JP7483206B2 - 血圧測定装置、携帯端末、及び血圧測定プログラム - Google Patents
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Description
血圧の測定は、例えば、測定用の器具を腕や指に装着して専用の装置により行われている。
特許文献1の「血流指標算出プログラム、血流指標算出装置および血流指標算出方法」では、携帯端末を用いて非接触にて相対血圧を測定する技術が提案されている。
この技術では、携帯端末の表面のカメラで対象者の顔を動画撮影し、同時に裏面のカメラで対象者の指を動画撮影する。
そして、動画撮影した映像の色を構成するRGB成分のうち、R成分とG成分(脈波に伴って変化する)を用いて顔と指の脈波の波形を検出する。
心臓から体各部への脈波の伝搬時間と血圧の間には相関関係があり、検出した顔の脈波のピークに対する指の脈波のピークの遅延量によって血圧を測定することができる。
(2)請求項2に記載の発明では、前記脈波取得手段は、前記G成分を反転した値を用いて前記第2の脈波を取得することを特徴とする請求項1に記載の血圧測定装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、第1の側に配設され、対象者の第1の体表面を撮影する第1のカメラと、前記第1の側と対向する第2の側に配設され、前記対象者の第2の体表面を所定の照明光で照明しながら撮影する第2のカメラと、前記第1のカメラで前記対象者の第1の体表面を環境光下で撮影した第1の動画を取得し、前記第2のカメラで前記対象者の第2の体表面を所定の照明光下で撮影した第2の動画を取得する動画取得手段と、前記取得した第1の動画と第2の動画のそれぞれから、異なる種類の色成分の時間変化を用いて、前記第1の動画から第1の脈波を取得し、前記第2の動画から第2の脈波を取得する脈波取得手段と、前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得手段と、前記取得した血圧を表示する表示手段と、を具備し、前記脈波取得手段は、前記第1の動画からYIQ成分に含まれるQ成分を用いて第1の脈波を取得し、前記第2の動画からRGB成分に含まれるG成分を用いて第2の脈波を取得し、前記第1の体表面は前記対象者の顔であり、前記第2の体表面は前記対象者の指である、ことを特徴とする携帯端末を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、対象者の第1の体表面を環境光下で撮影した第1の動画と、前記対象者の第2の体表面を所定の照明光下で撮影した第2の動画を取得する動画取得機能と、前記取得した第1の動画と第2の動画のそれぞれから、異なる種類の色成分の時間変化を用いて、前記第1の動画から第1の脈波を取得し、前記第2の動画から第2の脈波を取得する脈波取得機能と、前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得機能と、前記取得した血圧を出力する出力機能と、をコンピュータで実現する血圧測定プログラム、であって、前記脈波取得機能は、前記第1の動画からYIQ成分に含まれるQ成分を用いて第1の脈波を取得し、前記第2の動画からRGB成分に含まれるG成分を用いて第2の脈波を取得し、前記第1の体表面は前記対象者の顔であり、前記第2の体表面は前記対象者の指である、ことを特徴とする血圧測定プログラムを提供する。
血圧測定装置1(図2)は、表カメラ7で対象者15の顔を撮影し、これと同時に、対象者15の指を照明9で照明しながら裏カメラ8で対象者15の指を撮影して、顔動画と指動画を取得する。
血圧測定装置1は、顔動画に関しては、HSV色空間のH、S成分によって顔を検出し、検出した顔の顔脈波をYIQ色空間のQ成分で取得する(特徴1)。外光や動きの外乱を受ける顔に関してはQ値で脈波を検出し、外乱を受けない指に関してはG値で脈波を検出することにより、脈波の信頼性を高めることができる。
顔脈波と指脈波は、元は同じ脈波であるため、指脈波を遅れた分だけシフトすれば、波形が顔脈波と概略適合する。これを相互相関によって計測し、これが最大となるシフト量が遅れ時間に対応することを利用したものである。
これにより、5[mmHg]程度の高い分解能で血圧を測定することができ、実用に供することができる。
遅れ時間と血圧の関係は実験によって求まっており、血圧測定装置1は、実験で求めた関係式に、特徴1~3を適用して取得した遅れ時間を適用して対象者15の血圧を測定する。
図1は、本実施形態の血圧測定装置1の構成を説明するための図である。
血圧測定装置1は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末で構成され、対象者15を撮影した動画によって非接触・非侵襲にて対象者15の血圧を測定することができる。
血圧測定装置1は、CPU(Central Processing Unit)2、ROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、ディスプレイ5、タッチパネル6、表カメラ7、裏カメラ8、照明9、記憶部10などから構成されている。
本実施形態では、表カメラ7や裏カメラ8で撮影した対象者15の動画を用いて血圧を検出する。
RAM4は、読み書きが可能なメモリであって、CPU2が動作する際のワーキングメモリを提供する。
本実施形態では、動画を構成するフレーム画像(1コマの静止画像)の画像データを展開して記憶したり、計算結果を記憶したりすることにより、CPU2が、動画から血圧を検出するのを支援する。
ここで、ディスプレイ5は、血圧を表示する表示手段として機能しており、このように、血圧測定装置1は、血圧をディスプレイ5に出力する出力手段を備えている。
