JP7345843B2 - マイクロウェル付きナノピラー構造基板、および、その製造方法 - Google Patents
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Description
(工程1:ナノポーラス構造基板に局所的にレジスト膜を付与する工程)
この工程では、図21(a)に示すように、転写の型のための中間部材として、一方の主面(図では上面)に多数のナノポーラス(微細穴)210が密集して設けられた基板(ナノポーラス構造基板)200が用いられる。前記主面のうち、マイクロウェルに対応する領域に、ナノポーラスの開口を覆うようにレジスト膜(材料:SU-8)220が設けられて、転写用の型230が形成される。レジスト膜220の周囲の領域には、多数のナノポーラスの開口が露出している。
(工程2:転写工程)
この工程では、図21(b)に示すように、ポリマー材料(シクロオレフィンポリマー)からなるシート100aと型230を、ガラス転移温度以上の温度(160℃)に加熱し、型230の凹凸(ナノポーラス構造と、レジスト膜)を該シート100aに押し付けて転写する。ガラス転移温度以上の高温で流動化したポリマー材料は、各ナノポーラス内に流れ込み、ナノピラーとなる。一方、レジスト膜220で覆われたナノポーラスにはポリマー材料は入り込むことができないので、ポリマー材料は、レジスト膜220の周囲へと流動する。さらに、レジスト膜220は、流動化したポリマー材料を押しのけてシート内に深く入り込み、マイクロウェルが形成される。
(工程3:転写後に成形品を型から剥離する工程)
この工程では、図21(c)に示すように、ガラス転移温度より十分に低い温度80℃へと冷却され、型230から成形品が剥離されて、ナノピラー111の集合体(ナノピラー構造)とマイクロウェル120とを持った、マイクロウェル付きナノピラー構造基板100bが得られる。
(工程4:金キャップ付与工程)
この工程では、前記のマイクロウェル付きナノピラー構造基板におけるナノピラー構造の表面(とりわけ、ナノピラーの頂部)に、スパッタリング等によって金キャップ(Au膜)が付与され、マイクロウェル付きのプラズモニックセンサ基板が得られる(図示は省略する)。この工程では、マイクロウェルの内部底面にも金キャップが形成されてよい。
先ず、転写工程においてガラス転移温度以上に加熱されたシート100aのポリマー材料は、冷却時に収縮し、レジスト膜を周囲から強く抱き込んだ状態となって、該レジスト膜に密着する。このため、図22(a)に示すように、転写後に、型から成形品を剥離する際に、レジスト膜220がマイクロウェルの底に張り付いたまま、成形品100といっしょに型230から剥離する場合がある。また、図22(b)に示すように、各レジスト膜220が破断して、その破片220aがマイクロウェルの底に張り付いたまま、型230から剥離する場合がある。これらのレジスト膜の剥離により、利用できない不良のマイクロウェルが発生し、また、型を繰り返し使用することができなくなる。
〔1〕マイクロウェル付きナノピラー構造基板の製造方法であって、
前記マイクロウェル付きナノピラー構造基板は、その第1の主面に、マイクロウェルの周囲をナノピラー構造が取り囲んでなるマイクロウェル付きナノピラー構造を有し、
当該製造方法は、高分子材料製のナノピラー構造基板を準備する工程を有し、該ナノピラー構造基板は、その第1の主面に、ナノピラー構造が転写によって設けられたナノピラー領域を有し、かつ、
当該製造方法は、マイクロウェル転写工程を有し、該マイクロウェル転写工程では、前記ナノピラー構造基板のナノピラー領域に対して、前記高分子材料のガラス転移温度よりも低い温度で、マイクロウェル成形型である凸状体を押し付けて、前記ナノピラー構造およびその直下の部分を塑性変形させて前記マイクロウェルを形成し、それにより、前記マイクロウェル付きナノピラー構造を形成する、
前記マイクロウェル付きナノピラー構造基板の製造方法。
〔2〕前記ナノピラー構造基板の高分子材料が、シクロオレフィンポリマーであって、前記凸状体を押し付ける際の前記ガラス転移温度より低い温度が、室温~該シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度よりも5℃低い温度である、前記〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕前記マイクロウェルの開口部の形状が、円形または正多角形であって、
該開口部の面積と同じ面積を持った円の直径が、6~60μmであり、
該マイクロウェルの深さが、4~60μmである、
前記〔1〕または〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕前記マイクロウェル転写工程では、前記凸状体を備えた型基板が用いられ、該型基板の第1の主面には、前記マイクロウェル付きナノピラー構造を形成するための第1の領域が含まれており、該第1の領域に前記凸状体が設けられており、
