JP7457582B2 - 電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物、ポッティング剤及びコーティング剤 - Google Patents

電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物、ポッティング剤及びコーティング剤 Download PDF

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Description

本発明は、電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物、ポッティング剤及びコーティング剤に関する。
従来、電子回路実装基板は、ICチップ、チップコイル等の電子部品が表面実装されている。電子回路実装基板は、自動車のエレクトロニックコントロールユニット(ElectronicControl Unit:ECU)、家電製品の電気部品、センサー部品等のように、ケース内に搭載されている。電子回路実装基板の金属露出部分は、湿気、塵埃、腐食性ガス等から保護するために、ポッティング剤(注型剤又は封止剤とも言われる)又はコーティング剤により防湿絶縁処理が施されている。
現在、ポッティング剤としては、2液型のポリウレタン樹脂が多く使用されている。2液型のポリウレタン樹脂とは、主にポリオール成分からなる主剤と、主にイソシアネート成分からなる硬化剤とを混合してから使用するポリウレタン樹脂である。また、コーティング剤としては、主に湿気硬化型のコーティング剤、紫外線硬化型のコーティング剤、溶媒乾燥型のコーティング剤等が用いられている。
近年、電子部品の生産台数が増加傾向であり、生産性の観点から硬化時間が短いポッティング剤、コーティング剤等が求められている。さらに、自動車のECU等にコーティング剤を使用する場合には、高温環境下に暴露される点から、熱硬化性樹脂から構成されるコーティング剤が求められる。
近年、電気電子部品の生産性を向上させる観点から、2液型のポリウレタン樹脂に代って、1液型の電子機器用封止剤が提案されている。
1液型の電子機器用封止剤として、特許文献1には、ウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物が記載されている。
特許文献2には、分子内にアルコキシシリル基を有する変性熱可塑性ポリマーと、軟化剤と、触媒とを含むホットメルト組成物が記載されている。
特許文献3には、電子回路基板のコーティング材であって、ポリオレフィン樹脂をベース材とし、10~35wt%の軟化材を含有してなるコーティング材が記載されている。
特許文献4には、湿気硬化性シリル基を有するオレフィン樹脂、水酸基価が50mgKOH/g以上である芳香族変性テルペン樹脂を含有する湿気硬化性ホットメルト樹脂組成物が記載されている。
特開2016-108510号 国際公開第2017/098889号 特開2005-194392号公報 特開2011-219569号公報
1液型の湿気硬化型の封止剤としては、シリコーン樹脂が使用されているが、その硬化時間は湿度等に依存する。そのため、硬化してタックフリーの状態になるまで数時間を要する場合があり、部品の生産性に影響を及ぼすという問題がある。
紫外線硬化型のコーティング剤としては、ウレタンアクリレート、(メタ)アクリレートモノマー等のアクリル系化合物を用いたコーティング剤が使用されている。該コーティング剤は紫外線照射後、即硬化するが、電子部品によっては遮蔽される非照射部が発生し、該非照射部では未硬化が発生する。特に、ICチップのリード部分は未硬化になりやすく、絶縁信頼性が低下するという問題がある。
溶媒乾燥型のコーティング剤としては、溶剤としてエチルシクロヘキサン、メチルシクロへキサン等を用いたコーティング剤が使用されている。該コーティング剤は、乾燥工程により溶剤を蒸発させる必要があり、タックフリーの状態になるために時間を要し、常温で1時間以上の乾燥時間が必要である場合があるという問題がある。
特許文献1に記載の湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物は、ベースポリマーとしてポリエステル骨格を有しているため、高温高湿度の環境下では加水分解を生じ、絶縁信頼性が低下するという問題がある。
特許文献2に記載のホットメルト組成物は、溶融粘度が高すぎるため、電子部品が搭載されたケース樹脂の耐熱温度を超えないような適正温度での注型ができないこと、及び溶融粘度を低くするために150℃を超える高温域で溶融させて注型した場合、搭載されている電子部品の品質に影響を与える可能性があることから、電子部品用のポッティング剤及びコーティング剤として用いることができないという問題がある。
特許文献3に記載のコーティング材は、ポリオレフィン樹脂がベース材として用いられているため硬化に長時間を要しないが、120℃あるいは130℃における溶融粘度が極めて高く、近年の高密度化された実装基板への塗布時において、電子部品に影響を与えない適切な塗布温度域を考えると、塗布自体が不可能であるという問題がある。
本発明は、上記事情を鑑み、塗布後の硬化時間が短く、タックフリー性に優れ、且つ、耐高温フロー性及び絶縁信頼性に優れる電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含み、且つ、特定の物性値を有するホットメルト組成物によれば、上記課題を達成できることを見出した。本発明は、本発明者らがさらに研究を重ね、完成させたものである。
本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.
シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含有する電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物であって、前記ホットメルト組成物の120℃における溶融粘度が、5000mPa・s以下であり、
前記ホットメルト組成物を25℃及び50%RHの条件下で72時間硬化させて得られる硬化物に対して、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)との差が、1500Pa以上である、電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
項2.
更に、シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)を含有し、
前記シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して20~50質量部である、請求項1に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
項3.
前記液状軟化剤(B1)が、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィン、炭化水素系合成オイル及び液状ポリブテンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
項4.
前記触媒(C)が、有機錫系触媒、チタン化合物、ビスマス化合物及びアミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、項1~3のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
項5.
前記液状軟化剤(B1)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して30~140質量部である、項1~4のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
項6.
前記触媒(C)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して0.01~0.5質量部である、項1~5のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
項7.
更に、パラフィン系ワックス、酢酸ビニル系ワックス、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス及びフィッシャートロプシュワックスからなる群より選択される少なくとも1種の固体軟化剤(B2)を含有し、
前記固体軟化剤(B2)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して10~60質量部である、項1~6のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
項8.
更に、天然由来の粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤及び石油樹脂系粘着付与剤の水素添加物からなる群より選択される少なくとも1種の粘着付与剤(D)を含有し、
前記粘着付与剤(D)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して30~100質量部である、項1~7のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
項9.
