JP7473103B2 - 熱伝導性シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導性シート及びその製造方法に関する。
コンピュータ、自動車部品、携帯電話等の電子機器では、半導体素子や機械部品等の発熱体から生じる熱を放熱するためにヒートシンクなどの放熱体が一般的に用いられる。放熱体への熱の伝熱効率を高める目的で、発熱体と放熱体の間には、熱伝導性シートが配置されることが知られている。
熱伝導性シートは、一般的には、高分子マトリクスと、高分子マトリクス中に分散された熱伝導性充填材とを含有する。また、熱伝導性シートは、特定方向の熱伝導性を高めるために、形状に異方性を有する異方性充填材を一方向に配向することがある。
異方性充填材が一方向に配向された熱伝導性シートは、例えば、延伸等により異方性充填材をシート面方向に沿って配向させた1次シートを複数作製し、その1次シートを複数積層して一体化したものを垂直にスライスすることで製造される。この製造方法(以下、「流動配向法」ともいう)によれば、微小厚みの単位層が多数積層されて構成される熱伝導性シートが得られる。また、異方性充填材は、シートの厚さ方向に配向させることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
特開2014-27144号公報
特許文献1によれば、ある程度の良好な熱伝導性が得られる。しかし、コンピュータ、自動車部品、携帯電話等といった電子機器の近年の多機能化に伴い、熱伝導性シートにおいても、良好な熱伝導性以外に、導電性、電磁波吸収性、難燃性、吸着性、又は通気性といった他の機能も発揮できることが好ましい。このような熱伝導性シートであれば、電子機器の用途や形状等に応じて、当該電子機器のもつ特性をより効果的に発揮させることができる。
そこで、本発明は、高い熱伝導性を発揮し、かつ、導電性、電磁波吸収性、難燃性、吸着性、又は通気性といった他の機能をも発揮し得る熱伝導性シートを提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下の構成を有することで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]~[13]を提供する。
[1] 高分子マトリクス及び熱伝導性充填材を含む複数の熱伝導部と、
高分子マトリクスと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、吸着性充填材、及び連続気孔のいずれかとの組み合わせ、あるいは、金属を含む複数の機能部とを備える熱伝導性シートであって、前記熱伝導性シートの表面及び裏面のそれぞれにおいて前記熱伝導部と前記機能部とが面一である熱伝導性シート。
[2] 前記熱伝導部と前記機能部とが面方向に交互に積層される[1]に記載の熱伝導性シート。
[3] 前記熱伝導部が、前記熱伝導性シートの表面及び裏面のそれぞれにおいて所定の方向に線状に延びる熱伝導層であり、前記機能部が、前記熱伝導層と平行に延びる機能層、又は、前記熱伝導層と平行に断続的に配置されるドット状機能部である[1]又は[2]に記載の熱伝導性シート。
[4] 前記熱伝導性充填材が、異方性充填材を含有する[1]~[3]のいずれかに記載の熱伝導性シート。
[5] 前記熱伝導性充填材が、非異方性充填材を含有する[1]~[4]のいずれかに記載の熱伝導性シート。
[6] 前記異方性充填材が、シートの厚さ方向に配向される[4]又は[5]に記載の熱伝導性シート。
[7] 前記異方性充填材が、繊維状材料及び鱗片状材料から選択される少なくとも1種である[4]~[6]のいずれかに記載の熱伝導性シート。
[8] 前記鱗片状材料の鱗片面の法線方向が、前記複数の熱伝導層の積層方向に向く[7]に記載の熱伝導性シート。
[9] 前記隣接する前記熱伝導部と前記機能部とが、直接固着している[1]~[8]のいずれかに記載の熱伝導性シート。
[10] それぞれが高分子マトリクス及び熱伝導性充填材を含む、複数の熱伝導性1次シートを用意する工程と、それぞれが高分子マトリクスと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、吸着性充填材、及び連続気孔のいずれかとの組み合わせ、あるいは、金属を含む複数の機能部材を用意する工程と、前記複数の1次シートと前記複数の機能部材とを積層することで、接着させて積層ブロックを形成する工程と、前記積層ブロックを積層方向に沿ってシート状になるように切断して熱伝導性シートを得る工程と、を備える熱伝導性シートの製造方法。
[11] 複数の前記熱伝導性1次シートを用意した後、前記熱伝導性1次シートの少なくとも一方の面に真空紫外線を照射する工程を備え、積層ブロックを形成する工程において、前記複数の熱伝導性1次シートを、真空紫外線が照射された前記一方の面を前記機能部材に接触させるようにして積層することで、接着させて積層ブロックを形成する、[10]に記載の熱伝導性シートの製造方法。
[12] 前記熱伝導性充填材が、異方性充填材を含み、前記熱伝導性1次シートではその面方向に沿って前記異方性充填材が配向され、前記積層ブロックは、前記異方性充填材が配向する方向に直交する方向に切断される[10]又は[11]に記載の熱伝導性シートの製造方法。
[13] 前記熱伝導性充填材が、非異方性充填材を含む[10]~[12]のいずれかに記載の熱伝導性シートの製造方法。
本発明によれば、高い熱伝導性を発揮し、かつ、導電性、電磁波吸収性、難燃性、吸着性、又は通気性といった他の機能をも発揮し得る熱伝導性シートを提供することができる。
本実施形態の熱伝導性シートの一例を示す模式的な斜視図である。 本実施形態の熱伝導性シートの他の一例を示す模式的な斜視図である。 第1の実施形態の熱伝導性シートを示す模式的な断面図である。 第2の実施形態の熱伝導性シートを示す模式的な断面図である。 第3の実施形態の熱伝導性シートを示す模式的な断面図である。 本実施形態の熱伝導性シートの製造方法の一例を示す模式的な斜視図である。 本実施形態の熱伝導性シートの製造方法の他の一例を示す模式的な斜視図である。
以下、本発明の実施形態に係る熱伝導性シートについて詳しく説明する。
本実施形態に係る熱伝導性シートは、高分子マトリクス及び熱伝導性充填材を含む複数の熱伝導部と、高分子マトリクスと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、吸着性充填材、及び連続気孔のいずれかとの組み合わせ、あるいは、金属を含む複数の機能部とを備える。そして、熱伝導性シートの表面及び裏面のそれぞれにおいて熱伝導部と機能部とが面一となっている。
熱伝導性シートに熱伝導部と機能部とが共存することで、それぞれの機能を効果的に発揮させることができる。特に熱伝導性シートの表面及び裏面のそれぞれにおいて、熱伝導部と機能部とが面一となっていることで、それぞれの面に熱伝導部と機能部とが露出していることになり、これらをシートが配置される部材に確実に接触させることができる。その結果、熱伝導部からは熱伝導性が発揮され、機能部からは、充填材の種類によって導電性、電磁波吸収性、難燃性、吸着性、及び連続気孔による通気性が効率よく発揮される。
ここで、「熱伝導部と機能部とが面一となっている」とは、機能部が導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、又は吸着性充填材を含む場合、それぞれを構成するマトリックスの樹脂面が段差なく平坦に接続されている状態をいい、その限りにおいては、充填材の一部が多少突出していたり、設置対象との密着性を損なわない程度の凹凸を有していてもよい。
機能部が連続気孔を含む場合は、機能部を構成する高分子マトリックスの樹脂面が、当該機能部を挟む熱伝導部を構成する高分子マトリックスの樹脂面の高さ以下であることをいう。
複数の熱伝導部と複数の機能部との配置方法は特に限定されず、ランダムに配置されていてもよいが、シートの生産性を考慮すると面方向に交互または2層ずつ積層されていることが好ましい。
具体的には、それぞれ異なる性質のシートを複数準備すれば、それらの組合せを変更することで異なる要望に応えることが容易であるという観点からは、図1に示すように熱伝導部13Aが、熱伝導性シート10の表面及び裏面のそれぞれにおいて所定の方向に線状(好ましくは直線状)に延びる熱伝導層であり、機能部13Bが、熱伝導層と平行に延びる機能層13Bであることが好ましい。
良好な熱伝導性を示しつつ機能部から発揮される機能性をも十分に発揮させる観点から、1の熱伝導層の幅WAに対する、当該熱伝導層に隣接する機能層の幅WBの割合(WB/WA)は、0.001~0.5であることが好ましい。また、導電部が金属層である場合は、0.001~0.1であることがより好ましい。一方、導電部が高分子マトリクスと導電性充填材との組み合わせでなる場合は、0.02~0.5であることがより好ましい。
また、同様な観点から、連続気孔を含む機能層以外の機能層においては、積層面と交差する任意の断面における1の熱伝導層の面積SAに対する、当該熱伝導層に隣接する機能層の面積SBの割合(SB/SA)が、0.001~0.5であることが好ましい。また、導電部が金属層である場合は、0.001~0.1であることがより好ましく、導電部が高分子マトリクスと導電性充填材との組み合わせである場合は、0.02~0.5であることがより好ましい。
さらにまた、同様な観点から、連続気孔を含む機能層以外の機能層においては、1の熱伝導層の体積VAに対する、当該熱伝導層に隣接する機能層の体積VBの割合(VB/VA)が、0.001~0.5であることが好ましい。また、導電部が金属層である場合は、0.001~0.1であることがより好ましく、導電部が高分子マトリクスと導電性充填材との組み合わせである場合は、0.02~0.5であることがより好ましい。
なお、連続気孔を含む機能層の場合については後述する。
また、熱伝導層及び機能層はそれぞれ熱伝導性シートの表面から裏面にわたって形成されていることが好ましい。
さらに、機能部として高価な部材を用いる場合等に少量の機能部であっても効果的に機能部から発揮させる機能性を充分に発揮させるの観点からは、図2に示すように、熱伝導部13Aが、熱伝導性シート10の表面及び裏面のそれぞれにおいて所定の方向に線状に延びる熱伝導層であり、機能部が、熱伝導層と平行に断続的に配置されるドット状機能部であることが好ましい。
この場合も良好な熱伝導性を示しつつ機能部から発揮される機能性をも十分に発揮させる観点から、熱伝導性シート10の一方の面の熱伝導層の投影面積SAに対するドット状機能部の投影面積SBの割合(SB/SA)は、0.00001~0.25であることが好ましく、0.0004~0.25であることがより好ましい。
なお、表面及び裏面に露出したドット状機能部の形状は、円形、楕円形、多角形、又はこれらの組み合わされた形状等、特に限定されない。また、ドット状機能部は表面から裏面にわたって形成されている。
本実施形態においては、熱伝導性充填材が異方性充填材及び非異方性充填材を含有する第1の実施形態、熱伝導性充填材が異方性充填材を含有し、非異方性充填材を含有しない第2の実施形態、及び、熱伝導性充填材が非異方性充填材を含有し、異方性充填材を含有しない第3の実施形態、を好ましい実施形態として挙げることができる。
[第1の実施形態]
