JP7376026B2 - 育苗ポット - Google Patents

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Description

本発明は樹脂におからが混練されたおから混練樹脂の育苗のための使用、特にそのようなおから混練樹脂を含む育苗ポットに関する。
豆腐製造の工程で発生するおからは現状、その多くが廃棄処分されている。しかし、おからは大豆に含まれるたんぱく質、食物繊維、脂質の他、リンやカリウム、カルシウムといったミネラルが含まれるため、一部は食品や肥料・飼料としてリサイクルされている。
一方、農業や園芸においては、育苗ポットに土壌を入れ、種を蒔いて施水し、必要に応じて肥料を添加しながら発芽後、畑またはプランター等に植え替えが可能な大きさになるまで育苗を行う。
しかし、植え替え時に育苗ポットから植物を腐葉土ごと取り出した後、残ったポットを廃棄、焼却しており、環境保全の観点からプラスチック使用量の削減が求められている。
また、育苗時、植物の生育を補助するために定期的に施肥する必要があるが、施肥に要する手間を簡略化できるような育苗ポットが求められている。
このため、特許文献1には、樹脂に窒素、リン酸、カリウムといった肥料三要素を含む無機物を混練し、生育時にこれらの肥料が土壌中に溶出することにより、作物の生育を促進する育苗ポットが提案されている。
また、特許文献2には肥料が配合された樹脂層の外側に、肥料の配合されない樹脂を含む樹脂からなる、分解の遅い層を有する育苗ポットが提案されている。これにより、育苗時に肥料が配合された樹脂層より肥料が土壌中に溶出し、植物の生育を促進することが可能となる。
特開平11-113414号 特開2001-190158号
しかしながら、上述の特許文献1および特許文献2で示されている樹脂に肥料三要素を含む無機物を混練した育苗ポットでは、樹脂との相溶性が低く、均一に混練することが難しい。また、ポット表面に露出した肥料分は土壌中に溶出するものの、樹脂内部に埋没した分は土壌中に溶出されないという課題がある。また、特に生分解性樹脂の場合には分子量低下に伴う強度低下も懸念される。
本発明は、上述のような先行技術の課題を解決しようとするものであり、豆腐の製造工程で発生するおからを樹脂に混練する。おからには大豆油などの油分が含まれるため樹脂との相溶性も良好なため、まずおからと樹脂とを混練したペレットを作製し、前記ペレットを用いて任意の形状に成形することで、樹脂とおからとが均一に混練された樹脂成形品を製造することが可能となる。
また、表1に示すように、おからを水で懸濁するとカリウムやリン酸といった肥料成分が溶出するため、おからを混練した育苗ポットを用いて植物を生育した場合には前記肥料成分が溶出し、施肥の頻度を低減できる。なお、おからを混練することによって、樹脂の吸水性・吸湿性も向上するため、水分が育苗ポット内部にまで浸透しやすくなり、樹脂中に埋没したおからからも肥料分は溶出する。
一局面では、本発明は、おからと樹脂とを加熱溶融混練したおから混練樹脂を用いた育苗を可能にする。一つの実施形態において、本発明は、おから混練樹脂を含む育苗用組成物を提供する。一つの実施形態において、おからと樹脂とを加熱溶融混練したおから混練樹脂から成形された育苗ポットを提供し、上記おから混練樹脂に占める上記おからおよび上記樹脂の合計重量割合が80重量%以上であり、上記育苗ポットは、培養土を入れて植物を所定の期間生育させるためのものである。また、上記育苗ポット1gを蒸留水100mlに25℃で1時間浸漬した場合、蒸留水中のカリウムイオン濃度が1mg/L以上かつリン酸イオン濃度が0.1mg/L以上となることを特徴とする。別の局面において、上記樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートから選択された一種以上を主成分とする。別の局面において、上記おからが1重量%以上15重量%以下の油分を含むことを特徴とする。別の局面において、上記育苗ポットに占めるおからの重量割合が10重量%以上70重量%以下であることを特徴とする。別の局面において、上記おから混練樹脂に占める上記おからおよび上記樹脂の合計重量割合が90重量%以上である。別の局面において、育苗ポット中のおからと樹脂とは剥離しない。さらに別の局面において、おからと樹脂とを加熱溶融混練したおから混練樹脂から成形された固形肥料が提供され、上記おから混練樹脂に占める上記おからおよび上記樹脂の合計重量割合が80重量%以上であり、上記固形肥料を蒸留水100mlに25℃で1時間浸漬した場合、蒸留水中のカリウムイオン濃度が1mg/L以上かつリン酸イオン濃度が0.1mg/L以上となり、上記固形肥料より溶出したカリウムイオンやリン酸イオンなどにより植物の生育が促進される。
本発明によって、おからと樹脂とを含むおから混練樹脂を用いた育苗を可能にする。このおから混練樹脂は、おからと樹脂とを含む混合物を加熱溶融混練することによって生成される。本発明によってまた、おからと樹脂の合計重量割合が80重量%以上である、育苗ポットが提供される。
おからは油分を含み、樹脂に混練することで、育苗時に肥料分が土壌中に溶出する。これにより、特に土壌中のカリウムイオンやリン酸イオンの濃度が高くなる。これにより、植物の生育が促進される。
また、おからに含まれる炭水化物やたんぱく質といった親水性の高い成分は、本来、疎水性の樹脂と均一に混練することが難しい。しかし、おからに含有される油分は、樹脂との相溶性を向上させるため、相溶化剤などを添加することなく、おからと樹脂とを剥離のない混練物に混練できる。さらにおからと樹脂との相溶性が高いために、おからと樹脂とが強固に接着し、成形品の強度や剛性も向上する。
このように、本発明のおから混練育苗ポットでは、育苗ポットに求められる強度を維持しながら、土壌中へ肥料成分が溶出することによって植物の生育を促進できる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
おからと樹脂とを加熱溶融混練したおから混練樹脂を含む育苗用組成物。
(項目2)
おから混練樹脂の成形品である、項目1に記載の育苗用組成物。
(項目3)
培養土を中に収容する構造を有する育苗ポットである、項目1に記載の育苗用組成物。
(項目4)
前記育苗用組成物に占めるおからの重量割合が10重量%以上70重量%以下であることを特徴とする、項目1~3のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
(項目5)
前記おから混練樹脂に占める前記おからおよび前記樹脂の合計重量割合が80重量%以上である、項目1~4のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
(項目6)
前記樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートから選択された一種以上を主成分とする、項目1~5のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
(項目7)
前記おからが1重量%以上15重量%以下の油分を含むことを特徴とする、項目1~6のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
(項目8)
前記育苗用組成物1gを蒸留水100mlに25℃で1時間浸漬した場合、蒸留水中のカリウムイオン濃度が1mg/L以上かつリン酸イオン濃度が0.1mg/L以上となることを特徴とする、項目1~7のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
(項目9)
おからと樹脂とが剥離しないものである、項目1~8のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
おからと樹脂の混練、混練機より吐出されたおから混練樹脂の空冷による冷却、およびペレタイザーによるおから混練樹脂の裁断を模式的に表す図である。 おからと樹脂の混練、混練機より吐出されたおから混練樹脂の水冷による冷却、およびペレタイザーによるおから混練樹脂の裁断を模式的に表す図である。 おからと樹脂の混練、混練機より吐出されたおから混練樹脂を冷却ブロック接触による冷却、およびペレタイザーによるおから混練樹脂の裁断を模式的に表す図である。 おから混練樹脂ペレットを用いた育苗ポット製造を模式的に表す図である。 おから混練樹脂ペレットを用いて射出成形により製造した育苗ポットの寸法を模式的に表す図である。
以下に本発明の実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、好ましい発明の実施態様の一例を記載するものであり、特許請求の範囲に記載された本発明の構成要件を限定するものではない。必要に応じて、本明細書において記載される任意の重量割合は、水分を含む重量基準であってもよいし、乾燥重量基準であってもよい。
(おから混練樹脂による育苗)
発明者らは、本開示のおから混練樹脂が育苗に好適であることを見出した。本明細書において、「育苗」とは、発芽促進、成長促進(重量増大、高さ増大など)、枯死防止、果実肥大化など植物の健康および成長の増進を指す。本明細書における「植物」は、光合成を行う任意の生物であり得、藻類、微細藻類なども含まれる。例えば、植物は、コケ植物、シダ植物、種子植物、樹木性植物、草本性植物、単子葉植物、双子葉植物などに分類することもできる。食用部を有する農業用の植物、鑑賞用の植物などが、本開示のおから混練樹脂の好適な適用対象であり得る。
本開示のおから混練樹脂は、植物と直接接触してもよいし、接触しなくてもよい。おから混練樹脂由来の栄養分は土や水を介して植物に到達し得るので、直接接触しなくとも育苗効果が得られ得る。おから混練樹脂中の栄養分は水を介して外部に送達され得るので、本開示のおから混練樹脂は、水蒸気または水の存在下で使用されるのが好ましい。一つの実施形態では、本開示のおから混練樹脂は、培養土と一緒に使用される。一つの実施形態では、本開示のおから混練樹脂は、水に浸漬させて使用される。
(おから混練樹脂の形態)