更に、モノマー型芳香族リン酸エステル及び芳香族縮合リン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のリン酸エステル(E)を含有し、
前記リン酸エステル(E)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して10~60質量部である、項1~8のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
項10.
被覆剤、ポッティング剤、接着剤又はコーティング剤として用いられる、項1~9いずれか一項記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
項11.
シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含有する電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトポッティング剤であって、
前記ホットメルトポッティング剤の120℃における溶融粘度が、5000mPa・s以下であり、
前記ホットメルトポッティング剤を25℃及び50%RHの条件下で72時間硬化させて得られる硬化物に対して、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)との差が、1500Pa以上である、電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトポッティング剤。
項12.
シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含有する電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトコーティング剤であって、
前記ホットメルトコーティング剤の140℃における溶融粘度が、3000mPa.s以下であり、
前記ホットメルトコーティング剤を25℃及び50%RHの条件下で72時間硬化させて得られる硬化物に対して、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)との差が、1500Pa以上である、電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトコーティング剤。
本発明の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物は、塗布後の硬化時間が短く、タックフリー性に優れ、且つ、耐高温フロー性及び絶縁信頼性に優れている。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態及び具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、下限とは、記載されている数値以上であることを意味し、上限とは、記載されている数値以下であることを意味する。本明細書において、下限として記載されている数値と、上限として記載されている数値とを任意に組み合わせて数値範囲を規定することができる。
1.電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物
本発明の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物(以下、単に「本発明のホットメルト組成物」とも称する)は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを必須成分として含有する。本発明のホットメルト組成物は、120℃における溶融粘度が、5000mPa・s以下である。本発明のホットメルト組成物を25℃及び50%RHの条件下で72時間硬化させて得られる硬化物に対して、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)との差は、1500Pa以上である。以下、当該条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'及び損失弾性率G''を、単に「160℃における貯蔵弾性率G'」及び「160℃における損失弾性率G''」とも称する。
本発明のホットメルト組成物は、上述した要件を備えていることにより、塗布後の硬化時間が短く、タックフリー性に優れ、且つ、耐高温フロー性及び絶縁信頼性に優れる。
本発明のホットメルト組成物は、硬化剤を添加することなく、常温で固体であることから、使用方法が簡便な1液タイプのポッティング剤又はコーティング剤として好適に使用することができる。ここで、常温で固体とは、常温において固化状態であることを意味する。本明細書において、常温とは、例えば5℃~35℃をいう。
本発明のホットメルト組成物の湿気硬化性は、該ホットメルト組成物に含まれるアモルファスポリオレフィン(A1)が有するシリル基が、空気中に存在する湿気(水分:HO)と反応し、加水分解及び脱水縮合を経て、架橋構造を形成することによるものである。言い換えれば、ホットメルト組成物の構成成分として、シリル基を有しないアモルファスポリオレフィンが含まれる場合には、湿気による架橋構造が形成されないため、ホットメルト組成物は湿気硬化性を有しない。
本発明のホットメルト組成物は、常温で固体であるため、注型後あるいは塗布後に短時間(30分程度)で固化する。それ故、塗布後の硬化時間が短くなり、電気電子部品に好適に使用でき、電気電子部品の生産性が向上する。
本発明のホットメルト組成物は、常温で固体であることから、注型後あるいは塗布後の硬化時間が短く、タックフリー性に優れている。
以下、本発明のホットメルト組成物に含まれる各成分について説明する。
(シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1))
本発明のホットメルト組成物は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)を含有する。本明細書において、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)とは、加水分解性シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)を意味する。
加水分解性シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)は、主鎖骨格を構成しているアモルファスポリオレフィンと、該主鎖骨格を構成しているアモルファスポリオレフィンに結合した加水分解性シリル基とを有する重合体である。
加水分解性シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)の主鎖骨格を構成しているポリオレフィンの単量体成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等のα-オレフィンが挙げられる。本明細書において、「α―オレフィン」とは、オレフィン系炭化水素のうち二重結合がαの位置(一番端の炭素と次の炭素との間)にあるものの総称を意味する。
加水分解性シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)の主鎖骨格を構成しているアモルファスポリオレフィンとしては、例えば、α-オレフィンのホモポリマー;エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブチレン共重合体、エチレン-プロピレン-イソブチレン共重合体等のα-オレフィンの共重合体;エチレン以外のα-オレフィンとエチレンとの共重合体;α-オレフィンと、これと共重合可能な他の単量体(例えば、ブタジエン、1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン等のような共役及び非共役ジエン類、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状オレフィン)との共重合体等が挙げられる
加水分解性シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)の主鎖骨格を構成しているアモルファスポリオレフィンとしては、アモルファスポリ-α-オレフィンが好ましい。アモルファスポリ-α―オレフィンは、非晶性又は低結晶性である。非晶性又は低結晶性であることは、例えば、示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて、試料を昇温速度10℃/minで低温から高温側(例えば、-80℃から80℃)へ昇温させたときに、ガラス転移温度でベースラインのシフトが観察され、その後、結晶化にともなう発熱ピークが観察されないことから確認することができる。
アモルファスポリ-α-オレフィンを構成しているモノマー成分としては、例えば、上述したα-オレフィンが挙げられる。α-オレフィンとしては、炭素数が2~20のα-オレフィンが好ましく、炭素数が2~10のα-オレフィンがより好ましい。アモルファスポリ-α-オレフィンとしては、例えば、上述した重合体が挙げられ、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブチレン共重合体、エチレン-プロピレン-イソブチレン共重合体が好ましい。
