本開示は、3D部品及び支持構造を層ごとに印刷するための層転写技法を対象とし、各層は、熱的に制御される方法で部品又は支持材料から印刷される。層転写技法は、選択的積層に基づく付加製造システムなどの像形成システムによって実行される。例えば、各層は、静電複写を使用して現像又は像形成し、移動媒体(例えば、回転可能ベルト又はドラム)によって静電複写エンジンから運ぶことができる。次いで、層は、3D部品(又は支持構造)を層ごとに印刷するために構築プラットフォームに移動され、一連の層は、3D部品を生成するために、共に溶融転写される。
固体金属転写ローラを使用して印刷紙に電位を印加することによって現像済みのトナー粒子を印刷紙に静電気的に転写する2D印刷と比べると、3D環境における複数の印刷済みの層は、所定の数の層(例えば、約15個の層)が印刷された後、部品及び支持材料の静電転写を効果的に阻止する。代わりに、本開示で開示されるものなどのシステムを使用する3D印刷では、移動媒体によって保持される層は、高い転写温度まで加熱される。次いで、加熱済みの層は、ニップローラと呼ばれる溶融転写ローラによって、構築プラットフォーム上の構築中の3D部品の以前に印刷済みの部品の最上部層に対して(又は、初期の層の事例では、構築プラットフォーム自体に)押圧される。ローラは、移動媒体から層を解放し、その層を部品の最上部層に接合し、それにより、それらの層を共に溶融転写する(すなわち、溶融転写ステップ)。溶融転写ステップにより、静電転写を介して別の方法で達成可能なものを越えて、3D部品及び支持構造の多くの層を垂直に構築することが可能になる。
本明細書で開示される例示的な実施形態では、ニップローラは、圧力の下で変形する材料を有するコンプライアントローラである。部品の最上部に対するローラの圧縮及び変形により、部品を平面状に維持したまま、部品の最上部に対して力を加えることができ、それにより、溶融転写の間の部品の層への損傷を阻止することができる。また、ローラ変形により、望ましくは、その回転方向におけるローラ表面の長さ(本明細書では「ニップ長」と呼ばれる)に沿ったローラと部品の最上部との間の追加の接触も生じる。ローラ表面の接触エリアは、ニップ長に沿って生じ、その接触エリアは、部品の変形を回避するほど十分に低い圧力で丸い非コンプライアントローラが比較的平坦な部品の最上部に沿って押圧された場合に起こるであろう典型的な接触線と比べて、部品表面に対するローラの滞留時間を増加させる。2D印刷では、単一の層しか存在しない(すなわち、像が追加のトナー像と順次接触することはない)ため、変形は問題ではない。従って、開示されるコンプライアントローラ溶融転写アセンブリは、部品を損傷することなく、従来の方式で実現可能であろうものより長い圧縮又は滞留時間を可能にする。圧縮の持続は、高温状態にある間の構築スタックへの新しい層の接合を向上させる。開示される概念及び実施形態を実施できる3D印刷システムの例については、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「LAYER TRANSFUSION FOR ADDITIVE MANUFACTURING」と称するCombらの米国特許出願公開第2013/0186549号明細書で説明されている。
開示される様々な実施形態では、圧力は、滞留時間の間、押圧コンポーネント(ニップローラなど)によって、加熱済みの層の一部分に印加される。滞留時間は、移動ベルトの送り速度(送り速度が速いほど、滞留時間は短くなる)、移動ベルトデュロメータ、転写ローラ直径、転写ローラデュロメータ、圧力プロファイルなどを含む、多くの因子による影響を受ける。滞留時間を制御するため、これらの様々な因子を選択又は制御することができる。例えば、ニップローラのデュロメータは、滞留時間を増加又は減少するために選択することができる。デュロメータ制御による滞留時間の場合、一般に、デュロメータが軟値を示すほど、ローラ又は押圧コンポーネントによって圧力が印加される転写層の表面の長さは長くなる。或いは、コントローラは、ベルト速度を変更することも、ニップ圧力を変更するために構築プラットフォームのz高さを調整することもできる。
いくつかの例では、ワンパス滞留時間は、完全な焼結をもたらすには短過ぎる100×程度である。能動ベルト冷却は、部品の最上部からベルト/層界面への温度拡散を防ぐために使用することができ、それにより、より長い最大滞留時間が可能になる。ピーク圧力もまた、押圧コンポーネントの滞留時間に影響を及ぼす。例えば、圧力が増加すると、ベルト及び転写ローラの外面は平坦化し、転写ローラ及び移動ベルトによって押圧される層の表面の長さが拡張する。圧力が減少すると、転写ローラ及びベルトによって押圧される層の表面の長さは低減する。
例示的な実施形態では、滞留時間は、上記で言及される因子のいずれかを使用して制御される。具体的には、いくつかの開示される実施形態では、部品の変形の低減と滞留時間の増加の両方とも行うコンプライアントローラが開示される。
溶融転写が起こるようにするため、加熱済みの層間の界面は、分子接触又は相互拡散が層間で起こることを可能にする最小持続時間の間は少なくとも、押圧する必要がある。(i)薄層再加熱、(ii)移動媒体への層接着、(iii)印刷速度及び(iv)部品の蓄熱などのいくつかの因子は、転写温度と最小溶融転写持続時間との間の相関関係の均衡を保つ。最初に、印刷されている層は薄い。従って、1つ又は複数の以前に印刷済みの層間の界面は、連続溶融転写ステップの各々において再加熱され、その間、さらなる相互拡散が起こり得る。従って、最小溶融転写持続時間は、単一の溶融転写ステップに限定されない。むしろ、持続時間は、複数の連続溶融転写ステップに分割することができる。例えば、160℃の転写温度でのABS共重合体の溶融転写に必要な6秒間を12個の連続サイクル(各々が約0.5秒間である)に分割することができる。
それに加えて、急速な層溶融転写を促進するほど十分に溶融温度が高い一方で、溶融温度は、移動媒体(例えば、回転可能ベルト又はドラム)から溶融転写済みの層をきれいに解放するか又は別の方法で剥離するには熱過ぎる場合がある。これにより、潜在的には、移動媒体からの解放時に、溶融転写済みの層の一部分が移動媒体に接着したままであるか又は汚れが残っている可能性があり(「ホットオフセット」)、それにより、印刷済みの3D部品の特徴詳細、寸法精度及び多孔性に悪影響が及ぶ。
それに従って、いくつかの実施形態では、層転写技法は、「転写定着ステップ」も含み得、転写定着ステップでは、移動媒体及び/又は溶融転写済みの層は、移動媒体から溶融転写済みの層を解放する前に冷却される。理論に縛られることは望まないが、この転写定着ステップは、移動媒体と溶融転写済みの層との間の界面を冷却し、従って、溶融転写済みの層と移動媒体の表面との接着力と比べて、隣接する層における相互拡散した重合体の接着力を増大すると考えられている。これにより、溶融転写済みの層は、固定空間位置において3D部品との接着状態を保ち、溶融転写済みの層を3D部品に接着したまま移動媒体からきれいに解放することができる。
移動媒体(及び任意選択により、3D部品の上面)によって保持される層は、層材料のガラス転移温度と溶融温度との間の温度など、より低い転写温度(例えば、TempA)まで移動媒体上で加熱することができる。この実施形態では、加熱済みの層は、次いで、転写されている層に熱を伝導するために転写温度以上(例えば、ABS材料の場合は190℃)まで加熱された以前に印刷済みの層に対して(又は構築プラットフォームに)押圧され、その結果、層を部品の最上部に溶融転写し(すなわち、溶融転写ステップ)、移動媒体から解放することができる。
上記で論じられるように、より低い転写温度は、トナー層の接着特性を減少し、従って、最小溶融転写持続時間要件を増加し、従って、印刷速度を潜在的に減速する。それにもかかわらず、個々の付加製造システムに応じて、溶融転写ステップは、印刷速度に関して、必ずしも速度制限ステップであるとは限らない場合がある。以下で論じられるように、各層は、像形成エンジンにおいて像形成(例えば、現像)され、像形成エンジンから構築プラットフォームに移動され、溶融転写ステップの前及び/又は後に熱処理され、これらのステップのうちの1つは、到達可能な最大印刷速度を決定することができる。
例えば、層が薄いことで、像形成エンジンにおける層の像形成は、各層サイクルの中で最も遅いステップであり得る。この状況では、より低い転写温度でのより長い溶融転写持続時間を使用することができる。より低い転写温度により、加熱済みの層は、より長い溶融転写持続時間にわたって十分な重合体相互拡散をもたらすほど十分に熱くすることができると同時に、移動媒体から容易に解放できるほど十分に冷却することができる。非円筒状ローラと比べると、変形可能ローラは、部品の最上部を変形することなく、ニップローラ転写エリアの増大を通じて強制接触時間を増加させる。
また、より低い転写温度の使用は、溶融後又は熱設定ステップ(例えば、以下の図2及び13に示される層溶融転写アセンブリ333及び433)を組み込む本開示のいくつかの実施形態に特に適している。これらの実施形態では、解放後、溶融転写済みの層及び3D部品は、次いで、溶融後又は熱設定ステップにおいて、層材料の少なくとも溶融温度までさらに加熱することができる。これにより、溶融転写済みの層材料は、溶融転写済みの層材料の高分子が少なくとも部分的に相互拡散して界面絡み合いを促進するように、溶融可能な状態まで十分に融解する。
転写温度と最小溶融転写持続時間との均衡を保つ際に考慮すべき別の因子は、構築されている3D部品のバルク温度に関与する。像形成システムは、3D部品の可変熱抵抗を通じて熱が拡散する速度よりはるかに速い速度での層の印刷が可能であるため、3D部品における蓄熱が観察されている。この蓄熱は、転写温度及び3D部品のサイズに比例する。
いくつかの実施形態では、溶融転写ローラから解放される部品層のより低い転写温度を補償するため、製作されている部品の最上部は、最上部のみの局所融解のために、融解温度を超えて加熱することができる。その局所熱は、新しい転写トナー層に即時伝導され、その温度をかなり上昇させ、層と部品との間の良好な接着の可能性を増大する。変形可能ローラは、接着を促進するために、変形不能ローラによって達成されるものより大きなニップエリアを使用して、接触圧をさらに供給することになる一方で、部品の最上部からの熱伝達により、転写温度が上昇し、その結果、必要な溶融転写持続時間は短くなる。