図3は、第1の実施形態の熱伝導性シート100の一例を示す。第1の実施形態に係る熱伝導性シート100は、それぞれが高分子マトリクス11と、熱伝導性充填材とを含有する複数の熱伝導部13Aと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、又は吸着性充填材といった充填材16を含有する機能層13Bを備える。これらの層は、面方向に沿う一方向(すなわち、厚さ方向zに垂直な一方向であり、「積層方向x」ともいう)に沿って積層されており、隣接する層同士が、好ましくは熱伝導部13Aである熱伝導層13Aと機能部13Bである機能層13Bとが面方向に交互に積層されて接着されている。
熱伝導性シート100は、熱伝導性充填材として、異方性充填材14と、非異方性充填材15とを含有する。異方性充填材14は、シート10の厚さ方向zに配向している。すなわち、各熱伝導層13Aの面方向の一方向に沿って配向している。熱伝導性シート100は、シートの厚さ方向zに配向する異方性充填材14を含有することで、熱伝導層13Aの厚さ方向zの熱伝導性が向上する。熱伝導層13Aは、さらに非異方性充填材15を含有することでも熱伝導性がさらに向上する。
また、機能部13Bの充填材16により、各種機能が発現される。
以下、高分子マトリクス及び熱伝導性充填材を含む熱伝導部、及び、高分子マトリクスと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、吸着性充填材、及び連続気孔のいずれかとの組み合わせ、あるいは、金属を含む機能部等について説明する。
<熱伝導部>
(高分子マトリクス)
高分子マトリクス11は、充填材を保持する部材であり、柔軟なゴム状弾性体でなることが好ましい。高分子マトリクスは、その前駆体である樹脂から形成される。なお、本明細書でいう前駆体とは、後述するように反応することで高分子マトリクスとなる物質のみならず、反応せず高分子マトリクスと同一の物質も含む概念である。
熱伝導部で異方性充填材を配向した状態で高分子マトリクス11中に含有させるためには、配向させる工程の際に樹脂が流動性を有していることが要求される。例えば、高分子マトリクスの前駆体である樹脂が熱可塑性樹脂であれば、加熱して可塑化した状態で異方性充填材を配向させることができる。また、反応性液状樹脂であれば、硬化前に異方性充填材を配向させて、その状態を維持したまま硬化すれば、異方性充填材が配向した硬化物を得ることができる。前者は比較的粘度が高く、また低粘度になるまで可塑化すると樹脂が熱劣化するおそれがあるため、後者の樹脂を採用することが好ましい。
反応性液状樹脂としては、反応前は液状であり、所定の条件で硬化して架橋構造を形成するゴムまたはゲルを用いることが好ましい。架橋構造とは、ポリマーの少なくとも一部が3次元的に架橋し、加熱によって溶融しない硬化体を形成しているものをいう。また、液状樹脂に異方性充填材を加えた混合組成物を作製し、流動性のある液状樹脂中でこれらを配向させるため、低粘度であることが好ましく、配向後には所定の条件で硬化可能な性質を備えるものが好ましい。
こうした反応性液状樹脂の硬化方法としては例えば、熱硬化性や光硬化性のものを例示できるが、光を遮蔽する鱗片状充填材などの充填材を多量に含むことがあるため、熱硬化性のゴムやゲルを用いることが好ましい。より具体的には、シリコーン樹脂、ポリオールとイソシアネートの反応を利用するウレタンゴム、アクリレートのラジカル反応やカチオン反応を利用するアクリルゴム等を例示することができるが、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。
シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンであれば特に限定されないが、硬化型シリコーン樹脂を使用することが好ましい。シリコーン樹脂は、硬化型である場合には、硬化性シリコーン組成物を硬化することで得られるものである。シリコーン樹脂は、付加反応型のものを使用してもよいし、それ以外のものを使用してもよい。付加反応型の場合、硬化性シリコーン組成物は、主剤となるシリコーン化合物と、主剤を硬化させる硬化剤とからなることが好ましい。
主剤として使用されるシリコーン化合物は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンが好ましく、具体的には、ビニル基含有ポリジメチルシロキサン、ビニル基含有ポリフェニルメチルシロキサン、ビニル基含有ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサンコポリマー、ビニル基含有ジメチルシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、ビニル基含有ジメチルシロキサン-ジエチルシロキサンコポリマーなどのビニル基含有オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。
硬化剤としては、上記した主剤であるシリコーン化合物を硬化できるものであれば、特に限定されないが、ヒドロシリル基(SiH)を2つ以上有するオルガノポリシロキサンである、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
硬化剤は、ヒドロシリル基の数や分子量、主剤に対する配合量比を適宜調整することで、後述する1次シートの硬さを調整できる。具体的には、1分子中のヒドロシリル基が少ないか、分子量の大きい硬化剤を用いたり、主剤に対する硬化剤の配合量比を少なくしたりすることで、1次シートの硬さを低くできる。
熱伝導部における高分子マトリクスの含有量は、体積%(充填率)で表すと、熱伝導性シートの熱伝導部に対して、好ましくは15~50体積%、より好ましくは20~45体積%である。
また、機能部における高分子マトリクスの含有量は、熱伝導性シートの機能部に対して、好ましくは10~99.5体積%である。また、上記含有量は機能部が発揮し得る機能により、導電性を発現させる場合であって金属層以外で構成する場合の高分子マトリクスの含有量は20~75体積%、電磁波吸収性を発現させる場合は10~50体積%、難燃性を発現させる場合は15~60体積%、吸着性を発現させる場合は70~99.5体積%であることが、さらに好ましい。なお、通気性を発揮させる場合は、所定の添加剤を含み得るが、気孔を除く全てを高分子マトリクスで構成することもできる。
(異方性充填材)
異方性充填材14は、形状に異方性を有する充填材であり、配向が可能な充填材である。異方性充填材14としては、繊維状材料、鱗片状材料などが挙げられ、これらから選択される少なくとも1種であることが好ましい。異方性充填材14は、一般的にアスペクト比が高いものであり、アスペクト比が2を越えるものであり、5以上であることがより好ましい。アスペクト比を2より大きくすることで、異方性充填材14を厚さ方向zに配向させやすくなり、熱伝導性シート100の熱伝導性を高めやすい。
また、アスペクト比の上限は、特に限定されないが、実用的には300である。
なお、アスペクト比とは、異方性充填材14の短軸方向の長さに対する長軸方向の長さの比であり、繊維状材料においては、繊維長/繊維の直径を意味し、鱗片状材料においては鱗片状材料の長軸方向の長さ/厚さを意味する。
熱伝導性シート100の熱伝導部13Aにおける異方性充填材14の含有量は、高分子マトリクス100質量部に対して10~500質量部であることが好ましく、50~350質量部であることがより好ましい。また、異方性充填材14の含有量は、体積基準の充填率(体積充填率)で表すと、熱伝導部全量に対して、好ましくは2~50体積%、より好ましくは8~40体積%である。
異方性充填材14の含有量を10質量部以上とすることで、熱伝導性を高めやすくなり、500質量部以下とすることで、後述する液状組成物の粘度が適切になりやすく、異方性充填材14の配向性が良好となる。
異方性充填材14は、繊維状材料である場合、その平均繊維長が、好ましくは20~500μm、より好ましくは80~400μmである。平均繊維長を10μm以上とすると、各熱伝導性シート100において異方性充填材同士が適切に接触して、熱の伝達経路が確保され、熱伝導性シート100の熱伝導性が良好になる。
一方、平均繊維長を500μm以下とすると、異方性充填材の嵩が低くなり、高分子マトリクス(特にシリコーン樹脂)中に高充填できるようになる。また、異方性充填材14に導電性を有するものを使用しても、熱伝導性シート100の導電性が必要以上に高くなることが防止される。
なお、上記の平均繊維長は、異方性充填材を顕微鏡で観察して算出することができる。より具体的には、例えば、熱伝導性シート100のマトリクス成分を溶かして分離した異方性充填材14について、電子顕微鏡や光学顕微鏡を用いて、任意の異方性充填材50個の繊維長を測定して、その平均値(相加平均値)を平均繊維長とすることができる。この際、繊維を粉砕しないように大きなシェアがかからないようにする。また、熱伝導性シート100から異方性充填材14を分離することが難しい場合は、X線CT装置を用いて、異方性充填材40の繊維長を測定して、平均繊維長を算出してもよい。
また、異方性充填材14の直径についても同様に電子顕微鏡や光学顕微鏡、X線CT装置を用いて測定することができる。
なお、本発明において、任意のものとは無作為に選んだものをいう。
また、異方性充填材14が鱗片状材料である場合、その平均粒径は、20~400μmが好ましく、30~300μmがより好ましい。また、40~200μmが特に好ましい。平均粒径を10μm以上とすることで、熱伝導性シート100において異方性充填材14同士が接触しやすくなり、熱の伝達経路が確保され、熱伝導性シート100の熱伝導性が良好になる。一方、平均粒径を400μm以下とすると、異方性充填材14の嵩が低くなり、高分子マトリクス11中の異方性充填材14を高充填にすることが可能になる。
なお、鱗片状材料の平均粒径は、異方性充填材を顕微鏡で観察して長径を直径として算出することができる。より具体的には、前記平均繊維長と同様に電子顕微鏡や光学顕微鏡、X線CT装置を用いて、任意の異方性充填材50個の長径を測定して、その平均値(相加平均値)を平均粒径とすることができる。
また、前記異方性充填材14の厚さについても同様に電子顕微鏡や光学顕微鏡、X線CT装置を用いて測定することができる。
異方性充填材14としては、具体的には、炭素繊維、鱗片状炭素粉末で代表される炭素系材料、金属繊維で代表される金属材料や金属酸化物、窒化ホウ素や金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、ポリパラフェニレンベンゾオキサゾール繊維等が挙げられる。これらの中では、炭素系材料は、比重が小さく、高分子マトリクス11中への分散性が良好なため好ましく、中でも熱伝導率が高い、黒鉛化炭素材料がより好ましい。また、窒化ホウ素、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維は絶縁性を有する観点から好ましく、中でも窒化ホウ素がより好しい。窒化ホウ素は、特に限定されないが、鱗片状材料として使用されることが好ましい。鱗片状の窒化ホウ素は、凝集されてもよいし、凝集されていなくてもよいが、一部又は全部が凝集されていないことが好ましい。