加水分解性シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)において、加水分解性シリル基としては、-Si(OR(R3-n(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数が1~20の炭化水素基を表し、nは1~3の整数である。)が挙げられる。R及びRは、炭素数が1~20のアルキル基が好ましい。加水分解性シリル基は、アルコキシシリル基であることが好ましい。
加水分解性シリル基としては、例えば、ジメチルメトキシシリル基、ジエチルエトキシシリル基などのジアルキルアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基などのアルキルジアルコキシシリル基;トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基が挙げられる。
加水分解性シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)の主鎖骨格を構成しているアモルファスポリオレフィンに結合している加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基である場合、それぞれのアモルファスオレフィンに結合しているアルコキシシリル基とアルコキシシリル基とが、それぞれ、空気中の水分で加水分解される。そして、アルコールの生成脱離とともに、脱水縮合反応を生じ、アモルファスポリオレフィン間に、(-Si-O-Si-)が形成され、架橋構造を形成する。
シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)の190℃における溶融粘度は、1000~10000mPa・sが好ましく、1500~7000mPa・sがより好ましく、2000~5000mPa・sが特に好ましい。シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)の190℃における溶融粘度が上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物の120℃における溶融粘度が低くなる。それ故、本発明のホットメルト組成物をポッティング剤として使用した場合、注型性に優れる。
シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)の重量平均分子量(Mw)は10000~200000が好ましく、30000~100000がより好ましい。シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)のMwが上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物をポッティング剤として使用した場合、注型性に優れる。
本明細書において、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)の重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いて、標準ポリスチレンで換算することにより得られる測定値である。
シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)としては、公知の市販品を広く用いることができ、また、アモルファスポリオレフィンにシランカップリング剤を反応させシリル基を結合(グラフト)させたものを用いることができる。また、これらを、2種以上を混合して用いてもよい。市販品としては、シラン変性アモルファスポリ-α-オレフィン(シラン変性APAO)であるエボニックデグサ社製の製品名「Vestoplast206」等が挙げられる。
(シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2))
本発明のホットメルト組成物は、120℃における溶融粘度を5000mPa・s以下にする点から、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)及びシリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)を含有することが好ましい。
シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)の含有量は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して、好ましくは20~50質量部、より好ましくは22.5~45質量部、更に好ましくは25~40質量部、特に好ましくは30~35質量部である。シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)の含有量が、上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物の160℃における貯蔵弾性率G'が大きく低下せず、耐高温フロー性を維持しやすくなる。
シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)は、主鎖骨格を構成しているアモルファスポリオレフィンのみで構成される重合体である。
シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)の主鎖骨格を構成しているポリオレフィンの単量体成分としては、上述の「シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)」の項目に記載した単量体成分が挙げられる。
シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)の主鎖骨格を構成しているアモルファスポリオレフィンとしては、上述の「シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)」の項目に記載した共重合体が挙げられる。
シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)の主鎖骨格を構成しているアモルファスポリオレフィンとしては、アモルファスポリ-α-オレフィンに関する記載は、上述の「シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)」の項目における記載と同一である。
シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、エボニックデグサ社製の製品名「Vestoplast EP V2103」、エボニックデグサ社製の製品名「Vestoplast708」等が挙げられる。
(液状軟化剤(B1))
本発明のホットメルト組成物は、液状軟化剤(B1)を含有する。本明細書において、「液状」とは、常温(5℃~35℃)において流動性を示す状態を意味する。
液状軟化剤(B1)としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィン、炭化水素系合成オイル、液状ポリブテン等が挙げられる。これらの液状軟化剤(B1)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの液状軟化剤(B1)の中でも、加熱安定性に優れる点で、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、流動パラフィン、炭化水素系合成オイル及び液状ポリブテンが好ましい。これらの液状軟化剤(B1)の中でも、加熱安定性により一層優れる点で、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び炭化水素系合成オイルがより好ましい。これらの液状軟化剤(B1)の中でも、加熱安定性により一層優れる点及び塗工適性がより向上する点で、パラフィン系プロセスオイル及びナフテン系プロセスオイルが更に好ましい。これらの液状軟化剤(B1)の中でも、パラフィン系プロセスオイルを用いることにより、本発明のホットメルト組成物の120℃における溶融粘度をより一層低下させることができ、注型性がより一層向上する。
パラフィン系プロセスオイルとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製の製品名「PW-32」、出光興産社製の製品名「ダイアナフレシアS32」、出光興産社製の製品名「PS-32」、出光興産社製の製品名「PS-90」等が挙げられる。
ナフテン系プロセスオイルとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、ペトロチャイナ製の製品名「KN-4010」、出光興産社製の製品名「ダイアナフレシアN28」、Nynas社製の製品名「Nyflex222B」等が挙げられる。
炭化水素系合成オイルとしては、公知の市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、三井化学社製の製品名「ルーカントHC-10」、三井化学社製の製品名「ルーカントHC-20」等が挙げられる。
液状ポリブテンとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、イネオス社製の製品名「インドポールH-100」等が挙げられる。