本開示のおから混練樹脂は、単独で存在してもよいし、組成物中に未加工の状態で存在してもよいし、加工された成形品中に存在してもよい。おから混練樹脂は、未加工のものおよび加工後のもの両方を指す。そのため、本明細書におけるおから混練樹脂に関する任意の記載は、成形品におけるおから混練樹脂にも適用され得る。本明細書において、おから混練樹脂またはおから混練樹脂ペレットを材料または材料の一部として使用して加工することで得られる物品を成形品という。おから混練樹脂自体を固形肥料として使用して育苗することもでき、おから混練樹脂の成形品を使用して育苗することもできる。おから混練樹脂を含む組成物は、おから混練樹脂からなる組成物であってもよいし、おから混練樹脂を5重量%以上、10重量%以上、30重量%以上、50重量%以上、70重量%以上、90重量%以上、または95重量%以上含む組成物であってもよい。おから混練樹脂を含む組成物には、おから混練樹脂の成形品も含まれる。一つの実施形態において、本開示のおから混練樹脂を含む組成物は、乾燥している。
おから混練樹脂の成形品は、おから混練樹脂を少なくとも材料の一部として使用して加工された成形品を指す。おから混練樹脂の成形品は、おから混練樹脂以外に可塑剤(アジピン酸エステル系、ポリエステル系、リン酸エステル系、エポキシ化植物油など)、難燃剤(ホスフェート系など)、フィラー(タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなど)などの成分を含んでもよい。本明細書の下部で記載するおから混練樹脂が含み得る追加成分は、おから混練樹脂から成形品を形成する際に添加してもよく、成形品にはこれらの追加成分が含まれ得る。おから混練樹脂の成形品におけるおから混練樹脂の重量割合は、5%以上、10%以上、30%以上、50%以上、70%以上、90%以上、または95%以上などであり得る。
好ましい実施形態において、おから混練樹脂の成形品は、培養土を中に収容できる育苗ポットの形状であり得る。育苗ポットには穴が開いていてもよく、水の保持が調整され得る。
本開示のおから混練樹脂またはこれを含む組成物(例えば成形品)は、育苗に有用な成分を放出し得る。一つの実施形態において、本開示のおから混練樹脂またはこれを含む組成物1gを蒸留水100mlに25℃で1時間浸漬した場合、蒸留水中のカリウムイオン濃度が1mg/L以上かつ/またはリン酸イオン濃度が0.1mg/L以上となる。
また、育苗ポットに求められる強度の観点から、2種類以上のおから混練樹脂を組み合わせた育苗ポットも想定される。この実施形態では、例えば、育苗ポット本体は、分解の速いおから混練樹脂(例えば、ポリブチレンサクシネート含有おから混練樹脂)で成形し、育苗ポットの強度を補うおよび/または育苗ポットの外形を保つための補強材を分解の遅いおから混練樹脂(例えば、ポリプロピレン含有おから混練樹脂)で別途成形する。このように別々に成形された部分を組み合わせることで、植物の生育を促進でき、かつ耐久性、耐候性に優れた育苗ポットが得られる。
さらに別の実施形態では、複数の育苗ポットを連結させた製品も想定される。それぞれ4×4、4×5、5×5のように育苗ポットを配列・連結させた16連育苗ポット、20連育苗ポットまたは25連育苗ポットなどが例として挙げられる。また連結した育苗ポットは、農業分野におけるオートメーションに適合した任意の形式のものであり得る。
さらに、元来腐敗しやすいおからをおから混練樹脂へと加工することで、衛生面で好ましく取り扱いの容易な固形肥料が提供される。このような固形肥料は、例えば、屋内での観葉植物の栽培に適した固形植物栄養剤としても使用できる。
(混練する樹脂やおからの性状)
(樹脂の材質)
おからと混練する樹脂の種類は、融点が220℃以下であるポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートのいずれかであることが好ましい。なお、これらの樹脂は複数種類混合されていても良い。特に溶解パラメーターが近い樹脂(例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン、ポリ乳酸およびポリブチレンサクシネート)は混合が容易であるため、好ましい。本発明における複数種類混合された樹脂としては、例えば、ポリブチレンサクシネートとポリ乳酸とを含む樹脂またはポリプロピレンとポリエチレンとを含む樹脂などが挙げられ得る。複数種類混合された樹脂における各樹脂の重量割合は任意であり得るが、一つの実施形態では、本発明における複数種類混合された樹脂は、ポリブチレンサクシネートとポリ乳酸とを、またはポリプロピレンとポリエチレンとを、99:1~1:99で含むものであり得る。比較的硬く、衝撃強度が低いポリ乳酸を、柔らかい樹脂であるポリブチレンサクシネートとブレンドして、得られた混練樹脂の生分解性を失わずに衝撃強度を改善することが想定される。一方、融点が220℃を超えるような樹脂の場合には溶融混練中におからの熱分解が顕著となるため適さない。本明細書中で、樹脂が、ある成分を「主成分とする」という場合、樹脂中の当該成分の重量割合が70重量%以上であることをいう。
(おからの混練割合)
おからは、大豆から豆腐を製造する過程で、豆乳を絞った際に残る残渣物であり、豆腐製造の過程で大量に発生する。本発明の育苗ポットおよび/またはおから混練樹脂におけるおからの混練割合は以下の式1により算出される。なお、式1中のR、W1およびW2はそれぞれおからの混練割合(重量%)、混練したおからの絶乾重量(kg)および樹脂の絶乾重量(kg)をそれぞれ表す。
また、育苗ポットおよび/またはおから混練樹脂におけるおからの混練割合は、10重量%以上が好ましく、25重量%以上がより好ましく、30重量%以上が最も好ましい。おからの混練割合が10重量%未満の場合にはおからから溶出する肥料分量が少なく、植物の生育に有意な差が見られない懸念がある。おからの混練割合が増えると樹脂との加熱溶融混練後に樹脂とおからと樹脂とが剥離しやすく、また均一に混練されにくいが、本発明においては、以下に記載される種々の条件を検討した結果、おからが10重量%以上、25重量%以上または、30重量%以上おからが混練されていたとしても、おからと樹脂とが剥離せず、かつ/または成形品の製品化に適した程度の均一性の混練樹脂または混練樹脂ペレットを得ることができた。
また、育苗ポットおよび/またはおから混練樹脂におけるおからの混練割合が70重量%よりも多い場合には成形性が悪いためにおからが容易に剥落し、また強度も低いため育苗においては実用的な使用が困難である。従って、おから混練樹脂におけるおからの混練割合は、70重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは51重量%以下であり得る。本発明のおから混練樹脂におけるおからの混練割合は、上の段落の任意の1つの下限の数値と、本段落に記載の任意の1つの上限の数値との間の数値範囲であり得る。
(おからと樹脂の合計重量割合)
本発明は、おからと樹脂との合計重量割合が高いにもかかわらず、おからと樹脂とが剥離しないようなおから混練樹脂およびそれから成形された成形品(例えば、育苗ポット)を提供するものである。本発明の製造方法における、加熱溶融混練前のおからと樹脂との混合物におけるおからと樹脂の合計重量割合は、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、または100%である。なお、本明細書中で「おからと樹脂との合計重量割合」という場合、おからおよび樹脂それぞれの絶乾重量に基づいて計算した値であってもよいし、水分を含む重量に基づいて計算した値であってもよいが、代表的には絶乾重量に基づいて計算した値である。加熱溶融混練前のおからと樹脂との混合物におけるおからと樹脂の合計重量割合は、好ましくは90重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上であり、最も好ましくは100%である。
本発明のおから混練樹脂におけるおからと樹脂の合計重量割合は、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、または100%である。おから混練樹脂におけるおからと樹脂との合計重量割合は、好ましくは90重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上であり、最も好ましくは100%である。
1つの実施形態において、本発明のおから混練樹脂およびそれから成形された成形品(例えば、育苗ポット)においては、おからと樹脂とを均一になじませるための糊剤や相溶化剤を使用しない。おからと樹脂とを均一になじませるための一般的な糊剤としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、またはでんぷんのりが挙げられる。おからと樹脂とを均一になじませるための一般的な相溶化剤としては、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、硫酸セルロースなどの、セルロースエステルが挙げられる。
1つの実施形態において、本発明のおから混練樹脂は、おからと樹脂に加えて、追加成分も含み得る。典型的な実施形態において、この追加成分は、強度補強のためのフィラー、難燃剤(トリフェニルホスフェート、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、顔料(二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄など)などを含み得る。強度補強のためのフィラーとしては、セルロース(例えば、木材廃材由来)などの有機フィラーや、タルクやセメント系廃材などの無機フィラーが挙げられる。本発明のおから混練樹脂における追加成分の、おから混練樹脂における重量割合は、30重量%以下であり、典型的には20重量%以下である。好ましい実施形態において、本発明のおから混練樹脂における追加成分の、おから混練樹脂における重量割合は、10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、最も好ましくは0重量%(すなわち、含まれない)である。