前記型基板と前記ナノピラー構造基板とがそれぞれの第1の主面を互いに対向させて重ね合わせられ、圧縮荷重が加えられ、前記ナノピラー領域に前記凸状体が押し付けられて、前記マイクロウェルが形成される、
前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔5〕前記ナノピラー構造の表面を基準とする、マイクロウェルの深さはd1であり、
前記型基板の第1の主面を基準とする、前記凸状体の高さh1は、前記深さd1よりも所定の寸法e1だけ大きく、
前記型基板の第1の主面には、第1の領域とは異なる領域に、高さe1の抵抗用突起体がさらに設けられ、該抵抗用突起体は、前記凸状体がナノピラー構造をd1だけ圧縮した時点で、該ナノピラー構造の表面に接触して、前記凸状体のさらなる圧縮に抵抗するものである、
前記〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕前記型基板の第1の主面には、該型基板の第1の主面を、前記ナノピラー構造基板の第1の主面に平行に接触させるためのガイドとなるように、前記第1の領域を取り囲む環状突起体がさらに設けられており、該環状突起体の高さは、前記凸状体の高さと同じh1である、
前記〔5〕に記載の製造方法。
〔7〕前記型基板の第1の主面の中央部の領域には、第1の抵抗用突起体が設けられ、
前記第1の抵抗用突起体を同心状に取り囲んで、前記第1の領域が環状の領域として設けられ、
前記第1の領域を同心状に取り囲んで、前記環状突起体が設けられ、
前記環状突起体を同心状に取り囲んで、第2の抵抗用突起体が設けられている、
前記〔6〕に記載の製造方法。
〔8〕前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の製造方法によって製造されたマイクロウェル付きナノピラー構造基板であって、
当該マイクロウェル付きナノピラー構造基板は、その第1の主面に、マイクロウェルの周囲をナノピラー構造が取り囲んでなるマイクロウェル付きナノピラー構造を有し、
前記製造方法のマイクロウェル転写工程に起因して、前記マイクロウェルの内部底面が、圧縮され塑性変形したナノピラー構造によって構成されている、
前記マイクロウェル付きナノピラー構造基板。
〔9〕前記ナノピラー構造の、少なくとも各ナノピラーの頂部表面上に、金属膜がさらに設けられている、前記〔8〕に記載のマイクロウェル付きナノピラー構造基板。
本発明の製造方法によって製造されるマイクロウェル付きナノピラー構造基板は、該基板の一方の主面である第1の主面に、マイクロウェルの周囲をナノピラー構造が取り囲んでなるマイクロウェル付きナノピラー構造を有するものである。
ナノピラー構造基板は、既存のものを利用してもよいし、製造すべきマイクロウェル付きナノピラー構造基板に応じたサイズのものを製造してもよい。ナノピラー構造基板は、後述のナノポーラス構造を有するアルミナ基板を型として用い、かつ、該ナノピラー構造基板の材料である高分子材料のガラス転移温度以上の温度において、該高分子材料製のシートに該型のナノポーラス構造を転写(ナノインプリント)することによって得られる。
ナノピラー構造基板を構成する高分子材料(即ち、本発明によって製造されるマイクロウェル付きナノピラー構造基板の材料)は、特に限定はされないが、ナノポーラス構造の転写を行う点からは、熱可塑性樹脂が好ましく、シクロオレフィンポリマー、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、アクリル(ポリメタクリル酸メチル樹脂)、ポリスチレン、ポリエチレンなどが挙げられる。低吸水性、高透明性、精密成形性、耐薬品性、低不純物などの点からは、前記シクロオレフィンポリマーが好ましい材料として挙げられる。
ナノピラー構造基板全体の厚さは、特に限定はされないが、後述のマイクロウェルを形成する点、取扱い上の点からは、100~5000μm程度が挙げられる。ナノピラー構造の凸部の高さは一定ではないので、ナノピラー構造基板全体の厚さは、基板の裏面から各ナノピラーの頂部までの距離の平均値であってよい(測定すべき凸部の数は適宜決定してよい)。
ナノピラー構造基板全体の外周形状は、後述するマイクロウェル付きナノピラー構造基板の外周形状、または、本発明の製造方法に必要となる外周形状に応じて適宜決定され得、円形、正方形、長方形などが挙げられる。詳細は後述する。
ナノポーラス構造基板を転写型として得られるナノピラー構造(多数のナノピラーが最密に近い状態に配置された凹凸構造)では、隣り合った凸部であるナノピラーの中心間の距離は、30~500nm程度である。各ナノピラーの外周形状は、ナノポーラス構造の微細孔(図4)が丸穴に近いことから、基本的には円形であるが、実際に転写されたナノピラーの外周形状は、図5に示すように、変形した不定の形状であり、サイズも一定ではない。各ナノピラーの外径は、20~300nm程度が例示される。