液状軟化剤(B1)の含有量は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して、好ましくは30~140質量部、より好ましくは35~130質量部、更に好ましくは40~120質量部、特に好ましくは45~115質量部である。液状軟化剤(B1)の含有量が、上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物の120℃の溶融粘度が適切な粘度となり、注型性や塗布性を向上させることができる。更に、上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物の160℃における貯蔵弾性率G'が大きく低下せず、耐高温フロー性を維持しやすくなる。
(固体軟化剤(B2))
本発明のホットメルト組成物は、更に固体軟化剤(B2)を含有していてもよい。
固体軟化剤(B2)としては、例えば、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物系ワックス;ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等のポリオレフィン系ワックス;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)系ワックス等の酢酸ビニル系ワックスが挙げられる。これらの固体軟化剤(B2)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの固体軟化剤(B2)の中でも、発泡抑制性がより一層向上する点で、パラフィン系ワックス、EVA系ワックス、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス及びフィッシャートロプシュワックスが好ましく、パラフィン系ワックス及びフィッシャートロプシュワックスがより好ましい。
固体軟化剤(B2)の含有量は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して、好ましくは10~60質量部、より好ましくは15~50質量部、更に好ましくは20~45質量部、特に好ましくは25~40質量部である。固体軟化剤(B2)の含有量が上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物が適度な硬さとなる。また、固体軟化剤(B2)の含有量が上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物をポッティング剤として使用した場合に注型性が向上し、実装基板の絶縁信頼性が向上する。更に、固体軟化剤(B2)の含有量が上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物をコーティング剤として使用した場合に塗布性が向上し、実装基板の絶縁信頼性が向上する。
パラフィン系ワックスとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、ペトロチャイナ社製の製品名「64-66C」等が挙げられる。
フィッシャートロプシュワックスとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、日本精鑞社製の製品名「SX105」等が挙げられる。
固体軟化剤(B2)の融点は60℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。固体軟化剤(B2)の融点が60℃以上であることにより、本発明のホットメルト組成物のタックフリータイムがより一層短くなり、電気電子部品の生産性がより一層向上する。
(触媒(C))
本発明のホットメルト組成物は、触媒(C)を含有する。
本発明において、触媒(C)は、空気中の水分によるシリル基の加水分解を促進させ、脱水縮合反応を好適に促進させる役割を有する。
触媒(C)としては、例えば、有機錫系触媒、チタン化合物、ビスマス化合物、アミン化合物などが挙げられる。これらの触媒(C)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの触媒(C)の中でも、有機錫系触媒が好ましい。
有機錫系触媒としては、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート等のアルキル錫エステル化合物が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル化合物及びチタンキレート化合物が挙げられる。
ビスマス化合物としては、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、ロジン酸ビスマス等の有機カルボン酸ビスマスが挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、N-メチルモルフォリン、4,4′-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビス-モルフォリン、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-1、1,4-ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、トリエタノールアミン、N,N′-ジメチルピペラジン、2,2′-ジモルホリノジエチルエーテル、ビス(2,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテル、ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)プロピル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)ブチル)アミン、トリス(2-(2、6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(2、6-ジエチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(2-エチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(2-エチル-4-モルホリノ)エチルアミン等が挙げられる。
本発明において、触媒(C)の含有量は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して、好ましくは0.01~0.5質量部、より好ましくは0.04~0.4質量部、更に好ましくは0.07~0.3質量部、特に好ましくは0.1~0.2質量部である。触媒(C)の含有量が、上記範囲内であれば、アモルファスポリオレフィン(A1)に含まれるシリル基の加水分解が容易に行われ、ホットメルト組成物が架橋構造を容易に形成し、耐高温フロー性を有する適切な硬化物となる。
有機錫系触媒としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、大協化成工業社製の製品名「SXL-1SG」等が挙げられる。
(粘着付与剤(D))
本発明のホットメルト組成物は、粘着付与剤(D)を含有していてもよい。粘着付与剤(D)を含有することにより、本発明のホットメルト組成物により形成されるポッティング層又はコーティング層と電子回路実装基板との密着性がより一層向上する。
粘着付与剤(D)としては、例えば、天然由来の粘着付与剤、天然由来の粘着付与剤の水素添加物、石油樹脂系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤の水素添加物を用いることができる。これらの粘着付与剤(D)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
天然由来の粘着性付与剤としては、例えば、ロジン系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤等が挙げられる。
ロジン系粘着付与剤としては、例えば、トールロジン、ガムロジン、ウッドロジン等の未変性ロジン;重合ロジン;不均化ロジン;水素添加ロジン;マレイン酸変性ロジン;フマール酸変性ロジン等が挙げられる。また、これらのロジン系粘着付与剤をエステル化したエステル化ロジン系粘着付与剤を用いることができ、具体的には、ロジン系粘着付与剤のグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、エチレングリコールエステル等が挙げられる。
テルペン系粘着付与剤としては、例えば、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体等のテルペン樹脂;テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等の変性テルペン樹脂等が挙げられる。
石油樹脂系粘着付与剤としては、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の石油樹脂が挙げられる。また、これらの石油樹脂に水素を添加した水添石油樹脂(石油樹脂系粘着付与剤の水素添加物)が挙げられ、具体的には、水添C5系樹脂、水添C9系樹脂、水添ジシクロペンタジエン系樹脂、水添C5C9系樹脂等が挙げられる。
