイクロ流路デバイス
本開示におけるマイクロ流路デバイスについて、図面を参照して説明する。図9は本開示におけるマイクロ流路デバイスの一例を示す概略断面図である。図9に示すマイクロ流路デバイス100は、基材1と、上記基材の一方の面側に配置されたカバー材2と、基材1とカバー材2との間に配置されたスペーサー3と、基材1と、カバー材2と、スペーサー3とに囲まれた、基材1の厚み方向に対し垂直方向に延伸し、延伸方向に液体を送液するマイクロ流路4と、上記基材1上に配置された導体層6と、を有し、マイクロ流路4には、無機材料を含む多孔層5が配置されている。図9においては、導体層6は、電極部6aおよび端子部6bを有している。
本開示におけるマイクロ流路デバイスにおける基材、カバー材、スペーサー、マイクロ流路および多孔層としては、上述した「A.マイクロ流路構造体」と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本開示において導体層は、少なくとも電極部および端子部を有する層であることが好ましい。電極部および端子部は、電気的に接続されており、両者は、直接接続されていてもよく、配線部を介して電気的に接続されていてもよい。
電極部は、通常、電流値を測定する部材である。電極部としては、一般的な電気化学測定に用いられる電極を用いることができる。電極部の材料としては、例えば、Au、Pt、Ag、Pd、Ni等の安定な金属元素を有する金属材料、グラッシーカーボン、カーボンペースト、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素材料が挙げられる。
導体層は、一または二以上の電極部を有する。複数の電極部の組み合わせとしては、例えば、作用極および対極の組み合わせ(2電極方式)、作用極、対極および参照極の組み合わせ(3電極方式)、2つの作用極、対極および参照極の組み合わせ(4電極方式)が挙げられる。作用極となる電極部の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、矩形、櫛形が挙げられる。電極部の形成方法としては、例えば、フォトリソグラフィ法、マスク蒸着法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法が挙げられる。
端子部は、外部の測定装置と電気的に接続される部材である。端子部の材料としては、上述した電極部の材料と同様の材料を用いることができるが、中でも金属材料が好ましい。導電性が高いからである。なお、端子部の材料は、電極部の材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。また、端子部は、電極部と同時に形成してもよく、電極部とは別に形成してもよい。また、測定装置としては、一般的な電気化学測定に用いられる装置を用いることができ、例えば、ポテンショスタット、電流増幅器が挙げられる。
配線部は、電極部および端子部を電気的に接続する部材である。配線部の材料としては、上述した電極部の材料と同様の材料を用いることができるが、中でも金属材料が好ましい。導電性が高いからである。なお、配線部の材料は、電極部の材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。また、端子部は、電極部と同時に形成してもよく、電極部とは別に形成してもよい。
本開示におけるマイクロ流路デバイスは、上述した「A.マイクロ流路構造体 8.用途」に記載のような種々の用途において使用することができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
(比較例)
図10に示すように、100μm厚PETシートの芯材20(コスモシャイン:東洋紡社製)の両面に70μm厚スチレン系エラストマーフィルム21(40%開口Φ0.7mm多孔:明和グラビア社製)を接着し、5mm幅とし(スペーサー)、2枚の100μm厚PETシート22(コスモシャイン:東洋紡社製)間に5mm幅の間隔で配置し(図10(a))、熱シールで接着し、スペーサーで空いた流路高さ220μm、流路幅5mmの模擬流路を有する総厚420μmのマイクロ流路構造体を製造した(図10(b))。
(実施例1)
200μm厚ガラスペーパー(ガラスペーパー1 型番SMK-025:オリベスト社製、容積空隙率90%)の両面に、5mm巾の70μm厚スチレン系エラストマーフィルムを5mm間隔で接着し、2枚の100μm厚PETシート(コスモシャイン:東洋紡社製)間に配置し、熱シールで接着し、比較例と同等の流路高さ220μm、流路幅5mmの模擬流路を有する総厚420μmのマイクロ流路構造体を製造した。
[送液性評価]
上記で製造したマイクロ流路構造体を垂直に立て、下端3mmを0.05w/w%ドデシル硫酸ナトリウムイオン交換水に没するように設置し、吸水高さと時間を計測した。結果を表1に示す。