ナノピラー構造基板の好ましい形成方法としては、図2(a)~(c)に示すように、ナノポーラス構造を型として用いたナノインプリントが挙げられる。ナノインプリントでは、図2(a)に示すように、アルミニウム板31の一方の主面に形成された微細孔の集合(ナノポーラス構造)32が、ナノピラー構造のための型30として用いられる。図2(b)に示すように、前記の型30のナノポーラス構造32が、高分子材料製のシート10の一方の主面(図では下面)に転写されて、図2(c)に分離した状態として示すように、ナノピラー構造12が形成される。
上記したように、マイクロウェル転写工程では、ナノピラー構造基板の高分子材料のガラス転移温度よりも低い温度で、凸状体が押し付けられて、マイクロウェル成形(即ち、転写)される。このときの、「高分子材料のガラス転移温度よりも低い温度」は、特に限定はされないが、室温~該シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度よりも5℃低い温度が好ましい範囲である。前記室温とは1~30℃であり、この温度範囲の中でも、高分子材料を塑性変形させる成形を容易にする点からは、好ましい下限は25~30℃程度である。よって、例えば、ナノピラー構造基板の材料がシクロオレフィンポリマーであって、そのガラス転移温度が69℃である場合、マイクロウェル転写工程における転写温度は、25~64℃程度が好ましく、50~60℃程度がより好ましい温度として例示される。なお、室温でも、マイクロウェルの転写は可能であるが、必要な荷重が高くなる傾向にある。
本発明のマイクロウェル付きナノピラー構造基板は、本発明の製造方法によって形成されたものである。当該マイクロウェル付きナノピラー構造基板は、図1(c)に示すように、その一方の主面である第1の主面に、マイクロウェル13が設けられ、該マイクロウェル13の周囲をナノピラー構造12が取り囲んだ構造(マイクロウェル付きナノピラー構造)を有する。
マイクロウェルがトラップすべき細胞は、その分泌物をプラズモニックセンシングによって検出可能な細胞であればよく、例えば、免疫細胞(T細胞、B細胞、マクロファージなど)、がん細胞、神経細胞、ホルモン分泌細胞、外分泌上皮細胞などが例示される。
前記の細胞(単一の細胞)の個々の外径(フェレー径)は、6μm~30μm程度である。また、マイクロウェルがトラップすべき細胞は、複数の細胞が集合した細胞塊であってもよい。細胞塊の個々の外径(フェレー径)は、100μm~400μm程度である。以下の説明では、マイクロウェルによってトラップすべき細胞が単一の細胞である場合を例として、該マイクロウェルの寸法や配置パターンを例示するが、トラップすべき細胞が細胞塊である場合には、該細胞塊の外径に応じて、マイクロウェルの寸法や配置パターンを適宜に拡大することができる。
マイクロウェルの開口部の形状は、特に限定はされず、1つの細胞を好ましく収容する点からは、円形または正多角形が好ましい。正多角形としては、正方形、正六角形、正八角形、正十二角形などが挙げられ、円形に近い形状が好ましい。また測定条件を同じにする点からは、全てのマイクロウェルの開口形状を同じ形状(製造誤差を除いた基本形状)とすることが好ましい。
マイクロウェル付きナノピラー構造基板のナノピラー構造には、少なくとも各ナノピラーの頂部表面上に、金属膜(金属キャップ)がさらに設けられる。これにより、マイクロウェルの周囲にプラズモニックセンサが付与された、マイクロウェル付きプラズモニックセンサ基板が得られる。該金属膜の材料は、局在表面プラズモン共鳴に利用可能な金属であり、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)などが挙げられ、これらを単独にまたは組み合わせて使用することができる。これらの金属の中でも、Auは、可視領域で強い局在電場の発現が見込め、かつ、大気中で比較的高い化学的安定性を有する点から好ましい金属である。
金属膜の形成方法は、特に限定はされず、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、電気めっき、無電解めっき等が挙げられ、均一な金属膜の形成が可能である点からは、スパッタリングおよび蒸着が好ましい形成方法として挙げられる。スパッタリングは、蒸着に比べて、成膜すべき領域が大面積であっても均一に成膜できるので、より好ましい成膜法である。ナノピラー構造の表面に金属膜を形成する際に、マイクロウェルの内面にも金属膜が形成されてもよい。
金属膜の厚さは、ナノポーラス構造から転写されたナノピラー構造にAu膜を形成する場合には、厚さは20~90nmが好ましく、30~60nmがより好ましい。金属膜の厚さは、成膜時間によって調節することができる。
図1(a)に示す好ましい態様では、マイクロウェル成形型である凸状体22が、型全体の支持体であるベース板21の板面(第1の主面)21aの所定位置に設けられ、全体として板状を呈する型基板20が構成されている。ベース板21の第1の主面21aは、型基板20の第1の主面でもある。同図の例では、ベース板21に凸状体22が接合された構造となっているが、ベース板21と凸状体22とが同じ材料からなる一体のものであってもよい。