異方性充填材14は、特に限定されないが、異方性を有する方向(すなわち、長軸方向)に沿う熱伝導率が、一般的に30W/m・K以上であり、好ましくは100W/m・K以上である。異方性充填材14の熱伝導率は、その上限が特に限定されないが、例えば2000W/m・K以下である。熱伝導率の測定方法は、レーザーフラッシュ法である。
異方性充填材14は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、異方性充填材14として、少なくとも2つの互いに異なる平均粒径または平均繊維長を有する異方性充填材14を使用してもよい。大きさの異なる異方性充填材を使用すると、相対的に大きな異方性充填材の間に小さな異方性充填材が入り込むことにより、異方性充填材を高分子マトリクス(特にシリコーン樹脂)中に高密度に充填できるとともに、熱の伝導効率を高めるられると考えられる。
異方性充填材14として用いる炭素繊維は、黒鉛化炭素繊維が好ましい。また、鱗片状炭素粉末としては、鱗片状黒鉛粉末が好ましい。異方性充填材14は、これらの中でも、黒鉛化炭素繊維がより好ましい。
黒鉛化炭素繊維は、グラファイトの結晶面が繊維軸方向に連なっており、その繊維軸方向に高い熱伝導率を備える。そのため、その繊維軸方向を所定の方向に揃えることで、特定方向の熱伝導率を高めることができる。また、鱗片状黒鉛粉末は、グラファイトの結晶面が鱗片面の面内方向に連なっており、その面内方向に高い熱伝導率を備える。そのため、その鱗片面を所定の方向に揃えることで、特定方向の熱伝導率を高めることができる。黒鉛化炭素繊維および鱗片黒鉛粉末は、高い黒鉛化度をもつものが好ましい。
上記した黒鉛化炭素繊維などの黒鉛化炭素材料としては、以下の原料を黒鉛化したものを用いることができる。例えば、ナフタレン等の縮合多環炭化水素化合物、PAN(ポリアクリロニトリル)、ピッチ等の縮合複素環化合物等が挙げられるが、特に黒鉛化度の高い黒鉛化メソフェーズピッチやポリイミド、ポリベンザゾールを用いることが好ましい。例えばメソフェーズピッチを用いることにより、後述する紡糸工程において、ピッチがその異方性により繊維軸方向に配向され、その繊維軸方向へ優れた熱伝導性を有する黒鉛化炭素繊維を得ることができる。
黒鉛化炭素繊維におけるメソフェーズピッチの使用態様は、紡糸可能ならば特に限定されず、メソフェーズピッチを単独で用いてもよいし、他の原料と組み合わせて用いてもよい。ただし、メソフェーズピッチを単独で用いること、すなわち、メソフェーズピッチ含有量100%の黒鉛化炭素繊維が、高熱伝導化、紡糸性及び品質の安定性の面から最も好ましい。
黒鉛化炭素繊維は、紡糸、不融化及び炭化の各処理を順次行い、所定の粒径に粉砕又は切断した後に黒鉛化したものや、炭化後に粉砕又は切断した後に黒鉛化したものを用いることができる。黒鉛化前に粉砕又は切断する場合には、粉砕で新たに表面に露出した表面において黒鉛化処理時に縮重合反応、環化反応が進みやすくなるため、黒鉛化度を高めて、より一層熱伝導性を向上させた黒鉛化炭素繊維を得ることができる。一方、紡糸した炭素繊維を黒鉛化した後に粉砕する場合は、黒鉛化後の炭素繊維が剛いため粉砕し易く、短時間の粉砕で比較的繊維長分布の狭い炭素繊維粉末を得ることができる。
黒鉛化炭素繊維の平均繊維長は、好ましくは50~500μm、より好ましくは70~350μmである。また、黒鉛化炭素繊維のアスペクト比は上記したとおり2を超えており、好ましくは5以上である。黒鉛化炭素繊維の熱伝導率は、特に限定されないが、繊維軸方向における熱伝導率が、好ましくは400W/m・K以上、より好ましくは800W/m・K以上である。
異方性充填材14は、各熱伝導部13Aにおいて熱伝導性シートの厚さ方向zに配向している。異方性充填材14の厚さ方向zの配向をより具体的に説明すると、熱伝導性充填材14が繊維状充填材であるときは、熱伝導性シート100の厚さ方向zに対して繊維状充填材の長軸のなす角度が30°未満の異方性充填材の数の割合が、異方性充填材全量に対して、50%を超える状態にあることをいい、該割合は、好ましくは80%を超える。
また、異方性充填材14が鱗片状充填材であるときは、熱伝導性シート100の厚さ方向zに対して鱗片状状充填材の鱗片面のなす角度が30°未満の異方性充填材の数の割合が、異方性充填材全量に対して、50%を超える状態にあることをいい、該割合は、好ましくは80%を超えるものとすることができる。換言すれば、熱伝導性シートのシート面(x-y面)に対して、鱗片面の法線方向のなす角度が30°未満の異方性充填材の数の割合が、異方性充填材全量に対して、50%を超える状態にあることをいい、該割合は、好ましくは80%を超える。
なお、異方性充填材14の配向方向は、熱伝導率を高める観点からは厚さ方向zに対する長軸のなす角度または鱗片面のなす角度を0°以上5°未満とすることが好ましい。一方、熱伝導性シート100を圧縮したときの荷重を低くすることができるという点で、5°以上30°未満の範囲で傾斜させることもできる。なお、これら角度は、一定数(例えば、任意の異方性充填材14を50個)の異方性充填材14の配向角度の平均値である。
さらに異方性充填材14は、熱伝導性充填材14が繊維状または鱗片状のいずれでもないときは、熱伝導性シート100の厚さ方向zに対して異方性充填材14の長軸のなす角度が30°未満の異方性充填材の数の割合が、異方性充填材全量に対して、50%を超える状態にあることをいい、該割合は、好ましくは80%を超えるものとする。
また、異方性充填材14が鱗片状材料である場合、異方性充填材14は、さらに、鱗片面の法線方向が所定方向を向くことが好ましく、具体的には、複数の熱伝導層13Aの積層方向xに向くことが好ましい。このように法線方向が積層方向xに向くことで、熱伝導性シート100の厚さ方向zの熱伝導性が向上する。また、熱伝導性シート100の面方向に沿い、かつ積層方向xに直交する方向の熱伝導性も向上する。
なお、鱗片面の法線方向が積層方向xに向くとは、積層方向xに対して法線方向のなす角度が30°未満の炭素繊維粉末の数の割合が50%を超える状態にあることをいい、該割合は、好ましくは80%を超える。
なお、異方性充填材14は、鱗片状材料である場合には、後述する製造方法で述べるように、剪断力を付与しながらシート状に成形することで、鱗片面の法線方向が積層方向xに向くことになる。
また、異方性充填材は、導電性を有していてもよいし、絶縁性を有していてもよい。鱗片状充填材及び繊維状充填材が絶縁性を有すると、熱伝導性シートの厚さ方向の絶縁性を高めることができるため、電気機器において好適に使用することが可能になる。なお、本発明において熱伝導部が導電性を有するとは、例えば体積抵抗率が1×10Ω・cm以下の場合をいうものとする。また、絶縁性を有するとは例えば体積抵抗率が1×10Ω・cmを超える場合をいうものとする。
(非異方性充填材)
非異方性充填材15は、異方性充填材14とは別に熱伝導性シート100の熱伝導部13Aに含有される熱伝導性充填材であり、異方性充填材14とともに熱伝導性シート100に熱伝導性を付与する材料である。本実施形態では、非異方性充填材15が含有されることで、配向した異方性充填材14の間の隙間に充填材が介在し、熱伝導率の高い熱伝導性シート100が得られる。
非異方性充填材15は、形状に異方性を実質的に有しない充填材であり、後述する剪断力作用下など、異方性充填材14が所定の方向に配向する環境下においても、その所定の方向に配向しない充填材である。
非異方性充填材15は、そのアスペクト比が2以下であり、1.5以下であることがより好ましい。本実施形態では、このようにアスペクト比が低い非異方性充填材15が含有されることで、異方性充填材14の隙間に熱伝導性を有する充填材が適切に介在され、熱伝導率の高い熱伝導性シート100が得られる。また、アスペクト比を2以下とすることで、後述する液状組成物の粘度が上昇するのを防止して、高充填にすることが可能になる。
非異方性充填材15は、導電性を有してもよいが、絶縁性を有することが好ましく、熱伝導部(熱伝導層13A)においては、異方性充填材14及び非異方性充填材15の両方が絶縁性を有することが好ましい。このように、異方性充填材14及び非異方性充填材15の両方が絶縁性であると、熱伝導部(熱伝導層13A)の厚さ方向zの絶縁性をより一層高めやすくなる。
非異方性充填材15の具体例は、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属水酸化物、炭素材料、金属以外の酸化物、窒化物、炭化物などが挙げられる。また、非異方性充填材14の形状は、球状、不定形の粉末などが挙げられる。
非異方性充填材15において、金属としては、アルミニウム、銅、ニッケルなど、金属酸化物としては、アルミナに代表される酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛など、金属窒化物としては窒化アルミニウムなどを例示することができる。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムが挙げられる。さらに、炭素材料としては球状黒鉛などが挙げられる。金属以外の酸化物、窒化物、炭化物としては、石英、窒化ホウ素、炭化ケイ素などが挙げられる。
これらの中でも、酸化アルミニウムやアルミニウムは、熱伝導率が高く、球状のものが入手しやすい点で好ましく、水酸化アルミニウムは入手し易く熱伝導性シートの難燃性を高めることができる点で好ましい。
絶縁性を有する非異方性充填材15としては、上記した中でも、金属酸化物、金属窒化物、金属水酸化物、金属炭化物が挙げられるが、特に酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムが好ましい。
非異方性充填材15は、上記したものを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非異方性充填材15の平均粒径は0.1~50μmであることが好ましく、0.5~35μmであることがより好ましい。また、1~15μmであることが特に好ましい。平均粒径を50μm以下とすることで、異方性充填材14の配向を乱すなどの不具合が生じにくくなる。また、平均粒径を0.1μm以上とすることで、非異方性充填材15の比表面積が必要以上に大きくならず、多量に配合しても液状組成物の粘度は上昇しにくく、非異方性充填材15を高充填しやすくなる。
なお、非異方性充填材15の平均粒径は、電子顕微鏡等で観察して測定できる。より具体的には、前記異方性充填材における測定と同様に電子顕微鏡や光学顕微鏡、X線CT装置を用いて、任意の非異方性充填材50個の粒径を測定して、その平均値(相加平均値)を平均粒径とすることができる。
熱伝導性シート100の熱伝導部13Aにおける非異方性充填材15の含有量は、高分子マトリクス100質量部に対して、50~1500質量部の範囲であることが好ましく、200~800質量部の範囲であることがより好ましい。50質量部以上とすることで、異方性充填材14同士の隙間に介在する非異方性充填材15の量が一定量以上となり、熱伝導性が良好になる。一方、1500質量部以下とすることで、含有量に応じた熱伝導性を高める効果を得ることができ、また、非異方性充填材15により異方性充填材14による熱伝導を阻害したりすることもない。また、200~800質量部の範囲内にすることで、熱伝導性シート100の熱伝導性に優れ、熱伝導部を形成するための液状組成物の粘度も好適となる。
