本発明に係る経路生成システムを用いた自律走行システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
この自律走行システムは、図1に示すように、予め定められた走行経路に沿って自律走行する作業車両としてのトラクタ1と、そのトラクタ1に対して各種の情報を指示可能な無線通信端末2とが備えられている。そして、この実施形態では、トラクタ1の位置情報を取得する際に、測位補正情報をトラクタ1に送信可能な基準局4が備えられている。
図1では、作業車両としてトラクタ1を例示したが、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等、乗用型作業車両に加え、歩行型作業車両も適用可能である。また、トラクタ1に装着する作業機5について、図1では、耕耘装置を装着した場合を例示しているが、耕耘装置に限らず、プラウ、施肥装置等、各種の作業機を適用することができる。
図2に示すように、トラクタ1には車両側無線通信部14が備えられ、無線通信端末2には端末側無線通信部21が備えられ、基準局4には基準局側無線通信部41が備えられている。これにより、車両側無線通信部14と端末側無線通信部21との間、及び、車両側無線通信部14と基準局側無線通信部41との間で無線ネットワークシステムが構築されており、トラクタ1と無線通信端末2との間、及び、トラクタ1と基準局4との間で各種の情報が無線にて送受信可能に構成されている。
トラクタ1には、図2に示すように、測位用アンテナ11、車両側制御部12、位置情報取得部13、車両側無線通信部14、記憶部(図示省略)等が備えられている。車両側制御部12は、位置情報取得部13にて自己の現在位置情報(トラクタ1の現在位置)を取得しながら、ガバナ装置、変速装置、ブレーキ装置及び操舵装置等(図示省略)のトラクタ1に備えられる各種の装置を制御して、トラクタ1を自律走行可能に構成されている。また、トラクタ1には、3軸のジャイロと3方向の加速度計等を有する慣性計測装置(図示省略)が備えられ、車両側制御部12が、慣性計測装置の計測情報に基づいて、トラクタ1の姿勢や進行方向の方位等を検知可能に構成されている。
上述の如く、操舵装置(図示省略)がトラクタ1に備えられており、車両側制御部12が、操舵装置を制御することで、直線状の経路に沿ってトラクタ1が自律走行できるだけでなく、旋回経路に沿ってトラクタ1が自律走行可能に構成されている。ちなみに、操舵装置は、例えば、ステアリングハンドルの回転角度(操舵角)を調整可能とするものや、トラクタ1の前輪の操舵角を調整可能とするものを適用することができる。
そして、トラクタ1には、図示は省略するが、左側の車輪に対して制動力を付与する左側ブレーキ装置と右側の車輪に対して制動力を付与する右側ブレーキ装置とが備えられている。これにより、車両側制御部12は、左右一対のブレーキ装置の内、一方側のブレーキ装置のみを作動させることで、小さな旋回半径の旋回経路であっても、その旋回経路に沿ってトラクタ1を自律走行できるようになっている。また、トラクタ1には、図示は省略するが、左右の駆動輪の内、一方側の駆動輪だけ回転速度を増加させて駆動させる倍速装置が備えられている。よって、車両側制御部12は、ブレーキ装置の制御に代えて、倍速装置を制御することで、小さな旋回半径の旋回経路に沿ってトラクタ1を自律走行できるようになっている。
測位用アンテナ11は、図1に示すように、例えば、衛星測位システム(GNSS)を構成する測位衛星3からの信号を受信するように構成されている。測位用アンテナ11は、例えば、トラクタ1のキャビンのルーフの上面に配置されている。
衛星測位システムを用いた測位方法として、図1に示すように、予め定められた基準点に設置された基準局4を備え、その基準局4からの測位補正情報によりトラクタ1(移動局)の衛星測位情報を補正して、トラクタ1の現在位置を求める測位方法を適用可能としている。例えば、DGPS(ディファレンシャルGPS測位)、RTK測位(リアルタイムキネマティック測位)等の各種の測位方法を適用することができる。ちなみに、測位方法については、基準局4を備えずに単独測位を用いることもできる。