おから混練樹脂において、樹脂は、一度溶融した後に固化するため、相互に連結したネットワーク構造を形成することで特徴付けられ得る。おから混練樹脂において、おからは、混練前後で形状を維持し得るため、粒子状で存在し得る。おから混練樹脂において、樹脂およびおからは均一に存在することが好ましく、例えば、おから混練樹脂から8mmの立方体を切り出した場合に、任意の立方体におけるおからまたは樹脂の重量割合が、おから混練樹脂全体におけるおからまたは樹脂の重量割合と同様、例えば、5%以内、3%以内または1%以内の差であり得る。
本明細書において、おから混練樹脂において、おからと樹脂とが「剥離しない」とは、目視で観察できるおから混練樹脂表面の80%以上の領域において、おからが樹脂から剥離した剥離痕が観察されないことをいう。好ましい実施形態においては、本発明のおから混練樹脂において、目視で観察できるおから混練樹脂表面の90%以上の領域において、おからが樹脂から剥離した剥離痕が観察されず、より好ましい実施形態においては、目視で観察できるおから混練樹脂表面の95%以上の領域において、おからが樹脂から剥離した剥離痕が観察されない。なお、この剥離痕については、混練樹脂を裁断後に得られるおから混練ペレットにも当てはまる。すなわち、本発明のおから混練樹脂ペレットにおいてはおからと樹脂とが剥離せず、好ましい実施形態においては、目視で観察できるおから混練樹脂ペレット表面の90%以上の領域において、おからが樹脂から剥離した剥離痕が観察されず、より好ましい実施形態においては、目視で観察できるおから混練樹脂ペレット表面の95%以上の領域において、おからが樹脂から剥離した剥離痕が観察されない。例えば、剥離痕は、元々存在したおから粒子が剥離により樹脂から脱落したことにより生じ、樹脂に生じた穴や、樹脂に囲まれた空洞であり得る。また、剥離は、混練樹脂におけるおからの保持力の弱さによって特徴付けることもできる。一つの実施形態においては、混練樹脂を切断して新たに形成された断面を下に向けて100rpmの振幅1cmの水平方向の振動に1分間供した場合、断面1mにつき落下するおからの重量が、10g以下、1g以下、0.1g以下、または0.01g以下であるとき、剥離していないと判断することもできる。
(樹脂の形状や大きさ)
おからと混練する樹脂の形状について、樹脂が元々包装フィルムや容器といったフィルムやシート状の場合には細かく裁断して射出成形機に供する。その際、大きさは0.1mm四方以上10mm四方以下が好ましく、3mm四方以上9mm四方以下がより好ましく、6mm四方以上8mm四方以下が最も好ましい。樹脂の大きさが0.1mm四方より小さい場合には静電気による飛散が著しく操作性が悪く、また樹脂の大きさが10mm四方より大きい場合には、樹脂とおからの混合物を図1に記載の混練機ホッパー1に投入する際、おからがシリンダー2内に入っていかず、結果的におからとの混合が不十分となり、混練時におからと樹脂の均一性が低下するためである。
また、厚みについては0.01mm以上10mm以下が好ましく、0.05mm以上2mm以下がより好ましく、0.09mm以上0.12mm以下が最も好ましい。樹脂の厚みが0.01mmより小さい場合には静電気による飛散が著しく操作性が悪く、また樹脂の厚みが10mmより大きい場合には、樹脂とおからの混合物を図1に記載の射出成形機ホッパー1に投入する際、おからが混練機シリンダー2内に入っていかず、結果的におからとの混合が不十分となり、混練時におからと樹脂の均一性が低下するためである。
おからと混練する樹脂の形状が繊維の場合、太さやフィラメント数は特に限定されないが、繊維長は1mm以上10mm以下が好ましく、3mm以上8mm以下がより好ましく、4mm以上6mm以下が最も好ましい。繊維長が1mmより小さい場合には静電気による飛散が著しく操作性が悪く、また繊維長が10mmより大きい場合には、樹脂とおからの混合物を図1に記載の混練機ホッパー1に投入する際、おからが混練機シリンダー2内に入っていかず、結果的におからとの混合が不十分となり、混練時におからと樹脂の均一性が低下するためである。
おからと混練する樹脂の形状が顆粒状の場合、顆粒の平均粒径は1mm以上10mm以下が好ましく、3mm以上8mm以下がより好ましく、4mm以上6mm以下が最も好ましい。平均粒径が1mmより小さい場合には静電気による飛散が著しく操作性が悪く、また平均粒径が10mmより大きい場合には、樹脂とおからの混合物を図1に記載の混練機ホッパー1に投入する際、おからが混練機シリンダー2内に入っていかず、結果的におからとの混合が不十分となり、混練時におからと樹脂の均一性が低下するためである。
(おからの大きさ)
おからの平均粒径は10μm以上500μm未満が好ましく、50μm以上250μm未満がより好ましく、70μm以上100μm未満が最も好ましい。ただし、実施例6で実証されるように、おからの平均粒径が200μm程度であるなら、混練前の粉砕を省くことも可能である。おからの平均粒径が10μm未満の場合には混合時に飛散しやすくなり、操作性が低下する懸念があり、またおからの平均粒径が500μmよりも大きい場合には樹脂とおからの混合物を図1に記載の混練機ホッパー1に投入する際におからが混練機シリンダー2内に入っていかず、結果的におからと樹脂との混合が不十分となるため、育苗ポットにおけるおからの分散性が低下するためである。なお、本明細書において「平均粒径」という場合、走査電子顕微鏡においてランダムに選択した20個のおから粒子において最長となる径を測定し、それを平均した値である。例えば、おから粒子の径はスケールを基に測定することができる。おからの大きさは、混練樹脂および成形品においても維持され得る。
(おからに含まれる水分割合)
樹脂やおからが絶乾状態の場合、混練時に静電気によって樹脂裁断物やおからが飛散しやすくなる。このため、おからが適度に水分を含有することで静電気の発生を防止する。この時、おからの水分率は1重量%以上20重量%未満であることが好ましく、5重量%以上15重量%未満がより好ましく、9重量%以上12重量%未満が最も好ましい。おからの水分率が1重量%未満の場合には混合時に飛散し、混合割合のばらつきが大きくなる懸念があり、またおからの水分率が20重量%よりも大きい場合には加熱時の水蒸気の気化熱が大きく、樹脂が十分に溶融しない懸念や、特にエステル結合を有する樹脂の場合には加水分解による分子量低下が顕著となる懸念があるためである。
(おからに含まれる油分割合)
おからに含まれる油分は樹脂との相溶性を向上させ、均一な混練に不可欠である。このため、おからに含まれる油分の含有率は1重量%以上20重量%以下が好ましく、7重量%以上15重量%以下がより好ましく、11重量%以上13重量%以下が最も好ましい。おからに含まれる油分の含有率が1重量%未満の場合には樹脂との混練が不均一となり、育苗ポットからのおからの剥離が顕著になる懸念があり、またおからに含まれる油分含有率が20重量%より多い場合には、育苗ポットより油分がブリードし、射出成形機などの機械装置の腐食原因となる懸念があるためである。
(育苗ポット製造の概要)
本発明のおから混練樹脂の成形品の作製の例として、育苗ポットの製造方法を以下で説明する。本発明における育苗ポットの製造方法は、樹脂とおからとを任意の割合で混練した混練ペレット製造工程(以下、混練工程)ののち、育苗ポットの形状に射出成形する工程(以下、成形工程)よりなる。
(混練工程)
混練工程では、まず樹脂とおからとを任意の割合で混合する。典型的には、樹脂とおからとは、上記のおから混練樹脂におけるおからの混練割合、例えば、30重量%以上70重量%以下となるように混合される。混合の方法は特に限定されず、例えばおからと樹脂とを任意の割合でステンレス製寸胴などの容器内に投入した後、蓋をして手動で上下反転させても良いし、ロータリー式撹拌機を用いて樹脂とおからの混合物を回転しながら攪拌しても良い。この時、おからが適度に水分を含ませることで樹脂表面での静電気発生が防止され、飛散しにくくなる。
(撹拌容器へのおからおよび樹脂投入量)
おからと樹脂とを混合する際、おからの嵩体積、樹脂の嵩体積および撹拌容器の容積との間には以下の式2を満たすことが好ましい。なお、式2中のV1、V2およびVはそれぞれおからの嵩体積、樹脂の嵩体積および撹拌機の容積をそれぞれ表す。
撹拌容器へのおからおよび樹脂の投入量については、(V1+V2)/Vが0.1以上0.8以下であることが好ましく、0.3以上0.6以下であることがより好ましく、0.4以上0.5以下であることが最も好ましい。式2の数値が0.1未満の場合には撹拌容器の内壁などに付着する分の損失割合が多くなり、また0.8より大きい場合にはおからと樹脂が撹拌されず、混合が不十分となる懸念がある。
(ロータリー撹拌時の撹拌機の回転数)
ロータリー撹拌によっておからと樹脂とを混合する場合、撹拌機の回転数は、おからと樹脂とが適度に撹拌されるものであれば任意の数値であり得るが、1rpm以上30rpm以下が好ましく、5rpm以上20rpmがより好ましく、12rpm以上15rpm以下が最も好ましい。回転数が1rpm未満の場合にはおからと樹脂とが十分に攪拌されない懸念があり、また回転数が30rpmよりも高い場合は混合の程度に大きな違いが見られず技術上の意義が希薄になる。
(おからと樹脂の混練)
混合工程で作製されたおからと樹脂の混合物は、加熱溶融混練される。本発明の例示的な実施形態においては、おからと樹脂の混合物は、図1に模式的に示された混練機のホッパー1より導入される。混練機のシリンダー2内ではらせん溝を有するスクリュー3が回転しており、溶融した樹脂とおからとが混ざり合った状態で吐出口4より排出される。このとき、おからに含まれる油分により樹脂とおからの相分離を防ぎ、均一に混練されることとなる。通常、樹脂と相溶性の低い食品バイオマスや無機フィラーを混練する場合には相溶化剤などを添加し、均一性を向上させるが、本発明で用いるおからは油分を含むため相溶化剤を添加しなくても均一な混練が可能となる。
(混練温度)