従って、所定の3D部品の高さが高くなると、受動熱拡散からの熱放散は、加熱済みの層の冷却には不十分となり得る。冷却が不十分であれば、層速度が速いほど、3D部品のバルクの蓄熱が速くなる。一連の層は連続的に印刷されるため、この蓄熱は、3D部品の「変形温度」を超えて、その構造上の完全性を低減するほど十分に3D部品のバルクを軟化させる可能性がある。そのような軟部は、後続の溶融転写ステップの間、後に印加される溶融転写圧力の下で変形し得る。開示される実施形態は、伝統的な硬質溶融転写ローラと対比して、部品の変形を最小限に抑えるために、変形可能な外層を有するコンプライアント溶融転写ローラを利用する。
いくつかの実施形態では、部品の変形を最小限に抑えるためにコンプライアント溶融転写ローラを使用したとしても、部品温度を低下させるために、印刷プロセスを減速して受動熱冷却を可能にすることによって、蓄熱を低減することができる。上記で言及したように、印刷速度は既に減速しているため、転写温度を低下することもできる。しかし、理解できるように、これらの技法は、特に層溶融転写ステップがプロセスにおける速度制限ステップである場合に、3D部品の印刷に必要な時間を実質的に増加し、それにより、スループットが低減し得る。代わりに、高速印刷を維持しながらこの問題を克服するため、層転写技法は、3D部品が追加熱を蓄えないようにするために、「能動冷却ステップ」を含み得、それにより、3D部品の変形温度(Tdeform)より低い「平均部品温度」(Tpart)に3D部品を維持する。
具体的には、3D部品の各層が溶融転写された後、溶融転写済みの層から3D部品に追加された熱は、次の層の溶融転写の前に実質的に除去することができる。これにより、3D部品は、層間接着を促進し且つ巻き上げ効果を低減するために望ましくは均衡を保った平均部品温度に保持されると同時に、3D部品が軟化し過ぎないほど十分に低い温度(すなわち、その変形温度を下回る温度)に保持される。
いくつかの実施形態では、コンプライアントローラは、部品の高さが高くなるにつれて異なる有利な効果を提供する。一般に、仕掛部品の部品構築面は、完全に平坦であるわけでも、平面であるわけでもない。その結果、剛性ローラは、部品の高い領域のみに接触する傾向がある。これは、一般に、その剛性ローラによって移動ベルト上の像が部品構築面に押圧されている場合に問題となるが、その理由は、高い領域と関連付けられていない像の領域は転写されない傾向があるためである。これは、部品の高さが比較的低い(非限定的な例として、約50ミル未満など)際に特に当てはまり、剛性ニップローラは、材料を下方に押し下げて層間の適切な接着をもたらすことができない。従って、コンプライアントニップローラのコンプライアント層は、部品構築の際に層を部品表面に溶融転写するのに必要な接触を提供するために、より低い高さで変形する。
しかし、部品が印刷されて高さが高くなる(非限定的な例として、1インチを超えるなど)につれて、部品は、十分に柔らかく且つ柔軟性を持つようになり、その結果、コンプライアントローラは部品より硬くなる。従って、ローラがコンプライアント外層を有するとしても、コンプライアントローラは、印刷されている部品と比べて、剛性ローラとして動作するほど十分な剛性を持つものである。
従って、コンプライアントローラは、より低い高さの部品まで変形し、部品の高さが高くなるにつれて、その構成を保持するほど十分な剛性を持つものである。ローラのそのような柔軟性により、特に低い(非コンプライアント)部品に対して、より正確な部品を印刷することができる。
以下の実施形態は、本開示の例示的な付加製造システムを示す。ここで図1を参照すると、システム10は、電子写真を使用して3D部品及び支持構造を印刷するための例示的な付加製造システムであり、本開示の層転写技法及び層溶融転写アセンブリを組み込む。層溶融転写アセンブリは、部品の変形を阻止するか又は最小限に抑えるために、コンプライアント溶融転写ローラを利用する。層溶融転写アセンブリ333の一実施形態は、図3にさらに詳細に示されている。システム10用の他の適切なコンポーネント及び機能動作の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,879,957号明細書及び米国特許第8,488,994号明細書で開示されているものを含む。
システム10は、コントローラ24を含み、コントローラ24は、1つ又は複数の制御回路、マイクロプロセッサベースのエンジン制御システム及び/又はデジタル制御ラスタ像形成プロセッサシステムであり、ホストコンピュータ26から受信された印刷命令に基づいてシステム10のコンポーネントを同期操作するように構成される。ホストコンピュータ26は、印刷命令(及び他の動作情報)を提供するためにコントローラ24と通信するように構成された1つ又は複数のコンピュータベースシステムである。例えば、ホストコンピュータ26は、3D部品(及び任意の支持構造)のスライス済みの層に関連する情報をコントローラ24に転送することができ、それにより、システム10は、3D部品を層ごとに印刷することができる。
本開示は、静電複写に基づく付加製造システムなど、いかなる選択的積層に基づく付加製造システムにおいても利用することができるが、本開示は、電子写真(EP)に基づく付加製造システムと関連付けて説明する。しかし、本開示は、EPに基づく付加製造システムに限定されず、いかなる静電複写に基づく付加製造システムにおいても利用することができる。
図1は、本開示の実施形態による、3D部品及び関連支持構造を層ごとに印刷するための例示的な電子写真に基づく付加製造システム10の簡略化された図である。3D部品及び関連支持構造を層ごとに印刷するものとして示されているが、システム10は、層のスタックを形成し、スタックを溶融転写して、3D部品及び関連支持構造を形成するために使用することもできる。
図1に示されるように、システム10は、1つ又は複数の電子写真(EP)エンジン(EPエンジン12a~dなど、一般的に12で表現される)と、移動アセンブリ14と、少なくとも1つのバイアス機構16と、溶融転写アセンブリ20とを含む。システム10用の適切なコンポーネント及び機能動作の例は、Hanson等の米国特許第8,879,957号明細書及び米国特許第8,488,994号明細書並びにComb等の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び米国特許出願公開第2013/0186558号明細書で開示されているものを含む。
EPエンジン12は、帯電粉末部品及び支持材料の3D部品の完成層(一般的に22で表現される)をそれぞれ像形成又は現像するための像形成エンジンである。帯電粉末部品及び支持材料の各々は、好ましくは、EPエンジン12の特定のアーキテクチャで使用するように設計される。いくつかの実施形態では、システム10のEPエンジン12の少なくとも1つ(EPエンジン12a、12cなど)は、層22の支持構造部分22sを形成するために支持材料の層を現像し、EPエンジン12の少なくとも1つ(EPエンジン12b、12dなど)は、層22の部品部分22pを形成するために部品材料の層を現像する。EPエンジン12は、形成した部品部分22p及び支持構造部分22sを移動媒体24に移動する。いくつかの実施形態では、移動媒体24は、図1に示されるように、移動ベルトの形態である。移動媒体24は、移動ベルトの代わりに又は移動ベルトに加えて、移動ドラムなどの他の適切な形態を取ることができる。それに従って、本開示の実施形態は、移動ベルトの形態の移動媒体24の使用に限定されない。
いくつかの実施形態では、システム10は、完成層22を形成するために協働する少なくとも1対のEPエンジン12(EPエンジン12aと12bなど)を含む。いくつかの実施形態では、追加の対のEPエンジン12(EPエンジン12cと12dなど)は、他の層22を形成するために協働することができる。
いくつかの実施形態では、所定の層22の支持構造部分22sを形成するように構成されたEPエンジン12の各々は、移動ベルト24の送り方向32に対して、層22の部品部分22pを形成するように構成された対応するEPエンジン12の上流に配置される。従って、図1に示されるように、例えば、各々が支持構造部分22sを形成するように構成されたEPエンジン12a、12cは、移動ベルト24の送り方向32に対して、部品部分22pを形成するように構成されたそれらの対応するEPエンジン12b、12dの上流に配置される。代替の実施形態では、EPエンジン12のこの配置を逆にすることができ、その結果、部品部分22pを形成するEPエンジンは、移動ベルト24の送り方向32に対して、支持構造部分22sを形成するように構成された対応するEPエンジン12の上流に位置することができる。従って、例えば、移動ベルト24の送り方向32に対して、EPエンジン12bは、EPエンジン12aの上流に配置することができ、EPエンジン12dは、EPエンジン12cの上流に配置することができる。
以下で論じられるように、現像済みの層22は、移動アセンブリ14の移動媒体24に移動され、移動媒体24は、層22を溶融転写アセンブリ20に受け渡す。溶融転写アセンブリ20は、構築プラットフォーム28上に層22を共に溶融転写することによって、3D部品26p、支持構造26s及び/又は他の特徴を含む3D構造26を層ごとに構築するように動作する。
いくつかの実施形態では、移動媒体24は、図1に示されるように、ベルトを含む。移動媒体24に適した移動ベルトの例は、Comb等(米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び米国特許出願公開第2013/0186558号明細書)で開示されているものを含む。いくつかの実施形態では、ベルト24は、表面24aと裏面24bとを含み、表面24aは、EPエンジン12に面し、裏面24bは、バイアス機構16と接触する。
いくつかの実施形態では、移動アセンブリ14は、1つ又は複数の駆動機構を含み、1つ又は複数の駆動機構は、例えば、モータ30及び駆動ローラ33又は他の適切な駆動機構を含み、移動媒体又はベルト24を送り方向32に駆動するように動作する。いくつかの実施形態では、移動アセンブリ14は、ベルト24に対する支持を提供するアイドラローラ34を含む。図1に示される例示的な移動アセンブリ14は、高度に簡略化されており、他の構成を取ることができる。それに加えて、移動アセンブリ14は、図を簡略化するために示されていない追加のコンポーネントを含み得、例えば、ベルト24において所望の張力を維持するためのコンポーネント、層22を受け取る表面24aから破片を除去するためのベルトクリーナ及び他のコンポーネントなどが挙げられる。