上記C5系石油樹脂は、石油のC5留分を原料とした石油樹脂である。上記C9系石油樹脂は、石油のC9留分を原料とした石油樹脂である。また、上記C5C9系石油樹脂は、石油のC5留分及びC9留分を原料とした石油樹脂である。C5留分としてはシクロペンタジエン、イソプレン、ペンタンなどが挙げられる。C9留分としてはスチレン、ビニルトルエン、インデン等が挙げられる。C5系石油樹脂、C5C9系石油樹脂としては、C5留分の1種であるシクロペンタジエンに由来するジシクロペンタジエン(DCPD)を骨格中に含むものを好適に用いることができる。
粘着付与剤(D)としては、本発明のホットメルト組成物により形成されるポッティング層又はコーティング層と電子回路実装基板との密着性がより一層向上する点で、テルペン系粘着付与剤及びその水素添加物が好ましい。
テルペン系粘着付与剤としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、ヤスハラケミカル社製のテルペン樹脂「YSレジンTO-125」、ヤスハラケミカル社製のテルペンフェノール樹脂「YSポリスターG125」、アリゾナケミカル社製「シルバレス1095」が挙げられる。
石油樹脂に水素を添加した水添石油樹脂(石油樹脂系粘着付与剤の水素添加物)としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、荒川化学工業社製の製品名「アルコンP-115」が挙げられる。
本発明において、粘着付与剤(D)の含有量は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して、好ましくは30~100質量部、より好ましくは35~95質量部、更に好ましくは40~90質量部、特に好ましくは45~85質量部である。粘着付与剤(D)の含有量が、上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物により形成されるポポッティング層又はコーティング層と電子回路実装基板との密着性がより一層向上する。
(リン酸エステル(E))
本発明のホットメルト組成物は、リン酸エステル(E)を含有していてもよい。リン酸エステル(E)を含有することにより、難燃性を付与することができる。
リン酸エステル(E)としては、例えば、モノマー型芳香族リン酸エステル及び芳香族縮合リン酸エステルを用いることができる。これらのリン酸エステル(E)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマー型芳香族リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレ二ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレ二ルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート等が挙げられる。
芳香族縮合リン酸エステルとしては、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ-2,6-キシリル)ホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェート、及びこれらの縮合物等の縮合リン酸エステル等が挙げられる。
芳香族縮合リン酸エステルとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、大八化学工業社製の製品名「PX-200」等が挙げられる。
リン酸エステル(E)の含有量は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して、好ましくは10~60質量部、より好ましくは15~50質量部、更に好ましくは20~45質量部、特に好ましくは25~40質量部である。リン酸エステル(E)の含有量が、上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物の難燃性を向上することができ、且つ、タックフリー性を向上することができる。
(酸化防止剤(F))
本発明のホットメルト組成物は、酸化防止剤(F)を含有していてもよい。
酸化防止剤(F)としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(4′-ヒドロキシ-3′,5′-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2′-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,4-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルべンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-〔1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤(F)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤(F)の含有量は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して、好ましくは0.05~2.5質量部、より好ましくは0.1~2質量部、更に好ましくは0.3~1.5質量部、特に好ましくは0.5~1質量部である。酸化防止剤(F)の含有量が、上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物の溶融時における熱安定性が良好となる。
(他の添加剤)
本発明のホットメルト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤を含有していてもよい。該他の添加剤としては、着色顔料、難燃剤等が挙げられる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、メラニン系難燃剤、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤が挙げられる。
本発明において、上記他の添加剤の含有量は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して、好ましくは0.1~40質量部、より好ましくは0.5~30質量部、更に好ましくは1~20質量部、特に好ましくは2~10質量部である。上記他の添加剤の含有量が、上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物をポッティング剤として使用した場合に注型性を維持することができ、難燃性を向上させることができる。上記他の添加剤の含有量が、上記範囲内であれば、本発明のホットメルト組成物をコーティング剤として使用した場合に塗布性を維持することができ、難燃性を向上させることができる。
本発明のホットメルト組成物は、溶剤を含有しないことが好ましい。溶剤を含有しないことにより、塗布後の乾燥工程が不要になり、塗布後の硬化時間をより一層短することができる。溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。
本発明のホットメルト組成物は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含有し、且つ、熱可塑性樹脂を含有しないことが好ましい。本発明のホットメルト組成物は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含有し、且つ、熱可塑性樹脂を含有しないことがより好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
上記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体の単独重合体又は共重合体;スチレン系単量体と、エチレン単量体、プロピレン単量体、ブチレン単量体等のオレフィン系単量体とのブロック共重合体であるスチレン系ブロック共重合体;当該スチレン系ブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。
上記スチレン系ブロック共重合体としては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられ、より具体的には、スチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)等が挙げられる。
上記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物としては、例えば、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体(SEBS:水添スチレン系熱可塑性エラストマー)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン/エチレン/プロピレン-スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン-エチレン/ブチレン/スチレン-スチレン共重合体(SEBSS)、スチレン-エチレン/プロピレン/スチレン-スチレン共重合体(SEPSS)等が挙げられる。
