JP7442468B2 - 制御装置、衛星通信システム、制御方法、及び、制御プログラム - Google Patents
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Description
複数の受信アンテナ素子と、
複数の送信アンテナ素子と、
前記複数の受信アンテナ素子それぞれと、前記複数の送信アンテナ素子それぞれとを結ぶ複数の信号伝送経路に1対1で対応する複数の素子系統と、
前記複数の信号伝送経路を変更するスイッチ機能を有する少なくとも1つのスイッチ機能部と
を備える中継器を搭載している人工衛星の前記中継器を制御する制御装置であって、
前記複数の素子系統が故障している機器である故障機器を有する素子系統である故障素子系統を含む場合に、前記複数の素子系統それぞれが前記中継器の通信全体に寄与する度合いを示す寄与率を素子系統ごとに求め、求めた寄与率のうち相対的に低い寄与率に対応する素子系統を低寄与素子系統として判定する寄与率判定部と、
前記低寄与素子系統が前記故障素子系統とは異なる場合に、前記故障素子系統に対応する受信アンテナ素子と送信アンテナ素子とを結ぶ新たな信号伝送経路が構成されるよう前記少なくとも1つのスイッチ機能部の少なくともいずれかを制御する指示を示す制御コマンドを生成するテレメトリコマンド制御部と
を備え、
前記新たな信号伝送経路は、前記低寄与素子系統に対応する信号伝送経路を用い、かつ、前記故障機器を回避する。
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る衛星通信システム90の構成例を示している。人工衛星1は、制御地球局2が配置された地上のエリアに対して送信ビーム及び受信ビームを照射することによりカバーエリア3-1を形成する。カバーエリア3は、人工衛星1と制御地球局2とのそれぞれとの間で信号を伝送することができるエリアである。“-1”等は、複数存在する要素を互いに区別するための表記である。人工衛星1は他のエリアに対してもビームを複数同時に照射することができ、カバーエリア3-2からカバーエリア3-Nを形成する。Nは自然数である。実線による円はカバーエリア3内に制御地球局2があることを示しており、破線による円はカバーエリア3内に制御地球局2がないことを示している。衛星通信システム90は、後述の中継器100と制御装置200とを備える。
人工衛星1は、周波数フレキシビリティを実現するためのデジタルチャネライザの機能に加え、エリアフレキシビリティを実現するため、複数のアンテナ素子により構成されるアレイアンテナを用いてデジタルビームフォーミングによりビーム形成する機能を有する。アンテナ素子は、受信アンテナ素子10と送信アンテナ素子16との総称である。
中継器100は、複数の受信アンテナ素子10それぞれと、複数の送信アンテナ素子16それぞれとを結ぶ複数の信号伝送経路を備える。複数の信号伝送経路は、複数の素子系統に1対1で対応する。素子系統はアンテナ素子系統とも呼ばれる。
少なくとも1つのスイッチ機能部17それぞれは、複数の信号伝送経路を変更するスイッチ機能を有する。スイッチ機能部17それぞれはマトリックススイッチャであってもよい。中継器100は、複数の素子系統のうち、複数の受信アンテナ素子10が受信した信号を処理する部分を受信系としてもよい。受信系は、少なくとも1つのスイッチ機能部17の少なくともいずれかを備えてもよい。中継器100は、複数の素子系統のうち、複数の送信アンテナ素子16が送信する信号を処理する部分を送信系としてもよい。送信系は、少なくとも1つのスイッチ機能部17の少なくともいずれかを備えてもよい。
DCH/DBF処理部13は、合成した信号を任意のビームに対する出力側へスイッチングした後、各送信アンテナ素子16向けに信号を分配して送信デジタルビームフォーミングの励振係数を乗算する。DCH/DBF処理部13は、前段において周波数帯域を分割した信号を送信ビームの周波数帯域に合わせて結合し、結合した信号をアナログ変換し、変換したアナログ信号を出力する。ここで、送信ビームの周波数帯域に合わせて結合することは合波に当たる。このように入力信号の周波数帯域を粒度が細かい帯域によりスイッチングする機能により、入力ビームと出力ビームとの間で任意の帯域幅の信号を中継することができるため、周波数フレキシビリティが実現される。また、DCH/DBF処理部13が、励振係数を乗算して各受信アンテナ素子10から入力した信号を合成すること、あるいは各送信アンテナ素子16へ出力する信号へ分配して励振係数を乗算することにより、受信ビームと送信ビームとのエリアフレキシビリティが実現される。