また、システム10は、本明細書で説明される1つ又は複数の機能を実行するようにシステム10のコンポーネントを制御するために、命令(システム10のメモリにローカル格納することも、システム10にリモート接続されたメモリに格納することもできる)を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを表すコントローラ36も含む。いくつかの実施形態では、コントローラ36のプロセッサは、1つ又は複数のコンピュータベースシステムのコンポーネントである。いくつかの実施形態では、コントローラ36は、本明細書で説明される1つ又は複数の機能を実行するようにシステム10のコンポーネントを制御するために使用される、1つ又は複数の制御回路、マイクロプロセッサベースのエンジン制御システム、1つ又は複数のプログラマブルハードウェアコンポーネント(フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)及び/又はデジタル制御ラスタ像形成プロセッサシステムを含む。いくつかの実施形態では、コントローラ36は、例えば、ホストコンピュータ38から又は別の場所から受信された印刷命令に基づいてシステム10のコンポーネントを同期制御する。
いくつかの実施形態では、コントローラ36は、適切な有線又は無線通信リンク上で、システム10のコンポーネントと通信する。いくつかの実施形態では、コントローラ36は、例えば、適切な有線又は無線通信リンク上で(ネットワーク接続(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)接続)上でなど)、外部のデバイス(ホストコンピュータ38又は他のコンピュータ及びサーバなど)と通信する。
いくつかの実施形態では、ホストコンピュータ38は、印刷命令(及び他の動作情報)を提供するためにコントローラ36と通信するように構成された1つ又は複数のコンピュータベースシステムを含む。例えば、ホストコンピュータ38は、3D部品及び支持構造のスライス済みの層に関連する情報をコントローラ36に伝達することができ、それにより、システム10は、層22を印刷し、任意の支持構造を含む3D部品を層ごとに形成することができる。また、以下でさらに詳細に論じられるように、いくつかの実施形態では、コントローラ36は、個々の層22を形成するためのベルト24上の以前に印刷済みの対応する支持構造部分22s又は部品部分22pと、部品部分22p及び/又は支持構造部分22sの印刷を正しく位置合わせする上で役立てるために、1つ又は複数のセンサからの信号も使用する。
システム10のコンポーネントは、1つ又は複数のフレーム構造によって保持することができる。それに加えて、システム10のコンポーネントは、動作の間にシステム10のコンポーネントが周囲光にさらされないようにするために囲い込むことができる筐体内に保持することができる。
ここで図2を参照すると、先行技術の溶融転写アセンブリ333-1が示されており、図3に示される溶融転写アセンブリ333と同様ではあるが、コンプライアントニップローラ320の代わりに従来の剛性ニップローラ320-1を利用するものである。溶融転写アセンブリ333-1及び333は、層を転写した後に高温まで(例えば、熱可塑性粉末の少なくとも溶融温度まで)部品表面を加熱することによって溶融後又は熱設定ステップを実行するように構成された溶融後ヒータ382を含む。
図2及び3に示されるように、この溶融後ステップは、層転写プロセスの溶融転写/転写定着及び解放ステップに続くものであり、溶融転写/転写定着及び解放ステップは、熱可塑性粉末の溶融温度を下回る転写温度で実行することができる。層溶融転写アセンブリ333-1及び333においてポストヒータ382を追加することにより、熱可塑性粉末の溶融温度での層材料の界面接合を通じて得られた部品強度を犠牲にすることなく、層のきれいで急速な転写のために最適化された転写温度での3D部品322への層の転写が可能になる。この方法では、寸法精度及び多孔性(きれいな転写によって)に対して、また、強度に対して、部品品質を最適化することができる。
また、示されるように、層溶融転写アセンブリ333-1及び333は、ヒータ370及び372も含む(溶融後ヒータ382に加えて)。ヒータ370及び372は、溶融転写ステップの前に3D部品322の上面又は上層を加熱する。ポストヒータ382は、ニップローラ320-1及び320の下流且つエアジェット342の上流に位置し、溶融後又は熱設定ステップにおいて高温まで溶融転写済みの層を加熱するように構成される。
3D部品322を印刷する前、構築プラットフォーム318並びにニップローラ320-1及び320は、ヒータ338及び340をそれぞれ使用して、それらの所望の温度まで加熱することができる。例えば、構築プラットフォーム318は、平均部品温度(例えば、ABS共重合体の場合は約130℃)まで加熱することができる。しかし、ニップローラ320-1及び320は、像形成済みの層328の所望の転写温度まで加熱することができる。
或いは、構築プラットフォーム318は、平均部品温度まで加熱することから始めて、後に、構築が進行するにつれて全体的な部品温度の制御に役立つ温度まで低下させることができる。
印刷動作の間、ベルト314は、像形成済みの粉末層328を転写温度まで加熱するヒータ332を通過して、像形成済みの粉末層328を運ぶ。像形成済みの粉末層328の転写温度は、望ましくは、その溶融温度未満であるが、後続の溶融転写ステップの間に加熱済みの層328と3D部品322との間の高分子の部分的な絡み合いを達成するほど十分に高い温度である。熱可塑性粉末の適切な転写温度は、熱可塑性粉末のガラス転移温度を超える温度(層材料は軟化するが融解しない温度、例えば、ABS共重合体の場合は、約140℃~約180℃の範囲)を含む。
図2及び3にさらに示されるように、動作の間、ガントリ334は、構築プラットフォーム318及び3D部品322を往復パターン(これに限定されないが、長方形パターン(矢印376によって描写されている)など)で動かすことができる。具体的には、ガントリ334は、ヒータ370の下方で、ヒータ370に沿って又はヒータ370を通じて、x軸に沿って構築プラットフォーム318を動かす。ヒータ370は、熱可塑性粉末の転写温度などの高温まで3D部品322の上面を加熱する。ヒータ332及び370は、一貫した溶融転写界面温度を提供するために大体同じ温度まで像形成済みの粉末層328及び3D部品322の上面を加熱することができる。或いは、ヒータ332及び370は、所望の溶融転写界面温度を達成するために異なる温度まで像形成済みの粉末層328及び3D部品322の上面を加熱することができる。部品の最上部は、より低い温度の溶融転写層に熱エネルギーを熱伝導して溶融成功の可能性を増大するために、局所的に、材料の溶融温度よりはるかに高く加熱することができる。
ベルト314の回転継続及び構築プラットフォーム318の動きにより、x軸に沿った正しい位置合わせで、加熱済みの層328と3D部品322の加熱済みの上面との整合が行われる。その上、加熱済みの層328及び3D部品322の加熱済みの上面の各々は、加熱済みの層328と3D部品322の加熱済みの上面の両方を転写温度で加熱する及び/又は維持するように構成することができるヒータ372を通過することができる。これにより、ニップローラ320-1及び320のそれぞれに達する前に加熱済みの層328が冷めないようにし、次の溶融転写ステップが実行される前に、3D部品322の加熱済みの上面の温度を転写温度まで又は転写温度近くにする。代替の実施形態では、ヒータ372を省略することができる。
ガントリ334は、矢印330の方向に、ベルト314の回転速度と同期する速度で(すなわち、同じ方向及び速度)、x軸に沿って構築プラットフォーム318(及び3D部品322)を継続的に動かすことができる。これにより、ベルト314の裏面314bがニップローラの周りを回転し、ベルト314及び加熱済みの層328を3D部品322の上面にニップする。これにより、構築プラットフォーム318とベルト314が係合し、ニップローラの場所において、3D部品322の加熱済みの上面とベルト314との間で加熱済みの層328が押圧される。これにより、加熱済みの層328は、3D部品322の最上層に少なくとも部分的に溶融転写される。
溶融転写済みの層328がニップローラ320-1又は320のニップを通過すると、ベルト314は、ニップローラに巻き付き、構築プラットフォーム318から分離及び係脱する。これは、補助剥離ステップにおいてベルト314から溶融転写済みの層328を解放する上で役立ち、溶融転写済みの層328を3D部品322に接着したままの状態に保つことができる。上記で論じられるように、そのガラス転移温度より高いがその溶融温度より低い転写温度に溶融転写界面温度を維持することにより、加熱済みの層328は、3D部品322に接着できるほど十分に熱くすることができると同時に、ベルト314から容易に解放できるほど十分に冷却することができる。
解放後、ガントリ334は、x軸に沿って任意選択の溶融後ヒータ382まで構築プラットフォーム318(及び3D部品322)を継続的に動かす。次いで、溶融後ヒータ382では、溶融転写済みの層328及び3D部品322は、溶融後又は熱設定ステップにおいて、熱可塑性粉末の少なくとも溶融温度まで加熱される。これにより、高度に溶融可能な状態まで溶融転写済みの層328の材料が融解し、その結果、溶融転写済みの層328の高分子は、急速に相互拡散して3D部品322との高レベルの界面絡み合いを達成する。
それに加えて、ガントリ334がx軸に沿って溶融後ヒータ382を通過してエアジェット342まで構築プラットフォーム318(及び3D部品322)を継続的に動かすと、エアジェット342は、3D部品322の最上層に向けて冷却用空気を吹きかける。これにより、上記で論じられるように、融転写済みの層328は、平均部品温度まで能動的に冷却される。
次いで、ガントリ334は、構築プラットフォーム318(及び3D部品322)を下方に作動し、x軸に沿って開始位置までx軸に沿って構築プラットフォーム318(及び3D部品322)を戻し、往復長方形パターン376をたどる。構築プラットフォーム318は、望ましくは、次の層328との正しい位置合わせのために、開始位置に達する。また、いくつかの実施形態では、ガントリ334は、次の層328との正しい位置合わせのために、構築プラットフォーム318及び3D部品322を上方に作動することもできる。次いで、3D部品322の残りの層328の各々に対して、同じプロセスを繰り返すことができる。
層溶融転写アセンブリ333-1及び333は、3D部品322において像形成済みの層428を共に溶融転写すると同時に、加熱済みの層328をベルト314からきれいに解放できるほど十分に冷却された状態に保つための機構を提供する。ベルト314から溶融転写済みの層328の各々を解放した後に実行される熱設定ステップは、良好な部品強度を増進させるために、層間接着を相応に増強する。