以下、本発明のホットメルト組成物の物性値について説明する。
(ホットメルト組成物の物性値)
本発明のホットメルト組成物は、120℃における溶融粘度が、5000mPa・s以下であることから、吐出機で注型する際に適した粘度となり、電子部品が搭載されたケース内の隅々まで注型されることにより、電子部品の信頼性が向上するためポッティング剤として好適に使用することができる。
本明細書において、「120℃における溶融粘度」とは、120℃で加熱溶融状態となったホットメルト組成物の粘度を意味する。120℃における溶融粘度の測定方法としては、例えば、ホットメルト組成物を加熱溶融し、120℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.27)を用いて測定する測定方法が挙げられる。
本発明のホットメルト組成物は、120℃における溶融粘度の上限が、好ましくは4800mPa・s、より好ましくは4500mPa・s、更に好ましくは4000mPa・s、特に好ましくは2800mPa・sである。本発明のホットメルト組成物は、120℃における溶融粘度の下限が、好ましくは750mPa・s、より好ましくは1000mPa・s、更に好ましくは1200mPa・s、特に好ましくは1300mPa・sである。
本発明のホットメルト組成物を25℃及び50%RHの条件下で72時間硬化させて得られる硬化物に対して、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)との差(以下、単に「差」とも称する)の値は、1500Pa以上である。上記条件で測定した温度-貯蔵弾性率G'曲線と温度-損失弾性率G''曲線との差の値が、1500Pa以上であることにより、本発明のホットメルト組成物の耐高温フロー性が向上し、電子回路実装基板等が搭載されている電気電子部品に好適に使用することができる。上記差の上限は、好ましくは6000Pa、より好ましくは5000Pa、特に好ましくは4500Paである。
上記差の値は、以下の方法により測定することができる。具体的には、本発明ホットメルト組成物を120℃で加熱溶融させ、離型処理されたPETフィルム上に垂らす。次いで、別の離型処理されたPETフィルムを用意し、上記ホットメルト組成物上に、離型処理された面が、上記ホットメルト組成物に接触するよう重ね合わせ、厚みが1mmとなるように熱プレスで圧縮する。次いで、上記ホットメルト組成物を離型処理されたPETフィルム間に挟んだ状態で、25℃及び50%RHの条件下で72時間静置する。次いで、離型フィルムを除去し、動的粘弾性測定用試料として、ホットメルト組成物の硬化物(以下、単に「硬化物」と称する)を作製する。なお、ホットメルト組成物の硬化物は、好ましくはホットメルト組成物の硬化皮膜である。
作製した上記硬化物を動的粘弾性測定装置に装着し、振動周波数1Hzの回転せん断モードで、-80℃から200℃の温度範囲で、昇温速度5℃/分の昇温条件で動的粘弾性測定(昇温過程)を行う。測定により得られた温度-貯蔵弾性率G'曲線(横軸:温度、縦軸:貯蔵弾性率G')及び温度-損失弾性率G''曲線(横軸:温度、縦軸:損失弾性率G'')から、160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)及び160℃での損失弾性率G''(Pa)を算出する。そして、160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と160℃での損失弾性率G''(Pa)との差の値を算出する。
動的粘弾性測定装置としては、例えば、ティーエーインスツルメント社製のローテェーショナルレオメーター(商品名「AR-G2」)等を用いることができる。
本発明のホットメルト組成物は、140℃における溶融粘度の上限が、好ましくは3000mPa・s、より好ましくは2400mPa.s、更に好ましくは1600mPa.s、特に好ましくは1100mPa.sである。140℃における溶融粘度が上限以下であれば、ホットメルト組成物を吐出機で電子回路実装基板上に塗布した場合、電子回路実装基板上の部品間に浸透し、平滑で均一な塗面になることにより電子回路実装基板の信頼性が向上するため、本発明のホットメルト組成物をコーティング剤として好適に使用することができる。
本発明のホットメルト組成物は、140℃における溶融粘度の下限が、好ましくは400mPa.s、より好ましくは500mPa.s、更に好ましくは600mPa.s、特に好ましくは700mPa.sである。
本明細書において、「140℃における溶融粘度」とは、140℃で加熱溶融状態となったホットメルト組成物の粘度を意味する。140℃における溶融粘度の測定方法としては、例えば、ホットメルト組成物を加熱溶融し、140℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.27)を用いて測定する測定方法が挙げられる。
2.電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物の製造方法及び用途
本発明の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物(以下、単に「本発明のホットメルト組成物」とも称する)は、公知の方法で製造することができる。例えば、上述したシリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)、液状軟化剤(B1)、触媒(C)、必要に応じてシリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)、粘着付与剤(D)、リン酸エステル(E)、酸化防止剤(F)、上述した他の添加剤を、加熱装置を備えた攪拌混練機中に投入し、120℃で90分間加熱しながら溶融混練し、固体になるまで冷却することによって本発明のホットメルト組成物を製造することができる。
3.電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物の用途
本発明のホットメルト組成物が好適に用いられる用途としては、被覆剤、ポッティング剤、接着剤、コーティング剤等が挙げられる。中でも、本発明のホットメルト組成物は、タックフリー性及び絶縁信頼性に優れていることから、ポッティング剤又はコーティング剤として用いることが特に好ましい。
4.電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトポッティング剤
本発明の好ましい一実施形態は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含有する電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトポッティング剤(以下、単に「本発明のホットメルトポッティング剤」とも称する)である。本発明のホットメルトポッティング剤の120℃における溶融粘度は、5000mPa・s以下である。本発明のホットメルトポッティング剤を25℃及び50%RHの条件下で72時間硬化させて得られる硬化物に対して、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)との差は、1500Pa以上である。
本発明のホットメルトポッティング剤は、電子回路実装基板等が搭載されている電気電子部品に好適に用いられる。本発明のホットメルトポッティング剤は、常温で固体であり、電気電子部品への注型後に直ちに固化するため、2液型のポッティング剤に比べて、タックフリー性に優れている。更に、本発明のホットメルトポッティング剤は、120℃での溶融粘度が5000mPa.s以下であるため、注型性に優れ、固化後に時間の経過とともに架橋反応が促進されるため、耐高温フロー性及び絶縁信頼性に優れる。
本発明のホットメルトポッティング剤に含まれる各成分は、項目「1.電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物」に記載の各成分と同一である。
本発明のホットメルトポッティング剤を用いて電子回路実装基板等が搭載されている電気電子部品を封止する方法としては、例えば、本発明のホットメルトポッティング剤を120~140℃程度の温度で溶融させ、吐出機を用いて電子回路実装基板が搭載されている電気電子部品の表面に吐出させ、封止する方法が挙げられる。
5.電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトコーティング剤
本発明の別の好ましい一実施形態は、シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含有する電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトコーティング剤(以下、単に「本発明のホットメルトコーティング剤」とも称する)である。本発明のホットメルトコーティング剤の140℃における溶融粘度は、3000mPa.s以下である。本発明のホットメルトコーティング剤を25℃及び50%RHの条件下で72時間硬化させて得られる硬化物に対して、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)との差は、1500Pa以上である。