なお、非異方性充填材15の含有量は、体積%で表すと、熱伝導部全量に対して、10~75体積%が好ましく、30~60体積%がより好ましい。
<機能部>
機能部13Bは、高分子マトリクスと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、吸着性充填材、及び連続気孔のいずれかとの組み合わせからなるものと、金属を含むものからなるものとが挙げられる。機能部13Bが上記組み合わせからなるものの場合、導電性充填材を含む機能部は導電部となり、電磁波吸収性充填材を含む機能部は電磁波吸収部となり、難燃性充填材を含む機能部は難燃性部となり、吸着性充填材を含む機能部は吸着部となり、連続気孔を含む機能部は通気部となる。
また、機能部13Bが金属を含むものからなる場合は、例えば金属層が導電性を有していれば導電部となり、電磁波吸収性を有していれば電磁波吸収部となり、難燃性を有していれば難燃性部となり、吸着性を有していれば吸着部となり、連続気孔を有していれば通気部となる。以下、各機能部等について説明する。
(導電部)
機能部が導電部である場合、当該導電部は、高分子マトリクスと導電性充填材との組み合わせ、あるいは金属とすることが好ましい。
当該導電部が金属である場合としては、金属層(金属箔)から構成されるものが挙げられる。金属層に用いられる材質としては、アルミニウム、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、鉄およびこれらを主成分とする合金等が挙げられる。また、これらの材質でなる基材を金や銀、ニッケル等で鍍金されたものや、防塵層やプライマー等が積層されたものを用いることもできる。なかでも、価格や入手性の観点から銅またはアルミニウムを用いることが好ましい。
当該導電部が高分子マトリクスと導電性充填材との組み合わせである場合の高分子マトリクスとしては、熱伝導部で説明したものを用いることができる。
また、導電性充填材としては、アルミニウム、銀、銅、金、白金、パラジウム、ニッケル、鉄およびこれらを主成分とする合金、導電性カーボン等の充填材が挙げられる。また、金属や樹脂でなる粒子を、前記金属でコーティングされた充填材が挙げられる。充填材の形状は、球状、多面体、薄片、繊維状、不定形の粉末などが挙げられ、上記したものを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性充填材の平均粒径は1~200μmであることが好ましく、5~100μmであることがより好ましい。平均粒径を200μm以下とすれば、導電性充填材の沈殿を抑制しやすく、均一な導電部を形成しやすい。また、平均粒径を1μm以上とすることで、高分子マトリクスの前駆体へ導電性充填材を多量に充填したときの粘度上昇が少なく、導電部を形成しやすくすることができる。
導電性充填材が、繊維状である場合は、その長軸の長さが50~500μmであることが好ましい。長軸の長さが500μm以下とすることで、高分子マトリクスの前駆体へ導電性充填材を多量に充填したときの粘度上昇が少なく、導電部を形成しやすくすることができる。また、長軸の長さが50μm以上とすることで、抵抗値を低くすることができる。
なお、導電性充填材の平均粒径または長軸の長さは、電子顕微鏡等で観察して測定できる。より具体的には、前記異方性充填材における測定と同様に電子顕微鏡や光学顕微鏡、X線CT装置を用いて、任意の導電性充填材50個の粒径を測定して、その平均値(相加平均値)を平均粒径とすることができる。また繊維状の導電性充填材の長軸の長さについても同様に測定して、その平均値(相加平均値)を平均長さとすることができる。
機能部における導電性充填材の含有量は、25~80体積%が好ましく、30~75体積%がより好ましい。高分子マトリクスの含有量は、体積%で表すと、機能部に対して、20~75体積%が好ましく、25~70体積%がより好ましい。
導電部が、高分子マトリクスと導電性充填材との組み合わせ、及び金属の含むいずれの場合でも、熱伝導性と導電性のバランスの観点から、1の熱伝導層の幅WAに対する、当該熱伝導層に隣接する導電部となる導電層の幅WBの割合(WB/WA)は、0.001~0.5であることが好ましい。また、導電部が金属層である場合は、0.001~0.1であることがより好ましく、導電部が高分子マトリクスと導電性充填材との組み合わせである場合は、0.02~0.5であることがより好ましい。
上記の比率は、後述の積層させる熱伝導1次シートや機能部材の厚みで調整することができる。
また、導電層の幅WBは1~500μmであることが好ましい。また、導電部が金属層である場合は、1~20μmであることが特に好ましい。一方、導電部が高分子マトリクスと導電性充填材との組み合わせでなる場合は、5~200μmであることが特に好ましい。熱伝導層を挟んだ導電層同士の間隔は、300μm~5mm(ただし、前記WB/WAの範囲内となる間隔とする)とすることが好ましい。上記のような幅及び間隔であれば、厚み方向に十分な導電パスが得られる。
(電磁波吸収部)
機能部が電磁波吸収部である場合、当該電磁波吸収部は、高分子マトリクスと電磁波吸収性充填材との組み合わせ、あるいは金属とすることが好ましい。
当該導電部が金属である場合としては、金属線、金属層等が挙げられる。金属線は図2に示すような機能部がドット状の場合に用いられる。金属層としては金属箔から構成されるもの等が挙げられる。金属線及び金属層の金属としては、いずれも鉄、ニッケル及びコバルトから選ばれる少なくとも一種の元素を含む金属又は化合物が挙げられる。なかでも、金属線及び金属層の金属としてはカルボニル鉄が好ましい。
当該電磁波吸収部が高分子マトリクスと電磁波吸収性充填材との組み合わせである場合の高分子マトリクスとしては、熱伝導部で説明したものを用いることができる。
また、電磁波吸収性充填材としては、フェライト、センダスト、カルボニル鉄、電磁ステンレス等の磁性粉が挙げられる。
前記電磁波吸収性充填材の形状は、球状、多面体、薄片、不定形の粉末などが挙げられ、上記したものを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも後述の表皮部分の割合を多くして電磁波吸収特性を向上させるという観点から、薄片形状であることが好ましい。
電磁波吸収性充填材の平均粒径は1~200μmであることが好ましく、30~160μmであることがより好ましい。平均粒径を200μm以下とすることで、電磁波ノイズの減衰に関与する充填材の表皮部分(およそ数μm)に対して、電磁波ノイズの減衰に関与しない表皮以外の部分(コア部分)の占有割合が大きくなりすぎないようにして、電波吸収特性を効率的に向上させることができる。また、平均粒径を1μm以上とすれば、充填材を高充填しやすく電磁波吸収特性を高めることができる。
なお、電磁波吸収性充填材の平均粒径は、電子顕微鏡等で観察して測定できる。より具体的には、前記異方性充填材における測定と同様に電子顕微鏡や光学顕微鏡、X線CT装置を用いて、任意の電磁波吸収性充填材50個の粒径を測定して、その平均値(相加平均値)を平均粒径とすることができる。なお、粒径の測定に際して、アスペクト比を有する充填材では長軸の長さを測定するものとする。
機能部における電磁波吸収性充填材の含有量は機能部に対して25~90体積%が好ましく、40~85体積%がより好ましい。25体積%以上とすることで、電磁波吸収性が良好になる。一方、90体積%以下とすることで、柔軟性を損なわず、圧縮しやすい機能部とすることができる。また、高分子マトリクスの含有量は、体積%で表すと、機能部に対して、10~75体積%が好ましく、15~60体積%がより好ましい。
電磁波吸収部が、高分子マトリクスと電磁波吸収性充填材との組み合わせ、及び金属の含むいずれの場合でも、熱伝導性と電磁波吸収性のバランスの観点から、1の熱伝導層の幅WAに対する、当該熱伝導層に隣接する電磁波吸収部となる電磁波吸収層の幅WBの割合(WB/WA)は、0.05~0.5であることが好ましく、0.1~0.5であることがより好ましい。
上記の比率は、後述の積層させる熱伝導1次シートや機能部材の厚みで調整することができる。
また、電磁波吸収層の幅WBは1~500μmであることが好ましく、熱伝導層を挟んだ電磁波吸収層同士の間隔は、300μm~5mm(ただし、前記WB/WAの範囲内となる間隔とする)とすることが好ましい。上記のような幅及び間隔であれば、十分な電磁波吸収性が得られる。
(難燃性部)
機能部が難燃性部である場合、当該難燃性部は、高分子マトリクスと難燃性充填材との組み合わせであることが好ましい。高分子マトリクスとしては、熱伝導部で説明したものを用いることができる。
また、難燃性充填材としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及びハイドロタルサイト等の金属水酸化物、赤リン、トリフェニルホスフェート(リン酸トリフェニル)、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びリン酸マグネシウム等のリン酸金属塩、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム等の亜リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、ホウ素系化合物等を使用することもできる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、熱伝導性をも高められること、及び、シリコーン樹脂へ適用の観点からから、金属水酸化物が好ましく、水酸化アルミニウムがより好ましい。
難燃性充填材の平均粒子径は、1~200μmが好ましく、1~60μmがより好ましい。難燃性充填材の平均粒子径が上記範囲内であると、難燃性充填材の分散性が向上し、難燃性充填材を樹脂中に均一に分散させたり、樹脂に対する難燃性充填材の配合量を多くしたりすることができる。
なお、難燃剤の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定したメディアン径(D50)の値である。
機能部における難燃性充填材の含有量は、難燃剤の種類にもよるが、金属水酸化物では高分子マトリクス100質量部に対して、150~1200質量部の範囲であることが好ましく、300~800質量部の範囲であることがより好ましい。150質量部以上とすることで、難燃性が良好になる。一方、1200質量部以下とすることで、柔軟性を損なわず、圧縮しやすい機能部とすることができる。
なお、難燃性充填材の含有量は、体積%で表すと、機能部に対して、10~85体積%が好ましく、30~80体積%がより好ましい。高分子マトリクスの含有量は、体積%で表すと、機能部に対して、15~60体積%が好ましく、20~50体積%がより好ましい。
難燃性部は、熱伝導性と難燃性のバランスの観点から、1の熱伝導層の幅WAに対する、当該熱伝導層に隣接する難燃性となる難燃性層の幅WBの割合(WB/WA)は、0.05~0.5であることが好ましく、0.1~0.5であることがより好ましい。
上記の比率は、後述の積層させる熱伝導1次シートや機能部材の厚みで調整することができる。
また、難燃性層の幅WBは200~2500μmであることが好ましく、熱伝導層を挟んだ難燃性層同士の間隔は、300μm~5mmとすることが好ましい。上記のような幅及び間隔であれば、十分な難燃性が得られる。