表1の結果より、実施例のマイクロ流路構造体は、比較例のマイクロ流路構造体に比べ、吸水開始直後から優位に吸水することが解った。
(参考例1)ガラスペーパーの耐乾熱滅菌試験
下記表2における、異なる型番、厚み水準のガラスペーパーをアルミホイルで包み、200℃、90分乾熱滅菌した。ガラスペーパー2が褐変、ガラスペーパー3に薄い着色が観察されたが、他に変色は見られなかった。乾熱滅菌前後のガラスペーパーを3mm×10mmの短冊に裁断し、重量0.5~0.8mg相当に、エンドトキシンを含まない水である大塚水(大塚製薬工場社製)1mLで抽出し、エンドスペシーES-24S(生化学工業社製)を用いてエンドトキシンの検出試験を実施した。乾熱滅菌前のガラスペーパーからは全てエンドトキシンが検出されたが、乾熱滅菌後のものは検出限界以下であった。
n.d.:検出限界以下
ガラスペーパー2:(型番FBP-025:オリベスト社製)
ガラスペーパー3:(型番FAP-050:オリベスト社製)
ガラスペーパー4:(型番SYS-053:オリベスト社製)
ガラスペーパー5:(型番SMK-048:オリベスト社製)
(実施例2)
また、乾熱滅菌したガラスペーパー1を用いた以外は、実施例1と同様に製造したマイクロ流路構造体に、上記大塚水を展開し、出口からオバーフローした初溜0.5mLを用いて、エンドスペシーES-24S(生化学工業社製)でエンドトキシン試験を実施したが、エンドトキシンは検出限界以下であった。
(参考例2)ガラスペーパーの血球ろ過試験
実施例1で使用したガラスペーパーを長さ10mmにして、長さ方向の端部から全血を吸引展開し、反対側の端部の出口側に溶出した血液成分をシリンジ採取した。これを顕微鏡観察したところ血球計算盤観察視野に血球数はゼロであった。
(実施例3)
上記参考例1に記載の方法で、ガラスペーパー1を乾熱滅菌した。また、基材であるPETシートの一方の面上に、Pdを含む蒸着膜を形成した。次に、Pd層上に、ポジ型の感光性レジスト層を形成し、フォトマスクを用いて露光し、その後、現像することで、レジストパターンを形成した。次に、レジストパターンから露出するPd層をエッチングにより除去し、レジストパターンを剥離した。これにより、電極部、端子部および配線部を有する導体層を形成した。この導体層が形成された基材および乾熱滅菌したガラスペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、図9に示すマイクロ流路デバイスを作製した。尚、カバーフィルムであるPETシートにはセンサー検出電極部より上に空気抜きの穴(開口部O)を配した。
50mMトリス塩酸(純正化学社製)pH7.2、20mM塩化カリウム(純正化学社製)、100mMフェリシアン化カリウム(純正化学社製)水溶液 10μLを検体添加側(図9における開口部O)から展開した。また、空気抜きの穴からも50unit/mLグルコースオキシダーゼ(GLO-201:東洋紡社製)水溶液を20μL添加してガラスペーパーに展開した。
血糖値の測定は、作製したセンサーをポテンシオスタット(MAS社製)の電圧0.5Vの電流値で計測した。検体は、指先から採取した血液、および血液にブドウ糖(純正化学社製)添加したもの(市販血糖値測定器、ワンタッチウルトラとLFSセンサー(ライフスキャン社製)で血糖値確認した52mg/dL全血、98mg/dL全血、200mg/dL調整血)を使用し、対応する電流値を得た。
1 … 基材
2 … カバー材
3 … スペーサー
4 … マイクロ流路
5 … 多孔層
10 … マイクロ流路構造体
100 … マイクロ流路デバイス

Claims (1)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の面側に配置されたカバー材と、
    前記基材と前記カバー材との間に配置されたスペーサーと、
    前記基材と、前記カバー材と、前記スペーサーとにより区画され、前記基材の厚み方向に対し、垂直方向に延伸されたマイクロ流路と、を有し、
    前記マイクロ流路に、無機材料を含む多孔層が配置されている、マイクロ流路構造体の製造方法であって、
    前記基材、前記カバー材、および無機材料を含む多孔層芯材を準備し、前記基材と前記多孔層芯材との間、及び前記カバー材と前記多孔層芯材との間に熱可塑性樹脂を有する熱可塑性樹脂層を配置する準備工程と、
    前記基材と前記カバー材と前記多孔層芯材とを前記熱可塑性樹脂層を介して熱圧着させる熱圧着工程とを有し、
    前記準備工程では、前記熱可塑性樹脂層は、前記スペーサーが形成される領域と平面視上重なる領域に配置され、前記熱圧着工程により、前記熱可塑性樹脂が含侵された多孔層を有するスペーサーと、前記熱可塑性樹脂が含侵されていない多孔層を有するマイクロ流路と、を形成する、マイクロ流路構造体の製造方法。
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