テレメトリコマンド制御部18は、中継器100内の各機器の状態をテレメトリにより制御地球局2へ伝える機能も有する。そのため、制御地球局2は、テレメトリコマンド制御部18によって伝えられた情報に基づいて中継器100内の各機器の故障状態等を監視してもよい。テレメトリコマンド制御部18と制御地球局2との間の信号伝送は、制御用アンテナ19と、RF送受信部20と、モデム21とを介して行われる。
トラヒック測定部35は、モデム32が送受信した信号のうちユーザ地球局と通信した信号について、ユーザ地球局が属するビーム毎に一定期間内に通信したデータ量をカウントし、ビーム毎のデータ利用量を統計情報として管理する。
モデム32は、人工衛星1の送信ビームと受信ビームとを分けてデータ利用量を管理する。データ送受信部37は、モデム32と接続されており、地上のネットワークを介して他の地上通信機器との間でユーザ地球局と通信するデータを送受信する。
寄与率判定部36は、複数の素子系統が故障素子系統を含む場合に、寄与率を素子系統ごとに求め、求めた寄与率のうち相対的に低い寄与率に対応する素子系統を低寄与素子系統として判定する。故障素子系統は、故障している機器である故障機器を有する素子系統である。寄与率は、複数の素子系統それぞれが中継器100の通信全体に寄与する度合いを示す。寄与率判定部36は、受信系が故障機器である受信系故障機器を有する場合に、複数の受信アンテナ素子10それぞれが受信指定期間において受信したデータの量である受信データ量に応じて寄与率を求めてもよい。寄与率判定部36は、受信系が故障機器である受信系故障機器を有する場合に、複数の受信アンテナ素子10それぞれに対応する励振係数を用いて寄与率を求めてもよい。寄与率判定部36は、受信アンテナ素子10ごとに受信データ量と励振係数との比率を求め、求めた比率を用いて寄与率を求めてもよい。寄与率判定部36は、送信系が故障機器である送信系故障機器を有する場合に、複数の送信アンテナ素子16それぞれが送信指定期間において送信したデータの量である送信データ量に応じて寄与率を求めてもよい。寄与率判定部36は、送信アンテナ素子16ごとに送信データ量と励振係数との比率を求め、求めた比率を用いて寄与率を求めてもよい。寄与率判定部36は、受信データ量又は送信データ量を寄与率としてもよく、励振係数を寄与率としてもよく、求めた比率を寄与率としてもよい。寄与率判定部36は、送信系が故障機器である送信系故障機器を有する場合に、複数の送信アンテナ素子16それぞれに対応する励振係数を用いて寄与率を求めてもよい。
テレメトリコマンド制御部33は、低寄与素子系統が故障素子系統とは異なる場合に、故障素子系統に対応する受信アンテナ素子10と送信アンテナ素子16とを結ぶ新たな信号伝送経路が構成されるよう少なくとも1つのスイッチ機能部17の少なくともいずれかを制御する指示を示す制御コマンドを生成する。新たな信号伝送経路は、低寄与素子系統に対応する信号伝送経路を用い、かつ、故障機器を回避する。
簡単な具体例として、一つのビームを一つのアンテナ素子が形成する場合、アンテナ素子とビーム形成とが一対一に対応するため、寄与率判定部36は、一つのアンテナ素子に対して一つの寄与率を判定する。また、ビームが複数のアンテナ素子により形成される場合、寄与率判定部36は、一つのアンテナ素子に対して複数の寄与率を判定し、後述の別の入力情報と、判定した寄与率によって重み付けした結果とに基づいて寄与率を判定する。
制御地球局2が制御コマンドを送信する動作の概要を説明する。テレメトリコマンド制御部33は、中継器100内の機器状態をテレメトリによって監視する。テレメトリコマンド制御部33は、中継器100が備える機器に故障が発生した場合に、寄与率判定部36の判定結果に基づいてスイッチ機能部17-1からスイッチ機能部17-Nの少なくともいずれかを切替える制御コマンドを生成し、モデム32と、RF送受信部31と、送受信アンテナ30とを介して中継器100に対して生成した制御コマンドを送信する。
制御装置200は、プロセッサ81を代替する複数のプロセッサを備えてもよい。複数のプロセッサは、プロセッサ81の役割を分担する。
メモリ82及び補助記憶装置83は一体的に構成されていてもよい。
メモリ82及び補助記憶装置83の機能は、他の記憶装置によって実現されてもよい。
制御装置200の動作手順は、制御方法に相当する。また、制御装置200の動作を実現するプログラムは、制御プログラムに相当する。