本実施形態では、血圧測定装置1は、血圧測定プログラム起動用のアイコンへのタッチを検出して、これを起動するのに用いたり、血圧測定プログラムが提供する血圧測定画面に表示された測定開始ボタンへのタッチを検出して血圧測定を開始したりする。
表カメラ7は、ディスプレイ5が設けられた表面に配設されており、裏カメラ8は、これと対向する裏面に配設されている。
当該フレーム画像は、画像を構成する最小単位である画素(ピクセル)の配列により構成されている。
また、照明9は、裏カメラ8と一体的に(あるいは近接して)形成されており、裏カメラ8の撮影対象を照明する。
また、裏カメラ8は、第1の側と対向する第2の側に配設され、対象者の第2の体表面を所定の照明光で照明しながら撮影する第2のカメラとして機能している。
血圧測定装置1は、血圧測定プログラムを実行することにより、血圧測定装置としての各種機能を提供することができる。
また、CPU2は、表カメラ7で撮影した顔動画や裏カメラ8で撮影した指動画の動画データを記憶部10に記憶して、これを用いて血圧を検出する。
以下では、一例として、血圧測定装置1は、スマートフォンなどの携帯端末で構成されているものとする。
血圧測定の対象である対象者15は、裏カメラ8に指の指紋面を当接させつつ血圧測定装置1を把持し、表カメラ7を自身の顔面に向けてその姿勢を保持する。裏カメラ8に当てる指は、裏カメラ8の位置に従って当て易い何れの指でも良い。
この際に、指の撮影に関しては、照明9を動作させて指紋面を照明しながら撮影する。
なお、本実施形態では、撮影が容易なことから指を撮影するが、手のひらや手の甲、あるいは手首など、他の部位でも血圧測定は可能である。
一方、裏カメラ8で撮影した指動画に関しては、照明9による照明下で指を裏カメラ8に密接させて撮影するため、これらの外乱の影響を受けない。
血圧測定装置1は、血圧を良好に検出するために、特徴1~3の3つの特徴を有するが、顔動画でQ値を用い、指動画でG値を用いる手法は、特徴1を構成する。
そして、当該脈波取得手段は、第1の動画からYIQ成分に含まれるQ成分を用いて第1の脈波を取得し、第2の動画からRGB成分に含まれるG成分を用いて第2の脈波を取得する。
そして、H成分のH値とS成分のS値が所定の範囲にある領域を抽出すると、顔フレーム画像31bに示したように、皮膚領域が塊となった塊領域25によって顔領域(脈波を測定する測定領域を規定する)を抽出することができる。H成分とS成分で顔領域を良好に抽出できることは、本願発明者らの新たな知見によるものである。
顔動画を構成する各顔フレーム画像31からこのようにして平均したQ値を取得するとQ値の時系列が得られ、これが顔の脈波(以下、顔脈波)を表す顔信号となる。このように、血圧測定装置1は、顔脈波に関しては、YIQのQチャネルを使用する。
指動画を構成する各指フレーム画像32からこのようにして平均したG値を取得するとG値の時系列が得られ、これが指の脈波(以下、指脈波)を表す指信号となる。このように、血圧測定装置1は、指脈波に関しては、RGBのGチャネルを使用する。
図3(a)は、指信号16と顔信号18の振幅の時間変化を表している。
技術的な理由により、指信号16の振幅は、顔信号18の振幅に対して反転して検出される。そのため、血圧測定装置1は、図3(b)に示したように、指信号16の振幅を反転して指信号17を生成し、これを用いて血圧の測定処理を行う。
このように、血圧測定装置1が備える脈波取得手段は、G成分を反転した値を用いて第2の脈波を取得する。
一般的に、脈波の伝搬速度は6.84[m/s]程度である。
これによると、心臓から顔までの距離は0.3m程度であるため、心臓から顔までの脈波の伝搬時間は0.0439[s]程度である。
また、心臓から指までの距離は1[m]程度であるため、心臓から指までの脈波の伝搬時間は0.1462[s]程度である。
このように、血圧測定装置1は、第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを用いて対象者の血圧を取得する血圧取得手段を備えている。
図4(a)は、指信号17をフィルタ処理した指信号19と、顔信号18をフィルタ処理した顔信号20を示している。
血圧測定装置1は、顔脈波と指脈波の波形全体を用いた相関関係により遅れを検出するため、このように指信号19と顔信号20の波形をなるべく本来の波形とすることにより、より精密に遅れ時間の検出を行うことができる。
そして、遅れ取得手段は、第1の脈波の波形と、第2の脈波の波形と、の間の相関関係を用いて伝搬の遅れを取得している。
血圧測定装置1は、顔信号20と指信号19の相関関係として後述の相互相関を用いる。
相互相関は、顔信号20に対して指信号19を時間軸方向にシフトし、その場合の相互相関、即ち、そのシフト時点で顔信号20と指信号19の波形形状が全体的にどの程度近いかを表す指標、をプロットしたものである。相互相関が最も大きいとき、即ち、波形の形状が全体的に最も近いときのシフト量が遅れ時間となる。
このように、遅れ取得手段は、第1の脈波の波形と、第2の脈波の波形と、のうちの少なくとも一方を時間方向にシフトしながら、シフトごとの相関関係を取得し、当該相関関係が最大となるシフト量を伝搬の遅れとして取得している。
ところが、一般的な携帯端末では、顔フレーム画像31と指フレーム画像32の撮影タイミングが異なっている場合があり、この撮影タイミングのずれが遅れの測定に影響してしまう。場合によっては、指脈波の方が顔脈波よりも早く伝達するということもあり得る。
表カメラ7、裏カメラ8の撮影タイミングが調節できる場合は、調節すればよいが、調節できない場合でも、伝搬の順番(脈波はまず顔に伝播して、次に指に伝搬するというように、心臓から遠い方で伝搬が遅れる)は一定で、遅れる時間は一定と仮定すると、このようにピーク探索によって遅れ時間を得ることができる。