それに加えて、エアジェット342(又は他の冷却ユニット)は、次の層328を印刷する前に、加熱要素332、370、372及び溶融後ヒータ382から加えられた熱を実質的に除去する。この能動冷却は、各層328によって提供される熱を実質的に除去し、それにより、印刷済みの層328の各々の後に実質的にゼロの蓄熱が提供される。従って、3D部品322は、全印刷動作の間、その変形温度を下回る平均部品温度で実質的に維持することができる。さらに、印刷済みの3D部品322の最上層表面温度は、次の層328の溶融転写のために、ヒータ370及び/又は372を使用して、そのガラス転移温度を上回る温度まで戻すことができる。
図2に示されるアセンブリ333-1などの以前の層溶融転写アセンブリでは、ニップローラ320-1は、ゴム又は他の同様の材料で作られた外側接触面を有するように作成することができる。より高いバルク温度(例えば、ABSトナーを使用すると、155℃を上回る温度)では、ローラ320-1の外側接触面材料は、部品の変形を低減するために、圧力の下で多少変形可能であり得る。しかし、ローラ320-1との接触により、依然として、過度の部品変形が生じ得る。さらに、いくつかのシステムにおいて望ましい、より低いバルク温度(例えば、130℃を下回る温度)では、ローラ320-1の材料は硬化され、ローラと接触する際にさらなる一層の部品変形を引き起こし得る。いくつかの例示的な実施形態では、特定の動作温度設定値での部品材料の変形に対するローラの変形量を最適化するために、ローラ材料の慎重な選択が行われ得る。
特に、より低い温度で、部品の変形を低減するか又は阻止するため、ニップローラ320は、ニップローラ320-1の接触面材料と比べて、より低い温度でより変形可能な外側接触面材料を含む。例えば、例示的な実施形態では、60ショアA未満のデュロメータの値を有するニップローラ320の外側接触面材料は、部品変形がほとんどなかったことが分かっている。材料のデュロメータの値が低過ぎると、ニップローラ320は必要に応じて機能することができないため、いくつかの実施形態では、外側接触材料は、10ショアA~60ショアAの範囲内のデュロメータの値を有するべきであることが分かっている。この範囲のデュロメータの境界値は、柔らか過ぎるか又は硬過ぎるニップローラをもたらし得るため、例示的な実施形態では、外側接触材料は、約20ショアA~50ショアAのより狭い範囲内のデュロメータの値を有し得ることが分かっている。様々な実施形態では、コンプライアントローラ材料の弾性係数は、部品というよりもむしろローラが変形するように、特定の動作温度及び条件(例えば、使用材料、圧力、滞留時間など)に対して選ばれる。変形可能ローラは、硬質コアと変形可能外層とを有するか、又は、希望に応じて、完全に変形可能材料からなることが可能である。
ここで図4~6を参照すると、いくつかの実施形態によるニップローラ320の例示的な実施形態が示されている。図4及び6はそれぞれ、ニップローラ320の斜視図及び端面図である。図5は、ニップローラの垂直断面図である。図4~6に見られるように、ニップローラ320は、内部ローラ材料321を取り囲む材料の外層323を含む。例示的な実施形態では、内部ローラ材料321は、ステンレス鋼又は他の剛性材料であり得る。材料の外層323は、外側接触面325を提供するものであり、60ショアA未満(例えば、20ショアA~50ショアA)のデュロメータの値を有する変形可能材料である。例示的な実施形態では、外層323は、シリコンゴム材料である。外層323の厚さは、特定のシステムのための十分な変形を可能にするために、必要に応じて異なり得る。例示的な一実施形態では、外層323は、約0.36インチの厚さを有し、3.70インチの外径を有する内部ローラ上に配置されるが、これは、すべての実施形態に当てはまる必要はない。適切ないかなる寸法のローラ及び層も使用することができる。例えば、別個の外層323を利用する実施形態では、0.1インチ~0.5インチの外層材料の厚さがうまく機能することが分かっている。さらに、いくつかの実施形態では、ニップローラは、全体的に変形可能材料で形成され、別個の外層は不要である。
ここで図7を参照すると、部品74の上面又は構築面76に対する圧力が外側接触面325に印加された際の外層323の変形を示すニップローラ320の一部分が図示されている。部品74はローラ320によって係合するため、外層323は変形し、オリジナルの半径Rrollから外層323の係合部分の局所平坦化に対応する湾曲部の半径まで湾曲部のローラ外径が伸びる。外層323の湾曲部の半径は、オリジナルの半径Rrollからローラ320と部品74との接触の中間点までは伸び続け、その後は縮み始める。図7は、湾曲部の伸びた2つの半径r1及びr2を示し、湾曲部の長い方の半径r2は、部品との接触の中間点に最も近い。高い変形度を有するコンプライアントローラ材料を使用することにより、部品の変形が最小限に抑えられる。従来の方式では、ローラと部品との間の変形のほとんどは、部品の層で起こった。現在開示されている概念及びコンプライアントローラ特徴を使用することにより、ローラと部品との間の変形のほとんどは、ローラで起こり、その結果、部品は実質的には変形しない。
上記で述べたように、ローラ320(例えば、外層323)の変形度は、使用されるローラ材料の硬度及びローラによって部品に印加される圧力を含むいくつかの因子に依存する。ローラ320の変形は主に変形可能材料の外層323の変形であり得るが、すべての実施形態に当てはまる必要はないことに留意しなければならない。例えば、いくつかの実施形態では、ローラ全体が変形可能材料で作られているものであり得る。ローラ320又は外層323の変形に関する論考は、両方のタイプの実施形態を含むことを意図する。図8は、20psi、40psi、60psi及び80psiの接触圧で、450psi(55ショアA)、300psi(45ショアA)、200psi(35ショアA)及び100psi(20ショアA)の弾性係数をそれぞれ有する材料に対するローラ320の変形をプロットする。ローラ320の変形の増大は、材料硬度の減少と共に見られる。例示的な実施形態では、外層の過度の変形は、ローラが溶融転写ローラとして機能することを妨げるため、外層材料は、70psi~240psiの弾性係数を有するように選択される。
例示的な実施形態では、開示されるコンプライアントローラは、異なるシステムにおいて及び異なる層溶融転写アセンブリ構成において使用することができる。例えば、図9に示されるように、層溶融転写アセンブリ433は、解放ローラ468の下流且つエアジェット442の上流に位置する溶融後ヒータ482を含み、溶融後ヒータ482は、溶融後又は熱設定ステップにおいて熱可塑性粉末の少なくとも溶融温度まで溶融転写済みの層を加熱するために、溶融後ヒータ382と同じ方法で動作することができる。
3D部品422を印刷する前、構築プラットフォーム418及びコンプライアントニップ溶融ローラ420(上記で論じられるローラ320と同様であり得る)はそれぞれ、ヒータ438及び440によって、それらの所望の温度まで加熱することができる。例えば、構築プラットフォーム418は、平均部品温度まで加熱することができ、溶融ローラ420は、高温まで(熱可塑性粉末の溶融温度までなど)又はより低い転写温度まで加熱することができる。印刷動作の間、ベルト414は、像形成済みの粉末層428及びベルト414の関連領域を高い転写温度(望ましくは、ガラス転移温度を上回り、典型的には、熱可塑性粉末の溶融温度を超えない温度)まで加熱するヒータ432を通過して、像形成済みの粉末層428を運ぶ。
動作の間、モータ436からの動力の下で、ガントリ434は、ガントリ334と同じ方法で、構築プラットフォーム418及び3D部品422を往復長方形パターン(矢印476によって描写されている)で動かすことができる。ガントリ434は、ヒータ470の下方で、ヒータ470に沿って又はヒータ470を通じて、x軸に沿って構築プラットフォーム418を動かすことができ、ヒータ470は、高い転写温度(同様に、ガラス転移温度を上回り、望ましくは、熱可塑性粉末の溶融温度を超えない温度)まで3D部品422の上面を加熱する。
ベルト414の回転継続及び構築プラットフォーム418の動きにより、x軸に沿った正しい位置合わせで、加熱済みの層428と3D部品422の加熱済みの上面との整合が行われる。その上、加熱済みの層428及び3D部品422の加熱済みの上面の各々は、加熱済みの層428と3D部品422の加熱済みの上面の両方を転写温度で加熱する及び/又は維持するように構成することができるヒータ472を通過することができる。これにより、溶融ローラ420に達する前に加熱済みの層428が冷めないようにし、次の溶融転写ステップが実行される前に、3D部品422の加熱済みの上面の温度を転写温度にする。
ガントリ434は、矢印430の方向に、ベルト414の回転速度と同期する速度で(すなわち、同じ方向及び速度)、x軸に沿って構築プラットフォーム418(及び3D部品422)を継続的に動かすことができる。これにより、ベルト414の裏面414bが溶融ローラ420の周りを回転し、ベルト414及び加熱済みの層428を3D部品422の上面にニップする。これにより、構築プラットフォーム418とベルト414が係合し、溶融ローラ420の場所において、3D部品422の加熱済みの上面とベルト414との間で加熱済みの層428が押圧され、溶融転写ステップが実行される。
溶融ローラ420と解放ローラ468を分離することにより、それらの間のエアジェット474(又は他の冷却機構)を介する冷却ステップを用いることで、層溶融転写アセンブリ433は、層溶融転写アセンブリ333を使用する際に許容される温度より高い溶融転写界面温度まで層を加熱することもできる。層428及び3D部品422の加熱済みの最上層が熱可塑性粉末の溶融温度まで、熱可塑性粉末の溶融温度で又は熱可塑性粉末の溶融温度近くまで加熱される場合には、押圧された加熱済みの層428は、高レベルの層間接着で3D部品422の加熱済みの上面に溶融転写される。例示的な実施形態では、解放ローラ468は、上記で論じられるローラ320と同様のコンプライアント溶融ローラでもあり得るが、これは、当てはまる必要はない。
溶融ローラ420を通過した後、且つ、構築プラットフォーム418がベルト414と係合している間、ベルト414、構築プラットフォーム418及び3D部品422は、エアジェット474を通過し、エアジェット474により、ベルト414裏面414bの側部が冷却される。代替の実施形態では、エアジェット474は、冷蔵ユニット、液体冷却ユニット、蒸発ユニット及び同様のものなど、様々な異なる対流性及び/又は伝導性冷却ユニットであり得る。エアジェット474を備える冷却ベルト414は、ベルト414の表面414aと溶融転写済みの層428との間の界面の冷却を可能にし、その結果、溶融転写済みの層428を、3D部品422に接着したままベルト414からきれいに解放することができる。
