JP7457313B2 - 熱可塑性樹脂の平板状成形体、多層体、真贋判定方法、真贋判定システムおよびプログラム - Google Patents

熱可塑性樹脂の平板状成形体、多層体、真贋判定方法、真贋判定システムおよびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂の平板状成形体、多層体、真贋判定方法、真贋判定システムおよびプログラムに関する。
従来、IDカード、e-パスポート、および非接触型ICカード等において、樹脂フィルムやその積層体を含むカード類が使用されてきている。偽造を防止することを目的に、この樹脂フィルムの表面にQRコード(登録商標)等の暗号化コードや所持者の写真等を貼付する例がある。しかし、これでは、QRコード等の印字ごと複写されたり、写真を剥がして挿げ替えたりするなどの処理により、偽造される可能性が残るものであった。
これに対して、発光体(特に、発光体粒子)を利用して偽造防止性を高めることが提案されている。
特許文献1では、発光体を熱可塑性樹脂中に分散させた光発光体フィルムであって、前記発光体粒子として、紫外光または可視光の照射により赤外光を発光する赤外光発光体粒子を用いたフィルムが提案されている。
特許文献2では、赤外線発光蛍光剤を含有する第1の情報パターン部を形成してなる基材上に顔写真などの画像が形成され、受像層、ホログラム層、剥離性保護層のいずれかの層間に第2の情報パターン部を形成した画像表示体であって、所定波長の赤外線および紫外線の照射によって設けられた情報パターン部が発光し、情報パターンを目視確認することができる画像表示体が提案されている。
特開2015-168728号公報 特開平10-129107号公報
上記の特許文献1で開示された技術では、紫外光または可視光の照射による赤外光の発光を利用している。特許文献2では、紫外光の照射による赤外光の発光を利用している。いずれも、目には見えない赤外光の発光を利用しており、表面に印字したり写真を貼付したりするものと比較し、偽造の防止性は改善されている。しかしながら、特許文献1や特許文献2では、真贋判定方法としては十分とは言えない。
そこで本発明は、光の照射によって発光する発光体を用いた技術において、偽造防止性を高めることができる熱可塑性樹脂の平板状成形体、多層体、その真贋判定方法、真贋判定システム、およびこれらを制御することができるプログラムの提供を目的とする。
上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>光を照射したとき発光する発光体を含む、熱可塑性樹脂の平板状成形体であって、前記熱可塑性樹脂の平板状成形体に光を照射し、顕微鏡で観察したとき、下記輝点の数Nが1以上であり、下記輝点の数Nが下記式(F1)で表されるNe1以下である熱可塑性樹脂の平板状成形体;
:熱可塑性樹脂の平板状成形体の平面視における面積46.2cm当たりの特定輝点の数;
:熱可塑性樹脂の平板状成形体の平面視における面積1.4mm当たりの特定輝点の数;
50:発光体のメジアン径[μm];
特定輝点:最大長が10μm以上であり平板状成形体の厚み以下である輝点。
<2>光を照射したとき発光する発光体を含む、熱可塑性樹脂の平板状成形体であって、前記発光体のメジアン径が、10μm以上、かつ、平板状成形体の厚み以下であり、前記熱可塑性樹脂の平板状成形体10,000mm当たりの前記発光体の含有量をw[g]としたとき、下記の関係式(F2)を満たす、熱可塑性樹脂の平板状成形体;
式中、D50は発光体のメジアン径[μm]であり、dは発光体の密度[g/mm]である。
<3> 光を照射したとき発光する発光体を含む、熱可塑性樹脂の平板状成形体であって、前記発光体のメジアン径が、10μm以上、かつ、平板状成形体の厚み以下であり、下記計測方法で規定される輝点の面積率が60%以下である熱可塑性樹脂の平板状成形体;
計測方法:画像解析ソフトウエア WinROOF2013(登録商標)を用い、8.07cmとなるよう範囲指定して、モノクロ化を実施する;得られた濃淡画像は0~255の階調をもつ濃度値にて表示されている;本濃淡画像に下限閾値24、上限閾値255を設定して濃度値24以上255以下の範囲で2つの閾値による二値化を実施し、輝点に該当する白の部分の面積を画像全体の面積で割った値を面積率として求める。
<4>光の照射により発光体から発せられる光が、可視光または赤外光である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の平板状成形体。
<5>前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の少なくとも1種を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の平板状成形体。
<6>前記発光体がB、F、Mg、Al、Si、P、S、Cl、Na、K、Li、Ca、V、Mn、Cu、Mo、Zn、Sn、Ge、Sr、Y、Ba、La、Bi、W、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選択される元素を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の平板状成形体。
<7>真贋の判定に用いられる、<1>~<6>のいずれか1つに記載の平板状成形体。
<8>前記光が、紫外光および赤外光の少なくとも1種である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の平板状成形体。
<9>前記平板状成形体が、フィルム、シートまたはカードである、<1>~<8>のいずれか1つに記載の平板状成形体。
<10><1>~<9>のいずれか1つに記載の平板状成形体を有する多層体。
<11>さらに、光遮蔽層を有する、<10>に記載の多層体。
<12>セキュリティカードである、<10>または<11>に記載の多層体。
<13>パスポート用データ頁である、<10>または<11>に記載の多層体。
<14><1>~<9>のいずれか1つに記載の平板状成形体あるいは<10>~<13>のいずれか1つに記載の多層体に光を照射することと、光を照射したときに現れる輝点情報を検出することとを含む、真贋判定方法。
<15>前記輝点情報が、輝点の大きさ、輝点の発光波長、輝点の発光強度および輝点の位置情報から選ばれる少なくとも1つである、<14>に記載の真贋の判定方法。
<16><1>~<9>のいずれか1つに記載の平板状成形体あるいは<10>~<13>のいずれか1つに記載の多層体と、<1>~<9>のいずれか1つに記載の平板状成形体あるいは<10>~<13>のいずれか1つに記載の多層体に光を照射する光照射部と、光の照射により検出される輝点情報が真正であることを判断する真贋判定部とを有する真贋判定システム。
<17>コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、<1>~<9>のいずれか1つに記載の平板状成形体あるいは<10>~<13>のいずれか1つに記載の多層体に光を照射したときに検出される輝点情報を読み取るステップと、前記読み取った輝点情報が真正な輝点情報を示すことを判断する真贋判定ステップとを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
本発明によれば、光の照射により発光する発光体を用いた技術において、偽造防止性を高めることができる熱可塑性樹脂の平板状成形体、多層体、その真贋判定方法、真贋判定システム、およびこれらを制御することができるプログラムの提供が可能になった。
本発明の好ましい実施形態に係る平板状成形体の一例を模式的に示す斜視図である。 顕微鏡観察により検出される輝点の一例を示した模式図である。 本発明の好ましい実施形態に係る平板状成形体の一例を拡大して模式的に示す断面図である。 本発明の実施例および比較例をプロットした図である。 本発明の好ましい実施形態に係る多層体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の好ましい実施形態に係る真贋判定方法の一例を示すフローチャートである。 図6に示した真贋判定方法の変形例を示すフローチャートの一部である。 図6に示した真贋判定方法の好ましい実施形態に係る利用態様を示したフローチャートである。 本発明の好ましい実施形態に係る真贋判定システムの構成図である。 平板状成形体を発光させたときの顕微鏡像(実施例4)である。 平板状成形体を発光させたときの顕微鏡像(比較例4)である 比較例の平板状成形体を拡大して模式的に示す断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の効果を有する範囲において任意に変更して実施することができる。
本発明の実施形態1にかかる熱可塑性樹脂の平板状成形体は、光を照射したとき発光する発光体を含む、熱可塑性樹脂の平板状成形体であって、前記熱可塑性樹脂の平板状成形体に光を照射し、顕微鏡で観察したとき、下記輝点の数Nが1以上であり、下記輝点の数Nが下記式(F1)で表されるNe1以下であることを特徴とする。
:熱可塑性樹脂の平板状成形体の平面視における面積46.2cm当たりの特定輝点の数;
:熱可塑性樹脂の平板状成形体の平面視における面積1.4mm当たりの特定輝点の数;
50:発光体のメジアン径[μm];
特定輝点:最大長が10μm以上であり平板状成形体の厚み以下である輝点。
平板状成形体の特定の面積に、所定の数の特定輝点が存在するように調整することにより、平板状成形体の表面に、輝点のパターンを確認できるようになる。この輝点のパターンは、事実上、再現不可能なパターンとなる。結果として、真贋の判定が可能になる。