ここで、本制御の概要を説明する。まず、制御地球局2は、各アンテナ素子の寄与率を判定し、スイッチ機能部17-1とスイッチ機能部17-2とを切替える制御コマンドを人工衛星1に送信する。次に、スイッチ制御部181は、制御用アンテナ19とRF送受信部20とモデム21とを介して制御コマンドを受信し、受信した制御コマンドを解釈してスイッチ機能部17-1とスイッチ機能部17-2とを切替える。
また、一部のDCON12が故障した場合において、前述の一部のLNA11が故障したケースにおける制御と同様にスイッチ制御部181がスイッチ機能部17-2とスイッチ機能部17-3とを適宜切替えることにより、中継器100は一部のDCON12の故障に対応することができる。
ここで、制御地球局2の制御は前述の制御と同様である。即ち、制御地球局2は、スイッチ制御部181がスイッチ機能部17-4とスイッチ機能部17-5とを制御する制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドを人工衛星1に送信する。
また、一部のTWTA15が故障した場合において、前述の一部のUCON14が故障したケースにおける制御と同様にスイッチ制御部181がスイッチ機能部17-5とスイッチ機能部17-6とを適宜切替えることにより、中継器100は一部のTWTA15の故障に対応することができる。
送信ビームと受信ビームがそれぞれ一つのアンテナ素子により形成される場合において、前述のように受信系のLNA11-2の故障により受信アンテナ素子10-Nが受信した信号を利用することができなくなるように制御すると、受信アンテナ素子10-Nに対応するカバーエリア3においては双方向通信を実現することができない。そのため、当該カバーエリア3に対応する送信アンテナ素子16の利用価値が低減し、当該送信アンテナ素子16が衛星通信システム90として傾向的に利用されなくなることがある。従って、その後にUCON14に故障が発生した場合には、当該送信アンテナ素子16が伝送するデータ量が減少しているために当該送信アンテナ素子16の寄与率が低くなっている。従って、衛星通信システム90は、当該カバーエリア3に対応する受信ビーム及び送信ビームを利用することができないよう制御する。なお、UCON14に故障が発生した時点において、利用することができなくなった受信ビームに対応するカバーエリア3に対応する送信ビームの寄与率が最も低い寄与率となっていない場合に、寄与率判定部36は、当該カバーエリア3に対応する送信アンテナ素子16の利用が強制的に停止されるよう、寄与率を適宜操作してもよい。
図7において、受信アンテナ素子10の寄与率は前述の図6における受信アンテナ素子10の寄与率と同様であるものとしている。そのため、LNA11-2が故障したケースについては前述の通りであるので、説明を省略する。
送信アンテナ素子16-2の寄与率が最も低いものとし、送信系であるUCON14-1が故障した場合を考える。この場合において、DCH/DBF処理部13が出力した信号が、UCON14-2を経由し、TWTA15-1を含む信号伝送経路に戻るよう、スイッチ制御部181は、送信アンテナ素子16-1が継続して送信するようスイッチ機能部17-4とスイッチ機能部17-5とを切替える。図7において、受信アンテナ素子10-Nが利用することができないものとされ、送信アンテナ素子16-2が利用することができないものとされる。即ち、図7は、利用することができないものとされる受信アンテナ素子10と、利用することができないものとされる送信アンテナ素子16との対応に依存性がないことを示している。
また、送信系の制御に関する制御地球局2の制御については、図6における説明と同様である。即ち、制御地球局2は、スイッチ制御部181がスイッチ機能部17-4とスイッチ機能部17-5とを制御するように制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドを人工衛星1に送信する。
以上で説明したように、本実施の形態によれば、中継器100内の機器に故障が発生した場合に、寄与率判定部36は人工衛星1の各アンテナ素子について衛星通信システム90に対する寄与率を判定し、テレメトリコマンド制御部33は寄与率に基づいて制御コマンドを生成し、データ送受信部37は人工衛星1へ制御コマンドを送信する。スイッチ制御部181は、制御コマンドを受け取り、受け取った制御コマンドに従ってスイッチ機能部17-1からスイッチ機能部17-6の少なくともいずれかを切替える。そのため、本実施の形態によれば、中継器100内の機器に故障が発生した場合において、衛星通信システム90における主要なビームを利用することができない状況を回避することができるとともに、衛星通信システム90全体の利用効率が低下することを抑制することができる。