なお、上記難燃層には、難燃層により発揮される難燃性が損ねわれない範囲で、熱伝導性充填材やその他の機能性充填材を添加することができる。
(吸着部)
機能部が吸着部である場合、当該吸着部は、高分子マトリクスと吸着性充填材との組み合わせであることが好ましい。高分子マトリクスとしては、熱伝導部で説明したものを用いることができる。
吸着部は、熱伝導部や当該吸着部の高分子マトリクスであるシリコーンの分解で発生する低分子シロキサンを吸着したり、シート内から生じるその他の不純物を吸着したりして、その発生を抑制する。また、外部環境で生じる成分を吸着することもできる。
吸着性充填材としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体の多孔性粉末等を挙げることができる。
吸着性充填材の平均粒径は1~500μmであることが好ましく、5~200μmであることがより好ましい。平均粒径を500μm以下とすることで、吸着に寄与する充填材の表面(表面積)が小さくなりすぎないようにして、所定の吸着力を発揮させやすくすることができる。また、平均粒径を1μm以上とすることで、充填材を高充填して、所定の吸着性を発揮させることができる。
なお、吸着性充填材の平均粒径は、電子顕微鏡等で観察して測定できる。より具体的には、前記異方性充填材における測定と同様に電子顕微鏡や光学顕微鏡、X線CT装置を用いて、任意の吸着性充填材50個の粒径を測定して、その平均値(相加平均値)を平均粒径とすることができる。
機能部における吸着性充填材の含有量は、機能部に対して、0.5~30体積%が好ましく、2~20体積%がより好ましい。0.5体積%部以上とすることで、吸着性が良好になる。一方、30体積%以下であれば、硬化前の組成物の粘度が高くなりすぎず、機能部を形成しやすくできる。なお、多孔質の吸着性充填材である場合、前記含有量は、粒子の外形に基づく充填材の体積と、充填材への浸透分を除く高分子マトリクスの体積により算出した値とする。また、上記体積%は電子顕微鏡や光学顕微鏡、X線CT装置を用いて、任意の断面における吸着性充填材の占める面積、または吸着性充填材の占める体積を測定し、算出することができる。
また、高分子マトリクスの含有量は、体積%で表すと、機能部に対して、70~99.5体積%が好ましく、80~98体積%がより好ましい。
吸着部は、熱伝導性と吸着性のバランスの観点から、1の熱伝導層の幅WAに対する、当該熱伝導層に隣接する吸着部となる吸着層の幅WBの割合(WB/WA)は、0.01~0.5であることが好ましく、0.05~0.5であることがより好ましい。
上記の比率は、後述の積層させる熱伝導1次シートや機能部材の厚みで調整することができる。
また、吸着層の幅WBは5~500μmであることが好ましく、熱伝導層を挟んだ吸着層同士の間隔は、300μm~5mmとすることが好ましい。上記のような幅及び間隔であれば、十分な吸着性が得られる。
(通気部)
機能部が通気部である場合、当該通気部には連続気孔が形成されていることが好ましい。連続気孔により、空冷、廃熱等の機能を熱伝導性シートに付与することができる。連続気孔を形成するには、連続気孔を有する多孔層(発泡シート)を用いることが好ましい。
発泡シートとしては、シリコーン発泡シート、ポリウレタン発泡シート、合成ゴム又は天然ゴム発泡シート、ポリオレフィン発泡シート、ポリスチレン発泡シート等が挙げられる。空冷、廃熱等の観点から、連続気泡率は40%以上であることが好ましく、50~90%であることがより好ましい。
なお、機能部が通気部である場合の高分子マトリクスは、発泡シートを構成する樹脂、すなわち、シリコーン、ポリウレタン、合成ゴム、天然ゴム、ポリオレフィン、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン、ポリスチレン系エラストマー等が相当する。これらの中でも、柔軟性を高める観点からシリコーン、ポリウレタン、合成ゴム、天然ゴム、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーが好ましく、熱伝導部との一体化や耐熱性、耐候性に優れるシリコーンが特にも好ましい。
連続気孔率(連通率)は、ASTM D-2856-87に記載の方法に準じて空気比較式比重計1000型(東京サイエンス社製)の装置を用いて測定した値で下式により求めることができる。
連続気泡率(%)=(見掛け体積-空気比較式比重計での測定体積)/見掛け体積×100
なお、見掛け体積は各種発泡シートの外形寸法から算出することができる。
連続気孔の孔径は、特に限定されるものではないが、具体的には、0.5~500μm程度が好ましい。本発明において、連続気孔の孔径は、SEMによる各種発泡シートの観察断面において、任意の50の連続気孔の孔径を測定しその平均から求めることができる。
通気部は、熱伝導性と通気性のバランスの観点から、1の熱伝導層の幅WAに対する、当該熱伝導層に隣接する通気部となる発泡シートの幅WBの割合(WB/WA)は、0.02~0.5であることが好ましく、0.06~0.2であることがより好ましい。なお、発泡シートは、熱伝導性シートとした際にその厚み方向に連続気孔が形成されるようにする。
また、通気部となる発泡シートの幅WBは100~1000μmであることが好ましく、熱伝導層を挟んだ電磁波吸収層同士の間隔は、300μm~5mmとすることが好ましい。上記のような幅及び間隔であれば、十分な通気性が得られる。
(添加成分)
以上のような熱伝導部及び機能部においては、本実施形態に係る熱伝導性シートとしての機能を損なわない範囲で種々の添加剤を配合させてもよい。添加剤としては、例えば、分散剤、カップリング剤、粘着剤、難燃剤、酸化防止剤、着色剤、沈降防止剤などから選択される少なくとも1種以上が挙げられる。また、上記したように硬化性シリコーン組成物を硬化させる場合には、添加剤として硬化を促進させる硬化触媒などが配合されてもよい。硬化触媒としては、白金系触媒が挙げられる。
(熱伝導性シートの特性)
熱伝導性シート100の熱伝導部における厚さ方向zの熱伝導率は、例えば5W/(m・K)以上であり、7W/(m・K)以上とすることが好ましく、9W/(m・K)以上がより好ましい。これら下限値以上とすることで、熱伝導性シート100の厚さ方向zにおける熱伝導性を優れたものにできる。上限は特にないが、熱伝導性シート100の厚さ方向zの熱伝導率は、例えば50W/(m・K)以下である。なお、熱伝導率はASTM D5470-06に準拠した方法で測定するものとする。
熱伝導性シート100の機能部が金属層でなる導電部である場合、当該導電部の厚さ方向zの体積抵抗率は、10-7~10-1Ω・cmであることが好ましく、10-7~10-4Ω・cmであることがより好ましい。また、熱伝導性シート100の機能部が高分子マトリクスと導電性充填材との組み合わせでなる導電部である場合、当該導電部の厚さ方向zの体積抵抗率は、10-4~10Ω・cmであることが好ましく、10-4~10-1Ω・cmであることがより好ましい。なお、体積抵抗率は実施例に記載の方法で測定することができる。また、熱伝導性シート100の体積抵抗率は上記導電部の体積抵抗率に(WA+WB)/WBを乗じた値であることが好ましい。
熱伝導性シート100の機能部が電磁波吸収部である場合、当該電磁波吸収部の厚さ方向zの電磁波特性としての透磁率(1MHz)は、2~200であることが好ましく、5~100であることがより好ましい。また、磁性損失(1GHz)は0.1~30であることが好ましく、0.5~20であることがより好ましい。なお、電磁波特性は実施例に記載の方法で測定することができる。
熱伝導性シート100の機能部が難燃性部である場合、熱伝導性シートの難燃性が、米国アンダー・ライターズ・ラボラトリーズ・インク(Under Writers Laboratories Inc)によって制定された燃焼試験(UL94)による評価でV-0を備えることが好ましい。
また、熱伝導性シート100の機能部が難燃性部である場合、前記熱伝導性シートの150℃から350℃までの吸熱量Qが500J/cm以上であることが好ましい。このようにすることで、熱伝導性シートそのものの発火を抑えるだけに留まらず、例えばリチウムイオンバッテリーのセルに異常が生じたとき、その発熱を抑制して発火を防ぐ効果を奏する。なお、上記吸熱量を得るためには、例えば水酸化アルミニウムを70体積%含まれる難燃性部を、前記割合(WB/WA)が0.22以上になるように積層すれば良い。
熱伝導性シート100の機能部が通気部である場合、JIS L1096に規定された通気性A法(フラジール法)により測定される通気度が0.001~5cm/cm・sであることが好ましい。
また、熱伝導性シート100のタイプE硬さは、例えば70以下である。熱伝導性シートは、タイプE硬さが70以下となることで、柔軟性が担保され、例えば、発熱体と放熱体などに対する追従性が良好となり、放熱性が良好となりやすい。柔軟性を向上させて、追従性などを優れたものとする観点から、熱伝導性シート100のタイプE硬さは、好ましくは40以下である。より好ましくはタイプOO硬さで50以下である。
熱伝導性シート100の硬さの下限は、特に限定されないが、例えばタイプOO硬さで15以上、好ましくは25以上である。また、タイプE硬さで20以上であることが特に好ましい。熱伝導性シートの硬さが柔らかいほど、圧縮したときに発熱体や放熱体またはそれらが配置される基板等への応力を小さくできるため好ましいが、硬さをタイプOO硬さで15以上とすることで、熱伝導性シート100が所定の取扱性を備えるものとすることができる。また、E硬さで20以上とすれば、取扱性と柔らかさのバランスに優れるものとすることができる。
なお、上記タイプE硬さおよびタイプOO硬さはASTM D2240-05に規定された方法に従って、所定のデュロメータを用いて測定される値である。
本実施形態では、熱伝導性シート100の両面100A、100Bにおいて、異方性充填材14が露出する。また、露出した異方性充填材14は、両面100A,100Bのそれぞれより突出していてもよい。熱伝導性シート100は、両面100A,100Bに異方性充填材14が露出することで、両面100A、100Bが非粘着面となる。なお、熱伝導性シート100は、後述する刃物による切断により、両面100A,100Bが切断面となるので、両面100A,100Bにおいて異方性充填材14が露出する。
ただし、両面100A,100Bのいずれか一方又は両方は、異方性充填材14が露出せずに粘着面となってもよい。
熱伝導性シート100の厚さは、熱伝導性シート100が搭載される電子機器の形状や用途に応じて、適宜変更される。熱伝導性シート100の厚さは、特に限定されないが、例えば0.1~5mmの範囲で使用されるとよい。
また、各熱伝導層13Aの厚さは、特に限定されないが、0.3~5.0mmが好ましく、0.5~3.0mmがより好ましい。なお、熱伝導層13Aの厚さは、単層13の積層方向xに沿う単位層13の長さである。各機能層13Bの厚さは、0.001~2.5mmが好ましい。また、各機能層が金属層である場合は、0.001~0.02mmであることがより好ましい。一方、各機能層が高分子マトリクスと充填材との組み合わせでなる場合は、0.006~2500mmであることがより好ましい。