本発明の実施形態2にかかる熱可塑性樹脂の平板状成形体は、光を照射したとき発光する発光体を含む、熱可塑性樹脂の平板状成形体であって、前記発光体のメジアン径が、10μm以上、かつ、平板状成形体の厚み以下であり、前記熱可塑性樹脂の平板状成形体10,000mm当たりの発光体の含有量をw[g]としたとき、下記の関係式(F2)を満たすことを特徴とする。
式中、D50は発光体のメジアン径[μm]であり、dは発光体の密度[g/mm]である。
実施形態2では、一定の面積の平板状成形体内に、10μm以上のメジアン径を有する発光体を分散させることにより、発光していない部分と明確に区別した輝点として観察される。また、輝点のメジアン径が平板状成形体の厚みを超えると平板状成形体の外観が悪くなる、すなわち、例えば、図12で示されるように発光体が平板状成形体表面に露出し、外観が著しく悪化するため、実用には適さなくなる。本発明では、発光体のメジアン径を10μm以上かつ平板状成形体の厚み以下とすることにより、輝点としての観察が可能であり、良好な外観を有した平板状成形体の製造を可能としている。さらに、平板状成形体の単位面積当たりの発光体の量を調整することにより、平板状成形体の表面に、輝点のパターンを確認できるようになる。この輝点のパターンは、事実上、再現不可能なパターンとなる。結果として、真贋の判定が可能になる。
本発明の実施形態3にかかる熱可塑性樹脂の平板状成形体は、光を照射したとき発光し、メジアン径が、10μm以上、かつ、平板状成形体の厚み以下である発光体を含む、熱可塑性樹脂の平板状成形体であって、下記計測方法で規定される輝点の面積率が60%以下であることを特徴とする。
計測方法:画像解析ソフトウエア WinROOF2013(登録商標)を用い、8.07cmとなるよう範囲指定して、モノクロ化を実施する。得られた濃淡画像は0~255の階調をもつ濃度値にて表示されている。本濃淡画像に下限閾値24、上限閾値255を設定して濃度値24以上255以下の範囲で「2つの閾値による二値化」を実施し、輝点に該当する白の部分の面積を画像全体の面積で割った値を面積率として求める。
実施形態3では、一定の面積の平板状成形体内に、10μm以上のメジアン径を有する発光体を分散させることにより、発光していない部分と明確に区別した輝点として観察される。また、輝点のメジアン径が平板状成形体の厚みを超えると平板状成形体の外観が悪くなる、すなわち、例えば、図12で示されるように発光体が平板状成形体表面に露出し、外観が著しく悪化するため、実用には適さなくなる。本発明では、発光体のメジアン径を10μm以上かつ平板状成形体の厚み以下とすることにより、輝点としての観察が可能であり、良好な外観を有した平板状成形体の製造を可能としている。さらに、平板状成形体の表面の輝点の面積率が60%以下となるように調整することにより、平板状成形体の表面に、輝点のパターンを確認できるようになる。この輝点のパターンは、事実上、再現不可能なパターンとなる。結果として、真贋の判定が可能になる。
以下に本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しつつ説明する。本発明が以下の実施形態に限定されるわけではないことは言うまでもない。
図1は本発明の好ましい実施形態に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体の一例を模式的に示す斜視図である。
本実施形態の熱可塑性樹脂の平板状成形体10は、平面視において四角形(例えば、長方形)の形状に成形されている。大きさは、パスポートやカード類として用いられるものを想定しているが必ずしもこの限りではない。
本発明の平板状成形体は、フィルム、シート、カードなどを含む趣旨である。
熱可塑性樹脂の平板状成形体10の表面には、通常、目視で視認できる識別表示(識別デザイン)2が印字ないし描画(描画等)されている。これにより、ユーザーはこの熱可塑性樹脂の平板状成形体を別の平板状成形体と目視により区別することができる。識別表示は通常は有色の塗料等により描画等されるものであり、熱可塑性樹脂の平板状成形体の表面(上面)に描画等されても、裏面(下面)に描画等されていてもよい。
本実施形態の熱可塑性樹脂の平板状成形体10は、熱可塑性樹脂を含み、その熱可塑性樹脂には発光体1が分散されている。
発光体1は、光の照射により発光する。発光する光は、紫外光および赤外光の少なくとも1種が好ましく、紫外光がより好ましい。これを用いた真贋判定方法の詳細は後述するが、本実施形態の熱可塑性樹脂の平板状成形体においては、上記の発光により現れる輝点情報を検出することにより、熱可塑性樹脂の平板状成形体の真贋を識別することができる。
発光体1の熱可塑性樹脂への分散方法は特に限定されないが、一般的には、下記の手順で行うことができる。熱可塑性樹脂と発光体1を混合した材料を作製し、これを溶融混練する。この溶融混練された熱可塑性樹脂と発光体を含む組成物を押出成形等によって、平板状の成形体にする。これにより、発光体1が熱可塑性樹脂に分散した平板状成形体を得ることができる。押出成形による場合は長尺の平板状成形体にした後に、所望の大きさに切断することで、本実施形態の熱可塑性樹脂の平板状成形体10を得ることができる。
本実施形態の熱可塑性樹脂の平板状成形体10に分散された発光体1は、平板状成形体中に分散して存在している。図1の円の中の拡大図は、発光体1の分散状態の一例を示したものである。この分散状態は、上述のような樹脂を溶融して得た場合、意図的に作出されるものではなく、偶発的に作出されるものである。つまり、意図的にその状態を再現することは極めて困難であり、通常、平板状成形体として二つとして存在しえないものである。したがって、このような任意の発光体の分散状態を持つ平板状成形体は、光の照射により、それに応じた発光による輝点の状態(輝点情報)が得られる。これは、分散状態(輝点間の距離またはその分布等)だけではなく、大きさ、発光波長、発光強度等についても同様である。本発明の好ましい実施形態によれば、そのような個別の識別性のある熱可塑性樹脂の平板状成形体を真贋の判定に用いることで、セキュリティ性の観点で、指紋認証に匹敵する、あるいはこれを凌駕する判定が可能となる。なお、図1では発光体1を黒丸で示しているが光を照射しない状態では、発光体は視認できなくてもよい。例えば、光を照射することにより発光し、その輝点が確認できればよい。
<実施形態1に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体>
本発明の好ましい実施形態1に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体(以下、単に「本発明の平板状成形体」と称することがある)は、熱可塑性樹脂の平板状成形体に光を照射し、顕微鏡で観察したとき、熱可塑性樹脂の平板状成形体の平面視における面積46.2cm当たりの特定輝点の数Nが1以上である。
図2は本発明の一実施形態に係る特定輝点の形状を模式的に示したものである。図示した特定輝点は円形を崩した不定形の輪郭を有する。本発明においては、特定輝点の大きさを輝点の最大長Lで評価する。輝点の最大長とは、輝点の輪郭線P上の任意の2点を選択し、この2点を直線で結んだときの距離が最も大きくなるときの距離(長さ)を指す。図2では輝点の最大長Lが補助線で示されている。なお、輝点の形状は図示したものに限られず、円形、楕円形以外にも、矩形のものや、所定の方向に長さのある偏平の形状であってもよい。
輝点の最大長Lは、10μm以上であり、12μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。上限値として具体的には、1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、200μm以下であることが一層好ましく、160μm以下であることがより一層好ましく、140μm以下であることがさらに一層好ましい。輝点の最大長を上記下限値以上とすることで、十分な大きさをもち、漏れがなく精度の良い輝点情報の検出につながり好ましい。上記上限値以下とすることにより、発光体が平板状成形体面に露出することを防ぎ、良好な平板状成形体の外観となるため好ましい。
本実施形態1に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体は、そこに光を照射したときに顕微鏡観察により検出される特定輝点の数が、輝点の数Nにおいて1以上である。Nは、20以上であってもよく、50以上であってもよく、90以上であってもよく、100超であってもよい。輝点の数Nは、熱可塑性樹脂の平板状成形体の平面視における面積で46.2cm当たりに存在する特定輝点の数である。この面積は一般的に取り扱われるカードのサイズを考慮したものである。カードの具体的な寸法としては、85.60mm×53.98mm×0.76mm(縦×横×厚み)のものが挙げられる。上記輝点の数Nが上記下限値以上であることにより、観察視野に十分な数の輝点が検出され、精度の良い輝点の検出が可能となる。Nの上限値としては、1,000,000以下であることが好ましく、500,000以下であることがより好ましく、100,000以下であることがさらに好ましい。Nの上限値を上記の範囲とすることにより、光の照射による発光が面発光となりにくく好ましい。
さらに本実施形態1に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体においては、輝点の数Nが下記式(F1)のNe1以下となる。
輝点の数Nは、熱可塑性樹脂の平板状成形体の平面視において面積で1.4mm当たりに存在する特定輝点の数である。特定輝点については先に述べたことと同義である。輝点の数Nは5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。このNが上記下限値以上であることで、顕微鏡観察において輝点を好適にとらえることができ精度の良い検出を行うことができる。