例示的な実施形態では、本発明のおから混練樹脂製造のための混練機のシリンダー2内部にはヒーター5が設置されており、制御部6で混練温度を任意に制御することが可能である。なお、本明細書中における「混練温度」とは、シリンダー2内で最も高温の箇所の温度をいう。おからと樹脂を混練する際の混練温度は160℃以上220℃以下が好ましく、170℃以上200℃以下がより好ましく、180℃以上190℃以下が最も好ましい。混練温度が160℃未満の場合、樹脂が十分に溶融せず、また混練温度が220℃より高い場合にはおからの熱分解が顕著となり、好ましいおから混練樹脂を得ることができない懸念がある。好ましい実施形態において、混練前の樹脂の分子量と比較して、混練後の樹脂の分子量が増加するように、混練工程を行い得る。
(混練機のスクリュー回転数)
混練工程において、混練機のスクリュー3の回転数は10rpm以上100rpm以下が好ましく、40rpm以上80rpm以下がより好ましく、50rpm以上65rpm以下が最も好ましい。混練機のスクリュー3の回転数が10rpm未満の場合には樹脂やおからが熱を受ける時間が長くなり熱分解や加水分解が起こりやすくなる懸念があり、また100rpmよりも大きい場合には樹脂の溶融が不十分となり、おからと混練できない懸念があるためである。
(混練機シリンダーの材質)
混練機のシリンダー2の材質についても特に限定されないが、混練機スクリュー5と同様に水分を含んだ樹脂やおからが接触することから、ステンレスやサーメットの材質を用いることが好ましい。この他、クロムメッキなどの表面処理を施すことで耐食性に向上させることも好ましい。
(混練機スクリューの材質)
混練機のスクリュー3の材質は特に限定されないが、水分を含んだおからが導入されるため、スクリューの材質にステンレスやサーメットを用いることが好ましい。この他、クロムメッキなどの表面処理を施すことで耐食性に向上させることも好ましい。
(自動排気弁)
好ましい実施形態において、本発明のおから混練樹脂の製造における加熱溶融混練において使用する混練機においては、おからに含まれる水分や油分の揮発によりシリンダー内の内圧が上昇するのを防ぐため、シリンダーに自動排気弁7を設置する。この時、自動排気弁7は、シリンダー内が0.05MPa.G以上になると自動的に大気中へ水蒸気を放出できるように設定することが好ましい。
(混練機吐出口の口径)
混練機吐出口4の形状は特に限定されないが、円形が最も好ましい。また、混練機吐出口4の形状が円形の場合、混練機吐出口4の直径は1mm以上10mm未満が好ましく、2mm以上6mm以下がより好ましく、4mm以上5mm未満が最も好ましい。吐出口4の直径が1mm未満の場合には吐出されたおから混練樹脂8が切断されやすく、また10mmより太い場合には、おから混練樹脂8が切断しやすく、その後の冷却工程や裁断工程の操作性が低下する懸念がある。
(おから混練樹脂の冷却)
混練工程でロッド状のおから混練樹脂8が混練機の吐出口4より吐出される。吐出直後のおから混練樹脂8はペレタイザー9へ移送されるが、その前段でおから混練樹脂8を冷却し、固化させる。この時、おから混練樹脂8の冷却方法は、おから混練樹脂8に送風機で風を送る方式(以下、空冷方式)、おから混練樹脂8を水中に含浸する方式(以下、水冷方式)、冷却ブロックに接触させる方式(以下、冷却ブロック方式)といった方法のいずれも好ましく使用できる。
(冷却距離)
冷却工程において、混練機の吐出口4より吐出されたロッド状のおから混練樹脂8を冷却する場合、混練機吐出口6からペレタイザー9までの距離は1m以上10m以下が好ましく、2m以上6m以下がより好ましく、3m以上5m以下が最も好ましい。混練機の吐出口4からペレタイザー11までの距離が1m未満の場合には育苗ポットの冷却が不十分となり、その後の裁断が困難になる懸念があり、また混練機吐出口4からペレタイザー9までの距離が10mより長い場合にはおから混練樹脂8は十分に固化し、技術上の意義が希薄になるためである。
(空冷方式によるおから混練樹脂の冷却)
空冷方式によりおから混練樹脂8を冷却する場合、おから混練樹脂8は射出成形機とペレタイザーとの間に設置された送り台9上を移動する。この時、送風機10よりおから混練樹脂8表面に風を送るが、おから混練樹脂8表面における風速は1.5m/s以上10m/s以下が好ましく、3m/s以上7m/s以下がより好ましく、4m/s以上5m/s以下が最も好ましい。おから混練樹脂8表面の風速が1.5m/s未満の場合には混練物の冷却が不十分のため、その後の裁断が困難となり、また10m/sより大きい場合には風圧によりロッド状のおから混練樹脂8が切断する懸念があるためである。
(水冷方式によるおから混練樹脂の冷却)
水冷方式によりおから混練樹脂8を冷却する場合、図2に記載された送り台9の代わりに、図3に示すようにおから混練樹脂8は水槽11中を通過する。この時、水槽11中の水温は0℃以上10℃以下が好ましく、2℃以上7℃以下がより好ましく、4℃以上6℃以下が最も好ましい。水槽11中の水温が0℃未満の場合には水槽11中の水が氷になり、おから混練樹脂8を浸漬できず、また10℃より高い場合にはおから混練樹脂8の冷却が不十分のため、その後の裁断が困難となる懸念があるためである。なお、水冷方式により冷却した場合には裁断工程後に再度乾燥処理を行い、水分を除去する必要がある。
(冷却ブロック接触方式によるおから混練樹脂の冷却)
冷却ブロック接触方式によりおから混練樹脂8を冷却する場合、図2に記載された送り台9の上に、冷却ブロック12を設置する。冷却ブロック12の温度は-20℃以上10℃以下が好ましく、-5℃以上5℃以下がより好ましく、0℃以上3℃以下が最も好ましい。冷却ブロック12の温度は-20℃未満にしてもおから混練樹脂8の冷却程度に違いがなく、技術上の意義が希薄となり、また10℃より高い場合にはおから混練樹脂8の冷却が不十分のため、その後の裁断が困難となる懸念があるためである。
(おから混練樹脂の裁断)
冷却されたロッド状のおから混練樹脂8はペレタイザー13を用いた裁断により任意の大きさに裁断され、おから混練樹脂ペレット14を得る。この時、裁断の方法は特に限定されないが、ペレタイザーは回転刃と固定刃でカットするストランドカット方式が実用上好ましい。
(おから混練樹脂の裁断間隔)
射出成形機から送られてきたロッド状のおから混練樹脂8をペレタイザー13にて裁断する際、裁断の間隔は1mm以上10mm以下が好ましく、3mm以上8mm以下がより好ましく、4mm以上5mm以下が最も好ましい。裁断の間隔が1mm未満の場合にはおから混練樹脂ペレット14に混練されたおからが剥離しやすく、また10mmより長い場合にはおから混練樹脂ペレット14を射出成形時する際、図3に示すような射出成形機のホッパー15から射出成形機シリンダー16の接続箇所でおから混練樹脂8が詰まり、射出成形機スクリュー17へ送ることができなくなる懸念があるためである。
(おから混練育苗ポットへの射出成形の概要)
おから混練樹脂ペレット14は、図3に模式的に示された射出成形機のホッパー15へ導入される。射出成形機シリンダー16内では射出成形機スクリュー18が回転しており、おから混練樹脂ペレット14は溶融した状態で移動金型18aおよび固定金型18bよりなる金型18へ射出される。この時、育苗ポットの大きさは射出成形機の型締め力や金型の大きさによって任意に設定することが可能である。
(成形温度)
射出成形機シリンダー16内部にはヒーター19が設置されており、射出成形機の制御部20で混練温度を任意に制御することが可能である。おから混練樹脂ペレット14の成形温度は160℃以上220℃以下が好ましく、170℃以上200℃以下がより好ましく、180℃以上190℃以下が最も好ましい。成形温度が160℃未満の場合、樹脂が十分に溶融せず、射出成形機シリンダー16や射出成形機スクリュー17の金属部材を摩耗し、またショートショットなどの成形不良が起こりやすくなる懸念があり、また成形温度が220℃より高い場合にはおからの熱分解が顕著となり、おから成分の熱分解物が発生して射出成形機内の内圧上昇原因となり、油分の分解によりおからの分散性が低下するといった懸念がある。
(射出成形機のスクリュー回転数)
おから混練育苗ポットの射出成形において、射出成形機スクリュー17の回転数は50rpm以上120rpm以下が好ましく、60rpm以上110rpm以下がより好ましく、80rpm以上100rpm以下が最も好ましい。射出成形機スクリュー17の回転数が50rpm未満の場合には樹脂やおからが熱を受ける時間が長くなり熱分解や加水分解が起こりやすくなる懸念があり、また120rpmよりも大きい場合には樹脂の溶融が不十分となり、ショートショットなどの成形不良が起こりやすくなる懸念があるためである。
(射出成形機スクリューの材質)
射出成形機スクリュー17の材質は特に限定されないが、おから自体が親水性で吸湿しやすいため、スクリューの材質にステンレスやサーメットを用いることが好ましい。この他、クロムメッキなどの表面処理を施すことで耐食性に向上させることも好ましい。
(射出成形機シリンダーの材質)
射出成形機シリンダー16の材質についても特に限定されないが、射出成形機スクリュー17と同様におから自体が親水性で吸湿しやすいため、スクリューの材質にステンレスやサーメットを用いることが好ましい。この他、クロムメッキなどの表面処理を施すことで耐食性に向上させることも好ましい。
以下に、好ましい育苗ポットを得るための実施例を示し、より詳細に説明する。なお、実施例は発明を詳細に説明するためのものであり、本発明を限定的に解釈するものではない。
〔実施例1〕
(樹脂とおから)
本実施例における樹脂には、ポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル製BioPBS(登録商標)、FZ71PB)を使用した。また、豆腐の製造工程で発生するおからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を10重量%としたものを使用した。なお、本実施例で用いたおからの油分含有率は12重量%だった。さらにおからを光学顕微鏡により観察したところ、平均粒径は99μmだった。
(おからと樹脂との混合)
本実施例の樹脂とおからとを、おから混練割合が30重量%となるように混合し、ロータリー撹拌機を用いて回転速度を15rpm、(V1+V2)/Vを0.6として10分間混合した。
(樹脂とおからの混練)
樹脂とおからの混練は混練機(関東エンジニアリング製、MODEL E50-25BB)を用いた。本実施例では混練機ヒーター7a、7b、7cおよび7nの設定温度はそれぞれ175℃、180℃、180℃および170℃、スクリュー回転数は60rpmとした。なお、吐出口の直径は20mmとした。