このように、血圧測定装置1は、第1の脈波の波形と第2の脈波の波形うち、心臓から遠い方の体表面で撮影した動画から取得した脈波が遅れる範囲で相関関係のピークを探索し、当該探索したピークの位置によってシフト量を取得している。
以下では、文字コードの誤変換防止のため、数式の下付文字を通常の文字で記す。
本実施形態では、相互相関の計算式を図5(a)に示した式(1)のRS1S2で定義した。S1は指信号19を表し、S2は顔信号20を表している。
mが0以上の場合は、式(1)の上式に示したように、m=0、1、2、・・・、Mとして、S1(n+m)×S2(n)をn=0からn=N-m-1まで加算することにより各mごとの相互相関を計算することができる。
例えば、図5(b)は、m=1の場合を示しており、この場合、相互相関は、S1(1)S2(0)+S1(2)S2(1)+・・・+S1(N-1)S2(N-2)となって、顔信号20に対して指信号19を1データ点だけデータ点が若い方にシフトした相互相関を計算することができる。
このように、mが1増えるごとに、指信号19を1データ点だけデータ点が若い方にシフトした相互相関を計算することができる。
例えば、図5(c)は、m=-1の場合を示しており、この場合、相互相関は、S1(0)S2(1)+S1(1)S2(2)+・・・+S1(N-2)S2(N-1)となって、顔信号20に対して指信号19を1データ点だけデータ点が進む方にシフトした相互相関を計算することができる。
このように、mが1減るごとに、指信号19を1データ点だけデータ点が進む方にシフトした相互相関を計算することができる。
mの最大値Mは、実験により適した値を求めることができる。本実施形態では、例えば、後述の240[fps]相当の分解能を用いる場合、一例としてM=480である。
また、両信号の少なくとも一方を時間方向に移動させながら波形全体の類似を計測するものであれば、他の計算式を採用することもできる。この場合、両波形が最も類似する場合の時間方向の相対的な移動量が遅れ時間に対応する。
図中の黒丸は、顔信号20を構成する顔データ点を表し、黒三角は、指信号19を構成する指データ点を示しており、それぞれ、顔フレーム画像31と指フレーム画像32から作成したものである。
図6(b)は、遅れが4データ点数の場合である。この場合、遅れが0データ点数の場合よりも相互相関が改善し、0程度の値となっている。
この図の例では、データ点数が12のあたりで、指信号19と顔信号20の波形の形状が全体的に合うため、データ点数12個分の時間付近が遅れ時間と推定される。
図6の例で、遅れのデータ点数に対して、相互相関をプロットすると、データ点数が11の時に相互相関が最大となった。
このデータの例では、データ点数11個分の遅れの時間が正である場合、この時間が遅れ時間の候補となる(後述するように、0<ピークの遅れ時間<1.1秒という制限を設けた)。
以上のように、指信号19と顔信号20のピークによって遅れ時間を計測せずに、これらの波形全体を用いて遅れ時間を計測する手法は、特徴2を構成する。
この離散間隔は、顔動画と指動画のフレームレートによって規定されるため、指信号19と顔信号20の生のデータをそのまま用いると、遅れ時間は、フレームレートで規定される分解能よりも高い精度で求めることができない。
また、例えフレームレートを上げることができる機種であったとしても、撮像素子が高フレームレート用に設計されていないため、画像が劣化してしまい、高分解能で血圧を計測することは困難である。
そこで、血圧測定装置1は、動画のフレームレートで取得した指信号19、顔信号20の離散的なデータを補間して、これをサンプリングすることにより、240[fps]相当のデータ点を作成する。
図8(a)に示したように、補間前の黒丸で示した顔データ点と黒三角で示した指データ単は、顔フレーム画像31と指フレーム画像32のフレームレートに従って、0.1[s]あたり3個程度の時間間隔の飛び飛びの値となっている。
補間によって生成した顔データと指データは、時間間隔が小さく、黒丸や黒三角で図示できないため、それぞれ、実線と破線で示している。
血圧測定装置1は、指データ点に関しても同様にして、スプライン補間した指データ点を取得する。
そして、血圧測定装置1は、補間した顔信号と指信号の全体を用いて相互相関を計算する。
そして、血圧測定装置1は、離散的な第1の脈波と離散的な第2の脈波の、それぞれの離散値を補間する補間手段を備えている。
更に、血圧測定装置1の有する遅れ取得手段は、補間した第1の脈波の波形の全体と、補間した第2の脈波の波形の全体と、を用いて取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを取得している。
図9(a)は、29[fps]で撮影した顔フレーム画像31と指フレーム画像32から取得した、補間前の相互相関を表している。補正前の相互相関列からは、1/29秒単位で遅れ時間のピークを探索することができる。図の例は、模式図であるが、これによると、遅れの最大値のデータ点は11であり、時間に換算すると、約0.379[s]である。
このような、指信号19と顔信号20の各データ点をスプライン補間することによって分解能を向上させる手法は、特徴3を構成する。
相互相関を計算する場合、なるべく脈波に由来する波形を残し、他の原因に由来する波形を除きたい。
そこで、血圧測定装置1は、バンドパスフィルタを用いて、補間前の指信号19と顔信号20をフィルタリングする。
40[bpm]以上が脈拍数領域であるが、20[bpm]程度から良好な相互相関を得ることができる。
同様に、通過帯域の上限は、250[bpm]が適当であることが分かった。
そのため、血圧測定装置1では、通過帯域を20~250[bpm]とするバンドパスフィルタを採用することとした。
以下の処理は、記憶部10に記憶した血圧測定プログラムに従ってCPU2が行うものである。
まず、CPU2は、動画フレーム読み込み処理を行う(ステップ5)。