熱伝導性シート100は、電子機器内部などにおいて使用される。具体的には、熱伝導性シート100は、発熱体と放熱体との間に介在させられ、発熱体で発した熱を熱伝導して放熱体に移動させ、放熱体から放熱させる。ここで、発熱体としては、電子機器内部で使用されるCPU、パワーアンプ、電源などの各種の電子部品が挙げられる。また、放熱体は、ヒートシンク、ヒートポンプ、電子機器の金属筐体などが挙げられる。熱伝導性シート100は、両面100A、100Bそれぞれが、発熱体及び放熱体それぞれに密着し、かつ圧縮して使用される。
特に、機能部が導電部である熱伝導性シートは、金属製の筐体やヒートシンクとグラウンド電極を含む発熱体の間に配置することが好ましく、そのようにするくことで静電気の発生や孤立金属体によるノイズの抑制に効果的となる。また、機能部が電磁波吸収部である熱伝導性シートは、発熱だけでなくノイズとなる電磁波を発生する素子等使用されることが好ましい。
機能部が難燃性部である熱伝導性シートは、例えばバッテリーなど発火対策が望まれる発熱体に貼付して使用されることが好ましく、機能部が吸着部である熱伝導性シートは、熱伝導性シートから揮散されるガスまたは雰囲気中のガスが問題となる光学部品等に使用されることが好ましく、機能部が通気部である熱伝導性シートは、ヒートシンクによる放熱と空冷を併用する用途で使用されることが好ましい。
<熱伝導性シートの製造方法>
次に、上記した熱伝導性シートの製造方法の一例について説明する。
本製造方法は、それぞれが高分子マトリクス及び熱伝導性充填材を含む、複数の熱伝導性1次シートを用意する工程と、それぞれが高分子マトリクスと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、吸着性充填材、及び連続気孔のいずれかとの組み合わせ、あるいは、金属を含む複数の機能部材を用意する工程と、前記複数の1次シートと前記複数の機能部材と積層することで、接着させて積層ブロックを形成する工程と、前記積層ブロックを積層方向に沿ってシート状になるように切断して熱伝導性シートを得る工程と、備える。以下、各工程について詳細に説明する。
(熱伝導性1次シート準備工程)
熱伝導性1次シート準備工程では、まず、液状組成物を、剪断力を付与しながらシート状に成形し、熱伝導性1次シートを得る。液状組成物は、高分子マトリクスの前駆体である樹脂(例えばシリコーン樹脂であれば、硬化性シリコーン組成物)と、異方性充填材等を含む。液状組成物には、さらに非異方性充填材が適宜配合されてもよく、さらに添加成分が配合されてもよい。液状組成物は、通常スラリーとなる。液状組成物を構成する各成分の混合は、例えば公知のニーダー、混練ロール、ミキサーなどを使用するとよい。
ここで、液状組成物の粘度は100~10000Pa・sであることが好ましい。粘度を50Pa・s以上とすると、配向処理工程において剪断力を付与して充填材を流動させながらシート状とすることにより、異方性充填材の長軸方向Yを流動方向(シート面方向における一方向)にに沿う方向に配向させやすくなる。また、10000Pa・s以下とすることで塗工性が良好となる。これら観点から、液状組成物の粘度は、300~3000Pa・sであることがより好ましく、400~2000Pa・sであることがさらに好ましい。
なお、粘度とは、回転粘度計(ブルックフィールド粘度計DV-E、スピンドルSC4-14)を用いて、回転速度1rpmまたは10rpmで測定された粘度であり、測定温度は液状組成物の塗工時の温度である。より詳しくは、回転速度10rpmで測定したときに粘度が300Pa・s以下の場合には、その測定値を採用することができ、回転速度10rpmで測定したときに粘度が300Pa・sを超える場合は、回転速度1rpmにおける測定値を採用することができる。また、塗工時の温度が不明である場合には25℃における測定値を採用することができる。
液状組成物の粘度は、上記した熱伝導性充填材の種類、量などにより調整できる。また、樹脂を構成する各成分によっても適宜調整できる。例えば、液状組成物が硬化性シリコーン組成物である場合には、硬化性シリコーン組成物を構成する各成分(アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンなど)の分子量などを適宜調整することで、上記粘度としてもよい。また、液状組成物には、上記粘度に調製するために必要に応じて有機溶剤が配合されてもよいが、有機溶剤は配合されないほうが好ましい。
液状組成物をシート状に成形する際には、例えば、バーコータ又はドクターブレード等の塗布用アプリケータ、もしくは、押出成形やノズルからの吐出等により、基材フィルム上に塗工するとよく、このような方法により、液状組成物の塗工方向(流動方向)に沿った剪断力を与えることができる。このように剪断力を付与しながらシート状に成形することで、異方性充填材の長軸方向(繊維軸方向)が流動方向(シート面方向における一方向)に沿うように配向する。
次に、シート状に成形された液状組成物を必要に応じて硬化、乾燥などして、熱伝導性1次シートを得る。熱伝導性1次シートでは、上記のとおり、異方性充填材の長軸が面方向の一方向配向されている。
また、液状組成物の硬化は、液状組成物に例えば硬化性シリコーン組成物が含まれる場合には、硬化性シリコーン組成物を硬化することで行う。液状組成物の硬化は、加熱により行うとよいが、例えば、50~150℃程度の温度で行うとよい。また、加熱時間は、例えば10分~3時間程度である。なお、硬化性の液状組成物に溶剤が配合される場合には、溶剤は硬化時の加熱により揮発させるとよい。
硬化により得られた熱伝導性1次シートの厚さは、0.1~5.0mmの範囲であることが好ましい。熱伝導性1次シートの厚さを上記範囲内とすることで、上記のとおり、異方性充填材を剪断力により面方向に沿って適切に配向できるようになる。また、熱伝導性1次シートの厚さを0.1mm以上とすることで、基材フィルムから容易に剥離することができる。さらに、熱伝導性1次シートの厚さを5.0mm以下とすることで、異方性充填材の配向性の高い熱伝導性1次シートを得ることができる。これら観点から熱伝導性1次シートの厚さは、より好ましくは0.3~3.0mm、さらに好ましくは0.5~2.5mmである。
(機能部材準備工程)
機能部材準備工程において、機能部材が高分子マトリクスと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、及び吸着性充填材のいずれかとの組み合わせである場合は下記のとおりとする。まず、液状組成物を、剪断力を付与しながら、例えばシート状に成形し機能部材を得る。液状組成物は、高分子マトリクスの前駆体である樹脂(例えばシリコーン樹脂であれば、硬化性シリコーン組成物)と、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、及び吸着性充填材のいずれか等を含む。液状組成物には、さらに非異方性充填材が適宜配合されてもよく、さらに添加成分が配合されてもよい。液状組成物は、通常スラリーとなる。液状組成物を構成する各成分の混合は、例えば公知のニーダー、混練ロール、ミキサーなどを使用するとよい。
ここで、液状組成物の粘度は取り扱い性の観点から、10~10000Pa・sであることが好ましい。
液状組成物の粘度は、上記した各種充填材の種類、量などにより調整できる。また、樹脂を構成する各成分によっても適宜調整できる。例えば、液状組成物が硬化性シリコーン組成物である場合には、硬化性シリコーン組成物を構成する各成分(アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンなど)の分子量などを適宜調整することで、上記粘度としてもよい。また、液状組成物には、上記粘度に調製するために必要に応じて有機溶剤が配合されてもよいが、有機溶剤は配合されないほうが好ましい。
液状組成物をシート状に成形する際には、例えば、バーコータ又はドクターブレード等の塗布用アプリケータ、もしくは、押出成形やノズルからの吐出、スクリーン印刷やその他の印刷法、延伸ロール等により、基材フィルム上に塗工もしくは形成するとよい。これらの中でも、0.3mm以下の薄膜の機能層を形成する場合には、10~150Pa・s程度の比較的低粘度の液状組成物を用いて、バーコータ又はドクターブレード等の塗布用アプリケータ、もしくはスクリーン印刷やその他の印刷法により基材フィルム状に塗工することが好ましい。一方、0.3mmを超える厚膜の機能層を形成する場合には、50Pa・s以上の液状組成物を用いて、押出成形やノズルからの吐出、又は延伸ロールにより基材フィルム上に機能層を形成することが好ましい。
次に、シート状に成形された液状組成物を必要に応じて硬化、乾燥などして、機能部材を得る。
また、液状組成物の硬化は、液状組成物に例えば硬化性シリコーン組成物が含まれる場合には、硬化性シリコーン組成物を硬化することで行う。液状組成物の硬化は、加熱により行うとよいが、例えば、50~150℃程度の温度で行うとよい。また、加熱時間は、例えば10分~3時間程度である。なお、硬化性の液状組成物に溶剤が配合される場合には、溶剤は硬化時の加熱により揮発させるとよい。
硬化により得られた機能部材のシート厚さは、取り扱い性の観点から、0.006~2.5mmの範囲であることが好ましい。
また、機能部材が高分子マトリクスと、連続気孔との組み合わせである場合は、既述の連続気孔を有する多孔層(多孔シート)を準備することが好ましい。多孔シートの厚みは、100~1000mmの範囲であることが好ましい。より好ましくは200~600mmである。
機能部材が高分子マトリクスと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、吸着性充填材、及び連続気孔のいずれかとの組み合わせの場合については、その形状がシート状の場合を説明したが、図2に示すようなドット状の機能部を形成するために線状であってもよい。線状の場合の径は、0.006~2.5mmの範囲であることが好ましい。
機能部材が金属を含むものである場合は、既述の金属線、金属層となる金属箔を準備する。金属線の場合の径は、0.001~0.02mmの範囲であることが好ましい。また、金属箔の厚みは、0.001~0.02mmの範囲であることが好ましい。
(積層工程)
次に、準備工程で得られた複数の熱伝導性1次シート17と複数の複数の機能部材20又は21とを、異方性充填材の配向方向が同じになるように積層する(図6及び図7参照)。すなわち、上記した異方性充填材の長軸方向が沿う一方向が、複数の熱伝導性1次シートの間で互いに一致するように積層される。そして、積層された複数の熱伝導性1次シート17と複数の機能部材を交互に互いに接着させ一体化させて積層ブロック18を得る。例えば、積層された各シートは、樹脂が熱可塑性樹脂である場合、プレス成形により、各シート中の高分子マトリクスを溶融固着させて積層ブロック18を形成するとよい。また、各シート間に公知の接着剤などを配置させてこれらを接着させてもよい。
さらに、高分子マトリクスの前駆体が、硬化性である場合には、半硬化された複数のシートを積層して、積層後に各シートを全硬化して、その全硬化により互いに接着させ一体化させて積層ブロック18としてもよい。