一方、特定輝点の数NはNe1以下であり、0.8×Ne1以下であることが好ましく、0.6×Ne1以下であることがより好ましく、0.5×Ne1以下であることがさらに好ましい。特定輝点の数Nが上記上限値以下となることで、輝点がまとまって面発光とならず、好適に輝点を検出し解析することができる点で好ましい。
添加する発光体のメジアン径D50は10μm以上であることが好ましい。メジアン径の下限値としてはさらに、12μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。上限値として具体的には、1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、200μm以下であることが一層好ましく、160μm以下であることがより一層好ましく、140μm以下であることがさらに一層好ましい。発光体の大きさを上記下限値以上とすることで、輝点が観察に十分な大きさをもち、発光していない部分との差異を明確にすることができる。上記上限値以下とすることにより、良好な外観を有した平板状成形体の製造が可能となる。
本発明の実施形態1に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体は、後述する実施形態2および実施形態3で規定する要件の1つ以上を満たしていてもよい。
<実施形態2に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体>
本発明の好ましい実施形態2に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体は、発光体のメジアン径D50が10μm以上で平板状成形体の厚みT以下である。顕微鏡で観察したときの発光体のメジアン径は、実施形態1と同様であり、好ましい範囲も同様である。
図3は、本実施形態に係る平板状成形体10について、その厚みTと発光体の大きさLとの関係を模式的に示した断面図である。図示したもののように、本発明の好ましい実施形態に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体10は、平板状成形体の熱可塑性樹脂を主成分とする基部3と発光体1とで構成されている(ただし、本発明の平板状成形体においては、その他の成分を排除するものではないことは言うまでもない)。本実施形態において、発光体1の大きさL(例えば、発光体のメジアン径D50および/または数平均粒子径)は、平板状成形体の厚みTを超えないように設定されている。
一方、図12に示した比較例の平板状成形体90では、平板状成形体基部3の厚みTよりも粒子1の大きさLが大きい例を模式的に示している。つまり、この例は輝点の最大長が平板状成形体の厚みを超える例に対応する。この比較例のように、発光体の大きさLが平板状成形体の厚みTを上回ると、発光体が平板状成形体面に露出し、平板状成形体の外観が著しく悪くなることや、加工上の不具合を引き起こす可能性がある。本実施形態の熱可塑性樹脂の平板状成形体10においては、そのように粒子が平板状成形体面を超えて突出するようなことを抑制することができ好ましい。
また、本実施形態2に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体は、熱可塑性樹脂の平板状成形体の平面視における面積で10,000mm当たりに存在する発光体の含有量をw[g]としたとき、下記の関係式(F2)を満たす。
式中、D50は、発光体のメジアン径[μm]であり、dは発光体の密度[g/mm]である。
ここで、本明細書では式(F2)の中央の項をNと称する(下記式(F3)参照)。
この技術的意義を説明すると、Nはw、D50、dから、10,000mm当たりに含まれる粒子数を算出した値である。式(F3)の値を上記上限値以下と設定したのは、実施例1~4、比較例3~5のデータ等に基づくものである。すなわち、図4は、横軸にN、縦軸に粒子のメジアン径をとり、実施例1~4、比較例3~5をプロットしたものを示す。この図および他の発明者の測定事実に基づき、Nが輝点の測定に好適となる範囲として直線Xに対応する上記の式(F2)の上限の範囲が定められる。式(F3)の下限は、発光体が1超であれば、樹脂成形体毎の個別化が可能であることに基づく。Nの下限値は、5以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、1000以上であることがさらに好ましい。
式(F2)の右の項を本明細書ではNe2と称する(下記式(F4)参照)。
はNe2未満であるが、0.7×Ne2以下であることが好ましく、0.5×Ne2以下であることがより好ましく、0.3×Ne2以下であることがさらに好ましい。Nを上記下限値超とすることで、検出漏れのない精度の高い検出が可能となる。一方、上記上限値を下回るものとすることで、面発光となってしまうことなく、精度よく輝点の検出ができる点で好ましい。
本発明の実施形態2に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体は、上記実施形態1および後述する実施形態3で規定する要件の1つ以上を満たしていてもよい。
<実施形態3に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体>
本発明の好ましい実施形態3に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体は、発光体のメジアン径が、10μm以上、かつ、平板状成形体の厚み以下である。この好ましい範囲は、実施形態1で述べたとおりである。
また、本実施形態3に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体は、熱可塑性樹脂の平板状成形体に光を照射し顕微鏡により観察したとき、下記計測方法で規定される輝点の面積率が60%以下である。
計測方法:画像解析ソフトウエア WinROOF2013(登録商標)を用い、8.07cmとなるよう範囲指定して、モノクロ化を実施する得られた濃淡画像は0~255の階調をもつ濃度値にて表示されている。本濃淡画像に下限閾値24、上限閾値255を設定して濃度値24以上255以下の範囲で「2つの閾値による二値化」を実施し、輝点に該当する白の部分の面積を画像全体の面積で割った値を面積率として求める。
上記輝点の面積率を上記上限値以下とすることにより、面発光となってしまうことなく、精度のよい輝点の検出が可能となる。上記輝点の面積率は、さらに、55%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。下限値としては、1%以上であることが好ましく、10%以上、25%以上であってもよい。上記下限値以上とすることで、漏れのない確実な輝点の検出が可能となり好ましい。
面積率を算出するための画像の取得は、平板状成形体を平らな黒い板の上に置き、暗室内で照明には紫外光を使用し、被写体からレンズの先端までの距離を42mmに保ち、以下の条件で撮影を行うことによる。
絞り値 f/3.2
露出時間 1秒
ISO速度 ISO-80
焦点距離 4 mm
最大絞り 3.34
詳細は後述する実施例の記載に従う。
本発明の好ましい実施形態に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体によれば、発光体による輝点が十分な大きさをもち、その粒子(輝点)間の距離が適切に確保されているため、輝点を検出する際のコントラストが高く優れた識別性を発揮することができる。逆に、発光体(輝点)の間隔が狭くなりすぎると各輝点の周辺部が明るくなるため、コントラストが低下する。輝点の間隔がさらに狭くとなると、輝点が重なり合い全面発光ないしそれに近い状態となり識別性が劣ることとなる。
本発明の実施形態3に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体は、上記実施形態1および実施形態2で規定する要件の1つ以上を満たしていてもよい。
本発明では、さらに、上記実施形態1~3で規定する各要件の2つ以上を組み合わせて満たすことが好ましい。
以下に、上記実施形態1~3に共通する好ましい態様について説明する。
本発明においては、熱可塑性樹脂の平板状成形体の厚みTは特に限定されるものではないが、平板状成形体単独でカード等の製品とする場合には、例えば、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましく、500μm以上、800μm以上であってもよい。上限値としては、10mm以下であることが実際的であり、5mm以下、3mm以下であってもよい。後述する多層体とするような場合には、熱可塑性樹脂の平板状成形体としては薄くてもよく、100nm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。上限値としては、2mm以下であってもよい。
なお、平板状成形体の厚みは、発光体による表面の凹凸があるような場合には、平板状成形体基部3(図3、図12)の厚みをいうこととする。平板状成形体の厚みは、ミツトヨ(Mitutoyo)製デジマチック標準外側マイクロメータを用いて、平板状成形体の押し出し方向、幅方向それぞれ2cm毎に厚みを測定して、その平均値を採用する。