これは、表カメラ7と裏カメラ8を共に動作させ、表カメラ7で撮影した顔動画と、裏カメラ8で撮影した指動画を記憶部10などに記憶しておき、これをRAM4に読み込む処理である。
次に、CPU2は、顔フレーム画像31で皮膚を検出することにより顔領域を抽出して、これを測定領域に設定する測定領域設定処理を行う(ステップ15)。
そして、CPU2は、測定領域のQ値を用いて顔信号を取得する顔信号取得処理を行う(ステップ20)。
次に、CPU2は、指信号取得処理をまだ行っていない指フレーム画像32がある場合は(ステップ60;N)、ステップ55に戻り、全ての指フレーム画像32に対して指信号取得処理を行った場合は(ステップ60;Y)、指信号のスペクトルをFFTにて周波数解析する指信号スペクトル計算処理を行う(ステップ65)。
以下、これらの処理について詳細に説明する。
まず、CPU2は、記憶部10に記憶した顔動画と指動画の動画データをそれぞれRAM4に読み込む(ステップ105)。
次に、CPU2は、これらの動画のフレームレートを取得してRAM4に記憶する(ステップ110)。フレームレートは、顔動画と指動画のファイルに付随しており(撮影時間とフレーム数から計算しても良い)、これを読むことにより取得する。本実施形態では、両動画のフレームレートが同じとするが、異なっていても良く、何れの場合も後に240[fps]相当に補間する。
次に、CPU2は、顔動画と指動画のそれぞれに対して、ステップ110でRAM4に記憶したフレームレートと、動画の長さ(時間)に基づいて、後ほどFFTにて用いる時間ベクトルを作成するための各パラメータを準備してRAM4に記憶し(ステップ120)、メインルーチンにリターンする。
まず、CPU2は、測定領域設定用のパラメータをRAM4に記憶して設定する(ステップ125)。
これは、HSV色空間にて顔領域をHとSの値によって抽出するのであるが、そのためのH値の範囲と、S値の範囲を設定するものである。これらH値、S値の上下限値は、本願発明者が実験により求めた。
これは、バンドパスフィルタを信号に適用した場合、デジタル処理の関係で最初の方の出力値は、正しい値が得られないため、信号が安定するまでの安定化時間を設定するものである。バンドパスフィルタを適用した信号の安定化時間に達するまでの部分は削除する。ここでは、安定化時間として2秒を設定した。
次に、CPU2は、伝達関数をRAM4に記憶することにより、フィルタのパラメータを準備する(ステップ140)。
ここでは、定義パラメータとして10画素の丸い形状の素子を定義した。
形態学的クロージングとは、定義した素子に基づいて膨張(dilation)処理と、収縮(erosion)処理を行うことにより、図形を穴埋めしたり、切断部分を結合したりする処理である。
形態学的クロージングでまとまることにより、CPU2は、額、左右の眼部、鼻以下の部位の4つからなる領域を顔の領域であると認識して、これら4つの領域を測定領域に設定することができる。
図15(a)のステップ160、165は、顔動画の顔フレーム画像31を取得するステップであるが、図15(b)に示したように1つのフレームに指領域の画像と顔領域の画像が含まれている場合、CPU2は、未処理のうちの最も撮影時間の若いフレームを選択して(ステップ160)、顔領域に限定して画像を抽出し(ステップ165)、これを顔フレーム画像31としてRAM4に記憶する。
一方、顔動画と指動画が別動画である場合は、顔動画から未処理の最も撮影時間の若い顔フレーム画像31を取得してRAM4に記憶する。
そして、CPU2は、HSV画像で、H成分が当該上下限基準値の範囲となる領域を抽出する(抜き出す)Hマスク(BWH)を作成してRAM4に記憶する(ステップ175)。
そして、CPU2は、HSV画像で、S成分が当該上下限基準値の範囲となる領域を抽出するSマスク(BWS)を作成してRAM4に記憶する(ステップ180)。
ここで、最大4つとしたのは、眼鏡を着用している対象者15の場合、顔面が眼鏡の縁によって区画されて、4つの塊領域として検出される場合があるからである。
これにより、4つの塊領域が眼鏡によって分割された顔面であった場合、これらは近接しているため、形態学的クロージングによって眼鏡部分が穴埋めされて一つの領域にまとまる。
これにより、眼鏡の着用の有無にかかわらず、顔の領域を最大の塊領域として特定することができる。
これにより、眼鏡を着用しない場合は顔全体が、眼鏡をかけて顔が4つの部位に分かれた場合は、これら4つの領域が脈拍の測定領域となる。
このように、CPU2は、形態学的クロージングでひとまとまりにできる範囲の塊領域を脈拍数の測定領域に設定する。
以上の処理を行った後、CPU2は、メインルーチンにリターンする。
まず、CPU2は、測定領域の大きさ(面積)を画素数によって計算し、これをRAM4に記憶する(ステップ230)。
次に、CPU2は、RAM4に記憶した測定領域の大きさが基準値より大きいか否かを判断する(ステップ235)。
この基準値は、これより大きければ脈拍数が測定できるというフレームに対する面積であって、例えば、フレームの5%に設定してある。
次に、CPU2は、YIQ画像データの各画素のQ値を成分とするQ行列とステップ215(図15)でRAM4に記憶した測定領域の行列との論理積を計算することにより、Q行列を測定領域に限定する(ステップ250)。
限定したQ行列は、測定領域にだけQ値があり、他の領域は色成分が0となっている。
最初のフレーム画像ではない場合(ステップ260;Y)、即ち、動画の2枚目以降のフレーム画像である場合、CPU2は、測定領域の大きさが十分でないため、Q値=前回のQ値として、前回のQ値を今回の推定値として採用する(ステップ265)。これは、1フレームレートの時間間隔で脈拍が大きく変化することがないことから、前回のQ値と今回のQ値が大きく異なることはないため、今回のQ値を前回のQ値で代用するものである。
CPU2は、以上の処理を行った後、メインルーチンにリターンする。