図1に示す模式図では、説明のために、型基板20の主面を基準とする凸状体22の高さh1は、成形すべきマイクロウェルの深さd1と同じであるように描いている。
しかし、このような構成では、凸状体がナノピラー構造基板内に入った後、ベース板21の第1の主面がナノピラー構造12の表面に接触する前に、ナノピラー構造基板の降下を止めることが好ましい。その理由は、プラズモニックセンシングを適切に行うために、マイクロウェルの周囲のナノピラー構造を変形させてはならないからである。
一方、ナノピラー構造基板の厚さには製品ごとに誤差がある。また、1つのナノピラー構造基板の中でも、細かくは、個々のナノピラーの高さにバラツキがあり、全体的には、ナノピラー構造の表面が大きく波打つように変動している場合がある。
よって、マイクロウェル転写工程において、ナノピラー構造基板の降下量を精密に計測しても、凸状体がナノピラー構造の表面にいつ接触したか、また、ベース板21の第1の主面21aがナノピラー構造12の表面にいつ接触したかを、ナノピラー構造基板の降下量から知ることは容易ではない。
また、ナノピラー構造基板の精密な降下量を示す機能は、マイクロメーターや各種のエンコーダーなど公知の計測装置によって付与され得る。
本発明の実施例では、マイクロウェルを転写するためのプレス装置として、SCIVAX(サイヴァクス)株式会社製のナノインプリント装置X300を用いた。このナノインプリント装置は、圧縮時の制御用パラメータとして荷重〔N〕の値を指定することができる。ステージに作用する応力(=ナノピラー構造基板に作用する圧縮荷重)の測定値が、指定した荷重値よりも小さい時、可動ステージは降下してより圧縮荷重を増大させようとし、応力の測定値が指定した荷重値と同じになると可動ステージの降下は止まり、応力の測定値が指定した荷重値を超えた場合には、可動ステージは上昇して圧縮荷重を低下させようとする。
上記のようなナノインプリント装置を用いることで、可動ステージの動き(降下率)を通じて、指定した荷重値に達したかどうかを知ることができる。あるいは、適切な荷重値を予め調べて指定することで、可動ステージを適切な位置で停止させることができる。さらには、ナノピラー構造基板を押圧する所定の高さのダミーの凸状体を増設することで、目的の位置で応力を荷重の指定値へと上昇させて、可動ステージを停止させることもできる。
型基板の第1の主面を基準とする、抵抗用突起体23の高さはe1である。
凸状体22の高さh1は、マイクロウェルの深さd1よりも前記寸法e1だけ大きい。
即ち、d1=h1-e1である。
この構成によって、転写時に、所定の荷重設定値にて、ナノピラー構造基板が降下し、凸状体22がナノピラー構造とその直下の部分をd1だけ圧縮した時点で、高さe1の抵抗用突起体23が、ナノピラー構造の表面に接触して抵抗し(即ち、応力の測定値が増大し)、ナノピラー構造基板の降下が停止する(または、降下速度が顕著に低下する)。この降下停止の時点が、抵抗用突起体23がナノピラー構造の表面に接触した直後の時点である。この降下停止により、ベース板21の第1の主面21aがナノピラー構造の表面に接触することを防止でき、これにより、マイクロウェルの周囲のナノピラー構造は変形せず、目標とするd1に近い深さのマイクロウェルが得られる。抵抗用突起体23の高さe1を調節することや、抵抗用突起体23の上面の面積をより大きくすることなどによって、目的とするマイクロウェルの深さに近づけることができる。一方、抵抗用突起体23が接触したナノピラー構造は、応力を上昇させるために、微量だけ圧縮されるが、検出領域とは関係の無い他の領域であるので、問題はない。
以上のようにして、マイクロウェルの周囲に好ましいプラズモニックセンサ基板が構成され得る。なお、上記したナノインプリント装置の制御構成を持たないプレス装置(即ち、所定の設定荷重に応じて単純に降下するだけのプレス装置)であっても、可動ステージの降下量(降下率)を測定することで、抵抗用突起体が接触した時点を知ることができ、可動ステージの降下を止めることができる。また、液圧プレス(特に油圧プレス)など加圧力を制御し得る装置において、加圧源である液圧ポンプの内圧の変動(加圧対象物から受ける応力の変動)を測定することで、抵抗用突起体が接触した時点(油圧ポンプの内圧が急激に上昇する時点)を知ることができ、可動ステージの降下を止めることができる。
型基板の第1の主面を見たときの抵抗用突起体の面積の合計は、凸状体の面積に応じて決定され得る。マイクロウェルを設けるための面積を十分大きく取ることができる程度の面積(即ち、広すぎない面積)であり、かつ、抵抗用突起体が接触した時に降下率が十分低くなり、その時の応力の上昇が十分に大きくなるような面積が好ましい。応力の上昇を十分に大きくする理由は、荷重の設定値が小さいほど装置の精度が下がるからである。