本発明においては、平板状成形体中の発光体の数平均粒子径は、10μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることがさらに好ましい。上限値として具体的には、1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、200μm以下であることが一層好ましく、160μm以下であることがより一層好ましく、140μm以下であることがさらに一層好ましい。樹脂成形体中の発光体の数平均粒子径を上記下限値以上とすることで、輝点が観察に十分な大きさをもち、発光していない部分との差異を明確にすることができる。上記上限値以下とすることにより、良好な外観を有した平板状成形体の製造が可能となる。
樹脂成形体中の発光体の数平均粒子径は、樹脂成形体の任意の面積(例えば、46.2cmの面積)に含まれる発光体の数平均粒子径をいう。発光体が二次粒子となっている場合は、二次粒子を1つの粒子として、数平均粒子径を測定する。前記樹脂成形体の任意の面積は、3か所の平均値とすることが好ましい。
本発明においては、熱可塑性樹脂の平板状成形体の厚みTと発光体の大きさ(D50または数平均粒子径、好ましくは、数平均粒子径)Lとの比率(L/T)が、0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましく、0.2以下であることがさらに好ましい。下限値としては、0.005以上であることが好ましく、0.01以上であることがより好ましく、0.02以上であることがさらに好ましい。この比率(L/T)を上記の範囲とすることで、上記好ましい実施形態をより好適に満たすことができ、精度の良い輝点の検出につなげることができる。
本発明で用いる発光体は、粒子状(発光体粒子)が好ましいが、繊維状等の形態であってもよい。発光体の大きさ(D50または数平均粒子径、好ましくは、数平均粒子径)は、同体積の球相当径として算出される。
熱可塑性樹脂の平板状成形体の厚みTと輝点の最大長(算術平均)Lとの比率(L/T)としても同様の範囲が好ましく、この比率(L/T)が、0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましく、0.2以下であることがさらに好ましい。下限値としては、0.005以上であることが好ましく、0.01以上であることがより好ましく、0.02以上であることがさらに好ましい。この比率(L/T)を上記の範囲とすることで、上記好ましい実施形態をより好適に満たすことができ、精度の良い輝点の検出につなげることができる。
本発明の熱可塑性樹脂の平板状成形体の坪量は特に限定されないが、カード類やパスポートなどの日常携帯されるような厚みのものとする場合には、9.6×10-1g/m以上であることが好ましく、9.6g/m以上であることがより好ましく、9.6×10g/m以上であることがさらに好ましい。上限値としては、9.6×10g/m以下であることが実際的である。本発明の平板状成形体を上述したカード類等に貼付される薄肉のフィルム片とする場合には、9.6×10-7g/m以下であることが好ましく、9.6×10-6g/m以下であることがより好ましく、9.6×10-5g/m以下であることがさらに好ましい。下限値としては、9.6×10-9g/m以上であることが実際的である。
<発光体>
本発明に用いられる発光体を構成する発光体としては、光(例えば、紫外光および赤外光から選ばれる少なくとも1種)の照射により発光するものであれば特に制限されず、好ましくは紫外光等の照射により可視光または赤外光を発光するものが好ましい。
発光体となる化合物として、具体的には、B、F、Mg、Al、Si、P、S、Cl、Na、K、Li、Ca、V、Mn、Cu、Mo、Zn、Sn、Ge、Sr、Y、Ba、La、Bi、W、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選択される元素を含む化合物が挙げられる。なかでも好ましくは、B、F、Mg、Al、Si、P、S、Cl、Ca、V、Mn、Cu、Zn、Ge、Sr、Y、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選択される元素を含む化合物であり、より好ましくはAl、P、Li、Cu、Zn、Sr、Y、Ce、Eu、DyおよびLuからなる群から選択される元素を含む化合物である。発光体を構成する化合物としては、例えば、上記の元素と酸素原子の複合酸化物や、有機基と組み合わせた有機金属化合物などが挙げられる。また、これらの化合物に付活剤を添加したものが挙げられる。
発光体となる化合物として、さらに具体的には、下記式(1)~(3)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
[式(1)]
Ba1-XSnA(0<X<0.4、AはLiまたはNaである)
式(1)で表される化合物としては、下記の組成(i)の原料を次の手順で処理して得られる無機複合金属酸化物が挙げられる。この無機複合金属酸化物は、紫外光で赤外発光する材料として用いることができる。
下記組成(i)の原料を均一に混合した後、大気下にてアルミナ坩堝に充填して電気炉で3時間かけて1450℃まで昇温させ10時間保持する。その後、室温まで冷却する。
組成(i)
BaCO : 1.9537g(0.0099mol)
SnO : 1.5071g(0.01mol)
NaCO・10HO : 0.0286g(0.0001mol)
[式(2)]
CaMoO:M(Mは、Nd3+、Yb3+、およびEr3+からなる群より選択される1種または2種以上のランタン族金属イオンである。)
式(2)で表される化合物としては、下記の組成(ii)の原料を次の手順で処理して得られる無機複合金属酸化物が挙げられる。なお、本明細書においては、主成分である母体結晶とその中に分散した付活剤または発光中心に分け、(:)で繋いで表記する。例えばZnS:Mnの「ZnS」が母体結晶、「Mn」が付活剤となる。
密閉式反応機に下記組成(ii)の原料を均一に混合した後、100℃にて加熱して水分を揮発させる。その後、200℃まで序々に昇温させて有機酸であるクエン酸の分解反応を行わせ、混合物を得る。この混合物を電気炉に入れて900℃にて2時間高温熱処理させる。その後、室温まで冷却する。
組成(ii)
(NH)6Mo 4・4HO : 3.530g(0.02mol)
Nd(NOO・5HO : 0.068g(0.0002mol)
Ca(NO・4HO : 4.722g(0.02mol)
クエン酸 : 4.620g(0.022mol)
水 : 15mL
[式(3)]
SiV10:Nd3+,Er3+
式(3)で表される化合物としては、下記の組成(iii)の原料を次の手順で処理して得られる無機複合金属酸化物が挙げられる。この無機複合金属酸化物は、紫外光で赤外発光する材料として用いることができる。
下記組成(iii)の原料をボールミルにて均一に混合した後、下記3段階の焼成を行う。得られた焼成物は粉砕し、平均粒子径1μm程度の発光体を得ることができる。
〔第1段階〕上記混合物をアルミナ坩堝に充填して大気下、電気炉中で650℃、4時間加熱した後、室温まで冷却して粗粉砕して平均粒子径10μm程度の粒子を得る。
〔第2段階〕次に、第1段階で得られた焼成物を大気下、電気炉で1100℃、4時間加熱した後、室温まで冷却して粗粉砕して平均粒子径3μm程度の粒子を得る。
〔第3段階〕次に、第2段階で得られた焼成物を大気下、電気炉で600℃、2時間加熱した後、室温まで冷却する。
組成(iii)
: 49.68g(0.22mol)
SiO : 12.02g(0.20mol)
: 37.85g(0.21mol)
Nd : 0.336g(0.001mol)
Er : 0.114g(0.0003mol)
本発明においては、発光体として、特定の光で発光する発光体を用いることが好ましく、なかでも可視光または赤外光を発光するものであることが好ましく、可視光を発光するものであることがより好ましい。なお、本明細書において紫外光とは波長10nm~400nm(好ましくは50nm~350nm)の電磁波を言い、可視光とは波長360nm~830nm(好ましくは410~690nm)の電磁波を言い、赤外光とは波長700nm~1,000,000nm(好ましくは880nm~1,000nm)の電磁波を言う。
紫外光で発光する発光体としては、紫外光により励起され、これよりも低いエネルギー準位に戻るときに発するスペクトルのピークが青、緑、赤等の可視光の波長域にあるものが挙げられる。具体的には、硫化亜鉛やアルカリ土類金属の硫化物などの高純度蛍光体に発光をより強くするために微量の金属(銅、銀、マンガン、ビスマス、鉛など)を付活剤として加え高温焼成して得られるものが挙げられる。紫外光で発光する発光体は、母体結晶と付活剤の組み合わせにより色相、明るさ、色の減衰の度合いを調整することができる。具体例としてはCaCl:Eu2+、CaWO、ZnO:Zn、ZnSiO:Mn、YS:Eu、ZnS:Ag、YVO:Eu、Y:Eu、GdS:Tb、LaS:Tb、YAl12:Ce、Sr(POCl:Eu、3(Ba,Mg)O・8Al:Eu、ZnGeO:Mn、Y(P,V)O:Eu、0.5MgF・3.5MgO・GeO:Mn、ZnS:Cu、ZnS:Mnなどがあり、これらを単体、またはこれらから数種類を任意に選択して混合して使用することができる。これらの蛍光スペクトルはピークを青、緑、赤等の可視光の波長域以外に持つものであり、所望の蛍光スペクトルに応じて適宜選択することができる。
発光体としては、赤外光で発光する発光体も用いることができる。具体的には、赤外光(約800~約1200nm)で励起し可視光(約400~約800nm)を発光する発光体と、赤外光(約800~約900nm)で励起しより長波長の赤外光(約980~約1020nm)で発光するものがある。前者の発光体は、非常に特殊な励起機構を持つ蛍光体であり、エネルギーの小さな赤外線の光子を複数個用いて可視発光の励起を行なう。この励起機構は2つのタイプがあり、一方は付活剤イオンの中の他段階の励起により励起する、Er3+やHo3+(希土類)等を付活剤とする多くの母体結晶で観測されるものと、他方は増感剤からの複数回の共鳴エネルギー伝達、つまり増感剤Yb3+が赤外線を吸収し多段階のエネルギー伝達により発光中心のEr3+、Tm3+、Ho3+等を高い準位に励起するものがある。具体例としてはYF:Yb+Er、YF:Yb+Tm、BaFCI:Yb+Erなどがある。