(冷却)
混練機吐出口より出てきたロッド状のおから混練樹脂に対し、おから混練樹脂ペレット表面に風速4m/sの風を当てることで空冷した。またこの時、混練機吐出口からペレタイザーまでの距離は5mとした。
(裁断)
冷却工程で固化したロッド状のおから混練樹脂はペレタイザー(井元製作所製、IMC-1113型)により4mm間隔で裁断し、おから混練樹脂ペレットを得た。
(育苗ポットペレットへの射出成形)
得られたおから混練樹脂ペレットについて、型締め力80tの射出成形機(日本精工製、FE80S12ASE)を用い、図5に示すような外観の育苗ポットを作製した。本実施例で用いた射出成形機は図3に示すように射出成形機シリンダー17内の4か所で成形温度を制御することが可能である。
本実施例では、射出成形機シリンダー20a、20b、20cおよび20nの温度はそれぞれ175℃、180℃、180℃および170℃とし、また射出速度は100ml/minとした。外観について、表2に示す5段階評価を基準として評価を行った。なお、外観指標が4以上で「適」と評価した。
(育苗ポットの強度評価)
本実施例で得られた育苗ポットより10mm×40mmの大きさの試料10枚をカッターで切り出し、これを強伸度試験試料とした。これらの試料について東京衡機製作所製材料試験機を用いてチャック間距離20mm、クロスヘッドスピード30mm/minの条件で強伸度試験を行い、降伏点応力および降伏点伸度を測定した。また応力ひずみ曲線の初期の傾きからヤング率を算出し、これを剛性の指標とした。
(肥料成分の溶出評価)
本実施例で得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬し、その浸漬液についてイオンクロマトグラフ(Thermo Fischer製、Dionex ICS-1600)により溶出したイオン成分を定量分析した。
(生育促進効果の検証)
本実施例で得られた育苗ポットに培養土(あかぎ園芸、有機畑花と野菜の土)100gを入れ、トマトの苗を植えた。その後、植物の茎の太さや高さから生育状況を表3に示す5段階評価を基準として評価を行った。なお、トマトの生育状況に関する5段階評価が4以上で「適」と評価した。
(育苗ポットの外観評価)
本実施例で得られた育苗ポットについて外観評価を行ったところ、その評価は5だった。
(育苗ポットの強度)
本実施例で得られた育苗ポットより切り出した10枚の試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ23.2MPa、10.1%および488.4MPaだった。また比較のため、おからを混練せず、ポリブチレンテレフタレートのみを射出成形して得られた育苗ポットより切り出した10枚の強伸度試験試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ18.1MPa、19.2%および216.7MPaだった。このように本実施例で得られた育苗ポットの剛性はポリブチレンテレフタレートのみを射出成形して得られた育苗ポットよりも高いことが示された。
(育苗ポットからの肥料成分溶出量)
本実施例で得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ3.73mg/Lおよび0.34mg/Lだった。また比較のため、おからを混練せず、ポリブチレンテレフタレートのみを射出成形して得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ0.02mg/Lおよび0.00mg/L(検出されず)だった。このように本実施例で得られた育苗ポットを用いることで植物の生育中に肥料成分が培養土といった生育土壌中に溶出することが示された。
(生育促進効果の検証)
本実施例で得られた育苗ポットを用いてトマトの栽培を行ったところ、ポリブチレンテレフタレートのみを射出成形して得られた育苗ポットと比べて茎が太さや植物の高さはいずれも優れており、表3に基づいたトマトの生育状況評価は5だった。
(総合評価)
以上の結果から、育苗ポットの外観、強伸度、肥料成分溶出および植物の生育状況のいずれも基準に適合したため、本実施例の総合評価は適であった。
〔実施例2〕
(樹脂とおから)
本実施例における樹脂には、厚み1mmのポリエチレンフィルムを裁断機により5mm四方に裁断したものを使用した。また、豆腐の製造工程で発生するおからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を10重量%としたものを使用した。なお、本実施例で用いたおからの油分含有率は10重量%だった。さらにおからを光学顕微鏡により観察したところ、平均粒径は92μmだった。
(おからと樹脂との混合)
本実施例における樹脂とおからの混合については、おから混練割合が25重量%となるように混合した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(おから混練樹脂ペレットの作製)
おから混練樹脂ペレットの作製における、混練、冷却、裁断の各操作については実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットペレットへの射出成形)
得られたおから混練樹脂ペレットを用いた射出成形による育苗ポット作製について、射出成形機は実施例1と同様のものを使用し、図5に示すような外観の育苗ポットを作製した。
本実施例では、射出成形機シリンダー20a、20b、20cおよび20nの温度はそれぞれ195℃、200℃、200℃および190℃とし、また射出速度は100ml/minとした。
(育苗ポットの評価)
本実施例で得られた育苗ポットの強度評価、育苗ポットからの肥料成分溶出評価および生育促進効果の検証はいずれも実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットの外観評価)
本実施例で得られた育苗ポットについて外観評価を行ったところ、その評価は5だった。
(育苗ポットの強度)
本実施例で得られた育苗ポットより切り出した10枚の試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ22.1MPa、6.4%および471.6MPaだった。また比較のため、おからを混練せず、本実施例で用いたポリエチレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポットより切り出した10枚の強伸度試験試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ17.5MPa、12.2%および322.9MPaだった。このように本実施例で得られた育苗ポットの剛性はポリエチレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポットよりも高いことが示された。
(育苗ポットからの肥料成分溶出量)
本実施例で得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ2.81mg/Lおよび0.29mg/Lだった。また比較のため、おからを混練せず、ポリエチレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ0.01mg/Lおよび0.00mg/L(検出されず)だった。このように本実施例で得られた育苗ポットを用いることで植物の生育中に肥料成分が培養土といった生育土壌中に溶出することが示された。
(生育促進効果の検証)
本実施例で得られた育苗ポットを用いてトマトの栽培を行ったところ、ポリエチレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポットと比べて茎が太さや植物の高さはいずれも優れており、表3に基づいたトマトの生育状況評価は5だった。
(総合評価)
以上の結果から、育苗ポットの外観、強伸度、肥料成分溶出および植物の生育状況のいずれも基準に適合したため、本実施例の総合評価は適であった。
〔実施例3〕
(樹脂とおから)
本実施例における樹脂には、実施例1と同様のものを使用した。また、豆腐の製造工程で発生するおからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を10重量%としたものを使用した。なお、本実施例で用いたおからの油分含有率は10重量%だった。さらにおからを光学顕微鏡により観察したところ、平均粒径は75μmだった。
(おからと樹脂との混合)
本実施例における樹脂とおからの混合については、おから混練割合が25重量%となるように混合した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(おから混練樹脂ペレットの作製)
おから混練樹脂ペレットの作製における、混練、冷却、裁断の各操作については実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットペレットへの射出成形)
得られたおから混練樹脂ペレットを用いた射出成形による育苗ポット作製について、射出成形機は実施例1と同様のものを使用し、図5に示すような外観の育苗ポットを作製した。
本実施例では、射出成形機シリンダー20a、20b、20cおよび20nの温度はそれぞれ215℃、220℃、220℃および210℃とし、また射出速度は50ml/minとした。
(育苗ポットの評価)
本実施例で得られた育苗ポットの強度評価、育苗ポットからの肥料成分溶出評価および生育促進効果の検証はいずれも実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットの外観評価)
本実施例で得られた育苗ポットについて外観評価を行ったところ、その評価は5だった。
(育苗ポットの強度)
本実施例で得られた育苗ポットより切り出した10枚の試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ25.1MPa、9.1%および556.4MPaだった。このように、実施例1で行ったポリブチレンサクシネートのみを射出成形して得られた育苗ポットより切り出した強伸度試験試料に比べて剛性が高いことが示された。