この実施形態では、例えば、RTK測位を適用していることから、図1及び図2に示すように、移動局側となるトラクタ1に測位用アンテナ11を備えるのに加えて、基準局4が備えられている。基準局4の設置位置となる基準点の位置情報は予め設定されて把握されている。基準局4は、例えば、圃場の周囲等、トラクタ1の走行の邪魔にならない位置(基準点)に配置されている。基準局4には、基準局側無線通信部41と基準局測位アンテナ42とが備えられている。
RTK測位では、基準点に設置された基準局4と、位置情報を求める対象の移動局側となるトラクタ1の測位用アンテナ11との両方で測位衛星3からの搬送波位相(衛星測位情報)を測定している。基準局4では、測位衛星3から衛星測位情報を測定する毎に又は設定周期が経過する毎に、測定した衛星測位情報と基準点の位置情報等を含む測位補正情報を生成して、基準局側無線通信部41からトラクタ1の車両側無線通信部14に測位補正情報を送信している。トラクタ1の位置情報取得部13は、測位用アンテナ11にて測定した衛星測位情報を、基準局4から送信される測位補正情報を用いて補正して、トラクタ1の現在位置情報を求めている。位置情報取得部13は、トラクタ1の現在位置情報として、例えば、緯度情報・経度情報を求めている。
無線通信端末2は、例えば、タッチパネルを有するタブレット型のパーソナルコンピュータ等から構成され、各種情報をタッチパネルに表示可能であり、タッチパネルを操作することで、各種の情報も入力可能となっている。無線通信端末2については、ユーザがトラクタ1の外部にて携帯して使用することが可能であるとともに、トラクタ1の運転席の側脇等に装着して使用することもできる。
無線通信端末2には、図2に示すように、端末側無線通信部21、領域登録部22、経路生成部23、方向設定部24、指示部25、表示部(タッチパネル)等が備えられている。経路生成部23は、トラクタ1が自律走行する走行経路を生成するように構成されている。また、無線通信端末2には、記憶部(図示省略)が備えられており、この記憶部には、ユーザにより登録された情報等、各種の情報が記憶されている。
トラクタ1の自律走行を行うために、作業対象領域となる圃場Hに関する圃場情報の登録、及び、トラクタ1を自律走行させる走行経路の生成が行われている。ユーザが無線通信端末2を操作することで、トラクタ1を自律走行させる圃場H(図3参照)の形状等、圃場Hに関する圃場情報が登録される。そして、経路生成部23が、登録された圃場Hに対して走行経路を生成している。このようにして、複数の圃場Hが存在する場合には、複数の圃場Hの夫々に関する圃場情報が登録され、各圃場において各種の走行経路が生成される。
トラクタ1の自律走行を行う場合には、ユーザが無線通信端末2を操作することで、今回作業を行う圃場Hを選択し、その圃場Hに対して生成されている走行経路の内、今回自律走行させる走行経路を選択する。このような圃場H及び走行経路の選択が行われた後に、自律走行開始条件が成立することで、無線通信端末2にて自律走行の開始を指示できる状態となる。そして、ユーザが無線通信端末2を操作することで、トラクタ1に対して自律走行の開始を指示して、自律走行を開始することができる。
無線通信端末2の経路生成部23が走行経路を生成していることから、その走行経路に関する経路情報を無線通信端末2からトラクタ1に送信することが必要となる。そこで、無線通信端末2は、自律走行を開始する前や自律走行を開始した後において、所定のタイミングになると、経路情報をトラクタ1に送信している。これにより、トラクタ1では、車両側制御部12が、位置情報取得部13にてトラクタ1の現在位置情報を取得しながら、無線通信端末2から送信された経路情報に基づいて走行経路に沿ってトラクタ1を自律走行させるようにしている。また、位置情報取得部13にて取得するトラクタ1の現在位置情報については、自律走行を開始する前だけでなく、自律走行を開始した後においても、リアルタイム(例えば、数百ミリ秒周期)でトラクタ1から無線通信端末2に送信されており、無線通信端末2の表示部にトラクタ1の現在位置等を表示できるようになっている。
以下、本発明に係る経路生成システムについて説明する。
この経路生成システムは、無線通信端末2の表示部(タッチパネル)に各種の画面を表示させながら、ユーザが無線通信端末2を操作することで、作業対象領域となる圃場Hにおいて、トラクタ1により自律走行される走行経路を生成している。そこで、無線通信端末2には、図2に示すように、領域登録部22、経路生成部23、方向設定部24、指示部25等が備えられている。