型基板の好ましい態様では、図8(a)に示すように、型基板の第1の主面(=ベース板21の第1の主面21a)に、第1の領域22Aを取り囲む環状突起体24がさらに設けられる。この環状突起体24の高さは、凸状体22の高さと同じh1である。この構成によって、凸状体22がナノピラー構造の表面に接触するとき、環状突起体24も周囲で接触する。よって、ナノピラー構造基板の第1の主面は、該型基板の第1の主面に対して、平行に、安定した状態で接触することができるようになる。即ち、環状突起体24は、該型基板の第1の主面を、前記ナノピラー構造基板の第1の主面に平行に接触させるためのガイドまたは押さえとして作用する。
型基板の好ましい態様では、図9(a)に示すように、型基板の第1の主面の中央部の領域に、第1の抵抗用突起体23aが設けられる。該第1の抵抗用突起体23aを同心状に取り囲んで、第1の領域22Aが環状の領域として設けられる。第1の領域22Aにおける多数の黒い点22が凸状体である。第1の領域22Aをさらに同心状に取り囲んで、環状突起体24が設けられる。該環状突起体24をさらに同心状に取り囲んで、第2の抵抗用突起体23bが設けられている。図9(b)は、図9(a)のX2-X2断面矢視図である。
円形のシリコンウェハーの第1の主面に、フォトレジスト(SU-8)を塗布し、図9(a)、(b)に示した凸状体等のマイクロパターンを形成する。
抵抗用突起体が無く、凸状体の高さh1が、マイクロウェルの深さd1と同じである場合は、以下の3つの状態となる可能性がある。
(a)適切な荷重により、凸状体がナノピラー構造基板に対して適切な深さまで入り込み、マイクロウェルが好ましく転写され、周囲のナノピラー構造は潰されない状態。
(b)適切な荷重よりも高い荷重により、凸状体がナノピラー構造基板に対して入り込んでマイクロウェルが形成されるが、周囲のナノピラーが潰れた状態。
(c)適切な荷重よりも低い荷重により、周囲のナノピラーはつぶされないが、マイクロウェルの深さが足りない状態。
図12では、左側に示した型基板の各部の高さを大きく誇張して、右側のグラフのタテ軸に対応付けている。また、図12に示した3つの荷重領域(a)~(c)のそれぞれにおけるナノピラー構造基板の変形の様子を、図13(a)~(c)に示している。
先ず、図12の荷重領域(a)および図13(a)に示すように、低い荷重を印加すると、最初は、凸状体22と環状突起体24がナノピラー構造基板に接触し、浅いマイクロウェルが形成される。次に、図12の荷重領域(b)および図13(b)に示すように、荷重が高くなると、ナノピラー構造基板が抵抗用突起体23と接触し、荷重の増大に対してナノピラー構造基板の降下率が低下している。次に、図12の荷重領域(c)および図13(c)に示すように、荷重がさらに高くなると、ナノピラー構造12が大きく潰れ、さらには、ナノピラー構造の表面が型基板のベース板の主面と接触し、ナノピラー構造基板の降下率がさらに低下している。このようなナノピラー構造基板の降下率から、周囲のナノピラー構造を潰すことなく、好ましい深さのマイクロウェルを形成するのに必要な、適切な荷重を見つけることができる。
実施例では、300~600N程度が好ましい荷重であった。この荷重は、一例であり、マイクロウェルの内径と数(即ち、凸状体の上面の総面積)、抵抗用突起体の上面の総面積、環状突起体の上面の総面積、高分子材料の種類、加圧時の温度、などに応じて変動する。
上記したマイクロウェル付きナノピラー構造基板の各ナノピラーの頂部表面上に金属キャップが設けられたマイクロウェル付きプラズモニックセンサ基板(以下、センサ基板ともいう)の使用例は以下のとおりである。
先ず、シャーレ等の容器の内部底面にセンサ基板を配置し、かつ、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、細胞培養液などの液体を供給し、該センサ基板が該液体に浸漬された状態とする。センサ基板のマイクロウェルは上を向いて開口している。各マイクロウェルは、気泡を含まず、前記液体が充填された状態となっている。次に、細胞が分散した懸濁液を該容器内に供給し、細胞を沈降させる。これにより、いくつかのマイクロウェル内に細胞が入る。各マイクロウェル内に入らなかった細胞と液体を除去する(細胞だけを洗いながしてもよい)。所定の波長の光をマイクロウェルの周囲に照射し、プラズモニックセンシングを行う。
図14は、センサ基板上に設けられた細胞導入用の部材の一例を示す図である。図14(a)~(c)に示すように、センサ基板10cの第1の主面には、マイクロウェル付きのプラズモニックセンサ構造の領域10sを取り囲むように、板状の部材40が付与されている。図の例では、領域10sは、図10に示した型基板によって形成され、図11(a)に示すように円環状である。図の例では、センサ基板10cの第1の主面全体がナノピラー構造(金キャップ付き)となっているが、領域10sを含んだ中央の領域だけがナノピラー構造となっていてもよい。領域10sにはマイクロウェルが所定の配置パターンにて多数設けられている。図14(b)、(c)では、説明のために、センサ基板10cの上面の表層にハッチングを施すことで、マイクロウェルが設けられた構造を示唆している。