また、特許文献1は、周波数フレキシビリティを実現するための周波数リソース割当てに関するリソース制御技術を開示しているが、近年のハイスループット衛星に要求されるエリアフレキシビリティを実現する技術、即ちDBFのようなアレイアンテナを制御して、ビームの照射方向と、ビームのカバーエリアと、ビームの利得とを動的に変更するリソース制御技術を開示していない。しかしながら、本実施の形態によれば、当該リソース制御技術が実現される。
<変形例1>
本実施の形態において、中継器100の構成はベントパイプ型により説明されている。本実施の形態は、再生中継を行う中継器100に対して適用されてもよい。
中継器100が再生中継を行う、図2に示したDCH/DBF処理部13に信号をビット列に再生して処理する機能が必要である。当該ビット列は、具体例としてパケットである。しかしながら、当該機能は本実施の形態において示した内容には影響しない。従って、再生中継を行う中継器100に対して本実施の形態を適用することができる。
再生中継を行う中継器100には、地上携帯ネットワークにおける基地局の機能を有する中継器等が含まれる。当該機能は、具体例として、3GPP(Third Generation Partnership Project)により規格化されているLTE(Long Term Evolution、登録商標)と5G(5th Generation)と5G NR(New Radio)との少なくともいずれかである。
本実施の形態において説明した回路であって、入出力経路の自由度が高いスイッチ機能を実現する回路は、一般的には複雑であり回路規模が大きい。回路規模を小さくするため、入出力経路の自由度は図2に示されるものよりも低くてもよい。即ち、具体例として、スイッチ機能部17の数は6個よりも少なくてもよい。
また、各スイッチ機能部17の構成は、任意の入力ポートの信号を任意の出力ポートへ出力することができる構成よりも簡易な構成であってもよい。即ち、具体例として、各スイッチ機能部17において、各入力ポートが出力することができる出力ポートに制限があってもよい。
中継器100は、DCON12とUCON14とを備えない代わりに、電波の周波数帯域を直接サンプリングするダイレクトサンプリング技術を利用する機器を備えてもよい。
スイッチ機能部17を用いて信号伝送経路を切替えた場合、信号伝送経路長が変わることが考えられる。DBFを行う場合、信号伝送経路長が変わるとアンテナ素子系統間において信号の位相関係が変わるため、スイッチ機能部17を切替える前における励振係数を使い続けると、ビーム形成の精度が劣化する可能性がある。中継器100は、ビーム形成の精度が劣化した場合、スイッチ機能部17を切替えた後における信号伝送経路の変化量に応じて、励振係数を再設定してもよい。
図8は、本変形例に係る制御装置200を実現するコンピュータ80のハードウェア構成例を示している。
制御装置200は、本図に示すように、プロセッサ81とメモリ82と補助記憶装置83との少なくとも1つに代えて、処理回路88を備える。
処理回路88は、制御装置200が備える各部の少なくとも一部を実現するハードウェアである。
処理回路88は、専用のハードウェアであってもよく、また、メモリ82に格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
制御装置200は、処理回路88を代替する複数の処理回路を備えてもよい。複数の処理回路は、処理回路88の役割を分担する。
プロセッサ81とメモリ82と補助記憶装置83と処理回路88とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、制御装置200の各機能構成要素の機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
他の実施の形態に係る制御装置200についても、本変形例と同様の構成であってもよい。
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態は、実施の形態1に係る制御地球局2の構成を変更したものである。
図9は、ユーザ通信制御地球局210と、中継器制御地球局220とのそれぞれの構成例を示している。ユーザ通信制御地球局210と中継器制御地球局220とは、実施の形態1に係る制御地球局2を、機能に応じて2つに分離したものに相当する。