後者は、その組成がLiNd0.9Yb0.112、LiBi0.2Nd0.7Yb0.112、Nd0.9Yb0.1Nd(MoO、NaNd0.9Yb0.112、Nd0.8Yb0.2Na(WO、Nd0.8Yb0.2Na(Mo0.50.5、Ce0.05Gd0.05Nd0.75Yb0.15Na(W0.7Mo0.3、Nd0.9Yb0.1Al(BO、Nd0.9Yb0.1Al2.7Cr0.3(BO、Nd0.6Yb0.414Nd0.8Yb0.2(PO等がある
本発明において発光体として用いることができる化合物としては、例えば、特開2015-168728号公報の段落0019、0090~0097の記載等、特開平10-129107号公報の段落0033、0034、0069等を参照することができ、これらの記載を本明細書に組み込む。
本発明の発光体は光の照射によって、平板状成形体中の発光体が発光する。なかでも、上記のとおり、光の照射によって発光体が発光し、可視光または赤外光が返される態様が好ましい。このように、可視光以外の電磁波の照射によって発光することで、平板状成形体の色の状態を目視によって認識されることがなく、情報の拡散や、安易な偽造を防ぐことができる。一方、光の照射により可視光を発光させる態様とすれば、この段階で偽造品であるか、真贋の確認を簡便に行うことができる。
発光体の密度は、0.0001g/mm以上であることが好ましく、0.001g/mm以上であることがより好ましい。また、0.01g/mm以下であることが好ましく、0.008g/mm以下であることがより好ましい。
本発明の平板状成形体に用いられる発光体の含有量は、平板状成形体を形成するための熱可塑性樹脂組成物中の固形分中で、1×10-4質量%以上であることが好ましく、5×10-4質量%以上であることがより好ましく、1×10-3質量%以上であることがさらに好ましい。上限値としては、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。ここで固形分とは、平板状成形体を形成する樹脂組成物全体の重量をいう。
本発明の平板状成形体に用いられる発光体の含有量は、熱可塑性樹脂との比率で規定すると、熱可塑性樹脂の平板状成形体100質量部に対して、1×10-4質量部以上であることが好ましく、5×10-4質量部以上であることがより好ましく、1×10-3質量部以上であることがさらに好ましい。上限値としては、5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以下であることがさらに好ましい。
発光体は1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
平板状成形体中の発光体の含有量の計測方法としては、平板状成形体製品の元素分析等により熱可塑性樹脂と発光体の質量を求めてもよいが、製造段階での情報があるのであれば、製造時に製造装置に投入する熱可塑性樹脂等の質量と発光体の質量から求めてもよい。ただし、製造段階の処方が不明で、平板状成形体中の熱可塑性樹脂の質量を平板状成形体から求めるとき、これと他の有機成分とを区別して計測することが難しいときは、平板状成形体中の有機化合物の総質量に対する発光体の質量の割合として評価してもよい。
平板状成形体中の発光体の含有量を上記上限値以下とすることで、平板状成形体の透明性が低下して発光色が不鮮明となることを防ぐことができる。また、発光体の輝点が近接しすぎずに済み照合・判定に適合する。発光体の含有量を上記下限値以上とすることで、検出器での検出が困難となることを防ぐことができる。また、発光体の輝点が疎になって分散しすぎることを防ぎ、識別性のある分布を有する輝点情報とすることができ、検出および判定に資するものである。
<熱可塑性樹脂>
本発明の平板状成形体は、その連続層(基部)が、熱可塑性樹脂で構成されていることが好ましい。本発明の平板状成形体の製造方法は特に限定されないが、平板状成形体の成形に適した樹脂組成物を用いて成形されたものであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、なかでも、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、分子主鎖中に炭酸エステル結合を含む-[O-R-OCO]-単位(Rは、脂肪族基、芳香族基、または脂肪族基と芳香族基の双方を含む基であり、脂肪族基は直鎖構造でも分岐構造でもよい)を含むことが好ましい。本発明においては、各平板状成形体が芳香族ポリカーボネート樹脂を含むことが特に好ましい。
ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、20,000~80,000が好ましく、21,000~50,000がより好ましく、22,000~40,000がさらに好ましい。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、120℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。上限としては、160℃以下であることが好ましく、155℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。
ポリエステル樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂であっても、結晶性ポリエステル樹脂であってもよい。
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、PETG樹脂およびPCTG樹脂が挙げられる。
PETG樹脂は、テレフタル酸単位を主とするジカルボン酸単位、エチレングリコール単位、および1,4-シクロヘキサンジメタノール単位を主とするグリコール単位からなるポリエステルコポリマーであり、1,4-シクロヘキサンジメタノール単位が、モル基準で全てのグリコール単位の50%未満を占める。テレフタル酸単位は、これが全てのジカルボン酸単位を占めることが好ましい。
また、PCTG樹脂は、テレフタル酸単位を主とするジカルボン酸単位、エチレングリコール単位、および1,4-シクロヘキサンジメタノール単位を主とするグリコール単位からなるポリエステルコポリマーであり、1,4-シクロヘキサンジメタノール単位が、モル基準で全てのグリコール単位の50%以上を占める。テレフタル酸単位は、これが全てのジカルボン酸単位を占めることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトンが挙げられる。
熱可塑性樹脂においては、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とを組み合わせても、ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂と他の熱可塑性樹脂とを組み合わせても、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂と他の熱可塑性樹脂とを組み合わせてもよい。本発明においては、ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂(好ましくはポリカーボネート樹脂)が熱可塑性樹脂全体の50質量%以上を占めることが好ましく、60質量%以上を占めることがより好ましく、80質量%以上を占めることがさらに好ましく、90質量%以上であってもよい。上限としては特に制限されず、ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂が100質量%であってもよい。ポリカーボネート樹脂は1種を用いても複数のものを用いてもよい。ポリエステル樹脂についても、1種を用いても複数のものを用いてもよい。いずれも複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となる。
平板状成形体を構成する樹脂を樹脂組成物とする場合は、上述の成分に加えて、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、離型剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。あるいは、本発明の効果を損なわない限り、紫外光吸収剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、防曇剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等の添加剤を含有してもよい。熱可塑性樹脂における上述したような添加剤の含有量は、熱可塑性樹脂全体の質量を基準として、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。下限値としては、0質量%であってもよい。
<酸化防止剤>
本発明の平板状成形体は、酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられ、リン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤(より好ましくはヒンダードフェノール系酸化防止剤)が好ましく、リン系酸化防止剤がより好ましい。 リン系酸化防止剤としての好ましいホスファイト系安定剤としては、以下の式(1)または(2)で表されるホスファイト化合物が好ましい。