(育苗ポットからの肥料成分溶出量)
本実施例で得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ5.52mg/Lおよび0.55mg/Lだった。このように実施例1で作製したポリブチレンサクシネートのみの育苗ポットと比較して、蒸留水中のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度が高かったことから、本実施例で得られた育苗ポットを用いることで植物の生育中に肥料成分が培養土といった生育土壌中に溶出することが示された。
(生育促進効果の検証)
本実施例で得られた育苗ポットを用いてトマトの栽培を行ったところ、ポリブチレンサクシネートのみの育苗ポットと比べて茎が太さや植物の高さはいずれも優れており、表3に基づいたトマトの生育状況評価は5だった。
(総合評価)
以上の結果から、育苗ポットの外観、強伸度、肥料成分溶出および植物の生育状況のいずれも基準に適合したため、本実施例の総合評価は適であった。
〔実施例4〕
(樹脂とおから)
本実施例における樹脂には、厚み1mmのポリプロピレンフィルムを裁断機により5mm四方に裁断したものを使用した。また、おからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を10重量%としたものを使用した。なお、本実施例で用いたおからの油分含有率は11重量%だった。さらにおからはボールミルにより平均粒径72μmに粉砕したものを使用した。
(おからと樹脂との混合)
本実施例における樹脂とおからの混合については、おから混練割合が20重量%となるように混合した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(おから混練樹脂ペレットの作製)
おから混練樹脂ペレットの作製における、混練、冷却、裁断の各操作については実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットペレットへの射出成形)
得られたおから混練樹脂ペレットを用いた射出成形による育苗ポット作製について、射出成形機は実施例1と同様のものを使用し、図5に示すような外観の育苗ポットを作製した。
本実施例では、射出成形機シリンダー20a、20b、20cおよび20nの温度はそれぞれ175℃、180℃、180℃および170℃とし、また射出速度は90ml/minとした。
(育苗ポットの評価)
本実施例で得られた育苗ポットの強度評価、育苗ポットからの肥料成分溶出評価および生育促進効果の検証はいずれも実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットの外観評価)
本実施例で得られた育苗ポットについて外観評価を行ったところ、その評価は5だった。
(育苗ポットの強度)
本実施例で得られた育苗ポットより切り出した10枚の試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ20.9MPa、8.6%および450.7MPaだった。
また比較のため、おからを混練せず、本実施例で用いたポリプロピレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポットより切り出した10枚の強伸度試験試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ17.1MPa、12.4%および316.4MPaだった。このように本実施例で得られた育苗ポットの剛性はポリプロピレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポットよりも高いことが示された。
(育苗ポットからの肥料成分溶出量)
本実施例で得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ2.07mg/Lおよび0.24mg/Lだった。また比較のため、おからを混練せず、ポリプロピレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ0.01mg/Lおよび0.00mg/L(検出されず)だった。このように本実施例で得られた育苗ポットを用いることで植物の生育中に肥料成分が培養土といった生育土壌中に溶出することが示された。
(生育促進効果の検証)
本実施例で得られた育苗ポットを用いてトマトの栽培を行ったところ、ポリプロピレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポットと比べて茎が太さや植物の高さはいずれも優れており、表3に基づいたトマトの生育状況評価は5だった。
(総合評価)
以上の結果から、育苗ポットの外観、強伸度、肥料成分溶出および植物の生育状況のいずれも基準に適合したため、本実施例の総合評価は適であった。
〔実施例5〕
(樹脂とおから)
本実施例における樹脂には、実施例2と同様のものを使用した。また、豆腐の製造工程で発生するおからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を10重量%としたものを使用した。なお、本実施例で用いたおからの油分含有率は6重量%だった。さらにおからを光学顕微鏡により観察したところ、平均粒径は54μmだった。
(おからと樹脂との混合)
本実施例における樹脂とおからの混合については、おから混練割合が25重量%となるように混合した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(おから混練樹脂ペレットの作製)
おから混練樹脂ペレットの作製における、混練、冷却、裁断の各操作については実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットペレットへの射出成形)
得られたおから混練樹脂ペレットを用いた射出成形による育苗ポット作製について、射出成形機は実施例1と同様のものを使用し、図5に示すような外観の育苗ポットを作製した。
本実施例では、射出成形機シリンダー20a、20b、20cおよび20nの温度はそれぞれ160℃、165℃、165℃および160℃とし、また射出速度は120ml/minとした。
(育苗ポットの評価)
本実施例で得られた育苗ポットの強度評価、育苗ポットからの肥料成分溶出評価および生育促進効果の検証はいずれも実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットの外観評価)
本実施例で得られた育苗ポットについて外観評価を行ったところ、その評価は5だった。
(育苗ポットの強度)
本実施例で得られた育苗ポットより切り出した10枚の試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ21.6MPa、7.6%および459.1MPaだった。このように、実施例2で行ったポリエチレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポットより切り出した強伸度試験試料に比べて剛性が高いことが示された。
(育苗ポットからの肥料成分溶出量)
本実施例で得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ2.79mg/Lおよび0.28mg/Lだった。このように実施例2で作製したポリエチレンフィルム裁断物のみの育苗ポットと比較して、蒸留水中のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度が高かったことから、本実施例で得られた育苗ポットを用いることで植物の生育中に肥料成分が培養土といった生育土壌中に溶出することが示された。
(生育促進効果の検証)
本実施例で得られた育苗ポットを用いてトマトの栽培を行ったところ、ポリエチレンフィルム裁断物のみの育苗ポットと比べて茎が太さや植物の高さはいずれも市販育苗ポットよりも優れており、表3に基づいたトマトの生育状況評価は5だった。
(総合評価)
以上の結果から、育苗ポットの外観、強伸度、肥料成分溶出および植物の生育状況のいずれも基準に適合したため、本実施例の総合評価は適であった。
〔実施例6〕
(樹脂とおから)
本実施例における樹脂には、実施例1と同様のものを使用した。また、豆腐の製造工程で発生するおからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を10重量%としたものを使用した。なお、本実施例で用いたおからの油分含有率は2重量%だった。さらにおからを光学顕微鏡により観察したところ、平均粒径は250μmだった。
(おからと樹脂との混合)
本実施例における樹脂とおからの混合については、おから混練割合が40重量%となるように混合した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(おから混練樹脂ペレットの作製)
おから混練樹脂ペレットの作製における、混練、冷却、裁断の各操作については実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットペレットへの射出成形)
得られたおから混練樹脂ペレットを用いた射出成形による育苗ポット作製について、射出成形機は実施例1と同様のものを使用し、図5に示すような外観の育苗ポットを作製した。
本実施例では、射出成形機シリンダー20a、20b、20cおよび20nの温度はそれぞれ195℃、200℃、200℃および190℃とし、また射出速度は60ml/minとした。
(育苗ポットの評価)
本実施例で得られた育苗ポットの強度評価、育苗ポットからの肥料成分溶出評価および生育促進効果の検証はいずれも実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットの外観評価)
本実施例で得られた育苗ポットについて外観評価を行ったところ、その評価は5だった。
(育苗ポットの強度)