具体的には、溶融転写済みの層428が解放ローラ468のニップを通過すると、ベルト414は、解放ローラ468の周りを回転し、構築プラットフォーム418から分離及び係脱する。これは、補助剥離ステップにおいてベルト414から溶融転写済みの層428を解放する上で役立ち、溶融転写済みの層428を3D部品422に接着したままの状態に保つことができる。
解放後、ガントリ434は、x軸に沿って溶融後ヒータ482まで構築プラットフォーム418(及び3D部品422)を継続的に動かす。次いで、溶融後ヒータ482では、溶融転写済みの層428及び3D部品422は、熱設定ステップにおいて、熱可塑性粉末の溶融温度まで再度加熱される。これにより、溶融可能な状態まで溶融転写済みの層428の材料が融解し、その結果、溶融転写済みの層428の高分子は、高度に相互拡散して3D部品422との界面絡み合いを促進する。実際には、層溶融転写アセンブリ433は、非常に高い強度の部品の構築に特に適したプロセスである転写定着ステップによって分離された2つの相互拡散ステップを生成する。
それに加えて、ガントリ434がx軸に沿って溶融後ヒータ482を通過してエアジェット442まで構築プラットフォーム418(及び3D部品422)を継続的に動かすと、エアジェット442は、3D部品422の最上層に向けて冷却用空気を吹きかける。これにより、上記で論じられるように、融転写済みの層428は、平均部品温度まで能動的に冷却される。
次いで、ガントリ434は、構築プラットフォーム418(及び3D部品422)を下方に作動し、x軸に沿って開始位置までx軸に沿って構築プラットフォーム418(及び3D部品422)を戻し、往復長方形パターン476をたどる。構築プラットフォーム418は、望ましくは、次の層428との正しい位置合わせのために、開始位置に達する。また、いくつかの実施形態では、ガントリ434は、次の層428との正しい位置合わせのために、構築プラットフォーム418及び3D部品422を上方に作動することもできる。次いで、3D部品422の残りの層428の各々に対して、同じプロセスを繰り返すことができる。
層溶融転写アセンブリ433は、層を共に溶融転写すると同時に、加熱済みの層428をベルト414からきれいに解放できるほど十分に冷却された状態に保つためのさらなる代替の機構を提供する。溶融ローラ420と解放ローラ468を分離することにより、それらの間のエアジェット474を介する冷却又は転写定着ステップを用いることで、最適な溶融転写界面温度まで層を加熱し、解放前に層428を転写定着させる温度まで冷却することができる。その上、溶融後ヒータ482を介する熱設定ステップは、さらに一層優れた部品強度の制御を提供する。
それに従って、層428及び3D部品422の熱プロファイルは、様々な要件を満たすように厳重に制御することができる。次いで、ベルト414から解放後、溶融転写済みの層428は、上記で論じられるように、3D部品422との界面絡み合いをさらに促進するために、溶融後ヒータ482を介して少なくともその溶融温度まで再加熱することができる。
図10及び11は、エアジェット274が省略されたさらなる代替の層溶融転写アセンブリ333である層溶融転写アセンブリ533及び633を示す。例えば、図9に示されるように、層溶融転写アセンブリ533は、層溶融転写アセンブリ333と同様の方法で機能し得、それぞれのコンポーネントの参照番号は、層溶融転写アセンブリ333から「200」増えている。
この実施形態では、ベルト514は、望ましくは、層528及び3D部品522を加熱するためのヒートキャパシタとして機能する。具体的には、ベルト514は、望ましくは、以下で論じられるように、高い熱伝導率及び高い熱容量を有する。示されるようなヒータ532は、像形成済みの粉末層528の加熱と共にベルト自体を加熱するためにベルトの反対側の面に熱を誘導する非接触型ラジエントヒータである。従って、ヒータ532で加熱した後、ベルト514は、溶融転写ステップのための唯一の加熱源であり得、ニップローラ520は、任意選択により、加熱しなくとも、より低い温度(例えば、所望の平均部品温度)まで加熱してもよい。他の実施形態では、ヒータ532の代わりに、接触型熱源又は非ラジエントヒータなどの代替の又は追加の熱源を使用することができる。ニップローラ520は、上記で論じられるコンプライアントローラ320と同じもの又は同様のものであり得る。
それに従って、3D部品522を印刷する前、構築プラットフォーム518は、ヒータ538によって、その所望の温度(例えば、平均部品温度)まで加熱することができる。印刷動作の間、ベルト514は、像形成済みの粉末層528及びベルト514の関連領域を高い転写温度(熱可塑性粉末の溶融温度など)まで加熱するヒータ532を通過して、像形成済みの粉末層528を運ぶ。この実施形態では、そのより高い熱伝導率及び熱容量により、ベルト514は、望ましくは、構築プラットフォーム518への輸送の間、加熱済みの層528を加熱し続ける。
動作の間、ガントリ534は、ガントリ134、234、334及び434と同じ方法で、構築プラットフォーム518及び3D部品522を往復長方形パターン(矢印576によって描写されている)で動かすことができる。ベルト514の回転継続及び構築プラットフォーム518の動きにより、x軸に沿った正しい位置合わせで、加熱済みの層528と3D部品522の上面との整合が行われる。ガントリ534は、矢印530の方向に、ベルト514の回転速度と同期する速度で(すなわち、同じ方向及び速度)、x軸に沿って構築プラットフォーム518(及び3D部品522)を継続的に動かすことができる。これにより、ベルト514の裏面514bがニップローラ520の周りを回転し、ベルト514及び加熱済みの層528を3D部品522の加熱済みの上面にニップする。これにより、構築プラットフォーム518とベルト514が係合し、ニップローラ520の場所において、3D部品522の上面とベルト514との間で加熱済みの層528が押圧され、溶融転写ステップが実行される。
ベルト514からの伝導加熱は、共に溶融している3D部品522のエリア(すなわち、加熱済みの層528又はベルト514と接触している3D部品522のエリアのみを直接加熱する。それに加えて、ベルト514及び構築プラットフォーム518がニップローラ520から解放ローラ568まで矢印530の方向に継続的に動くにつれて、ベルト514は、望ましくは、溶融転写済みの層528及び3D部品522に熱エネルギーを伝導する。理論に縛られることは望まないが、このステップの間のベルト514から3D部品522の溶融転写済みの層への熱エネルギーの解放は2つの機能を提供すると考えられている。
第1に、3D部品522の溶融転写済みの層の加熱が継続され、それにより、層間接着が増強する。例えば、ベルト514及び層528が約200℃の溶融温度まで加熱され、3D部品522が約100℃の平均部品温度に維持される場合は、層を共に溶融転写するための初期溶融転写界面温度は、約150℃で始まる。しかし、ベルト514から3D部品522の溶融転写済みの層への熱エネルギーの伝導を継続しながら、ニップローラ520から解放ローラ568まで動かすことにより、溶融転写界面温度が増加する。これにより、高分子の接着度が相応に増大し、図1のプロットライン関数f(τr)及び方程式1~3に従って、界面絡み合いが促進される。
第2に、ベルト514及び層528から3D部品522の最上層へと熱を引き出す伝導熱伝達は、ベルト514及び層528を溶融温度からより低い温度まで冷却し、その結果、解放ローラ568を通過する際、溶融転写済みの層528は、3D部品522に接着したまま、ベルト514からきれいに解放することができる。従って、この方法でベルト514から熱を引き出すことにより、ジェットを採用することなく、エアジェット274及び474と同様の方法でベルト514及び層528が冷却される。
具体的には、溶融転写済みの層528が解放ローラ568のニップを通過すると、ベルト514は、解放ローラ568の周りを回転し、構築プラットフォーム518から分離及び係脱する。これは、補助剥離ステップにおいてベルト514から溶融転写済みの層528を解放する上で役立ち、溶融転写済みの層528を3D部品522に接着したままの状態に保つことができる。
解放後、ベルト514は、回転してEPエンジン12(図1に示される)まで戻り、追加の冷却機構(図示せず)を用いて又は自然放熱冷却を介してさらに冷却することができる。ガントリ534は、構築プラットフォーム518(及び3D部品522)を下方に作動し、x軸に沿って開始位置までx軸に沿って構築プラットフォーム518(及び3D部品522)を戻し、往復長方形パターン576をたどる。構築プラットフォーム518は、望ましくは、次の層528との正しい位置合わせのために、開始位置に達する。また、いくつかの実施形態では、ガントリ534は、次の層528との正しい位置合わせのために、構築プラットフォーム518及び3D部品522を上方に作動することもできる。次いで、3D部品522の残りの層528の各々に対して、同じプロセスを繰り返すことができる。
層溶融転写アセンブリ533は、層を共に溶融転写すると同時に、加熱済みの層528をベルト514からきれいに解放できるほど十分に冷却された状態に保つためのさらなる代替の機構を提供する。溶融ローラ520と解放ローラ568を分離することにより、それらの間のベルト514から3D部品522への熱伝導を介する冷却又は転写定着ステップを用いることで、最適な溶融転写界面温度まで層を加熱し、解放前に層528を転写定着させる温度まで冷却することができる。いくつかの実施形態では、解放ローラ568は、上記で論じられるローラ320と同様のコンプライアントローラでもあり得るが、これは、すべての実施形態に当てはまる必要はない。
いくつかの実施形態では、層溶融転写アセンブリ533は、任意選択により、溶融転写ステップの前に3D部品522の上面に向けて熱を誘導するための1つ若しくは複数のプリヒータ、ベルト514をさらに冷却する上で役立てるための1つ若しくは複数のエアジェット(例えば、エアジェット474)、3D部品522を再加熱するための1つ若しくは複数の溶融後ヒータ(例えば、溶融後ヒータ382、482)、及び/又は、3D部品522をその所望の平均部品温度に維持する上で役立てるための1つ若しくは複数の空気能動冷却ユニット(例えば、エアジェット342、442)も含み得る。
しかし、ベルト514の高い熱伝導率及び熱容量により、層溶融転写アセンブリは、共に溶融している3D部品522のエリアにのみ選択的に熱を伝達することができる。この伝導加熱は、完成しており且つ現在の層528と溶融していない3D部品522の融解小型部品特徴を融解するリスクを低減する。それに加えて、この伝導加熱は、層溶融転写アセンブリ533における加熱及び冷却ユニットの数を低減することができ、それにより、再加熱及び再冷却ステップの数を低減することができる。