(式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素原子数1~30のアルキル基または炭素原子数6~30のアリール基を表す。)
(式(2)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数6~20のアリール基または炭素原子数1~20のアルキル基を表す。)
上記式(1)中、R、Rで表されるアルキル基は、それぞれ独立に、炭素原子数1~10の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましい。R、Rがアリール基である場合、以下の式(1-a)、(1-b)、または(1-c)のいずれかで表されるアリール基が好ましい。
(式(1-a)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1~10のアルキル基を表す。式(1-b)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1~10のアルキル基を表す。)
酸化防止剤の詳細は、特開2017-031313号公報の段落0057~0061の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.005質量部以上であり、より好ましくは0.007質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上である。また、酸化防止剤の含有量の上限値は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.4質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下、一層好ましくは0.1質量部以下である。 酸化防止剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<平板状成形体の成形>
本発明の平板状成形体において、樹脂ないし樹脂組成物から平板状成形体として成形する方法は特に限定されず、適宜常法を採用することができる。たとえば、押出成形、キャスト成形による方法が挙げられる。押出成形の例としては、樹脂組成物のペレット、フレークあるいは粉末を押出機で溶融、混練後、Tダイ等から押出し、得られる半溶融状のフィルム(平板状成形体)をロールで挟圧しながら、冷却、固化してフィルム(平板状成形体)を形成する方法が挙げられる。多層体とする場合には、フィルム(平板状成形体)を積層させるよう共押出成形することが挙げられる。このように、共押出成形を用いて多層体を製造すると、接着剤を用いて接着層を形成しつつ積層させる製法、塗料を用いて塗膜層を形成する製法等に比べて、効率的に多層体を製造することができる。
本発明の平板状成形体の平面視での大きさは特に限定されるものではないが、上述したように、カード類やパスポートとして使用する場合には、サイズに関して、カードでは85.60mm×53.98mm、パスポートでは91mm×128mmが一般的である。具体的には、1辺が5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましく、20mm以上であることがさらに好ましく、40mm以上、60mm以上、70mm以上であってもよい。上限値としては、150mm以下であることが実際的である。また、平板状成形体はほぼ長方形であることが好ましい。熱可塑性樹脂の平板状成形体をカード類等の一部に貼付する小さなものとする場合には、1辺が20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。下限値としては10μm以上であることが実際的である。
<多層体>
図5は本発明の好ましい実施形態として、図1の平板状成形体の一例として熱可塑性樹脂フィルムを基材に積層した例を示している。本実施形態の多層体20は、基材12の上に熱可塑性樹脂フィルム11が積層されている。この熱可塑性樹脂フィルム11を上述の本発明に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体とすることができる。したがって、熱可塑性樹脂フィルム11は上記図1で示したものと同様に、特定の含有量で特定の大きさをもつ発光体が内部に分散されている。これにより、光の照射により、指紋認証と同様あるいはそれ以上の識別が可能となっている。
基材12の特徴は特に限定されないが、上述した熱可塑性樹脂ないしその組成物で構成された透明フィルムであってもよい。その他、紙等による無地の台紙となっていたり、有彩色の樹脂フィルムであったり、他の蛍光フィルムと組み合わせたものであったりしてもよい。
このように積層体とする場合には、図1の識別情報(情報デザイン)を上面と下面のどちらに付与しても構わない。本実施形態において、上面に識別表示を付与するのであれば、熱可塑性樹脂フィルムとの組合せで、図1と同様の効果が得られる。下面の基材に識別表示を付与するのであれば、上面において熱可塑性樹脂フィルムの表面を遮ることがないため、光の照射にあたって、これに影響することがなく好ましい。
本発明の多層体は図示したものに限定されるものではない。例えば、熱可塑性樹脂フィルム/基材フィルム/熱可塑性樹脂フィルムの三層構造としてもよいし、それ以上に積層させた構造としてもよい。また、光遮蔽層を設けてもよい。
多層体の厚みや平面視の大きさは特に限定されるものではないが、その好ましい範囲は、上記熱可塑性樹脂フィルムの厚みや大きさとして説明した寸法と同様である。
<真贋判定方法>
本発明の多層体は、これを用いた真贋判定方法に好適に利用することができる。本発明の好ましい実施形態に係る真贋判定方法を図6にフローチャートにして示している。本実施形態の真贋判定方法では、上述した本発明に係る熱可塑性樹脂の平板状成形体に、特定の光を照射して、その発光により作出された輝点に関する情報(輝点情報)を検出することを含む。光は上記で述べたものと同じであり、好ましい範囲も同様である。輝点は上記発光体に光を照射したときに発せられる光により生じるものである。したがって、輝点の大きさや分布等は、平板状成形体内の発光体の種類や分布等により決定される(ただし、一部の発光体の発光を遮って、または何らかの理由により発光が遮られて、部分的に輝点が得られる状態であってもよい。)。
輝点情報としては、例えば、輝点の大きさ、輝点の発光波長、輝点の発光強度および輝点の位置情報(分布、間隔、配置等)等が挙げられる。輝点の大きさ、発光波長、発光強度、位置情報等(以下、大きさ等)は上述した発光体の大きさ等に即して定まるものであり、概ね発光体の大きさや種類、配置状態によって決定される。したがって、輝点の好ましい大きさ等は、発光体の好ましい大きさやその分布、種類として規定した内容に準じて定まる範囲であることが好ましい。ただし、上述したとおり、一部の発光体の発光は意図的に、あるいは偶発的に遮られてもよい。例えば、検出装置にとって不要な部分について、意図的に発光体の発光を遮ることにより、検出の精度を高めることができる。
本発明の方法では、発光体からの発光を漠然と検知するのではなく、輝点を情報として体系的に読み取って検出する。それにより、上述したように、指紋認証と同様あるいはそれ以上の識別が可能となる。指紋は焼けど等により損傷したり、読み取りにくい状態になったりすることがある。その点を考慮すれば、指紋認証以上の精度となることも考慮される。このような輝点情報をより精度よく検出するために、輝点の距離は近くなりすぎず、個々の輝点が分離しており、かつ、所定の大きさの範囲で過度の偏りなく検知されることが好ましい。この点は、輝点情報をコンピュータで画像ソフト等を介して自動解析し予め登録された輝点情報のデータベースと照合する場合に重要になる。例えば、検出した輝点情報を、輝点のある部分を白とし、それ以外の部分を黒として、座標ごとに白/黒の二値表示した場合、白黒の区別に読み取り不良がでれば、それは誤った判定につながってしまう。本発明の好ましい実施形態によれば、そうしたことを抑制ないし防止しうる。つまり、発光体の含有量と大きさの分布が規定されているため、検知される輝点が近くなりすぎることが効果的に防止されている。その結果、高い精度の検出および画像解析を通じた真贋の判定につなげることができる。特に、予め登録された輝点情報が膨大な量に及ぶ場合に、その効果は顕著となる。なお、輝点情報の検出は、機械的にセンサーなどで行ってもよいが、人が目視で確認してもよい。次に説明する真贋の判定も同様であり、コンピュータなどによって機械的に行ってもよいが、人が判断してもよい。
本発明の好ましい実施形態に係る真贋判定方法では、上記で検出した輝点情報が真正な輝点情報か、つまり熱可塑性樹脂の平板状成形体や多層体が偽造されたものではないかを判定する。これが真正な輝点情報に該当すれば、真贋の試験をされた熱可塑性樹脂の平板状成形体等は真正物と判定され(図6のYes)、そうでなければ偽造物と判定される(図6のNo)。上記の判定には、真正な輝点情報を予め多数登録し格納した真正発光データベース(真正発光DB)を用いることが好ましい(図7)。
上記熱可塑性樹脂の平板状成形体を用いた本発明の真贋判定方法の一致率、すなわち予め登録した輝点情報と事後的に検出した輝点情報とが一致する確率(一致する輝点情報の数/検定した輝点情報の数)は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。上限値としては特に限定されず、検定した回数によっては100%となってもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、好ましくは、犯罪捜査に適用される指紋認証システムに匹敵する一致率と同等とすることも可能である。輝点情報の具体的な検出および判定の項目は特に限定されないが、例えば、輝点の大きさ、輝点の発光波長、輝点の発光強度および輝点の位置情報(輝点間の距離およびその分布等)等が挙げられる。