本実施例で得られた育苗ポットより切り出した10枚の試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ24.1MPa、5.7%および514.7MPaだった。このように、実施例1で行ったポリブチレンサクシネートのみを射出成形して得られた育苗ポットより切り出した強伸度試験試料に比べて剛性が高いことが示された。
(育苗ポットからの肥料成分溶出量)
本実施例で得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ4.16mg/Lおよび0.45mg/Lだった。このように実施例1で作製したポリブチレンサクシネートのみの育苗ポットと比較して、蒸留水中のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度が高かったことから、本実施例で得られた育苗ポットを用いることで植物の生育中に肥料成分が培養土といった生育土壌中に溶出することが示された。
(生育促進効果の検証)
本実施例で得られた育苗ポットを用いてトマトの栽培を行ったところ、ポリブチレンサクシネートのみの育苗ポットと比べて茎が太さや植物の高さはいずれも優れており、表3に基づいたトマトの生育状況評価は5だった。
(総合評価)
以上の結果から、育苗ポットの外観、強伸度、肥料成分溶出および植物の生育状況のいずれも基準に適合したため、本実施例の総合評価は適であった。
〔実施例7〕
(樹脂とおから)
本実施例における樹脂には、ポリ乳酸(ユニチカ、テラマック(商標登録))を使用した。また、豆腐の製造工程で発生するおからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を10重量%としたものを使用した。なお、本実施例で用いたおからの油分含有率は14重量%だった。さらにおからを光学顕微鏡により観察したところ、平均粒径は146μmだった。
(おからと樹脂との混合)
本実施例における樹脂とおからの混合については、おから混練割合が10重量%となるように混合した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(おから混練樹脂ペレットの作製)
おから混練樹脂ペレットの作製における、混練、冷却、裁断の各操作については実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットペレットへの射出成形)
得られたおから混練樹脂ペレットを用いた射出成形による育苗ポット作製について、射出成形機は実施例1と同様のものを使用し、図5に示すような外観の育苗ポットを作製した。
本実施例では、射出成形機シリンダー20a、20b、20cおよび20nの温度はそれぞれ195℃、200℃、200℃および190℃とし、また射出速度は100ml/minとした。
(育苗ポットの評価)
本実施例で得られた育苗ポットの強度評価、育苗ポットからの肥料成分溶出評価および生育促進効果の検証はいずれも実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットの外観評価)
本実施例で得られた育苗ポットについて外観評価を行ったところ、その評価は5だった。
(育苗ポットの強度)
本実施例で得られた育苗ポットより切り出した10枚の試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ19.2MPa、11.5%および351.9MPaだった。また比較のため、おからを混練せず、本実施例で用いたポリ乳酸のみを射出成形して得られた育苗ポットより切り出した10枚の強伸度試験試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ16.9MPa、15.4%および282.1MPaだった。このように本実施例で得られた育苗ポットの剛性はポリ乳酸のみを射出成形して得られた育苗ポットよりも高いことが示された。
(育苗ポットからの肥料成分溶出量)
本実施例で得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ1.01mg/Lおよび0.12mg/Lだった。また比較のため、おからを混練せず、ポリ乳酸のみを射出成形して得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ0.01mg/Lおよび0.00mg/L(検出されず)だった。このように本実施例で得られた育苗ポットを用いることで植物の生育中に肥料成分が培養土といった生育土壌中に溶出することが示された。
(生育促進効果の検証)
本実施例で得られた育苗ポットを用いてトマトの栽培を行ったところ、ポリ乳酸のみを射出成形して得られた育苗ポットと比べて茎が太さや植物の高さはいずれも優れており、表3に基づいたトマトの生育状況評価は5だった。
(総合評価)
以上の結果から、育苗ポットの外観、強伸度、肥料成分溶出および植物の生育状況のいずれも基準に適合したため、本実施例の総合評価は適であった。
〔比較例1〕
(樹脂とおから)
本比較例における樹脂には、実施例1と同様のものを使用した。また、豆腐の製造工程で発生するおからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を10重量%としたものを使用した。なお、本比較例で用いたおからの油分含有率は14重量%だった。さらにおからを光学顕微鏡により観察したところ、平均粒径は192μmだった。
(おからと樹脂との混合)
本比較例における樹脂とおからの混合については、おから混練割合が90重量%となるように混合した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(おから混練樹脂ペレットの作製)
おから混練樹脂ペレットの作製における、混練、冷却、裁断の各操作については実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットペレットへの射出成形)
得られたおから混練樹脂ペレットを用いた射出成形による育苗ポット作製について、射出成形機は実施例1と同様のものを使用し、図5に示すような外観の育苗ポットの作製を試みたが、ショートショットが頻発し、設計通りに育苗ポットを成形できなかった。
本比較例では、射出成形機シリンダー20a、20b、20cおよび20nの温度はそれぞれ175℃、180℃、180℃および170℃とし、また射出速度は90ml/minとした。
(育苗ポットの評価)
本比較例で得られた育苗ポットの強度評価、育苗ポットからの肥料成分溶出評価および生育促進効果の検証はいずれも実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットの外観評価)
育苗ポットについて外観評価について、本比較例ではショートショットが頻発し、設計通りに育苗ポットを成形できなかったため、その評価は1とした。
(育苗ポットの強度)
本比較例で得られた育苗ポットについて強伸度試験を行うために試料を切り出しそうとしたところ、容易に試料が破断したため、強伸度試験の測定は不可能だった。
(育苗ポットからの肥料成分溶出量)
本比較例では設計通りに育苗ポットを成形できなかったため、1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ4.16mg/Lおよび0.45mg/Lだった。このように実施例1で作製したポリブチレンサクシネートのみの育苗ポットと比較して、蒸留水中のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度が高かったことから、本実施例で得られた育苗ポットを用いることで植物の生育中に肥料成分が培養土といった生育土壌中に溶出することが示された。
(生育促進効果の検証)
本比較例では設計通りに育苗ポットを成形できなかったため、生育促進効果の検証は不可能だった。
(総合評価)
以上の結果から、おから混練割合が高すぎる場合には、射出成形による育苗ポット作製ができなかったため、本比較例の総合評価は不適であった。
〔比較例2〕
(樹脂とおから)
本比較例における樹脂は、実施例4で使用したものと同様のものを使用した。また、おからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を10重量%としたものを使用した。なお、本比較例で用いたおからはクロロホルムとメタノールを等量混合したクロロホルム/メタノール溶液に浸漬することで油分含有率は0重量%とした。さらにおからを光学顕微鏡により観察したところ、平均粒径は106μmだった。
(おからと樹脂との混合)
本比較例における樹脂とおからの混合については、実施例1と同様の方法で行った。
(おから混練樹脂ペレットの作製)
おから混練樹脂ペレットの作製における、混練、冷却、裁断の各操作については実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットペレットへの射出成形)
得られたおから混練樹脂ペレットを用いた射出成形による育苗ポット作製について、射出成形機は実施例1と同様のものを使用し、図5に示すような外観の育苗ポットを作製した。
本比較例では、射出成形機シリンダー20a、20b、20cおよび20nの温度はそれぞれ175℃、180℃、180℃および170℃とし、また射出速度は120ml/minとした。
(育苗ポットの評価)
本比較例で得られた育苗ポットの強度評価、育苗ポットからの肥料成分溶出評価および生育促進効果の検証はいずれも実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットの外観評価)
本比較例で得られた育苗ポットについて外観評価を行ったところ、おからが多い箇所、少ない箇所が目視で確認でき、かつ、おからの剥離も見られたことから、その評価は2だった。
(育苗ポットの強度)
本比較例で得られた育苗ポットより切り出した10枚の試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ8.6MPa、8.2%および289.4MPaだった。
このように、実施例4で用いたポリプロピレンフィルム裁断物のみの育苗ポットより降伏点応力や剛性が低下したことが示された。
(育苗ポットからの肥料成分溶出量)