ベルト514に適した平均熱伝導率の例は、少なくとも約0.12ワット毎メートル毎ケルビン(W/m-K)の熱伝導率を含み、特に適した平均熱伝導率は、約0.2W/m-K~約0.5W/m-Kの範囲であり、平均熱伝導率は、ASTM E1225-09に従って測定される。その上、ベルト514に適した平均熱容量の例は、少なくとも約1,000ジュール毎キログラム毎ケルビン(J/kg-K)の比熱容量を含み、特に適した平均熱容量は、約2,000J/kg-K~約3,000J/kg-Kの範囲であり、比熱容量は、ASTM E1269-11に従って測定される。
ベルト514に適した材料の例は、高分子及び金属材料を含み、この材料は、静電気帯電を促進するために1つ又は複数の導電性材料でドープすることができる。適切な高分子材料の例は、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEからの「KAPTON」という商標名の下で市販されているものなどのポリイミド材料を含む。
図11は、層溶融転写アセンブリ533(図10に示される)の代替のものである層溶融転写アセンブリ633を示し、それぞれのコンポーネントの参照番号は、層溶融転写アセンブリ533から「100」増えている。図11に示されるように、層溶融転写アセンブリ633は冷却ユニット642も含み、冷却ユニット642は、3D部品622をその所望の平均部品温度に維持する上で役立てるためにエアジェット342、442と同様の方法で3D部品622を能動的に冷却するための伝導冷却ユニットである。
しかし、非接触型冷却ユニット(例えば、エアジェット342、442)と比べると、冷却ユニット642は、冷却ユニット642と接触している3D部品622のエリアのみを選択的に冷却する。具体的には、冷却ユニット642は、ローラ642a及び冷却ベルト642bを含み得、冷却ベルト642bは、望ましくは、x軸に沿った矢印630の方向における構築プラットフォーム618及び3D部品622の動きと同期する速度で、ローラ642a(並びに他のアイドラ及び/又は駆動ローラ)の周りを回転するように構成される。ベルト642b自体は、望ましくは、熱伝導率を有し、ヒートシンクとして機能するように冷却される(例えば、冷蔵ユニット又は他の冷却機構(図示せず)を介して)。代替の実施形態では、冷却ユニット642は、熱伝導を介して3D部品622から熱エネルギーを引き出すための適切ないかなる機構(例えば、回転可能コールドドラム又は往復コールドプラットフォーム)も含み得る。
この実施形態では、解放ローラ668を通過した後、3D部品622の上面は、望ましくは、ベルト642bと接触し、能動冷却ステップにおいて3D部品622から熱を能動的に引き出すのに十分な時間の間、ベルト642bと共に移動する。上記で言及したように、これは、3D部品622の全体的な冷却というよりむしろ、冷却ユニット642と接触している3D部品622のエリアのみを選択的に冷却する。理解できるように、共に溶融している3D部品622のエリアのみを選択的に加熱するベルト614での各溶融転写ステップの間、3D部品622に引き込まれる熱の大部分は、3D部品622の最上層に存在する。従って、溶融転写ステップの直後にこれらの同じエリアから熱を選択的に引き出すことにより、3D部品622を全体的に冷却することなく、部品のバルクへの熱の拡散を阻止することができる。
それに従って、ベルト614と冷却ユニット642を併用することにより、層溶融転写アセンブリ633は、溶融している3D部品622のエリアのみを直接加熱及び冷却することができる。これにより、完成している小型特徴の融解又は未だ構築中の表面の過度の冷却など、潜在的に望ましくない影響を及ぼすバルク加熱及びバルク冷却ステップを排除することができる。不満ローラ320を参照して上記で論じられるように、ニップローラ620は、圧力の下で部品と接触すると変形するという同様の構造のものである。ローラ668及び642aも同様にコンプライアントローラであり得るが、すべての実施形態に当てはまる必要はない。
図12は、層溶融転写アセンブリ733の別の例示的な実施形態を示す。示されるように、層溶融転写アセンブリ733は、予備焼結ヒータ768、構築プラットフォーム770及びニップローラ720を含む。代替の実施形態では、層溶融転写アセンブリ733は、任意選択により、1つ又は複数の溶融後ヒータ及びエアジェット(又は他の冷却ユニット)、並びに/或いは、参照により本明細書に組み込まれるComb等の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び米国特許出願公開第2013/0186558号明細書で説明されているような他の構成(例えば、プレスプレート、複数のローラなど)も含み得る。
予備焼結ヒータ768(上記の図1でも描写されている)は、ニップローラ720に達する前に粉末性材料の層764を焼結するように構成された1つ又は複数の加熱デバイス(例えば、赤外線ヒータ、加熱エアジェット及び/又は接触ローラ)である。各層764は、望ましくは、層764の加熱に十分な滞留時間の間、予備焼結ヒータ768のそばを通り(又は予備焼結ヒータ768を通過し)、それにより、粉末性材料は焼結されて焼結済みの連続膜764fになる。予備焼結ヒータ768は、好ましくは、ニップローラ720に達する前に所望の転写温度に先立って焼結済みの膜764fを部分的に冷却できるほど十分な距離だけニップローラ720の上流に位置する。ニップローラ720は、ローラ320を参照して上記で論じられるものなどのコンプライアントローラ構造のものであり得る。
構築プラットフォーム770は、3D部品及び任意の関連支持構造(3D部品774p及び支持構造774sと呼ばれる)を層ごとに印刷するために焼結済みの膜764fを受け取るように構成されたプラットフォームアセンブリ又はプラテンである。論じ易くするため、3D部品774p及び支持構造774sは、本明細書では、集合的に、中間構築面776を有する3D部品774と呼ばれる。いくつかの実施形態では、構築プラットフォーム770は、焼結済みの層764fを受け取るための取り外し可能な膜基板(図示せず)を含み得、取り外し可能な膜基板は、任意の適切な技法(例えば、真空引き、再剥離性接着剤、機械式締め具、磁気吸引及び同様のもの)を使用して構築プラットフォーム770に拘止することができる。
構築プラットフォーム770は、ガントリ778によって支持され、ガントリ778は、好ましくは、往復長方形パターンを生み出すために、z軸及びy軸に沿って構築プラットフォーム770を動かすように構成されたガントリ機構であり、主な動きは、y軸に沿った前進後退である(破線780によって示される)。往復長方形パターンは軸方向の鋭い角を有する長方形パターン(矢印780によって定義される)として説明されているが、ガントリ778は、押圧ステップの間に構築プラットフォーム770がy軸に沿って動く限り、角丸又は楕円形を定義する角を有する往復長方形パターンで構築プラットフォーム770を動かすことができる。ガントリ778は、コントローラ24からのコマンドに基づいてモータ736によって操作することができ、モータ736は、電動モータ、油圧系、空気圧系又は同様のものであり得る。
示される実施形態では、構築プラットフォーム770は、加熱要素738(例えば、電気ヒータ)で加熱可能である。加熱要素738は、室温(25℃)より高い高温に、より好ましくは、部品材料のガラス転移温度程度に又はガラス転移温度を下回る温度近くに(ガラス転移温度から約15℃以内、約10℃以内若しくは約5℃下回るなど)、構築プラットフォーム770を加熱及び維持するように構成される。
ニップローラ720は、加熱可能な押圧要素の例であり、ベルト722の動きに合わせて固定軸の周りを回転するように構成される。具体的には、ベルト722が矢印734の方向に回転する一方で、ニップローラ720は、裏面722bに当接して矢印786の方向に回転することができる。示される実施形態では、ニップローラ772は、加熱要素788(例えば、電気ヒータ)で加熱可能である。加熱要素788は、構築プラットフォーム770と実質的に同じ温度になど、室温(25℃)より高い高温に(例えば、部品材料のガラス転移温度程度に又はガラス転移温度を下回る温度近くに(ガラス転移温度から約15℃以内、約10℃以内若しくは約5℃下回るなど))、ニップローラ720を加熱及び維持するように構成される。
印刷動作の間、ベルト722は、予備焼結ヒータ768を通過して粉末性の熱可塑性部品及び/又は支持材料の現像済みの層764を運ぶ。予備焼結ヒータ768は、高温且つ低(又はゼロ)印加圧力で、粉末性材料を相応に焼結する。
いくつかの例示的な実施形態では、予備焼結ヒータ68は、押圧ローラ768a、バッキングローラ768b及び加熱要素768cのローラ構成を組み込むことができる。この実施形態では、加熱要素768cは、ベルト722及び現像済みの層764を加熱するために、バッキングローラ768bを高温まで加熱することができる。それに加えて、押圧ローラ768aは、少量の圧力を現像済みの層764に印加することができ、その結果、高温と少量の印加圧力を組み合わせることにより、現像済みの層764の粉末性材料は焼結されて焼結済みの連続膜764fになる。
加熱ローラ(すなわち、バッキングローラ768b)をベルト722の裏面722bに配置することにより、押圧ローラ768aとは対照的に、ベルトの表面エネルギーは優位な粘着性表面をもたらすことが保証される。その上、押圧ローラ768a及びバッキングローラ768bのニップにおけるベルト722の表面の湾曲もまた、焼結済みの膜764fをベルト722上に保持する傾向がある。
それに従って、このローラの実施形態は、焼結済みの膜774がより低い温度で予備焼結ヒータ768を出ることを可能にし、それに応じて、このローラの実施形態をニップローラ720の近くに配置することができるが、その理由は、焼結済みの膜764fは、所望の転写温度まで冷却するのに長い距離を必要としないためである。それに加えて、このローラの実施形態には赤外線加熱は不要であるため、粉末性材料は、任意選択により、赤外線吸収材料(例えば、カーボンブラック)を含まなくともよく、異なる有色顔料及び色素を組成物に組み込むことが可能である。