領域登録部22は、図3に示すように、登録されている圃場情報、トラクタ1に関する作業車両情報、及び、その他の入力情報等に基づいて、トラクタ1により自律作業が行われる作業領域R1とトラクタ1により自律作業が行われない非作業領域R2の形状を登録するように構成されている。作業領域R1は、トラクタ1が自律走行しながら、トラクタ1に装着された作業機5にて耕耘等の作業を実際に行う自律作業が行われる領域である。それに対して、非作業領域R2は、自律走行中にトラクタ1に装着された作業機5による作業が行われず、例えば、作業機5が上昇された状態で自律走行だけが行われる、或いは、自律走行も行われない領域となっている。図3に示すものでは、領域登録部22が、圃場H内において、その中央部に作業領域R1を登録しており、その作業領域R1の周囲を囲むように非作業領域R2を登録している。
方向設定部24は、作業領域R1におけるトラクタ1の進行方向を設定するように構成されている。方向設定部24は、図3に示すように、作業領域R1において、例えば、圃場Hの上下方向でトラクタ1が往復走行するように、トラクタ1の進行方向Xを設定している。
経路生成部23は、作業領域R1内においてトラクタ1により自律作業が行われる複数の作業経路P(図3参照)と、非作業領域R2においてトラクタ1により自律走行が行われる走行経路であって各作業経路Pを接続する複数の接続経路Q(図4、図5等参照)とを含む経路を生成するように構成されている。
経路生成部23は、図3に示すように、作業領域R1において、作業開始位置S(図3参照)から作業終了位置E(図3参照)に至るように作業経路Pを生成している。経路生成部23は、作業経路Pとして、圃場Hにおける一端側(作業開始位置Sが設定された側)と他端側との間で方向設定部24にて設定されたトラクタ1の進行方向Xに沿ってトラクタ1が往復走行する直線状の経路を生成している。複数の作業経路Pは、作業領域R1の全体に亘って一定間隔を隔てて平行に並ぶ状態で生成されている。
経路生成部23は、非作業領域R2の内、トラクタ1の進行方向Xで作業領域R1の両端部に隣接する枕地となる非作業領域R2a(図3参照)に対して、接続経路Q(図4、図5等参照)を生成している。接続経路Qは、非作業領域R2aにおいて、トラクタ1の進行方向Xを反転させながら、隣接する作業経路Pを接続するための経路である。
非作業領域R2aに接続経路Qを生成するに当たり、圃場Hの形状によって非作業領域R2の形状が異なるので、非作業領域R2の形状に応じた接続経路Qを生成することが必要となる。例えば、図3に示すものでは、圃場Hの形状が平行四辺形状となっているので、領域登録部22は、圃場Hの中央部に平行四辺形状の作業領域R1を登録し、その作業領域R1の周囲を囲むように非作業領域R2を登録している。よって、非作業領域R2は、作業領域R1におけるトラクタ1の進行方向Xに対して傾斜する形状となっているので、作業領域R1におけるトラクタ1の進行方向Xに直交する方向に十分な走行距離を取ることが難しい。そこで、経路生成部23は、接続経路Qとして、例えば、単純な旋回状の経路を生成するのではなく、図4及び図5等に示すように、第1旋回経路Q1と直進経路Q2と第2旋回経路Q3とを含む経路を生成している。直進経路Q2は、第1旋回経路Q1と第2旋回経路Q3との間に設定されている。第1旋回経路Q1は、直進経路Q2よりもトラクタ1の進行方向手前に設定されており、第2旋回経路Q3は、直進経路Q2よりもトラクタ1の進行方向奥側に設定されている。
以下、図4~図21に基づいて、経路生成部23による接続経路Qの生成について説明する。図4~図21では、図3において、複数の作業経路Pの内、2本の作業経路Pを取り出し、その2本の作業経路Pをどのような接続経路Qにて接続するのかを示した模式図を示している。図4及び図5は、接続経路Qの基本的なパターンを示したものであり、図6~図21の夫々は、経路生成部23にて生成される接続経路Qを示したものであり、経路生成部23は、各種の条件に応じた接続経路Qを生成可能に構成されている。