まず、CPU2は、Q値の線形傾向(トレンド)を計算して、元のQ値からこれを減算し、減算後のQ値をRAM4に記憶する(ステップ280)。以下では、この減算後のQ値を用いる。
更に、CPU2は、当該作成した時間ベクトルに対応するようにQ値を補間してRAM4に記憶する(ステップ290)。これらは、FFTの計算に必要な前処理である。
そして、CPU2は、これらRAM4に記憶した時間ベクトルと補間後のQ値を用いてFFTを実行することにより顔信号のスペクトルを計算してRAM4に記憶する(ステップ295)。
CPU2は、ステップ300(図17)でRAM4に記憶したスペクトルで最大ピークを探索する(ステップ310)。
次に、CPU2は、探索した最大ピークの周波数を計算して、これを脈拍数ピークとしてRAM4に記憶し(ステップ315)、メインルーチンにリターンする。当該脈拍数ピークは、顔脈波の基本波の脈拍数に対応している。
まず、CPU2は、ステップ315(図18)でRAM4に記憶した脈拍数ピークを中心とした、図19(b)のような±5[bpm]の範囲の基本波のマスク(HR_M1)を作成してRAM4に記憶する(ステップ330)。
そして、CPU2は、ステップ330、335でRAM4に記憶したHR_M1とHR_M2から、これらを合わせた1つの信号マスク(HR_M)を作成してRAM4に記憶する(ステップ340)。
そして、CPU2は、ステップ300(図17)でRAM4に記憶した顔信号のスペクトルを正規化してRAM4に記憶する(ステップ350)。
正規化した顔信号のスペクトルをFFT_HRnとすると、これは、顔信号のスペクトルFFT_HRを、FFT_HRの最大値で除した値となる。
numは、正規化した顔信号のスペクトルのうち、マスクした基本波と高調波のパワーに相当する値であって、FFT_HRn(i)の自乗にHR_M(i)を乗じてiで総和を取ったものである。iは、FFT_HRnとHR_Mの離散値を指定するパラメータである。
denは、正規化した顔信号のスペクトルのうち、マスクした基本波と高調波以外の領域のパワーに相当する値であって、FFT_HRn(i)の自乗にHRn_M(i)を乗じてiで総和を取ったものである。
S/N比(HR_SNR)は、denに対するnumの比の常用対数を10倍することにより計算する。
ステップ380、385は、指動画の指フレーム画像32を取得するステップであるが、図20(b)に示したように1つのフレームに指領域の画像と顔領域の画像が含まれている場合、CPU2は、未処理のうちの最も撮影時間の若いフレームを選択して(ステップ380)、指領域に限定して画像を抽出し(ステップ385)、これを指フレーム画像32としてRAM4に記憶する。
一方、顔動画と指動画が別動画である場合は、指動画から未処理の最も撮影時間の若い指フレーム画像32を取得してRAM4に記憶する。
そして、CPU2は、ステップ390で記憶した各画素のG値を平均してRAM4に記憶し(ステップ395)、メインルーチンにリターンする。このG値が指信号のデータ点となる。ステップ395を繰り返すことにより、データ点の時系列がRAM4に記憶されて、これが指信号となる。
まず、CPU2は、ステップ135(図14)でRAM4に記憶した周波数領域(20~250[bpm])を読み出す。
そして、ステップ255(図16)でRAM4に記憶した顔信号に対して、当該周波数領域のバンドパスフィルタを適用し、フィルタリングした顔信号をRAM4に記憶する(ステップ410)。
同様に、CPU2は、ステップ415でRAM4に記憶した指信号の安定化時間の部分を削除して、削除後の指信号をRAM4に記憶する(ステップ425)。
そして、CPU2は、ステップ430で設定した分解能に従って、FFTで用いる補間時間ベクトルを作成してRAM4に記憶する(ステップ435)。
正規化は、下に示したように、信号(顔信号、又は指信号)(i)から信号の平均を減算し、これを信号の標準偏差で除することにより、正規化された信号(i)を計算することにより行う。
ここで正規化された信号(i)は、次の式による。
正規化された信号(i)=(信号(i)-信号の平均)/信号の標準偏差
以上の処理を行った後、CPU2は、メインルーチンにリターンする。
まず、CPU2は、相互相関と遅延を計算する(ステップ505)。すなわち、CPU2は、ステップ450(図21)でRAM4に記憶した正規化した顔信号と、ステップ455(図21)でRAM4に記憶した正規化した指信号を読み出し、これら正規化した顔信号と指信号の相互相関と遅延(遅れ時間)の関係(図4(b)のような関係)を計算してRAM4に記憶する(ステップ505)。
より具体的には、CPU2は、RAM4にNとmを設定し、式(1)に従って計算して図9(b)のような相互相関とmの関係を計算する。
mは、遅れ時間に相当するデータ点の個数であるから、CPU2は、当該mに隣接するデータ点の時間間隔(ここでは、240[fps]相当でサンプリングするため1/240秒)を適用することにより図4(b)のような相互相関と遅れ時間の関係を計算する。
そして、CPU2は、0~1.1秒の間で相互相関のピークを検索し、検索したピークの時間を遅れ時間としてRAM4に記憶する。
次に、CPU2は、相互相関のピークの最大検索領域をステップ510でRAM4に記憶した範囲に限定する(ステップ515)。
そして、CPU2は、当該特定した相互相関の最大ピークに対応する遅れ時間を決定し、RAM4に記憶する(ステップ530)。
更に、最低血圧推定パラメータ、最高血圧推定パラメータを適用すると、それぞれ、最高血圧と最低血圧の絶対値を求めることができる。
これらのパラメータは、対象者15ごとに設定しても良いし、あるいは、全ての対象者15に対して適用する代表的な値を用いても良い。
そして、CPU2は、実験で求めた関係式にステップ530でRAM4に記憶した遅れ時間と、ステップ535でRAM4に記憶した最高血圧推定パラメータを代入して、最高血圧を計算により決定し、これをRAM4に記憶する(ステップ540)。
