JP7336221B2 - 硫黄変性クロロプレンゴム、加硫物及び該加硫物を用いた成形品並びに硫黄変性クロロプレンゴムの製造方法 - Google Patents
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イミダゾールとしては、2-メルカプトイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、N-シクロヘキシル-1H-ベンズイミダゾール-2-スルフェンアミド、2-メトキシカルボニルアミノ-ベンゾイミダゾール、2-メルカプトメチルベンズイミダゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンズイミダゾール、2-メルカプト-5-カルボキシベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール-5-スルホン酸ナトリウム二水和物、2-メルカプト-5-ニトロベンズイミダゾール、2-メルカプト-5-アミノベンズイミダゾールから選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましい。
ジチオカルバミン酸系化合物としては、ジベンジルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジベンジルジチオカルバミン酸カリウム、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸アンモニウム、ジベンジルジチオカルバミン酸ニッケル、ジ-2-エチルヘキシルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ-2-エチルヘキシルジチオカルバミン酸カリウム、ジ-2-エチルヘキシルジチオカルバミン酸カルシウム、ジ-2-エチルヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-2-エチルヘキシルカルバミン酸アンモニウム、テトラベンジルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィドから選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましい。
該重合液中に、イミダゾールを添加することにより、前記重合液中の重合体を可塑化する可塑化工程と、
を有する、硫黄変性クロロプレンゴムの製造方法を提供する。
本発明に係る硫黄変性クロロプレンゴムの製造方法では、クロロプレンと硫黄、必要に応じてクロロプレンと共重合可能な単量体を乳化重合して重合液を得る。
可塑化工程では、前記重合工程で得られた硫黄変性クロロプレン重合液に、イミダゾールを添加し、主鎖中に存在するポリスルフィド結合(S2~S8)と添加されたイミダゾールが反応することで、添加したイミダゾールに由来する前記化学式1で表される末端官能基(A)を形成しながら、重合液中の重合体を切断、解重合する工程である。以下、重合体を切断、解重合するために用いる薬品を可塑化剤とする。
得られた硫黄変性ポリクロロプレンをベンゼンとメタノールで精製し、再度凍結乾燥して測定用試料とした。得られた測定用試料を、JIS K-6239に従って1H-NMR測定を行った。得られた測定データを、溶媒とした重水素化ジメチルスルホキシド中のジメチルスルホキシドのピーク(2.49ppm)を基準に補正し、補正した測定データに基づいて、6.99~7.23ppmにピークトップを有するピークの面積を算出して末端官能基(A)を定量し、溶媒とした重水素化クロロホルム中のクロロホルムのピーク(7.24ppm)を基準に補正し、補正した測定データに基づいて、5.05~5.50ppmにピークトップを有するピークの面積を算出して末端官能基(B)を定量する。
得られた硫黄変性ポリクロロプレンゴム1.5gをベンゼン30mlで溶解した後、メタノール60mlを滴下し、ゴム成分を析出させ溶媒から分離し非ゴム分を溶媒可溶成分として回収した。析出したポリマー分に対し、再度、同様の手順でベンゼン溶解及びメタノール滴下を行い、ゴム成分を分離し、非ゴム分を同様に溶媒可溶成分として回収し、1回目と2回目の溶媒を混合して200mlに定容、これを測定用試料とした。測定用試料を液体クロマトグラフ(LC 日立製作所製 ポンプ:L-6200、L-600 UV検出器:L-4250)に20μL注入した。LCの移動相はアセトニトリル及び水の比率を変化させながら使用し、1ml/minの流量で流した。カラムはInertsil ODS-3(φ4.6×150mm 5μm GLサイエンス製)を用いた。イミダゾール(測定波長:300nm)、ジチオカルバミン酸系化合物(測定波長:280nm)のピーク検出時間を標準液で確認し、そのピーク面積から求めた検量線により定量値を求めた。本定量値と、分析に用いたサンプル量の比較により、硫黄変性クロロプレンゴム中の未反応のイミダゾール及び未反応のジチオカルバミン酸系化合物の含有量を求めた。
硫黄変性クロロプレンゴムのムーニー粘度を調整するには、可塑化剤の添加量や可塑化工程の時間及び可塑化温度を調整すれば良い。
硫黄変性クロロプレンゴムは、金属化合物、可塑剤、及び充填剤等と共に、ロールやバンバリーミキサー、押出機などで混合した後、所望する形状に成形して加硫、又は加硫物とした後に成形して、伝動ベルト、コンベヤベルト、防振ゴム、空気バネ、ホース製品及びスポンジ製品などの成形品とすることができる。
(実施例1)
内容積30リットルの重合缶に、クロロプレン100質量部、硫黄0.55質量部、純水120質量部、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成株式会社製)4.00質量部、水酸化ナトリウム0.60質量部、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(商品名デモールN:花王株式会社製)0.6質量部を添加した。重合開始前の水性乳化剤のpHは12.8であった。重合開始剤として過硫酸カリウム0.1質量部を添加し、重合温度40℃にて窒素気流下で重合を行った。転化率85%となった時点で重合停止剤であるジエチルヒドロキシアミンを加えて重合を停止させ、クロロプレンの重合液を得た。
得られた硫黄変性クロロプレンゴムの末端官能基は、硫黄変性クロロプレンゴム100質量部に対し、化学式3で表される2-メルカプトベンズイミダゾールに由来する末端官能基(A)が0.13質量部及び、化学式4で表されるテトラベンジルチウラムジスルフィドに由来する末端官能基(B)が0.29質量部であった。
硫黄変性クロロプレンゴム中の末端官能基(A)の含有量は以下の手順にて定量した。