図4~図21において、図中左側に位置する作業経路Pが、接続経路Qを自律走行する前にトラクタ1が自律作業する先行作業経路P1であり、その先行作業経路P1に沿って延びる直線(第2直線K2)も含めて示している。また、図中右側に位置する作業経路Pが、接続経路Qを自律走行した後にトラクタ1が自律作業する後行作業経路P2であり、その後行作業経路P2に沿って延びる直線も含めて示している。そして、図4~図21では、少なくとも第1円E1と第2円E2との2つの円が点線にて示されているが、第1円E1は、先行作業経路P1に沿って延びる直線(第2直線K2)に接する円となっており、第2円E2は、後行作業経路P2に沿って延びる直線に接する円となっている。
接続経路Qとして、図4及び図5に示すように、2種類のパターンが存在するので、まずは、そのパターンについて説明する。
経路生成部23が接続経路Qを生成するに当たり、図4に示す前進旋回パターンと図5に示す後進旋回パターンとの2種類のパターンの接続経路Qを生成可能である。前進旋回パターンでは、図4に示すように、第1旋回経路Q1をトラクタ1が前進しながら旋回する経路とし、第1旋回経路Q1に続く直進経路Q2を、トラクタ1を後進させた後に前進させる直線状の経路とし、直進経路Q2に続く第2旋回経路Q3をトラクタ1が前進しながら旋回する経路としている。後進旋回パターンでは、図5に示すように、第1旋回経路Q1をトラクタ1が後進しながら旋回する経路とし、第1旋回経路Q1に続く直進経路Q2を、トラクタ1を後進させた後に前進させる直線状の経路とし、直進経路Q2に続く第2旋回経路Q3をトラクタ1が前進しながら旋回する経路としている。このように、図4に示す前進旋回パターンと図5に示す後進旋回パターンとでは、第1旋回経路Q1において、トラクタ1が旋回するのに前進するのか後進するのかが異なるパターンとなっている。
そして、図6~図21にて示す接続経路Qの夫々は、図4に示す前進旋回パターン及び図5に示す後進旋回パターンの何れかにて生成されている。図6、図7、図10、図11、図14、図15、図18、図19が、図4に示す前進旋回パターンにて生成された接続経路Qを示している。図8、図9、図12、図13、図16、図17、図20、図21が、図5に示す後進旋回パターンにて生成された接続経路Qを示している。
経路生成部23が接続経路Qを生成するに当たり、図6等に示すように、作業領域R1と非作業領域R2aとの境界線K1(以下、第1境界線K1と略称する)と進行方向Xに沿って延びる直線K2(以下、第2直線K2と略称する)とが成す角αが鋭角である場合と、図7等に示すように、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角αが鈍角である場合とがある。図3では、作業領域R1に対して上側に隣接位置する非作業領域R2aにおいて、角αが鋭角となっており、作業領域R1に対して下側に隣接位置する非作業領域R2aにおいて、角αが鈍角となっている。そして、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角αは、次に自律作業を行う作業経路P(後行作業経路P2)側、且つ、作業領域R1側の角となっている。
そこで、経路生成部23は、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角αが鋭角である場合と鈍角である場合とで異なる接続経路Qを生成している。図6、図8、図10、図12、図14、図16、図18、図20が、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角αが鋭角である場合に生成された接続経路Qを示している。図7、図9、図11、図13、図15、図17、図19、図21が、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角αが鈍角である場合に生成された接続経路Qを示している。
トラクタ1を自律走行させる場合に、上述の如く、車両側制御部12が、ブレーキ装置や倍速装置を制御することで、小さな旋回半径の旋回経路に沿ってトラクタ1を自律走行できるようになっている。そこで、経路生成部23は、第1旋回経路Q1及び第2旋回経路Q3における旋回半径を同一の旋回半径とする接続経路Qを生成可能であるとともに、第1旋回経路Q1及び第2旋回経路Q3における旋回半径を異なる旋回半径とする接続経路Qを生成可能に構成されている。