そして、CPU2は、実験で求めた関係式にステップ530でRAM4に記憶した遅れ時間と、ステップ545でRAM4に記憶した最低血圧推定パラメータを代入して、最高血圧を計算により決定し、これをRAM4に記憶する(ステップ550)。
以上の処理を行うと、CPU2は、RAM4に記憶した最高血圧と最低血圧をディスプレイ5に表示してメインルーチンにリターンする。
以上説明した実施形態では、表カメラ7と裏カメラ8で撮影した顔動画と指動画を予め記憶部10に記憶しておき、これを解析して血圧を測定したが、次に、顔動画と指動画をリアルタイムで撮影して血圧を測定する例について説明する。
本変形例では、図11の「動画フレーム読み込み」の処理(ステップ5)を、「動画撮影処理」に変更したものである。他の処理は、実施形態と同じである。
まず、CPU2は、表カメラ7で対象者15の顔を撮影して、顔フレーム画像31をRAM4に記憶し(ステップ560)、更に、裏カメラ8で対象者15の指を撮影して、指フレーム画像32をRAM4に記憶する(ステップ565)。
まだ、十分な時間収集していない場合(ステップ575;N)、CPU2は、ステップ560に戻って、更にフレーム画像を収集する。
ステップ570で記憶した顔フレーム画像31の数と、指フレーム画像32の数が、ステップ115(図13)のフレーム数取得に相当する。
これらは、ステップ110、120(図13)と同様である。
他の処理は、先に説明した実施形態と同じである。
本変形例によれば、顔動画と指動画を十分な時間収集するごとに、血圧をリアルタイムで測定し、これを更新することができる。
図24(a)で太線で示した測定値45は、血圧測定装置1によって測定した最高血圧であって、細線で示した測定値46は、指に装着するタイプの一般に利用される血圧計で測定した最高血圧である。
縦軸は、最高血圧[mmHg]を表し、横軸は、血圧をサンプリングしたサンプルナンバーを表し、時間軸に対応している。
図に示したように、最高血圧は、時間と共に変動するが、両者は高い精度で一致している。
図に示したように、最低血圧は、時間と共に変動するが、これも両者は高い精度で一致している。
(第1構成)対象者の第1の体表面を環境光下で撮影した第1の動画と、前記対象者の第2の体表面を所定の照明光下で撮影した第2の動画を取得する動画取得手段と、前記取得した第1の動画と第2の動画のそれぞれから、異なる種類の色成分の時間変化を用いて、前記第1の動画から第1の脈波を取得し、前記第2の動画から第2の脈波を取得する脈波取得手段と、前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得手段と、前記取得した血圧を出力する出力手段と、を具備したことを特徴とする血圧測定装置。
(第2構成)前記脈波取得手段は、前記第1の動画からYIQ成分に含まれるQ成分を用いて第1の脈波を取得し、前記第2の動画からRGB成分に含まれるG成分を用いて第2の脈波を取得することを特徴とする第1構成の血圧測定装置。
(第3構成)前記脈波取得手段は、前記G成分を反転した値を用いて前記第2の脈波を取得することを特徴とする第2構成の血圧測定装置。
(第4構成)前記第1の体表面は前記対象者の顔であり、前記第2の体表面は前記対象者の指であることを特徴とする第1構成、第2構成、又は第3構成の血圧測定装置。
(第5構成)第1の側に配設され、対象者の第1の体表面を撮影する第1のカメラと、前記第1の側と対向する第2の側に配設され、前記対象者の第2の体表面を所定の照明光で照明しながら撮影する第2のカメラと、前記第1のカメラで前記対象者の第1の体表面を環境光下で撮影した第1の動画を取得し、前記第2のカメラで前記対象者の第2の体表面を所定の照明光下で撮影した第2の動画を取得する動画取得手段と、前記取得した第1の動画と第2の動画のそれぞれから、異なる種類の色成分の時間変化を用いて、前記第1の動画から第1の脈波を取得し、前記第2の動画から第2の脈波を取得する脈波取得手段と、前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得手段と、前記取得した血圧を表示する表示手段と、を具備したことを特徴とする携帯端末。
(第6構成)対象者の第1の体表面を環境光下で撮影した第1の動画と、前記対象者の第2の体表面を所定の照明光下で撮影した第2の動画を取得する動画取得機能と、前記取得した第1の動画と第2の動画のそれぞれから、異なる種類の色成分の時間変化を用いて、前記第1の動画から第1の脈波を取得し、前記第2の動画から第2の脈波を取得する脈波取得機能と、前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得機能と、前記取得した血圧を出力する出力機能と、をコンピュータで実現する血圧測定プログラム。
(第21構成)対象者の第1の体表面を撮影した第1の動画と、前記対象者の第2の体表面を撮影した第2の動画を取得する動画取得手段と、前記取得した第1の動画の色を構成する成分の変化から第1の脈波を取得し、前記取得した第2の動画の色を構成する成分の変化から第2の脈波を取得する脈波取得手段と、前記取得した第1の脈波の波形の全体と、前記取得した第2の脈波の波形の全体と、を用いて前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを取得する遅れ取得手段と、前記取得した伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得手段と、前記取得した血圧を出力する出力手段と、を具備したことを特徴とする血圧測定装置。
(第22構成)前記遅れ取得手段は、前記第1の脈波の波形と、前記第2の脈波の波形と、の間の相関関係を用いて前記伝搬の遅れを取得することを特徴とする第21構成の血圧測定装置。