トラヒック測定部35は、図3に示されるトラヒック測定部35と同じ機能を持ち、ビーム毎のデータ利用量を統計情報として管理する。
データ送受信部371は、モデム32と接続され、地上のネットワークを介して他の地上通信機器とデータ送受信を行う点においてはデータ送受信部37と同じである。ただし、データ送受信部371は、トラヒック測定部35が収集したデータ利用量の統計情報を、地上ネットワークを介して中継器制御地球局220へ伝送する機能を持つ。
励振係数決定部34と、テレメトリコマンド制御部33と、寄与率判定部36とについては、図3に示されるものと同じであるため説明を省略する。ただし、寄与率判定部36は、データ送受信部372がユーザ通信制御地球局210から受信したデータ利用量の統計情報を入力情報として利用する。
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1に係る制御地球局2が持つ機能が複数の地球局に分散されている。複数の地球局は、互いに連携することによって制御地球局2と同様の機能を実現することができる。従って、本実施の形態によれば、実施の形態1における中継器100のリソース再構成を実行することができる。
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態は、実施の形態2に係る中継器制御地球局220の構成を変更したものである。
図10は、中継器制御送受信地球局221と、中継器制御局222との構成例を示している。中継器制御送受信地球局221と中継器制御局222とは、実施の形態2に係る中継器制御地球局220を、機能に応じて2つに分割したものに相当する。
データ送受信部373は、中継器制御局222との間でテレメトリコマンドを伝送する。
励振係数決定部34と、テレメトリコマンド制御部33と、寄与率判定部36とは前述のものと同じであるため説明を省略する。ただし、テレメトリコマンド制御部33は、中継器100を監視制御するためのテレメトリコマンドを中継器制御送受信地球局221との間でデータ送受信部374を介して伝送する。
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態2に係る中継器制御地球局220が持つ機能は、中継器制御送受信地球局221と、中継器制御局222とに分散されている。本実施の形態によれば、中継器制御地球局220が持つ機能が複数の地球局に分散されていても、中継器制御地球局220が持つ機能を実現することができる。
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
図11は、本実施の形態に係る中継器100の構成例を示している。図11に示すように、本実施の形態に係る中継器100は、実施の形態1に係る中継器100と異なり、スイッチ機能部17-2からスイッチ機能部17-5を備えていない。即ち、LNA11はスイッチ機能部17を介さずにDCON12と接続し、DCON12はスイッチ機能部17を介さずにDCH/DBF処理部13と接続する。また、DCH/DBF処理部13はスイッチ機能部17を介さずにUCON14と接続し、UCON14はスイッチ機能部17を介さずにTWTA15と接続する。
図11に示される構成により、具体例として図7に示すようにLNA11-2が故障した場合に、DCON12-2も併せて利用することができなくなり、受信アンテナ素子10-2が受信した信号に対応する信号は、スイッチ機能部17-1の切替えによってDCH/DBF処理部13へ入力される。さらに、DCH/DBF処理部13は、実施の形態1において説明したように、周波数分割した信号を処理し、処理した信号を任意の出力ポートへ出力するスイッチングする機能を内部に持つ。そのため、DCH/DBF処理部13は、当該機能の設定を変えることにより、受信アンテナ素子10-2が受信した信号に対応する信号を伝送する経路を、任意の送信アンテナ素子16を使う信号伝送経路へ切替えることができる。
また、図11において、具体例として、図7と同様に送信系のUCON14-1が故障した場合に、TWTA15-1も併せて利用することができなくなる。しかしながら、DCH/DBF処理部13が持つスイッチング機能とスイッチ機能部17-6とにおける切替えとにより、寄与率が低い送信アンテナ素子16を利用することができないものとし、寄与率が高い送信アンテナ素子16を継続して利用することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、中継器100のスイッチ機能部17を削減したとしても、中継器100のリソース再構成を実行することができる。