本比較例で得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ3.59mg/Lおよび0.36mg/Lだった。このように、ポリプロピレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポットと比較して、本比較例で得られた育苗ポットでは、植物の生育中に肥料成分が培養土といった生育土壌中に溶出することが示された。
(生育促進効果の検証)
本比較例で得られた育苗ポットを用いてトマトの栽培を行ったところ、ポリプロピレンフィルム裁断物のみを射出成形して得られた育苗ポットと比べて茎が太さや植物の高さはいずれも優れており、表3に基づいたトマトの生育状況評価は5だった。
(総合評価)
以上の結果から、おからから油分を除去した場合には、育苗ポットの成形性が悪く、降伏点応力や剛性が低下したことから、本比較例の総合評価は不適であった。
〔比較例3〕
(樹脂とおから)
本実施例における樹脂には、実施例1と同様のものを使用した。また、豆腐の製造工程で発生するおからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を10重量%としたものを使用した。なお、本実施例で用いたおからの油分含有率は12重量%だった。さらにおからを光学顕微鏡により観察したところ、平均粒径は151μmだった。
(おからと樹脂との混合)
本比較例における樹脂とおからの混合については、おから混練割合が7重量%となるように混合した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(おから混練樹脂ペレットの作製)
おから混練樹脂ペレットの作製における、混練、冷却、裁断の各操作については実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットペレットへの射出成形)
得られたおから混練樹脂ペレットを用いた射出成形による育苗ポット作製について、射出成形機は実施例1と同様のものを使用し、図5に示すような外観の育苗ポットを作製した。
本実施例では、射出成形機シリンダー20a、20b、20cおよび20nの温度はそれぞれ175℃、180℃、180℃および170℃とし、また射出速度は100ml/minとした。
(育苗ポットの評価)
本実施例で得られた育苗ポットの強度評価、育苗ポットからの肥料成分溶出評価および生育促進効果の検証はいずれも実施例1と同様の方法で行った。
(育苗ポットの外観評価)
本比較例で得られた育苗ポットについて外観評価を行ったところ、その評価は5だった。
(育苗ポットの強度)
本比較例で得られた育苗ポットより切り出した10枚の試料についてそれぞれ強伸度試験を行ったところ、降伏点応力、降伏点伸度およびヤング率の平均値はそれぞれ18.2MPa、19.2%および246.7MPaだった。このように、実施例1で行ったポリブチレンサクシネートのみを射出成形して得られた育苗ポットより切り出した強伸度試験試料に比べてわずかに降伏点応力が大きく、また剛性が高いことが示された。
(育苗ポットからの肥料成分溶出量)
本比較例で得られた育苗ポット1gを100mlの蒸留水に25℃で1時間浸漬したところ、蒸留水のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度はそれぞれ0.75mg/Lおよび0.07mg/Lだった。このように実施例1で作製したポリブチレンサクシネートのみの育苗ポットと比較して、蒸留水中のカリウムイオンおよびリン酸イオン濃度が高いことから、本比較例で得られた育苗ポットを用いることで植物の生育中に肥料成分が培養土といった生育土壌中に溶出することが示された。
(生育促進効果の検証)
本実施例で得られた育苗ポットを用いてトマトの栽培を行ったところ、ポリブチレンサクシネートのみの育苗ポットと比べて同等だった。このため、表3に基づいたトマトの生育状況評価は3とした。
(総合評価)
以上の結果から、おからの混練量が少ない場合には生育促進効果が見られなかった。このため、本比較例の総合評価は不適であった。
実施例1~7および比較例1~3で行ったおから混練樹脂ペレットおよび育苗ポット作製条件を表4に、また得られた育苗ポットの外観評価、強度評価、肥料成分(カリウム、リン酸)溶出量および植物生育促進効果の総合評価を表5にまとめて示した。
[実施例8]
おから混練樹脂中の樹脂の分子量の変化
おから混練樹脂の調製
(樹脂とおから)
本実施例における樹脂には、ポリブチレンサクシネート(PTT MCC Biochem社製、BioPBS FZ71)ペレットを使用した。また、おからについては、80℃に設定した乾燥機内に設置し、水分率を20重量%としたものを使用した。なお、本実施例で用いたおからの油分含有率は9重量%だった。さらにおからはボールミルにより平均粒径75μmに粉砕したものを使用した。
(混合工程)
本実施例の樹脂とおからとを、おからの混練割合が20重量%または30重量%となるように混合し、ロータリー撹拌機を用いて回転速度を1rpm、(V1+V2)/Vを0.8として10分間混合工程を行った。
(混練工程)
樹脂とおからの混練は、例えば、図1のような混練機を用いた。本実施例ではヒーター5a、5b、5cおよび5nの設定温度はそれぞれ165℃、170℃、170℃および160℃、スクリュー回転数は50rpmとした。なお、吐出口の直径は20mmとした。
(冷却工程)
混練工程において混練機吐出口より出てきたロッド状のおから混練樹脂は冷却工程で冷却し、固化した。本実施例では、ロッド状のおから混練樹脂を-5℃に冷却した冷却ブロックに接触させることで冷却し、また冷却距離は10mとした。
(裁断工程)
冷却工程で固化したロッド状のおから混練樹脂はペレタイザーにより10mm間隔で裁断し、おから混練樹脂ペレットを得た。
分子量の測定
(サンプル調製)
おから混練樹脂10mgをクロロホルム(関東化学(株)製)10mLに溶解し、メンブランフィルター(PTFE製、0.50um)でろ過したものについて、PBSの分子量を分析した。サンプルの分子量分布測定結果はポリスチレン換算で算出した。
(分析条件)
分析装置:ゲル浸透クロマトグラフ分析装置
(DGU-20A3 / LC-20AD / CBM-20A / SIL-20AHT / CTO-20AC / SPD-M20A / RID-10A / FRC-10A, (株)島津製作所製)
標準物質:Shodex STANDARD
(Type:SM-105, ピークトップ分子量:1150, 2970, 6320, 19500, 45100, 139000, 270000, 730000, 1390000, 2380000, 昭和電工(株)製)
試料導入量:20 uL
移動相:クロロホルム
流量:1 mL / min
カラム:Shodex GPC K-806M(300 mm×8.0 mmI.D.)
カラム温度:40 ℃
検出器:示差屈折率検出器(RID)
結果を以下に示す。
以上の表4および表5に示した結果から、おからを混練した育苗ポットは強度を維持しながら植物の生育を促進することができる。これにより、農作物の収量増加だけでなく、樹脂使用量の削減や、これまで廃棄されてきたおからの有効利活用にも資することができる。
1 混練機ホッパー
2 混練機シリンダー
3 混練機スクリュー
4 混練機吐出口
5a、5b、5c、5n ヒーター
6 混練機制御部
7 自動排気弁
8 ロッド状のおから樹脂混練物
9 送り台
10 送風機
11 水槽
12 冷却ブロック
13 ペレタイザー
14 おから樹脂混練ペレット
15 射出成形機ホッパー
16 射出成形機シリンダー
17 射出成形機スクリュー
18a 固定金型
18b 移動金型
19a、19b、19c、19n ヒーター
20 射出成形機制御部

Claims (9)

  1. おからと樹脂とを加熱溶融混練したおから混練樹脂を含む育苗用組成物であって、
    前記混練樹脂は、前記加熱溶融混練において発生した水蒸気が、前記加熱溶融混練を行うシリンダーの外部に放出されるように製造され、
    前記混練樹脂が、おからと樹脂とを均一になじませるための糊剤も相溶化剤も使用せずに製造されることを特徴とし、前記糊剤は、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、またはでんぷんのりであり、前記相溶化剤は、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、または硫酸セルロースである、育苗用組成物
  2. おから混練樹脂の成形品である、請求項1に記載の育苗用組成物。
  3. 培養土を中に収容する構造を有する育苗ポットである、請求項1に記載の育苗用組成物。
  4. 前記育苗用組成物に占めるおからの重量割合が10重量%以上70重量%以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
  5. 前記おから混練樹脂に占める前記おからおよび前記樹脂の合計重量割合が80重量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
  6. 前記樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートから選択された一種以上を主成分とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
  7. 前記おからが1重量%以上15重量%以下の油分を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
  8. 前記育苗用組成物1gを蒸留水100mlに25℃で1時間浸漬した場合、蒸留水中のカリウムイオン濃度が1mg/L以上かつリン酸イオン濃度が0.1mg/L以上となることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
  9. おからと樹脂とが剥離しないものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の育苗用組成物。
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