(第23構成)前記遅れ取得手段は、前記第1の脈波の波形と、前記第2の脈波の波形と、のうちの少なくとも一方を時間方向にシフトしながら、前記シフトごとの相関関係を取得し、当該相関関係が最大となるシフト量を前記伝搬の遅れとして取得することを特徴とする第22構成の血圧測定装置。
(第24構成)前記第1の脈波の波形と前記第2の脈波の波形のうち、心臓から遠い方の前記体表面で撮影した動画から取得した脈波が遅れる範囲で前記相関関係のピークを探索し、前記探索したピークの位置によって前記シフト量を取得することを特徴とする第23構成に記載の血圧測定装置。
(第25構成)前記第1の体表面は前記対象者の顔であり、前記第2の体表面は前記対象者の指であることを特徴とする第21構成から第24構成までのうちの何れか1の構成に記載の血圧測定装置。
(第26構成)第1の側に配設され、対象者の第1の体表面を撮影する第1のカメラと、前記第1の側と対向する第2の側に配設され、前記対象者の第2の体表面を撮影する第2のカメラと、前記第1のカメラで前記対象者の第1の体表面を撮影した第1の動画を取得し、前記第2のカメラで前記対象者の第2の体表面を撮影した第2の動画を取得する動画取得手段と、前記取得した第1の動画の色を構成する成分の変化から第1の脈波を取得し、前記取得した第2の動画の色を構成する成分の変化から第2の脈波を取得する脈波取得手段と、前記取得した第1の脈波の波形の全体と、前記取得した第2の脈波の波形の全体と、を用いて前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを取得する遅れ取得手段と、前記取得した伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得手段と、前記取得した血圧を表示する表示手段と、を具備したことを特徴とする携帯端末。
(第27構成)対象者の第1の体表面を撮影した第1の動画と、前記対象者の第2の体表面を撮影した第2の動画を取得する動画取得機能と、前記取得した第1の動画の色を構成する成分の変化から第1の脈波を取得し、前記取得した第2の動画の色を構成する成分の変化から第2の脈波を取得する脈波取得機能と、前記取得した第1の脈波の波形の全体と、前記取得した第2の脈波の波形の全体と、を用いて前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを取得する遅れ取得機能と、前記取得した伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得機能と、前記取得した血圧を出力する出力機能と、をコンピュータで実現する血圧測定プログラム。
(第31構成)対象者の第1の体表面を撮影した第1の動画と、前記対象者の第2の体表面を撮影した第2の動画を取得する動画取得手段と、前記取得した第1の動画の色を構成する成分の変化と、前記取得した第2の動画の色を構成する成分の変化から、それぞれ、前記第1の動画のフレームレートと、前記第2の動画のフレームレートに応じた離散的な第1の脈波と離散的な第2の脈波を取得する脈波取得手段と、前記取得した離散的な第1の脈波と離散的な第2の脈波の、それぞれの離散値を補間する補間手段と、前記補間した第1の脈波の波形と、前記補間した第2の脈波の波形と、を用いて前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを取得する遅れ取得手段と、前記取得した伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得手段と、前記取得した血圧を出力する出力手段と、を具備したことを特徴とする血圧測定装置。
(第32構成)前記遅れ取得手段は、前記第1の脈波の波形と、前記第2の脈波の波形と、の間の相関関係を用いて前記伝搬の遅れを取得することを特徴とする第31構成の血圧測定装置。
(第33構成)前記遅れ取得手段は、前記補間した第1の脈波の波形と、前記補間した第2の脈波の波形と、のうちの少なくとも一方を時間方向にシフトしながら、前記シフトごとの相関関係を取得し、当該相関関係が最大となるシフト量を前記伝搬の遅れとして取得することを特徴とする第32構成の血圧測定装置。
(第34構成)前記第1の体表面は前記対象者の顔であり、前記第2の体表面は前記対象者の指であることを特徴とする第31構成、第32構成、又は第33構成の血圧測定装置。
(第35構成)第1の側に配設され、対象者の第1の体表面を撮影する第1のカメラと、
前記第1の側と対向する第2の側に配設され、前記対象者の第2の体表面を撮影する第2のカメラと、前記第1のカメラで前記対象者の第1の体表面を撮影した第1の動画を取得し、前記第2のカメラで前記対象者の第2の体表面を撮影した第2の動画を取得する動画取得手段と、前記取得した第1の動画の色を構成する成分の変化と、前記取得した第2の動画の色を構成する成分の変化から、それぞれ、前記第1の動画のフレームレートと、前記第2の動画のフレームレートに応じた離散的な第1の脈波と離散的な第2の脈波を取得する脈波取得手段と、前記取得した離散的な第1の脈波と離散的な第2の脈波の、それぞれの離散値を補間する補間手段と、前記補間した第1の脈波の波形と、前記補間した第2の脈波の波形と、を用いて前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを取得する遅れ取得手段と、前記取得した伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得手段と、前記取得した血圧を表示する表示手段と、を具備したことを特徴とする携帯端末。