得られた硫黄変性ポリクロロプレンをベンゼンとメタノールで精製し、再度凍結乾燥して測定用試料とした。得られた測定用試料を、JIS K-6239に従って1H-NMR測定を行った。得られた測定データを、溶媒とした重水素化ジメチルスルホキシド中のジメチルスルホキシドのピーク(2.49ppm)を基準に補正し、補正した測定データに基づいて、6.99~7.23ppmにピークトップを有するピークの面積を算出して末端官能基(A)を定量し、溶媒とした重水素化クロロホルム中のクロロホルムのピーク(7.24ppm)を基準に補正し、補正した測定データに基づいて、5.05~5.50ppmにピークトップを有するピークの面積を算出して末端官能基(B)を定量する。
可塑化剤の添加量を調整し、末端官能基及び可塑剤の含有量を変更すること以外は、実施例1と同様の方法にて、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
可塑化剤である2-メルカプトベンズイミダゾールの添加量を1質量部から0.3質量部とし、可塑化の保持時間を1時間から3時間に変更すること以外は、実施例1と同様の方法にて、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
可塑化剤である2-メルカプトベンズイミダゾールの添加量を1質量部から1.5質量部とし、可塑化の保持時間を1時間から15分に変更すること以外は、実施例1と同様の方法にて、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
可塑化剤であるテトラベンジルチウラムジスルフィドの添加量を4質量部から8質量部とし、可塑化の保持時間を1時間から15分に変更すること以外は、実施例1と同様の方法にて、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
可塑化剤として2-メルカプトベンズイミダゾールを2-メルカプト-5-カルボキシベンズイミダゾール:(商品名「2MB5C」川口化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。得られた硫黄変性クロロプレンゴムの末端官能基は、前記化学式4で表されるテトラベンジルチウラムジスルフィドに由来するジチオカルバミン酸末端種A0.14質量部に加え、化学式5で表される2-メルカプト-5-カルボキシベンズイミダゾールに由来するイミダゾール末端種Bが0.33質量部であった。
可塑化剤としてテトラベンジルチウラムジスルフィドをテトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド:(商品名「ノクセラーTOT-N」大内新興化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。得られた硫黄変性クロロプレンゴムの末端官能基は、前記化学式3で表される2-メルカプトベンズイミダゾールに由来するイミダゾール末端種Aが0.15質量部と、化学式6で表されるテトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィドに由来するジチオカルバミン酸末端種Bが0.25質量部であった。
可塑化剤として2-メルカプトベンズイミダゾールを2-メルカプト-5-カルボキシベンズイミダゾールとし、テトラベンジルチウラムジスルフィドをテトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィドに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。得られた硫黄変性クロロプレンゴムの末端官能基は、前記化学式5で表される2-メルカプト-5-カルボキシベンズイミダゾールに由来するイミダゾール末端種Bが0.15質量部と、前記化学式6で表されるテトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィドに由来するイミダゾール末端種Bが0.32質量部であった。
可塑化剤として、2-メルカプトベンズイミダゾールとテトラエチルチウラムジスルフィドに変更し、その添加量を2.5質量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。得られた硫黄変性クロロプレンゴムの末端官能基は、化学式7で表されるテトラエチルチウラムジスルフィドに由来する末端官能基が0.26質量部であった。
前記で得られた実施例1~14及び比較例1~4の硫黄変性クロロプレンゴム(生ゴム)について、JIS K 6300-1に準拠して、L型ロータの予熱時間1分、回転時間4分、試験温度100℃にてムーニー粘度の測定を行った。
前記で得られた実施例1~13及び比較例1~4の硫黄変性クロロプレンゴム(生ゴム)100質量部に、ステアリン酸1質量部、オクチル化ジフェニルアミン2.0質量部、酸化マグネシウム4.0質量部、カーボンブラック(GPF)40質量部、酸化亜鉛5.0質量部を、8インチロールを用いて混合し、160℃で20分間プレス架橋して評価用のサンプルを作製した。
前記で作製した各サンプルについて、JIS K 6262に準拠し、100℃、72時間の試験条件で測定した。
前記で作製した各サンプルについて、JIS K 6300-1に準拠して、ムーニースコーチ試験を実施した。
発熱性の評価は、グッドリッチフレクソメーター(Goodrich Flexometer:JIS K 6265)により行った。グッドリッチフレクソメーターは、加硫ゴム等の試験片に動的繰り返し負荷を加えて、試験片内部の発熱による疲労特性を評価する試験方法であって、詳しくは、一定の温度条件で試験片に静的初期荷重を加え、更に一定振幅の正弦振動を加え、時間の経過と共に変化する試験片の発熱温度やクリープ量を測定するものである。試験方法はJIS K 6265に準拠し、50℃、歪み0.175インチ、荷重55ポンド、振動数毎分1,800回の条件で発熱量(ΔT)を測定した。
実施例の結果を下記の表1に、比較例の結果を下記の表2に示す。
硫黄変性クロロプレンゴム中のイミダゾール(C)の含有量とジチオカルバミン酸化合物(D)の含有量の質量比率(D/C)120以下である実施例2は、(D/C)が120を超える実施例8に比べてスコーチタイムがより長くなり、圧縮永久歪みと発熱性がより低減していた。
Claims (2)
- 分子末端に化学式1で表される構造及び化学式2で表される構造を有する硫黄変性クロロプレンゴムであって、化学式1で表される末端官能基(A)と化学式2で表される末端官能基(B)の質量比率(B/A)が0.42~12かつ硫黄変性クロロプレンゴム100質量部中の末端官能基(A)と末端官能基(B)の合計量(A+B)が0.1~1質量部である硫黄変性クロロプレンゴム。
- 硫黄変性クロロプレンゴム100質量部中の末端官能基(A)の量が0.05~0.4質量部である請求項1に記載の硫黄変性クロロプレンゴム。
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