また、実施の形態1において述べたようにスイッチ機能部17が複雑で回路規模が大きくなる傾向がある。そのため、本実施の形態によれば、スイッチ機能部17を削減することによって、中継器100の重量を低減し、かつ、中継器100のコストを下げることもできる。
<変形例6>
図11は、スイッチ機能部17-2からスイッチ機能部17-5を削減した具体例を示している。スイッチ機能部17の配置は、各機器の平均故障間隔(MTBF)等を考慮し、機器の故障しやすさに基づいて決定されてもよい。
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
図12は、本実施の形態に係る中継器100の構成例を示している。図12に示すように、中継器100は、DCH/DBF処理部13とテレメトリコマンド制御部18との間にモデム22を備え、制御用アンテナ19と、RF送受信部20と、モデム21とを備えない。中継器100は、監視制御用のアンテナを用いずに、地球局とのテレメトリコマンドを送受信する。
なお、スイッチ機能部17の構成は、実施の形態4において説明した構成と異なってもよい。
中継器100と制御地球局2とのテレメトリコマンドの送受信は、テレメトリ送信系として、テレメトリコマンド制御部18からのテレメトリをモデム22が符号化及び変調し、DCH/DBF処理部13と、UCON14-1からUCON14-Nと、TWTA15-1からTWTA15-Nと、送信アンテナ素子16-1から送信アンテナ素子16-Nとを経由して、具体例として制御地球局2へ向けたDBFによる合成送信ビームを用いて送信される。
スイッチ機能部17-1とDCON17-6とのそれぞれの切替えを行う制御コマンドについては、スイッチ制御部181を介して制御が行われる。
以上のように、本実施の形態によれば、テレメトリコマンドを送受信するために実施の形態1において説明したような特別なアンテナ等を中継器100は持たない。しかしながら、中継器100は、ユーザデータの中継に用いるアンテナ素子の信号伝送を利用して、制御地球局2とテレメトリコマンドを送受信する。従って、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様にリソース再構成を実行することができる。
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。前述の実施の形態に係る中継器100は、ベントパイプ型の中継器、又は再生中継を行う中継器である。本実施の形態に係る中継器100は、再生中継を行う中継器である。
図13は、本実施の形態に係る中継器100の構成例を示している。図13は図12に近いため、図12と対比しながら図13を説明する。図13において、受信アンテナ10-1から受信アンテナ10-Nと、LNA11-1からLNA11-Nと、DCON12-1からDCON12-Nと、UCON14-1からUCON14-Nと、TWTA15-1からTWTA15-Nと、送信アンテナ素子16-1から送信アンテナ素子16-Nと、スイッチ機能部17-1及びスイッチ機能部17-6とについては、図12に示されるものと同じである。ただし、中継器100は再生中継を行う中継器であるため、ベントパイプ型の中継器と比較して利得及び雑音に対する性能要件については緩和されることがある。そのため、ベントパイプ型の中継器が搭載している機器とは性能が異なる機器を中継器100は搭載してもよい。異なる性能は、具体例として低い性能である。
また、中継器100は、DCH/DBF処理部13と、モデム22とを備えず、DCH/DBF処理部23と、トラヒック測定部24と、寄与率判定部25とを備える。さらに、中継器100は制御装置200を備える。即ち、本実施の形態において制御装置200は人工衛星1に配置されている。
DCH/DBF処理部23の動作を説明する。
まず、DBF機能部231は合成受信ビームとして受信データを示す信号を受信する。
次に、復調復号化部232はDBF機能部231が受信した信号に対して復調及び復号化を実行し、復調及び復号化が実行された信号のビット列を再生する。受信データのビット列は具体例としてパケットである。
次に、交換部233は復調復号化部232が再生したビット列を通す。交換部233は、DCH/DBF処理部23の入力ポートと出力ポートとの間において、再生されたビット列をスイッチングする。