さらに、高分子マトリクスがシリコーン樹脂などである場合には、熱伝導性1次シートの少なくとも一方の面に真空紫外線を照射することが好ましい。すなわち、得られた熱伝導性1次シートの少なくとも一方の面に対してVUVを照射して、少なくとも一方の面を活性化させ、その面により、熱伝導性1次シート17、17の間を接着させてもよい。なお、VUVとは、真空紫外線であり、波長が10~200nmの紫外線を意味する。VUVの光源としては、エキシマXeランプ、エキシマArFランプなどが挙げられる。
熱伝導性1次シートは、上記したように例えばシリコーン樹脂(オルガノポリシロキサン)を含む場合、VUVを照射すると、VUVが照射された面は活性化される。熱伝導性1次シートは、後述するように、その活性化された一方の面が重ね合わせ面となるように、機能部材に接触するようにと重ね合わせることで、熱伝導性1次シートと機能部材とが強固に接着されることになる。なお、その原理は定かではないが、シリコーン樹脂は、VUVが照射されると、オルガノポリシロキサンのC-Si結合が、Si-OHなどのSi-O結合に変化し、そのSi-O結合により、熱伝導性1次シートとと機能部材とが強固に接着されると推定される。すなわち、熱伝導性1次シートと機能部材とは、オルガノポリシロキサンの分子間で結合が生じることで接着される。また、VUV照射により接着することで、その積層方向に垂直な方向における柔軟性が大きく損なわれない。
VUV照射条件は、熱伝導性1次シートの表面を活性化できる条件であれば特に限定されないが、例えば積算光量が5~100mJ/cm、好ましくは積算光量が10~50mJ/cmとなるようにVUVを照射するとよい。
ここで、各熱伝導性1次シート17は、機能部材に接触する重ね合わせ面のいずれか一方の面が、予めVUV照射されていればよい。一方の面がVUV照射されていることで、その活性化された一方の面により熱伝導性1次シートと機能部材が接着される。また、接着性をより向上させる観点から、重ね合わせ面の両方がVUV照射されていることが好ましい。
すなわち、図6(A)に示すように、熱伝導性1次シート17は、VUV照射された一方の面17Aを、機能部材20又は21に接触するように重ね合わせるとよいが、この際、一方の面17Aに接触する、機能部材20の重ね合わせ部もVUV照射されることが好ましい。
VUV照射により、熱伝導性1次シートと機能部材は、上記のように重ね合わせるだけで接着可能であるが、より強固に接着させるために、熱伝導性1次シートと機能部材の積層方向に加圧してもよい。加圧は、熱伝導性1次シートと機能部材が大きく変形しない程度の圧力で行うとよく、例えばローラやプレスを用いて加圧することができる。一例として、ローラを用いるときは、圧力を0.3~3kgf/50mmとすることが好ましい。
積層された熱伝導性1次シートと機能部材は、例えば加圧するときなどに適宜加熱されてもよいが、VUV照射により活性化された熱伝導性1次シートと機能部材は、加熱しなくても接着できるので、積層された熱伝導性1次シートと機能部材は、加熱しないことが好ましい。したがって、プレス時の温度は、例えば0~50℃、好ましくは10~40℃程度である。
なお、機能部材が線状の場合も、機能部材がシート状である場合と同様に積層し接着させて積層ブロックを形成することができる。すなわち、図7(A)に示すように熱伝導性1次シートと熱伝導性1次シートとの間に所定の間隔で機能部材21を配置して積層し接着させることができる。
(切断工程)
次に、図6(B)、図7(B)に示すように、刃物19によって、積層ブロック18を熱伝導性1次シートと機能部材の積層方向に沿って切断し、図1、図2に示す熱伝導性シート100を得る。この際、積層ブロック18は、異方性充填材の長軸方向が沿う一方向に直交する方向に切断するとよい。刃物19としては、例えば、カミソリ刃やカッターナイフ等の両刃や片刃、丸刃、ワイヤー刃、鋸刃等を用いることができる。積層ブロック18は、刃物19を用いて、例えば、押切、剪断、回転、摺動等の方法により切断される。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の熱伝導性シートについて、図4を用いて説明する。
第1の実施形態において熱伝導性シート100の熱伝導部13Aは、熱伝導性充填材として、異方性充填材14に加えて、非異方性充填材15を含有していたが、本実施形態の熱伝導性シート200は、図4に示すように、異方性充填材14を含有せずに非異方性充填材15を含有する。すなわち、第2の実施形態の熱伝導性シートの各熱伝導部23Aには、異方性充填材14が含有されず、非異方性充填材15が含有されている。
第2の実施形態の熱伝導性シート200のその他の構成は、異方性充填材が含有されない点以外は、上記した第1の実施形態の熱伝導性シート100と同様であるので、その説明は省略する。
本実施形態においても、熱伝導部による高い熱伝導性が発揮され、かつ、機能部による導電性、電磁波吸収性、難燃性、吸着性、又は通気性といった他の機能をも良好に発揮される。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態の熱伝導性シートについて、図5を用いて説明する。
第1の実施形態において熱伝導性シート100の熱伝導部は、熱伝導性充填材として、異方性充填材14に加えて、非異方性充填材15を含有していたが、本実施形態の熱伝導性シート300は、図5に示すように、非異方性充填材を含有しない。すなわち、第2の実施形態の熱伝導性シートの各熱伝導部33Aには、シート30の厚さ方向に配向される異方性充填材14が含有されるが、非異方性充填材15は含有されない。
本実施形態は異方性充填材を含有しないため、非異方性充填材15の含有量は、体積%で表すと、熱伝導部全量に対して、30~85体積%が好ましく、40~80体積%がより好ましい。
第3の実施形態の熱伝導性シート300のその他の構成は、非異方性充填材が含有されない点以外は、上記した第1の実施形態の熱伝導性シート100と同様であるので、その説明は省略する。
本実施形態においても、熱伝導部による高い熱伝導性が発揮され、かつ、機能部による導電性、電磁波吸収性、難燃性、吸着性、又は通気性といった他の機能をも良好に発揮される。
なお、本発明の熱伝導性シートは、上記第1~第3の実施形態の構成に限定されずに、様々な態様を有することが可能である。
以上の説明では、熱伝導性シートにおける各熱伝導部及び機能部は、いずれも実質的に同一の組成を有する態様について説明したが、各層の組成は互いに異なっていてもよい。
例えば、以上の説明では、熱伝導性シートにおける熱伝導部は、いずれも、熱伝導性充填材を含有していたが、少なくとも一つの熱伝導部が熱伝導性充填材を含有し、その他の層が熱伝導性充填材を含有していなくてもよい。そのような場合、一部の熱伝導部が熱伝導性充填材を含有していない点を除いて、熱伝導性充填材、シリコーン樹脂、熱伝導性シートなどの各種構成は、上記第1~第3の実施形態で説明したとおりであるので、その説明は省略する。また、製造方法では、複数の一次シートのうち、少なくとも1つの1次シートが熱伝導性充填材を含み、他の一次シートは熱伝導性充填材を含有しなくてもよい。
また、例えば、第1の実施形態では、いずれの熱伝導部も、異方性充填材と、非異方性充填材の両方を含有しているが、一部の熱伝導部が異方性充填材と非異方性充填材の両方を含有し、一部の熱伝導部が異方性充填材及び非異方性充填材のいずれ一方を含有してもよい。
また、例えば、一部の熱伝導部が異方性充填材のみを有し、一部の熱伝導部が非異方性充填材15のみを有してもよい。
また、各熱伝導部は、熱伝導性充填材の含有量が互いに同一である必要はなく、一部の熱伝導部における熱伝導性充填材の含有量を、他の熱伝導部における熱伝導性充填材の含有量と異ならせてもよい。また、一部の熱伝導部における熱伝導性充填材の種類を、他の熱伝導部における熱伝導性充填材の種類と異ならせてもよい。
以上のように、各熱伝導部において、熱伝導性充填材の含有量の有無、含有量、種類などを適宜調整することで、一部の熱伝導部の熱伝導率が、他の熱伝導部の熱伝導率より高くなるようにしてもよい。このような場合、熱伝導率が高い熱伝導部と、熱伝導率が低い熱伝導部とは、交互に並べてもよいが、交互に並べる必要もない。
勿論、各機能部の構成も、各層ごとに変更してもよい。すなわち、導電性充填材、電磁波吸収性充填材、難燃性充填材、吸着性充填材の各種類や量を適宜異ならせてもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
本実施例では、以下の方法により熱伝導性シートの物性を評価した。
[熱伝導率]
熱伝導性シートの熱伝導率はASTM D5470-06に準拠した方法で測定した。
[透磁率]
各シートの透磁率は、当該シートを外径20mm、内径5mmのリング状に打ち抜いて作製したサンプルについて、アジレントテクノロジー社製のRFインピーダンス/マテリアルアナライザ「HP 4291B」を用いて測定した。
[磁性損失]
各シートの磁性損失を、ベクトルネットワークアナライザ「VNA MasterTM MS2026A」(アンリツ株式会社製)および測定プログラム「Sパラメータ方式同軸管反射法測定プログラム(測定周波数帯域:500MHz~3GHz)、同軸管タイプ測定キット:外径φ7mm、内径φ3mm」(キーコム株式会社製)を用いて同軸管法によって測定した。
[絶縁破壊電圧]
絶縁性の評価の指標となる絶縁破壊電圧は、耐電圧試験器(TOS8650、菊水電子工業株式会社製)を用いて、JIS K6249に基づく方法を部分的に変更して測定した。具体的には、試外形がφ20mmの円柱形状で真鍮製の2つの電極の間に、厚さが2mmである各シートの試験片を挟み込んだ後に圧縮率が10%(1.8mmとなる厚さ)になるよう圧縮した状態で配置した。続いて、電極間に電圧を印加し、徐々に電圧を上げていく。このとき、電流が急激に増加し、試験片の一部が溶けて孔が空いたり炭化したりして通電するようになるが、この際の電圧を絶縁破壊電圧として記録した。なお、試験片はそれぞれ5つ準備して5回試験を行い、その相加平均値とした。
[体積抵抗率]
体積抵抗率は、各シートを10%圧縮した状態の抵抗値を次に示す試験機で測定し、測定面積と試験片の厚さから算出した。試験に用いる試験機は、定等電流源(エーディーシー社製「6146」)と電圧ロガー(エー・アンド・デイ社製「Remote Scanner Jr. DC3100」)が、φ10mmの一対の電極(金メッキされたアルミニウム電極)に接続されている。各電極にはそれぞれ定電流源と電圧ロガーが電気的に接続されており、電極で試験片(各シート)を圧縮した際に、電圧ロガーによりシートの抵抗を測定するための回路が形成される。このとき、上記回路の電流は定電流源により50mAに固定しており、電圧ロガーで読み取られた電圧(mV)の値を固定電流(50mA)の値で除することにより、シートの抵抗値R(Ω)を算出した。さらに、試験片の断面積Sと厚さLに基づき、体積抵抗率ρを以下の式から算出した。
ρ=R×S/L
なお、このとき面積Sは0.79cm、厚さLは0.18cmである。
[E硬度]
タイプE硬さ(E硬度)はASTM D2240-05に規定された方法に従って、所定のデュロメータを用いて測定された値とした。より具体的には、厚さが2mmの各シートを5枚重ねることで、厚さ10mm、外形が20mm×20mmの試験片を準備した。そして、前記試験片について異なる5箇所の硬さを測定し、その相加平均値を各シートの硬さとした。
[実施例1]