(第36構成)対象者の第1の体表面を撮影した第1の動画と、前記対象者の第2の体表面を撮影した第2の動画を取得する動画取得機能と、前記取得した第1の動画の色を構成する成分の変化と、前記取得した第2の動画の色を構成する成分の変化から、それぞれ、前記第1の動画のフレームレートと、前記第2の動画のフレームレートに応じた離散的な第1の脈波と離散的な第2の脈波を取得する脈波取得機能と、前記取得した離散的な第1の脈波と離散的な第2の脈波の、それぞれの離散値を補間する補間機能と、前記補間した第1の脈波の波形と、前記補間した第2の脈波の波形と、を用いて前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを取得する遅れ取得機能と、前記取得した伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得機能と、前記取得した血圧を出力する出力機能と、をコンピュータで実現する血圧測定プログラム。
(特徴1)
従来は、スマートフォンで血圧を測定する場合、スマートフォンの表面カメラ(顔を撮影)と裏面カメラ(指を撮影)の映像からR-G成分によって相対血圧を測定している。
本実施形態では、表面カメラ(顔を撮影)の映像では、H成分とS成分(測定領域の抽出)とQ成分(顔信号)を用いる。裏面カメラ(指を撮影)の場合、スマートフォンの照明を用いてG成分(指信号)を用いることで、動きと光外乱の対策により脈波信号(顔信号、指信号)の信頼性を強化することができる。
従来は、スマートフォンで血圧を測定する場合、スマートフォンの表面カメラ(顔を撮影)と裏面カメラ(指を撮影)の映像からR-G成分を抽出する。そして、抽出した波形のピークの時間差から相対血圧を測定している。
本実施形態では、ピークではなく、波全体の波形を用いる(相関手法)、ことで、脈波の遅れ(及び血圧)を精度高く測定することができる。
従来は、スマートフォンで血圧を測定する場合、スマートフォンの表面カメラ(顔を撮影)と裏面カメラ(指を撮影)の映像によって相対血圧を測定している。しかし、スマートフォンに用いられているカメラの大部分は30~60[fps]のため、血圧を測定する場合の分解能が足りない。
本実施形態では、映像から抽出した脈波をスプライン補間し、補間後の脈波に対して相関手法を適用することで、高い分解能(時間分解能)で血圧を推定・測定することができる。
2 CPU
3 ROM
4 RAM
5 ディスプレイ
6 タッチパネル
7 表カメラ
8 裏カメラ
9 照明
10 記憶部
15 対象者
16、17、19 指信号
18、20 顔信号
25 塊領域
26 測定領域
31 顔フレーム画像
32 指フレーム画像
36 顔データ点(補間前)
37 顔データ点(補間後)
38 スプライン曲線
45、46 測定値(最高血圧)
47、48 測定値(最低血圧)
Claims (4)
- 対象者の第1の体表面を環境光下で撮影した第1の動画と、前記対象者の第2の体表面を所定の照明光下で撮影した第2の動画を取得する動画取得手段と、
前記取得した第1の動画と第2の動画のそれぞれから、異なる種類の色成分の時間変化を用いて、前記第1の動画から第1の脈波を取得し、前記第2の動画から第2の脈波を取得する脈波取得手段と、
前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得手段と、
前記取得した血圧を出力する出力手段と、を具備し、
前記脈波取得手段は、前記第1の動画からYIQ成分に含まれるQ成分を用いて第1の脈波を取得し、前記第2の動画からRGB成分に含まれるG成分を用いて第2の脈波を取得し、
前記第1の体表面は前記対象者の顔であり、前記第2の体表面は前記対象者の指である、
ことを特徴とする血圧測定装置。 - 前記脈波取得手段は、前記G成分を反転した値を用いて前記第2の脈波を取得することを特徴とする請求項1に記載の血圧測定装置。
- 第1の側に配設され、対象者の第1の体表面を撮影する第1のカメラと、
前記第1の側と対向する第2の側に配設され、前記対象者の第2の体表面を所定の照明光で照明しながら撮影する第2のカメラと、
前記第1のカメラで前記対象者の第1の体表面を環境光下で撮影した第1の動画を取得し、前記第2のカメラで前記対象者の第2の体表面を所定の照明光下で撮影した第2の動画を取得する動画取得手段と、
前記取得した第1の動画と第2の動画のそれぞれから、異なる種類の色成分の時間変化を用いて、前記第1の動画から第1の脈波を取得し、前記第2の動画から第2の脈波を取得する脈波取得手段と、
前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得手段と、
前記取得した血圧を表示する表示手段と、を具備し、
前記脈波取得手段は、前記第1の動画からYIQ成分に含まれるQ成分を用いて第1の脈波を取得し、前記第2の動画からRGB成分に含まれるG成分を用いて第2の脈波を取得し、
前記第1の体表面は前記対象者の顔であり、前記第2の体表面は前記対象者の指である、
ことを特徴とする携帯端末。 - 対象者の第1の体表面を環境光下で撮影した第1の動画と、前記対象者の第2の体表面を所定の照明光下で撮影した第2の動画を取得する動画取得機能と、
前記取得した第1の動画と第2の動画のそれぞれから、異なる種類の色成分の時間変化を用いて、前記第1の動画から第1の脈波を取得し、前記第2の動画から第2の脈波を取得する脈波取得機能と、
前記取得した第1の脈波と第2の脈波の間の伝搬の遅れを用いて前記対象者の血圧を取得する血圧取得機能と、
前記取得した血圧を出力する出力機能と、
をコンピュータで実現する血圧測定プログラム、であって、
前記脈波取得機能は、前記第1の動画からYIQ成分に含まれるQ成分を用いて第1の脈波を取得し、前記第2の動画からRGB成分に含まれるG成分を用いて第2の脈波を取得し、
前記第1の体表面は前記対象者の顔であり、前記第2の体表面は前記対象者の指である、
ことを特徴とする血圧測定プログラム。
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