純度99.5%のアルミニウム板(株式会社ニラコ製)に対して、一次陽極酸化処理および二次陽極酸化処理を行ない、板面に、微細孔がハニカム構造のように規則的に並んだナノポーラス構造を持ったナノポーラス構造基板を作製した。本実施例で用いたアルミニウム板は、縦26mm、横76mmの長方形の板であり、陽極酸化処理すべき片面は、鏡面研磨され、厚さは5mmである。
アルミニウム板を直流電源(PQ-120、MATSUSADA)の陽極に接続し、チタン板を該直流電源の陰極に接続し、アルミニウム板の鏡面研磨された板面とチタン板の板面とが平行になるよう両板を保持して、低温恒温水槽(NCB-1200、EYELA)中の0.3Mシュウ酸溶液中に固定した。シュウ酸溶液を0℃に保ち、前記直流電源によってアルミニウム板とチタン板との間に電圧80Vを1時間印加し、アルミニウム板の鏡面研磨された板面に陽極酸化処理(一次陽極酸化処理)を行った。その後、純水に浸漬し、5分間超音波洗浄を行った。陽極酸化処理中は、シュウ酸溶液の温度および濃度を一定に保つため、撹拌子によって該シュウ酸溶液を常時撹拌した。
前記凹部が形成されたアルミニウム板の表面に対して、さらに、陽極酸化処理(二次)を行った(0.3Mシュウ酸水溶液、80V、13秒)。その結果、アルミニウム板の表面には、ハニカム構造状に配列された配置パターンにて微細孔が配列されたナノポーラス構造が形成された。その後、純水に浸漬し、5分間超音波洗浄を行った。
外径4インチ、厚さ0.525mm)のシリコンウェハーの第1の主面上に、レジスト材料(SU-8)にて、凸状体、抵抗用突起体、および、環状突起体を形成した。微細構造の形成に用いられるネガ型レジストであるSU-8は、機械的性質、耐熱性、耐薬品性などに優れた性能を示すとともに、アスペクト比の高いマイクロ構造体を用意に形成できる。
上記シリコンウェハー上にレジスト(SU-8 3005、Micro chem社製)を、目標膜厚5μmとして、回転速度4000rpm、回転時間30秒で、スピンコータを用いてスピンコートした。ホットプレートを用いて、温度65℃、時間1分、温度95℃、時間2分でソフトベークを行った。ソフトベーク後のレジストに対して、マスクレス露光装置(DL-1000、株式会社ナノシステムソリューションズ)により、Dose:20000 mJ/cm2で露光した。レジストの露光後、架橋反応促進として、ホットプレートを用いて、温度65℃、時間1分、温度95℃、時間2分でベークし、室温まで降温させた後、レジスト現像液(SU-8 Developer、Micro chem社製)により現像を行い、2-プロパノールを用いてリンスした。現像時間とリンス時間は、それぞれ4分である。
上記で抵抗用突起体が形成されたシリコンウェハー上に、レジスト(SU-8 3025、Micro chem社製)を目標膜厚20μmとして、回転速度3800rpm、回転時間30秒にて、スピンコータを用いてスピンコートした。ホットプレートを用いて、温度65℃、時間1分、温度95℃、時間10分でソフトベークを行った。ソフトベーク後のレジストに対して、マスクレス露光装置(DL-1000、株式会社ナノシステムソリューションズ)により、Dose:20000 mJ/cm2で露光した。レジストの露光後、架橋反応促進として、ホットプレートを用いて、温度65℃、時間1分、温度95℃、時間5分でベークし、室温まで降温させた後、レジスト現像液(SU-8 Developer、Micro chem社製)により現像を行い、2-プロパノールを用いてリンスした。現像時間とリンス時間は、それぞれ10分である。
上記(i)で形成したナノポーラス構造基板のナノポーラス構造を型として用い、これをガラス転移温度以上に加熱したシクロオレフィンポリマー(COP)製のシート(厚さ2mm)に押し付けて転写(ナノインプリント)し、該シートの表層にナノピラー構造を形成した。冷却後に型(ナノポーラス構造基板)からCOP製のシートを剥離することにより、ナノピラー構造基板を得た。このナノインプリントは、型を用いる複製プロセスであるため、安定した条件下で行うことができ、製品(転写された形状)は繰り返し精度に優れ、ナノスケール構造の大量生産も可能である。
上記で用いたナノインプリント装置は、SCIVAX株式会社製、品番X300である。該ナノインプリント装置のチャンバー内には、図15に示すように、上側に位置する可動ステージ61と、下側に位置する固定ステージ62の間に、これらをそれぞれ保護するためのシリコンウェハー63、64(外径6インチ、厚さ0.625mm)を配置し、該シリコンウェハー63、64の間に離型処理したシリコンウェハー65、66(外径4インチ、厚さ0.525mm)を配置し、該シリコンウェハー65、66の間に、COP製のシート10(日本ゼオン株式会社、品番ZEONEX 5000)と、型であるナノポーラス構造基板30を配置した。前記で用いたシリコンウェハーは一例であって、適当なものを利用してもよい。