本発明のホットメルトコーティング剤は、電子回路実装基板等が搭載されている電気電子部品に好適に用いられる。本発明のホットメルトコーティング剤は、常温で固体であり、電気回路実装基板への塗布後に直ちに固化するため、溶剤乾燥型や湿気硬化型のコーティング剤に比べて、タックフリー性に優れている。更に、本発明のホットメルトコーティング剤は、140℃における溶融粘度は、3000mPa.s以下であるため塗布性に優れ、固化後に時間の経過とともに架橋反応が促進されるため、耐高温フロー性及び絶縁信頼性に優れる。
本発明のホットメルトコーティング剤に含まれる各成分は、項目「1.電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物」に記載の各成分と同一である。
本発明のホットメルトコーティング剤は、140℃における溶融粘度の上限が、好ましくは2400mPa.s、更に好ましくは1600mPa.s、特に好ましくは1100mPa.sである。140℃における溶融粘度が上限以下であれば、ホットメルトコーティング剤を吐出機で電子回路実装基板上に塗布した場合、電子回路実装基板上の部品間に浸透し、平滑で均一な塗面になることにより電子回路実装基板の信頼性が一層向上する。
本発明のホットメルトコーティング剤は、140℃における溶融粘度の下限が、好ましくは400mPa.s、より好ましくは500mPa.s、更に好ましくは600mPa.s、特に好ましくは700mPa.sである。
本発明のホットメルトコーティング剤を用いて電子回路実装基板を塗布する方法としては、例えば、本発明のホットメルトコーティング剤を140~150℃程度の温度で溶融させ、塗布装置を用いて電子回路実装基板を塗布する方法が挙げられる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
実施例及び比較例で用いた原料は以下のとおりである。
<シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)>
・(A1-1)シラン変性アモルファスポリ-α-オレフィン(シラン変性APAO):エボニックデグサ社製、Vestoplast206(Mw=38000、190℃における溶融粘度=5000mPa・s)
<シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)>
・(A2-1)シリル基を有しないアモルファスポリ-α-オレフィン:エボニックデグサ社製、Vestoplast EP V2103(Mw=50000、190℃における溶融粘度=2500mPa・s)
・(A2-2)シリル基を有しないアモルファスポリ-α-オレフィン:エボニックデグサ社製、Vestoplast708(Mw=75000、190℃における溶融粘度=8000mPa・s)
<液状軟化剤(B1)>
・(B1-1)液状ポリブテン:イネオス社製、インドポールH-100
・(B1-2)ナフテン系プロセスオイル:ペトロチャイナ社製、KN-4010
・(B1-3)パラフィン系プロセスオイル:出光興産社製、PS-90
<固体軟化剤(B2)>
・(B2-1)パラフィン系ワックス:ペトロチャイナ社製、Paraffin Wax 64-66C(融点=65℃)
・(B2-2)フィッシャートロプシュワックス:日本精鑞社製、SX105(融点=105℃)
<触媒(C)>
・(C-1)有機錫系触媒:大協化学工業社製、SXL-1SG
<粘着付与剤(D)>
・(D-1)水添石油樹脂:荒川化学工業社製、アルコンP-115 (軟化点115℃)
<リン酸エステル(E)>
・(E-1)芳香族縮合リン酸エステル:大八化学工業社製、PX-200
<酸化防止剤(F)>
・(F-1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製、IRGANOX1010
(実施例及び比較例)
上述した原料を、それぞれ表1に示した配合量で、加熱装置を備えた撹拌混練機中に投入した。120℃で90分間加熱しながら混練し、固体になるまで冷却して、ホットメルト組成物を製造した。
製造したホットメルト組成物について、以下の測定条件により物性値を評価した。なお、「120℃における溶融粘度」とは、ホットメルト組成物をポッティング剤として使用する際に求められる物性である。「140℃における溶融粘度」とは、ホットメルト組成物をコーティング剤として使用する際に求められる物性である。
(120℃における溶融粘度)
ホットメルト組成物を加熱溶融し、120℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.27)を用いて測定した。
(140℃における溶融粘度)
ホットメルト組成物を加熱溶融し、140℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.27)を用いて測定した。
(動的粘弾性測定用試料の作製)
貯蔵弾性率G'及び損失弾性率G''を測定するために、動的粘弾性測定用試料を、以下の(1)~(4)の手順に従って作製した。なお、以下のPETフィルム1とPETフィルム2とは、同一種類のPETフィルムである。
(1)ホットメルト組成物を120℃で加熱溶融させ、離型処理されたPETフィルム1上に垂らした。
(2)離型処理されたPETフィルム2を用意し、PETフィルム1上のホットメルト組成物上に、PETフィルム2の離型処理された面が、PETフィルム1上のホットメルト組成物に接触するよう重ね合わせ、厚みが1mmとなるように熱プレスで圧縮した。
(3)離型処理されたPETフィルム1及びPETフィルム2との間に、ホットメルト組成物を挟んだ状態で、25℃及び50%RHの条件下で72時間静置した。
(4)離型処理されたPETフィルム1及びPETフィルム2を除去し、動的粘弾性測定用試料として、ホットメルト組成物の硬化皮膜を得た。
(160℃での貯蔵弾性率G'及び損失弾性率G''の測定方法)
得られた硬化皮膜を動的粘弾性測定装置(ティーエーインスツルメント社製、ローテェーショナルレオメーター「AR-G2」)に装着し、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で動的粘弾性測定を行った。測定により得られた温度-貯蔵弾性率G'曲線(横軸:温度、縦軸:貯蔵弾性率G')及び温度-損失弾性率G''曲線(横軸:温度、縦軸:損失弾性率G'')から、160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と160℃での損失弾性率G''(Pa)とを算出した。そして、160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と160℃での損失弾性率G''(Pa)との差を算出した。
(注型性)
ガラス瓶(柏洋硝子社製、「M-70」、容量約83ml)を準備し、ガラス瓶の上端から15mmまでガラスビーズ(直径8mm)を充填し、これを被注型体とした。塗布装置(ノードソン社製、アプリケーター(ユニティーIC30 PLUS)、3軸ロボット(w/4XPロボット)、Unity コントローラー)、30mlシリンジ、ノズル径1.35mm)を使用し、溶融温度120℃にて被注型体のガラスビーズ上面とアプリケーターノズルとのギャップを10mmとして、ホットメルト組成物を注型した。下記評価基準に従い、ホットメルト組成物の注型性を評価した。なお、△以上の評価があればホットメルト組成物をポッティング剤として使用する際に問題ないと評価される。
○:ホットメルト組成物が充填したガラスビーズの上端から15mm以上浸透している
△:ホットメルト組成物が充填したガラスビーズの上端から10mm以上15mm未満浸透している
×:ホットメルト組成物が充填したガラスビーズの上端から10mm未満の浸透である。
(タックフリー性)
上記注型性の測定方法と同一の方法により、30分経過後、塗布したホットメルト組成物の表面に指を押し付けて、下記評価基準に従い、タックフリー性を評価した。なお、△以上の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
○:ベタつきが全くない
△:若干ベタつきがあるが、ホットメルト組成物が指に付着しない
×:ベタつきがあり、指にホットメルト組成物が付着する
(耐高温フロー性)
70cm×150cmの鋼板上に、120℃に加熱溶融したホットメルト組成物を垂らした。次いで、剥離処理されたPETフィルムを、該ホットメルト組成物上に剥離面が該ホットメルト組成物に接触するように重ね合わせ、厚みが2mmとなるように熱プレスで圧縮した。常温まで冷却し、ホットメルト組成物の中央部分に一直線状に切り込みを入れて2つの領域に分割し、切り込みが入れられた中央部から片方の領域のホットメルト組成物を端面部まで取り除き、試料を作製した。当該試料を25℃及び50%RHの条件下で72時間静置し、硬化物(ホットメルト組成物の硬化皮膜)を得た。得られた硬化物を120℃に加温されたオーブン内に垂直に立てかけ30日間静置した。30日後に切り込みからのホットメルト組成物の垂れ度合いを測定し、下記評価基準に従い、耐高温フロー性を評価した。
○:垂れが全くない。
×:垂れが切り込みから2mmを超える
(絶縁信頼性)