本発明の実施形態では、熱及び同時又は後続の圧力は、現像済みの層を3D構造の中間構築面にフレンケル溶融するため、溶融転写プロセスの間に印加される。「フレンケル溶融」という用語は、本明細書で使用される場合は、熱可塑性粒子間の軽度の粘着性又は濡れ性を意味する。これは、ガラス転移温度Tgを上回る温度で起こり得るが、表面近くの重合体はより低い有効ガラス転移温度を有するため(表面を流れ易くする表面効果がある)、ガラス転移温度をわずかに下回る温度でも起こり得る。フレンケル溶融材料の多孔性は、10~30%である場合が多い。しかし、新しい溶融転写済みの層の完全な溶融は未だ完了しておらず、前の溶融転写済みの層に新しい層を完全に溶融するには、追加の熱を部品に提供しなければならない。過去の手法は、構築の際、部品歪みを回避するために、3D構造の中間構築面における熱を適度に抑えていた。本発明のいくつかの実施形態は、層溶融転写前に、熱可塑性物質の溶解温度まで中間構築面を加熱し、次いで、層溶融転写後に、新しい中間構築面を冷却するものであり、層及び溶融転写アセンブリの温度条件を制御することによって、及び、過熱される3D構造の領域を中間構築面近くの溶融転写層(「バルク部品」層と呼ばれる)に制限することによって、部品歪みを回避できることを認識している。新しい層を溶融転写する前に中間構築面の上面を過熱することにより、完全な溶融に達するため及び同じ形状の射出成形部品と同様の特性を有する成功部品を構築するために、適切な領域に熱が供給される。
材料の層を運ぶための媒体としての移動ベルトの使用は、ベルト伸縮、キルティング、過熱及び加熱不足に起因する溶融転写プロセスの熱条件のため、難易度の高いものであり得る。いくつかの例では、溶融転写プロセスに失敗し、構築面への現像済みの層の不完全な転写が起こり得る。「コールドオフセット」と一般的に呼ばれる第1の例では、移動媒体上の現像済みの層の一部分は、現像済みの層と構築面との間の界面における不十分な接合のため、移動媒体から3D構造の構築面に完全には転写されない。これは、現像済みの層と対応する中間表面との間の界面における熱不足が原因で起こる場合が多い。「ホットオフセット」と一般的に呼ばれる第2の例では、現像済みの層の一部分と移動媒体との間の接合は、現像済みの層の一部分と対応する構築面との間の接合を超える。これは、現像済みの層の一部分が、構築面の隣接材料より強力にベルトに接着する程度まで加熱される(Tfに近づく)際に起こる場合が多い。残念ながら、現像済みの層が移動媒体にそれほど強力に接合しないと同時に構築面にしっかりと接合することを保証するために現像済みの層及び構築面に印加できる特定の圧力及び温度は存在しない。本開示の実施形態は、ホット及びコールドオフセット溶融転写プロセスの失敗を低減するための電子写真に基づく付加製造システム及び方法を対象とする。
図13は、層溶融転写アセンブリ819の例示的な実施形態を示す。溶融転写アセンブリ819の実施形態は、構築プラットフォーム870、押圧コンポーネント820、溶融転写前ヒータ872、875及び溶融転写後クーラ876を含む。構築プラットフォーム870は、構造874を印刷するために加熱済みの層を受け取るように構成されたプラットフォームアセンブリ又はプラテンであり、構造874は、部品部分874pで形成される3D部品及び支持構造部分874sで形成される任意選択の支持構造(層ごとに形成される)を含む。いくつかの実施形態では、構築プラットフォーム870は、印刷済みの層を受け取るための取り外し可能な膜基板(図示せず)を含み得、取り外し可能な膜基板は、任意の適切な技法(例えば、真空、締め付け又は接着)を使用して構築プラットフォーム870に拘止することができる。
構築プラットフォーム870は、ガントリ878又は他の適切な機構によって支持され、ガントリ878又は他の適切な機構は、z軸及びy軸に沿って、及び任意選択により、y及びz軸に直交するx軸にも沿って、構築プラットフォーム870を動かすように構成される。ガントリ878は、コントローラ24からのコマンドに基づいてモータ836によって操作することができる。モータ836は、電動モータ、油圧系、空気圧系、圧電デバイス又は同様のものなど、適切ないかなるアクチュエータでもあり得る。
いくつかの実施形態では、ガントリ878は、z軸及びy軸に沿って構築プラットフォーム870を動かすように構成される。いくつかのそのような実施形態では、ガントリ878は、往復長方形パターンを生み出し、その主な動きは、図13の破線880によって示されるように、y軸に沿った前進後退である。往復長方形パターンは軸方向の鋭い角を有する長方形パターンとして示されているが、ガントリ878は、以下で説明される押圧コンポーネント820における押圧ステップの間に構築プラットフォーム870がy軸プロセス方向(矢印887aによって示される)に沿って動く限り、角丸又は楕円形角を有する往復長方形パターンで構築プラットフォーム870を動かすことができる。コントローラ24は、溶融転写動作の間、印刷済みの構造874の上面である中間構築面876の場所をy軸に沿ってシフトするように、及び、y軸に沿って構築面876との正しい位置合わせで層874pを配置するように、ガントリ878を制御する。
いくつかの実施形態では、構築プラットフォーム870は、加熱要素890(例えば、電気ヒータ)を使用して加熱される。Comb等の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び米国特許出願公開第2013/0186558号明細書で論じられるように、加熱要素890は、3D部品874p及び/又は支持構造874sの所望のバルク部品温度を達成するために、熱の供給を支援するように構成される。これにより、構築プラットフォーム870は、3D部品874p及び/又は支持構造874sをこの平均部品温度に維持する上で役立てることができる。
図13に示されるように、システム又は溶融転写アセンブリ819は、転写ローラ820の前に、内部冷却プラニッシュローラ808を含む。ローラ808などの冷却プラニッシュローラは、空隙を低減するために層を圧縮し、引張荷重及び部品への転写をサポートする膜を作成するために層温度を低減する機能を果たす。層の多孔性は、この追加の圧力及び冷却ステップを通じて低減される。この実施形態では、ローラ808は、ローラ808自体と押圧コンポーネント820との間で層822を押圧するが、本開示の範囲から逸脱することなく、押圧コンポーネント820とは別に、別個のプラニッシュローラ808及び第2のローラを使用することができる。転写ローラに達する前に層がプラニッシュ加工されるか又はプラニッシュ加工されないかにかかわらず、転写する層の温度は、転写ローラの直前では、転写温度設定値をターゲットとしている。
いくつかの実施形態では、転写ローラ820は、層822を構築面876に溶融転写するために、ベルトから構造874の構築面876に層822を押圧するように構成される。いくつかの実施形態では、転写ローラ820は、3D構造874を層ごとに形成するために、滞留時間の間、ベルト824又は他の移動媒体上の現像済みの層822の各々を構築プラットフォーム870上の構造874の構築面876に当接して押圧するように構成される。
押圧コンポーネント820は、適切ないかなる形態も取ることができる。例えば、示されるような押圧コンポーネント820は、上記で論じられるように、転写ローラの形態である。転写ローラは、説明されるようなコンプライアント転写ローラであり得、図6を参照して論じられるような外部及び内部ローラ材料の組合せで作られるか、又は、全体的にコンプライアント外部ローラ材料で作られる。いくつかの例示的な実施形態では、押圧コンポーネント820は、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれるComb等の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び米国特許出願公開第2013/0075033号明細書で論じられるものなど、プレスプレートを含む。いくつかの例示的な実施形態では、押圧コンポーネント820は、Comb等の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び米国特許出願公開第2013/0075033号明細書で論じられるものなど、複数対のローラ間のベルト824の支持体を含む。また、押圧コンポーネント820は、他の適切な形態を取ることもできる。従って、以下では、押圧コンポーネント820の転写ローラの実施形態を使用する実施形態について説明するが、本開示の実施形態は、転写ローラを別の適切な押圧コンポーネント820と交換したものを含むことが理解されている。転写ローラは、好ましくは、所望の転写温度まで加熱可能であり、所望の転写温度は、使用材料などの基準に基づいて確立することができる。
いくつかの実施形態では、転写ローラ820は、ベルト824の動きに合わせて固定軸の周りを回転するように構成される。具体的には、ベルト824が送り方向832に回転する一方で、転写ローラ820は、裏面824bに当接して矢印892の方向に回転することができる。
いくつかの実施形態では、押圧コンポーネント820は、加熱要素894(例えば、電気ヒータ)を含み、加熱要素894は、層822の所望の転写温度になど、室温(25℃)より高い高温に押圧コンポーネント820を維持するように構成される。
溶融転写前ヒータ872は、転写ローラ820に達する前に、層822の意図する転写温度近くの温度までベルト824上の層822を加熱するように構成された1つ又は複数の加熱デバイス(例えば、赤外線ヒータ及び/又は加熱エアジェット)を含む。意図する転写温度まで層822を加熱するため、各層822は、望ましくは、十分な滞留時間の間、ヒータ872のそばを通る(又はヒータ872を通過する)。溶融転写前ヒータ875は、ヒータ872と同じ方法で機能し得、構築プラットフォーム870上の3D部品874p及び任意選択の支持構造874sの上面を高温まで加熱する。溶融転写前ヒータ875は、強烈且つ局所的な熱を部品の上面に提供し、その熱は、最終的には、転写予定の最も新しい層に伝達される。この高温は、部品874に溶融転写される層822の温度及びベルト824の温度より高い温度である。ヒータ872は、転写前に層822の粒子を溶融するが部品より低い温度であるように、転写される層822に熱を提供する。
任意選択の溶融転写後クーラ876は、構築プラットフォーム870がy軸に沿って動く方向887aに対して、転写ローラ820の下流に位置し、溶融転写済みの層822を冷却するように構成される。上記で言及したように、いくつかの実施形態では、構築プラットフォーム870上に構造874を構築する前、構築プラットフォーム870及び転写ローラ820は、システムをより急速に定常状態の温度設定値にするために、所望の温度まで加熱することができる。