COP製のシート10とナノポーラス構造基板30には、ナノインプリント後の分離(離型)を容易にするため離型処理を施した。該離型剤として、ハーベス社製のフッ素系離型剤(DURASURF)を、ダイキン工業製の溶剤(Perfluorohexane」で希釈したものを用いた。離型剤全体(100質量%)に対するフッ素系離型剤が占める割合は、0.1質量%である。図15に示した積層状態にて、両ステージを60℃に昇温し(即ち、シートと型を含んだ全体を60℃とし)、仮型押しとして、荷重150Nでの加圧を1分間行った。ナノインプリント時に空気が入り込むことを防ぐため、ナノインプリント装置内を減圧し、-80kPa程度の真空とした。減圧後、可動ステージの温度を60℃に維持し、固定ステージの温度をCOP樹脂のガラス転移温度(69℃)を超える温度(80℃)まで上昇させた。なお、両ステージともに、ピラーの形成に十分な温度(ガラス転移温度+5℃~30℃)にすると、加圧時に柔らかくなったポリマーがアルミモールドの側面に流れ出てしまう場合があり、それにより、ポーラス面にかかる圧力が減少し、ナノピラー構造の形成に問題が発生する。本実施例では、前記のようなポリマーの流れ出しを抑制するため、COP樹脂のピラー形成面のみをガラス転移温度以上にしており、アルミモールド側のステージを80度、COP側のステージを60℃に調整した。
型押しの荷重を150Nまで減少させた後、ナノインプリント装置内の真空を大気圧にもどし、該ナノインプリント装置からナノポーラス構造基板とナノピラー構造基板を取り出し、ナノピラー構造基板を引っ張ってナノポーラス構造基板から剥離した。
上記(ii)で得られた型基板を、上記(iii)で得られたナノピラー構造基板に押し付けて転写し、マイクロウェル付きのナノピラー構造基板を形成した。
この転写工程では、上記(iii)で用いたナノインプリント装置を用いた。該ナノインプリント装置のチャンバー内には、図16に示すように、可動ステージ61と固定ステージ62の間に、保護用のシリコンウェハー63、64(外径6インチ、厚さ0.625mm)を配置し、該シリコンウェハー63、64の間に、上側の離型用のシリコンウェハー65(外径4インチ、厚さ0.525mm)と、ナノピラー構造基板10aと、型基板20を配置した。下側のシリコンウェハー64は離型処理されており、離型用のシリコンウェハーを兼ねている。
上記(iv)で得られたマイクロウェル付きナノピラー構造基板の第1の主面に、スパッタリングによって厚さ40nmのAu膜を形成し、センサ基板を得た。本実施例で用いたスパッタ装置は、アルバック株式会社のACS-4000である。得られたセンサ基板のマイクロウェルの周囲に所定の波長の光を照射すれば、ナノピラーに付与された金キャップの自由電子の振動による局在表面プラズモン共鳴が発生し、プラズモン信号が検出できる。
上記マイクロウェル転写工程によってナノピラー構造が受ける影響を評価するため、該マイクロウェル転写工程の前と後におけるナノピラー構造に、それぞれ厚さ40nmのAu膜(金キャップ)をスパッタリングで付与してプラズモニックセンサを構成し、それぞれのプラズモニックセンサの屈折率感度を測定した。「屈折率感度」は、金属ナノ構造の表面近傍の媒質の屈折率の変化に対して最大吸収波長の変化量により計算される。横軸を媒質の屈折率とし、縦軸を最大吸収波長として、屈折率と最大吸収波長の関係をプロットした時、その近似直線(一次関数)の傾きが「屈折率感度」である。
図18に、1つのマイクロウェル13とその周囲のプラズモニックセンサを拡大して示すように、上記で得られたセンサ基板10cを用いて、1つの単一細胞72をマイクロウェル13内にトラップし、その細胞72から分泌したIL-6(符号73)を該マイクロウェル13の周囲のプラズモニックセンサからのLSPR信号で検出した。この実験は、主として3つのステップ(金キャップ12bの表面への抗体71の固定化、マイクロウェル13内への細胞72のトラップ、イメージングシステムによるLSPRセンシング)で行った。
センサ基板をその溶液に浸漬し、30分間静置した。その後、大量のエタノールで洗浄し、窒素ガスでセンサチップを乾燥させた。
吸収スペクトルを測定し、センサ基板上に-COOH基が形成されたことを確認した。
N-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)(Wako)およびカルボジイミド塩酸塩(WSC)(Wako)を、それぞれ0.2M、0.8Mになるように、超純水を500μL(マイクロリットル)ずつ加えた。
0.2MのNHS溶液と0.8MのWSC溶液を500μLずつ混合し、センサ基板上に200μL滴下し、室温で10分間静置した。
その後、大量の超純水で洗浄し、窒素ガスでセンサチップを乾燥させた。更に、吸収スペクトルを測定し、センサ基板の金キャップの表面に活性エステルが形成されていることを確認した。
