JP7474119B2 - ポンプケース - Google Patents
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Description
ところで、燃料ポンプモジュールに用いられるポンプケースは、樹脂成形によって形成される。樹脂成形用の金型は、第1収容室および第2収容室を形成するためのコアやキャビティを有している。これらコアとキャビティとの間に溶融樹脂が流れ込むことにより、第1収容室、第2収容室および隔壁が成形される。第1収容室から延出される配管は、金型の離型方向と交差する方向にスライド移動するスライドコアピンによって形成される。
しかしながら、第1収容室を形成するコアの隔壁側の端部と凹部との位置が近すぎてコアの隔壁側の端部と凹部との間の肉厚が他の部分と比べて薄くなってしまう。
スライドコアピンに樹脂の射出圧力が加えられると、コアの凹部が破損して、コア(金型)の破片が飛び散ってしまう可能性があった。
また、コアが破損すると、このコアに支持されていたスライドコアピンが樹脂の射出圧力によってずれてしまう可能性があった。スライドコアピンがずれると、このスライドコアピンが隔壁となる位置に入り込んでしまう。このままの状態で射出成形されると、隔壁の肉厚が一部薄肉になってしまい、ポンプケースを精度よく製造できない可能性があった。
図1は、燃料ポンプモジュール1の外観斜視図である。
図1に示す本実施形態の燃料ポンプモジュール1は、例えば、自動二輪車等の鞍乗型車両の燃料タンク(不図示)の外部に配置されて、燃料タンク内のガソリン等の液体燃料(以下、「燃料」と呼ぶ。)を内燃機関(不図示)に向けて圧送する用途に適用される。燃料ポンプモジュール1は、それ以外の自動四輪車両等の車両に搭載することも可能である。
図1から図2に示すように、燃料ポンプモジュール1は、軸方向D1に長い円筒状のケース本体11を有するポンプケース10と、ケース本体11の軸方向D1の一端11a側の開口を閉塞する第1モジュールカバー30と、ケース本体11の軸方向D1の他端11b側の開口を閉塞する第2モジュールカバー40と、を備えている。
ポンプケース10と第1、第2モジュールカバー30,40とは、いずれも樹脂材料によって形成されている。本実施形態の燃料ポンプモジュール1は、例えば、ポンプケース10の中心軸線を水平方向に向けた姿勢で、燃料タンク(不図示)の下方に搭載される。ケース本体11の外周面には、燃料タンクから燃料を吸入する吸入配管12と、吸入した燃料を内燃機関に送出する送出配管13と、余剰燃料を流通させ燃料タンクに戻すリターン配管14(請求項の配管に相当)と、が設けられている。
図3に示すように、ケース本体11の内部のうちの、ケース本体11の軸方向D1の一端11a側から所定距離離間した位置には、隔壁17が形成されている(図2参照)。ケース本体11には、隔壁17を挟んで軸方向D1両側にポンプ収容室15(請求項の第1収容室に相当)とフィルタ収容室16(請求項の第2収容室に相当)とが形成される。換言すると、隔壁17は、ケース本体11の内部にポンプ収容室15とフィルタ収容室16とを隔成している。具体的には、ケース本体11における一端11a側の内部に、ポンプ収容室15が形成されている。ケース本体11における他端11b側の内部に、フィルタ収容室16が形成されている。
通路ブロック50の凹部とプレッシャレギュレータ4との間には、燃料の漏出を防止するためのシール部材51が設けられている。シール部材51は、軸方向D1から見て環状に形成されている。
次に、図4から図7に基づいて、ポンプケース10の製造方法について説明する。図4は、金型60を型締めした状態を示す断面模式図である。図5は、図4に示す状態から、キャビティ61内に射出した溶融樹脂6を冷却固化してポンプケース10を形成した状態を示す断面模式図である。図6は、図5に示す状態から、金型60を離型してポンプケース10を取り出している状態を示す断面模式図である。なお、図6では、説明を分かりやすくする為に金型60のうちコア62およびスライドコアピン63のみを移動させた状態を示している。図7は、図4に示す状態から、キャビティ61内に溶融樹脂6を射出してスライドコアピン63がずれた状態でポンプケース10を形成した状態を示す断面模式図である。
本実施形態の製造方法は、大きく分けて型締め工程(図4参照)と、型締め工程後の成形工程(図5参照)と、成形工程後の取り出し工程(図6、図7参照)とがある。
続いて、ポンプケース10の製造方法の各工程について、以下に詳細に説明する。
図4に示すように、金型60を型締めすると、キャビティ61の内部にコア62が配置され、キャビティ61とコア62との間に第1空間S1が形成される。より具体的には、金型60を型締めすると、第1コア64の端面64bと第2コア65の端面65aとが対向するように第1コア64と第2コア65とが配置される。この時、第1コア64の軸方向は、第2コア65の軸方向に沿っている。第1コア64の端面64bと第2コア65の端面65aとは、軸方向に離間している。そして、第1コア64の端面64bと第2コア65の端面65aとの間に、第2空間S2が形成される。端面64bに設けられているコア凸部64dは、軸方向から見て端面65aに設けられているコア凹部65bと同じ位置に配置される。コア凹部65bの径方向内側端は、第1コア64の凹部64aよりも径方向内側に位置する。これにより、第1コア64の端面64bと第2コア65の端面65aとの間に凹空間S2aが形成される。凹空間S2aは、第2空間S2の一部を構成している。