印刷又は転写動作の間、ベルト824は、ヒータ872を通過して層822を運び、ヒータ872は、層822及びベルト824の関連領域を転写温度まで加熱することができる。部品及び支持材料に適した転写温度は、部品及び支持材料及び66sのガラス転移温度を超える温度を含み、その温度では、層822は軟化するが融解しない。転写温度は、ホット及びコールドオフセットが起こらないことも保証する範囲内で操作しなければならない。
動作の間、ガントリ878が、ヒータ875の下方で、ヒータ875に沿って又はヒータ875を通じて、y軸に沿って方向887aに構築プラットフォーム870を動かすと、ヒータ875は、3D部品の中間構築面876の上面を非常に高い温度まで加熱する。Comb等の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び米国特許出願公開第2013/0186558号明細書で論じられるように、以前の手法では、ヒータ872及び875は、一貫した溶融転写界面温度を提供するために大体同じ温度まで像形成済みの層822及び中間構築面876を加熱することができる。しかし、その手法は、新しい像形成済みの層の加熱へのより一層の依存をもたらし、それにより、部品形状及びベルト問題が生じ得る。層溶融転写の前の部品の上面への熱の強力且つ急速な印加は、部品形状変形及びベルト過熱を最小限に抑える上で役立つ。いくつかの実施形態では、ヒータ872及び875は、所望の溶融転写界面温度を達成するために異なる温度まで像形成済みの層822及び中間構築面876を加熱する。ヒータ875が転写温度を超える温度まで中間構築面876を加熱する実施形態では、部品表面は、溶融転写される層822に並びにベルト824及び押圧コンポーネント820に熱を伝導するように機能する。
プラニッシュ加工を用いない溶融転写プロセスでは、溶融転写される層822は、例えば、約160℃まで加熱することができる。この加熱は、ヒータ872などのヒータを使用して行うことができる。そのような加熱は、典型的には、155℃程度の温度までベルト824上の層を加熱することによって実行され、加熱後、層は、約15~30%の多孔性を有する。
プラニッシュ加工を用いないシステムでは、より高い温度まで(例えば、約260℃まで)の中間部品表面の加熱は、後続の共有又は部品表面から溶融転写される層への熱伝達を可能にし、新しい層を急速に溶融する能力を加速及び向上する。押圧コンポーネント820をベルト824に押圧してベルト824と部品874との間に層822を挟み込むことによって、層822は溶融転写される。部品874のより高い温度は、部品表面から層822への熱伝導を可能にする。この熱伝導と押圧コンポーネント820の押圧とを組み合わせることで、層822が部品874に溶融転写される。溶融転写後、部品表面は、溶融転写プロセスに入る層822の温度を上回る温度まで熱くなり、溶融転写によって、依然として約15~30%の多孔性を有する。溶融転写プロセスからの層822の粘着性及び圧力と、層温度を超える温度までの部品874の表面の加熱とを組み合わせることにより、部品874から層822への熱伝導が可能になり、正しい温度で溶融転写する上で役立つ。溶融転写後、熱は、クーラ876を使用して除去することができる。
プラニッシュ加工を用いるシステムでは、層822は、一実施形態では、例えば、ヒータ872を使用して、190℃程度の温度まで加熱される。そのような加熱は、典型的には、190℃程度の温度までベルト824上の層を加熱することによって実行され、加熱後、層は、約30%の多孔性を有する。これに続いて、冷却ローラ808でのプラニッシュ加工は、5%~30%程度まで層822の多孔性を低減するために使用されるものであり、また、層温度も約130℃まで低下し、層822は、押圧コンポーネントをベルト824に押圧してベルト824と部品874との間に層822を挟み込むことによって溶融転写される。プラニッシュ加工を用いないシステムでは、例えば、約260℃まで又はそれ以上の温度までの中間部品表面の加熱はやはり、部品表面から溶融転写される層への熱伝達を可能にする。
溶融転写プロセスの前にプラニッシュ加工が用いられるか否かにかかわらず、融解状態まで中間部品表面を予熱する手法は、融解状態まで層を予熱することとは対照的に、その印加熱の伝導を通じて層から中間部品表面への強力な接着を達成しながら、ベルトへの望ましくない層接着を回避するための独特の手法を提供する。
一般に、ベルト824の回転継続及び構築プラットフォーム870の動きにより、y軸に沿って、加熱済みの層822と3D部品874の加熱済みの中間構築面876との整合が行われる。ガントリ878は、送り方向32に、ベルト824の回転速度と同期する速度で(すなわち、同じ方向及び速度)、y軸に沿って構築プラットフォーム870を動かすことができる。これにより、ベルト824の裏面824bが転写ローラ820の周りを回転し、転写ローラ820の押圧場所又はニップにおいてベルト824及び加熱済みの層822を中間構築面876にニップする。転写ローラ820の場所における加熱済みの中間構築面876への加熱済みの層822のこの押圧により、転写ローラ820の下方の加熱済みの層822の一部分が対応する構築面876に溶融転写される。
いくつかの実施形態では、溶融転写プロセスのこの押圧段階の間にベルト824と3D構造874の構築面876との間で層822に印加される圧力は、押圧コンポーネントローラバイアス機構の制御を通じてコントローラ24によって制御される。押圧コンポーネントバイアス機構は、z軸に沿って、転写ローラ820又はベルト824に対する構築面876の位置を制御する。例えば、押圧コンポーネント820が転写ローラの形態である際は、z軸に沿った構築面876と転写ローラ820又はベルト824との間の分離が減少すると、層822に印加される圧力は増加し、z軸に沿った構築面876と転写ローラ820又はベルト824との間の分離が増加すると、層822に印加される圧力は減少する。いくつかの実施形態では、押圧コンポーネントバイアス機構は、ガントリ878(例えば、zステージガントリ)を含み、ガントリ878は、z軸に沿って、押圧コンポーネント820及びベルト824に対する構築プラットフォーム870及び構築面876の位置を制御する。或いは、押圧コンポーネントバイアス機構は、リフト機構を含み得、リフト機構は、z軸に沿って、構築面876及び構築プラットフォーム870に対する押圧コンポーネント820の位置を調整する。また、他の適切な押圧コンポーネントバイアス機構も使用することができる。
開示される様々な実施形態では、圧力は、押圧コンポーネント820によって、滞留時間の間、加熱済みの層822の一部分に印加される。滞留時間は、移動ベルト824の送り速度による影響を受ける。ベルト824の送り速度が速いほど、滞留時間は短くなる。また、滞留時間は、転写ローラ直径、転写ローラデュロメータ及び圧力プロファイルによる影響も受ける。滞留時間を制御するため、これらの様々な因子を選択又は制御することができる。例えば、ニップローラのデュロメータは、滞留時間を増加又は減少するために選択することができる。或いは、コントローラ24は、ベルト速度を変更するか、又はニップ圧力を変更するために構築プラットフォームのz高さを調整することができる。
いくつかの実施形態では、ワンパス滞留時間は、完全な焼結をもたらすには短過ぎる100×程度である。能動ベルト冷却は、部品の最上部からベルト/層界面への温度拡散を防ぐために使用することができ、それにより、より長い最大滞留時間が可能になる。
また、滞留時間は、ベルト824及び/又は押圧コンポーネント820のデュロメータによる影響も受ける。デュロメータが軟値を示すほど、押圧コンポーネントによって圧力が印加される転写層822の表面の長さは長くなる。
ピーク圧力もまた、押圧コンポーネント820の滞留時間に影響を及ぼす。例えば、圧力が増加すると、ベルト824及び転写ローラの外面は平坦化し、転写ローラ820及びベルト824によって押圧される層822の表面の長さが拡張する。圧力が減少すると、転写ローラ820及びベルト824によって押圧される層822の表面の長さは低減する。
滞留時間が完了した後(溶融転写済みの層822が溶融転写ローラ820のニップを通過した後など)、ベルト824は、構築プラットフォーム870から係脱する。理想的には、溶融転写済みの層822は、ベルト824から解放され、3D構造874の構築面876に接着したままである。解放後、ガントリ878は、y軸に沿って溶融転写後クーラ876まで構築プラットフォーム870を継続的に動かす。次いで、溶融転写後クーラ876では、新しい中間構築面876(溶融転写済みの層822を含む)を冷却することができる。
いくつかの実施形態では、溶融転写アセンブリ819は、方向887aに対して溶融転写ローラ820の下流に1つ又は複数の冷却ユニット(図示せず)を含み、冷却ユニットは、構造874を冷却するように動作する。従って、Comb等の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び米国特許出願公開第2013/0186558号明細書で論じられるように、ガントリ878がy軸に沿って溶融転写後クーラ876(ブロワを含み得る)を通過して構築プラットフォーム870を動かすにつれて、溶融転写済みの最上層822が平均部品温度まで能動的に冷却される。
バルク部品温度より熱く3D部品を維持する上で役立てるため、ヒータ875は、3D部品の最上層のみを加熱するように構成することができる。ヒータ872及び875が赤外線放射を放出するように構成された実施形態では、3D部品は、最上層内への赤外線波長の浸透を制限するように構成された吸熱体及び/又は他の着色剤を含み得る。或いは、ヒータ872及び875は、3D部品の上面にわたって熱風を吹きかけるように構成することができる。いずれの事例でも、3D部品への熱浸透を制限することにより、3D部品の下層をバルク部品温度以下に維持しながら、最上層を十分に溶融することができる。バルク部品温度より熱く中間部品表面を加熱することにより、部品の最上層に熱が伝播され、以前に転写済みの層における粒子の溶融が促進され、それに加えて、部品に転写されている新しい層が加熱され、その溶融が促進される。
次いで、ガントリ878は、構築プラットフォーム870を下方に作動し、y軸に沿って開始位置までy軸に沿って構築プラットフォーム870を戻し、往復長方形パターン880をたどる。構築プラットフォーム870は、望ましくは、開始位置に達し、構築面876は、ガントリ878を使用して、次の層822と正しく位置合わせされる。次いで、3D部品の残りの層822の各々に対して、同じプロセスを繰り返すことができる。
本開示は、好ましい実施形態を参照して説明されているが、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の変更を行うことができることが認識されよう。