「JIS Z 3197 8.5.3e」に準ずるくし型電極基板に、ホットメルト組成物を塗布装置(ノードソン社製、アプリケーター(ユニティーIC30 PLUS)ノズル1.35mmシリンジ30ml)、3軸ロボット(w/4XPロボット)、Unity コントローラー)を使用し、溶融温度120℃にて厚みが1mmとなるように塗布した。塗布したホットメルト組成物を25℃及び50%RHの条件下で72時間し硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物に対して、85℃及び87.5%RHの条件下でマイグレーションテスターを使用し、500時間の高温高湿絶縁信頼性試験を行い、硬化物の絶縁抵抗値(Ω)を測定した。
○:試験後の絶縁抵抗値が10Ω以上である。
×:絶縁抵抗値が10Ω未満である。又は試験中にホットメルト組成物の硬化被膜がフローし、試験続行不可となる。
(塗布性)
銅張積層板(FR-4材ベース、サイズ:14cm×9cm)に、塗布装置(ノードソン社製、アプリケーター(ユニティーIC30 PLUS)、ノズル径0.62mm シリンジ30ml)、3軸ロボット(w/4XPロボット)、Unity コントローラー)を使用し、塗布スピードを50mm/秒、銅張積層板とノズル先端とのギャップ(距離)を3mmに設定し、銅張積層板の8cm×12cmを塗布面積とし、ビード状にて塗布するプログラミングを行い、ホットメルト組成物を塗布した。下記評価基準に従い、ホットメルト組成物の塗布性を評価した。なお、△以上の評価があればホットメルト組成物をコーティング剤として使用する際に問題ないと評価される。
◎:塗布後の塗膜表面が均一で平滑であり、塗布筋痕も観察されない。
〇:塗布後の塗膜表面にわずかな塗布筋痕が観察されるが平滑性は維持している。
△:塗布後の塗膜表面にわずかな塗布筋痕及びわずかな凹凸が観察される。
×:塗膜表面の平滑性は完全に失われており、かつ著しいビード状の塗布痕及び塗面の凹凸が観察される。
Figure 0007457582000001
表1に示す結果から、実施例1~10で得られたホットメルト組成物は、タックフリー性、耐高温フロー性、注型性、塗布性及び絶縁信頼性の点で「○」又は「△」の評価であったため、電子電気部品用のホットメルト組成物として使用可能であることがわかった。特に、実施例4、6、7及び10で得られたホットメルト組成物は、タックフリー性、耐高温フロー性、注型性及び絶縁信頼性の点で全て「○」の評価であったため、電子回路実装基板等が搭載されている電気電子部品を封止するためのポッティング剤として好適に使用可能であることがわかった。また、実施例4、6、7及び10で得られたホットメルト組成物は、タックフリー性、耐高温フロー性及び絶縁信頼性の点で全て「○」の評価であり、塗布性が「◎」の評価であったため、電気回路実装基板を塗布するためのコーティング剤として好適に使用可能であることがわかった。これに対して、比較例1で得られたホットメルト組成物は、タックフリー性、耐高温フロー性、注型性及び絶縁信頼性の点で、全て「×」の評価であり、塗布性が「×」の評価であったため、電子回路実装基板等が搭載されている電気電子部品への使用には適さないことがわかった。

Claims (12)

  1. シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含有する電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物であって、前記ホットメルト組成物の120℃における溶融粘度が、5000mPa・s以下であり、
    前記ホットメルト組成物を25℃及び50%RHの条件下で72時間硬化させて得られる硬化物に対して、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)との差が、1500Pa以上である、電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
  2. 更に、シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)を含有し、
    前記シリル基を有しないアモルファスポリオレフィン(A2)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して20~50質量部である、請求項1に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
  3. 前記液状軟化剤(B1)が、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィン、炭化水素系合成オイル及び液状ポリブテンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
  4. 前記触媒(C)が、有機錫系触媒、チタン化合物、ビスマス化合物及びアミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
  5. 前記液状軟化剤(B1)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して30~140質量部である、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
  6. 前記触媒(C)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して0.01~0.5質量部である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
  7. 更に、パラフィン系ワックス、酢酸ビニル系ワックス、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス及びフィッシャートロプシュワックスからなる群より選択される少なくとも1種の固体軟化剤(B2)を含有し、
    前記固体軟化剤(B2)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して10~60質量部である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
  8. 更に、天然由来の粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤及び石油樹脂系粘着付与剤の水素添加物からなる群より選択される少なくとも1種の粘着付与剤(D)を含有し、
    前記粘着付与剤(D)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して30~100質量部である、請求項1~7のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
  9. 更に、モノマー型芳香族リン酸エステル及び芳香族縮合リン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のリン酸エステル(E)を含有し、
    前記リン酸エステル(E)の含有量が、前記シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)100質量部に対して10~60質量部である、請求項1~8のいずれか一項に記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
  10. 被覆剤、ポッティング剤、接着剤又はコーティング剤として用いられる、請求項1~9いずれか一項記載の電気電子部品用湿気硬化性ホットメルト組成物。
  11. シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含有する電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトポッティング剤であって、
    前記ホットメルトポッティング剤の120℃における溶融粘度が、5000mPa・s以下であり、
    前記ホットメルトポッティング剤を25℃及び50%RHの条件下で72時間硬化させて得られる硬化物に対して、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)との差が、1500Pa以上である、電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトポッティング剤。
  12. シリル基を有するアモルファスポリオレフィン(A1)と、液状軟化剤(B1)と、触媒(C)とを含有する電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトコーティング剤であって、
    前記ホットメルトコーティング剤の140℃における溶融粘度が、3000mPa.s以下であり、
    前記ホットメルトコーティング剤を25℃及び50%RHの条件下で72時間硬化させて得られる硬化物に対して、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1Hzの回転せん断モード、5℃/分の昇温速度、-80℃~200℃の温度範囲の条件で測定した160℃での貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)との差が、1500Pa以上である、電気電子部品用湿気硬化性ホットメルトコーティング剤。
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