次に、DCH/DBF処理部23は、制御地球局2から受信した制御コマンドを、テレメトリコマンド制御部18に入力する。また、地球局間において中継するべきデータについては、当該データは交換部233から変調符号化部234に送られ、変調符号化部234が当該データに対して符号化及び変調を実行する。その後、符号化及び変調が実行されたデータは、DBF機能部231によって合成送信ビームを送信する各アンテナ素子に対応する信号に分配され、DCH/DBF処理部23の出力ポートへ出力される。さらに、トラヒック測定部24は、交換部233が交換するビット列をモニタし、一定期間内の送信ビーム毎及び受信ビーム毎のデータ伝送量を統計情報としてトラヒック測定部24が管理する。データ伝送量はデータ利用量でもある。トラヒック測定部24は、トラヒック測定部35が生成する情報を生成する。
図14は実施の形態2に係る中継器制御地球局220に近いため、実施の形態2に係る中継器制御地球局220と比較しながら図14を説明する。図9に示すユーザ通信制御地球局210のトラヒック測定部35の機能は、中継器100によって実現されている。その他の機能については本実施の形態に直接的に関わらない機能であるため、図14に示していない。図14において、制御地球局230は、送受信アンテナ303と、RF送受信部313と、モデム323と、テレメトリコマンド制御部33と、励振係数決定部34と、データ送受信部373とを備える。RF送受信部313の機能はRF送受信部312の機能と同等である。モデム323の機能はモデム322の機能と同等である。送受信アンテナ303の機能は送受信アンテナ302の機能と同等である。データ送受信部373の機能はデータ送受信部372の機能と同等である。なお、制御地球局230は寄与率判定部36を備えないが、寄与率判定部36の機能は寄与率判定部25によって実現される。
以上のように、本実施の形態によれば、アンテナ素子の寄与率の判定に関わる機能を、再生中継を行う中継器100が実現する。従って、本実施の形態によれば、中継器100のリソース再構成を実行することができる。
前述した各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
DBF機能部、232 復調復号化部、233 交換部、234 変調符号化部、24
トラヒック測定部、25 寄与率判定部、30,301,302,303 送受信アンテナ、31,311,312,313 RF送受信部、32,321,322,323 モデム、33 テレメトリコマンド制御部、34 励振係数決定部、35 トラヒック測定部、36 寄与率判定部、37,371,372,373,374 データ送受信部、80 コンピュータ、81 プロセッサ、82 メモリ、83 補助記憶装置、84 入出力IF、85 通信装置、88 処理回路、89 信号線、90 衛星通信システム、100 中継器、200 制御装置。
Claims (14)
- 複数の受信アンテナ素子と、
複数の送信アンテナ素子と、
前記複数の受信アンテナ素子それぞれと、前記複数の送信アンテナ素子それぞれとを結ぶ複数の信号伝送経路に1対1で対応する複数の素子系統と、
前記複数の信号伝送経路を変更するスイッチ機能を有する少なくとも1つのスイッチ機能部と
を備える中継器を搭載している人工衛星の前記中継器を制御する制御装置であって、
前記複数の素子系統が故障している機器である故障機器を有する素子系統である故障素子系統を含む場合に、前記複数の素子系統それぞれが前記中継器の通信全体に寄与する度合いを示す寄与率を素子系統ごとに求め、求めた寄与率のうち相対的に低い寄与率に対応する素子系統を低寄与素子系統として判定する寄与率判定部と、
前記低寄与素子系統が前記故障素子系統とは異なる場合に、前記故障素子系統に対応する受信アンテナ素子と送信アンテナ素子とを結ぶ新たな信号伝送経路が構成されるよう前記少なくとも1つのスイッチ機能部の少なくともいずれかを制御する指示を示す制御コマンドを生成するテレメトリコマンド制御部と
を備え、
前記新たな信号伝送経路は、前記低寄与素子系統に対応する信号伝送経路を用い、かつ、前記故障機器を回避する制御装置。 - 前記制御装置は、
地球局に配置されている請求項1に記載の制御装置。 - 前記制御装置は、
前記人工衛星に配置されている請求項1に記載の制御装置。 - 前記中継器は、前記複数の素子系統のうち、前記複数の受信アンテナ素子が受信した信号を処理する部分を受信系とし、
前記受信系は、前記少なくとも1つのスイッチ機能部の少なくともいずれかを備える請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。 - 前記寄与率判定部は、前記受信系が前記故障機器である受信系故障機器を有する場合に、前記複数の受信アンテナ素子それぞれが受信指定期間において受信したデータの量に応じて前記寄与率を求める請求項4に記載の制御装置。