細胞を各マイクロウェル内に導入するため、上記1%のウシ血清アルブミンによってブロッキング処理したセンサ基板をX-Yステージ上に固定し、図14に示すように、シリコーンゴム製の板状の部材40をセンサ基板10cに重ね合わせ、該枠の内部にPBSを充填した。測定の際、PBSの液体表面を平面にするため、図14に示すように、プラズモニックセンサ構造の領域10sの上方を薄いCOP製のフィルム(日本ゼオン株式会社、品番ZF-14-188)で覆った。
10b マイクロウェル付きナノピラー構造基板
11 基板本体
12 ナノピラー構造
13 マイクロウェル
20 型基板
21 ベース板
22 凸状体
Claims (9)
- マイクロウェル付きナノピラー構造基板の製造方法であって、
前記マイクロウェル付きナノピラー構造基板は、その第1の主面に、マイクロウェルの周囲をナノピラー構造が取り囲んでなるマイクロウェル付きナノピラー構造を有し、
当該製造方法は、高分子材料製のナノピラー構造基板を準備する工程を有し、該ナノピラー構造基板は、その第1の主面に、ナノピラー構造が転写によって設けられたナノピラー領域を有し、かつ、
当該製造方法は、マイクロウェル転写工程を有し、該マイクロウェル転写工程では、前記ナノピラー構造基板のナノピラー領域に対して、前記高分子材料のガラス転移温度よりも低い温度で、マイクロウェル成形型である凸状体を押し付けて、前記ナノピラー構造およびその直下の部分を塑性変形させて前記マイクロウェルを形成し、それにより、前記マイクロウェル付きナノピラー構造を形成する、
前記マイクロウェル付きナノピラー構造基板の製造方法。 - 前記ナノピラー構造基板の高分子材料が、シクロオレフィンポリマーであって、前記凸状体を押し付ける際の前記ガラス転移温度より低い温度が、室温~該シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度よりも5℃低い温度である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記マイクロウェルの開口部の形状が、円形または正多角形であって、
該開口部の面積と同じ面積を持った円の直径が、6~60μmであり、
該マイクロウェルの深さが、4~60μmである、
請求項1または2に記載の製造方法。 - 前記マイクロウェル転写工程では、前記凸状体を備えた型基板が用いられ、該型基板の第1の主面には、前記マイクロウェル付きナノピラー構造を形成するための第1の領域が含まれており、該第1の領域に前記凸状体が設けられており、
前記型基板と前記ナノピラー構造基板とがそれぞれの第1の主面を互いに対向させて重ね合わせられ、圧縮荷重が加えられ、前記ナノピラー領域に前記凸状体が押し付けられて、前記マイクロウェルが形成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記ナノピラー構造の表面を基準とする、マイクロウェルの深さはd1であり、
前記型基板の第1の主面を基準とする、前記凸状体の高さh1は、前記深さd1よりも所定の寸法e1だけ大きく、
前記型基板の第1の主面には、第1の領域とは異なる領域に、高さe1の抵抗用突起体がさらに設けられ、該抵抗用突起体は、前記凸状体がナノピラー構造をd1だけ圧縮した時点で、該ナノピラー構造の表面に接触して、前記凸状体のさらなる圧縮に抵抗するものである、
請求項4に記載の製造方法。 - 前記型基板の第1の主面には、該型基板の第1の主面を、前記ナノピラー構造基板の第1の主面に平行に接触させるためのガイドとなるように、前記第1の領域を取り囲む環状突起体がさらに設けられており、該環状突起体の高さは、前記凸状体の高さと同じh1である、
請求項5に記載の製造方法。 - 前記型基板の第1の主面の中央部の領域には、第1の抵抗用突起体が設けられ、
前記第1の抵抗用突起体を同心状に取り囲んで、前記第1の領域が環状の領域として設けられ、
前記第1の領域を同心状に取り囲んで、前記環状突起体が設けられ、
前記環状突起体を同心状に取り囲んで、第2の抵抗用突起体が設けられている、
請求項6に記載の製造方法。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたマイクロウェル付きナノピラー構造基板であって、
当該マイクロウェル付きナノピラー構造基板は、その第1の主面に、マイクロウェルの周囲をナノピラー構造が取り囲んでなるマイクロウェル付きナノピラー構造を有し、
前記製造方法のマイクロウェル転写工程に起因して、前記マイクロウェルの内部底面が、圧縮され塑性変形したナノピラー構造によって構成されている、
前記マイクロウェル付きナノピラー構造基板。 - 前記ナノピラー構造の、少なくとも各ナノピラーの頂部表面上に、金属膜がさらに設けられている、請求項8に記載のマイクロウェル付きナノピラー構造基板。
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