図6~図13が、第1旋回経路Q1及び第2旋回経路Q3における旋回半径を同一の旋回半径として生成された接続経路Qを示している。図14~図21が、第1旋回経路Q1及び第2旋回経路Q3における旋回半径を異なる旋回半径として生成された接続経路Qを示している。また、図6~図9は、第1旋回経路Q1及び第2旋回経路Q3における旋回半径を、ブレーキ装置や倍速装置を制御せずに旋回したときの旋回半径とした場合を示している。図10~図13は、第1旋回経路Q1及び第2旋回経路Q3における旋回半径を、ブレーキ装置や倍速装置を制御して旋回したときの旋回半径とした場合を示している。図14~図17は、第1旋回経路Q1における旋回半径を、ブレーキ装置や倍速装置を制御して旋回したときの旋回半径とし、且つ、第2旋回経路Q3における旋回半径を、ブレーキ装置や倍速装置を制御せずに旋回したときの旋回半径とした場合を示している。図18~図21は、第1旋回経路Q1における旋回半径を、ブレーキ装置や倍速装置を制御せずに旋回したときの旋回半径とし、且つ、第2旋回経路Q3における旋回半径を、ブレーキ装置や倍速装置を制御して旋回したときの旋回半径とした場合を示している。
以上のように、経路生成部23は、接続経路Qとして、図6~図21の夫々にて示す接続経路Qを生成可能に構成されている。図6~図21の夫々にて示す接続経路Qを説明するに当たり、図4に示す前進旋回パターンと図5に示す後進旋回パターンとのどちらのパターンに該当するか、及び、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角が鋭角であるか鈍角であるかによって、4つのグループにグループ分けして説明する。
(第1グループ)
図4に示す前進旋回パターンであり、且つ、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角α(図6参照)が鋭角である第1グループについて説明する。この第1グループに該当するのは、図6、図10、図14、図18の夫々にて示す接続経路Qである。
図6に示す接続経路Qについて説明を加える。第1旋回経路Q1は、第2直線K2(先行作業経路P1に沿って延びる延長線)と第1円E1との接点から第1円E1に沿って後行作業経路P2に近づく側に向けてトラクタ1が前進しながら旋回する経路となっている。そして、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角αが鋭角となっているので、第1旋回経路Q1における旋回角度βは鈍角に設定されている。直進経路Q2は、第1旋回経路Q1の終端位置から引き続いて、一旦、トラクタ1を後行作業経路P2から離れる側に後進させた後、トラクタ1を後行作業経路P2に近づく側に前進させる直線状の経路となっている。直進経路Q2は、第1円E1と第2円E2とに接する接線上に生成されている。ちなみに、図4~図21において、直進経路Q2を分かり易く示すために、第1円E1と第2円E2とに接する接線上から少しずらせた位置に直進経路Q2を示している。図6に示す直進経路Q2は、第1境界線K1及び圃場Hの外周Tと平行になるように生成されており、トラクタ1の進行方向X(第2直線K2)と直交していない。第2旋回経路Q3は、直進経路Q2の終端位置(直進経路Q2と第2円E2とが接する位置)から第2円E2に沿って後行作業経路P2に向けてトラクタ1が前進しながら旋回する経路となっている。ちなみに、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
ここで、上述の如く、第1円E1は、先行作業経路P1に沿って延びる直線(第2直線K2)に接する円となっているので、第1円E1に沿って第1旋回経路Q1を生成することで、トラクタ1は、先行作業経路P1を自律作業(作業機5にて作業する状態での自律走行)した後に、引き続いて第1旋回経路Q1を自律走行(作業機5にて作業しない状態での自律走行)することができる。また、第2円E2は、後行作業経路P2に沿って延びる直線に接する円となっているので、第2円E2に沿って第2旋回経路Q3を生成することで、トラクタ1は、第2旋回経路Q3を自律走行した後に、引き続いて後行作業経路P2を自律作業することができる。
図6~図21に示すように、経路生成部23が、第1円E1に沿って第1旋回経路Q1を生成し、第2円E2に沿って第2旋回経路Q3を生成しているので、図6~図21に示す接続経路Qの何れにおいても、トラクタ1は、先行作業経路P1を自律作業した後に、引き続いて第1旋回経路Q1を自律走行することができるとともに、第2旋回経路Q3を自律走行した後に、引き続いて後行作業経路P2を自律作業することができる。