<真贋判定方法の利用態様>
図8は本発明の真贋判定方法を利用したカードAの利用態様の全体像を示したフローチャートである。本実施形態の利用態様では、まず、発光体を分散させたカードを製造する(製造過程)。この製造過程では、例えば、上述したような、樹脂中に発光体を分散し、押出等により平板状成形体を成形する方法が適用される。
次いで、製造されたカードAに光を照射し、カードAからの発光で作出される輝点情報を読み取る。輝点情報は、これを多数登録した真正発光データベース(真正発光DB)を格納する記録装置に送られ、ここに記録し格納される(登録過程)。真正発光データベースは多数の輝点情報を格納するため、大容量のサーバあるいはクラウドサービスプラットフォームに設けられることが好ましい。
次いで、輝点情報が登録されたカードAは、流通下に置かれる(流通過程)。例えば、金融機関のカードAであれば、口座情報がカード内に印字ないし磁気的に書き込まれ、ユーザーに引き渡される。この間にカードAは偽造のリスクにさらされることとなる。
所定の時期に、カードAはその識別ないし認証を求められることがある。例えばカードAが金融情報を格納したカードであれば、偽造されたものではないかを確認し、カードAの所持者に融資等をすることがありえる。したがって、このカードAが真正なものか否かの見極めは、極めて重要な確認事項となる。このとき、本実施形態の使用態様では、カードAに光を照射し輝点情報を検出し(検出過程)、非破壊の方法で、検出された輝点情報を真正発光データベースの情報と照合し(照合過程)、検出された輝点情報とデータベース内の輝点情報とが一致するかの判定を行う(判定過程)。この、検出過程、照合過程、判定過程は、図6および図7で示した態様と同様である。本フローチャートに基づいて補足しておくと、このユーザーに引き渡されたカードAの輝点情報は、予め真正発光データベースに登録されており(登録過程)、その輝点情報を同データベースから引き出して照合している(照合過程)。このようにしてデータベースを介して、時間を隔てて、同一のカードAの輝点情報が照合されるため、その不一致は本来起きるはずがなく、実質的にないこととなる(ここで、実質的にとは、人為的な手違い等がなければ全くないことを意味し、具体的には、不一致の発生頻度として1%未満であることをいう)。それでもなお、照合過程で不一致(No)となるということは、流通過程でカードの破損や偽造が行われた蓋然性が高いことを意味する。破損は過失によるものであるが、偽造は故意になされた犯罪行為であり、厳に取り締まられなければならない。場合によっては、金融機関の多額の損害に繋がりかねない。
なお、本発明が図8の説明によって限定されるものではない。例えば、当然であるが、本発明が同図のフローの全てを包含している必要はない。また、同図に示した検出、照合、および判定過程を含め、それ以外の製造や流通の過程の態様により、本発明が限定して解釈されるものではない。
<真贋判定システム>
図9は、本発明の好ましい実施形態に係る真贋判定システムの構成図である。本実施形態においては、熱可塑性樹脂の平板状成形体10に光源(光照射部)51から光C1を照射している。この特定の光の好ましい範囲は、上記で説明した光と同じである。熱可塑性樹脂の平板状成形体が上記光の照射を受け、多層体を発光させ、その発光C2を光センサー(検出部)52で検出している。上記光源51と検出部52はコンピュータ(制御部/真贋判定部)53に接続され、その制御下で動作させられている。本実施形態のシステムにおいて、真贋判定装置は上記の光照射部51、検出部52、およびコンピュータ53で構成されている。
本実施形態のシステムにおいてコンピュータ53が、そこにインストールされた画像解析ソフト(例えば、WinROOF2013(登録商標)、三谷商事株式会社)を介して、前記熱可塑性樹脂の平板状成形体から発せられた輝点情報が、予め登録された真正な輝点情報であるかを判定する。このとき、コンピュータ53は外部ネットワーク57に接続され、外部ネットワーク上に設けられた真正発光データベースと通信できるようになっている。そのため、巨大なデータ(ビッグデータ)でも対応ができるようになっており、包括的かつ正確、迅速な判定が可能なシステムとなっている。本システムにおける好ましい判定の手順は、真贋判定方法で示したフローチャート(図6、図7)と同じであり、好ましい利用態様も図8に示したものと同じである。ただし、本実施形態の真贋判定システムでは、検出および判定を人の目によることを前提とせず、検出部およびコンピュータによって行っている。
さらに、本実施形態のシステムは、判定結果を表示する画像表示手段54、判定結果やその分析結果を印字することができる印刷手段55、判定結果を記録媒体に記録しておくための媒体記録手段56等と接続され、全体がコンピュータにより制御されたシステムとされている。
なお、本実施形態の装置は、光源(光照射部)51、光センサー(検出部)52、コンピュータ(制御部/真贋判定部)53で構成され、画像表示手段54、印刷手段55、媒体記録手段56、外部ネットワーク57等を含むときにはシステムと呼び、用語を区別している。記録媒体としては、例えば、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
本発明が同図の構成によって限定して解釈されるものではないことは言うまでもない。
<真贋判定プログラム>
本発明の好ましい実施形態に係る、コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムは、図6、図7のフローチャートに示した手順を順次進めていくようプログラミングされている。具体的には、熱可塑性樹脂の平板状成形体または多層体(熱可塑性樹脂の平板状成形体等)が発した輝点情報を読み取るステップと、前記検出された輝点情報が、真正な輝点情報であるか否かを判定する真贋の判定ステップとを含み、これらの動作をコンピュータに実行させるためのプログラムとなっている。
さらに図6に基づいて一連の工程で実施態様を説明すると、プログラムが開始されると、所定の装置を介して熱可塑性樹脂の平板状成形体等に光が照射される。光は前記で規定されたとおりであり、好ましい範囲も同様である。次いで、熱可塑性樹脂の平板状成形体等から発せられた発光(好ましくは可視光領域の発光)により作出される輝点情報を検出する。このときの検出は、目視によって行い、その結果をインプットしてコンピュータに送ってもよいが、コンピュータにつながれた光センサー(検出部)によって行われることが好ましい。次いで、検出された輝点情報が熱可塑性樹脂の平板状成形体の真正な輝点情報かを判定する。真正な輝点情報は上述のとおり、製造段階またはその後に、予め、光を熱可塑性樹脂の平板状成形体等に照射し、そこから発せられる輝点情報を検出することで登録されている。検出された輝点情報が予め登録されたものと一致し、その情報が真正と判断されれば(図6のYes)、試験された熱可塑性樹脂の平板状成形体等は真正物と判定される。そうでなければ(図6のNo)、偽造物と判定される。
本発明のプログラムの好ましい実施形態においては、真正発光データベースを利用した判定が行われることが好ましい(図7)。すなわち、前記判定ステップでは、検出された熱可塑性樹脂の平板状成形体から発せられる輝点情報を、真正な発光を多数記録した真正発光データベース(真正発光DB)に照会し、該当する平板状成形体の輝点情報がデータベース内に存在し、その真正な輝点情報と検出された輝点情報とが一致する場合には、熱可塑性樹脂の平板状成形体が真正物であると判定する。真正な輝点情報と検出された輝点情報とが一致しない場合には、熱可塑性樹脂の平板状成形体が偽造物であると判定する。このとき、真正発光データベースは本プログラム内にデータ構造として記録格納されていてもよいが、サーバやクラウドサービスプラットフォームなど、本プログラムとは別の場所に別の形で保持しておくことも好ましい。
データベース内の輝点情報の数は特に限定されないが、本発明の効果が顕著になる観点からは、例えば、百万件以上であることが好ましく、一千万件以上であることがより好ましく、一億件以上であることがさらに好ましい。ビッグデータとしてスーパーコンピューター等によりデータを保有するような場合には、さらに十億件以上であることが好ましく、百億以上であることがより好ましく、一千億以上であることがさらに好ましい。上限値としては、特に限定されず、クラウドコンピューティング等を利用する場合には事実上無限大のデータを扱うことも可能である。
<用途>
本発明の熱可塑性樹脂の平板状成形体および多層体は、IDカード、パスポート(特に、パスポート用データ頁)、非接触型ICカード、セキュリティカード等のカード類として好適に用いられる。ただし、その用途が限定されるものではなく、製品のタグや、流通情報、個人データ管理、防犯システムなど、偽造の防止が望まれる分野で広く活用することができる。
以下、実施例を示して本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
<フィルムの製造>
表1に記載の樹脂組成物RE1を用いて、以下のように試験片のフィルムFL1を製造した。
バレル直径32mm、スクリューのL/D=31.5の二軸押出機からなるTダイ溶融押出機を用い、吐出量20kg/h、スクリュー回転数200rpmで幅300mmの鏡面フィルムを成形した。シリンダー・ダイヘッド温度は、280℃鏡面のものを製造した。
さらに樹脂組成物RE2~RE10を用いて、FL1と同様の方法でFL2~FL10を製造した。