硬化性シリコーン組成物として、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(主剤)とハイドロジェンオルガノポリシロキサン(硬化剤)(合計で100質量部、体積充填率37体積%)と、異方性充填材として黒鉛化炭素繊維(平均繊維長200μm、アスペクト比20、熱伝導率400W/m・K)120質量部(体積充填率20体積%)と、非異方性充填材として酸化アルミニウム粉末(球状、平均粒径3μm、アスペクト比1.0)450質量部(体積充填率43体積%)を混合して、スラリー状の液状組成物を得た。液状組成物の25℃における粘度は300Pa・s(回転速度10rpm)であった。
上記液状組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材フィルム上に、25℃で塗布用アプリケータとしてバーコータを用いて一方向に塗布した。異方性充填材は、塗布方向に長軸が向き、塗布面の法線方向に短軸が向いていた。次に、塗布した液状組成物を、120℃で0.5時間加熱することで、液状組成物を硬化させることで、厚さ2mmの熱伝導性1次シート(12mm×12mm)を5枚得た。
硬化性シリコーン組成物として、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(主剤)とハイドロジェンオルガノポリシロキサン(硬化剤)(合計で100質量部、体積充填率38体積%)と、非異方性充填材として水酸化アルミニウム粉末(不定形、平均粒径10μm)70質量部(体積充填率11体積%)と、電磁波吸収性充填材として磁性粉末(ソフトフェライト、不定形、平均粒径180μm)700質量部(体積充填率31体積%)を混合して、スラリー状の液状組成物を得た。液状組成物の25℃における粘度は100Pa・s(回転速度10rpm)であった。
上記液状組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材フィルム上に、25℃で塗布用アプリケータとしてバーコータを用いて一方向に塗布した。次に、塗布した液状組成物を、120℃で0.5時間加熱することで、液状組成物を硬化させることで、厚さ0.5mmのシート状の機能部材(12mm×12mm)を4枚得た。
得られた熱伝導性1次シートのうち、2枚についてはそれぞれの片面に対して、3枚についてはそれぞれの両面に対して、VUV照射装置(商品名エキシマMINI、浜松ホトニクス社製)を用いて、室温(25℃)、大気中で熱伝導性1次シートのそれぞれの面に積算光量20mJ/cmの条件でVUVを照射した。
次に、片面にVUVを照射した熱伝導性1次シートのVUVを照射した面上に、機能部材、両面にVUVを照射した熱伝導性1次シート、機能部材、両面にVUVを照射した熱伝導性1次シート、機能部材、両面にVUVを照射した熱伝導性1次シート、機能部材、片面にVUVを照射した熱伝導性1次シートのVUVを照射した面、をこの順に接触させるようにして積層し接着させて、25℃の環境下、ローラにより1.6kgf/50mmの圧力で加圧して、積層ブロックを得た。得られた積層ブロックをカッター刃により、積層方向に平行で、かつ異方性充填材の配向方向に垂直にスライスして、厚さ2mmで12mm×12mmの熱伝導性シートを得た。
一方の面に露出した直線状の熱伝導部は5本あり、1本の幅は2mmであった。一方の面に露出した直線状の機能部である電波吸収部は4本あり、1本の幅は0.5mmであった。
上記熱伝導性シート(実施例1)について、熱伝導率と電磁波特性としての透磁率及び磁性損失とを測定した。結果を表1に示す。
また、機能部材を熱伝導性1次シートとした以外は実施例1と同様にして熱伝導性1次シートだけを積層したシートを作製した(比較例1)。さらに、熱伝導性1次シートを機能部材とした以外は実施例1と同様にして機能部材だけを積層したシートを作製した(比較例2)これらについても、熱伝導率と電磁波特性としての透磁率及び磁性損失とを測定した。結果を表1に示す。
実施例1の熱伝導性シートは、熱伝導率が14W/m・Kであり、熱伝導部のみで構成されている比較例1と比較しても僅かな低下であった。また実施例1は、透磁率および磁性損失といった電磁波吸収特性も良好であった。
(実施例2)
硬化性シリコーン組成物として、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(主剤)とハイドロジェンオルガノポリシロキサン(硬化剤)(合計で100質量部、体積充填率34体積%)と、非異方性充填材として酸化アルミニウム粉末(球状、平均粒径70μm、アスペクト比1.0)50質量部(体積充填率13体積%)、酸化アルミニウム粉末(球状、平均粒径3μm、アスペクト比1.0)50質量部(体積充填率13体積%)50質量部、水酸化アルミニウム粉末(不定形、平均粒径70μm)200質量部(体積充填率29体積%)、及び水酸化アルミニウム粉末(不定形、平均粒径10μm)200質量部(体積充填率:29体積%)を混合して、スラリー状の液状組成物を得た。液状組成物の25℃における粘度は80Pa・s(回転速度10rpm)であった。
上記液状組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材フィルム上に、25℃で塗布用アプリケータとしてバーコータを用いて一方向に塗布した。異方性充填材は、塗布方向に長軸が向き、塗布面の法線方向に短軸が向いていた。次に、塗布した液状組成物を、120℃で0.5時間加熱することで、液状組成物を硬化させることで、厚さ2mmの熱伝導性1次シート(12mm×12mm)を5枚得た。
機能部材として、アルミニウム箔(厚さ0.006mm)を用意した。
得られた熱伝導性1次シートのうち、2枚についてはそれぞれの片面に対して、3枚についてはそれぞれの両面に対して、VUV照射装置(商品名エキシマMINI、浜松ホトニクス社製)を用いて、室温(25℃)、大気中で熱伝導性1次シートのそれぞれの面に積算光量20mJ/cmの条件でVUVを照射した。
次に、片面にVUVを照射した熱伝導性1次シートのVUVを照射した面上に、機能部材、両面にVUVを照射した熱伝導性1次シート、機能部材、両面にVUVを照射した熱伝導性1次シート、機能部材、両面にVUVを照射した熱伝導性1次シート、機能部材、片面にVUVを照射した熱伝導性1次シートのVUVを照射した面、をこの順に接触させるようにして積層し接着させて、25℃の環境下、ローラにより1.6kgf/50mmの圧力で加圧して、積層ブロックを得た。得られた積層ブロックをカッター刃により、積層方向に平行に垂直にスライスして、厚さ2mmで12mm×12mmの熱伝導性シートを得た。
一方の面に露出した直線状の熱伝導部は5本あり、1本の幅は2mmであった。一方の面に露出した直線状の機能部である導電部は4本あり、1本の幅は0.006mmであった。
上記熱伝導性シート(実施例2)について、熱伝導率と絶縁破壊電圧、体積抵抗率、E硬度とを測定した。結果を表2に示す。
また、機能部材を熱伝導性1次シートとした以外は実施例2と同様にして熱伝導性1次シートだけを積層したシートを作製した(比較例3)。さらに、熱伝導性1次シートを機能部材とした以外は実施例2と同様にして機能部材だけを積層したシートを作製した(比較例4)これらについても、熱伝導率と絶縁破壊電圧、体積抵抗率、E硬度とを測定した。結果を表2に示す。
実施例2と比較例3、4との対比より、実施例2の熱伝導性シートは、比較例3と同等の硬さおよび熱伝導率でありながら、導電性を備えるものであることがわかった。
10 熱伝導性シート
13A 熱伝導部、熱伝導層
13B 機能部、機能層

Claims (12)

  1. 高分子マトリクス及び熱伝導性充填材を含む複数の熱伝導部と、
    高分子マトリクスと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材吸着性充填材、及び連続気孔のいずれかとの組み合わせである複数の機能部とを備える熱伝導性シートであって、
    前記熱伝導性シートの表面及び裏面のそれぞれにおいて前記熱伝導部と前記機能部とが面一であり、
    隣接する層同士が前記熱伝導部である熱伝導層と前記機能部である機能層でこれらが面方向に交互に積層されており、
    1の前記熱伝導層の幅WAに対する、当該熱伝導層に隣接する前記機能層の幅WBの割合(WB/WA)が、0.001~0.5である熱伝導性シート。
  2. 前記熱伝導部が、前記熱伝導性シートの表面及び裏面のそれぞれにおいて所定の方向に線状に延びる熱伝導層であり、
    前記機能部が、前記熱伝導層と平行に延びる機能層である請求項に記載の熱伝導性シート。
  3. 前記熱伝導性充填材が、異方性充填材を含有する請求項1又は2に記載の熱伝導性シート。
  4. 前記熱伝導性充填材が、非異方性充填材を含有する請求項1~のいずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  5. 前記異方性充填材が、シートの厚さ方向に配向される請求項に記載の熱伝導性シート。
  6. 前記異方性充填材が、繊維状材料及び鱗片状材料から選択される少なくとも1種である請求項に記載の熱伝導性シート。
  7. 前記鱗片状材料の鱗片面の法線方向が、前記複数の熱伝導層の積層方向に向く請求項に記載の熱伝導性シート。
  8. 前記隣接する前記熱伝導部と前記機能部とが、直接固着している請求項1~のいずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  9. それぞれが高分子マトリクス及び熱伝導性充填材を含む、複数の熱伝導性1次シートを用意する工程と、
    それぞれが高分子マトリクスと、導電性充填材、電磁波吸収性充填材吸着性充填材、及び連続気孔のいずれかとの組み合わせである複数の機能部材を用意する工程と、
    前記複数の1次シートと前記複数の機能部材とを、隣接する層同士が前記1次シートである熱伝導層と前記機能部材である機能層で、1の前記熱伝導層の幅WAに対する、当該熱伝導層に隣接する前記機能層の幅WBの割合(WB/WA)が、0.001~0.5であるように、これらが面方向に交互に積層することで、接着させて積層ブロックを形成する工程と、
    前記積層ブロックを積層方向に沿ってシート状になるように切断して熱伝導性シートを得る工程と、
    を備える熱伝導性シートの製造方法。
  10. 複数の前記熱伝導性1次シートを用意した後、前記熱伝導性1次シートの少なくとも一方の面に真空紫外線を照射する工程を備え、
    積層ブロックを形成する工程において、前記複数の熱伝導性1次シートを、真空紫外線が照射された前記一方の面を前記機能部材に接触させるようにして積層することで、接着させて積層ブロックを形成する、請求項に記載の熱伝導性シートの製造方法。
  11. 前記熱伝導性充填材が、異方性充填材を含み、前記熱伝導性1次シートではその面方向に沿って前記異方性充填材が配向され、
    前記積層ブロックは、前記異方性充填材が配向する方向に直交する方向に切断される請求項又は10に記載の熱伝導性シートの製造方法。
  12. 前記熱伝導性充填材が、非異方性充填材を含む請求項11のいずれか1項に記載の熱伝導性シートの製造方法。
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