図10に示す接続経路Qについて説明する。図10に示す接続経路Qは、図6に示す接続経路Qと比較すると、第1旋回経路Q1及び第2旋回経路Q3の旋回半径を小さくしている点、及び、直進経路Q2が、トラクタ1の進行方向X(第2直線K2)と直交するように生成されている点が異なっている。ちなみに、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図2に示すように、無線通信端末2には、トラクタ1の進行方向X(第2直線K2)と直進経路Q2とが直交するように直進経路Q2を生成するように経路生成部23に指示可能な指示部25が備えられている。図10に示す接続経路Qは、指示部25にて経路生成部23に対する指示が行われた場合を示している。そして、ユーザが無線通信端末2を操作することで、指示部25による経路生成部23に対する指示が可能となっている。これにより、経路生成部23は、図6等に示すように、トラクタ1の進行方向X(第2直線K2)と直進経路Q2とが直交しないように直進経路Q2を生成するだけでなく、図10に示すように、ユーザの操作等により、トラクタ1の進行方向X(第2直線K2)と直進経路Q2とが直交する直進経路Q2も生成可能となっている。
そして、指示部25は、図10に示すように、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角αが鋭角の場合のみ、トラクタ1の進行方向X(第2直線K2)と直進経路Q2とが直交するように直進経路Q2を生成するように経路生成部23に指示可能となっている。よって、図7等に示すように、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角αが鈍角の場合に、指示部25は、ユーザ等の操作があっても、経路生成部23に対して指示を行わないようにしている。
図14に示す接続経路Qは、図6に示す接続経路Qと比較すると、第1旋回経路Q1の旋回半径を小さくしている点に加えて、直進経路Q2が圃場Hの外周T及び第1境界線K1とは平行ではなく、直進経路Q2の角度が異なっている。ちなみに、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図18に示す接続経路Qは、図6に示す接続経路Qと比較すると、第2旋回経路Q3の旋回半径を小さくしている点が異なるだけである。ちなみに、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
(第2グループ)
図4に示す前進旋回パターンであり、且つ、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角α(図7参照)が鈍角である第2グループについて説明する。この第2グループに該当するのは、図7、図11、図15、図19の夫々にて示す接続経路Qである。
図7に示す接続経路Qは、第1グループの図6に示す接続経路Qと比較すると、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角αが鈍角となっていることから、第1旋回経路Q1における旋回角度βは鋭角に設定されている点が異なっている。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図11に示す接続経路Qは、第2グループの図7に示す接続経路Qと比較すると、第1旋回経路Q1及び第2旋回経路Q3の旋回半径を小さくしている点だけが異なっている。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図15に示す接続経路Qは、第2グループの図7に示す接続経路Qと比較すると、第1旋回経路Q1の旋回半径を小さくしている点に加えて、直進経路Q2が圃場Hの外周T及び第1境界線K1とは平行ではなく、直進経路Q2の角度が異なっている。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図19に示す接続経路Qは、第2グループの図7に示す接続経路Qと比較すると、第2旋回経路Q3の旋回半径を小さくしている点だけが異なっている。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)、及び、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