上記において、各成分は、質量部である。
*1 三菱エンジニアリングプラスチックス社製 「E-2000F」
*2 根本特殊化学社製 「N夜光 Gシリーズ」(組成SrAl:Eu,Dy)のうち、表2または表3に示すメジアン径(D50)を有するものを用いた。
・G-300F:メジアン径(D50)16μm
・G-300C:メジアン径(D50)36μm
・G-300L160:メジアン径(D50)137μm
・G-300FF:メジアン径(D50)4μm
*3 株式会社ADEKA社製 「AS2112」
<評価>
得られたフィルムについて、各項目の算定および測定を行った。結果を表2または表3に記載の各実施例および各比較例として示している。実施例4および比較例4の顕微鏡像をそれぞれ図10および図11に載せる。
:フィルム(平板状成形体)における46.2cmの面積当たりの特定輝点の数(特定輝点:最大長が10μm以上フィルム(平板状成形体)の厚み以下の大きさの輝点)
:フィルム(平板状成形体)における1.4mmの面積当たりの特定輝点の数(特定輝点:最大長が10μm以上フィルムの厚み以下の大きさの輝点)
w:フィルム(平板状成形体)に10,000mmの面積当たりに存在する発光体の含有量[g]
wは、表記の便宜から1000倍に桁数を調整して表示している。
、Neは表記の便宜から1000分の1に桁数を落として表示している。
[輝点の最大長Lの測定方法]
実施例および比較例のフィルム(平板状成形体)に光(本実施例では、紫外光)を照射した状態で顕微鏡を用い、46.2cmの範囲を観察して、確認された輝点の最大長Lを測定した。
輝点の最大長Lとは、輝点の輪郭線P上の任意の2点を選択し、この2点を直線で結んだときの距離が最も大きくなるときの距離(長さ)である。顕微鏡と画像処理ソフトを用いて輝点一つずつの最大長Lを測定した。
顕微鏡は、Nikon社製 ECLIPSE LV100NDを、画像処理ソフトは、NIS-Elements Dを用いた。
[輝点の数Nの計測方法]
実施例及び比較例のフィルム(平板状成形体)に光(本実施例では、紫外光)を照射した状態で顕微鏡を用い、46.2cmの範囲を観察した。画像処理ソフトを用いて粒子の最大長を計測しながら、範囲内に存在する最大長が10μm以上フィルム(平板状成形体)の厚み以下の大きさの輝点(特定輝点)となる粒子の個数を計測した。
顕微鏡は、Nikon社製 ECLIPSE LV100NDを、画像処理ソフトは、NIS-Elements Dを用いた。
[フィルム(平板状成形体)の厚みTの測定方法]
ミツトヨ(Mitutoyo)社製デジマチック標準外側マイクロメータを用いて、フィルム(平板状成形体)の押し出し方向、幅方向のそれぞれ2cm毎に厚みを測定して、その平均値を採用した。
[発光体粒子の含有量wの求め方]
フィルム(平板状成形体)製造時に製造装置に投入する熱可塑性樹脂等の質量と発光体粒子の質量から求めた。
[発光体粒子のメジアン径D50の測定方法]
添加する発光体粒子のメジアン径は、JIS Z8825:2013に準拠して測定した。
測定装置は、Malvern社製 Mastersizer 3000を用いた。
[発光体の密度dの算定方法]
ISO R1183に準拠して測定した。
[輝点の面積率の計測方法]
平板状成形体を平らな黒い板の上に置き、暗室内で照明には紫外光を使用し、被写体からレンズの先端までの距離を42mmに保ち、以下の条件で撮影を行い、画像を取得した。
絞り値 f/3.2
露出時間 1秒
ISO速度 ISO-80
焦点距離 4 mm
最大絞り 3.34
画像の取得には、Canon社製 PowerShot SX620 HSを使用した。
画像解析ソフトウエア WinROOF2013(登録商標)を用い、8.07cmとなるよう範囲指定して、モノクロ化を実施した。得られた濃淡画像は0~255の階調をもつ濃度値にて表示されている。本濃淡画像に下限閾値24、上限閾値255を設定して濃度値24以上255以下の範囲で「2つの閾値による二値化」を実施し、輝点に該当する白の部分の面積を画像全体の面積で割った値を面積率として求めた。
[輝点発光観察による評価]
良好:輝点の検出に適した輝点の適度な大きさと分散状態が得られた
観測不可:輝点がその検出に十分な大きさまたは数で捉えられなかった
面発光:輝点どうしの境界が連続し検出に不適切な状態で面状に発光していた
[フィルム(平板状成形体)外観]
良好:フィルム(平板状成形体)の表面に異物がない
不良:フィルム(平板状成形体)の表面に異物がある
[総合評価]
[輝点発光観察による評価]が良好かつ、[フィルム(平板状成形体)外観]が良好だった場合をA、それ以外をBとした。
1 発光体
2 識別表示(識別デザイン)
3 フィルム基部
10、11、90 熱可塑性樹脂フィルム
12 基材
20 多層体
51 光源(光照射部)
52 光センサー(検出部)
53 コンピュータ(制御部/真贋判定部)
54 画像表示手段
55 印刷手段
56 媒体記録手段
57 外部ネットワーク
C1 照射光
C2 発光

Claims (15)

  1. 光を照射したとき発光する発光体を含む、熱可塑性樹脂の平板状成形体であって、
    前記熱可塑性樹脂の平板状成形体に光を照射し、顕微鏡で観察したとき、下記輝点の数N0が1以上であり、下記輝点の数N1が下記式(F1)で表されるNe1以下であり、
    前記発光体のメジアン径が、10μm以上、かつ、平板状成形体の厚み以下であり、
    前記熱可塑性樹脂の平板状成形体10,000mm 2 当たりの前記発光体の含有量をw[g]としたとき、下記の関係式(F2)を満たし、
    下記計測方法Xで規定される輝点の面積率が60%以下である、熱可塑性樹脂の平板状成形体;
    Figure 0007457313000015
    0 :熱可塑性樹脂の平板状成形体の平面視における面積46.2cm 2 当たりの特定輝点の数;
    1 :熱可塑性樹脂の平板状成形体の平面視における面積1.4mm 2 当たりの特定輝点の数;
    50 :発光体のメジアン径[μm];
    特定輝点:最大長が10μm以上であり平板状成形体の厚み以下である輝点;
    Figure 0007457313000016
    式中、D 50 は発光体のメジアン径[μm]であり、dは発光体の密度[g/mm 3 ]である;
    計測方法X:画像解析ソフトウエア WinROOF2013(登録商標)を用い、8.07cm 2 となるよう範囲指定して、モノクロ化を実施する;得られた濃淡画像は0~255の階調をもつ濃度値にて表示されている;本濃淡画像に下限閾値24、上限閾値255を設定して濃度値24以上255以下の範囲で2つの閾値による二値化を実施し、輝点に該当する白の部分の面積を画像全体の面積で割った値を面積率として求める。
  2. 光の照射により発光体から発せられる光が、可視光または赤外光である、請求項1に記載の平板状成形体。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の平板状成形体。
  4. 前記発光体がB、F、Mg、Al、Si、P、S、Cl、Na、K、Li、Ca、V、Mn、Cu、Mo、Zn、Sn、Ge、Sr、Y、Ba、La、Bi、W、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選択される元素を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の平板状成形体。
  5. 真贋の判定に用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の平板状成形体。
  6. 発光体に照射する光が、紫外光および赤外光の少なくとも1種である、請求項1~のいずれか1項に記載の平板状成形体。
  7. 前記平板状成形体が、フィルム、シートまたはカードである、請求項1~のいずれか1項に記載の平板状成形体。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の平板状成形体を有する多層体。
  9. さらに、光遮蔽層を有する、請求項に記載の多層体。
  10. セキュリティカードである、請求項またはに記載の多層体。
  11. パスポート用データ頁である、請求項またはに記載の多層体。
  12. 請求項1~のいずれか1項に記載の平板状成形体あるいは請求項11のいずれか1項に記載の多層体に光を照射することと、光を照射したときに現れる輝点情報を検出することとを含む、真贋判定方法。
  13. 前記輝点情報が、輝点の大きさ、輝点の発光波長、輝点の発光強度および輝点の位置情報から選ばれる少なくとも1つである、請求項12に記載の真贋判定方法。
  14. 請求項1~のいずれか1項に記載の平板状成形体あるいは請求項11のいずれか1項に記載の多層体と、
    請求項1~のいずれか1項に記載の平板状成形体あるいは請求項11のいずれか1項に記載の多層体に光を照射する光照射部と、
    光の照射により検出される輝点情報が真正であることを判断する真贋判定部と
    を有する真贋判定システム。
  15. コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、
    請求項1~のいずれか1項に記載の平板状成形体あるいは請求項11のいずれか1項に記載の多層体に光を照射したときに検出される輝点情報を読み取るステップと、
    前記読み取った輝点情報が真正な輝点情報を示すことを判断する真贋判定ステップとを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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