第1空間S1、第2空間S2および第3空間S3によって空間Sが構成される。
上述の型締め工程によって空間Sを形成した後、図5に示すように、ランナー(不図示)及びゲート(不図示)を通じて所定温度に加熱された溶融樹脂6を、例えば所定の射出速度及び射出圧力で第1空間内に射出する。すると、空間S(図4参照)内に溶融樹脂6が十分に行き渡る。
この時、スライドコアピン63は凹部64aに嵌め込まれ、コア凸部64dによって凹部64aの肉厚が確保されている。これにより、スライドコアピン63が溶融樹脂6の射出圧力によってずれることが抑制される。
図6に示すように、ポンプケース10を形成した後、キャビティ61とコア62とを離型させる。この時、第1コア64と第2コア65とは離型する。スライドコアピン63は、第1コア64と第2コア65との離型にあわせて、第1コア64からこの第1コア64の離型方向と直交する方向(スライド方向)に沿ってスライド移動し離型される。この後、金型60の内部からポンプケース10を取り出す。
以上のようにしてポンプケース10が製造される。
なお、上述の製造方法では、ポンプケース10のうちケース本体11およびリターン配管14以外の部位の製造過程については、記載を省略している。例えば、吸入配管12および送出配管13等は、リターン配管14と同様の手法で成形される。
上述した実施形態によれば、隔壁17は、第1面17aの連通口18が形成されている側の外周部17bに形成された凹部19を有している。
これにより、隔壁17に凹部19を形成するために、第1コア64にコア凸部64dを設けることができる。コア凸部64dによって、スライドコアピン63が嵌め込まれる凹部64aの肉厚が確保されるので、凹部64aの剛性を確保できる。このため、スライドコアピン63に溶融樹脂6の射出圧力が加えられることにより、金型60の一部である第1コア64の凹部64aが破損して、金型60の破片が飛び散ることを防止できる。
また、第1コア64が破損してしまうことを防止できるので、スライドコアピン63が溶融樹脂6の射出圧力によってずれることを抑制できる。これにより、スライドコアピン63が隔壁17となる第2空間S2に入り込んでしまうことを抑制できる。したがって、隔壁17の厚みが一部薄肉になってしまうことを抑制できるので、ポンプケース10を精度良く形成できる。
凹部19は、ポンプ収容室15からフィルタ収容室16に向かって突出する底部19aを有している。
これにより、隔壁17の厚みが凹部19で一部薄肉になるのを抑制できるので、隔壁17の剛性を確保できる。
これにより、凹部19を形成するためのコア凸部64dの径方向内側に抜き勾配が形成される。したがって、ポンプケース10の形成後、第1コア64を離型し易くできる。
これにより、凹部19のフィルタ収容室16側の面が側面視L字状に形成されている場合と比較して、フィルタ収容室16の空間を拡大できる。したがって、フィルタ収容室16内のレイアウト性を向上できる。
加えて、凹部19がケース本体11の径方向D2外側に向かうに従って深く形成されている場合には、隔壁17の厚みが凹部19で一部薄肉になるのをより確実に抑制できるので、隔壁17の剛性をより一層確保できる。
これにより、凹部19のフィルタ収容室16側の面が側面視L字状に形成されている場合と比較して、フィルタ収容室16内のレイアウト性をより一層向上できる。
Claims (3)
- 燃料を吸入して吐出するポンプ本体を内部に収容する筒状の周壁を有するケース本体と、
前記ケース本体から前記ケース本体の軸方向と交差する方向に延出され、前記燃料が流通される配管と、を備え、
前記ケース本体は、
前記ケース本体の軸方向一端側の内部に形成され、前記ポンプ本体を収容する第1収容室と、
前記ケース本体の軸方向他端側の内部に形成された第2収容室と、
前記第1収容室と前記第2収容室とを隔成する隔壁と、を有し、
前記配管と前記第1収容室とは、前記燃料が通過される連通口を介して通じており、 前記連通口の内周面の位置と前記隔壁の前記第1収容室側の第1面との間の距離は、1mm以内であり、
前記隔壁は、前記第1面の前記連通口が形成されている側の外周部に形成された凹部を有し、
前記凹部は、前記第1収容室から前記第2収容室に向かって突出する底部を有し、
前記凹部は、前記ケース本体の径方向外側に向かうに従って深く形成されていることを特徴とするポンプケース。 - 前記底部の前記第2収容室側に向かう突出高さは、前記ケース本体の径方向外側に向かうに従って高くなっていることを特徴とする請求項1に記載のポンプケース。
- 前記底部の前記第2収容室側の面は、湾曲状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のポンプケース。
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