- 前記寄与率判定部は、前記受信系が前記故障機器である受信系故障機器を有する場合に、前記複数の受信アンテナ素子それぞれに対応する励振係数を用いて前記寄与率を求める請求項4又は5に記載の制御装置。
- 前記寄与率判定部は、前記受信系が前記故障機器である受信系故障機器を有する場合に、受信指定期間において受信したデータの量である受信データ量と、励振係数とのそれぞれを受信アンテナ素子ごとに求め、前記受信データ量と前記励振係数との比率を受信アンテナ素子ごとに求め、求めた比率を用いて前記寄与率を求める請求項4に記載の制御装置。
- 前記中継器は、前記複数の素子系統のうち、前記複数の送信アンテナ素子が送信する信号を処理する部分を送信系とし、
前記送信系は、前記少なくとも1つのスイッチ機能部の少なくともいずれかを備える請求項1から7のいずれか1項に記載の制御装置。 - 前記寄与率判定部は、前記送信系が前記故障機器である送信系故障機器を有する場合に、前記複数の送信アンテナ素子それぞれが送信指定期間において送信したデータの量に応じて前記寄与率を求める請求項8に記載の制御装置。
- 前記寄与率判定部は、前記送信系が前記故障機器である送信系故障機器を有する場合に、前記複数の送信アンテナ素子それぞれに対応する励振係数を用いて前記寄与率を求める請求項8又は9に記載の制御装置。
- 前記寄与率判定部は、前記送信系が前記故障機器である送信系故障機器を有する場合に、送信指定期間において送信したデータの量である送信データ量と、励振係数とのそれぞれを送信アンテナ素子ごとに求め、前記送信データ量と前記励振係数との比率を送信アンテナ素子ごとに求め、求めた比率を用いて前記寄与率を求める請求項8に記載の制御装置。
- 前記中継器と、
請求項1から11のいずれか1項に記載の制御装置と
を備える衛星通信システム。 - 複数の受信アンテナ素子と、
複数の送信アンテナ素子と、
前記複数の受信アンテナ素子それぞれと、前記複数の送信アンテナ素子それぞれとを結ぶ複数の信号伝送経路に1対1で対応する複数の素子系統と、
前記複数の信号伝送経路を変更するスイッチ機能を有する少なくとも1つのスイッチ機能部と
を備える中継器を搭載している人工衛星の前記中継器を制御する制御方法であって、
寄与率判定部が、前記複数の素子系統が故障している機器である故障機器を有する素子系統である故障素子系統を含む場合に、前記複数の素子系統それぞれが前記中継器の通信全体に寄与する度合いを示す寄与率を素子系統ごとに求め、求めた寄与率のうち相対的に低い寄与率に対応する素子系統を低寄与素子系統として判定し、
テレメトリコマンド制御部が、前記低寄与素子系統が前記故障素子系統とは異なる場合に、前記故障素子系統に対応する受信アンテナ素子と送信アンテナ素子とを結ぶ新たな信号伝送経路が構成されるよう前記少なくとも1つのスイッチ機能部の少なくともいずれかを制御する指示を示す制御コマンドを生成し、
前記新たな信号伝送経路は、前記低寄与素子系統に対応する信号伝送経路を用い、かつ、前記故障機器を回避する制御方法。 - 複数の受信アンテナ素子と、
複数の送信アンテナ素子と、
前記複数の受信アンテナ素子それぞれと、複数の送信アンテナ素子それぞれとを結ぶ複数の信号伝送経路に1対1で対応する複数の素子系統と、
前記複数の信号伝送経路を変更するスイッチ機能を有する少なくとも1つのスイッチ機能部と
を備える中継器を搭載している人工衛星の前記中継器を制御する制御プログラムであって、
前記複数の素子系統が故障している機器である故障機器を有する素子系統である故障素子系統を含む場合に、前記複数の素子系統それぞれが前記中継器の通信全体に寄与する度合いを示す寄与率を素子系統ごとに求め、求めた寄与率のうち相対的に低い寄与率に対応する素子系統を低寄与素子系統として判定する寄与率判定処理と、
前記低寄与素子系統が前記故障素子系統とは異なる場合に、前記故障素子系統に対応する受信アンテナ素子と送信アンテナ素子とを結ぶ新たな信号伝送経路が構成されるよう前記少なくとも1つのスイッチ機能部の少なくともいずれかを制御する指示を示す制御コマンドを生成するテレメトリコマンド制御処理と
をコンピュータである制御装置に実行させる制御プログラムであって、
前記新たな信号伝送経路は、前記低寄与素子系統に対応する信号伝送経路を用い、かつ、前記故障機器を回避する制御プログラム。
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