(第3グループ)
図5に示す後進旋回パターンであり、且つ、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角α(図8参照)が鋭角である第3グループについて説明する。この第3グループに該当するのは、図8、図12、図16、図20の夫々にて示す接続経路Qである。
図8に示す接続経路Qについて説明を加える。第1旋回経路Q1は、第2直線K2(先行作業経路P1に沿って延びる延長線)と第1円E1との接点から第1円E1に沿って後行作業経路P2から離れる側に向けてトラクタ1が後進しながら旋回する経路となっている。そして、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角αが鋭角であるので、第1旋回経路Q1における旋回角度βは鈍角に設定されている。直進経路Q2は、第1旋回経路Q1の終端位置から引き続いて、トラクタ1を後行作業経路P2に近づく側に前進させる直線状の経路となっている。直進経路Q2は、第1円E1と第2円E2とに接する接線上に生成されており、トラクタ1の進行方向X(第2直線K2)と直交していない。第2旋回経路Q3は、直進経路Q2の終端位置(直進経路Q2と第2円E2とが接する位置)から第2円E2に沿って後行作業経路P2に向けてトラクタ1が前進しながら旋回する経路となっている。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)、及び、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図12に示す接続経路Qは、図8に示す接続経路Qと比較すると、第1旋回経路Q1及び第2旋回経路Q3の旋回半径を小さくしている点が異なっているだけである。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)、及び、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図16に示す接続経路Qは、図8に示す接続経路Qと比較すると、第1旋回経路Q1の旋回半径を小さくしている点が異なっているだけである。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)、及び、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図20に示す接続経路Qは、図8に示す接続経路Qと比較すると、第2旋回経路Q3の旋回半径を小さくしている点が異なっているだけである。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)、及び、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
(第4グループ)
図5に示す後進旋回パターンであり、且つ、第1境界線K1と第2直線K2とが成す角α(図9参照)が鈍角である第4グループについて説明する。この第4グループに該当するのは、図9、図13、図17、図21の夫々にて示す接続経路Qである。
図9に示す接続経路Qについて説明を加える。経路生成部23は、接続経路Qとして、第1旋回経路Q1、直進経路Q2、及び、第2旋回経路Q3に加えて、中間旋回経路Q4を生成している。中間旋回経路Q4は、第1旋回経路Q1と直進経路Q2との間に設定されている。第1旋回経路Q1は、第2直線K2(先行作業経路P1に沿って延びる延長線)と第1円E1との接点から第1円E1に沿って後行作業経路P2から離れる側に向けてトラクタ1が後進しながら旋回する経路となっている。中間旋回経路Q4は、第1円E1と第3円E3との接点から引き続き、第3円E3に沿って後行作業経路P2から離れる側に向けてトラクタ1が後進しながら旋回する経路となっている。ここで、第3円E3は、第1円E1及び第2円E2と同一半径であり、第1円E1に接する円となっている。直進経路Q2は、中間旋回経路Q4の終端位置から引き続いて、トラクタ1を後行作業経路P2に近づく側に前進させる直線状の経路となっている。直進経路Q2は、第3円E3と第2円E2とに接する接線上に生成されており、トラクタ1の進行方向X(第2直線K2)と直交していない。第2旋回経路Q3は、直進経路Q2の終端位置(直進経路Q2と第2円E2とが接する位置)から第2円E2に沿って後行作業経路P2に向けてトラクタ1が前進しながら旋回する経路となっている。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)、及び、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図13に示す接続経路Qは、第1旋回経路Q1は、第2直線K2(先行作業経路P1に沿って延びる延長線)と第1円E1との接点から第1円E1に沿って後行作業経路P2から離れる側に向けてトラクタ1が後進しながら旋回する経路となっている。直進経路Q2は、第1旋回経路Q1の終端位置から引き続いて、一旦、トラクタ1を後行作業経路P2から離れる側に後進させた後、トラクタ1を後行作業経路P2に近づく側に前進させる直線状の経路となっている。直進経路Q2は、第1円E1と第2円E2とに接する接線上に生成されており、トラクタ1の進行方向X(第2直線K2)と直交していない。第2旋回経路Q3は、直進経路Q2の終端位置(直進経路Q2と第2円E2とが接する位置)から第2円E2に沿って後行作業経路P2に向けてトラクタ1が前進しながら旋回する経路となっている。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図17に示す接続経路Qは、図13に示す接続経路Qと比較すると、第2旋回経路Q3の旋回半径を大きくしている点が異なるだけである。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図21に示す接続経路Qは、図13に示す接続経路Qと比較すると、第1旋回経路Q1の旋回半径を大きくしている点が異なるだけである。ちなみに、第2直線K2において、第1境界線K1との交点から第1円E1と接する箇所までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)、及び、後行作業経路P2に沿って延びる直線において、第2円E2と接する箇所から第1境界線K1との交点までの直線状の経路部分(図中、実線矢印にて示す部分)も、接続経路Qとして生成されている。
図6及び図7に示す接続経路Qでは、経路生成部23が、第1旋回経路Q1の旋回半径と第2旋回経路Q3の旋回半径とを同一の旋回半径に設定している。そして、経路生成部23は、直進経路Q2と第1境界線K1との距離W1よりも直進経路Q2と非作業領域R2aの外周Tとの距離W2の方が短くなるようにしている。これにより、直進経路Q2は、第1境界線K1から極力離れる側に生成することができるので、直進経路Q2に引き続く第2旋回経路Q3における旋回半径や後行作業経路P2の始端位置に至るまでの走行距離をより大きく取ることができ、トラクタ1の位置や姿勢等を調整するための時間を確保することができ、トラクタ1の位置や姿勢を安定させた状態で後行作業経路P2での自律作業を開始することができる。
図14~図17に示す接続経路Qでは、経路生成部23が、第1旋回経路Q1の第1旋回半径V1と第2旋回経路Q3の第2旋回半径V2とを互いに異なる旋回半径に設定している。そして、経路生成部23は、第1旋回半径V1よりも第2旋回半径V2の方が長くなるように設定している。これにより、第2旋回経路Q3における第2旋回半径V2をより大きく取ることができ、トラクタ1の位置や姿勢等を調整するための時間を確保することができ、トラクタ1の位置や姿勢を安定させた状態で後行作業経路P2での自律作業を開始することができる。
以上の如く、経路生成部23は、各種の条件に応じて異なる接続経路Qを生成可能であるが、例えば、図6~図21にて示す接続経路Qを無線通信端末2の表示部に表示させて、ユーザが無線通信端末2を操作することで、図6~図21にて示す接続経路Qの内、何れかの接続経路Qを選択可能とすることができる。
また、経路生成部23は、第1旋回経路Q1及び第2旋回経路Q3における旋回半径として2つの旋回半径を設定可能としているが、2つの旋回半径に限るものではなく、3つ以上の旋回半径を設定可能とすることもできる。